以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る自動倉庫システムの一例を模式的に示す平面図である。図2は、自動倉庫システムが備える保管部および一時保管部の配置を示す平面図である。図3は、自動倉庫システムの一例を模式的に示す側面図である。図4は、自動倉庫システムの保管部および一時保管部の配置を示す側面図である。これらの図では、柱や梁などの記載を省略している。
説明の便宜上、水平な第1方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な第2方向をY軸方向、両者に直交する鉛直方向をZ軸方向とする、XYZ直交座標系を定める。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、X軸方向を「行方向」、Y軸方向を「列方向」、Z軸方向を「上下方向」ということもある。このような方向の表記は自動倉庫システムの構成を制限するものではなく、自動倉庫システムは用途に応じて任意の姿勢で使用され得る。また、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、必ずしも互いに直交していなくてもよい。
自動倉庫システム100は、保管部22と、一時保管部28と、台車14と、移動機構16と、第1レール40と、第2レール44と、給電部34と、制御部18と、モード設定部30と、を備える。本実施の形態では、第1方向としてY軸方向を、第2方向としてX軸方向を例示している。保管部22において、第1レール40はY軸方向に延在し、第2レール44および給電部34はX軸方向に延在する。
制御部18は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、荷12の移動を制御するために台車14および移動機構16の移動を制御する。モード設定部30は、自動倉庫システム100の動作モードを設定するための設定手段である。モード設定部30には、予め複数の動作モードを記憶させておくことができる。ユーザは、モード設定部30を操作することで、任意の動作モードを選択することができる。動作モードには、後述する並替動作モードが含まれる。モード設定部30は、ユーザの選択結果を制御部18に提供する。制御部18は、モード設定部30からの選択結果に基づいて、荷12の移動を制御する。荷12は、パレット(不図示)に載せた状態で扱ってもよいし、パレットを用いずに荷12を単独で扱ってもよい。また、モード設定部30は、制御部18と一体に設けられていてもよい。
保管部22は、床部Lgに設置され、複数の荷12を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。保管部22の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。本実施の形態の自動倉庫システム100は、上下方向に層状に重ねられた3段の保管部22を有する。3段の保管部22を保管部群20という。
各段の保管部22は、Y軸方向(第1方向)に延在する複数の保管列24を含む。本実施の形態の保管部22は、6つの保管列24を含む。複数の保管列24は、Y軸方向と交差するX軸方向(第2方向)に並べられている。各保管列24は、Y軸方向に接続された複数の保管区26を含む。したがって、各保管列24には、複数の荷12を保管することができる。本実施の形態の保管列24は、5つの保管区26を含む。保管区26は、荷12を保管する単位である。
一時保管部28は、保管部22とは異なる位置に配置され、1または複数の荷12を一時的に保管するための保管スペースである。一時保管部28は、X軸方向に並べられた複数の保管区26を含む。本実施の形態の自動倉庫システム100は、上下方向に層状に重ねられた3段の一時保管部28を有し、各一時保管部28が6つの保管区26を有する。
一時保管部28は、入庫の際、フォークリフトやクレーンなどの移載装置によって倉庫外部から搬入された荷12を一時的に保管することができる。一時保管部28に保管された荷12は、保管部22の所定の保管区26に順次移送される。また、一時保管部28は、出庫の際、保管部22から移送された荷12を一時的に保管することができる。一時保管部28に保管された荷12は、フォークリフトなどによって倉庫外部に順次搬出される。一時保管部28を備えることにより、保管部22での荷12の移送動作と、フォークリフトの搬入出動作とを別々に行うことができる。このため、それぞれの動作効率を向上することができる。
第1レール40は、台車14が走行するための走行路である。第1レール40は、各保管列24および一時保管部28の各保管区26において、Y軸方向に延在する。第1レール40は、第1支持部材42に支持される。
第2レール44は、移動機構16が走行するための走行路である。第2レール44は、各保管列24を横断するようにX軸方向に延在する。本実施形態の第2レール44は、保管列24と一時保管部28との間に設けられている。各保管列24の第2レール44側の端部には、台車14が出入りする出入口部が設けられる。一時保管部28の各保管区26における第2レール44側の端部には、台車14が出入りする出入口部が設けられる。各保管区26の第2レール44側とは反対側の端部には、荷12を出し入れするための入出庫口が設けられる。第2レール44は、第2支持部材46に支持される。
台車14は、荷12を搭載して、第1レール40上をY軸方向に移動することができる。移動機構16は、台車14を搭載して、第2レール44上をX軸方向に移動することができる。
図5は、台車14の一例を模式的に示す平面図である。図6は、台車14の一例を模式的に示す正面図である。台車14は、各保管列24の各保管区26に対して荷12を出し入れするために、各保管列24の中で第1レール40をY軸方向に走行する。また、台車14は、移動機構16に乗降するために、移動機構16上をY軸方向に走行する。また、台車14は、一時保管部28の各保管区26に対して荷12を出し入れするために、一時保管部28の第1レール40上をY軸方向に走行する。
台車14は、車体14bと、載置台部14cと、リフト機構14dと、複数の車輪14fと、を含む。車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、バッテリ14gと、が搭載されている。台車14は、バッテリ14gの電力によってモータを駆動するように構成されている。バッテリは例えば、繰り返し充電可能な、リチウムイオンバッテリなどの二次電池である。本実施形態のバッテリ14gは、台車14が移動機構16に載置されている状態で、移動機構16によって充電される。
載置台部14cは、荷12を持ち上げて保持する部分である。リフト機構14dは、載置台部14cを昇降させる機構である。図6において、上昇状態の載置台部14cを破線で示し、下降状態の載置台部14cを実線で示す。リフト機構14dは、載置台部14cを上昇させることで、保管区26の載置面から荷12を持ち上げることができる。また、リフト機構14dは、載置台部14cを降下させることで、荷12を保管区26の載置面に降ろすことができる。複数の車輪14fは、第1レール40上および移動機構16上を転動することができる。
図7は、移動機構の一例を模式的に示す平面図である。図8は、移動機構16の一例を模式的に示す正面図である。図8は、台車14を搭載した状態を示している。本実施の形態の移動機構16は、一例として台車の形態をとる。移動機構16は、第2レール44をX軸方向に走行して、空荷の状態または荷12を搭載した状態の台車14を搬送する。
移動機構16は、台車搭載部16cと、機構収納部16dと、複数の車輪16fと、集電ユニット38と、を含む。台車搭載部16cは、台車14を搭載する部分である。機構収納部16dは、台車搭載部16cのX軸方向の両側に設けられる。台車搭載部16cと機構収納部16dとで、車体16bが構成される。
台車搭載部16cは、Y軸方向およびX軸方向に対してZ軸方向に薄い略板状である。台車搭載部16cは、台車14の走行路の一部を構成する。台車搭載部16cは、台車14が台車搭載部16cの周囲と干渉することなくY軸方向に走行できるように、台車14の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさを有する。
機構収納部16dは、台車搭載部16cに比べZ軸方向に厚く、台車搭載部16cの両側で上向きに突出する略直方体形状を有する。したがって、車体16bは、台車搭載部16cにおいて下方に窪んだ凹形状を呈する。機構収納部16dは、台車搭載部16cの上側の空間をX軸方向に挟む、一対の側壁部16jを有する。一対の側壁部16jは、台車14と隙間を介してX軸方向に対向する。機構収納部16dの内部には、車輪16fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、が搭載されている。
車輪16fは、第2レール44上を走行する。集電ユニット38は、第2レール44の近傍をX軸方向に沿って延在する給電部34(図1参照)に接触して、電力の供給を受ける。移動機構16は、集電ユニット38を介して給電部34から電力を受け取る。移動機構16は、受け取った電力によってモータを駆動するように構成されている。また、移動機構16は、受け取った電力によって台車14のバッテリ14gを充電することができる。
続いて、自動倉庫システム100が実行する並替動作を説明する。図9は、並替動作が実行される前の荷の状態を示す図である。図9では、保管部22を平面視したときの各保管区26を、模式的にマス目で示している。図中のA〜Fおよび1〜5は、マス目の位置を特定するための記号である。A〜Fはマス目の列を示し、1〜5はマス目の行を示す。
荷12は、台車14によって列方向に搬送され、移動機構16によって台車14とともに行方向に搬送される。以下の説明では、荷12や台車14、保管区26の位置を、「A1」のようにマス目の行名と列名とによって表記する。また、複数の保管列24を区別するために、A列〜F列に対応する保管列24を保管列24A〜24Fという。保管列24A〜24Fは、それぞれ列方向に5個の荷12を保管することができる。第6行は、移動機構16の走行する第2レール44を示す。第7行は、一時保管部28の保管区26に対応するマス目の行を示す。
図9に示すように、保管部22には、一例として荷12a〜12xが保管されている。説明の便宜上、荷12a〜12xは、それぞれ異なる種類の荷とする。「異なる種類」には、中身が相違するものの他に、中身は同じで製造ロットや入庫ロットなど、出庫の際に区別される属性が相違するものも含まれる。図9に示す状態で、例えば荷12dが出庫対象となったとする。この場合、荷12dを出庫するためには、保管列24Aにおいて荷12dよりも移動機構16に近い側に保管されている荷12a〜12cを移動させる必要がある。
つまり、出庫対象である荷12dの移動に加えて、出庫対象でない荷12の移動、すなわち配替を3回行う必要がある。各荷12a〜12xを出庫する際に必要な配替回数を検討すると、各保管列24において最前列に位置する荷12a,12f,12j,12n,12s,12uでは0回である。また、移動機構16側に他の荷が1つある荷12b,12g,12k,12o,12t,12vでは、配替回数は1回である。また、移動機構16側に他の荷が2つある荷12c,12h,12l,12p,12wでは、配替回数は2回である。また、移動機構16側に他の荷が3つある荷12d,12i,12m,12q,12xでは、配替回数は3回である。また、移動機構16側に他の荷が4つある荷12e,12rでは、配替回数は4回である。
したがって、保管列24Aにおける平均配替回数は、2.0回(=(0+1+2+3+4)/5)となる。同様に、保管列24B、保管列24Cおよび保管列24Fにおける平均配替回数は1.5回、保管列24Dにおける平均配替回数は2.0回、保管列24Eにおける平均配替回数は0.5回となる。また、保管部22全体での平均配替回数は、1.625回(=配替の総数39/荷の総数24)となる。保管される荷12の数が多いほど、平均配替回数は多くなる。配替回数の増加は、出庫のスループットの低下につながる。
これに対し、本実施の形態の制御部18は、以下に説明する並替動作を実行するように構成されている。図10は、制御部18の機能ブロック図である。図10では、制御部18の構成要素を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
制御部18は、入出庫管理部18aと、モード受領部18bと、荷配置決定部18cと、移動指示部18dとを含む。入出庫管理部18aは、保管部22への荷12の入庫と保管部22からの荷12の出庫、つまり通常の入出庫動作を管理する。入出庫管理部18aは、外部からの荷12の入出庫指示を受領して、指示に応じた荷12の入出庫を行うよう台車14および移動機構16を制御する。また、入出庫管理部18aは、保管部22の各保管区26に保管されている荷12の種類と位置を記憶する。
モード受領部18bは、ユーザによる動作モードの選択結果をモード設定部30から受領する。この選択結果が並替動作モードであった場合、荷配置決定部18cは、その時点での荷12の配置における保管部22全体の平均配替回数を算出する。また、荷配置決定部18cは、より少ない平均配替回数となる荷12の配置を決定する。荷配置決定部18cは、決定した配置に関する情報を移動指示部18dに送る。移動指示部18dは、荷配置決定部18cが決定した配置に基づいて、配替対象となる荷12と、当該荷12の移動先となる保管区26とを決定する。そして、決定結果に基づいて台車14および移動機構16を動作させるためのシーケンスを生成し、生成したシーケンスに基づいて台車14および移動機構16の移動を制御する。
具体的には、制御部18は、複数の保管列24に含まれる任意の第1保管列および第2保管列について、第1保管列に保管されている荷12の数と第2保管列に保管されている荷12の数との差分が小さくなるように荷12を移動させる。また、本実施の形態の保管部22は、3つ以上の保管列24を含む。この場合、好ましくは、第1保管列は保管荷数が最大の保管列24であり、第2保管列は保管荷数が最小の保管列24である。つまり、制御部18は、保管荷数最大の保管列24における荷数と保管荷数最小の保管列24における荷数との差分が小さくなるように台車14および移動機構16を制御する。
例えば、第1保管列を保管列24A、第2保管列を保管列24Eとした場合、制御部18は、保管列24Aにおける保管荷数5と保管列24Eにおける保管荷数2との差分3が小さくなるように、台車14および移動機構16を制御する。これにより、保管部22全体での平均配替回数は少なからず減少する。
また、本実施の形態の制御部18は、より理想的な並替動作として、第1保管列と第2保管列における荷数の差分が0になるように荷12を移動させる。さらには、制御部18は、全ての保管列24における荷数の差分が0になるように荷12を移動させる。
図11は、実施の形態1に係る自動倉庫システムにおいて実行される並替動作の一例を示すフローチャートである。図12(A)は、並替動作における荷の移動を示す図である。図12(B)は、並替動作が実行された後の荷の状態を示す図である。
図11に示すように、まず制御部18は、各保管列24における保管荷数を均等にすべく、保管列24の総数と保管部22に保管されている荷12の総数とから、各保管列24における平均荷数を算出する(S101)。本実施の形態では、平均荷数は4個(=荷の総数24/保管列の総数6)である。続いて制御部18は、配替対象となる荷12と、当該荷12の移動先となる保管区26とを決定する(S102)。
図12(A)に示す保管部22の状態では、平均荷数4よりも保管荷数の多い保管列24Aおよび保管列24Dにおいて、最も移動機構16に近い荷12aおよび荷12nが配替対象に定められる。また、平均荷数4よりも保管荷数の少ない保管列24EにおけるE3およびE4の保管区26が、荷12aおよび荷12nの移動先に定められる。
そして、制御部18は、この決定結果に基づいて、台車14および移動機構16の動作シーケンスを生成する(S103)。続いて制御部18は、台車14および移動機構16を制御して、配替対象の荷12を移動先に定めた保管区26に移動する(S104)。本実施の形態では、D5の荷12nがE3の保管区26に配替され、続いてA5の荷12aがE4の保管列24に配替される。この結果、図12(B)に示すように、各保管列24における保管荷数が均等になる。この状態では、保管部22全体での平均配替回数は、1.5回(=配替の総数36/荷の総数24)となり、並替動作前に比べて平均配替回数が減少する。
並替動作は、制御部18がモード設定部30から並替動作の実行指示を受領した後、所定のタイミングで実行される。制御部18は、並替動作を荷12の出庫動作を行っていないときに実行することが好ましい。例えば、並替動作は、出庫動作が行われていない夜間などの時間帯に行うように設定される。出庫動作が行われていない時間帯に並替動作を実行することにより、トータルのスループットを向上することができる。
なお、自動倉庫システム100は、ユーザが出庫動作の終了を確認した上でモード設定部30から並替動作の実行指示を入力し、制御部18が実行指示を受領後、直ちに並替動作を実行するように設計されてもよいし、ユーザが出庫動作の実行中か否かにかかわらずモード設定部30から並替動作の実行指示を入力し、制御部18が出庫動作の終了を確認した後に並替動作を実行するように設計されてもよい。また、荷の出庫を行うなかで保管列間での荷の保管数にばらつきが生じたこと、例えば荷数が最大の保管列24と最小の保管列24との間における保管数の差が所定値よりも大きくなったことを検知したときに、出庫動作から並替動作にモードを自動的に変更してもよい。
以上説明したように、本実施の形態に係る自動倉庫システム100は、第1方向に延在し、複数の荷12を保管するための第1保管列および第2保管列を含む保管部22であって、第1保管列および第2保管列が第1方向と交差する第2方向に並んで設けられた保管部22と、荷12を搭載して第1方向に移動する台車14と、台車14を搭載して第2方向に移動する移動機構16と、台車14および移動機構16の移動を制御する制御部18と、を備える。制御部18は、第1保管列に保管されている荷12の数と第2保管列に保管されている荷12の数との差分が小さくなるように荷12を移動させる並替動作を実行する。
このように、少なくとも2つの保管列24について、保管されている荷12の数の差分を小さくする並替動作を実行することで、保管部22全体での平均配替回数を減らすことができる。この結果、自動倉庫システム100におけるスループットを向上させることができる。
多品種少ロットの荷12を保管する場合、同一の保管列24に保管される荷12の種類が増える傾向にある。この場合、目的の荷12を出庫する際に、出庫対象外の荷12を配替する回数は多くなる。したがって、本実施の形態の自動倉庫システム100は、多品種小ロットの荷12を保管する場合に特に好適である。
また、本実施の形態の保管部22は、3つ以上の保管列24を含み、第1保管列は保管荷数が最大の保管列24であり、第2保管列は保管荷数が最小の保管列24である。つまり、制御部18は、荷数が最大の保管列24と荷数が最小の保管列24とにおける荷数の差分が小さくなるように並替動作を実行する。また、制御部18は、並替動作の実行中に保管荷数が最大である第1保管列または保管荷数が最小である第2保管列が別の保管列24に変わった場合、当該別の保管列24を新たな第1保管列または第2保管列と定めて、並替動作を実行することができる。これにより、保管部22全体での平均配替回数をより効率的に減らすことができる。
また、本実施の形態の制御部18は、荷数の差分が0になるように台車14および移動機構16を制御する。これにより、自動倉庫システム100のスループットをより一層向上させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る自動倉庫システム100は、並替動作の内容を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る自動倉庫システム100について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
本実施の形態の制御部18は、荷12の並替動作において、実施の形態1で説明した各保管列24での荷数の平均化(以下では適宜、荷数平均化処理と称する)に加えて、出庫の早い荷12の移動機構16側への移動(以下では適宜、出庫荷移動処理と称する)を実行する。
具体的には、制御部18が並替動作を実行するタイミングで、入出庫管理部18aが所定の第1荷の出庫指示を受領していたとする。このような状況としては、例えば夜間に翌朝最初の出庫指示を受領している場合が想定される。この場合、保管部22には、出荷予定のある第1荷と、出荷予定のない、つまりは第1荷よりも出庫の遅い第2荷とが保管されていることになる。なお、第2荷は、第1荷よりも遅いタイミングでの出庫が指示されている荷であってもよい。
このような状況において、同一の保管列24に第1荷と、第1荷よりも移動機構16側に配置される第2荷とが含まれる場合に、制御部18は、第2荷の数が減るように第1荷を移動させる。言い換えれば、制御部18は、出庫の早い第1荷と、出庫の遅い第2荷との配置を入れ替えて、第1荷を移動機構16側により近づける。保管列24の延在方向(第1方向、Y軸方向、列方向)において、第1荷よりも移動機構16側に配置されている第2荷の数を1つでも減らすことで、第1荷を出庫する際に必要となる配替回数を減らすことができる。
本実施の形態の制御部18は、より理想的な並替動作として、第1荷が保管されている保管列24において、第1荷が最も移動機構16側に配置されるように台車14および移動機構16を制御する。図13(A)〜図13(C)は、実施の形態2に係る自動倉庫システムにおいて実行される並替動作の一例を示す図である。
例えば、図13(A)に示すように、荷数平均化処理が施された後の保管部22において、荷12aおよび荷12hが第1荷に該当したとする。この場合、保管列24Bにおいて荷12hよりも移動機構16側に保管されている荷12gおよび荷12fが第2荷に該当する。
制御部18(例えば荷配置決定部18c)は、入出庫管理部18aが受領した出庫情報に基づいて、荷12aおよび荷12hを第1荷として特定し、荷12gおよび荷12fを第2荷として特定する。入出庫管理部18aが出庫指示を受領してない場合、制御部18は出庫荷移動処理を終了する。また、制御部18は、第1荷に特定した荷12aを、出庫荷移動処理の対象外とする。荷12aは既に、保管列24Eにおいて移動機構16に最も近く、荷12aに対する第2荷が存在しないためである。
そして、制御部18は、荷12hが荷12fおよび荷12gよりも移動機構16側となる荷12の配置を決定する。また、決定した配置に基づいて台車14および移動機構16を動作させるためのシーケンスを生成し、台車14および移動機構16の移動を制御する。
具体的には、制御部18は、第2荷に該当する荷12f,12gと、第1荷に該当する荷12hとを、空の保管区26に一時的に移動させる。本実施の形態では、図13(B)に示すように、A5の保管区26に荷12fを移動させ、C5の保管区26に荷12gを移動させ、D5の保管区26に荷12hを移動させる。なお、各荷12の一時的な移動には、一時保管部28の保管区26を利用してもよい。
続いて、制御部18は、一時的に移動させた荷12f,12g,12hを、元の保管列24Bに戻す。このとき、第2荷に該当する荷12f,12gを、第1荷に該当する荷12hよりも先に戻す。本実施の形態では、図13(C)に示すように、最初に荷12fをB2の保管区26に移動させ、次に荷12gをB3の保管区26に移動させ、最後に荷12hをB4の保管区26に移動させる。この結果、第1荷に該当する荷12hは、保管列24Bにおいて最も移動機構16寄りに配置される。
以上説明したように、本実施の形態に係る自動倉庫システム100の制御部18は、第1荷と、第1荷よりも出庫が遅く、且つ第1荷よりも第1方向において移動機構16側に配置される第2荷とが同一の保管列24に含まれる場合に、第2荷の数が減るように第1荷を移動させる並替動作を実行する。このように、出庫予定のある第1荷を、出庫に先だって移動機構16寄りに配置しておくことで、自動倉庫システム100におけるスループットを向上させることができる。
なお、出庫荷移動処理は、実施の形態1で説明した荷数平均化処理における荷配置決定の段階で実行されてもよい。つまり、第1保管列の保管荷数と第2保管列の保管荷数との差分が小さくなるように荷12を移動させる際に、出庫引当のある第1荷を移動機構16寄りに配置することを考慮して、荷12を移動させてもよい。また、制御部18は、第2荷の数が減るように第1荷を移動させる並替動作のみを実行してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る自動倉庫システム100は、特定の入庫動作を実行する点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態に係る自動倉庫システム100について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
本実施の形態の制御部18は、第1保管列および第2保管列のうち、保管されている荷12の数が少ない方の保管列24に荷12を入庫する入庫動作を実行するように構成されている。このように、保管荷数の少ない保管列24に優先的に荷12を入庫することで、各保管列24における荷数を平均化することができる。好ましくは、制御部18は、第1保管列に保管されている荷12の数と第2保管列に保管されている荷12の数との差分が0になるように荷12を入庫する。
図14(A)および図14(B)は、実施の形態3に係る自動倉庫システムにおいて実行される入庫動作の一例を示す図である。例えば、図14(A)に示すように、荷12a,12b,12nが一時保管部28に搬入されたとする。この場合、制御部18は、保管列24B,24C,24D,24Fに比べて保管荷数の少ない保管列24A,24Eに、優先的に荷12を入庫する。
具体的には、制御部18は、荷12bをA4の保管区26に配置し、荷12nをE3の保管区26に配置する。この段階で、保管列24Eのみが他の保管列24よりも保管荷数が1つ少ない状態となる。このため、制御部18は、残る荷12aをE5の保管区26に配置する。この結果、図14(B)に示すように、各保管列24における保管荷数が均等になる。保管荷数が均等になった状態でさらに荷12が入庫されたときは、任意の保管列24、例えば一時保管部28に置かれた荷12の位置から最も近い保管列24に、12が入庫される。
以上説明したように、本実施の形態に係る自動倉庫システム100の制御部18は、第1保管列および第2保管列のうち、保管されている荷12の数が少ない方の保管列24に荷12を入庫する入庫動作を実行する。これにより、自動倉庫システム100におけるスループットを向上させることができる。なお、本実施の形態の入庫動作は、実施の形態1および/または実施の形態2で説明した並替動作と組み合わせて実行されてもよいし、単独で実行されてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した各実施の形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。各実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の各実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。また、各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。設計変更や構成要素の組み合わせによって得られる新たな実施の形態は、組み合わされる構成要素および変形それぞれの効果をあわせもつ。
各実施の形態では、保管部22を平面的に走行する移動機構16を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば移動機構16は、昇降機能を備えて行方向に走行可能なスタッカークレーンであってもよい。また、各実施の形態では、台車14および移動機構16がレール上を走行する例を示したが、本発明はこれに限られない。台車14および移動機構16は、レールを有しない走行路を走行するものであってもよい。
また、各実施の形態では、自動倉庫システム100が3段の保管部22を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。自動倉庫システム100は、2段以下または4段以上の保管部22を備えてもよい。また、台車14を各段の各列に設けることは必須ではない。また、複数の段の保管部22の間で荷12を昇降するための昇降機構が設けられてもよい。
各保管列24における保管区26の数は、一様でなくてもよい。各保管列24における保管区26の数は、保管部22を収容する建物の壁の凹凸等に応じて適宜異ならせることができる。また、上下方向に積層される保管列24の段数も、一様でなくてもよい。保管列24の段数は、保管部22を収容する建物の天井Lcの高さ等に応じて、段数が多い領域と少ない領域とが設けられてもよい。また、保管部22における保管列24の数は6つに限定されず、各保管列24における保管区26の数も5つに限定されない。
また、各実施の形態では、自動倉庫システム100が一時保管部28を備える例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば自動倉庫システム100は、一時保管部28を備えず、移動機構16が第2レール44の一端側に設けられた入出庫口(不図示)に対して荷12を搬送する構成であってもよい。
また、各実施の形態では、第1保管列と第2保管列が同じ段に位置する例を示したが、本発明はこれに限られない。第1保管列と第2保管列が異なる段に位置し、異なる段の間で並替動作を行う構成であってもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。