JP6551591B2 - 加熱用包装袋 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような耐熱性の高いフィルムを用いた場合でも、高粘度で油分の多い内容物を収納、或いは高出力の電子レンジにより加熱すると、包装袋の内面に熱損傷を生じてしまう場合があった。
また内容物の種類にかかわらず、高出力の電子レンジにも対応可能な電子レンジ加熱用包装袋も提案されており、外面からポリエステルフィルム、バリア層を有するポリエステルフィルム、易引裂き性ポリエステルフィルム、ヒートシール性ポリオレフィンフィルムから成る積層フィルムから成る電子レンジ加熱用包装袋も提案されている(特許文献2)。
1.前記最外層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド物、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム、ナイロンの何れかを含む構成であること、
2.前記多層フィルムが、外側から順に、ポリブチレンテレフタレート層/蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は、蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/ポリブチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は、蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム/溶着層の層構成を有する多層フィルム、であること、
3.前記包装袋が電子レンジ加熱用包装袋であって、包装袋に内容物が充填された状態における前記多層フィルムの含水率が1.0%以下であること、
4.前記包装袋が電子レンジ加熱用包装袋であって、包装袋に内容物が充填された状態における前記多層フィルムの含水率が1.5%以下であり、前記多層フィルムが、最外層と中間層を備えていると共に、前記最外層と中間層のそれぞれが少なくとも1層のポリエステル樹脂を備え、且つ該中間層は更にナイロンを備えていること、
5.前記包装袋が、蒸気抜き部、該蒸気抜き部の周囲に形成される非接着部、該非接着部の周囲に形成される蒸気抜きシール部から成る蒸気抜き機構を備えていること、
が好適である。
すなわち、前述した荷重の値が0.25N/μm以下であるフィルムを最外層とした積層フィルムを用いて形成されたパウチ(実施例1〜10)では、内容物を充填後電子レンジ加熱されても包装袋の穴あきは勿論、外表面に何らの損傷が見られないのに対して、最外層を構成するフィルムとして、前述した荷重の値が0.25N/μmよりも大きいフィルムを使用した以外は、実施例と同様の層構成を有する積層フィルムを用いたパウチでは、内容物充填後に電子レンジ加熱を行うと、包装袋の穴あき発生はないが、外表面に亀裂が発生していた(比較例1〜4)。
また実施例1と比較例1を対比することにより明らかなように、いずれも最外層としてPETフィルムを使用した場合でも、前述した荷重の値が0.25N/μm以下のPETフィルムを使用した積層フィルムから成るパウチでは、外表面に何等の損傷が発生してないのに対して、前述した荷重の値が0.25N/μmよりも大きいPETフィルムを使用した積層フィルムから成るパウチでは、外表面に亀裂が発生していた。
本発明の加熱用包装袋を構成する多層フィルムにおいては、ポリエステル樹脂からなる基材層と溶着層とを少なくとも備えており、多層フィルムに用いる積層体の最外層を構成する樹脂フィルムが、雰囲気温度200℃、サンプル幅10mm、チャック間距離20mmにおいて速度1mm/minの条件で引張試験を行ったとき、サンプルの伸びが10mmとなった時点における荷重を、サンプルの厚みで割った値(以下、この値を単に「荷重」ということがある)が0.25N/μm以下、特に0.1N/μm〜0.2N/μmの範囲にあることが重要な特徴である。内容物を収容した加熱用包装袋が電子レンジ加熱に賦された場合、内容物の性状によっては(金属塩、油分を含有すると共に粘度の高い内容物、例えばレトルトカレー、丼の具材、スープ類等)、包装袋の表面温度が局所的に200℃に達する場合がある。このことから、包装袋の表面温度と同様の200℃に設定した場合においても損傷に耐えうる性状の包装袋とする必要があるため、雰囲気温度の設定は重要である。
本発明の加熱用包装袋を構成する多層フィルムは、少なくとも基材層及び溶着層を有しており、基材層が最外層となる場合(中間層が存在しない二層構成となる場合)には、基材層を構成する最外層の樹脂フィルムが上記荷重の値を満足することが必要である。
また基材層が、最外層、中間層と2種類存在する多層の基材層とした場合は、少なくとも何れかの基材層がポリエステル樹脂から成っておればよく、この場合には、最外層を構成する樹脂フィルムが上記荷重の値を満足することが必要である。
また最外層を構成する樹脂フィルムは、荷重が上記範囲にある限り、延伸の有無は問わないが、機械的強度等の観点から二軸延伸されていることが好ましい。
更に荷重が上記範囲にある限り、上記樹脂フィルムに蒸着層やコーティング層等が片面に形成されたバリア性フィルムを最外層として使用することもでき、この場合には、樹脂フィルム側を最外層として使用する。
最外層を構成するフィルムの厚みは、基材層が最外層のみである場合、或いは最外層及び中間層に基材層を設ける場合の何れにおいても、5μm〜50μm、特に10μm〜30μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の包装袋において、多層フィルムを構成する基材層に使用可能な樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂を使用することができる。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ナイロンの何れかから成ることが好適であり、特にポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、或いはポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド物、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム、エチレンテレフタレートとエチレンナフタレートの共重合体の何れかから成ることが好適である。
基材層を構成する上記フィルムは、一軸又は二軸延伸されていることが好適であり、特に機械的強度、耐クラック性、耐熱性に優れた二軸延伸フィルムを好適に用いることができる。
また基材層は、上記フィルムを単独で用いてもよいし、多数種の異なるフィルムを後述する積層方法によって多層の基材層(最外層及び中間層)としてもよい。
基材層の厚みは、5μm〜50μm、特に10μm〜30μmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも基材層の厚みが薄いと、上記範囲にある場合に比して機械的強度、耐クラック性に劣り、一方上記範囲よりも厚いと、上記範囲にある場合に比して引き裂き性及び経済性に劣るようになる。
また本発明の包装袋において、多層フィルムを構成する溶着層としては、従来電子レンジ加熱用包装袋の溶着層(ヒートシール層)として使用されていたヒートシール性樹脂を使用することができる。
具体的には、低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは単独でも、或いは2種以上のブレンド物の形でも使用することができる。
特に耐熱性の観点からはプロピレン系重合体が適当であり、ホモポリプロピレンや、プロピレンを主体とするランダム共重合体やブロック共重合体を使用することができる。
また溶着性の観点から、溶着層を構成するフィルムは無延伸であることが特に望ましい。
溶着層の厚みは、30μm〜150μm、特に50μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも溶着層の厚みが薄いと上記範囲にある場合に比して、落下強度及びヒートシール性が劣るようになり、一方上記範囲よりも厚いと上記範囲ある場合に比して、引裂き性及び経済性に劣るようになる。
本発明の包装体を構成する多層フィルムは、ポリエステル樹脂から成る基材層及び溶着層を少なくとも備えて成り、最外層として前述した荷重が0.25N/μm以下である樹脂フィルムを用いる限り、上記最外層、基材層(中間層)及溶着層以外に、従来加熱用包装袋に使用されていた他の層を有していてもよく、これに限定されないが、バリア層、易引き裂き性層、接着層等を有することができ、本発明においては、特にバリア層を有することが好ましい。
バリア層としては、基材層に用いられる樹脂フィルムに、ケミカルベーパーデポジション(CVD)、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で、シリコンオキサイド等の無機物、アルミナ等のセラミック、カーボン等を蒸着することにより形成される蒸着層、或いはポリカルボン酸系ポリマー、塩化ビニリデン、或いはエチレンビニルアルコール共重合体もしくはメタロキサン結合を有する化合物等から成るバリア性樹脂コーティング剤から成るコーティング層を形成して成るものを好適に使用することができ、特にシリカ又はアルミナの蒸着層が好適に使用される。
バリア層に用いられる樹脂フィルムは二軸延伸されていることが好ましい。
バリア層は、前述したとおり、上記荷重の値が上記範囲を満足する限り、最外層とすることもできるし、或いは基材層と溶着層の間に設置することもできる。
蒸着層又はコーティング層が形成される樹脂フィルムの厚みは、5μm〜25μmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも樹脂フィルムの厚みが薄いと、上記範囲にある場合に比して機械的強度、耐クラック性に劣り、一方上記範囲よりも厚いと、上記範囲にある場合に比して引き裂き性及び経済性に劣るようになる。
易引き裂き性層は、引き裂き性に劣る溶着層に隣接させることにより、易引き裂き性層に溶着層を追従させて、包装袋の引き裂き性を改良するものである。
易引き裂き性層を構成するフィルムとしては、これに限定されないが、ポリテトラメチレングリコール単位を含有したポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとのブレンド物から成るフィルムや、或いはポリエチレンテレフタレートとポリエステルエラストマーから成り、ポリエチレンテレフタレート中にポリエステルエラストマーが分散してなるブレンド物からなるフィルム等、を二軸延伸してなるフィルムを挙げることができる。また、ポリエステルフィルムをレーザー等にて加工を施し、引裂き性を付与したフィルムを用いることもできる。
尚、易引裂き性層を構成するフィルムが、上記荷重を満足する場合には、この易引き裂き性フィルムを最外層として使用することもできる。
易引き裂き性層の厚みは、5〜30μmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも樹脂フィルムの厚みが薄いと、上記範囲ある場合に比して機械的強度、耐クラック性に劣り、一方上記範囲よりも厚いと、上記範囲にある場合に比して引き裂き性及び経済性に劣るようになる。
本発明に用いる多層フィルムは、前述したとおり、最外層が荷重0.25N/μm以下の樹脂フィルムから成る限り、従来公知の層構成を採用することができ、少なくともポリエステル樹脂から成る基材層及び溶着層を有すると共に、バリア層や易引き裂き性層等の他の層を形成することができる。
図1は、本発明の包装袋に用いられる多層フィルムの一例を示すものであり、全体を1で示す多層フィルムは、外側から順に、最外層(基材層)2、中間層(バリア層)3、溶着層4からなっており、各層間には接着層5が設けられている。
図1に示す態様において、中間層(バリア層)3は、蒸着層又はコーティング層3aを有するポリエステル樹脂層3bから成るバリア層3であり、この蒸着層又はコーティング層3aが最外層の基材層2側に位置する多層構造を有するものを好適に使用することができる。
また図1に示した具体例以外にも、本発明に用いる多層フィルムとしては、外側から順に、最外層(基材層)/溶着層の二層構成とする多層フィルム、最外層(基材層・バリア層)/中間層(基材層)/溶着層の層構成を有する多層フィルム、最外層(基材層)/バリア層/易引き裂き性層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、最外層(基材層)/中間層(基材層)/バリア層/易引き裂き性層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、等とすることもできる。何れの多層フィルムの構成においても、溶着層以外の何れかの層が、ポリエステル樹脂からなる基材層を用いていればよい。
例えば、これに限定されないが、最外層、基材層、溶着層及びバリア層等の各フィルムをそれぞれ作製し、これをドライラミネート法によって積層することができる。
また蒸着層又はコーティング層を有するバリア層を構成するフィルムの蒸着層又はコーティング層側に、最外層(基材層)を構成するポリブチレンテレフタレートを押出ラミネートして、バリア層及び基材層の二層から成る積層体を作製し、蒸着層又はコーティング層の面に溶着層を構成するポリプロピレンを、接着樹脂を介して押出ラミネートすることにより、多層フィルムを作製することができる。
本発明に用いる多層フィルムに用いることができる接着剤としては、従来公知のポリエーテルポリウレタン系又はポリエステルポリウレタン系のウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤、或いは無水マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性熱可塑性樹脂接着剤等を挙げることができるが、耐レトルト性の観点からは、ウレタン系接着剤を使用することが好適である。
本発明に用いる多層フィルムの具体的な層構成としては、外側から順に、ポリブチレンテレフタレート層/蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/ポリブチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は、蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム/溶着層の層構成を有する多層フィルム、の層構成とすることが好適である。
本発明の加熱用包装袋は、前述した多層フィルムの溶着層同士が向き合うように重ね合わせて、端縁を溶着することにより成形される。
本発明の加熱用包装袋を電子レンジ加熱対応とする場合には、電子レンジ加熱中に自動開口し、蒸気を開放可能な蒸気抜き機構を備えていることが好適である。
電子レンジ加熱用包装袋においては、包装袋に内容物が充填された状態における前記多層フィルムとしての含水率が1.5%以下、特に1.0%以下であることが特に好ましい。電子レンジ加熱における熱損傷(穴あき漏洩)は、多層フィルムが吸湿した状態で、内圧が過剰に高い状態に置かれることによって、内容物からの熱と高い圧が包装袋に作用し、熱損傷が生じると考えられる。つまり、電子レンジ加熱時において、多層フィルムが吸湿した状態と内容物の性状(水分量等)が相まって、熱損傷が生じると考えられる。このため、包装袋に内容物が充填された状態における多層フィルムとしての含水率を1.5%以下、特に1.0%以下とすることにより、多層フィルム全体の耐熱性が維持され、蒸気抜き孔の存在と相まって、内圧が高い状態においても耐熱性が損なわれることが有効に防止されている。尚、内容物が充填された状態とは、製品として市販されている状態のことであり、具体的には、内容物のアセプティック充填やホットパック充填後、内容物を充填してボイル又はレトルト等の加熱殺菌を行った後などの、いずれかのタイミングでの状態を表している。
全体を10で表す包装袋は、多層フィルム1を溶着層が内側になるように2つ折りに重ね合わせ、両サイド及び上端縁を溶着することにより形成されており、これにより、包装袋10の4辺が、底部11、サイドシール部12a,12b、及びトップシール部13により密封されて、収納部14が形成されている。
この実施態様においては、包装体1の上部左側のコーナー位置に蒸気抜き機構15が形成されている。蒸気抜き機構15は、図2及び図2の蒸気抜き機構部分のX−X線断面図である図3から明らかなように、内圧が上昇した時に、重なり合う多層フィルム1a,1bが後退剥離可能な接着強度で接着されている蒸気抜きシール部20、この蒸気抜きシール部20の内側に位置し、重なり合う多層フィルム1a,1bが非接着の状態である非接着部21、この非接着部21の表面側の多層フィルム1aに形成された蒸気抜き部22から成っている。
蒸気抜き部22は、図に示す具体例においては、図の表面側の多層フィルム1a,1bを貫通した、円弧の頂点が包装袋10の中心点に対向する位置及びコーナー部16の方向を向いた円弧状の横幅(最長)幅を有した楕円孔22aとして形成されている。内圧が上昇し、包装袋の中央部から端部に向かって蒸気が流動すると、多層フィルム1a,1bが互いに離れるように包装袋が膨らむことによって、蒸気抜きシール部20の包装袋の中央部に近い部分から接着が後退剥離して蒸気が非接着部21に流入するが、この態様においては、蒸気抜き部22を構成する円弧の頂点が包装袋10の中心点に向いた円弧状であることから、蒸気抜き部22の円弧の頂点から蒸気が当たりはじめ、蒸気が包装体1の中央部から周縁部に向けて流動するに従い、蒸気抜き部22の円弧を左右に広げて蒸気抜き部22の幅を広げ、蒸気を蒸気抜き部22から効率よく外部に放出できる。
このような楕円孔の蒸気抜き部は、最長幅が3〜20mmの幅を有することが好ましい。また、この楕円孔の円弧状の横幅(最長幅)は、3mm〜20mmの幅の弦に対する曲率半径2mm〜100mmの円弧状であることが好ましい。
本発明の加熱用包装袋において、包装体の形態は上述した三方シールの態様に限定されず、2枚の多層フィルムを重ねあわせ四辺をシールして成る四方シールの包装袋、ガセット付包装袋、スタンディングタイプの包装袋、ピロータイプの包装袋等の種々の形態に成形することができる。
本発明の加熱用包装袋において、電子レンジ加熱に対応されるために形成する蒸気抜き機構は、電子レンジ加熱中に自動開口し得る限り、上述した態様に限定されない。
蒸気抜き機構の位置は、電子レンジ加熱による包装袋内の蒸気を逃がし、且つ内容物を漏洩させないという観点から、包装袋の周縁シール部近傍付近に形成されていることが好適である。
具体的には、包装袋の大きさにもよるが、特開2002−249176号公報に示されているように、蒸気抜きシール部の初期破断点を、包装袋の2つの短辺の周縁シール部内端に内接する円の円周状又はその内側に蒸気抜き機構が形成されていることが好適である。
蒸気抜き機構は、これに限定されないが、蒸気抜き部、該蒸気抜き部の周囲に形成される非接着部、該非接着部の周囲に形成される蒸気抜きシール部から成っていることが好ましい。
[最外層の荷重(N/μm)]
エー・アンド・デイ社製のテンシロン万能試験機にて、幅10mmに切断した最外層を雰囲気温度200℃、チャック間距離20mm、速度1mm/minの条件で引張試験を行い、サンプルの伸びが10mmとなった時点における荷重を測定し、最外層の厚みで割ることで値を算出した。
[フィルムの含水率(%)]
後述する内容物(200±50g)を充填・密封した包装袋を121℃30分の蒸気式レトルト殺菌を行った後に23℃70%の環境下で5日間保管した後、包装袋の多層フィルムを0.1±0.005g計測して230℃で加熱し、三菱化学アナリテック社製微量水分測定装置CA−200を用いて、多層フィルムの水分量を測定した。
後述する方法にて作製したパウチに、市販の電子レンジ加熱用パウチ詰めカレー等の粘性食品モデルとして、次に記載する加熱糊化させた小麦粉モデル液を用いた。小麦粉モデル液は、水に対する質量濃度(w/w)として、小麦粉6%、綿実油1%、無機塩類として塩化ナトリウム1.42%、塩化カリウム0.36%、塩化マグネシウム・6水和物0.08%(無機塩類合計1.86%)を調合した。この小麦粉モデル液を80℃にした時の粘度は、B型粘度計による100rpmの測定で380mPa・sであった。この小麦粉モデル液を、後述する電子レンジ用パウチに180g充填・密封した後に、電子レンジで500W3分間加熱し、次の評価を行った。
(1)最外層の損傷
パウチの最外層に亀裂のような損傷が認められたものを×、損傷が認められなかったものを〇として評価した。
(2)穴あき漏洩
パウチの電子レンジ加熱損傷による穴あきの発生状況を目視で確認し、穴あき漏洩がなかったものを○、穴あき漏洩をしたものを×として評価した。
最外層を厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、中間層をシリカを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面(溶着層側)に設けた厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、溶着層を厚さ70μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムとした。そして、これらの最外層、中間層及び溶着層を、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネートにより蒸着膜が溶着層側に積層されるようにした多層フィルム(含水率1.0%)とした。
次いで、この多層フィルムを用いて三方シールにより製袋し、幅130mm、長さ175mm、上端角部に蒸気抜き機構(横幅8mm,縦幅2mmの楕円孔の蒸気抜き部、蒸気抜き部の周囲に非接着部、非接着部の周囲に蒸気抜きシール部を形成)を有する電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.25N/μmを示した。
実施例1において、最外層をアルミナを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、中間層を厚さ15μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)とし、蒸着膜が溶着層側に積層されるようにした多層フィルム(含水率0.3%)とし、電子レンジ用パウチを作製した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例2において、中間層をポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)とを、変性PBT:PET=30:70〜5:95(重量比)の割合で混合した原料を用いて厚さ12μmに製造した多層フィルム(含水率0.3%)とした以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例2において、中間層を厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)とした(多層フィルムの含水率0.2%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例2において、中間層を厚さ12μmのポリエチレンナフタレート(PEN)とした(多層フィルムの含水率0.3%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例2において、中間層を厚さ12μmのポリカーボネート(PC)とした(多層フィルムの含水率0.3%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例1において、最外層を25μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)、中間層をメタロキサン結合を有する化合物からなるコーティング剤を塗布したコーティング膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)とし、コーティング膜が溶着層側に積層されるように多層フィルムとした(多層フィルムの含水率0.5%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.12N/μmを示した。
実施例1において、最外層をポリブチレンテレフタレート(変性PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)とを、変性PBT:PET=30:70〜5:95(重量比)の割合で混合した原料を用いて厚さ12μmに製造したフィルム、中間層をシリカを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)とし、蒸着膜が溶着層側に積層されるように多層フィルムとした(多層フィルムの含水率0.3%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.18N/μmを示した。
実施例1において、最外層を厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、中間層をアルミナを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面に設けた厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)とし、蒸着膜が溶着層側に積層されるように多層フィルム(含水率1.0%)とした以外は同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.20N/μmを示した。
実施例1において、最外層を厚さ3μmのポリエチレンテレフタレート(PET)と厚さ12μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)との共押出フィルムのポリエチレンテレフタレート(PET)側にアルミナを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を設けたフィルム、溶着層を厚さ70μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムとした二層構成とし、蒸着膜が溶着層側に積層されるように多層フィルム(含水率0.2%)とし、電子レンジ用パウチを作製した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.09N/μmを示した。
実施例1において、最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)として、荷重が0.28N/μmのものを使用した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本比較例における最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)は、実施例1の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)よりも高い荷重であり、0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。
実施例1において、最外層をシリカを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、中間層を厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、溶着層を厚さ70μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムとし、蒸着膜が溶着層側に積層されるように多層フィルム(含水率1.7%)とし、電子レンジ用パウチを作製した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本比較例における最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜は、実施例1の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜よりも高い荷重の0.28N/μmであり、0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。また、多層フィルムの含水率は1.5%以上となり、穴あき漏洩が認められた。
実施例2において、最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜として、荷重が0.36N/μmのものを使用した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本比較例における最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜は、実施例1の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜よりも高い荷重であり、0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。
実施例2において、最外層を荷重0.32N/μmのメタロキサン結合を有する化合物からなるコーティング剤を塗布したコーティング膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、中間層を25μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)とし、コーティング膜が溶着層側に積層されるように多層フィルムとした(多層フィルムの含水率0.5%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本比較例における最外層の荷重が0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。
実施例1において、中間層をアルミナを蒸着源とし、真空蒸着法により無機酸化物の蒸着膜を片面に設けた厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)と厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムの積層体とし、二軸延伸ナイロンフィルムが溶着層側に積層されるようにした多層フィルム(含水率1.4%)とし、電子レンジ用パウチを作製した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.25N/μmを示した。
実施例11において、最外層を15μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)とした(多層フィルムの含水率1.4%)以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.10N/μmを示した。
実施例11において、最外層を厚さ12μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)と厚さ3μmのポリエチレンテレフタレート(PET)との共押出フィルムとし、ポリエチレンテレフタレート(PET)側が中間層側に積層されるように多層フィルム(含水率1.4%)とした以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.09N/μmを示した。
実施例2において、中間層を厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)と厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムの積層体とし、二軸延伸ナイロンフィルムが厚さ50μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムからなる溶着層に積層されるようにした多層フィルム(含水率1.5%)とし、電子レンジ用パウチを作製した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
尚、本実施例における最外層の荷重は0.23N/μmを示した。
実施例11において、最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)として、荷重が0.28N/μmのものを使用した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
最外層の荷重が0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。
実施例14において、最外層の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)/アルミナ蒸着膜として、荷重が0.36N/μmのものを使用した以外は、同様に電子レンジ用パウチを作製し、上述した耐熱性評価を行った。
最外層の荷重が0.25N/μmよりも大きいため、最外層に亀裂のような損傷が認められた。
Claims (6)
- ポリエステル樹脂から成る基材層と溶着層とを少なくとも備えて成る多層フィルムから成る加熱用包装袋であって、
前記多層フィルムにおいて、最外層を構成する樹脂フィルムの引張試験(雰囲気温度200℃、サンプル幅10mm、チャック間距離20mm、引張速度1mm/min)における、サンプルの伸びが10mmとなった時点におけるサンプルの単位厚み当たりの荷重が0.25N/μm以下であることを特徴とする加熱用包装袋。 - 前記最外層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド物、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム、ナイロンの何れかを含む構成である請求項1記載の加熱用包装袋。
- 前記多層フィルムが、外側から順に、ポリブチレンテレフタレート層/蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレート層/ポリブチレンテレフタレート層/溶着層の層構成を有する多層フィルム、又は、蒸着層若しくはコーティング層を有するポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートの共押出フィルム/溶着層の層構成を有する多層フィルム、である請求項1又は2記載の加熱用包装袋。
- 前記包装袋が電子レンジ加熱用包装袋であって、包装袋に内容物が充填された状態における前記多層フィルムの含水率が1.0%以下である請求項1〜3の何れかに記載の加熱用包装袋。
- 前記包装袋が電子レンジ加熱用包装袋であって、包装袋に内容物が充填された状態における前記多層フィルムの含水率が1.5%以下であり、
前記多層フィルムが、最外層と中間層を備えていると共に、前記最外層と中間層のそれぞれが少なくとも1層のポリエステル樹脂を備え、且つ該中間層は更にナイロンを備えている請求項1又は2記載の加熱用包装袋。 - 前記包装袋が、蒸気抜き部、該蒸気抜き部の周囲に形成される非接着部、該非接着部の周囲に形成される蒸気抜きシール部から成る蒸気抜き機構を備えている請求項4又は5記載の加熱用包装袋。
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