JP6564085B2 - トナーバインダー及びトナー - Google Patents
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Description
トナーの定着温度を低くする手段として、結着樹脂のガラス転移点を低くする技術が一般的に使用されている。
しかしながら、ガラス転移点を低くし過ぎると、耐ホットオフセット性が低下し、また粉体の凝集(ブロッキング)が起り易くなることからトナーの保存性が低下するため、ガラス転移点の下限は実用上50℃である。このガラス転移点は、結着樹脂の設計ポイントであり、ガラス転移点を下げる方法では、更に低温定着可能なトナーを得ることはできない。
しかしながら、結晶性樹脂の含有量を増やすと樹脂強度が低下する場合があり、また溶融混練時に結晶性樹脂と結着樹脂の相溶化により結晶性樹脂が非晶化し、その結果、トナーのガラス転移点が低下することで前述と同様の課題が生じる。
かかる方法ではトナーの低温定着性及び光沢性は確保できるが、耐ホットオフセット性やトナーの流動性、高温保存時の安定性である耐熱保存性が不充分であり、また帯電安定性や粉砕する際の粉砕性が低下する問題もある。
溶融懸濁法や乳化凝集法を用いて得られたシェル層で被覆する方法等も提案されているが(特許文献6〜9)、結晶性樹脂がコアの結着樹脂と相溶化し、短時間では結晶の再析出が不充分なことから定着後の画像強度及び耐折り曲げ性が未だ不充分である。
また、スチレンアクリル系の非晶性樹脂に結晶性樹脂を添加し、結晶性樹脂との非相溶性を利用して結晶析出を促した方法(特許文献10)があるが、そもそも非晶性樹脂がスチレンアクリル系樹脂であるため、低温定着性が不充分である。
すなわち本発明は、結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とするトナーバインダーである。
[但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。]
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする。
(S2/S1)×100≧35 (1)
本発明においては、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積は、DSCにより測定される。本明細書中、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)を、樹脂(B)ともいう。
そこで、DSCにより測定される、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とすると、まず、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲に少なくとも1つ以上あって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とするトナーバインダーである。
(S2/S1)×100≧35 (1)
本発明のトナーバインダーは、上記の条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とすると、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が上記の関係式(1)を満たすものである。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナーバインダーにさらに配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピーク面積は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナーバインダーではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
すなわち関係式(1)を満足する場合、第1の昇温過程に相当する熱定着工程では結晶性樹脂(A)の一部が樹脂(B)に相溶し、トナーが可塑化されることにより、低温で定着することが可能になるが、冷却後は結晶性樹脂(A)が再度結晶化することで低Tg化及び低粘度化を解消し、定着画像の熱安定性を高めることができる。
また同様の現象から、溶融混練後の低Tg化が抑制でき、特許文献1〜6のような特別な工程を行うことなく、トナーを製造することができる。
なお、吸熱ピークトップを示す温度とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
トナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性及び定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点からTpは40℃以上であり、低温定着性及び光沢性の観点から100℃以下である。
本発明における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)は、トナーバインダーの代わりに結晶性樹脂(A)を用いて、結晶性樹脂(A)を上述した条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークから求めることもできる。上記の方法でトナーバインダーを用いて測定される結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)は、結晶性樹脂(A)を用いて、上記の方法で結晶性樹脂(A)の吸熱ピークから求められる吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)と通常同じである。
なお、本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
本発明において樹脂(B)に対して相溶しないとは、樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物を混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。
樹脂(B)とセグメントを構成する化合物を混合する方法は特に規定されず、例えば、樹脂(B)とセグメントを構成する化合物を溶融混練機で混合する方法、溶剤等で溶解させて混合しその後に溶剤を除去する方法、樹脂(B)の製造時にセグメントを構成する化合物を混合する方法等がある。混合する温度は樹脂粘度の観点から100〜200℃が好ましく、110〜190℃がさらに好ましい。
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリエステル(a11)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
ジオール成分(x)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
必要によりジオール成分(x)と併用される3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
これらの官能基を有するジオール(x’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x)と、官能基を有するジオール(x’)と、ジカルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレタン(a12)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレア(a13)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリアミド(a14)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
例えば、以下の(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
(w111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(w112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
例えば、(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体等が挙げられる。
(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
例えば、(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物等が挙げられる。
(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。このようにセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されてなる結晶性樹脂(A)は、本発明における結晶性樹脂(A)として好ましい。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
ポリエステル樹脂の変性樹脂として、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものが好ましい。
ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、例えば非晶性のポリエステル樹脂(B1)、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)、非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)等が挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、好ましくは非晶性のポリエステル樹脂(B1)である。
例えば、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)はそれぞれ、ビニル基、エポキシ基及びウレタン基でポリエステル樹脂を変性した樹脂として好ましい。
なお、本発明における「非晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化を示し、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジオール成分(x)と同様のものを使用できる。また必要に応じて、ジオール成分(x)と共に、3価以上のポリオールを使用することができる。3価以上のポリオールとして、結晶性ポリエステル(a11)で使用される3価以上のポリオールと同じものを使用することができる。
非晶性樹脂とするために、直鎖型ジオールの含有率は使用するジオール成分(x)の70モル%以下が好ましく、更に好ましくは60モル%以下である。また、非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分において、ジオール成分(x)が90〜100モル%であることが好ましい。
また、3価以上の多価カルボン酸やモノカルボン酸も使用できる。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
|SPA−SPB|≧0.0050×(AVB+OHVB)+1.258 (5)
[式(5)中、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値、AVBは樹脂(B)の酸価、OHVBは樹脂(B)の水酸基価を表す。]
アルコール成分(X)中に芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有すると、低温定着性と耐熱保存性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の点で好ましい。
|SPA−SPB|≧1.9 (6)
[式(6)中、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。]
炭素数2〜10であると、低温定着性と耐ホットオフセット性、耐熱保存性の観点で好ましい。
アルコール成分(X)中で炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有すると、低温定着性と耐ホットオフセット性、帯電安定性、粉砕性の観点で好ましい。
|SPA−SPB|≧0.0117×(AVB+OHVB)+1.287 (7)
[式(7)中、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値、AVBは樹脂(B)の酸価、OHVBは樹脂(B)の水酸基価を表す。]
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
この非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は、スチレン系モノマー単独の重合体、又はスチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体をポリエステルと反応したものである。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン)等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸;及びこれらの2種以上の混合物である。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価)アルコールエステル(炭素数8〜200、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、例えばメチル−4−ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等)、ジエン(炭素数4〜10、例えばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等)等が挙げられる。
非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物{水、ポリオール[ジオール及び3価以上のポリオール]、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン等}との重付加物等をポリエステルと反応したもの等が挙げられる。
非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)としては、前記のジイソシアネート(v2)、モノイソシアネート(v1)、3官能以上のポリイソシアネート(v3)と、ポリエステルとを反応したもの等が挙げられる。
本発明のトナーバインダーは、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
左辺の値が小さいほど、結晶性樹脂(A)が再結晶化し、Tg低下が生じ難いことを意味する。
前述の方法で樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合した混合物を、(Tg1+30)の温度(℃)が結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg1+30)の温度において、また(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。濁りがあると結晶性樹脂(A)が樹脂(B)に完全に相溶化していないことを意味し、冷却した際に結晶性樹脂(A)が再結晶し易くなることから好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をこの場合のTpとする。
その際に、ポリエステル又はその変性樹脂である樹脂(B)の溶解性パラメーターをSPB、セグメント(a1)の溶解性パラメーターをSPa1、セグメント(a2)の溶解性パラメーターをSPa2とすると、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たすことが好ましい。
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
上記式中、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値は、各セグメントを構成する化合物のSP値である。
同様に、関係式(4)の左辺の値は、樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から通常1.9以上であり、好ましくは2.0以上である。関係式(4)の左辺の上限は、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
関係式(3)及び(4)を両方満たすことにより、結晶性樹脂(A)による加熱時の過疎化と冷却時の再結晶が起こりやすくなり、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性が向上する。
本発明のトナーは、好ましくは、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)からなるトナーバインダー及び着色剤を含有する組成物である。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
なお、磁性粉を用いる場合は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
〔結晶性セグメント(a1−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸696部と1,6−ヘキサンジオール424部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステル(a1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a1−1)のSPa1は9.9であった。
〔結晶性セグメント(a1−2)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸774部、1,4−ブタンジオール360部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a1−2)のSPa1は10.1であった。
〔結晶性セグメント(a1−3)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸798部、1,4−ブタンジオール326部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a1−3)のSPa1は9.9であった。
〔結晶性セグメント(a1−4)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸723部、1,6−ヘキサンジオール390部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−4)を得た。結晶性ポリエステル(a1−4)のSPa1は9.8であった。
〔結晶性セグメント(a1−5)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸604部、1,9−ノナンジオール503部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−5)を得た。結晶性ポリエステル(a1−5)のSPa1は9.7であった。
〔結晶性セグメント(a1−6)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸634部、1,9−ノナンジオール465部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−6)を得た。結晶性ポリエステル(a1−6)のSPa1は9.6であった。
〔結晶性セグメント(a1−7)の合成〕
製造例1において、使用する原料をアジピン酸456部、1,12−ドデカンジオール656部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−7)を得た。結晶性ポリエステル(a1−7)のSPa1は9.7であった。
〔結晶性セグメント(a1−8)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸531部、1,12−ドデカンジオール563部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−8)を得た。結晶性ポリエステル(a1−8)のSPa1は9.6であった。
〔結晶性セグメント(a1−9)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸878部、エチレングリコール478部、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、Mwが20000以上になった時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは200部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステル(a1−9)を得た。結晶性ポリエステル(a1−9)のSPa1は10.3であった。
〔セグメント(a2−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸561部、1,12−ドデカンジオール524部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a2−1)を得た。結晶性ポリエステル(a2−1)のSPa2は9.5であった。結晶性ポリエステル(a2−1)をセグメント(a2−1)とした。
〔セグメント(a2−2)〕
セグメント(a2−2)としてはベヘニルアルコールを用いた。SPa2は9.3である。
〔セグメント(a2−3)〕
セグメント(a2−3)としてはステアリルアルコールを用いた。SPa2は9.5である。
〔セグメント(a2−4)〕
セグメント(a2−4)としてはPolybd45HT(登録商標)(出光興産社製、水酸基末端液状ポリブタジエン)を用いた。SPa2は8.9であった。
〔セグメント(a2−5)〕
セグメント(a2−5)としてはサイラプレーンFM−0411(チッソ社製、水酸基末端ジメチルシリコーン)を用いた。SPa2は7.8であった。
〔非晶性セグメント(a3−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物738部、テレフタル酸332部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、非晶性ポリエステル(a3−1)を得た。非晶性ポリエステル(a3−1)のSPa3は11.1であった。非晶性ポリエステル(a3−1)を、非晶性セグメント(a3−1)とした。
結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)は、示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定した。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
結晶性樹脂(A)のSP値(SPA)及び樹脂(B)のSP値(SPB)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)415部とセグメント(a2−1)415部を仕込み、100℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート170部を仕込み、100℃で3時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。結晶性樹脂(A−1)のTpは70℃、Mwは70,000であった。
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸12部と結晶性セグメント(a1−1)920部とセグメント(a2−2)80部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させ、結晶性樹脂(A−2)を得た。結晶性樹脂(A−2)のTpは67℃、Mwは15,000であった。
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
製造例16において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−2)300部、セグメント(a2−1)300部、非晶性セグメント(a3−1)250部、ヘキサメチレンジイソシアネート150部とする以外は製造例16と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−3)を得た。結晶性樹脂(A−3)のTpは68℃、Mwは80,000であった。
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸23部と結晶性セグメント(a1−1)920部とセグメント(a2−3)80部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−4)を得た。結晶性樹脂(A−4)のTpは67℃、Mwは19,000であった。
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)369部とセグメント(a2−4)35部とメチルエチルケトン400部を仕込み、75℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート10部を仕込み、90℃で12時間反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することにより、結晶性樹脂(A−5)を得た。結晶性樹脂(A−5)のTpは66℃、Mwは66,000であった。
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
製造例20において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−1)230部とセグメント(a2−5)56部、メチルエチルケトン300部、ヘキサメチレンジイソシアネート14部とする以外は製造例20と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−6)を得た。結晶性樹脂(A−6)のTpは66℃、Mwは45,000であった。
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
製造例20において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−1)347部とセグメント(a2−2)32部、メチルエチルケトン400部、ヘキサメチレンジイソシアネート21部とする以外は製造例20と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−7)を得た。結晶性樹脂(A−7)のTpは67℃、Mwは41,000であった。
〔結晶性樹脂(A−8)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸14部と結晶性セグメント(a1−3)950部とセグメント(a2−2)38部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−8)を得た。結晶性樹脂(A−8)のTpは65℃、Mwは23,000であった。
〔結晶性樹脂(A−9)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸13部と結晶性セグメント(a1−4)950部とセグメント(a2−2)19部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−9)を得た。結晶性樹脂(A−9)のTpは72℃、Mwは28,000であった。
〔結晶性樹脂(A−10)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸26部と結晶性セグメント(a1−5)950部とセグメント(a2−2)50部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−10)を得た。結晶性樹脂(A−10)のTpは70℃、Mwは36,000であった。
〔結晶性樹脂(A−11)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸11部と結晶性セグメント(a1−6)950部とセグメント(a2−2)19部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−11)を得た。結晶性樹脂(A−11)のTpは73℃、Mwは30,000であった。
〔結晶性樹脂(A−12)の合成〕
製造例17において、使用する原料をアジピン酸4部と結晶性セグメント(a1−7)950部とセグメント(a2−2)61部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−12)を得た。結晶性樹脂(A−12)のTpは77℃、Mwは17,000であった。
〔結晶性樹脂(A−13)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸14部と結晶性セグメント(a1−8)950部とセグメント(a2−2)30部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−13)を得た。結晶性樹脂(A−13)のTpは85℃、Mwは29,000であった。
〔結晶性樹脂(A−14)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸14部と結晶性セグメント(a1−9)950部とセグメント(a2−2)20部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−14)を得た。結晶性樹脂(A−14)のTpは75℃、Mwは30,000であった。
〔結晶性樹脂(A−15)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸21部と結晶性セグメント(a1−1)950部とセグメント(a2−2)19部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させた。80℃に冷却後、ヘキサメチレンジイソシアネート2部を仕込み、100℃で5時間反応させ、結晶性樹脂(A−15)を得た。結晶性樹脂(A−15)のTpは68℃、Mwは40,000であった。
〔結晶性樹脂(A−16)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ドデカン二酸25部と結晶性セグメント(a1−4)950部とセグメント(a2−2)19部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させた。80℃に冷却後、ヘキサメチレンジイソシアネート2部を仕込み、100℃で5時間反応させ、結晶性樹脂(A−16)を得た。結晶性樹脂(A−16)のTpは73℃、Mwは38,000であった。
〔結晶性樹脂(A−17)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)415部と結晶性セグメント(a1−4)415部を仕込み、100℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート170部を仕込み、100℃で3時間反応させ、結晶性樹脂(A−17)を得た。結晶性樹脂(A−17)のTpは68℃、Mwは79,000であった。
〔樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール522部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。
Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが105℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸14部(0.07モル)加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−2)を取り出した。
〔樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419部、テレフタル酸274部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
〔樹脂(B−3)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物688部、テレフタル酸295部、安息香酸72部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが95℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸17部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−5)を得た。
〔樹脂(B−4)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール581部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物49部、テレフタル酸625部、アジピン酸8部、安息香酸49部、無水トリメリット酸58部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが107℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却し、無水トリメリット酸17部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−7)を取り出した。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−8)を取り出した。
〔樹脂(B−5)の合成〕
樹脂(b−3)と樹脂(b−8)の重量比(b−3)/(b−8)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−5)を得た。樹脂(B−5)のTgは64℃、Mwは31,000、酸価は12、水酸基価は33、分子量1,000以下の分子の含有量は10.9%、SPBは11.7であった。
〔樹脂(B−6)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物556部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物197部、テレフタル酸267部、無水マレイン酸1部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。酸価が1.5になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸43部加え、210℃まで昇温し、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが140℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−9)を取り出した。
〔比較のための結晶性セグメント(a’1−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をフマル酸575部、1,6−ヘキサンジオール600部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−1)のSPa1は10.6であった。結晶性ポリエステル(a’1−1)を結晶性セグメント(a’1−1)とした。
〔比較のための結晶性セグメント(a’1−2)の合成〕
製造例1において、使用する原料をアゼライン酸875部、フマル酸41部、1,4−ブタンジオール451部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−2)を得た。(a’1−2)のSPa1は10.2であった。結晶性ポリエステル(a’1−2)を結晶性セグメント(a’1−2)とした。
〔比較のためのセグメント(a’2−1)〕
セグメント(a’2−1)としては1−デカノールを用いた。SPa2は10.0である。
〔比較のための結晶性樹脂(A’−1)〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸17部と結晶性セグメント(a1−1)940部、セグメント(a’2−1)を60部とする以外は製造例17と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(A’−1)を得た。結晶性ポリエステル(A’−1)のTpは67℃、Mwは13,000であった。結晶性ポリエステル(A’−1)を結晶性樹脂(A’−1)とした。
〔比較のための結晶性樹脂(A’−2)〕
結晶性樹脂(A’−2)として結晶性セグメント(a1−1)を単独で用いた。結晶性樹脂(A’−2)のTpは66℃、Mwは20,000であった。
〔比較のための結晶性樹脂(A’−3)〕
製造例17において、使用する原料を結晶性セグメント(a’1−1)940部、セグメント(a2−2)を60部とする以外は製造例17と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(A’−3)を得た。結晶性ポリエステル(A’−3)のTpは115℃、Mwは14,000であった。結晶性ポリエステル(A’−3)を結晶性樹脂(A’−3)とした。
〔比較のための結晶性樹脂(A’−4)〕
結晶性樹脂(A’−4)として結晶性セグメント(a’1−2)を単独で用いた。結晶性樹脂(A’−2)のTpは60℃、Mwは4,500であった。
〔比較のための樹脂(B’)の合成〕
オートクレーブにキシレン80重量部を仕込み、窒素で置換した後、185℃まで昇温した。次いで、同温度でスチレン54重量部、n−ブチルアククリレート28重量部、メタクリル酸4重量部、n−オクチルメルカプタン2質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.23重量部及びキシレン35重量部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し、更に同温度で1時間保持して、樹脂(B’)のキシレン溶液を得た。次いで、得られたキシレン溶液を、1kPa以下でキシレンを除去しながら170℃に昇温した。ガスクロマトグラフィーにより樹脂中のキシレンが1,000ppm、モノマーが1,000ppm以下であることを確認して、樹脂(B’)を得た。樹脂(B’)のTgは60℃、Mwは12,000、酸価は7、水酸基価は0、分子量1,000以下の分子の含有量は9.0%、SPBは10.3であった。樹脂(B’)は、スチレンアクリル樹脂である。
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)を用いて、表1と表2の配合比(重量部)に従い、下記の方法でトナー化した。表1〜2中の「樹脂(A)のTp(℃)」は、トナーに使用した結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)である。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル(株)製のアエロジルR972]を使用した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
さらに、トナー粒子100部に流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
表1〜2に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
20℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(20℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S2/S1)×100の値を表1〜2に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1〜2に示す。
上記で測定したTg2及び(Tg1−Tg2)を表1〜2に示す。
(樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30)(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg1+30)(℃)の温度において、(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:一部濁りあり
○:全体に濁りあり
×:透明
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
トナーを紙面上に0.6mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表3及び表4に、低温定着性(℃)として示した。
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
ホソカワミクロン社製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
◎:36以上
○:33以上36未満
△:30以上33未満
▲:27以上30未満
×:27未満
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
トナーを二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
◎:10未満
○:10以上11未満
△:11以上12未満
×:12以上
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JISK5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦った。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
また、結晶性樹脂(A)のTpが高すぎる比較例3は低温定着性等の性能項目が不良であった。また、スチレンアクリル樹脂(樹脂(B’))を使用した比較例5は、特に低温定着性や光沢性等の性能項目が不良であった。
Claims (14)
- 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の酸価が30mgKOH/g以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。 - 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の水酸基価が30mgKOH/g以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。 - 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定した場合のピーク面積で表した場合に、全ピーク面積の10%以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。 - 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B11)であり、かつ下記関係式(5)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SP A −SP B |≧0.0050×(AV B +OHV B )+1.258 (5)
但し、SP A は結晶性樹脂(A)のSP値、SP B は樹脂(B)のSP値、AV B は樹脂(B)の酸価、OHV B は樹脂(B)の水酸基価を表す。 - 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B12)であり、かつ下記関係式(6)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SP A −SP B |≧1.9 (6)
[式(6)中、SP A は結晶性樹脂(A)のSP値、SP B は樹脂(B)のSP値を表す。] - 結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)と炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を含有し、そのモル比が20/80〜80/20であるアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B13)であり、かつ下記関係式(7)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SP A −SP B |≧0.0117×(AV B +OHV B )+1.287 (7)
[式(7)中、SP A は結晶性樹脂(A)のSP値、SP B は樹脂(B)のSP値、AV B は樹脂(B)の酸価、OHV B は樹脂(B)の水酸基価を表す。] - 第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量が、1〜30J/gである請求項1〜6いずれか記載のトナーバインダー。
- 樹脂(B)のガラス転移点Tg1(℃)と、樹脂(B)に結晶性樹脂(A)を加えた混合物のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg2(℃)が下記の関係式(2)を満たす請求項1〜7いずれか記載のトナーバインダー。
Tg1−Tg2≦15 (2) - 樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)が50/50〜95/5である請求項1〜8いずれか記載のトナーバインダー。
- (樹脂(B)のガラス転移点Tg1+30)(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg1+30)の温度において、(Tg1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、トナーバインダーの全体又は一部分に濁りがある請求項1〜9いずれか記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されている請求項1〜10いずれか記載のトナーバインダー。
- 結晶性樹脂(A)が、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有する請求項1〜11いずれか記載のトナーバインダー。
- ポリエステル樹脂の変性樹脂が、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものである請求項1〜12いずれか記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜13いずれか記載のトナーバインダー及び着色剤を含有することを特徴とするトナー。
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