JP6556785B2 - 鋳鉄材料の疲労強度を予測する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、X線CTによる欠陥観察と硬さ測定のデータに基づいて、実質的に非破壊でかつ実際に疲労強度試験を行うことなく、鋳鉄材料の疲労強度を予測する技術に関する。
従来から、金属材料の疲労試験方法として、JISZ2273〜Z2275等に記載されたものが知られている。疲労強度は、例えば、異なる応力振幅毎に破断までの繰り返し数を求めることにより得たS‐N線図に基づいて評価される。疲労試験のモードとしては、回転曲げ、両振り引張圧縮、ねじり等があるが、いずれのモードでも、S‐N線図を作成するためには長時間(例えば、一般的な疲労限度に対応する10サイクル、またはそれ以上のサイクルの荷重を負荷するために必要な時間)が必要とされる。金属材料のうち特に鋳鉄材料には、巣穴、異常黒鉛等の疲労強度を低下させうる欠陥が存在する。欠陥に起因するばらつきまで考慮して疲労強度の評価を行うには、より長時間が必要となる。
非特許文献1には、金属材料の疲労限度が、金属材料のビッカース硬さHVと、欠陥の面積の平方根((area)1/2)と、欠陥が存在する位置により定まる係数とによって表すことができることが記載されている。但し、非特許文献1では、欠陥の面積として、人工的に形成した欠陥の面積又は材料の破断面に現れた欠陥の面積を用いている。このため、非特許文献1の技術を用いたとしても、非破壊で疲労強度の予測を行うことはできない。また、非特許文献1に記載の技術では、多種多様な欠陥が存在しうる鋳鉄材料の疲労強度の予測はできない。 非特許文献2には、球状黒鉛鋳鉄材料の疲労強度が、鋳鉄材料のビッカース硬さHVと、欠陥の面積の平方根((area)1/2)と、欠陥が存在する位置により定まる係数とによって表すことができることが記載されている。非特許文献2においても、欠陥の面積として、材料の破断面に現れた欠陥の面積を用いているので、非特許文献2の技術を用いたとしても、非破壊で疲労強度の予測を行うことはできない。
疲労強度に及ぼす微小欠陥や非金属介在物の影響とその定量的評価法,村上敬宜: 鉄と鋼Vol.75(1989), No.8,p1267〜p1277 球状黒鉛鋳鉄の疲労限度とその評価法,杉山好弘、浅見克敏、若狭裕信: 鋳物Vol.66(1994), No.9, p666〜p671
本発明は、鋳鉄材料の疲労強度を実質的に非破壊で精度良く予測する技術を提供することを目的としている。
本発明の一実施形態によれば、鋳鉄材料の疲労強度を予測する方法であって、前記鋳鉄材料をX線CT(Computed Tomography)により撮像し、前記鋳鉄材料中に含まれる欠陥の三次元画像を得る工程と、前記鋳鉄材料中に含まれる欠陥のうちの最大体積を有する欠陥に外接する直方体の体積の三乗根を求める工程と、前記鋳鉄材料の硬さ及び前記直方体の体積の三乗根をパラメータとして含む計算式に基づいて、前記鋳鉄材料の疲労強度を算出する工程と、を備えた方法が提供される。
上記本発明の実施形態によれば、鋳鉄材料の疲労強度を実質的に非破壊で精度良く予測することができる。
本発明の一実施形態に係る疲労強度予測方法の手順を示すフローチャートである。 疲労強度予測方法の実証試験に用いた試験片を半径方向外側(第1方向)から見た側面図である。 図2と同じ方向から見た試験片のCT画像である。 図3において四角の枠で囲まれた領域を試験片の軸線方向(第2方向)から見たCT画像である。 図3において四角の枠で囲まれた領域を拡大して示す拡大CT画像である。 図4において四角の枠で囲まれた領域を拡大して示す拡大CT画像である。 欠陥に外接して欠陥を内包する六面体を画定する方法を説明する図である。 簡略化された他の疲労強度予測方法の手順を示すフローチャートである。 黒鉛が理想球形(真球形)を有している場合の、黒鉛の体積(Volume)と表面積(Surface)との関係を示す理想球形関係曲線Aと、実際の球状黒鉛鋳鉄における黒鉛の体積(Volume)と表面積(Surface)との関係を示す実際関係曲線Bを記したグラフである。
本発明の一実施形態に係る疲労強度予測方法につき、図1のフローチャートを参照して説明する。ここでは、疲労強度予測対象は球状黒鉛鋳鉄品とする。
[X線CTによる試料観察(ステップS1)]
まず、X線CT(Computed Tomography)装置を用いて疲労強度評価対象部位の観察を行う。X線CT装置としては、例えば、東芝ITコントロールシステム株式会社製、TOSCANER− 32300μFDを用いることができる。この装置により得られた画像は縦、横、高さの三方向に関して全て5μmの分解能を有する。
次に、画像処理装置を用いて、X線CT装置により撮像された多数の二次元CT画像の積層処理を行い、白黒の三次元デジタル画像を構築する。これにより、欠陥の座標、体積を視覚的かつ定量的に把握することができる。三次元デジタル画像では鋳鉄材料に存在する欠陥は濃い黒色として表される。このような機能を有する画像処理装置は、例えば、米国FEI社Avizo(登録商標)、または日本ビジュアルサイエンス株式会社のExFact(登録商標)VRから提供されるソフトウエアをインストールした汎用コンピュータにより実現することができる。得られた三次元デジタル画像において、グレースケールで光の強さが所定値より低い部分(黒色部分)を欠陥と認識する。
[欠陥の分類(ステップS2)]
ステップS1により確認された欠陥を分類する。球状黒鉛鋳鉄品に生じる欠陥には、引け巣、非球状黒鉛、集合黒鉛が含まれる。ここで、まず、黒鉛について考える。黒鉛の表面積をy(単位立方ミクロン)、黒鉛の体積をx(単位平方ミクロン)としたときに、式[y=4 .8352x0.6667]で表されるxy平面上の曲線を設定する。以下、本明細書において、上記式[y=4 .8352x0.6667]を「理想球形関係式」と呼び、上記曲線を「理想球形関係曲線」と呼ぶこととする。
図9のグラフには、黒鉛が理想球形(真球形)を有している場合の、黒鉛の体積(Volume)と表面積(Surface)との関係を示す理想球形関係曲線Aと、実際の球状黒鉛鋳鉄における黒鉛の体積(Volume)と表面積(Surface)との関係を示す実際関係曲線Bを記されている。なお、通常は、実際関係曲線Bで示すように、黒鉛の体積(Volume)がある値を超えると、黒鉛の形が崩れて理想球形関係式から外れる。
ある黒鉛において(x,y)=(x1,y1)であったときに、点(x1,y1)が理想球形関係曲線上にあるいはその近傍にある場合には、その黒鉛を球状の黒鉛と見なし、フローはステップS40(詳細後述)に進む。点(x1,y1)が理想球形関係曲線から乖離している場合には、その黒鉛を非球状の黒鉛と見なし、フローはステップS30に進む。
欠陥が引け巣である場合には、当該引け巣が存在する位置に、当該引け巣と同一の形状寸法を有する黒鉛が存在するものの見なして、理想球形関係式に基づく判定基準と同様の判定基準を適用する。黒鉛は、基地組織に比べると大幅に強度が低い(例えば黒鉛は20MPa、最も強度が低いフェライト基地で200Mpa)ため、疲労強度を予測する上で、黒鉛と引け巣とを区別する必要はない。一般的に引け巣の形状は非球径であるため、最大の欠陥が引け巣である場合には、フローはステップS30に進む。
なお、欠陥を構成するものが黒鉛であるか引け巣であるかに関わらず、上述した画像処理により欠陥の三次元形状は正確に把握されているため、上記の表面積y及び体積xは、把握されている三次元形状に基づいて算出することが可能である。
[欠陥サイズの判定(ステップS30)]
ステップS30では、ステップS2において非球形と判定された欠陥(非球状黒鉛または引け巣)の球相当径が80μm未満であるか否かが判定される。80μm未満である場合にはフローはステップS31に進み、80μm以上である場合にはフローはステップS32に進む。ここで、黒鉛の「球相当径」とは、当該黒鉛の体積xと同じ体積を有する球の直径を意味する。
なお、ステップS30の判定を行うにあたり、判定対象となっている黒鉛(欠陥)の近傍に別の黒鉛があり、かつ、判定対象の黒鉛と別の黒鉛との間の距離が15μm未満の場合には、ステップS30における判定基準を修正する。すなわちこの場合、判定対象の黒鉛と別の黒鉛とを内包する包含球を設定し、この包含球の直径を上述した「球相当径」とみなして、上記と同様の判断を行う。つまり上記の包含球の直径が80μm未満である場合にはフローはステップS31に進み、80μm以上である場合にはフローはステップS32に進む。上記の「包含球」とは、判定対象の黒鉛と別の黒鉛を同時に内包することができる最小径の球を意味する。ところで、この修正操作を行うと、単体で見て最大の非球径黒鉛の(修正後の)球相当径と、単体で見て最大の非球径黒鉛よりも小さい黒鉛の(修正後の)球相当径が、隣接黒鉛の分布状況次第では逆転する可能性がある。従って、ステップ30以降の操作は、単体で見て最大の非球径黒鉛だけでなく、単体で見て比較的大きな複数の非球径黒鉛に対して行い、(修正後の)球相当径が最大になるものに対して後述のステップ31または32の操作を行うことが好ましい。
ステップS32では、次の疲労強度計算式1、2のいずれかに従い疲労強度σ[MPa]を算出することができる。
・曲げ疲労の場合に適用される疲労強度計算式1
・軸荷重疲労(引張圧縮疲労)の場合に適用される疲労強度計算式2
上記の疲労強度計算式1、2において、「V」は選択された欠陥に外接する直方体の体積である(直方体の設定方法については後述する)。また、上記の疲労強度計算式2において、「r」は軸荷重疲労試験片の半径(単位μm)である。
上記の疲労強度計算式1、2において、HVは材料のビッカース硬さである。ビッカース硬さは、圧痕が疲労破壊挙動に影響を及ぼさない部位で測定すればよい。そのような部位とは、例えば、試験片の場合は掴み部、製品の場合は評価対象部位近傍の低応力部位であってかつ圧痕跡が製品外観に問題となる影響を与えない部位である。
上記の疲労強度計算式1、2において、αは定数(係数)であり、欠陥が試験片の表面にある場合はα=1.43、欠陥が試験片の内部にある場合はα=1.56とすることができる。
曲げ疲労に関する上記の疲労強度計算式1の原形は、例えば背景技術の項で参照した非特許文献1などにより公知である。上記の疲労強度計算式1は、非特許文献1に記載された疲労強度予測式中の”√area”の項を、本件発明者の研究成果に基づいて”(√V)”に置換することにより得ることができる。なお、非特許文献1における”√area”とは、例えば、疲労試験後の試験片の破断面に存在する欠陥、あるいは試験片の表面に人工的に形成した欠陥の面積の平方根である。本件発明者の研究により、項”(√V)”が欠陥の三次元的な形状寸法が疲労強度に与える影響を良く表すことが見いだされた。この知見により、X線CT装置を用いた非破壊による疲労強度予測が可能となった。
軸荷重疲労に関する疲労強度計算式2の原形は、例えば背景技術の項で参照した非特許文献2により公知である。この疲労強度計算式2も、非特許文献2に記載された疲労強度予測式中の”√area”の項(非特許文献2における”√area”は、疲労試験後の試験片の破断面に存在する欠陥面積の平方根である。)を、本件発明者の研究成果に基づいて”(√V)”に置換したものである。この場合も、項”(√V)”が欠陥の三次元的な形状寸法が疲労強度に与える影響を良く表すことがわかっている。
欠陥が比較的小さい場合には、ステップS31において、次式に従い疲労強度σを算出することができる。
σ=0.5×σB・・・(疲労強度計算式3)
但し、σBは材料の引張強さである。
上記の疲労強度計算式3は、一般的な鋼材の疲労強度で良く知られた計算式であり、欠陥(黒鉛)サイズが小さい球状黒鉛鋳鉄の場合にも適用することが可能である。
なお、上記疲労強度計算式3により材料の疲労強度を求める場合、実際に引張試験を行わなくてもよい。球状黒鉛鋳鉄における硬さと引張強さとの関係は様々な文献(例えば、鋳鉄における硬さと各種機械的性質の関係,菅野利猛、丸山義久:鋳造工学Vol.77(2005),No.12, P833〜840)により知られているので、材料の硬さ試験結果に基づいてσBを求めてもよい。
また、上記疲労強度計算式1〜3により材料の疲労強度を求めるにあたり、場合によっては、実際に硬さ試験を行わなくても、硬さを推定することも可能である。具体的に例えば、JIS規定のグレードFCD400〜FCD800の鋳造品について鋳造シミュレーションを実施した冷却挙動から硬さを推定することができると考えられる(冷却速度とパーライト面積率と硬さには高い相関性が有るため)。この場合には、材料に全く傷を付けずに疲労強度を推定することも可能となる。
[集合黒鉛か否かの判定(ステップS40)]
ステップS40では、ステップS2において球形と判定された黒鉛(欠陥)が集合黒鉛を構成するものか否かが判定される。つまり、ステップS2における判定対象の黒鉛(第1黒鉛)から最も近い黒鉛(第2黒鉛)までの距離(三次元的な距離)が15μm未満である場合には、第1黒鉛及び第2黒鉛のセットは集合黒鉛と見なされ、フローはステップS41に進む。なお、集合黒鉛は上記第1及び第2黒鉛の2つから構成されるとは限らず、第1黒鉛から15μm未満の距離だけ離れた位置にある第2黒鉛とは別の第3の黒鉛、あるいは、第2黒鉛から15μm未満の距離だけ離れた位置にある第4の黒鉛なども、1セットの集合黒鉛を構成する。つまり、上記条件を満たす複数の黒鉛のうちのいずれか一つから15μm未満の距離だけ離れた位置に別の黒鉛があった場合には、前記複数の黒鉛及び別の黒鉛は1セットの集合黒鉛を構成する。
ステップS2における判定対象の黒鉛(第1黒鉛)から最も近い黒鉛(第2黒鉛)までの距離(三次元的な距離)が15μm以上である場合には、第1黒鉛及び第2黒鉛のセットは集合黒鉛とはみなされず、フローはステップS42に進む。ステップS42では前述した疲労強度計算式3に基づいて、疲労強度が算出される。球形の黒鉛(この場合、第1の黒鉛)は、疲労強度に悪影響を及ぼすことはない。
[集合黒鉛を欠陥として扱うか否かの判定(ステップS41)]
まず、ステップS40の説明に記載した考え方に基づいて1セットの集合黒鉛を構成する黒鉛が決定されたら、この集合黒鉛を構成する全ての黒鉛を内包する包含球を設定し、この包含球の半径が80μm未満である場合にはフローはステップS43に進み、80μm以上である場合にはフローはステップS44に進む。上記の包含球とは、集合黒鉛を構成する全ての黒鉛を同時に内包することができる最小径の球を意味する。なお、集合黒鉛の包含球の大きさは、集合黒鉛の分布により決定されるので、単体で見て最大の黒鉛を含む集合黒鉛の包含球の大きさが最大とは限らない。従って、ステップ40以降の操作は、単体で見て最大の黒鉛だけでなく、包含球の大きさが最大となりうる集合黒鉛を構成しうる複数の黒鉛に対して行うことが好ましい。
ステップS43では先に説明した疲労強度計算式3を用いて疲労強度が推定され、ステップS44では先に説明した疲労強度計算式1または2を用いて疲労強度が推定される。
最終ステップとして、フローチャートには記載していないが、ステップS31,S32,S42,S43,S44で求められた疲労強度予測計算値の最小値(通常はステップS31、S44のうちの小さい方の値)が、材料の疲労強度予測値として決定される。
次に、疲労強度計算式1、2におけるパラメータ「V」の算出の基礎となる直方体の設定方法について説明する。
画像処理装置により得た三次元デジタル画像中の欠陥を、以下の条件を満たすように直方体で囲む。
(条件1)直方体の6つの面が欠陥に接していること。
(条件2)直方体は互いに対面する互いに平行な2つの面からなる組を3組有するが、そのうちの一組の面の法線ベクトルが材料に負荷される主応力方向に一致していること。
(条件3)上記の条件1及び条件2を満足しつつ、直方体の体積が最小となること。
上記の条件1〜3を満たす直方体の体積が疲労強度計算式1、2における「V」である。
具体例について説明する。図2は、軸方向(引張圧縮)疲労試験片である。この試験片に対してX線CT撮影を行い、画像処理を行った。試験片の軸方向(長手方向)断面が図3に示され、横断方向断面が図4に示されている。図5は、図3中の黒枠で囲んだ部分を拡大して示す。図6は、図4中の黒枠で囲んだ部分を拡大して示す。図5では欠陥が黒枠7で囲まれている。図6では、図5と同じ欠陥が黒枠7で囲まれている。
図7は、欠陥3に外接する直方体5を示す。この直方体5の体積が前述した体積「V」である。直方体5は互いに平行な一組の面の法線ベクトルが、ベクトルが材料に負荷される主応力方向(つまり試験片の軸方向)に一致している。図7における矢印A方向から欠陥3を見ると、図5に示したように見える。図7における矢印B方向から欠陥3を見ると、図6に示したように見える。
集合黒鉛の場合のように包含球を設定した場合には、包含球を一つの欠陥とみなして上述した条件1〜3を満足する直方体を設定し、この直方体の体積を疲労強度計算式1、2における「V」として扱う。
表1には、上述した方法により求めた曲げ疲労試験における疲労強度予測値と、曲げ疲労試験を行うことにより得た疲労強度の実測値との関係を示した。予測値と実測値とはよく一致していることがわかる。なお、表1中の欠陥寸法とは、前述した直方体の体積Vの三乗根である。
図1のフローチャートに示す手順に代えて、図8のフローチャートに示す簡素化された手順を用いてもよい。図8のフローチャートにおいて、図1のフローチャートに示したステップと同じ動作については、同じステップ番号を付して重複説明は省略する。
図8の手順を採用する場合には、図9のグラフに示す傾向を考慮して、球相当径が80μm以上の場合には(ステップS2’)、上述した理想球形関係式に基づく判定を行うことなく、当該欠陥が非球状の欠陥すなわち非球状黒鉛または引け巣であるとみなし(ステップS30’)、前述した疲労強度計算式1または2を用いて疲労強度を計算する(ステップS32)。
一方、球相当径が80μm未満の場合には、当該欠陥が球状の欠陥であると見なし、図1のフローチャートにおけるステップS41と同じ判断を行い、球相当径に応じて、図1のフローチャートにおけるステップS43またはS44を実行する。そして最終的に、フローチャートには記載していないが、ステップS32,S43,S44で求められた疲労強度予測計算値の最小値が、材料の疲労強度予測値として決定される。
上記の各実施形態によれば、鋳鉄材料の疲労強度を実質的に非破壊(硬さ試験を非破壊試験と見なした場合)で精度良く予測することができる。また、実際に疲労試験を行う場合と比較して、疲労強度を求めるために必要とされる時間を大幅に短縮することができる。一例としては、X線CT撮像、画像処理、計算を含めて3日程度で疲労強度を算出することができ、これは実際に疲労試験を行った場合に必要とされる時間の1/10程度である。
上記の図1及び図8に示した手順をプログラム化し、このプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納してもよい。プログラム(解析ソフトウエア)をコンピュータ(汎用コンピュータでよい)で実行することにより、X線CT画像情報を受け取ったコンピュータが自動的に疲労強度を算出するようになっていてもよい。上記プログラムがインストールされたコンピュータとX線CT装置とを組み合わせたシステムを構築してもよい。

Claims (7)

  1. 鋳鉄材料の疲労強度を予測する方法であって、
    前記鋳鉄材料をX線CT(Computed Tomography)により撮像し、前記鋳鉄材料中に含まれる欠陥の三次元画像を得る工程と、
    前記鋳鉄材料中に含まれる欠陥のうちの最大体積を有する欠陥に外接する直方体の体積の三乗根を求める工程と、
    前記鋳鉄材料の硬さ及び前記直方体の体積の三乗根をパラメータとして含む計算式に基づいて、前記鋳鉄材料の疲労強度を算出する工程と、
    を備えた方法。
  2. 前記直方体を構成する互いに対面する一組の面の法線ベクトルが材料に負荷される主応力方向に一致するように前記直方体が設定される、請求項1記載の方法。
  3. 前記欠陥は、非球状黒鉛、引け巣または集合黒鉛である、請求項1または2記載の方法。
  4. 曲げ疲労強度を算出する計算式として下式が用いられ、下式において、「σ」は前記鋳鉄材料の疲労強度(単位MPa)、「HV」は前記鋳鉄材料のビッカース硬さ、「V」は前記直方体の体積(単位立方マイクロメートル)、「α」は前記欠陥の位置に応じて定まる定数であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
  5. 軸荷重疲労強度を算出する計算式として下式が用いられ、下式において、「σ」は前記鋳鉄材料の疲労強度(単位MPa)、「HV」は前記鋳鉄材料のビッカース硬さ、「V」は前記直方体の体積(単位立方マイクロメートル)、「α」は前記欠陥の位置に応じて定まる定数、「r」は前記鋳鉄材料からなる試験片の半径であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の方法を実施するための解析ソフトウエア。
  7. 請求項6記載の解析ソフトウエアがインストールされたコンピュータと組み合わされたX線CT装置。
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