JP6561449B2 - 偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムの評価方法 - Google Patents

偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムの評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルムの評価方法に関するものである。
従来より液晶表示装置においては、視角依存性の問題を改善するために、様々な技術が開発されており、その1つとして、複屈折性を示す位相差層を有する位相差フィルムが液晶セルと偏光板との間に配置された液晶表示装置が知られている(例えば、特許文献1〜2)。
上記位相差層を有する位相差フィルムとしては、樹脂基材上に、液晶性化合物を一定方向に配列させる配向規制力を有する配向層と、当該配向層上に形成され、一定方向に配列された液晶性化合物を含有する位相差層とを有するものが用いられている。
また、フラットパネルディスプレイとしては、従来、2次元表示のものが主流であったが、近年においては3次元表示可能なフラットパネルディスプレイが注目を集め始めている。そして、今後のフラットパネルディスプレイにおいては3次元表示可能であることが、その性能として当然に求められる傾向にあり、3次元表示可能なフラットパネルディスプレイの検討が幅広い分野において進められている。
フラットパネルディスプレイにおいて3次元表示をするには、通常、視聴者に対して何らかの方式で右目用の映像と、左目用の映像とを別個に表示することが必要とされる。右目用の映像と左目用の映像とを別個に表示する方法としては、例えば、パッシブ方式というものが知られている。このようなパッシブ方式の3次元表示方式について図を参照しながら説明する。図3はパッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。図3に示すように、この方式では、まず、フラットパネルディスプレイを構成する画素を、右目用映像表示画素と左目用映像表示画素の2種類の画素に分類し、ディスプレイ表示領域に右目用の画素と左目用の画素が隣接し合うようなパターン状に配列する。一方のグループの画素では右目用の映像を表示させ、他方のグループの画素では左目用の映像を表示させる。また、直線偏光板と当該画素の配列パターンに対応した、パターン状の位相差層が形成されたパターン位相差フィルム(以下、単にパターン位相差フィルムということがある。)とを用い、右目用の映像と、左目用の映像とをそれぞれ円偏光に変換する。さらに、視聴者には右目用レンズと左目用レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用の映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用の映像が左目用のレンズのみを通過するようにする。このようにして右目用の映像が右目のみに届き、左目用の映像が左目のみに届くようにすることによって3次元表示が可能となる。
このようなパッシブ方式では、上記パターン位相差フィルムと、対応する円偏光メガネとを用いることにより容易に3次元表示が可能なものにできるという利点がある。
上記パターン位相差フィルムとして、例えば、特許文献3には、ガラス基板上に配向規制力がパターン状に制御された光配向層と、当該光配向層上に形成され、液晶性化合物の配列が上記光配向層のパターンに対応するようにパターニングされた位相差層(液晶層)とを有するパターン位相差板が開示されている。
位相差フィルムやパターン位相差フィルムは、いずれも液晶性化合物が配向層によって一定方向に配列され、フィルム全体で、或いはフィルム中の各パターン内で、光軸が一定であることが求められる。
従来、位相差層(液晶層)に界面活性剤(レベリング剤)を含有させることにより、位相差層の表面平滑性を向上させ、位相差フィルムに生じるムラを軽減することが試みられている(例えば特許文献4、5)。
特開平3−67219号公報 特開平4−322223号公報 特開2005−49865号公報 特開2004−198511号公報 特開2009−242564号公報
従来は、粘着剤シートを用いて、位相差フィルムと偏光子とを貼り合わせていたため、ムラが低減されて外観問題がない位相差フィルムができればレベリング剤は特に限定されずに用いることができた。しかしながら、偏光子付き位相差フィルムとしては、更なる薄膜化が求められている。そのため、部材化した位相差フィルムの位相差層上に接着剤を塗布して偏光板と接着して、より薄膜の偏光子付き位相差フィルムを得ることが検討されている。例えばパターン位相差フィルム(FPR:Film Patterned Retarder)は、部材化した位相差フィルムの位相差層表面に、接着剤を塗布して、偏光子等の他のフィルムを貼り付けることが特に求められている。しかし、位相差層に界面活性剤(レベリング剤)を含有した位相差フィルムを用いる場合、位相差層上に接着剤を塗布する際に、接着剤のハジキが生じることにより、接着剤層に欠点が発生し、液晶表示装置にムラが生じるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、レベリング剤を含有する位相差層を備えた位相差フィルムを用いながら、当該位相差フィルムと偏光子との貼り付けに使用される接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制された偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差層表面の接着剤適性を接着剤を塗布しなくても簡易に評価することができる位相差フィルムの評価方法を提供することを目的とする。
本発明に係る偏光子付き位相差フィルムの製造方法は、位相差フィルム上に接着剤を介して積層された偏光子を有する、偏光子付き位相差フィルムの製造方法であって、
透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程と、
前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程と、
前記表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上40mN/以下であり、前記表面自由エネルギーの非分散成分の測定結果が、5mN/m以下である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定する判定工程と、
前記判定工程において、接着剤適性が許容されると判定された位相差層上に、接着剤組成物を塗布後、偏光子を積層する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る位相差フィルムの評価方法は、透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程と、
前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程と、
前記表面自由エネルギーの測定の分散成分(d)及び非分散成分の結果に基づいて、前記表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上40mN/m以下であり、前記表面自由エネルギーの非分散成分の測定結果が、5mN/m以下である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されるとして、位相差層表面の接着剤適性が許容されるか否かを評価する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、レベリング剤を含有する位相差層を備えた位相差フィルムを用いながら、当該位相差フィルムと偏光子との貼り付けに使用される接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制された偏光子付き位相差フィルムの製造方法、及び位相差層表面の接着剤適性を接着剤を塗布しなくても簡易に評価することができる位相差フィルムの評価方法を提供することができる。
本発明に用いられる位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。 本発明に係る製造方法により得られる偏光子付き位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。 パッシブ方式で3次元映像を表示可能な液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る位相差フィルムの評価方法、及び偏光子付き位相差フィルムの製造方法について順に説明する。
なお、本発明において、光軸とは、遅相軸を意味する。
本発明において、配向規制力とは、位相差層中の液晶性化合物を特定方向に配列させる相互作用を意味する。
本発明において、位相差フィルムとは、特に断りがない限りパターン位相差フィルムをも含むものである。
本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
[位相差フィルムの評価方法]
本発明に係る位相差フィルムの評価方法(以下、単に評価方法ということがある。)は、透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程(以下、単に位相差フィルム準備工程ということがある。)と、
前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程(以下、単に測定工程ということがある。)と、
前記表面自由エネルギーの測定の分散成分(d)の結果に基づいて、位相差層表面の接着剤適性が許容されるか否かを評価する工程(以下、単に評価工程ということがある。)とを有することを特徴とする。
本発明者らは、位相差フィルムの位相差層表面の接着剤適性と、位相差層表面の物性との相関関係について鋭意検討をした結果、位相差層表面の表面自由エネルギー測定の分散成分(d)の結果が、当該位相差層表面の接着剤適性と相関関係を有することを見出し、位相差層表面の接着剤適性が許容されるか否かを接着剤を塗布しなくても簡易に評価することができる前記本発明の評価方法を完成させるに至った。位相差層表面に対する接着剤組成物の濡れ広がり易さは、表面自由エネルギーの各成分の大きさの対応関係が影響すると考えられる。本発明の製造方法に用いられる位相差フィルムの位相差層は、レベリング剤を含有することにより、位相差層形成時の塗膜の表面張力が低減され、表面平滑性を向上したものである。一方で、前記位相差層は、レベリング剤を含有することにより、表面に接着剤を塗布した際に接着剤のハジキが生じることがあると考えられる。そのため、前記位相差層は、レベリング剤を含有することによる、当該位相差層の表面に接する物質との相互作用があると推定される。よって、前記位相差層表面に対する接着剤の濡れ広がり易さは、表面自由エネルギーの成分の中でも、接する物質による影響が比較的小さい分散成分(d)の大きさを指標にすることができると推定され、分散成分(d)の結果に基づいて、接着剤適性が許容されるか否かを評価することができると考えられる。
本発明の評価方法は、少なくとも(1)準備工程と、(2)測定工程と、(3)評価工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような本発明の評価方法の各工程について順に説明する。
(1)準備工程
準備工程は、少なくとも、透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられた位相差フィルムを準備する工程である。
<位相差フィルム>
位相差フィルム10は、図1に示されるように、透明基材1上に、配向層2及び位相差層3がこの順で設けられているフィルムであって、他の層を有していてもよいものである。
(透明基材)
透明基材は、配向層や位相差層を支える機能を有するものである。透明基材としては、位相差フィルムに用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いればよい。前記透明基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成されたものを挙げることができる。
前記透明基材としては、中でもロール状に巻き取ることができる程度の長さを有する長尺状透明基材であることが、ロールトゥロール方式の装置に設置可能で、量産性に優れる点から好ましい。前記長尺状透明基材の長さは、具体的には、10m以上とすることが好ましく、中でも、50〜6000mの範囲内とすることがより好ましく、更に500〜6000mとすることがより好ましい。
上記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材としては、中でも、レターデーションが低いものであることが、好ましい。より具体的には、透明基材の面内レターデーション値(Re値)が、0nm〜10nmの範囲内であることが好ましく、0nm〜5nmの範囲内であることがより好ましく、0nm〜3nmの範囲内であることがさらに好ましい。面内レターデーションをゼロに近付けやすいことから、透明基材としては、アセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、アクリル系樹脂を用いて形成されたものが好ましい。
透明基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、当該位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できる範囲内で適宜設定すればよいが、25μm〜125μmの範囲内が好ましく、中でも、30μm〜100μmの範囲内がより好ましく、40μm〜80μmの範囲内であることが更により好ましい。上記下限値以上であれば、位相差フィルムの自己支持性に優れている。また上記上限値以下であれば、裁断等の加工が容易である。
(配向層)
配向層は、後述する位相差層に含まれる液晶性化合物を一定方向に配列させるための層である。本発明において配向層は、配向層形成用組成物、又はその硬化物からなる。なお、本発明において、硬化物とは、化学反応を経て硬くなったものをいう。
配向層形成用組成物は、従来公知のものから適宜選択して用いることができる。当該配向層形成用インキの組成は、特に限定されず、配向規制力を付与する手段との組み合わせにより適宜選択される。
配向層に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができ、例えば、ラビング法、光配向法、賦形法などが挙げられる。
配向層を光配向法により形成する場合、配向層形成用組成物として、偏光を照射することにより配向規制力を発現する光配向性材料を含有する光配向性組成物が用いられる。当該光配向性材料としては、光二量化型材料であっても、光異性化型材料であってもよい。具体的には、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等が挙げられ、中でも、シンナメート、または、クマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマー、並びにこれらの誘導体が好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例として、例えば、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、および、WO2010/150748号公報に記載された化合物を挙げることができる。
光配向性組成物は、必要に応じて光配向性材料以外の化合物を含むものであっても良い。このような化合物としては、配向層の配向規制力を損なわないものであればよく、例えば、重合性基を有するモノマー又はオリゴマー(以下単に、重合性モノマー、重合性オリゴマーという場合がある。)が好適に用いられる。
本発明に用いられる上記重合性モノマー又は重合性オリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート基を1つ有する単官能モノマー(例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び(メタ)アクリレート基を2つ以上有する多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシ(メタ)アクリレート)等が挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
配向層形成用組成物は、通常、溶媒を含有する。配向層形成用組成物に用いられる溶媒としては、組成物中の各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散できる溶媒の中から適宜選択して用いることができる。配向層形成用組成物に用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒等が挙げられるが、これらに限られるものではない。なお溶媒は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒としてもよい。
配向層形成用組成物は、必要に応じて、重合開始剤、重合禁止剤、酸素に対する変化を抑制するための酸化防止剤、光に対する変化を抑制するための光安定化剤、紫外性を吸収する紫外線吸収剤、粘度を調整するための粘度調節剤、屈折率を調整するための屈折率調整剤、賦型性を向上させるためのフッ素系またはシリコン系潤滑剤等を含むものであっても良い。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
配向層の厚さは、後述する位相差層における液晶性化合物を一定方向に配列できればよく、適宜設定すればよい。配向層の厚さは、通常、1nm〜1000nmの範囲内であり、60nm〜300nmの範囲内が好ましい。
(位相差層)
位相差層は、前記配向層が有する配向規制力により、液晶性化合物が規則的に配列し、位相差性が付与された層である。本発明において位相差層は、液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなり、通常、位相差層形成用組成物又はその硬化物からなる。
位相差層形成用組成物は、液晶性化合物とレベリング剤とを含有するものであり、通常、更に溶媒を含有する。また、液晶性化合物の配向を阻害しない範囲で、更に他の成分を含むものであってもよい。
液晶性化合物は、一般に、屈折率異方性が大きいため、位相差フィルムに所望の位相差性を付与しやすい。
液晶性化合物としては、例えば、ネマチック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物、カイラルネマチック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、ディスコチック液晶性化合物を挙げることができる。また、液晶分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられる。重合性官能基を有するものであれば、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶性化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。
本発明においては、位相差ムラや光軸ずれのない位相差層を形成しやすい点から、相転移温度が40〜115℃の液晶性化合物を用いることが好ましく、60〜90℃の液晶性化合物を用いることがより好ましい。なお本発明において液晶性化合物の相転移温度とは、液晶性化合物が光学的異方性有するいわゆる液晶相から光学的異方性を有しない等方相へ変化する温度をいう。
本発明に用いられる液晶性化合物の具体例としては、下記式(1)〜(17)で表される化合物を例示することができる。
なお、本発明において上記液晶性化合物は、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記位相差層形成用組成物は、レベリング剤を含有する。これにより、位相差層の表面平滑性が向上し、位相差フィルムにおけるムラの発生が抑制される。前記レベリング剤としては、位相差フィルムに用いられている公知のレベリング剤を適宜選択して用いることができ、特に限定されないが、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤等が挙げられ、中でもフッ素系ノニオン界面活性剤及びポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー等のシリコーン系レベリング剤が位相差層の位相差特性とムラの抑制を両立する効果に優れる点から好ましい。
前記フッ素系ノニオン界面活性剤としては、例えば分子内にパーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルケニル基から選ばれる少なくとも一種を有し、かつ非イオン性の化合物が挙げられる。フッ素系ノニオン界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF−444(DIC(株)製)、フタージェント215M、251、FTX−218(以上、(株)ネオス製)等が挙げられる。
前記シリコーン系レベリング剤の市販品としては、例えば、ポリフローKL−400X、ポリフローKL−400HF、ポリフローKL−401、ポリフローKL−402、ポリフローKL−403、ポリフローKL−404、ポリフローKL−100、ポリフローKL−700(以上、共栄社化学(株)製)、TEGO(登録商標)Flow425、TEGO(登録商標)Glideシリーズ(以上、Evonik Tego Chemie社製)等が挙げられる。
前記位相差層形成用組成物は、通常、更に溶媒を含有する。位相差層形成用組成物に用いられる溶媒は、位相差層形成組成物に用いられる各成分とは反応せず、当該各成分を溶解乃至分散できる溶媒の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、前記配向層形成用組成物において用いられる溶媒と同様のものとすることができる。
また、位相差層形成用組成物は、必要に応じて、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、シランカップリング剤等を挙げることができる。
位相差層形成用組成物中の前記液晶性化合物の含有量は、塗布性を損なわない範囲で適宜調整すればよい。中でも、上記位相差層形成用組成物全体に対する液晶性化合物の含有割合が、5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
位相差層形成用組成物中の前記レベリング剤の添加量は、位相差層の表面平滑性を向上する点から、通常、前記位相差層形成用組成物中に5〜50,000ppm、好ましくは10〜20,000ppmとなる量である。
また、前記位相差層形成用組成物の全固形分中の前記レベリング剤の含有量は、接着剤適性が良好な位相差層が得られやすい点から、0.05質量%以上0.3質量%未満であることが好ましく、0.1〜0.2質量%であることがより好ましい。なお、本発明において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
位相差層の厚さは、所望の面内リタデーション値が得られるように、前記液晶性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよい。中でも、0.5μm〜4μmの範囲内であることが好ましく、1μm〜3μmの範囲内であることがより好ましく、1μm〜2μmの範囲内であることがさらに好ましい。
前記位相差フィルムの位相差層表面には、接着性向上のために、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法などの易接着処理を施すことができる。なかでもコロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
また、本発明に用いられる位相差フィルムは、前記透明基材、前記配向層及び前記位相差層の他、更に、例えばハードコート層、防眩層、反射防止層及び帯電防止層等の機能層を備えるものであってもよい。前記機能層は、特に限定はされないが、例えば透明基材の配向層が存在する側とは反対側の面に設けることができる。
(位相差フィルムの製造方法)
前記位相差フィルムの製造方法としては、前記透明基材の一面側に、前記配向層、及び前記位相差層がこの順に設けられた前記位相差フィルムが得られる方法であれば特に限定されず、公知の位相差フィルムの製造方法を用いることができる。
以下に、位相差フィルムの量産性に優れる方法として、前記長尺状透明基材を用いた位相差フィルムの製造方法の一例を説明する。
前記長尺状透明基材を用いた位相差フィルムの製造方法は、例えば、長尺状透明基材を準備する長尺状透明基材準備工程、配向層形成工程、及び位相差層形成工程を有し、必要に応じて更に別の工程を有していてもよい。
まず、長尺状透明基材準備工程により、長尺状透明基材を準備する。
次いで、配向層形成工程により、前記長尺状透明基材の一面側に配向層を形成する。配向層形成工程は、長尺透明基材上に配向層形成用組成物を塗工する工程の他、必要に応じて、配向層形成用組成物の塗膜を乾燥する工程や、配向層形成用組成物を硬化する工程、更には配向層形成用組成物を賦型する工程等、その他の工程を有していてもよい。
配向層形成工程における、配向層形成用組成物の塗工方法は、配向層形成用組成物を均一に塗布できる方法であれば良く、所望の膜厚等に応じて、従来公知の塗工機構の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などに用いられる各種塗工機構が挙げられる。
本発明においては、前記塗工機構に前記長尺状透明基材を連続的に搬送することにより、前記配向層形成用組成物を連続的に塗工することができる。
前記長尺状透明基材の搬送方法は、長尺状の基材を連続的に搬送することができる従来公知の方法を適宜選択して用いればよい。具体的には、例えば、ロール状にした長尺状透明基材を連続的に供給する巻き出し機、及び、長尺状透明基材を巻き取る巻き取り機等を用いるロールトゥロール方式において、ベルトコンベア、搬送用ロールや、エアの吐出と吸引とを行うことにより長尺透明基材を浮上させた状態で搬送する浮上式搬送台等の各種搬送機構を組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
配向層形成工程は、更に、溶媒を除去するための乾燥工程を有していてもよい。
塗膜の乾燥工程は、加熱乾燥機構、減圧乾燥機構、ギャップ乾燥機構等、公知の乾燥機構を用いて乾燥すればよく、それぞれの乾燥機構に合わせ、乾燥温度、乾燥時間、乾燥ゾーンの溶媒雰囲気濃度等を適宜調整すればよい。塗膜を連続的に均一に乾燥する点からは、上記搬送機構と組み合わせて行われることが好ましい。
配向層形成用組成物として上記光配向性組成物を用いる場合には、配向規制力を発現するために、通常、偏光を露光する偏光露光工程を有する。当該偏光露光工程は、通常、乾燥工程後に行われる。また、パターン化された配向層を形成する場合には、例えば、光配向性材料を含有する配向層形成用インキの塗膜に、第一の偏光紫外線を所望のパターンを有するマスクを介して照射し、次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸と異なる偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、パターン状に配向規制力を付与した配向層を形成する偏光露光工程としてもよい。このような偏光露光工程として、例えば、特開2012−14064号公報等に記載の方法を用いることができる。偏光露光工程に用いられる偏光露光装置としては、従来公知のものを適宜選択して用いればよく、パターン化された配向層を形成する場合には、例えば、上記特開2012−14064号に記載の装置を用いることができる。
上記偏光露光工程は、上記搬送機構と組み合わせて用いることが好ましい。
また、配向層形成用組成物として上記賦型用組成物を用いる場合には、配向規制力を発現するために、通常、微細凹凸形状を付与する賦型工程を有する。当該賦型工程は、通常、塗工工程後、乾燥工程前に行われる。賦型工程の具体例としては、例えば、紫外賦型用組成物の塗膜に、微細凹凸形状が形成された配向層用原版を押し当て、紫外線を照射することにより微細凹凸形状が賦型された配向層を形成する方法等が挙げられる。上記賦型工程に用いられる賦型装置としては、従来公知の露光装置を適宜選択して用いればよい。また、配向層用原版は、従来公知のものを適宜選択して用いればよく、パターン位相差フィルムを製造する場合には、所望のパターン状に微細凹凸形状が形成された配向層用原版を用いればよい。
(位相差層形成工程)
位相差層形成工程は、前記配向層形成工程により形成された配向層上に上述した位相差層形成用組成物を塗工して、位相差層を連続的に形成する工程である。
位相差層形成用組成物を塗工する方法は、所望の厚みの位相差層を精度良く塗布できる方法であればよく、前記配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法と同様の方法とすることができる。
次いで、位相差層形成用組成物中の液晶性化合物を特定方向に配列させながら溶媒を除去するために、通常、乾燥工程を有する。
乾燥工程は、位相差層形成用塗膜中の液晶性化合物を配向させる点から、加熱乾燥であることが好ましい。加熱温度は、用いる液晶性化合物によっても異なるが、液晶性化合物の相転移温度より0〜10℃高いことが好ましい。
光重合性官能基を有する液晶性化合物を含有する位相差層形成用インキを用いる場合には、当該位相層形成用塗膜に紫外線等を照射する露光工程を有していてもよい。当該露光工程は、通常、乾燥工程後に行われる。当該露光工程により、液晶性化合物を架橋することができるため位相差フィルムの安定性が向上する。上記露光工程に用いられる露光装置としては従来公知の露光装置を適宜選択して用いればよく、例えば、紫外線照射装置等が挙げられる。
また、本発明の位相差フィルムの製造方法においては、必要に応じて更に他の工程を有していてもよい。例えば、前記位相差フィルムの製造方法は、前記配向層形成工程前に、前記透明基材の配向層とは反対側に、前記機能層を形成する工程を有していても良い。
(2)測定工程
測定工程は、位相差フィルムの位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程である。前記位相差層表面の表面自由エネルギーの測定方法としては、表面自由エネルギーを構成する3成分、即ち、分散成分(d)、極性成分(p)及び水素結合成分(h)を測定することができる方法であれば特に限定されず、公知の測定方法を用いることができる。例えば、表面自由エネルギーの前記3成分は、表面自由エネルギー既知の液体を用い、自動接触角計にて位相差層表面の接触角を測定し、拡張Fowkes式によって算出することができる。
前記測定工程において、表面自由エネルギーを測定する際の温度は、接着剤塗布時の温度との温度差が5℃以内の範囲内であることが好ましく、例えば20〜25℃の範囲から選ばれる温度で行うことができる。
(3)評価工程
評価工程は、前記表面自由エネルギーの測定の分散成分(d)の結果に基づいて、位相差層表面の接着剤適性が許容されるか否かを評価する工程である。後述する製造方法の判定工程において詳述するように、位相差層表面の表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定される。
なお、前記本発明の評価方法は、パターン位化相差フィルムにも適用することができる。
[偏光子付き位相差フィルムの製造方法]
本発明に係る偏光子付き位相差フィルムの製造方法は、透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程(以下、単に準備工程ということがある。)と、
前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程(以下、単に測定工程ということがある。)と、
前記表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定する判定工程と、
前記判定工程において、接着剤適性が許容されると判定された位相差層上に、接着剤組成物を塗布後、偏光子を積層する工程(以下、単に偏光子積層工程ということがある。)とを有することを特徴とする。
図2は、本発明に係る製造方法により得られる偏光子付き位相差フィルムの一例を示す模式断面図である。図2に示す偏光子付き位相差フィルム20は、透明基材1上に、配向層2及び位相差層3がこの順で設けられて位相差フィルム10の位相差層3上に、接着剤層4を介して偏光子5を備える。本発明に係る偏光子付き位相差フィルムは、位相差フィルム、接着剤層及び偏光子の他にも、必要に応じて更に他の層を有していてもよい。
本発明に係る製造方法によれば、位相差フィルムの位相差層表面の表面自由エネルギーを測定し、前記判定工程により接着剤適性が許容された位相差フィルムを用いるため、レベリング剤を含有する位相差層を備えた位相差フィルムを用いながら、当該位相差フィルムと偏光子との貼り付けに使用される接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制された偏光子付き位相差フィルムを製造することができる。そのため、位相差層由来のムラ及び接着剤層由来のムラが抑制された、品質の良好な偏光子付き位相差フィルムを得ることができる。
本発明に係る偏光子付き位相差フィルムの製造方法は、(1)準備工程と、(2)測定工程と、(3)判定工程と、(4)偏光子積層工程を有するものであり、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。本発明に係る製造方法において、前記(1)準備工程及び(2)測定工程は、前記本発明に係る評価方法と共通する工程であり、上述の通りであるため、ここでの説明は省略する。
(3)判定工程
判定工程は、前記測定工程において測定された位相差層表面の表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定する工程である。
本発明に用いられる位相差フィルムの位相差層表面に対する接着剤の濡れ広がり易さは、表面自由エネルギーの成分の中でも特に分散成分(d)の大きさに影響すると推定され、位相差層表面の分散成分(d)が28mN/m以上である場合に、特に接着剤が濡れ広がり易くなり、ハジキが抑制されると考えられる。
また、特に限定はされないが、前記判定工程において、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定される位相差層表面の表面自由エネルギーの分散成分(d)は、50mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以下であることが、物質の接着において互いの表面張力の差が少なく、接着性が良い点からより好ましい。
また、前記判定工程において、接着剤適性が許容される位相差層表面の表面自由エネルギーの極性成分(p)と水素結合成分(h)の和、すなわち非分散成分の測定結果が、接着剤のハジキを更に抑制する点から5mN/m以下であることが好ましく、4mN/m以下であることがより好ましい。また、接着剤適性が許容される位相差層表面において、前記非分散成分の測定結果は、特に限定はされないが、通常0.1mN/m以上である。
また、前記判定工程において、接着剤適性が許容される位相差層表面の表面自由エネルギーの前記3成分の総和(A)と、前記接着剤組成物の表面エネルギーの前記3成分の総和(B)とが、A>Bなる関係を満たすことが、接着剤のハジキを更に抑制する点から好ましい。
ここで、前記接着剤組成物の表面エネルギーの前記3成分は、拡張Fowkes式によって算出した表面自由エネルギー既知の固体材料と、接着剤組成物との接触角を測定し、拡張Fowkes式及びSellとNewmannの実験式から算出することができる。
(4)偏光子積層工程
偏光子積層工程は、前記判定工程において、接着剤適性が許容されると判定された位相差層上に、接着剤組成物を塗布後、偏光子を積層する工程である。
前記接着剤組成物としては、偏光子と位相差フィルムとの貼り付けに用いられる公知の接着剤組成物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ウレタン系接着剤、ホウ素化合物水溶液等を挙げることができる。前記接着剤組成物としては、中でも、(メタ)アクリレート系接着剤及びポリビニルアルコール系接着剤が好ましい。また、前記接着剤組成物としては、中でも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を5〜40質量%含有するものであることが好ましく、10〜30質量%含有するものであることがより好ましい。
また、前記接着剤組成物は、必要に応じてさらに溶剤、及び添加剤等を含有することができる。
前記接着剤層は、前記接着剤組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成することができる。
前記塗布の方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、配向層形成用組成物の塗工方法と同様の方法が挙げられる。
前記乾燥の条件は、前記接着剤組成物の種類に応じて適宜選択され、特に限定はされないが、例えば、80〜100℃で1〜5分間とすることができる。
前記接着剤層の厚さは、特に限定はされないが、通常、0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmである。接着剤層の厚さが、前記下限値以上であることにより、接着性に優れ、接着剤のハジキが生じ難くなり、前記上限値以下であることにより、偏光子付き位相差フィルムの薄膜化に対応することができ、コスト削減にもなる。
本発明において偏光子は、従来公知の偏光子の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
前記偏光子は、前記判定工程において接着剤適性が許容されると判定された位相差層上に、前記接着剤組成物を塗布した後に積層される。前記接着剤層を形成する際に、前記接着剤組成物を乾燥させる場合は、前記偏光子は、前記接着剤組成物を乾燥させる前に積層してもよいし、前記接着剤組成物を乾燥させた後に積層してもよい。中でも、接着剤組成物のハジキによる接着剤層の欠点の発生がより抑制される点から、前記偏光子は、前記接着剤組成物を乾燥させた後に積層することが好ましい。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(製造例1:パターン位相差フィルム1の製造)
透明基材(材質アクリル、厚さ40μm、サイズ210mm×297mm)の一面側に、光二量化反応型の光配向材料であるシンナメートを有するポリマーを含有する配向層形成用組成物を塗布し、乾燥させて塗膜とした。
当該塗膜に、第一の偏光紫外線を幅523μmのストライプパターンを有するマスクを介して照射した。次いで、第一の偏光紫外線の偏光軸とのなす角が90°の偏光軸を有する第二の偏光紫外線をマスクを介さずに照射して、ストライプパターンを有する膜厚が150nmの配向層を形成した。
次に、前記配向層上に、下記位相差層形成用組成物1を塗布し、紫外線を照射することにより硬化させて、膜厚が1μmの位相差層を形成した。その後、位相差層の表面を、0.1kW×1m/minの条件でコロナ処理することにより、パターン位相差フィルム1を得た。
<位相差層形成用組成物1の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.1質量%の割合でフッ素系ノニオン界面活性剤を添加することにより、位相差層形成用組成物1を作製した。
(製造例2〜5:パターン位相差フィルム2〜6の製造)
製造例1において、位相差層形成用組成物1に代えて、下記位相差層形成用組成物2〜6をそれぞれ用いたこと以外は、製造例1と同様にして、パターン位相差フィルム2〜6を得た。
<位相差層形成用組成物2の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.2質量%の割合で、レベリング剤として共栄社化学株式会社製のポリフローKL700を添加することにより、位相差層形成用組成物2を作製した。
<位相差層形成用組成物3の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.2質量%の割合で、レベリング剤としてDIC株式会社製のメガファックF444を添加することにより、位相差層形成用組成物3を作製した。
<位相差層形成用組成物4の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.2質量%の割合で、レベリング剤としてEvonik Tego Chemie社製のFlow425を添加することにより、位相差層形成用組成物4を作製した。
<位相差層形成用組成物5の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.2質量%の割合で、レベリング剤としてEvonik Tego Chemie社製のGlide450を添加することにより、位相差層形成用組成物5を作製した。
<位相差層形成用組成物6の作製>
重合性官能基を有する液晶性化合物をメチルエチルケトンによって固形分25質量%に希釈し、そこに全固形分に対して0.3質量%の割合で位相差層形成用組成物1と同様のフッ素系ノニオン界面活性剤を添加することにより、位相差層形成用組成物6を作製した。
[実施例1]
前記で得られたパターン位相差フィルム1の位相差層表面の表面自由エネルギーを、以下の方法により測定した。すなわち、パターン位相差フィルムの位相差層表面における、水、ジヨードメタン及び1−ブロモナフタレンそれぞれの接触角を、自動接触角計(協和界面化学株式会社製、型番DM501)で23℃で測定し、表面自由エネルギーの各構成成分を解析ソフト(FAMAS)にて拡張Fowkes式を用いて算出した。算出結果を表1に示す。
前記パターン位相差フィルム1の位相差層表面に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を全体の20質量%含有する接着剤組成物を、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布した。この際、接着剤組成物を塗布した表面(10cm×10cm)を目視により観察し、ハジキの個数を数えた。結果を表1に示す。
接着剤組成物の塗膜の上に偏光子を積層することにより、実施例1の偏光子付き位相差フィルムを得た。得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
[実施例2]
実施例1において、パターン位相差フィルム1に代えて、パターン位相差フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の偏光子付き位相差フィルムを得た。
得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
[実施例3]
実施例1において、パターン位相差フィルム1に代えて、パターン位相差フィルム3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の偏光子付き位相差フィルムを得た。
得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
[実施例4]
実施例1において、パターン位相差フィルム1に代えて、パターン位相差フィルム4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の偏光子付き位相差フィルムを得た。
得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
[実施例5]
実施例1において、パターン位相差フィルム1に代えて、パターン位相差フィルム5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の偏光子付き位相差フィルムを得た。
得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
[比較例1]
実施例1において、パターン位相差フィルム1に代えて、パターン位相差フィルム6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の偏光子付き位相差フィルムを得た。
得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点を有し、ムラがあった。
また、各実施例及び各比較例で用いた接着剤組成物の表面自由エネルギーを以下の方法により測定した。すなわち、実施例1において、接着剤組成物を塗布し、乾燥した後に、当該接着剤組成物の塗膜の表面を水、ジヨードメタン及び1−ブロモナフタレンそれぞれの接触角を、自動接触角計(協和界面化学株式会社製、型番DM501)で23℃で測定し、表面自由エネルギーの各構成成分を解析ソフト(FAMAS)にて拡張Fowkes式を用いて算出した。
その結果、接着剤層の表面自由エネルギーの3成分(分散成分(d)、極性成分(p)、水素結合成分(h))の総和は、29.5であった。
よって、位相差層表面の表面自由エネルギーの前記3成分の総和(A)と、接着剤組成物の表面自由エネルギーの3成分の総和(B)との関係は、実施例1〜5において、A>Bであった。
実施例1〜5で用いたパターン位相差フィルム1〜5は、表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が28mN/m以上であり、接着剤組成物を塗布した際のハジキ個数が0個であった。一方で、比較例1で用いたパターン位相差フィルム6は、表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が28mN/m未満であり、接着剤組成物を塗布した際のハジキ個数が10個以上であった。よって、分散成分(d)の測定結果が28mN/m以上のときに、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定できることがわかり、分散成分(d)の結果に基づいて、位相差層表面の接着剤適性を接着剤を塗布しなくても簡易に評価することができた。
また、実施例1〜5では、位相差層表面の表面自由エネルギー分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上であったため、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定され、得られた偏光子付き位相差フィルムは、接着剤のハジキによる接着剤層の欠点が抑制されたものであった。
1 透明基材
2 配向層
3 位相差層
4 接着剤層
5 偏光子
10 位相差フィルム
20 偏光子付き位相差フィルム

Claims (2)

  1. 位相差フィルム上に接着剤を介して積層された偏光子を有する、偏光子付き位相差フィルムの製造方法であって、
    透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程と、
    前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程と、
    前記表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上40mN/以下であり、前記表面自由エネルギーの非分散成分の測定結果が、5mN/m以下である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されると判定する判定工程と、
    前記判定工程において、接着剤適性が許容されると判定された位相差層上に、接着剤組成物を塗布後、偏光子を積層する工程とを有することを特徴とする、偏光子付き位相差フィルムの製造方法。
  2. 透明基材の一面側に、配向層、及び位相差層がこの順に設けられ、当該位相差層に液晶性化合物とレベリング剤とが含有されてなる位相差フィルムを準備する工程と、
    前記位相差フィルムの前記位相差層表面の表面自由エネルギーを測定する工程と、
    前記表面自由エネルギーの測定の分散成分(d)及び非分散成分の結果に基づいて、前記表面自由エネルギーの分散成分(d)の測定結果が、28mN/m以上40mN/m以下であり、前記表面自由エネルギーの非分散成分の測定結果が、5mN/m以下である場合に、位相差層表面の接着剤適性が許容されるとして、位相差層表面の接着剤適性が許容されるか否かを評価する工程とを有することを特徴とする、位相差フィルムの評価方法。
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