以下、本発明の一実施例を図1から図14に従って説明する。
図1は、一実施例の加熱調理器であるクッキングヒータを、システムキッチン1に設置した状態の斜視図であり、図2は、クッキングヒータの分解した図である。また、図3はプレート3を外した本体2内部の上面図である。
図1、図2において、1はシステムキッチン、2はクッキングヒータの本体で、図ではシステムキッチン1の天板1aに設けられた開口部からクッキングヒータ本体2を落とし込んで据え付けている状態を示す。3はこの本体2の上面部に配置されるプレートで、被加熱物が載置されるもので、耐熱性が高いガラスやセラミックで形成されている。本実施例では、上面3bに載置した鍋を誘導加熱し、発熱した鍋底の温度をプレート3を介して検出する。
4はプレート3の外周端面四辺を保持し保護するプレート枠である。6は被加熱物である鍋(図示無し)を載置する位置を示す載置部で、この載置部6のプレート3を挟んで対応した位置に三口の前記鍋を誘導加熱する加熱コイル60が設置されている。ちなみに、載置部6は、プレート3の上面手前の右に載置部右6a、左に載置部左6bが配置され、これら両載置部6a,6b間の奥(中央後部)に載置部中央6cが配置されている。
前記した渦電流は、右加熱コイル60a、左加熱コイル60b、中加熱コイル60cに例えば20kHz〜40kHz程度の高周波電流を流して磁束を時間的に変化させることで発生する。右加熱コイル60a(60a1,60a2(図3))、左加熱コイル60b(60b1,60b2(図3))、中加熱コイル60c(60c1,60c2(図3))は、インバータ回路の駆動によって高周波電流が流れる加熱コイルで、加熱コイル60の外周には加熱コイル60外周に磁束が漏れるのを防止するシールドリング61が設けられている。このシールドリング61と載置部6を示す位置とは略一致する位置関係にある。また、コイルベース31に載置されている。加熱コイル60の中心付近にプレート3の下面3a(図4)に接触してプレート3越しに鍋底の温度を検出するサーミスタタイプの温度センサ34が設置されている。
そして、本体2には基板台73a、73b上に載置した右基板7a、左基板7bを備えている。
9はプレート3の前側に設けられた上面操作部で、前記鍋を加熱する加熱コイル60の火力や加熱時間の設定を行う。10は上面操作部9の奥側に位置する上面表示部で、上面操作部9にて設定された情報の表示を行う。
2aは本体2の後方に設けられた吸気口で、8は本体2の後方のバックフレーム23に設けられた排気口である。ファン装置Fにより吸気口2aより吸気された外気が発熱部品である加熱コイル60や電子部品を冷却した後の廃熱を排気口8より本体2外に排出される。
図3で加熱コイル60について説明する。
本体2の右基板7a、左基板7bを覆う右基板カバー66a、左基板カバー66bの上にコイルベース31で支持して加熱コイル60が設けられている。以下では、代表で右加熱コイル60aについて説明する。
右加熱コイル60aは、同心円状の同一平面上に設けられた内側加熱コイル60a1と外側加熱コイル60a2で構成され通常二重加熱コイルと呼ばれ、内側加熱コイル60a1の外端と外側加熱コイル60a2の内端が電気的に接続されている。内側加熱コイル60a1と外側加熱コイル60a2との間には隙間60a3を設けて配置している。図3に示すように、左加熱コイル60b、中加熱コイル60cともに同様の構造となっている。
図4は、プレート組14を裏返した状態を示し、プレート3の下面3aを示す図である。プレート組14はプレート3の下面3aにプレート3の外周を保持する保持部材15と、プレート3の外周を保護するプレート枠4と、プレート3の下面3aの手前に保持される操作表示基板17とで構成する。プレート3の下面3aの外周には保持部材15がシリコン等の接着剤で貼り付けている。
図4に示すように、プレート3の下面3aには印刷16が施され、ベース16g(図13の主色塗料16a)で外観を装飾し、且つ、本体2内部の構成部品をプレート3上面から見えないようにしている。また、印刷16を施さない窓16fを設け、本体2内部に配置する液晶や発光体などによる火力表示などをプレート3の上面3bから視認できる上面表示部10を構成する。
プレート3の上面3bは、場合により載置部6周囲に鍋の横滑り防止のため直径約1mmのドット柄16e(図13)が印刷されているものがある、ここでは図示を省略する。
下面3aには、図2で示した載置部6を示す載置部表示16cをベース16gと異なる色で明瞭に印刷される。また、プレート3の手前には、横一列に操作キーの枠と名称などを示す入力部の表示が配置される。
次に、図5を用いて、プレート3の下面3aに設ける温度センサ70について説明する。
プレート3の裏面に設けられた温度センサ70(41、42、43、44、45)は、加熱される鍋(被加熱物)の鍋底の温度検出を行うものである。この温度センサ70は、温度に応じて導体抵抗が変化する銀ペースト、銅ペースト等の導電材料を線状に塗布したものであり、プレート3を介して熱伝導した鍋底温度をその抵抗変化に基づいて検出するものである。本実施例では、加熱コイル60に対向したプレート3の面(下面3a)に導体40を印刷し、導体40の温度に依存して変化する抵抗変化を捉えている。
なお、導体40としては、銀ペーストに代え、基材に銀箔、または、銅箔を張り付け、該銅箔をエッチングにより不要部を取り除いた導体40を設けてもよい。そして前記基材をプレート3と加熱コイル60との間に設けても良い。前記基材は硬質でも軟質でも良い。さらに銅箔などの温度によって抵抗変化する導体を加工(裁断)して導体を設けても良い。
本実施例ではプレート3に導体40をスクリーン印刷で塗布して、焼き付けた構成について以下説明する。図13に示すように、導体40は、プレート3の主材であるガラスの下面3aから順に主色塗料16a(図4のベース16g)、耐熱塗料16b、導電塗料(導体40)、耐熱塗料16cと積層し、導体40の端子部40cは、銀ペーストの導体40にカーボンを重ねて導通を確保して最も下の耐熱塗料16cの下へ露出して設けている。すなわち、導体40が塗料に埋設するように設けられている。重ね塗りをする理由は、導電塗料(導体40)が透明なプレート3を使用した場合は上面3b側から見えないようにするためであり、また本体2の内部は発熱部品によって温度上昇し、冷却用として吸気した空気に導体40が暴露される事の無いように耐環境性を確保するためである。もし、プレート3の基材に不透明な材料を使用した場合、プレート3の下面3aに導体40を印刷した後重ね塗りをしても良い。導体40の引き回しを見えるようにデザインする場合も同様にプレート3の下面3aに導体40を印刷した後に重ね塗りしてもよい。導体40の塗布後に重ね塗りする理由として、特に注意する現象として、銀のマイグレーション現象によって導体40の短絡を防止している。
次に図5、図6により、温度センサ70(導体40)について説明する。
温度センサ70は、温度検知部40aと引き出し線40bと端子部40cとの3の構成から成っている。例えば、図5の右側の温度センサの拡大図である図6により、導体44a(温度センサ70)で説明すると、温度検知部44a1と引き出し線44a2と端子部44a3である。
また温度センサ70は、一端側の端子部40cから他端側の端子部40cまで交わる事が無く途切れる事の無い同じ太さの導体を平行線で構成している(端子部40cへの引き回し部を除いて)。図6で、例えば導体44a(温度センサ70)で説明すると、往路は一端側の端子部44a3から一端側の引き出し線44a2そして一端側の温度検知部44a1を経て、この温度検知部44a1の先端部44a5で折り返して、復路は、他端側の温度検知部44a1から他端側の引き出し線44a2そして他端側の端子部44a3へと交わる事が無く途切れる事の無い同じ太さの線状の導体を平行線で描いた構成となっている。
導体を平行線(略導体の幅一本分の間隔をあけた状態)で構成し、隣接する導体に流れる電流の向きが相反する向きとすることで、加熱時の加熱コイル60の磁束の影響を軽減している。また、前記導体40を折り返して平行線を構成する事で、導体の往路と復路の長さが同じにすることで加熱時の加熱コイル60の磁束の影響を軽減している。さらに、温度センサ70の導体40は、加熱コイル60と直交することで、加熱時の加熱コイル60の磁束の影響を軽減している。加えて、温度センサ70の導体40には、直流電圧源90(図8)を切り替えて流れる電流を流すことで、平行線で近接する導体間に発生するマイグレーション現象を防止している。詳細は後述する。
次に温度センサ70(導体40)の引き回しについて説明する。温度センサ70は、鍋を載置部6に載置して加熱した時に、鍋底の温度が高くなる位置の温度を効率よく検知できるように、加熱コイル60と略対向するプレート3の下面3aの位置に設けられている。例えば右加熱コイル60aの内側加熱コイル60a1と外側加熱コイル60a2からなる二重コイルの場合は、内側加熱コイル60a1と外側加熱コイル60a2と各々の加熱コイルと対向するプレート3の下面3aに導体44と導体43を設けている。図5に示すように、左加熱コイル60bも同様の導体42と導体41を設け、中加熱コイル60cでは外側加熱コイル60c2側のみに対向面に導体45を設けている。以下温度センサ70の説明は代表して右加熱コイル60a側に設けた温度センサ70について説明する。
加熱コイル60に対向した面に設けた温度センサ70は、加熱コイル60のコイル形状に沿って、円周方向に複数個の独立した温度センサ70からなっている。
例えば右加熱コイル60aの内側コイル60a1に対向するプレート3の下面に設けた温度センサ(導体44)は、導体44aと導体44bの2個の温度センサが独立して設けられている(左加熱コイル60bの内側加熱コイル60b1側に設けた導体42も同様)。右加熱コイル60aの外側加熱コイル60a2に対向するプレート3の下面に設けた温度センサ(導体43)は、導体43a〜43fの6個の独立した温度センサから成る(左加熱コイル60bの外側加熱コイル60b2側に設けた導体41も同様)。中加熱コイル60c側に設けた導体45は導体45a〜45dの4個の独立した温度センサから成っている。各導体40の引き出し線40bは、磁束の影響を最小限にするため加熱コイル60と直交して最短距離でシールドリング61の外側に引き出している。その際、シールドリング61を横切るときも直交するようにしている。
また、最低限、同一加熱コイル60に対向したプレート3の下面3aに設けられる複数の独立した温度センサ70の導体40の全長は同じ長さに定め、前記複数の導体40の温度検出部40aの導体の長さも同じに設けられている。例えば、右加熱コイル60aの場合は、内側加熱コイル60a1と外側加熱コイル60a2に対向するプレート3の下面3aに独立して設けられた8個の導体の全長は、導体43a〜導体43fと導体44aと導体44bともに同じである。また、各導体の温度検出部43a1〜温度検出部43f1と温度検出部44a1と温度検出部44b1の長さは同じ長さとなっている。理由は、加熱している時の鍋底の極小部の異状加熱を検出するために、同一鍋の鍋底の温度を検出している8個の温度センサ70は、単位長当たりの温度変化による抵抗変化を同じに設定して、8個の温度センサ70の検出する温度変化から温度変化率を監視し、複数の温度センサの示す温度変化率に対して急激に温度変化率が大きい値を示す温度センサ70の配置した位置に対応する鍋底の温度が異常加熱していると判断できる。もしくは、特定の温度変化率以上に大きな変化率を示した時に異常と判断しても良い。各温度センサ70の全長(抵抗値)が異なる場合はソフトで補正することも可能である。しかし、本実施例で示すように、導体40の本数が多い場合の管理が大変である。そこで、本実施例ではすべての導体40の太さ、長さ、抵抗値を略統一している。
温度センサ70は鍋の温度変化を捉えて抵抗変化するため、導体40の引き出し線40bの長さは短い方が良い。また、最低限の長さに全数の導体40の長さをそろえる必要がある。そこで、全数の導体40を最短距離で描ける引き回しにおいて、一番線長が長くなる導体40の線長に全数の導体40の長さを揃えるものである。そのため、温度検出部40aから引き出した引き出し線40bを最短距離で加熱コイル60とシールドリング61を直交した後、一カ所に集められた端子部40cに引き出し線40bを最短距離となるように引き回すと良い。この場合、先に決めた導体40の長さでは引き出し線40bの長さが長い場合が発生するので、引き出し線40bには引き出し線40bを折り返して長さを調整する調整部40dを設けている。この調整部40dは加熱している鍋の温度の影響を受けにくい場所に設けると最適である。しかし、スペースや導体40の長さの関係で調整部40dを鍋の温度の影響を受けにくい場所に設けられない場合は、調整部40dをシールドリング61の外側に設けることでも良い。シールドリング61の外側では加熱コイル60の磁束の影響を受けにくくなるので、鍋底がシールドリング61の外側に出ている箇所では加熱時に異常加熱されることは無く、シールドリング61の外側に出ている鍋底の温度は加熱コイル60上方の加熱されている鍋底からの熱伝導によって加熱された熱によって温度上昇し、その熱がプレート3を介して引き出し線40bに熱が伝わる。その場合、シールドリング61の外側の引き出し線40bに鍋底の温度の影響が無い場合と比べて、導体40の抵抗値は異なるが温度変化率はほぼ同じになる。そのため、複数の導体40の示す温度変化率に対して急激に温度変化率が大きい値を検出した時に鍋底の異常加熱を検出するシステムでは特に問題は無い。もちろん調整部40dの隣接する導体の引き回しは平行である。
なお、ここでは、温度センサ70の、温度検知部40aと引き出し線40bに同じ導電材料を用いる例を示したが、温度検知部40aの抵抗変化率を引き出し線40bの抵抗変化率よりも大きくしても良い。このように構成することで、鍋温度を測定する温度検知部40aの感度を高めつつ、引き出し線40bが検出するノイズの影響を低減することができる。
次に温度検出部の導体の引き回しについて説明する。本実施例では、二種類の温度検出部の形状を説明する。
一例目は、導体44で示している温度検出部44a1と温度検出部44b1の形状である。この形状は、内側加熱コイル60a1の上方の鍋底の温度を効率よく検出できるように内側加熱コイル60a1の円周方向に導体40を矩形波状に引き回した例である。この矩形波の幅H3は略内側加熱コイル60a1の加熱コイルの幅H1(図3)と略同じで加熱コイルを横切るピッチP1は後述する温度検出部43a1の矩形波のピッチP2より狭くすることで鍋底の単位面積当たりの温度を検出する導体40の面積を大きくすることが可能となり、内側加熱コイル60a1の上方の鍋底の温度を効率よく検出できるようにしている。この温度検出部44a1と温度検出部44b1の形状は、加熱コイルを横切る矩形波A1部は加熱コイルを直交して横切り、矩形波のA1部の延長線上に加熱コイル60の中心がある。中加熱コイル60cの外側加熱コイル60c2側に設けた導体45も同様である。
二例目は、導体43で示している温度検出部43a1〜温度検出部43f1の形状である。この形状は、外側加熱コイル60a2の上方の鍋底の温度を効率よく検出できるように外側加熱コイル60a2の円周方向に導体40を矩形波形状に引き回し、矩形波の数が同じになる位置で折り返した矩形波形状である。この引き回した温度検出部43a1は、鍋底の温度の高くなる位置に合わせて温度検出部43a1の感度を高くした例で、鍋底の急激な温度上昇を早く検出するためのものである。外側加熱コイル60a2で加熱される被加熱物(鍋底)の温度が高くなる位置が、外側加熱コイル60a2の例えばコイル幅H2の略半分の円周の場合、該円周の位置に対応する鍋底の単位面積当たりの温度を検出する導体40の面積を大きくすることで鍋底の急激な温度上昇を効率よく早く検出できるようにしている。この温度検出部43a1の形状は、矩形波の長手方向のA2の長さを外側加熱コイル60a2の幅H2の略半分の長さ、矩形波の折り返す位置は、矩形波の短手方向のB2とB3とが向かい合う位置関係となるように配置する。そうすることで、向かい合う短手方向のB2とB3との各導体と隣接する隣同士の導体に流れる電流の向きが必ず反対方向となり、短手方向のB2とB3で磁界の影響を打ち消し、導体自身の温度上昇を防止するので影響を受け難くしている。
以上説明したように、温度センサ70は、加熱コイル60によって加熱される被加熱物(鍋)の鍋底の温度検出できるように、加熱コイル60と対向するプレート3の下面3aに略加熱コイル60の形状に合わせ、コイル形状の円周状に独立した複数の温度センサ70(導体40)を設けたものである。正常時は同一加熱コイル上に設けた独立した各温度センサ70は、加熱時にほぼ同じ温度上昇を示す。何かの理由で鍋底の一部分が異常加熱した時は、異常加熱した鍋底の位置と対向する箇所に配置した温度センサ70が加熱されて導体40の抵抗が急激に変化することで異常加熱の発生を検出する事ができる。また、前記検出時に同一加熱コイルの上に配置した他の温度センサ70の温度検出状態と比較する事で、何らかの影響で部分的に異常加熱していることが正確に検出する事が可能となる。また、これらの比較から、各温度センサ70の剥離や、プレート3の破損を検出することもできる。
また、導体40の抵抗値変化で温度ムラを検出してもよい。載置部6以外に高温の鍋の載置を検知できるように温度検出部40a以外の引き出し線40bで温度を検出しても良い。
温度センサ70は、プレート3に載置されている鍋底の温度検出以外に、温度センサ70(導体40)の断線検知の機能を利用したプレート3の割れ検知や後述する端子接続部46の接続不良の検出も可能であり、そのため、温度センサ70の配置は加熱コイル60対向するプレート3の下面3a以外に鍋を載置する可能性の有る位置に配置して、プレート3の割れ検知や高温の鍋検知に使用する事が出来る。図5に示す導体40の配置例としては、端子接続部46の近傍に導体47と、上面表示部10の近傍に導体48を配置している。
また、温度センサ70の状態確認として、加熱コイル60に設けた温度センサ34の検出温度に基づいて温度センサ70の抵抗値を確認している。調理を開始するために本体2の電源スイッチ(図示無し)を入れた時、温度センサ34の検出温度を確認して、全ての温度センサ34の検出値が特定温度以下(例えば35℃以下)の時に、温度センサ70の導体40の配置されている近傍の温度センサ34の温度をもとに温度センサ70の導体抵抗を補正している。
次に端子接続部46について説明する。各温度センサ70の端子部40cは略一カ所に集め端子接続部46を形成している。各端子部40cはプレート3の鍋の載置される可能性の低い上面表示部10の近傍の前側に集結して設け、後述する接続部57で接続されて制御手段に接続される。
端子部40cは、後述のピン51を接触して接続するため、本体2にプレート3を組み付けるときの取付けバラツキの位置ずれ、部品寸法公差等を吸収できるように考慮して、端子部40cの面積を後述のピン51が動く範囲より広くして、ピン51が必ず接触できる大きさとして設けている。
図7を用いて接続部57について説明する。基板50はピン51を固定部51bで固定している。基板50は基板ホルダ52に固定されている。基板ホルダ52は、本体2内の構造体である基板カバー66に固定した弾性部材であるバネ53を介して保持している。基板ホルダ52には支柱56を備えている。基板ホルダ52を弾性部材であるバネ53で押し上げるように支えて、支柱56はプレート3に押し当てて当接部54で当たって、本体2からプレート3が押し上げられる圧力を略一定にする。プレート3に設けた端子接続部46と、本体2側に設けた基板50の距離を一定に保つ構造である。
バネ53によって押し上げる力は、端子接続部46にピン51を押し当てて、ピン51のたわみ量を確保して、ピン51が疲労しないようにしている。これにより、両者の確実な当接を実現できる。
なお、以上の実施例では、温度センサ70をプレート3の裏面に設けた構成を示したが、プレート3の表面に温度センサ70を設ける構成としても良い。この場合には、温度センサ70上に保護層を塗布して、温度センサ70を保護する構成とするのが好ましい。
以下は、図8から図12、図14により、本発明の導体温度センサ抵抗値測定回路について説明する。
図8は、本発明の、基板50に実装される、温度センサ70の抵抗値を測定する回路(以下、導体温度センサ抵抗値測定回路と呼ぶ)の説明図である。導体温度センサ抵抗値測定回路TCは、直流電圧源90、回路グラウンド91、切り替え回路81、抵抗分圧回路82、差動増幅回路84、基準電圧回路83により構成される。そして温度センサ70を導体温度センサ抵抗(Rs)96として接続する。
初めに、温度センサ70のマイグレーション現象の防止方法について説明する。
電圧制限抵抗(R1)95と導体温度センサ抵抗(Rs)からなる抵抗分圧回路82への電源の供給は、直流電圧源90と回路グラウンド91間から供給される。抵抗分圧回路82には周期的に電流の流れる向きが反転するための回路構成が必要とする。そのため、抵抗分圧回路82の電源の接続先の切り換えに、抵抗分圧回路82の両端に切り替え回路81を設けている。
ここでは、切り替え回路81に切り替え回路が二個内蔵されたIC部S(図9(a))を採用し、使用したICは、例えば図9(b)で示すD−FF(ディレイタイプフリップフロップ)IC85を用いることで、任意のクロック(CK)で切り替えを制御する回路を実現している。
切り替え回路81を図9(a)に示す接続を行い、クロック(CK)端子に特定のパルスを入力すると、図14のタイミングチャートに示すタイミングで出力端子V1と出力端子V2の接続先が直流電圧源(E)90と回路グラウンド91とを交互に変更される。変更するタイミングはクロック(CK)のパルスの1サイクル毎に切り替え回路81が切り替わる。切り替わりは、クロックの立ち上がりタイミング(0Vから5Vに変化する。例えばP点、S点)で切り替わり、抵抗分圧回路82の両端に印加される電位が切り替わることで導体温度センサ抵抗(Rs)96に流れる電流も略同じ大きさの電流が反対方向に流れる。そこで、切り替え時間を等しくすることで、温度センサ70でのマイグレーション現象を防止することができる。
また、供給する電源は商用電源と異なり、電圧の極性変化は矩形波で変化し、電圧値は商用電源のサイン曲線のような変化が無く、電圧の極性変化後は直流電圧と同じ取り扱いで抵抗値の読み込みが出来る。
次に温度センサ70の抵抗変化の検出について説明する。
温度センサ70の抵抗変化を検出する場合、抵抗分圧回路82の温度センサ70の両端電圧を検出することで温度センサ70の抵抗変化を検出することが可能となる。しかし、抵抗分圧回路82の流れる電流の向きが周期的に変化するため、温度センサ70の両端電圧が前記電流の流れる向きに応じて変化するので、真値の検出が出来なくなる。
そこで、差動増幅回路84を用い、入力電圧(+V)92側に抵抗分圧回路82の抵抗R1と導体温度センサ抵抗(Rs)96に接続し、入力電圧(−V)93側にも抵抗分圧回路82に設けた切り替え回路81を設けて入力電圧(−V)93側の接続先を直流電圧原(E)90と回路グランド91とを交互に切り替えている。電流制限抵抗97は、直流電圧源(E)90と回路グラウンド91をショートさせないために接続している。
そして、前述した抵抗分圧回路82の電流の向きが周期的に変化する同じタイミングで入力電圧(−V)93側も切り替える事で、図10のモード1と図11のモード2の回路構成が出来上がる。
回路状態がモード1とモード2の時の差動増幅回路84の出力電圧(V0)94は図12に示すように、モード1の場合の出力電圧(V0)94は、導体温度センサ抵抗(Rs)96間の電圧が特定の増幅率(R4/R3)で増幅された電圧が発生し、入力電圧(V+)が入力電圧(V−)より小さい時の出力電圧(Vo)は0[V]となる。
この出力電圧(V0)の電圧値を制御手段のマイコンで測定する際、電圧値の0[V]を無効にする処理を行うことは容易にできるので、モード2のときの電圧値の0[V]である出力電圧(V0)94は無効とし、モード1の導体温度センサ抵抗(Rs)96に対応する電圧値のみを検出して導体温度センサ抵抗(Rs)96の抵抗変化すなわち温度変化による抵抗値の傾き(変化率)を測定することが可能となる。
前記制御手段側で検出した前記出力電圧から温度センサの検知温度を認識し、異常の温度(異常な温度変化)を検出した時は加熱コイル60への通電を停止、もしくは火力を弱くする制御を実施する。
以上、本実施例によると、導体温度センサ抵抗(Rs)96(温度センサ70)に周期的に電流の流れる方向を反転することでマイグレーション現象を防止しながら、温度センサ70の温度変化を逐次検出することができる。