JP6558418B2 - 電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置 - Google Patents

電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置 Download PDF

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本発明は、電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置に関するものであり、めっき厚みが均一で表面外観の美麗な電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置に関する。
電気めっき鋼板の製造において、一般的な鋼板の電気めっきの方式としては、水平型や竪型のフローセル方式とラジアルセル方式とが知られている。
水平型フローセル方式のセル構造は、図4のように、ストリップ(鋼板)1の入側と出側には通電ロール2が、ストリップ1の表裏面にはアノード電極3がそれぞれ設置される構造である。ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1とアノード電極3との間のギャップにめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1の表裏面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
竪型フローセル方式のセル構造は、図5のように、ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1の入側に設置される通電ロール2で走行方向を下向きに変更した後、シンクロール6にてストリップ1の走行方向を上向きに変更し、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2によりストリップ1の走行方向を水平方向に変更する構造である。通電ロール2とシンクロール6との間でストリップ1の表裏面にアノード電極3がそれぞれ設置され、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップにめっき液4をフローノズル5により供給し、カソードであるストリップ1の表裏面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
ラジアルセル方式のセル構造は、図6のように、ストリップ1を水平方向(矢印の方向)に走行させ、ストリップ1の入側に設置される通板ロール7で走行方向を下向きに変更した後、通電ロール2にてストリップ1の走行方向を上向きに変更し、ストリップ1の出側に設置される通板ロール7によりストリップ1の走行方向を水平方向に変更する構造である。通電ロール2にストリップ1を巻きつけてめっき液4中に浸漬し、ストリップ1と対向する円周上に設置された弓形のアノード電極3との間のギャップにめっき液4をフローノズル5により供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電することによりめっきされる。
フローセル方式は、鋼板表裏面を同時にめっきできるという利点がある。ラジアルセル方式は片面めっき式となる。しかしながら、ラジアルセル方式は通電ロールにストリップを巻きつけて走行させることで、ストリップのめっき面とアノード電極の距離を近付けることができる。このため、電気めっきにおける抵抗は小さくなり、低電圧で高電流密度が得られるという利点がある。
電気めっきで代表的な電気亜鉛めっきの場合、通常5〜15セルを直列に配置させ、鋼板を通板させながら連続的にめっき処理をする。1セルあたりのめっき付着量は1〜2g/mと薄く、これを積層させるめっき方法であり、ライン速度や板幅に応じて電流を制御すればいいので、幅方向や長手方向の付着量分布は0.5〜1g/m以内と均一にでき、かつ美麗な外観を得られることも大きな特徴である。一方で、焼鈍と亜鉛めっきを同一ラインで実施する連続溶融亜鉛めっきと比較すると、焼鈍と亜鉛めっきが別ラインで処理される電気めっき鋼板は、価格が高くなりやすい。
そこで近年、電気めっきラインの生産性を向上させるために、めっき電流密度を上げる取り組みや均一性の向上を達成するための種々の検討がなされている。通常はpH1.5〜2.0程度のめっき液を用いて、電流密度は最大100A/dm程度で製造される。
特許文献1では、アノードと鋼板間のめっき液の流れが幅方向均一になるように、鋼板進行方向と逆向きにめっき液を噴射するとともに、電極の入出側でめっき液を鋼板面に噴出して流出するめっき液をシールしながらめっき液を鋼板に向って噴射してめっきする方法が開示されている。
特許文献2では、クッション形のノズル内部を幅方向に分割してめっき液流量分布をつけて均一メッキを可能とする電気めっき方法が開示されている。
特許文献3では、めっき液を供給するノズルスリット口が、板幅中央から板幅端部に向って徐々に大きくなるようにして、めっき液の流速を均一にする方法が開示されている。
特許文献4には、電気めっき浴槽に連接する洗浄セクションにおいて、電気めっき浴槽から最終洗浄セクションに到る間の液pH値が段階的に高くなるようにするめっき表面洗浄方法が開示されている。
特許文献5には、ラジアルセルにおいて、塩化物浴から出た位置で、鋼板表面を水あるいは1%希塩酸で洗浄する方法が開示されている。
特許文献6には、ラジアルセルにおいて鋼板表裏面を順次めっきするにあたり、後段のラジアルセルを通過する際に、先めっき面をpH6〜9の湿潤液で湿潤する方法が開示されている。
特許文献7には、通電ロールと電解槽の間において、ストリップ面に気体、又は気体と液体の混合物を噴射して電解槽から流出しためっき液の通電性を低下させる方法が開示されている。
特許文献8には、電流密度を上昇させるために、めっき液のpHを下げ、めっき液温度や液流速を所定条件に設定する方法が開示されている。
特開昭59−85891号公報 特開昭59−96293号公報 特開昭61−099695号公報 特開平11−92991号公報 特開平4−235299号公報 特開昭59−76894号公報 特開昭59−89790号公報 特開平06−136594号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法では、めっきセル内でのめっき付着量を均一にできても、セル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の付着量が不均一であると、その残存するめっき液によってめっき皮膜が溶解し、めっき厚みが不均一になってしまい、その結果、最終的に得られるめっき厚みも不均一になってしまう。同時に、めっき皮膜の結晶方位も不均一になり、外観ムラ(白色度のムラ)の原因となる。
特許文献4の方法では、電気めっき浴槽内で連接配置される複数のめっきセル間でのめっき液によるめっき皮膜溶解を防止することはできず、最終的に均一なめっき厚みは実現できない。
特許文献5の方法では、スプレイヘッダーからの洗浄水でめっき面を洗浄することはできるものの、大量の洗浄水によってめっき液組成が絶えず変化し、鋼板と電極間のめっき液抵抗が変動することでめっき電解効率が局所的に変化し、付着量ムラや色調ムラが発生することがある。また、ラジアルセル型であっても非めっき面にも通板中にめっき液が部分的に回りこみ、特に鋼板エッジのめっき剥離性が劣化する問題がある。
特許文献6の方法では、ラジアルセルにおける先めっき面の洗浄を後めっき工程時に行うため、先めっき面が後めっき工程に到達する前に先めっき面のめっき皮膜が溶解して結局外観ムラが発生する問題がある。
特許文献7の方法では、従来の電解液は硫酸や塩酸など、pHが1.5〜2.5程度なので、このようなpHの低いめっき液に気体を混合させても、めっき液pHが上昇するわけではないので残存するめっき液によるめっき皮膜の不均一な溶解は防止できない。
また、特許文献8のように、より電流密度を高めるためにめっき液のpHを下げると、セル間の非めっき範囲において、残存するめっき液によるめっき皮膜の溶解量が増加し、最終的に得られるめっき厚みの不均一と外観ムラがより顕著になる。
本発明は、上記実情に鑑み、電気めっきセル間での鋼板上に残存するめっき液の付着量を均一にすることで、最終的に得られるめっき厚みを均一し、かつ美麗な表面外観を得ることができる電気めっき鋼板の製造方法および電気めっき鋼板の製造装置を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]鋼板に連続して電気めっきを施して電気めっき鋼板を製造する方法であって、電気めっきセルの鋼板出側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有するミストノズルを鋼板幅方向に設け、ミストノズルからpH4〜7の溶液と空気との混合流体を噴射することを特徴とする電気めっき鋼板の製造方法。
[2]電気めっきセルは、水平型フローセルまたは竪型フローセルのいずれかであり、鋼板の出側に設置される通電ロールの下流側の鋼板表裏面に、ミストノズルを設けることを特徴とする[1]に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[3]電気めっきセルはラジアルセルであり、通電ロールの下流側の鋼板表裏面に、ミストノズルを設けることを特徴とする[1]に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[4]ミストノズルはスリット型のノズルであり、ノズルギャップが0.05〜1.0mm、ノズル先端と鋼板との距離が5〜100mm、ミストノズルから噴射される空気の噴射圧力が0.1〜0.5MPaであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[5]めっき液のpHが−0.5〜1.0であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[6]電流密度が150〜1200A/dmであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
[7]電気めっきセル内を連続的に走行する鋼板に電気めっきを行う電気めっき鋼板の製造装置であって、電気めっきセルの鋼板出側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有し、pH4〜7の溶液と空気との混合流体を噴射するミストノズルを鋼板幅方向に備えることを特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
本発明によれば、電気めっきセル間での鋼板上に残存するめっき液の付着量を均一に制御することができるため、最終的に得られるめっき厚みを均一にし、かつ美麗な表面外観を得ることが可能となる。また、本発明によれば、低pHのめっき液を使用して高電流密度でめっきしても、最終的に得られるめっき厚みを均一にし、かつ美麗な表面外観を得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態に係るラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図4は、従来の水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図5は、従来の竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。 図6は、従来のラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。
以下、図1〜3を参照して、本発明の電気めっき方法について説明する。なお、本実施形態において、ストリップ1の一方の面を表面、もう一方の面を裏面と便宜的に称する。
図1は、本発明の実施の形態に係る水平型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。ストリップ1を水平方向に走行させ、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップにめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側に、pH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に向かって噴射するミストノズル8が鋼板幅方向に設けられている。
ストリップ1の出側に設置される通電ロール2により、大半のめっき液4は堰き止められる。しかしながら、鋼板形状が悪い(例えば耳波状など)場合や通電ロール2の磨耗により、めっき液4がストリップ1出側の通電ロール2をすり抜けることがある。本発明者らが鋭意検討したところ、電気めっきセル間の非めっき範囲において、鋼板表面に残存する酸性のめっき液の付着量が不均一であると、その残存するめっき液によってめっき皮膜が溶解しめっき厚みが不均一になってしまい、その結果、最終的に得られるめっき厚みも不均一になってしまうことがわかった。同時に、めっき皮膜が酸化され、外観ムラ(白色度のムラ)の原因となることがわかった。
そこで本発明では、ストリップ1の出側にミストノズル8を設置し、ミストノズル8からpH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に向かって噴射することにより、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保つ。これにより、めっき液によるめっき皮膜の溶解を抑制する。同時に、ミストノズル8により噴射されるpH4〜7の溶液と、酸性の程度が弱められためっき液の両方を含む液の膜厚を均一にする。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
ミストノズル8の位置において、スプレーノズルを用いてガスのみを噴射する場合には、ストリップ上の一部が乾燥してしまう場合がある。ストリップ1の表面が乾燥すると、めっき最表層に薄い酸化物が形成し、酸化物上にはその後のセルでの電気めっきにおいて、めっきが付きにくくなり、最終的に付着量ムラとなってしまう。一方、本発明では、pH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に噴射するため、微細化した液体を噴霧することになり、ストリップ1表面を乾燥させることがなく、湿潤な状態を維持することができる。また、ミストノズル8の位置において、スプレーノズルを用いてpH4〜7の溶液のみを噴射する場合には、pH4〜7の溶液がめっき液に混合してしまうため、めっき液品質維持のための設備(エバポレータ、亜鉛溶解量調整設備、pH調整設備等)の処理能力を大きくしなくてはならない。一方、本発明では、pH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に噴射するため、微細化した液体を噴霧することになり、めっき液との混合の問題が少なくなるので、めっき液品質維持のための設備の処理能力を必要最小限にすることができる。したがって、本発明では、pH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に噴射することにより、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
ストリップ1に噴射する溶液は、ストリップ1に残存する酸性のめっき液の酸性の程度を弱めて、めっき皮膜の溶解を防止する機能を有する必要がある。したがって、ストリップ1に噴射する混合流体の、溶液のpHは4〜7とする。pHが4未満では、酸性のめっき液の酸性の程度を弱める効果が少ない。一方、pHが7を超えると、めっき液中の金属イオンが水和されて水酸化物がストリップ1の表面に生成し、押し傷等を発生させる可能性が高い。
ストリップ1に噴射する溶液の量は、ストリップ1に付着した噴射後の溶液のpHが1を超えるように設定する必要がある。pHが1以下では、従来のめっき液よりも強い酸であるため、めっき皮膜溶解を促進してしまう。ストリップ1に付着した噴射後の溶液のpHは高いほうが望ましいが、めっき液中の金属イオンが水和されて水酸化物がストリップ1の表面に生成するpHより低くする必要がある。そのためには、溶液中にはpH7以下で水和物を生成する金属イオンは含まないことが望ましい。また、pH7以下で、水和物以外の不溶性の析出物を生成しない溶液であることが望ましい。
なお、噴射後のストリップ1の表面に残るpH4〜7の溶液は少量であるため、連接しためっきセルのうち、下流側のめっきセルでストリップ1が電気めっきされる際には、めっき液組成やpHに及ぼす影響はほぼ無視できる。
ミストノズル8は一般に、液体と加圧気体の2流体(混合流体)を連続的に供給することにより、液体を微細化して噴出するものである。本発明における加圧気体としては、コストの点から空気(圧縮空気)とする。
ミストノズル8は、ストリップ1の幅よりも長い幅の噴射口を有する。これは、ストリップ全幅のめっき液の液膜を均一にするために必要だからである。幅としては、通板されるストリップの最大幅より両端がそれぞれ50mm以上長いことが好ましい。
また、ミストノズル8は、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2より下流側に設置することが望ましい。また、ミストノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、表裏から噴射されたミスト同士が干渉しないようするために、一般的なミストスプレーの広がりを考慮し、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。このオフセット量が小さく、鋼板エッジ部で表裏のミストが干渉すると、鋼板エッジ部の洗浄性能が低下する。
図2は、本発明の実施の形態に係る竪型フローセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。ストリップ1の走行方向を通電ロール2で下向きに変更し、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップに、フローノズル5を介してめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側にミストノズル8を鋼板幅方向に設置し、ミストノズル8からpH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に向かって噴射する。ミストノズル8により、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保ち、めっき液4によるめっき皮膜の溶解を抑制する。同時に、ミストノズル8により噴射されるpH4〜7の溶液と、酸性の程度が弱められためっき液の両方を含む液の膜厚を均一にする。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
ミストノズル8は、上述した水平型フローセル方式の場合と同様にストリップ1の幅よりも長い幅の噴射口を有する。これは、ストリップ全幅のめっき液の液膜を均一にするために必要だからである。
また、ミストノズル8は、上述した水平型フローセル方式の場合と同様にpH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通電ロール2より下流側に設置することが望ましい。また、ミストノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、表裏から噴射されたミスト同士が干渉しないようするために、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
なお、ストリップ1に噴射する溶液のpHについては、上述した水平型フローセル方式の場合と同様に4〜7とし、また、溶液量は噴射後にストリップ1に付着した液のpHが1を超えるように設定する。
また、ストリップ1の出側のストリップ1の表面側(ストリップ1を水平方向に走行させた場合の鋼板上面)に設置されるミストノズル8の手前(上流側)には、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、別途ロール9を設置しても良い。
図3は、本発明の実施の形態に係るラジアルセル方式の電気めっきのセル構造を示す図である。通電ロール2にストリップ1を巻きつけて走行させ、ストリップ1とアノード電極3の間のギャップに、フローノズル5を介してめっき液4を供給し、カソードであるストリップ1のめっき面とアノード電極3との間で通電して電気めっきする。
ストリップ1の出側にミストノズル8を鋼板幅方向に設置し、ミストノズル8からpH4〜7の溶液と空気との混合流体をストリップ1に向かって噴射する。ミストノズル8により、ストリップ1に残存する強い酸性のめっき液の酸性の程度を弱め、ストリップ1のめっき面を弱酸性の状態に保ち、めっき液4によるめっき皮膜の溶解を抑制する。同時に、ミストノズル8により噴射されるpH4〜7の溶液と、酸性の程度が弱められためっき液の両方を含む液の膜厚を均一にする。その結果、電気めっきセル間の非めっき範囲において鋼板表面に残存するめっき液の液膜を均一にすることができる。したがって、最終的に得られるめっき厚みを均一にすることができるとともに、美麗な表面外観を得ることができる。
ミストノズル8は、上述した水平型フローセル方式の場合と同様にストリップ1の幅よりも長い幅の噴射口を有する。これは、ストリップ全幅のめっき液の液膜を均一にするために必要だからである。
また、ミストノズル8は、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、ストリップ1の出側に設置される通板ロール7より下流側に設置することが望ましい。また、ミストノズル8は、ストリップ1の表裏面にそれぞれ設置されることが好ましく、表裏から噴射されたミスト同士が干渉しないようするために、ストリップ1の長手方向に100mm以上オフセットさせることが望ましい。
なお、ストリップ1に噴射する溶液のpHについては、上述した水平型フローセル方式の場合と同様に4〜7とし、また、溶液量は噴射後にストリップ1に付着した液のpHが1を超えるように設定する。
また、ストリップ1の出側のストリップ1の表面側(ストリップ1を水平方向に走行させた場合の鋼板上面)に設置されるミストノズル8の手前(上流側)には、pH4〜7の溶液がセル内に混入するのを防ぐために、別途ロール9を設置しても良い。
本発明において、ミストノズル8の形態については特に限定されないが、ストリップ1上のめっき液の均一性の観点から、スリット型のミストノズルが最も好ましい。なお、例えば、噴射口から扇状に液滴が噴射されるフラットスプレータイプのノズルなどを用いて、ストリップ1の幅方向全域に液が噴射されるように、ミストノズル8を幅方向に複数配置する方法でも構わない。
また、鋼板に付着しためっき液によるめっき皮膜の溶解は、鋼板がめっき液浴面から出た直後から発生するため、ミストノズル8をめっき液浴面直上(水平型フローセルの場合は、めっき液浸漬直後)に配置してもよい。この場合は、めっき液にミストノズルの溶液が混入しめっき液のpHが大きくなるので、めっき液のpH調整機能を強化するのが望ましい。
本発明において、pH4〜7の溶液の種類は、めっき液4の種類に合わせることが望ましい。例えば、硫酸系のめっき液であれば、pH4〜7に調整した硫酸を用いればよい。
本発明において、ミストノズル8のノズルギャップは、0.05〜1.0mmとすることが望ましい。0.05mm未満だと、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなり、また飛散しためっき液によるノズル詰まりも起きやすくなる。また、ノズルギャップを1.0mm超えとすると、余剰なガスを噴射することになり、めっき液が飛散しやすくなり、かえって表面外観を悪化させてしまう。また、ノズルギャップは0.1〜0.8mmとすることがさらに望ましい。
本発明において、ミストノズル8のノズル先端とストリップ1との距離は5〜100mmとすることが望ましい。距離が5mm未満だと、ミストノズル8とストリップ1が接触する可能性がある。また、ミストノズル8とストリップ1との距離を100mm超えにすると、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなる。また、ミストノズル8とストリップ1との距離は5〜50mmとすることがさらに望ましい。
本発明において、ミストノズル8から噴射される空気の噴射圧力は、0.1〜0.5MPaとすることが望ましい。0.1MPaより低いと、めっき液量低減の効果を十分に得ることができなくなる。また、0.5MPaを超えると、めっき液が飛散しやすくなり、かえって表面外観を悪化させてしまう。ミストノズル8の噴射圧力は、ライン速度に応じて変化させること(低速時は低圧、高速時は高圧)がより望ましい。
なお、ミストノズル8から噴射されるpH4〜7の溶液の流量密度については、ストリップ1の表面が乾燥しないことが必要であるため、0.5〜6.0L/min・mとすることが望ましい。
本発明は、通常のめっき液(pH=1.5〜2.0)でもめっき均一性や外観ムラに効果がある。しかしながら、電流密度をより高くするために、電気めっきにおけるめっき液のpHを−0.5〜1.0とすると、本発明の効果がより明確に現れる。
本発明において、電気めっきにおける通電の際の電流密度は150〜1200A/dmであることが好ましい。電流密度が150A/dm未満であると、通板速度を十分に上げることができず、めっきセル間の非めっき領域を通過する時間が長くなり、外観不良や付着量分布の悪化を招きやすい。一方、電流密度が1200A/dmを超えると、めっき皮膜結晶の配向性が変化することでめっき表面が黒くなる“めっき焼け”が発生する。
なお、フローセル方式の場合、電流は鋼板内部を長手方向に(アノード電極から通電ロールに向かって)流れるため、鋼板発熱の限界という点から電流密度は最大で400A/dmまで上昇させることが可能になる。また、ラジアルセル方式の場合、電流は鋼板内部を板厚方向に流れるため、鋼板温度上昇はほとんど発生せず、電流密度は最大で1200A/dmまで上昇させることが可能になる。
以下に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
図1〜3に示す構成を備える電気めっきセルを使用した例を本発明例として電気めっきを行い、電気めっき鋼板を製造した。ストリップ1は厚さ0.5mm×幅1000mmの冷延鋼帯を、1.83〜5.0m/sのラインスピードで走行させた。アノード電極3はチタンであり、通電面は酸化イリジウム皮膜が施してあり、ストリップ1を概ね覆う幅を有している。めっき液4はpHの異なる、硫酸亜鉛濃度が400g/Lの液を60℃に保って使用した。pHは硫酸を用いて調整した。めっき付着量は、片面の下限を20g/mとした条件を設定した。ミストノズル8から噴射する混合流体の溶液は、pHを適宜調整した硫酸を用いた。溶液のpHの調整には、硫酸、希釈水、水酸化ナトリウムを使用した。
めっき厚みは、幅方向3点を長手方向に10回測定した平均値を算出するとともに、めっき付着量の分布(最大−最小)を算出した。めっき付着量の分布が2.0g/m以内であるものを、めっき厚みが均一であるとした。
表面外観は、測色計を用いて付着量測定と同じ箇所のL値で評価し、同一コイル内の測定値が、平均値79以上で全測定点が平均値±1以内を5(良好)、平均値79以上で全測定点が平均値±1.5以内を4、平均値79以上で全測定点が平均値±2.5以内を3、平均値が75以上〜79未満を2、平均値75未満を1(劣)として、5段階で評価した。5段階のうち、4以上を合格とした。
めっき条件および結果を表1に示す。
Figure 0006558418
表1の結果から、本発明のセルを用いて電気めっきを行った場合、めっき厚みが均一であるとともに、美麗な表面外観を有する。
1 ストリップ(鋼板)
2 通電ロール
3 アノード電極
4 めっき液
5 フローノズル
6 シンクロール
7 通板ロール
8 ミストノズル
9 ロール

Claims (7)

  1. 複数の電気めっきセルを有する電気めっき設備を用いて、鋼板に連続して電気めっきを施して電気めっき鋼板を製造する方法であって、電気めっきセルの鋼板出側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有するミストノズルを鋼板幅方向に設け、ミストノズルからpH4〜7の溶液と空気との混合流体を噴射することを特徴とする電気めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記ミストノズルは、前記各電気めっきセルの鋼板出側に設置される通電ロールの下流側の鋼板表裏面に設けることを特徴とする請求項1に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  3. 電気めっきセルは、水平型フローセル、竪型フローセル、ラジアルセルのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  4. ミストノズルはスリット型のノズルであり、ノズルギャップが0.05〜1.0mm、ノズル先端と鋼板との距離が5〜100mm、ミストノズルから噴射される空気の噴射圧力が0.1〜0.5MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  5. めっき液のpHが−0.5〜1.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  6. 電流密度が150〜1200A/dmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気めっき鋼板の製造方法。
  7. 複数の電気めっきセルを有し、電気めっきセル内を連続的に走行する鋼板に電気めっきを行う電気めっき鋼板の製造装置であって、
    電気めっきセルの鋼板出側に、鋼板の幅よりも長い幅の噴射口を有し、pH4〜7の溶液と空気との混合流体を噴射するミストノズルを鋼板幅方向に備えることを特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
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