JP6556020B2 - 車両 - Google Patents
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Description
このような車両では、荷台に重量物が積載されても後輪側のサスペンションバネが適度に緩衝作用を維持できるように、後輪側のサスペンションバネを強めに設定しているのが一般的である。このため、荷台が空荷の状態であると、荷物積載面が少し前下がりの姿勢となり、前部横板と後部横板との枢支連結を行う上下方向の支点ピンの軸心がやや前傾姿勢となっている。
したがって、例えば、前部横板が後部横板の延長方向に沿う伸展姿勢にある荷台を、前部横板が後部横板に対して交差するように屈曲した短縮姿勢となるように姿勢変更するとき、次のような不具合が生じることとがある。つまり、荷台の左右方向における一方側の前部横板を後部横板に対して交差するように屈曲した姿勢とした後、荷台の後方側を回って他方側の前部横板を同様に屈曲させようとしたとき、先に屈曲姿勢とした前記一方側の前部横板が、自重で元の伸展姿勢に復元してしまうことがある。
これを防ぐには、先に屈曲姿勢とした前部横板を、戻り止め用の重しを置いて姿勢維持したり、補助作業者によって姿勢維持させたりする必要があって、作業に手数を要するものであり、この点で改善の余地がある。
これによって、前板との連結を解除された一方側の前部横板を短縮姿勢側に揺動操作しても、その揺動させた位置で前部横板の姿勢が維持される。したがって、他方側に回り込んで他方側の前部横板を短縮姿勢側に揺動操作するまでの間に、前記一方側の前部横板が伸展姿勢側に揺動してしまうことを回避でき、作業性良く、前部横板の姿勢変更操作を行い易いという利点がある。
また、摩擦部材を締め付け可能なボルトナットが、複数のヒンジ連結部のうちの最上方位置のヒンジ連結部に設けられているので、そのボルトナットの操作を行い易い点でも有利である。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した車両の運転座席が向く前進側の進行方向(図3における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図3における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図3における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図3における矢印L参照)が「左」である。
図1乃至図3は、本発明に係る車両の一例である多目的車両の全体を示している。図1は、前後二列に着座可能な座席が存在する使用形態での全体側面図であり、図2は、前側一列にのみ着座可能な座席が存在する使用形態での全体側面図である。図3は、図1における使用形態での全体平面図である。
走行車体の前端部に、左右一対の前照灯4が備えられた前カバー5を設けてある。走行車体のうちの前カバー5よりも後方の部位に、ロプス6が備えられた搭乗部7を設けてある。走行車体の後部にダンプ作動可能な荷台8を配備してある。
搭乗部7の後方に配備された荷台8は、後述する伸展姿勢(前方寄り載置状態に相当する)と短縮姿勢(後方寄り載置状態に相当する)とに状態変更可能に構成されている。搭乗部7と荷台8との間には、搭乗部7と荷台8との間を仕切る仕切り部材15が配設されている。
このような段違い状の形状であることにより、立ち上がりフレーム部分11Cよりも後方側における後フレーム部分11Bの下方側に形成された空間部に、エンジン9を配設してある。エンジン9が出力する駆動力は走行ミッション10に入力され、変速された駆動力が前車輪2及び後車輪3に伝達されるようにして、4輪駆動型の走行車体が構成されている。
したがって、図1に示すように、搭乗部7が二列座席仕様であるときは、荷台8は短縮姿勢であり、後部座席17の座部17A(着座シートに相当する)がメインフレーム11のうちの、立ち上がりフレーム部分11Cよりも後方側の高い箇所の後フレーム部分11Bに搭載された状態で位置する。
そして、図2に示すように、搭乗部7が一列座席仕様であるときは、荷台8は伸展姿勢であり、メインフレーム11のうちの、立ち上がりフレーム部分11Cよりも後方側の高い箇所の後フレーム部分11Bには荷台8の延長部分が搭載された状態となり、後部座席17の座部17Aは前方側へ折り畳まれた状態となる。
このサスペンション機構は、機体フレーム1上の後部に設置される荷台8に重量物が搭載された場合にも、その緩衝機能が損なわれてしまうことがないように、後車輪3,3側のサスペンション機構が強いバネ力を有したもので構成されている。
このため、機体フレーム1上に設置された荷台8は、その荷台8に何も搭載されていない状態、もしくは搭載物が軽いものである場合には、荷台8の荷物積載面8Aが、水平面に対して少し前下がりに傾斜した面になる。
搭乗部7について説明する。
搭乗部7にはロプス6が備えられている。ロプス6は、搭乗部7のうちの前側部分に配備され、かつ前搭乗部空間13aを有する前搭乗部13(「運転用搭乗部」に相当)と、後搭乗部空間14aを有する後搭乗部14とを備えている。
左右の前部座席16,16のうち、左領域の前部座席16の前方にステアリングホイール12を設け、前搭乗部13が運転用の搭乗部に構成されている。左右の前部座席16,16は、図示しないガイドレールにより、各別に前後にスライド自在に構成されている。
座部17Aは、弾力性を有した座面となるクッション層部18と、そのクッション層部18を支持するシート取付フレーム19と、シート取付フレーム19をメインフレーム11に対して連結するための取付金具20とが備えられている。
したがって、取付金具20に前端側を連結されているシート取付フレーム19が前記横軸心x1回りで回動することにより、後部座席17の座部17Aが前記使用状態と格納状態とに姿勢切換えされる。
仕切り部材15の下端側は、背もたれ部17Bの背面側に設けた連結部材24に連結してある。仕切り部材15は、車体横向きの枠体と車体上下向きの枠体とを連結することによって作製された仕切りフレームと、仕切りフレームに張設された網状部材とを備えている。
荷台8について説明する。
図1,2に示すように、荷台8は、後端側に配置した車体横向きのダンプ支点軸27を介して車体に上下揺動するように支持してある。荷台8は、荷台8の下面側と機体フレーム1とにわたって装着してある昇降シリンダ28により、車体上に水平又はほぼ水平に位置した積載姿勢と、前端側が車体から上方に高く上昇したダンプ姿勢とにわたって起伏揺動操作可能に構成されている。
図5乃至図7及び図10に示すように、後部横板35は、後板32と共に底板30の後部側寄り位置に固定され、前部横板34は、その後端部が、荷物積載面8Aに対して交差する方向(上下方向)の揺動軸心y1回りで揺動可能に、後部横板35の前端部に連結支持されている。
前部横板34の前端部は、前板31に対して連結操作具36を介して係脱可能に構成され、前板31に対する係合を解除することによって、前記揺動軸心y1回りで前部横板34が揺動可能であるように構成されている。
これにより、図7及び図10に示すように、前板31が横軸心x3回りで前部底板30F側に折り畳まれ、かつ前部底板30Fが横軸心x2回りで後部底板30Rに対して起立する状態に、荷台8の姿勢を切り換えることができる。
図10のSTEP1に示す荷台8は、荷物積載面8Aの前後方向長さを最大にした伸展姿勢にある。図10のSTEP4に示す荷台8は、荷物積載面8Aの前後方向長さを最小にした短縮姿勢にある。
つまり、図10のSTEP3に示すように、前部底板30Fを、前方に倒伏揺動操作して、後部底板30Rと面一又はほぼ面一に並んだ伸展姿勢にする。次に、図10のSTEP2に示すように、前板31を、起立揺動操作して、前部底板30Fの前端部から立ち上がった伸展姿勢にする。次に、図10のSTEP1に示すように、左右の前部横板34を、荷台外側に向けて揺動操作して、後部横板35と面一又はほぼ面一に並んだ伸展姿勢に切り換えて、荷台8の全体を、前後長さが伸長した伸展姿勢に切り換えることができる。
前部横板34と後部横板35との連結箇所には、前板31との連結を解除された前部横板34が自重によって揺動することを規制することができるように、前部横板34の揺動に対する抵抗となる軽負荷を与えることが可能な揺動抵抗機構50が設けられている。
この揺動抵抗機構50は、図8及び図9に示すように、前部横板34の後端部と後部横板35の前端部との対向端部に備えたヒンジ連結部40に設けられている。
下部のヒンジ連結部40に設けられる支点ピン46は、頭付きピンによって構成され、その軸部46aを、下部のヒンジ連結部40におけるヒンジ用突片43,44に形成された枢支孔43a,44aに挿通して、枢支孔43a,44aの下側に突出した部分をβピンなどの止めピン46b(図9参照)で固定するように構成されている。
つまり、支点ピン45を構成するボルトナットを締め付け操作することで、ヒンジ用突片42と、支点ピン45の頭部45aとの間に介装した皿バネ51を圧縮変形させて、前部横板34の揺動軸心y1回りでの回動に軽い抵抗を与えられるようにしてある。この皿バネ51による回動抵抗が与えられることで、前部横板34の姿勢変更操作を作業性良く行うことができる。
つまり、伸展姿勢にある荷台8を短縮姿勢に切り換えようとした場合、図6に仮想線で示すように、一旦、左側の前部横板34を揺動軸心y1回りで時計回りに揺動操作し、後部横板35に対して交差する短縮姿勢に切り換えてから、荷台8の後方側を回って右側の前部横板34を揺動軸心y1回りで反時計回りに揺動操作する。このとき、同図に実線で示されるように、左側の前部横板34を先に屈曲させておいても、その左側の前部横板34が自重で勝手に戻ってしまうことがある。これは、荷台8が空荷であると揺動軸心y1が前傾姿勢となっていて、左側の前部横板34には、自重で揺動軸心y1回りにおける反時計回りに揺動する方向への戻し作用力が働いていることによる。この戻し作用力に対して、揺動抵抗機構50による回動抵抗が有効に作用するので、左側の前部横板34が伸展姿勢側に勝手に戻ってしまう、というような事態の発生を回避し易い。
この限界ストッパー37によって後方側への揺動を規制された前部横板34は、後部底板30Rの前端縁に沿う位置にあり、図7に示すように起立させた前部底板30Fに対向する状態になる。
図5乃至図7では、右側の後部横板35の前端部近くにおける内向き面にのみ限界ストッパー37が設けられた構造を図示しているが、左側の後部横板35の前端部近くにおける内向き面にも、同一仕様の限界ストッパー37が右側と同様な位置に設けられている。
また、図5乃至図7では、右側の前部横板34の前端部近くにおける内向き面にのみ、前板31に対して連結操作具36を設けた構造のものを図示しているが、左側の前部横板34の前端部近くにおける内向き面にも、同一仕様の連結操作具36が右側と同様な位置に設けられている。
前述した実施形態では、揺動抵抗機構50として皿バネ51で構成した構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、図示はしないが、皿バネ51に代えて、コイルスプリングや、ある程度の体積弾性変化可能な摩擦板を用いるなどしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
前述した実施形態では、揺動抵抗機構50として皿バネ51などの摩擦による抵抗を付与する構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、図11及び図12に示すように、ヒンジ連結部40のうちで、前部横板34側のヒンジ用突片41、もしくは後部横板35側のヒンジ用突片42の何れか一方に、支点ピン45の周方向で90度ずつ位相した四箇所に係合孔53を設け、他方に、前記係合孔53の二つに係合可能な板金製の突起部材54を設け、その二つの突起部材54が四箇所の係合孔53の二つに対して選択的に係合するように構成してもよい。
このように構成したものでは、係合孔53と突起部材54との係合する位置で前部横板34に対する揺動抵抗が増大し、係合が外れた位置では前部横板34に対する揺動抵抗が、係合した状態よりも低減するので、前部横板34の揺動操作を可能にし、かつ自重による揺動を抑制し得る揺動抵抗機構50として機能する。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
前述した実施形態では、揺動抵抗機構50を最上位のヒンジ連結部40に設けた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、揺動抵抗機構50を最上位のヒンジ連結部40よりも下方のヒンジ連結部40に設けてもよい。
また、ヒンジ連結部40を、上部と下部の二箇所に限らず、一箇所で上下に長い構造としたり、三箇所以上に設けたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
前述した実施形態では、揺動抵抗機構50をヒンジ連結部40に設けた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、ヒンジ連結部40から外れた箇所の前部横板34の下部に摩擦部材を連設するなど、適宜の構造を採用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
8 荷台
8A 荷物積載面
30 底板
31 前板
32 後板
33 横板
34 前部横板
35 後部横板
37 限界ストッパー
40 ヒンジ連結部
41,42,43,44 ヒンジ用突片
45,46 支点ピン
50 揺動抵抗機構
51 皿バネ
Claims (4)
- 走行車体上に荷台が配設され、
前記荷台が、荷物積載面を備えた底板と、
前記底板の前方側で、前記荷物積載面に対して交差する方向に沿って立設された前板と、
前記底板の後方側で、前記荷物積載面に対して交差する方向に沿って立設された後板と、
前記底板の左右両横側方で、前記荷物積載面に対して交差する方向に沿って立設された左右一対の横板と、を備えて上方開放の矩形箱状に形成され、
前記横板が、前記荷台の前方側寄り位置に備えた前部横板と、その前部横板の後方側に備えた後部横板との組み合わせで構成され、
前記前部横板と前記後部横板とのうち、前記前部横板が前記前板に対して係脱可能で、かつ前記荷物積載面に対して交差する方向の揺動軸心回りで揺動可能に前記後部横板に連結支持されていて、
前記前部横板が前記後部横板の延長方向に沿う伸展姿勢と、前記前部横板が前記後部横板に対して交差するように屈曲した短縮姿勢とに、前記荷台の前後長が変更可能に構成され、
前記前部横板と前記後部横板との連結箇所に、前記前板との連結を解除された前記前部横板が自重によって揺動することを規制するに足る軽負荷の揺動抵抗機構を設けてあり、
前記後部横板の前端部に、前記前部横板の所定以上の後方側への揺動を規制する限界ストッパーを設けてある車両。 - 前記前部横板の後端部と前記後部横板の前端部とは、それぞれの対向端部に設けたヒンジ連結部によって前記揺動軸心回りで揺動可能に連結され、そのヒンジ連結部に前記揺動抵抗機構が設けられている請求項1記載の車両。
- 前記ヒンジ連結部は、前記前部横板の後端部と前記後部横板の前端部とのそれぞれに設けたヒンジ用突片と、それぞれのヒンジ用突片を貫通する支点ピンとを備えて、上下方向の複数箇所に設けられ、
最上方位置の前記ヒンジ連結部が、前記支点ピンとして、前記前部横板の後端部と前記後部横板の前端部とのそれぞれに設けたヒンジ用突片同士を締め付け方向に緊締するボルトナットを備え、かつ、前記揺動抵抗機構として、前記ボルトナットの締め付けにともなって弾性変形して摩擦抵抗が増大する摩擦部材を備えている請求項2記載の車両。 - 前記摩擦部材は、前記ボルトナットと前記ヒンジ用突片との間に介装した皿バネによって構成されている請求項3記載の車両。
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