JP6555109B2 - 動力伝達装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等に搭載される動力伝達装置の制御装置に係る。特に、本発明は、複数の動力伝達経路が並列に設けられた動力伝達装置に適用される制御装置に関する。
従来、特許文献1に開示されているように、車両に搭載される動力伝達装置として、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、ベルト式無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられたものが知られている。
この種の動力伝達装置は、ギヤ走行用クラッチとベルト走行用クラッチとを備えている。前記第1の動力伝達経路によって動力伝達を行う際には、ギヤ走行用クラッチが係合され、ベルト走行用クラッチが解放される。一方、前記第2の動力伝達経路によって動力伝達を行う際には、ベルト走行用クラッチが係合され、ギヤ走行用クラッチが解放される。
ところで、特許文献2に開示されているように、動力伝達装置の制御としてニュートラル制御が知られている。このニュートラル制御は、シフトレンジが前進走行レンジであり、アクセル操作が行われておらず、且つ、車速が所定値以下であるときに、動力伝達用のクラッチを解放または半係合にするものである。これにより、エンジンに掛かる負荷を軽減して燃料消費率の改善を図る。また、車両の停車に伴ってエンジンを停止(所謂アイドリングストップ)するものでは、エンジン停止に先立ってニュートラル制御を実行しておくことでエンジン停止時に車体に生じるショックを軽減できる。
特開2015−105708号公報 特開2012−167587号公報
前述した第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達装置においてニュートラル制御を行う場合には、例えば、ベルト走行用クラッチが係合した第2の動力伝達経路による動力伝達状態(低車速での走行状態)においてニュートラル制御実行条件が成立することで、ベルト走行用クラッチを解放側に作動させる。また、これに連動させて、解放状態にあったギヤ走行用クラッチを、次回の車両発進時の応答性等を考慮して半係合状態にしておく。つまり、クラッチの架け替えを行う。
このクラッチの架け替えの際、ギヤ走行用クラッチの出力側(駆動輪側)の回転速度(以下、出力側回転速度という)がエンジン回転速度よりも高くなっていた場合には、ギヤ走行用クラッチが半係合状態となるのに伴ってエンジンが被駆動状態となる。例えば、クラッチの架け替えが開始される前に車両が走行していたことに起因して、前記出力側回転速度がエンジン回転速度よりも高くなっていることがあり、この場合、ギヤ走行用クラッチが半係合状態となるのに伴ってエンジンが被駆動状態となる。
その後、車速の低下に伴って駆動輪側からギヤ走行用クラッチに入力されるトルクが小さくなり、このトルクに比べてエンジントルクの方が大きくなると、エンジントルクがギヤ走行用クラッチに向けて出力される駆動状態となる。つまり、ニュートラル制御中にエンジンの被駆動状態と駆動状態とが切り替わることになる。その結果、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の間のバックラッシに起因するガタ詰め方向が反転し、歯打ち音やショックが発生してしまう虞がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達装置に対し、ニュートラル制御中の歯打ち音やショックを抑制できる動力伝達装置の制御装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、駆動力源からの動力を伝達する動力伝達経路として、ベルト式無段変速機を経由することなくギヤの噛み合いにより出力軸に向けて動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、前記ベルト式無段変速機を経由させて前記出力軸に向けて動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられ、第1クラッチの入力側に、前記駆動力源からの動力が伝達される遊星歯車装置が連繋され、該第1クラッチの出力側に、前記出力軸に繋がるギヤ機構が連繋され、該第1クラッチが前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放するようになっており、前記駆動力源からの動力が伝達される前記ベルト式無段変速機のセカンダリプーリと前記出力軸との間に第2クラッチが備えられ、該第2クラッチが前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放するようになっている動力伝達装置に適用される制御装置を前提とする。この動力伝達装置の制御装置に対し、前記第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態で所定のニュートラル制御実行条件が成立したことを検知するニュートラル制御実行条件検知部と、前記ニュートラル制御実行条件検知部によってニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際、前記第2クラッチの解放動作を開始すると共に、前記第1クラッチの出力側の回転速度が、前記第1クラッチの入力側の回転速度以下となったことを条件に、前記第1クラッチを動力伝達可能な状態まで係合させるクラッチ制御部を備えさせている。
ここでいう第1クラッチの出力側の回転速度および入力側の回転速度とは、第1クラッチを構成する各摩擦係合体(第1クラッチの解放状態では個別に回転し、係合状態では一体的に回転する各摩擦係合体)それぞれと一体的に回転する回転体の回転速度である。そして、これら回転速度は、前記回転体の回転速度を直接的に検出することで得るようにしてもよいし、この回転体に繋がる(例えば所定の減速比によって減速される)他の回転体の回転速度に減速比を乗算することによって求めるようにしてもよい。
この特定事項により、第2クラッチが係合され且つ第1クラッチが解放されて第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態で、ニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際、第2クラッチの解放動作を開始する。また、第1クラッチの出力側の回転速度が、第1クラッチの入力側の回転速度以下となったことを条件に、第1クラッチを動力伝達可能な状態まで係合させる。つまり、第1クラッチの出力側の回転速度が、第1クラッチの入力側の回転速度を超えている状況では、第1クラッチを動力伝達可能な状態に係合させることがない。このため、第1クラッチの入力側にある駆動力源が被駆動状態となることがない。ニュートラル制御が開始されると、車速の低下等に伴って第1クラッチの出力側からのトルクが小さくなっていき、第1クラッチの係合状態(半係合状態も含む)では、駆動力源が駆動状態となるが、前述したように、駆動力源が被駆動状態となることがないため、ニュートラル制御中に被駆動状態と駆動状態とが切り替わるといったことがない。その結果、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の間のバックラッシに起因するガタ詰め方向が反転して歯打ち音やショックが発生してしまうといったことが抑制できる。
本発明では、ニュートラル制御実行条件が成立した際に、第1クラッチの出力側の回転速度が、この第1クラッチの入力側の回転速度以下となったことを条件に、第1クラッチを動力伝達可能な状態まで係合させるようにしている。これにより、駆動力源が被駆動状態となることがなく、ニュートラル制御中に被駆動状態と駆動状態とが切り替わるといったことがなくなる。その結果、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の歯打ち音やショックの発生を抑制することができる。
実施形態に係る動力伝達装置の概略構成を説明するための骨子図である。 動力伝達装置による走行パターン毎の係合要素の係合表を示す図である。 動力伝達装置およびエンジンの制御系を示すブロック図である。 ニュートラル制御の手順を示すフローチャート図である。 実施形態におけるエンジン回転速度、タービン回転速度、プラネタリ出力軸回転速度、C2クラッチ油圧、C1クラッチ油圧それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。 比較例におけるエンジン回転速度、タービン回転速度、プラネタリ出力軸回転速度、C2クラッチ油圧、C1クラッチ油圧それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載された動力伝達装置に本発明を適用した場合について説明する。
−動力伝達装置の概略構成−
図1は、本実施形態に係る動力伝達装置1の概略構成を説明するための骨子図である。動力伝達装置1は、走行用の駆動力源であるエンジン2からのトルク(動力)を駆動輪7L,7Rに向けて伝達するものである。この動力伝達装置1は、トルクコンバータ3、前後進切換装置4、ベルト式無段変速機5(以下、単に無段変速機5という)、ギヤ機構6、出力ギヤ81が設けられた出力軸8、デファレンシャル装置9等を備えている。
この動力伝達装置1は、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、無段変速機5により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられている。具体的に、第1の動力伝達経路では、エンジン2から出力されたトルクがトルクコンバータ3を経由してタービン軸31に入力され、このトルクがタービン軸31から前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される。一方、第2の動力伝達経路では、前記タービン軸31に入力されたトルクが無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される。そして、車両の走行状態に応じて、動力伝達経路を第1の動力伝達経路と第2の動力伝達経路との間で切り替えるようになっている(この動力伝達経路切り替えのための構成については後述する)。
エンジン2は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。トルクコンバータ3は、エンジン2のクランク軸21に連結されたポンプ翼車32、および、タービン軸31を介して前後進切換装置4に連結されたタービン翼車33を備えている。また、ポンプ翼車32およびタービン翼車33の間にはロックアップクラッチ34が設けられている。このロックアップクラッチ34が完全係合することによってポンプ翼車32とタービン翼車33とが一体回転する。
前後進切換装置4は、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ダブルピニオン型の遊星歯車装置41を備えている。遊星歯車装置41のキャリヤ42がタービン軸31および無段変速機5の入力軸51に一体的に連結され、リングギヤ43が後進用ブレーキB1を介してハウジング11に選択的に連結され、サンギヤ44がプラネタリ出力軸45を介して小径ギヤ61に連結されている。また、サンギヤ44とキャリヤ42とは、前進用クラッチC1を介して選択的に連結される。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合要素である。
ギヤ機構6は、前記小径ギヤ61と、この小径ギヤ61に噛み合い且つ第1カウンタ軸62に相対回転不能に設けられた大径ギヤ63とを備えている。第1カウンタ軸62と同じ回転軸心まわりには、アイドラギヤ64が第1カウンタ軸62に対して相対回転可能に設けられている。また、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64との間には、これらを選択的に断接する噛合クラッチD1が設けられている。この噛合クラッチD1は、第1カウンタ軸62に形成されている第1ギヤ65と、アイドラギヤ64に形成されている第2ギヤ66と、これら第1ギヤ65および第2ギヤ66と噛合可能なスプライン歯が形成されたハブスリーブ67とを備えている。ハブスリーブ67がこれら第1ギヤ65および第2ギヤ66と嵌合することで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが接続される。また、噛合クラッチD1は、ハブスリーブ67が両ギヤ65,66と嵌合する際に回転を同期させる図示しないシンクロメッシュ機構を備えている。
アイドラギヤ64は、そのアイドラギヤ64よりも大径の入力ギヤ68と噛み合わされている。この入力ギヤ68は、無段変速機5のセカンダリプーリ53の回転軸心と共通の回転軸心上に配置されている前記出力軸8に対して相対回転不能に設けられている。出力軸8は、前記回転軸心まわりに回転可能に配置されており、前記入力ギヤ68および出力ギヤ81が相対回転不能に設けられている。前記前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が共に係合され、且つ後述するベルト走行用クラッチC2が解放されることで、エンジン2のトルクが、タービン軸31、前後進切換装置4およびギヤ機構6を経由して出力軸8に伝達される前記第1の動力伝達経路が形成される。このため、前記前進用クラッチC1が本発明でいう「第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放する第1クラッチ」に相当する。
無段変速機5は、タービン軸31に連結された入力軸51と出力軸8との間の動力伝達経路上に設けられ、入力軸51に設けられた入力側部材であるプライマリプーリ52と、出力側部材であるセカンダリプーリ53と、その一対のプーリ52,53の間に巻き掛けられた伝動ベルト54とを備えており、一対のプーリ52,53と伝動ベルト54との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
プライマリプーリ52は、入力軸51に固定された固定シーブ52aと、入力軸51に対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ52bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ52bを移動させる推力を発生させるプライマリ側油圧アクチュエータ52cとを備えている。また、セカンダリプーリ53は、固定シーブ53aと、この固定シーブ53aに対して軸まわりの相対回転が不能かつ軸方向の移動が可能に設けられた可動シーブ53bと、それらの間のV溝幅を変更するために可動シーブ53bを移動させる推力を発生させるセカンダリ側油圧アクチュエータ53cとを備えて構成されている。
前記一対のプーリ52,53のV溝幅が変化して伝動ベルト54の掛かり径(有効径)が変更されることで、実変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変更可能となっている。
また、無段変速機5と出力軸8との間には、これらの間を選択的に断接するベルト走行用クラッチC2が設けられている。このベルト走行用クラッチC2は油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合要素である。このベルト走行用クラッチC2が係合され、且つ前進用クラッチC1が解放されることで、エンジン2のトルクが、入力軸51および無段変速機5を経由して出力軸8に伝達される前記第2の動力伝達経路が形成される。このため、前記ベルト走行用クラッチC2が本発明でいう「第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放する第2クラッチ」に相当する。
出力ギヤ81は、第2カウンタ軸91に固定されている大径ギヤ92と噛み合わされている。第2カウンタ軸91には、デファレンシャル装置9のデフリングギヤ93と噛み合う小径ギヤ94が設けられている。デファレンシャル装置9は、周知の差動機構によって構成されている。
−動力伝達装置の作動−
次に、前記のように構成された動力伝達装置1の作動について、図2に示す各走行パターン毎の係合要素の係合表を用いて説明する。図2において、C1が前進用クラッチC1の作動状態に対応し、C2がベルト走行用クラッチC2の作動状態に対応し、B1が後進用ブレーキB1の作動状態に対応し、D1が噛合クラッチD1の作動状態に対応している。また、「○」が係合(接続)を示し、「×」が解放(遮断)を示している。
先ず、ギヤ機構6を経由してエンジン2のトルクが出力軸8に伝達される走行パターン、すなわち第1の動力伝達経路によってトルクが伝達される走行パターンについて説明する。この走行パターンが図2のギヤ走行に対応し、図2に示すように、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合される一方、ベルト走行用クラッチC2および後進用ブレーキB1が解放される。
前進用クラッチC1が係合されることで、前後進切換装置4を構成する遊星歯車装置41が一体回転するので、小径ギヤ61がタービン軸31と同回転速度で回転する。また、噛合クラッチD1が係合されることで、第1カウンタ軸62とアイドラギヤ64とが接続されて一体的に回転する。従って、前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合されることで、第1の動力伝達経路が成立し、エンジン2のトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、前後進切換装置4、ギヤ機構6、アイドラギヤ64および入力ギヤ68を経由して出力軸8および出力ギヤ81に伝達される。さらに、出力ギヤ81に伝達されたトルクは、大径ギヤ92、小径ギヤ94、およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。
次いで、無段変速機5を経由してエンジン2のトルクが出力軸8に伝達される走行パターン、すなわち第2の動力伝達経路によってトルクが伝達される走行パターンについて説明する。この走行パターンが図2のベルト走行(高車速)に対応し、図2のベルト走行に示すように、ベルト走行用クラッチC2が係合される一方、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1および噛合クラッチD1が解放される。
ベルト走行用クラッチC2が係合されることで、セカンダリプーリ53と出力軸8とが接続するので、セカンダリプーリ53と出力軸8および出力ギヤ81とが一体回転する。従って、ベルト走行用クラッチC2が接続されると、前記第2の動力伝達経路が成立し、エンジン2のトルクが、トルクコンバータ3、タービン軸31、入力軸51および無段変速機5を経由して出力軸8および出力ギヤ81に伝達される。さらに、出力ギヤ81に伝達されたトルクは、大径ギヤ92、小径ギヤ94、およびデファレンシャル装置9を経由して左右の駆動輪7L,7Rに伝達される。ここで、このベルト走行中に噛合クラッチD1が解放されるのは、ベルト走行中におけるギヤ機構6等の引き摺りをなくすとともに、高車速時においてギヤ機構6等が高回転化するのを防止するためである。
前記ギヤ走行は、低車速領域において選択される。第1の動力伝達経路によって動力伝達が行われている際のギヤ比(タービン軸31の回転速度Nin/出力軸8の回転速度Nout)は、無段変速機5の最大変速比γmaxよりも大きな値に設定されている。すなわち、この第1の動力伝達経路でのギヤ比は、無段変速機5では成立しない値に設定されている。そして、例えば車速Vが上昇するなどしてベルト走行の実行条件が成立すると、前記ベルト走行に切り替えられる。ここで、ギヤ走行からベルト走行(高車速)へ切り替える際、および、ベルト走行(高車速)からギヤ走行へ切り替える際には、図2のベルト走行(中車速)を過渡的に経由して切り替えられる。
例えばギヤ走行からベルト走行(高車速)に切り替えられる場合、ギヤ走行に対応する前進用クラッチC1および噛合クラッチD1が係合した状態から、ベルト走行用クラッチC2および噛合クラッチD1が係合した状態に過渡的に切り替えられる。すなわち、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の架け替え(有段変速)が開始される。このとき、動力伝達経路が第1の動力伝達経路から第2の動力伝達経路に切り替えられ、動力伝達装置1においては実質的にアップシフトされる。そして、動力伝達経路が切り替えられた後、不要な引き摺りやギヤ機構6等の高回転化を防止するために噛合クラッチD1が解放される。
また、ベルト走行(高車速)からギヤ走行に切り替えられる場合、ベルト走行用クラッチC2が係合された状態から、ギヤ走行への切り替え準備として噛合クラッチD1が係合される状態に過渡的に切り替えられる(ダウンシフト準備)。このとき、ギヤ機構6を経由して遊星歯車装置41のサンギヤ44にも回転が伝達された状態となり、この状態から前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の架け替え(前進用クラッチC1の係合、ベルト走行用クラッチC2の解放)が実行されることで、動力伝達経路が第2の動力伝達経路から第1の動力伝達経路に切り替えられる。このとき、動力伝達装置1にあっては実質的にダウンシフトされる。
−制御系−
図3は、動力伝達装置1およびエンジン2の制御系を示すブロック図である。ECU100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されている。このECU100は、エンジン2の出力制御、無段変速機5の変速制御やベルト挟圧力制御、動力伝達装置1の動力伝達経路を切り替える制御等を実行するようになっている。また、後述するように、ECU100は、ニュートラル制御も実行する。
ECU100には、エンジン回転速度センサ110により検出されたクランク軸21の回転角度(位置)Acrおよびエンジン2の回転速度(エンジン回転速度)Neを表す信号、タービン回転速度センサ111により検出されたタービン軸31の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、入力軸回転速度センサ112により検出された無段変速機5の入力軸51の回転速度である入力軸回転速度Ninを表す信号、出力軸回転速度センサ113により検出された車速Vに対応する出力軸8の回転速度である出力軸回転速度Noutを表す信号、スロットルセンサ114により検出された電子スロットル弁のスロットル開度θthを表す信号、アクセル開度センサ115により検出された運転者の加速要求量としてのアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、フットブレーキスイッチ116により検出された常用ブレーキであるフットブレーキが操作された状態を示すブレーキオンBonを表す信号、レバーポジションセンサ117により検出されたシフトレバーのレバーポジション(操作位置)Pshを表す信号、プラネタリ出力軸回転速度センサ118により検出されたプラネタリ出力軸45の回転速度(サンギヤ44および小径ギヤ61と同一の回転速度)Nc1を表す信号等が、それぞれ供給される。また、ECU100は、例えば出力軸回転速度Noutと入力軸回転速度Ninとに基づいて動力伝達装置1で成立している実変速比γ(=Nin/Nout)を逐次算出する。
また、ECU100からは、エンジン2の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機5の変速に関する油圧制御のための油圧制御指令信号Scvt、動力伝達装置1の動力伝達経路の切り替えに関連する前後進切換装置4(前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1)、ベルト走行用クラッチC2、噛合クラッチD1への油圧制御指令信号Sswt等が、それぞれ出力される。
具体的には、前記エンジン出力制御指令信号Seとして、エンジン2のスロットルバルブの開閉を制御するためのスロットル信号や、インジェクタから噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や、点火プラグの点火時期を制御するための点火時期信号などが出力される。
また、前記油圧制御指令信号Scvtとして、プライマリ側油圧アクチュエータ52cに供給されるプライマリ油圧を調圧する図示しないSLPソレノイドバルブを駆動するための指令信号、セカンダリ側油圧アクチュエータ53cに供給されるセカンダリ油圧を調圧する図示しないSLSソレノイドバルブを駆動するための指令信号などが油圧制御回路12へ出力される。
前記プライマリ油圧は、無段変速機5の変速比を調整するための油圧である。また、セカンダリ油圧は、ベルト挟圧を調整するための油圧である。つまり、無段変速機5の変速比制御は、アクセル開度Acc、車速V、ブレーキ信号Bonなどに基づいて算出される目標変速比となるように無段変速機5の変速比γが制御される。この際、無段変速機5のベルト滑りが発生しないようにしつつエンジン2の動作点が最適燃費線上となる無段変速機5の目標変速比を達成するように、プライマリ油圧およびセカンダリ油圧が調圧される。ECU100からは、目標プライマリ油圧を達成するためのプライマリ指示油圧の指令信号、および、目標セカンダリ油圧を達成するためのセカンダリ指示油圧の指令信号が油圧制御回路12へ出力される。そして、プライマリ指示油圧の指令信号に従ってSLPソレノイドバルブが作動し、セカンダリ指示油圧の指令信号に従ってSLSソレノイドバルブが作動する。
また、前記油圧制御指令信号Sswtとして、前進用クラッチC1、後進用ブレーキB1、ベルト走行用クラッチC2、噛合クラッチD1およびシンクロ機構それぞれの油圧アクチュエータに供給される油圧を制御する各リニアソレノイドバルブを駆動するための指令信号などが油圧制御回路12へ出力される。なお、このリニアソレノイドバルブとしては、前記前進用クラッチC1の係合、半係合、解放を切り替えるための油圧調整を行う図示しないSL1ソレノイドバルブ、および、前記ベルト走行用クラッチC2の係合、半係合、解放を切り替えるための油圧調整を行う図示しないSL2ソレノイドバルブが備えられている。以下では、前記SL1ソレノイドバルブによって調整されて前進用クラッチC1の係合、半係合、解放を切り替えるための油圧をC1クラッチ油圧と呼ぶこととする。同様に、前記SL2ソレノイドバルブによって調整されてベルト走行用クラッチC2の係合、半係合、解放を切り替えるための油圧をC2クラッチ油圧と呼ぶこととする。
−ニュートラル制御−
本実施形態における動力伝達装置1はニュートラル制御が実行可能となっている。先ず、このニュートラル制御の基本動作について説明する。
ECU100は、所定のニュートラル制御実行条件が成立したときに、前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2が解放または半係合となるように油圧制御回路12を制御して、これらクラッチC1,C2の係合力を低下ないし解除するニュートラル制御を行う。
ニュートラル制御実行条件は、例えば、シフトポジションが「D(ドライブ)ポジション」であり、アクセルペダルの操作量がゼロ(アクセルがオフ状態)であり、車速が所定値以下であることとされる。シフトポジションは前記レバーポジションセンサ117の出力信号に基づき検出され、アクセルペダルの操作量はアクセル開度センサ115の出力信号に基づき検出され、車速は前記出力軸回転速度センサ113の出力信号に基づき検出される。また、ブレーキON操作(ブレーキペダルの踏み込み操作)をニュートラル制御実行条件に加えるようにしてもよい。
また、ニュートラル制御は、所定の制御終了条件が成立することにより終了する。この制御終了条件は、例えば、アクセル開度センサ115からの出力信号に基づいてアクセルペダルの踏み込み操作が行われたことが検出された場合とされる。なお、前記ブレーキON操作をニュートラル制御実行条件とした場合には、ブレーキOFF操作も制御終了条件とされる。
次に、本実施形態の特徴であるニュートラル制御時における前進用クラッチC1およびベルト走行用クラッチC2の制御について説明する。
ニュートラル制御を行う場合、ベルト走行用クラッチC2が係合した第2の動力伝達経路による動力伝達状態においてニュートラル制御実行条件が成立することで、ベルト走行用クラッチC2を解放側に作動させ、これに連動させて、解放状態にあった前進用クラッチC1を係合側に作動させることになる。つまり、クラッチの架け替えを行う。そして、このニュートラル制御中は、例えば、前進用クラッチC1を半係合状態に維持する。
このクラッチの架け替えの際、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1がエンジン回転速度Neよりも高くなっていた場合には、前進用クラッチC1が半係合状態となるのに伴ってエンジン2が被駆動状態となってしまう。前述した如く、車速の低下に伴ってベルト走行からギヤ走行に移行する際には、ベルト走行(中車速)において噛合クラッチD1が係合状態となり(クラッチの架け替え開始前に噛合クラッチD1が係合状態となり)、駆動輪7L,7Rの回転に伴ってプラネタリ出力軸45も回転しているため、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1がエンジン回転速度Neよりも高くなっていることがある。この場合に、前進用クラッチC1が半係合状態になると、それに伴ってエンジン2が被駆動状態となってしまう。
その後、車速の低下に伴って駆動輪7L,7R側から前進用クラッチC1に入力されるトルクが小さくなり、このトルクに比べてエンジン2のトルクの方が大きくなると、エンジントルクが前進用クラッチC1に向けて出力される駆動状態となる。つまり、ニュートラル制御中にエンジン2の被駆動状態と駆動状態とが切り替わることになる。その結果、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の間のバックラッシに起因するガタ詰め方向が反転し、歯打ち音やショックが発生してしまう虞がある。
本実施形態はこの点に鑑み、ニュートラル制御中の歯打ち音やショックを抑制できる油圧制御を行うようになっている。
具体的には、前記第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態でニュートラル制御実行条件が成立したか否かを検知する。つまり、ベルト走行用クラッチC2が係合し、且つ前進用クラッチC1が解放している第2の動力伝達経路による動力伝達状態において、前述したニュートラル制御実行条件が成立したか否かを検知する。
そして、ニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際には、ベルト走行用クラッチC2の解放動作を開始すると共に、前進用クラッチC1の出力側の回転速度が、前進用クラッチC1の入力側の回転速度以下となったことを条件に、前進用クラッチC1を動力伝達可能な状態まで係合させる。具体的には、前記プラネタリ出力軸回転速度センサ118により検出されているプラネタリ出力軸45の回転速度Nc1が、エンジン回転速度センサ110により検出されているエンジン回転速度Ne以下となったことを条件に、前進用クラッチC1を動力伝達可能な状態(半係合状態)まで係合させるようにしている。
これらの動作は、前記ECU100によって実行される。
このため、ECU100において、第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態でニュートラル制御実行条件が成立したか否かを検知する動作を実行する機能部分が本発明でいうニュートラル制御実行条件検知部として構成されている。また、ECU100において、ニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際に、ベルト走行用クラッチC2の解放動作を開始すると共に、前進用クラッチC1の出力側の回転速度が、前進用クラッチC1の入力側の回転速度以下となったことを条件に、前進用クラッチC1を動力伝達可能な状態まで係合させる動作を実行する機能部分が本発明でいうクラッチ制御部として構成されている。
以下、ニュートラル制御の具体的な手順について図4のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、エンジン2の始動後、所定時間毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、現在の車両走行状態がベルト走行状態(ベルト走行中)であるか否かを判定する。前述したようにギヤ走行は低車速領域において選択される。このため、このステップST1の判定では、レバーポジションセンサ117により検出されているシフトレバーのレバーポジションがD(ドライブ)位置にあり、且つ出力軸回転速度センサ113により検出されている出力軸8の回転速度に対応する車速Vが所定値以上(例えば15km/h以上)である場合に、ベルト走行状態であるとしてYES判定されることになる。前記の値はこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
現在の車両走行状態がベルト走行状態ではなく(例えばギヤ走行状態であり)、ステップST1でNO判定された場合には、ニュートラル制御は実施されないため、そのままリターンされる。
現在の車両走行状態がベルト走行状態であり、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、ニュートラル制御実行条件が成立したか否かを判定する。つまり、前述したように、シフトポジションが「D(ドライブ)ポジション」であり、アクセルペダルの操作量がゼロ(アクセルがオフ状態)であり、車速が所定値以下であること等により成立するニュートラル制御実行条件が成立したか否かを判定する。
このステップST2の動作が、本発明でいう「ニュートラル制御実行条件検知部による動作であって、第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態で所定のニュートラル制御実行条件が成立したことを検知する動作」に相当する。
ニュートラル制御実行条件が成立しておらず、ステップST2でNO判定された場合には、ニュートラル制御の実行要求は無いとして、そのままリターンされる。
ニュートラル制御実行条件が成立しており、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、前記C2クラッチ油圧を低下させると共に、前記C1クラッチ油圧の制御としてファストフィル(前進用クラッチC1の係合準備のために一時的に供給油圧を高める制御)を実行する。この場合、ベルト走行用クラッチC2が半係合状態となるC2クラッチ油圧が得られるようにSL2ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。また、C1クラッチ油圧によるファストフィルが実行されるようにSL1ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。
その後、ステップST4に移り、ニュートラル制御実行条件が解除されたか否かを判定する。例えば、アクセルペダルの踏み込み操作が行われたことがアクセル開度センサ115からの出力信号に基づいて検出された場合に、ニュートラル制御実行条件が解除されたと判定される。
ニュートラル制御実行条件が解除されなければ、ステップST4でNO判定され、ステップST5で、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1が、エンジン回転速度Neに所定値αを加算した値(以下、回転速度閾値という)以下になっているか否かを判定する。エンジン回転速度Neは、前記エンジン回転速度センサ110の出力信号に基づいて算出される。また、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1は、プラネタリ出力軸回転速度センサ118の出力信号に基づいて算出される。また、前記所定値αは任意の値であって例えば0に設定される。なお、この所定値αは0以外の値であってもよい。例えば、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1がエンジン回転速度Neに対して十分に低下した時点においてステップST5でYES判定されるようにする場合には、この所定値αは負の値に設定される。この場合の所定値αは実験またはシミュレーションに基づいて設定される。
ニュートラル制御が開始されることに伴って、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1は次第に低下していくが、この回転速度Nc1が、前記回転速度閾値を超えている場合にはステップST5でNO判定されてステップST4に戻る。そして、回転速度Nc1が、未だ前記回転速度閾値を超えている状態で、ニュートラル制御実行条件が解除され、ステップST4でNO判定された場合には、ステップST6に移り、C2クラッチ油圧を上昇させると共に、C1クラッチ油圧を0に戻してリターンされる。この場合、ベルト走行用クラッチC2が係合状態となるC2クラッチ油圧が得られるようにSL2ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。また、C1クラッチへの供給作動油がドレンされるようにSL1ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。
ニュートラル制御実行条件が解除されることなく、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1が回転速度閾値以下になった場合には、ステップST5でYES判定され、ステップST7に移る。このステップST7では、C1クラッチ油圧を上昇させる。この場合、前進用クラッチC1が半係合状態となるC1クラッチ油圧が得られるようにSL1ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。
このステップST3〜ST7の動作が、本発明でいう「クラッチ制御部による動作であって、ニュートラル制御実行条件検知部によってニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際、第2クラッチの解放動作を開始すると共に、第1クラッチの出力側の回転速度が、第1クラッチの入力側の回転速度以下となったことを条件に、第1クラッチを動力伝達可能な状態まで係合させる動作」に相当する。
その後、ステップST8で、ECU100に備えられたタイマのカウントを開始させ、ステップST9で、このタイマのカウントが終了(タイムアップ)したか否かを判定する。このタイマのカウントが開始してから終了するまでの時間は、前記ステップST7で、C1クラッチ油圧の上昇が開始されてから、前進用クラッチC1が半係合状態となるまでの時間として、予め実験やシミュレーションによって設定されている。
タイマがタイムアップし、ステップST9でYES判定された場合には、ステップST10に移り、C2クラッチ油圧を0に設定する。この場合、ベルト走行用クラッチC2への供給作動油がドレンされるようにSL2ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。
その後、ステップST11に移り、ニュートラル制御からの復帰条件(例えばアクセルON操作やブレーキOFF操作等)が成立したか否かを判定する。この復帰条件が成立していない場合には現在のニュートラル制御の実行状態を継続するべく、前記復帰条件が成立するのを待つ。
一方、ニュートラル制御からの復帰条件が成立した場合には、ステップST11でYES判定されてステップST12に移り、C1クラッチ油圧を上昇させる。この場合、前進用クラッチC1が係合状態となるC1クラッチ油圧が得られるようにSL1ソレノイドバルブへの制御指令信号を油圧制御回路12に送信する。
このような油圧制御が行われるため、前記ECU100によって(より具体的には、前述したECU100における各機能部分によって)本発明に係る動力伝達装置の制御装置が構成される。この制御装置は、エンジン回転速度センサ110、出力軸回転速度センサ113、アクセル開度センサ115、レバーポジションセンサ117、プラネタリ出力軸回転速度センサ118等からの各信号を入力信号として受信する構成となっている。また、この制御装置は、SL1ソレノイドバルブ、SL2ソレノイドバルブ等への指令信号を出力信号として出力する構成となっている。
図5は、本実施形態におけるエンジン回転速度Ne、タービン回転速度Nt、プラネタリ出力軸回転速度Nc1、C2クラッチ油圧、C1クラッチ油圧それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。また、図6は、比較例における同様のタイミングチャート図である。これらタイミングチャート図では、エンジン回転速度Neを太い実線で、タービン回転速度Ntを細い実線で、プラネタリ出力軸回転速度Nc1を一点鎖線でそれぞれ表している。また、二点鎖線は、各走行状態における同期回転速度である。また、これらの図に示すものは、ニュートラル制御の実行後、エンジンを停止させるアイドリングストップ制御に移行するものとなっている。
図6に示す比較例は、ニュートラル制御実行条件が成立した際に、プラネタリ出力軸回転速度Nc1が回転速度閾値(ここではエンジン回転速度Ne)以下になるのを待つことなく、前進用クラッチC1を半係合状態まで作動させるものとなっている。
この比較例では、図6のタイミングt1でニュートラル制御実行条件が成立しており、このタイミングt1でC2クラッチ油圧が低下してベルト走行用クラッチC2が半係合状態とされている。また、タイミングt2(プラネタリ出力軸回転速度Nc1がエンジン回転速度Neよりも高い状況)で、C1クラッチ油圧が上昇して前進用クラッチC1を半係合状態まで作動させている。また、タイミングt3でC2クラッチ油圧が0となり、ベルト走行用クラッチC2が解放されている。その結果、タービン回転速度Ntが急上昇し、タイミングt4で、タービン回転速度Ntがエンジン回転速度Neを超えることになってエンジンが被駆動状態となっている。その後、車速の低下に伴って、タービン回転速度Ntも低下していき、タイミングt5でエンジンが駆動状態となっている。つまり、この比較例では、ニュートラル制御中に被駆動状態と駆動状態とが切り替わることになり、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の間のバックラッシに起因するガタ詰め方向が反転して、歯打ち音やショックが発生してしまう虞がある。なお、タイミングt6で、エンジンを停止させてアイドリングストップ制御に移行すると共に、次回の車両発進時の応答性等を考慮して、前進用クラッチC1を係合側に作動させている。
これに対し、本実施形態におけるニュートラル制御では、図5におけるタイミングT1でニュートラル制御実行条件が成立しており、このタイミングT1でC2クラッチ油圧が低下してベルト走行用クラッチC2が半係合状態とされている。また、タイミングT2で、C1クラッチ油圧によるファストフィルを実行している。この時点(プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1がエンジン回転速度Neよりも高い状況)では、前進用クラッチC1は動力伝達可能な係合状態とはなっていない。
そして、タイミングT3で、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1がエンジン回転速度Ne以下に達すると、C1クラッチ油圧が上昇して前進用クラッチC1を半係合状態まで作動させている。この際、タービン回転速度Ntの急上昇を招くことはなく、ニュートラル制御中はエンジン2は駆動状態が維持される。
そして、タイミングT4でC2クラッチ油圧が0となり、ベルト走行用クラッチC2が解放されている。また、タイミングT5で、エンジンを停止させてアイドリングストップ制御に移行すると共に、次回の車両発進時の応答性等を考慮して、前進用クラッチC1を係合側に作動させている。
このように、本実施形態におけるニュートラル制御では、ニュートラル制御中にエンジン2の被駆動状態と駆動状態とが切り替わるといったことがない。
以上説明したように本実施形態では、第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態で、ニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際、ベルト走行用クラッチC2の解放動作を開始する。また、前進用クラッチC1の出力側の回転速度(本実施形態ではプラネタリ出力軸45の回転速度Nc1)が、前進用クラッチC1の入力側の回転速度(本実施形態ではエンジン回転速度Ne)以下となったことを条件に、前進用クラッチC1を動力伝達可能な状態まで係合させる。つまり、前進用クラッチC1の出力側の回転速度が、前進用クラッチC1の入力側の回転速度を超えている状況では、前進用クラッチC1を動力伝達可能な状態に係合させることがない。このため、エンジン2が被駆動状態となることがない。このため、ニュートラル制御中にエンジン2の被駆動状態と駆動状態とが切り替わるといったことがない。その結果、動力伝達経路に配設されているギヤ同士の間のバックラッシに起因するガタ詰め方向が反転して歯打ち音やショックが発生してしまうといったことが抑制できる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、前進用クラッチC1の出力側の回転速度として、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1を、前進用クラッチC1の入力側の回転速度として、エンジン回転速度Neをそれぞれ適用した場合について説明した。本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前進用クラッチC1の出力側の回転速度として、第1カウンタ軸62の回転速度を適用したり、出力軸8の回転速度を適用してもよい。但し、この場合、これら回転速度は、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1に代用されるものであるため、このプラネタリ出力軸45との間の減速比を乗算して本発明に適用する必要がある。また、前進用クラッチC1の入力側の回転速度としては、タービン回転速度Ntを適用したり、キャリヤ42の回転速度を適用してもよい。
また、前記実施形態では、駆動力源としてエンジン2のみを搭載した車両に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、駆動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載したハイブリッド車両や、駆動力源として電動モータのみを搭載した電気自動車に対しても適用が可能である。
また、前記実施形態では、エンジン回転速度Ne、タービン回転速度Nt、プラネタリ出力軸45の回転速度Nc1を何れもセンサにより検出するものとしたが、各種のパラメータを利用してこれら回転速度を推定するものとしてもよい。
本発明は、ギヤの噛み合いにより動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、ベルト式無段変速機により動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられた動力伝達装置のニュートラル制御に適用可能である。
1 動力伝達装置
12 油圧制御回路
2 エンジン(駆動力源)
45 プラネタリ出力軸
100 ECU
110 エンジン回転速度センサ
113 出力軸回転速度センサ
115 アクセル開度センサ
117 レバーポジションセンサ
118 プラネタリ出力軸回転速度センサ
C1 前進用クラッチ(第1クラッチ)
C2 ベルト走行用クラッチ(第2クラッチ)

Claims (1)

  1. 駆動力源からの動力を伝達する動力伝達経路として、ベルト式無段変速機を経由することなくギヤの噛み合いにより出力軸に向けて動力伝達を行う第1の動力伝達経路と、前記ベルト式無段変速機を経由させて前記出力軸に向けて動力伝達を行う第2の動力伝達経路とが並列に設けられ、
    第1クラッチの入力側に、前記駆動力源からの動力が伝達される遊星歯車装置が連繋され、該第1クラッチの出力側に、前記出力軸に繋がるギヤ機構が連繋され、該第1クラッチが前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放するようになっており、
    前記駆動力源からの動力が伝達される前記ベルト式無段変速機のセカンダリプーリと前記出力軸との間に第2クラッチが備えられ、該第2クラッチが前記第2の動力伝達経路によって動力を伝達する際に係合し且つ前記第1の動力伝達経路によって動力を伝達する際に解放するようになっている動力伝達装置に適用される制御装置において、
    前記第2の動力伝達経路によって動力伝達を行っている状態で所定のニュートラル制御実行条件が成立したことを検知するニュートラル制御実行条件検知部と、
    前記ニュートラル制御実行条件検知部によってニュートラル制御実行条件が成立したことが検知された際、前記第2クラッチの解放動作を開始すると共に、前記第1クラッチの出力側の回転速度が、前記第1クラッチの入力側の回転速度以下となったことを条件に、前記第1クラッチを動力伝達可能な状態まで係合させるクラッチ制御部を備えていることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。
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