以下、本発明に係る構成を図1から図27に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
(照明装置)
先ず、図1〜図7を参照して照明装置の構成について説明する。図1は、照明装置300の外観斜視図である。図1に示すように、照明装置300は、照明灯100と、照明灯100が装着される灯具200とを備える。
照明灯100は、キャップ部材1a,1b、筐体2、および透光部材3を有している。筐体2は、例えばアルミニウム合金またはマグネシウム合金等の金属部材を押出成形して作られた長尺形状を有している。また、筐体2は、断面が略半円筒形状となるように形成されている。透光部材3は、筐体2と組み合わされることで、全体が略円筒形状となるように、筐体2と同様に長尺の略半円筒形状を有している。また、透光部材3は、後述する複数のLEDから発光された光束を透過するように、樹脂またはガラスで形成されている。
キャップ部材1a,1bは有底円筒形状を有しており、筐体2および透光部材3の各両端部のキャップとして機能する。また、キャップ部材1a,1bは、灯具200のソケット201a,201bに取り付けられることで、灯具200と照明灯100との物理的かつ電気的な接続を図る。なお、この例では、筐体2は略半円筒形状であることとしたが、略半円筒形状に限定する必要はない。図1では、透光部材3を半円形で描いているが、蛍光灯のように断面が筒状になっていて、透光部材3が筐体2を包むような構成であってもよい。
図2は、灯具200を長手方向に沿って切断した断面図である。図2に示すように、灯具200は、蛍光灯安定器203と、照明灯100を着脱可能に装着するソケット201aおよび201bとを有し、商用電源Eと接続可能に構成されている。商用電源Eの周波数は、例えば50Hzまたは60Hz等である。商用電源Eからの電力は、蛍光灯安定器203に供給される。図2に示すように、灯具200は、ソケット201a,201bの反対側が、例えば天井等に埋め込まれており、ソケット201a,201b側が解放されている。ソケット201a,201bは、一対の電極端子202a,202bおよび配線204を介して、蛍光灯安定器203に接続されている。
蛍光灯安定器203は、例えば、蛍光灯インバータ安定器、蛍光灯グロー安定器、及び蛍光灯ラピッド安定器などが挙げられる。蛍光灯安定器203は、照明灯100を点灯させるための信号を発生させる働きを備え、照明灯100の種類によってその周波数、出力電力を調整し、照明灯100が安定して点灯するように動作する。
ただし、照明灯100は商用交流電源と直結可能に構成されており、その場合には蛍光灯安定器203は不要となる。このように、照明灯100は、蛍光灯グロー安定器、蛍光灯ラピッド安定器、蛍光灯インバータ安定器、および商用交流電源の何れとも接続可能に構成することができる。
図3及び図5は、照明灯100の長手方向に向かって左側の端部近傍の分解斜視図であり、図4及び図6は、照明灯100の長手方向に向かって右側の端部近傍の分解斜視図である。図7は、照明灯100の横断面図である。但し、図3では、電源基板7の上方側に配置されている実装基板11aの図示を省略し、図5では、実装基板11aを図示している。同様に、図4では、実装基板11bの図示を省略し、図6では、実装基板11bを図示している。
図3及び図4に示すように、キャップ部材1a,1bは、複数のねじ5a,5b,5c,5dによって、筐体2に締付固定される。これにより、キャップ部材1a,1bは、筐体2と嵌合した透光部材3とが一体的になるように包み込んでいる。つまり、キャップ部材1a,1bは、筐体2および透光部材3の各両端部を覆うように形成されて設けられている。
キャップ部材1a,1bは、ねじ止めではなく、筐体2との継ぎ目を工具等で固く密着させて(カシメて)製作してもよいし、インサート成形してもよい。キャップ部材1a,1bの形状は、既存の蛍光灯の両端に位置するキャップ部材(口金)と略同一の形状とされている。照明灯100は、灯具200に取り付けられている既存の蛍光灯に代えて、容易に交換可能となっている。
図3〜図6に示すように、一方のキャップ部材1aには端子4a,4bが、他方のキャップ部材1bには電極端子4c,4dが、それぞれキャップ部材1aまたはキャップ部材1bから長手方向に沿って突出するように設けられている。各キャップ部材1aまたはキャップ部材1bに対して電極端子4a,4b,4c,4dを設ける場合、インサ−ト成形、カシメ、ねじ締結等の固定方法を用いることができる。照明灯100は、灯具200や各キャップ部材1a,1b内に配置されたコネクタ16等を介して商用電源Eからの交流電力を取り込む。取り込まれた交流電力は、リード線6a,6b,6c,6dを介して、図3に示す電源基板7に給電される。
電源基板7には、得られた交流電源を、直流電源に変換して実装基板11a,11bに供給するための直流電源変換用の電子部品9が設けられている。実装基板11a,11bには、図5及び図6に示すように、複数のLED(Light Emitting Diode)12aが長手方向に実装されたLED負荷161が設けられている。LEDは、半導体発光素子の一例である。電源基板7は、図3に示すように、略半円筒形状の筐体2の内部に収納され、筐体2内で動かないよう固定されている。また、照明装置300の場合、リード線6a,6bは、リード線6c,6dよりも短くなっている。
電子部品9によって直流に整流された電流は、図5に示すリード線13a,13bを介して実装基板11a,11bに供給される。長手方向に並列配置された実装基板11a,11bの間は、図示しないリード線やジャンパ−線等で電気的に接続されている。なお、この例では、LED負荷161を実装する実装基板として、実装基板11a,11bの2枚を図示しているが、1枚または3枚以上の実装基板を設けてもよい。
図5および図6に示すように、照明装置300の場合、実装基板11aの下方側に電源基板7を配置し、実装基板11b側には何も配置していない。換言すれば、実装基板11b側は、筐体2内が空洞となるように、平面的に構成されている。また筐体2の半円の弦に相当する部分となる平面部14に、実装基板11a,11bが装着される。この平面部14と実装基板11a,11bの間には、それぞれシ−ト状の樹脂部材10a,10bを、平面部14と実装基板11a,11bとでそれぞれ挟むようにして介装して配設している。
図3および図4に示すように、その両端にリード線6a、6bとリード線6c,6dがそれぞれ接続された電源基板7は、図7に示すように、長手方向に延びるカバー部材となる樹脂製のホルダ30で周囲が覆われている。リード線6aとリード線6bの先端と、リード線6cとリード線6dの先端には、各コネクタ16に挿入するための口金部が設けられている。ホルダ30は、電源基板7と同等以上の長さを有する長尺形状を有し、断面形状に切断部がない連続した筒状部品である。ホルダ30は、押出成形、引抜成形、射出成形等の成型方法により形成することができる。ホルダ30の材質は、例えばPC(ポリカーボネート)、PA(ナイロン)が用いられる。
ホルダ30は、図7に示すように、筐体2の内部に収納可能であって、長手方向において略同一の断面形状とされている。電源基板7はホルダ30に着脱可能に装着されることでホルダ30と一体化される。
すなわち、図7に示すように、ホルダ30の長手方向と交差する幅方向に位置する側面30a、30bには、幅方向に突出して受け台部31a,31bが形成されている。これら受け台部31a,31bは、電源基板7をホルダ30内に端部側から挿入する際の案内レール部として機能する。受け台部31a,31bは、電源基板7の挿入後においては、電源基板7とホルダ30の底部30cとの間に離間部(空間部)32が形成されるように電源基板7を支持する。離間部32は、電源基板7から突出した図3に示す電子部品9のリード線が、ホルダ30に触れない、或いは電気的絶縁性が確保できるような距離Z1を確保するためのものである。
ホルダ30は、電源基板7の全体(周囲)を外側から覆うことで、筐体2内部において電源基板7を筐体2から離隔している。ホルダ30は、図7に示すように、筐体2内において筐体2の内側面と接触する。ホルダ30は、筐体2内で滑りやすくするため、筐体2の内側面と接触する表面を平滑面としている。この例の場合、ホルダ30は、同ホルダ30を分割するための切断部が無い断面形状である。このため、ホルダ30内へ電源基板7を設置する場合、開口されているホルダ30の端部から電源基板7をホルダ30内に挿入することになる。ホルダ30と電源基板7は、筐体2への装着前に一体化されて電源基板ユニットとして構成され、電源基板ユニットの状態で筐体2の端部から筐体2の内部に挿入される。
このような構成によると、電源基板7の周囲を覆い、電源基板7を筐体2から離隔し、筐体2内に収納可能な断面が略同一形状で長手方向に延びる樹脂製のホルダ30を有するので、筐体2との電気的絶縁性を保つことができ、高い安全性を確保できる。また、電気的絶縁性を確保するために、筐体2の内部へ絶縁材の塗装を行わなくても良いので、低コストで筐体2を製作できる。さらに、筐体2内が、ホルダ30によって電源基板7と筐体2とに区分して離間できるため、電子部品9のリ−ド線13a,13bが突出していても筐体2に触れることがなく、チップ部品などの高価な部品を用いることなく作製できる。
また、照明装置300の場合、電源基板7と実装基板11a、11bの間にホルダ30(ホルダ30の底部30c)を設けているため、電源基板7の熱が実装基板11a、11bに伝わりにくくなり、LED負荷161に与える熱の影響が全てのLEDで均一になる。このため、時間の経過と共に部分的にLEDの寿命が短くなる不都合を防止できる。
また、電源基板7と一体化したホルダ30の接触面が平滑となっているため、摩擦抵抗を小さくでき、筐体2内において電源基板ユニットを滑走させることができる。このため、両端の口金部にコネクタ16を挿す作業を容易化できる。
また、ホルダ30の断面形状には切れ目がなく、連続するように形成しているので、直接、電子部品9が筐体2に接触することがなくなり、筐体2との電気的絶縁性が保たれ、高い安全性を確保できる。また、電気的絶縁性を確保するために筐体2の内部への塗装を行わなくても良いので、安価に筐体2を製作できる。
(照明回路)
照明灯100は、半導体発光素子部(半導体発光素子部160)と、該半導体発光素子部を点灯させる複数の点灯手段(第1〜第3の点灯手段110〜130)と、複数の点灯手段と半導体発光素子部との接続状態を切り替える切替手段(切替手段140)と、所定の条件に従って切替手段を切り替えて、複数の点灯手段の中から1の点灯手段を選択し、選択された点灯手段にて半導体発光素子部を発光させる制御手段(コントローラ150)と、を備えるものである。
照明灯100が備える照明回路101の回路構成について説明する。図8は、照明回路101の概略構成を示すブロック図である。照明回路101は、第1の点灯手段110と、第2の点灯手段120と、第3の点灯手段130と、切替手段140と、コントローラ150と、半導体発光素子部160(LED負荷161)と、電流値検出部170(電流センス抵抗171)と、周波数検出手段180と、半導体発光素子切替手段190と、を含んで構成される。
照明回路101は、半導体発光素子部160を点灯させる駆動回路として複数の点灯手段を有しており、例えば、第1の点灯手段110、第2の点灯手段120、および第3の点灯手段130の3つの点灯手段を有している。
第1の点灯手段110、第2の点灯手段120、および第3の点灯手段130の3つの点灯手段は、それぞれ半導体発光素子部160に接続可能に並列に設けられており、コントローラ150からの信号により切替手段140(スイッチ)を切り替えることで、3つの点灯手段110〜130のうちいずれかの点灯手段が、半導体発光素子部160と接続され、選択された点灯手段にて半導体発光素子部160が点灯可能となっている。
電流値検出部170は、半導体発光素子部160に流れる電流の電流値を検出する。コントローラ150は、電流値検出部170から入力される検出値や、周波数検出手段180からの入力等に基づいて、接続された蛍光灯安定器203に対して最適な点灯手段を選択するとともに、各点灯手段のオンオフ等を制御する。
また、半導体発光素子部160は、半導体発光素子切替手段190により直列/並列接続の切替が可能となっている。各部の詳細について、以下に説明する。
(第1の点灯手段)
図9は、切替手段140により第1の点灯手段110とLED負荷161が接続された場合の照明回路101を含む照明装置300の回路図であって、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101の回路図である。
第1の点灯手段110は、蛍光灯安定器203としてインバータ安定器が接続されている場合に好適な点灯手段である。
図9に示すように、照明装置300は、商用電源Eと、蛍光灯安定器203と、交流信号を全波整流するブリッジダイオード(「BD」とも称する)102,103と、コントローラ(「CNT」とも称する)150と、ブリッジダイオード102,103に接続されたインダクタンス(インダクタ素子、「L」とも称する)112と、インダクタンス112の他方とブリッジダイオード102,103の基準点を接続し、コントローラ150によりオンオフが制御されるアクティブスイッチ(スイッチング素子の一例)111と、アクティブスイッチ111でスイッチングされた信号を整流するダイオード(ダイオード素子、「D」とも称する)113と、ダイオード113で整流された信号を平滑化するコンデンサ(容量素子、「C」とも称する)104と、LED負荷161と、電流センス抵抗171と、を備える。そして、アクティブスイッチ111、インダクタンス112、およびダイオード113によりスイッチングコンバータが構成されている。
なお、ブリッジダイオード102,103、コントローラ150、アクティブスイッチ111、インダクタンス112、ダイオード113、コンデンサ104、LED負荷161、及び電流センス抵抗171からなる照明回路101は、照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7のいずれかに設けられている。
第1の点灯手段110は、ブリッジダイオード102,103、アクティブスイッチ111、インダクタンス112、ダイオード113、およびコンデンサ104で構成される。ここで、図中の点線で示すスイッチングコンバータの部分が第1の点灯手段110の要部を構成し、図9では図示しないが、第1の点灯手段110の点線で示す部分は、後述する第2の点灯手段120や第3の点灯手段130の要部と並列に設けられている。そして、切替手段140によりLED負荷161との接続が切り替え可能に構成されている。
なお、ブリッジダイオード102,103、およびコンデンサ104は、各点灯手段の共通の回路素子としているが、これらを各点灯手段が個々に備えるものであってもよい。
ブリッジダイオード102,103は、蛍光灯安定器203を介して商用電源Eから供給された交流信号を全波整流する。
コントローラ150は、アクティブスイッチ111のオン/オフタイミングを制御する。具体的には、コントローラ150は、アクティブスイッチ111のゲート信号を生成し、生成したゲート信号をアクティブスイッチ111に出力し、アクティブスイッチ111を駆動することで、アクティブスイッチ111のオン/オフタイミングを制御する。
ここで、コントローラ150は、ブリッジダイオード102,103により全波整流された交流信号(図9に示す例では、交流電圧Vm)のゼロクロスタイミング(全波整流された交流信号がブリッジダイオードの基準電位と同電位になるタイミング)と異なるタイミングでアクティブスイッチ111をオンするように制御するものとする。なお、交流電圧Vmの波形については後述する。また、コントローラ150の詳細についても、後述する。
スイッチングコンバータは、ブリッジダイオード102,103により全波整流された交流信号(図9に示す例では、交流電圧Vm)を直流信号に変換するコンバータであり、いわゆる、ACDCコンバータである。なお、スイッチングコンバータは、昇圧型のコンバータであり、LED負荷161に対して、インダクタンス112及びダイオード113が直列に接続され、アクティブスイッチ111が並列に接続されている。
コンデンサ104は、LED負荷161に対して並列に接続された平滑コンデンサであり、スイッチングコンバータから出力される直流電流に含まれる交流成分を除去する。
LED負荷161は、スイッチングコンバータと接続され、スイッチングコンバータにより変換された直流信号が出力される。具体的には、LED負荷161は、スイッチングコンバータから直流電圧が印加され、直流電流が流れることで、発光する。
電流センス抵抗171は、LED負荷161に流れる電流の電流値を検出するための抵抗であり、端子電圧Vcsをコントローラ150に出力する。
図10は、コントローラ150の構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、コントローラ150は、ゼロクロス検出部151と、電流検出部152と、位相選択部153と、ゲート信号生成部154と、を備える。
ゼロクロス検出部151は、ブリッジダイオード102,103により全波整流された交流信号(図9に示す例では、交流電圧Vm)のゼロクロスタイミングを検出する。そしてゼロクロス検出部151は、ゼロクロスタイミングにおいてHighとなり、ゼロクロスタイミング以外ではLowとなるzero信号をゲート信号生成部154に出力する。なお、zero信号の波形については後述する。ゼロクロス検出部151としては、例えば、コンパレータなどが挙げられる。
電流検出部152は、LED負荷161に流れる電流の電流値iledを検出する。具体的には、電流検出部152は、電流センス抵抗171から出力される端子電圧VcsをAD変換し、AD変換後の電圧と電流センス抵抗171の抵抗値からLED負荷161に流れる電流の電流値iledを検出し、位相選択部153へ出力する。なお、電流センス抵抗171の抵抗値は、電流検出部152において既知であるものとする。電流検出部152としては、例えば、ADコンバータ及び除算回路などが挙げられる。
位相選択部153は、電流検出部152により検出された電流値iledに基づいて、LED負荷161に流れる電流が目標電流となるゼロクロスタイミングからの位相phiを選択する。そして位相選択部153は、選択した位相phiをゲート信号生成部154へ出力する。なお、位相phiの選択の詳細については、後述する。
また位相選択部153は、アクティブスイッチ111のゲート信号のデューティ比(所定のデューティ比の一例)を示すduty信号をゲート信号生成部154へ出力する。
ここで、アクティブスイッチ111のゲート信号のデューティ比は、スイッチングコンバータの出力電圧が目標電圧となるように設定されることが一般的である。しかしながら、照明灯100は、多様な種類の蛍光灯安定器203に接続(装着)されることを想定している。蛍光灯安定器203から出力される交流電圧の値は、全ての蛍光灯安定器203で同一ではなく、蛍光灯安定器203の種類によって相違する。このため、蛍光灯安定器203の種類を問わず、スイッチングコンバータの出力電圧が目標電圧となるように、デューティ比を設定することはできない。
従って、スイッチングコンバータの出力電圧を目標電圧とする制御は行わず、デューティ比を固定値に設定するものとする。固定値としては、例えば、50%が挙げられる。これは、スイッチングコンバータで発生させる無効電力の発生量を確保する上で好ましいためである。但し、デューティ比は、50%に限定されず、これ以外の値とすることもできる。
ゲート信号生成部154は、ゼロクロス検出部151により検出されたゼロクロスタイミング、位相選択部153により選択された位相、位相選択部153からのデューティ比に基づいてゲート信号を生成し、当該ゲート信号に基づいてアクティブスイッチ111のオン/オフタイミングを制御する。
ゲート信号は、ゼロクロスタイミングから特定された位相分ずらしたタイミングを基点として、LowからHighに切り替わり、以降、デューティ比に基づいて、Low及びHighが切り替わるPWM(Pulse Width Modulation)信号である。なお、ゲート信号生成部154は、PWM信号の周波数については、zero信号からその周期を算出し、設定する。これにより、PWM信号をzero信号に同期できる。また、PWM信号の波形については後述する。
ここで、位相phiの選択の詳細について説明する。まず、位相選択部153は、異なる位相を順次、ゲート信号生成部154に設定し、ゲート信号生成部154は、位相が異なるゲート信号を順次生成し、アクティブスイッチ111に出力する。次に、電流検出部152は、生成されたゲート信号毎に、LED負荷161に流れる電流の電流値を検出し、位相選択部153は、検出された複数の電流値のうち目標電流に最も近い電流値となったゲート信号の位相を選択する。
図11は、交流電圧Vm、zero信号、及びPWM信号の波形の一例を示す図である。なお、PWM信号のtonは、PWM信号がオン、即ち、Highとなる期間を示し、tpは、PWM信号の1周期を示している。Tonはzero信号から位相phiだけ遅延を持った信号になっている。
図12は、位相選択処理(位相キャリブレーション)の一例を示すフローチャート図である。
まず、位相選択部153は、初期位相を設定し(S101)、ゲート信号生成部154は、初期位相のゲート信号を生成し、アクティブスイッチ111に出力する。
続いて、電流検出部152は、ゲート信号がアクティブスイッチ111に出力されたことに伴い、LED負荷161に流れる電流の電流値を検出する(S102)。
全位相の測定が完了していない場合(S103:No)、位相選択部153は、位相設定をインクリメントして設定し(S104)、ゲート信号生成部154は、インクリメントされた位相のゲート信号を生成し、アクティブスイッチ111に出力する。そして、S102へ戻る。
なお、全位相の測定が完了した場合(S103:Yes)、図13に示すような、LED負荷161を流れる電流値と位相との関係が得られるため、目標電流に最も近い電流値となった位相最適値を選択する(S105)。
図13(A)はLED負荷161に流れる電流が目標値に達した場合、図13(B)は目標値に達していないが、省エネ効果がある場合、図13(C)は省エネ効果が得られない場合の例を示している。図13に示すように、目標電流と、省エネ効果を判定する閾値をそれぞれ設定することで、目標値に達したかどうか、省エネ効果があるかどうかを判定することができる。
ここで、蛍光灯安定器203の出力波形の制御方式としては、定電流制御方式、皮相電力一定制御方式、及び有効電力一定制御方式などがあるが、有効電力一定制御方式では、無効電力を発生させると安定器が想定していない過剰電流が出力されることになるため、蛍光灯安定器203の故障、破壊を引き起こす可能性がある。
このため、位相選択部153は、電流検出部152により検出された複数の電流値が同一値である場合、位相として、0を選択する。これは、位相を変化させてもLED負荷161に流れる電流の電流値が変化しない場合、蛍光灯安定器203が有効電力一定制御方式を採用しており、位相を変化させても省電力効果は得られず、蛍光灯安定器203の故障、破壊を引き起こす可能性があるためである。
図14〜図16を参照しながら、第1の点灯手段110を用いて点灯させる場合の効果について説明する。図15は、上記位相制御を行わなかった場合、即ち、従来例のスイッチングコンバータの入力電圧V、ゲート信号G、入力電流I、及び電力の一例を示す図であり、図16は、位相制御を行った場合のスイッチングコンバータの入力電圧V、ゲート信号G、入力電流I、及び電力の一例を示す図である。なお、図16では、ゼロクロスタイミングから位相を60°遅らせている。また、図14において、入力電圧V、ゲート信号G、入力電流Iがいずれの箇所のものかを示している。
図15及び図16を比較すれば明らかなように、位相制御を行って無効電力を発生させることにより、平均電力が、図15よりも図16の方が小さいことがわかる。この結果、スイッチングコンバータから出力され、LED負荷161で消費される消費電力も図15よりも図16の方が小さくなり、省電力効果が得られる。
以上説明したように、第1の点灯手段110では、皮相電力一定制御安定器において昇圧回路構成のスイッチングコンバータによって点灯させることができる。なお、ここまでスイッチングコンバータが昇圧型である場合を例に取り説明したが、スイッチングコンバータは降圧型であってもよい。
図17は、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101を含む照明装置300の回路図の他の例である。図17に示す照明装置300では、スイッチングコンバータは、降圧型のコンバータであり、LED負荷161に対して、アクティブスイッチ111及びインダクタンス112が直列に接続され、ダイオード113が並列に接続されている。
第1の点灯手段110を用いることで、インダクタンスの代わりにアクティブスイッチを用いて無効電力を発生させるため、逆起電力の発生を防止でき、省電力化とともに安全性を向上させることができる。
また、第1の点灯手段110を用いることで、無効電力を一定に制御する蛍光灯安定器203において意図的に無効電流を発生させることで半導体発光素子に流れる電流を位相遅延量によって調整し明るさを変化させることができる。
しかしながら、蛍光灯安定器203によっては、照明部分で消費される有効電力を一定に制御させる蛍光灯安定器203や、蛍光灯と同じインピーダンスで動作させないと消灯してしまう蛍光灯安定器203も存在するため、安定器の種類によって適切な制御が求められている。
(第2の点灯手段)
図18は、切替手段140により第2の点灯手段120とLED負荷161が接続された場合の照明回路101を含む照明装置300の回路図であって、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101の回路図である。なお、すでに述べた点については説明を適宜省略する。
第2の点灯手段120は、蛍光灯安定器203としてラピッド安定器あるいはグロー安定器が接続されている場合に好適な点灯手段である。また、照明灯100が蛍光灯安定器203を介さず商用電源Eに直接接続される場合にも好適な点灯手段である。
図18に示すように、照明装置300は、商用電源Eと、蛍光灯安定器203と、交流信号を全波整流するブリッジダイオード102,103と、コントローラ150と、ブリッジダイオード102,103に接続され、コントローラ150によりオンオフが制御されるアクティブスイッチ121と、アクティブスイッチ121とダイオード123に接続されたインダクタンス122と、アクティブスイッチ121とブリッジダイオード102,103の基準点電位間に接続されたダイオード123と、インダクタンス122の一方とブリッジダイオード102,103の基準点間に接続されたコンデンサ104と、LED負荷161と、電流センス抵抗171と、を備える。また、アクティブスイッチ121、インダクタンス122、およびダイオード123によりPFCコンバータ(スイッチングコンバータ)が構成される。
第2の点灯手段120は、ブリッジダイオード102,103、アクティブスイッチ121、インダクタンス122、ダイオード123、およびコンデンサ104で構成される。ここで、図中の点線で示すPFCコンバータの部分が第2の点灯手段120の要部を構成し、図18では図示しないが、第2の点灯手段120の点線で示す部分は、第1の点灯手段110や第3の点灯手段130の要部と並列に設けられており、切替手段140によりLED負荷161との接続が切り替え可能に構成されている。
ブリッジダイオード102,103は、ラピッド安定器あるいはグロー安定器を介して商用電源Eから供給された交流信号を全波整流する。
コントローラ150は、アクティブスイッチ121のオン/オフタイミングを制御する。具体的には、コントローラ150は、アクティブスイッチ121のゲート信号を生成し、生成したゲート信号をアクティブスイッチ121に出力し、アクティブスイッチ121を駆動する。
ここで、PFCコンバータは、ブリッジダイオード102,103により全波整流された交流信号を直流信号に変換するコンバータであり、なおかつ蛍光灯安定器203から出力される電圧と電流の力率を改善する。なお、PFCコンバータは、降圧型のコンバータであり、LED負荷161に対して、アクティブスイッチ121及びインダクタンス122が直列に接続され、ダイオード123が並列に接続されている。
コンデンサ104は、LED負荷161に対して並列に接続された平滑コンデンサであり、PFCコンバータから出力される直流電流に含まれる交流成分を除去する。
LED負荷161は、PFCコンバータと接続され、PFCコンバータにより変換された直流信号が出力される。具体的には、LED負荷161は、PFCコンバータから直流電圧が印加され、直流電流が流れることで、発光する。
電流センス抵抗171は、LED負荷161に流れる電流の電流値を検出するための抵抗であり、端子電圧Vcsをコントローラ150に出力する。
なお、第2の点灯手段120は、図19に示すように、ラピッド安定器あるいはグロー安定器などの蛍光灯安定器203を介さず、商用電源Eを直接、照明回路101に接続した場合でもPFCコンバータによってLED負荷161を点灯させることができる。
以上説明したように第2の点灯手段120によれば、グロー安定器やラピッド安定器などの蛍光灯安定器203が接続された場合、また商用電源Eに直接接続された場合であっても、定電流動作で、高力率を維持しながらLED負荷161を点灯させることができる。
(周波数検出手段)
次に、周波数検出手段180(周波数検出回路)について説明する。周波数検出手段180は、照明灯100に接続されている蛍光灯安定器203の種別および有無を判定するための回路である。
図20は、照明回路101に接続されている蛍光灯安定器203の種別および有無を判定するための周波数検出手段180の一例である。
周波数検出手段180は、ブリッジダイオード102,103の出力を分圧する分圧抵抗181,182と、分圧抵抗181,182で分圧された電圧と定電圧(電源183)を比較するコンパレータ184と、を備え、コンパレータ184の出力は、コントローラ150に入力される。
コントローラ150は、タイマ155を有し、タイマ155でコンパレータ184の反転間隔時間を計測することで周波数を検出する。
なお、図20の例では、周波数検出手段180が蛍光灯安定器203を介して商用電源Eに接続された例を示しているが、商用電源Eが直接接続されている場合(図19参照)においても周波数を検出することができる。
また、周波数検出手段180の構成は一例であって、図20の例では、コンパレータ184を使用して周波数を検出しているが、例えば、分圧抵抗181,182で分圧された電圧を、シュミットトリガを介してコントローラ150へ入力するようにしてもよい。
以上説明した周波数検出手段180を備えることで、周波数検出手段180の入力に基づいてコントローラ150は、照明回路101に入力される入力電圧周波数を測定することができる。具体的には、照明回路101に蛍光灯安定器203としてグロー安定器、ラピッド安定器のいずれかが接続されている場合や、商用電源Eが接続されている場合は、入力電圧周波数は商用周波数が検出される。一方、照明回路101に蛍光灯安定器203としてインバータ安定器が接続されている場合は、照明回路101に入力される入力周波数は一般的に商用周波数の1000倍以上の入力周波数となる。これにより、インバータ安定器が接続されている場合と、グロー安定器、ラピッド安定器、商用電源Eのいずれかが接続されている場合とを弁別することができる。
(第3の点灯手段)
図21は、切替手段140により第3の点灯手段130とLED負荷161が接続された場合の照明回路101を含む照明装置300の回路図であって、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101の回路図である。なお、すでに述べた点については説明を適宜省略する。
第3の点灯手段130は、蛍光灯安定器203として有効電力一定制御方式安定器などが接続されている場合に好適な点灯手段である。
図21に示すように、照明装置300は、商用電源Eと、蛍光灯安定器203と、交流信号を全波整流するブリッジダイオード102,103と、コントローラ150と、LED負荷161と、電流センス抵抗171と、を備えるとともに、ブリッジダイオード102,103とLED負荷161、電流センス抵抗171を接続するPchスイッチ素子132と、Pchスイッチ素子132のオンオフを制御するNchスイッチ素子131と、Pchスイッチ素子132のゲート−ソース間電圧を決定する抵抗素子133、抵抗素子134と、を備える。また、コントローラ150はNchスイッチ素子131のオンオフを制御する。
第3の点灯手段130は、ブリッジダイオード102,103、Pchスイッチ素子132、Nchスイッチ素子131、抵抗素子133、および抵抗素子134で構成される。ここで、図中の点線で示す部分が第3の点灯手段130の要部を構成し、図21では図示しないが、第3の点灯手段130の点線で示す部分は、第1の点灯手段110や第2の点灯手段120の要部と並列に設けられており、切替手段140によりLED負荷161との接続が切り替え可能に構成されている。
第3の点灯手段130では、蛍光灯安定器203の出力電圧をブリッジダイオード102,103で全波整流した折り返し電圧が直接、LED負荷161に印加される。すなわち、スイッチングコンバータを解さずにブリッジダイオード102,103の出力とLED負荷161を接続し点灯させることができる。このとき蛍光灯安定器203からみた負荷インピーダンスは、LED負荷161のインピーダンスと同じである。一方、他の点灯手段のように、スイッチングコンバータやPFCコンバータを介している場合は、昇圧比や降圧比で負荷インピーダンスが変換される。
(半導体発光素子切替手段)
第3の点灯手段130を備える構成においては、半導体発光素子切替手段190をさらに備えることが好ましい。
図22は半導体発光素子切替手段190の一例である。半導体発光素子切替手段190は、第1スイッチ素子191と、第2スイッチ素子192と、ダイオード193と、を備える。
そして、コントローラ150は、第1スイッチ素子191および第2スイッチ素子192を制御することで、第1LED負荷161aと第2LED負荷161bとの接続状態を切り替える。
すなわち、コントローラ150が第1スイッチ素子191および第2スイッチ素子192をオフにすると、第1LED負荷161aと第2LED負荷161bとは、ダイオード193を介して直列に接続される。
このとき蛍光灯点灯時の蛍光灯のインピーダンスと、第1LED負荷161aと第2LED負荷161bの直列点灯時の直列合成インピーダンスが同じになるような特性にすると、図21に示した第3の点灯手段130を用いて点灯させた場合、全ての安定器において保護検出動作にかからず点灯状態を確保することが可能となる。
一方、コントローラ150が第1スイッチ素子191および第2スイッチ素子192をオンにすると、第1LED負荷161aと第2LED負荷161bとは、並列に接続される。
このとき、図21に示した第3の点灯手段130で点灯させた場合、合成インピーダンスは直列接続時より低くなるため、負荷抵抗が小さくなると出力電力を絞る安定器などでは省電力化が可能となる。
以上説明したように半導体発光素子切替手段190を備えた第3の点灯手段130によれば、LED負荷161を直列、並列に切り替えることができる。このため、有効電力一定制御方式の蛍光灯安定器203など、位相を変化させても省電力効果は得られず、蛍光灯安定器203の故障、破壊を引き起こす可能性がある場合には、位相をずらさずLED負荷161の灯数切り替えでインピーダンスを低下させることにより省電力を実現することができる。さらに、蛍光灯点灯時と同程度のインピーダンスで点灯できる灯数を備えることで、確実に点灯状態を確保することが可能である。
なお、図8に示したように、第1〜第3の点灯手段110,120,130を備える場合において、第1および第2の点灯手段110,120にてLED負荷161を点灯させる場合は、半導体発光素子切替手段190の第1スイッチ素子191および第2スイッチ素子192をオンにしておくものであればよい。
(点灯手段選択処理)
図23は、照明灯100において、点灯時にLED負荷161を点灯させながら最も電力の低い状態を選択することができる点灯手段選択処理(点灯キャリブレーションという)の一例を示すフローチャートである。この点灯手段選択処理は、照明回路101のコントローラ150により実行される。
照明灯100は、第1の点灯手段110(図9)と、第2の点灯手段120(図18)と、第3の点灯手段130(図21)と、を備えるとともに、半導体発光素子切替手段190(図22)を備える。
よって、LED負荷161の点灯状態としては、第1の点灯手段110により点灯をする場合(以下、点灯状態1という)と、第2の点灯手段120により点灯をする場合(以下、点灯状態2という)、第3の点灯手段130で半導体発光素子切替手段190をオフにして点灯をする場合(以下、点灯状態3という)、第3の点灯手段130で半導体発光素子切替手段190をオンにして点灯をする場合(以下、点灯状態4という)の計4つの点灯状態を選択制御可能としている。
また、コントローラ150は、各点灯状態1〜4において、電流値検出部170にて検出される半導体発光素子部160に流れる電流値を記憶することができる記憶部を備えている。
以下に制御例を説明する。先ず、電源がONとなると(S201)、コントローラ150は周波数検出手段180からの入力に基づいて、照明回路101に入力される入力電圧周波数を測定する(S202)。
上述のように、照明回路101に商用電源E(AC)、グロー安定器(G)、ラピッド安定器(R)のいずれかが接続されている場合(S202:Yes)、照明回路101に入力される入力電圧周波数は商用周波数が検出される。商用周波数を検出した場合、点灯状態2とする(S203)。
一方、その他の場合(S202:No)、例えば、照明回路101にインバータ安定器が接続されている場合は、照明回路101に入力される入力周波数は一般的に商用周波数の1000倍以上の入力周波数となる。このため、インバータ安定器の周波数を検出した場合は、まず照明を点灯させるために点灯状態3で点灯させる(S204)。
ここで、接続した蛍光灯安定器203について点灯キャリブレーションがすでに完了している場合(S205:Yes)、すなわち、コントローラ150の記憶部にすでに点灯キャリブレーション結果が記録されている場合は、点灯キャリブレーション結果に基づいて、点灯状態3、点灯状態4、点灯状態1のいずれかで点灯させる(S206,S207,S227〜S229)。
一方、接続した蛍光灯安定器203について点灯キャリブレーションが完了していない場合(S205:No)、すなわち、コントローラ150の記憶部にまだ点灯キャリブレーション結果が記録されていない場合は、以下の点灯キャリブレーション(S208〜S226)を実施する。
ここで、Cal1は、点灯状態4において電流値検出部170にて半導体発光素子部160に流れる電流値の検出有無を示すパラメータであり、Cal1=0は、未だ検出されていない状態、Cal1=1は、検出済の状態を意味している。
また、Cal2は、点灯状態1において位相キャリブレーション(図12)を実施したか否かを示すパラメータであり、Cal2=0は、未だ実施されていない状態、Cal2=1は、実施済の状態を意味している。
点灯キャリブレーションでは、先ず、点灯状態3から、Cal1=0の場合(S208:Yes)、点灯状態4に切り替える(S210)。この点灯状態4においてLED負荷161に流れる電流値を記録してCal1=1とする(S211)。一方、Cal1≠0の場合(S208:No)は、S209へ移行する(後述する)。
S211の後、点灯状態4で点灯する場合(S212:Yes)、点灯状態4から点灯状態3に切り替えて(S213)、LED負荷161を直列にし、次いで、点灯状態3から点灯状態1に切り替える(S214)。
この点灯状態1において位相キャリブレーションを実施する。S214では、初期位相を設定し(図12のS101)、次いで、S214の点灯状態1で点灯する場合は(S215:Yes)、Cal2=1として(S216)、点灯状態1での位相キャリブレーションを実施する(S217、図12のS102〜S105)。点灯しない場合(S215:No)はS201へ移る。また、位相キャリブレーション中に消灯した場合(S218:No)はS201へ移る。
点灯状態1で点灯し(S218:Yes)、点灯状態1の位相キャリブレーションにおいてLED負荷161に流れる電流が目標値に達した場合は(S219:Yes、図13(A))、点灯キャリブレーション結果を点灯状態1に決定して(S226)、点灯状態1で点灯させる(S227)。
一方、LED負荷161に流れる電流が目標値に達しない場合は(S219:No)、省エネ効果の有無を判断する(S220)。
省エネ効果あり(S220:Yes、図13(B))で、点灯状態4で点灯する場合(S223:Yes)は、点灯状態1と点灯状態4とでよりLED負荷161に流れる電流が低い方を点灯キャリブレーション結果として決定し(S224〜S226)、各点灯状態で点灯させる(S227,S229)。
省エネ効果を得られない場合(S220:No、図13(C))は、点灯状態4で点灯するか否か判断し(S221)、点灯する場合(S221:Yes)は点灯状態4で点灯させる(S225,S229)。点灯しない場合(S221:No)は点灯状態3で点灯させる(S222,S228)。
また、点灯状態4に切り替えた際に(S210)、蛍光灯安定器203の保護回路が動作し、LED負荷161が消灯(電流が所定の閾値以下となる)した場合は(S212:No)、次に電源を入れる際、点灯状態4に移行させず(S208:No)、点灯状態1に移行し(S209:Yes)、位相キャリブレーションを実施する(S214,S217)。
そして、点灯状態1の位相キャリブレーションにおいてLED負荷161に流れる電流が目標値に達した場合は(S219:Yes)、その時の位相遅延量を位相キャリブレーション結果として決定し、点灯キャリブレーション結果を点灯状態1に決定する(S226,S227)。
一方、LED負荷161に流れる電流が目標値に達しない場合は(S219:No)、LED負荷161に流れる電流が最も低い位相遅延量を位相キャリブレーション結果として決定し、点灯キャリブレーション結果を点灯状態1に決定する(S226,S227)。
また、点灯状態4では点灯するが、点灯状態1では消灯した場合は、次に電源を入れる際に、点灯状態1に移行させず点灯キャリブレーションを点灯状態4として決定する。点灯状態1と点灯状態4の両方で点灯する場合は、LED負荷161に流れる電流が低いほうを点灯キャリブレーション結果として決定する(S224〜S227,S229)。
以上説明したように、図23の点灯キャリブレーションでは、コントローラ150の記憶部に記憶された点灯手段毎の電流値および半導体発光素子切替手段190によって切り替えた時の電流値から目標電流値に最も近い点灯手段を選択して、省電力となる点灯方法を選択して点灯させることができる。
また、点灯キャリブレーション中に不点灯状態となった場合、次の点灯で不点灯となった点灯手段での点灯を回避することや、点灯キャリブレーションの完了後、再点灯時は、記憶部に記憶した点灯手段にて点灯させることで、処理の簡略化を図っている。
以上説明したように、照明灯100によれば、コントローラ150で蛍光灯安定器203に最適な点灯手段を選択して、省電力化と正常点灯を両立させることができる。
すなわち、多様な種類の蛍光灯安定器203や商用電源Eに直接接続される場合であっても、点灯キャリブレーション時に照明灯100に接続された蛍光灯安定器203または商用電源Eに応じて、複数の点灯手段から点灯動作を確保し、最も省電力となる点灯手段または所望の電力となる点灯手段にてLED負荷161を動作させることができる。
なお、照明灯100が第1〜第3の点灯手段110,120,130の3つの点灯手段を備える例について説明したが、点灯手段は少なくとも2以上の点灯手段を選択可能に備えるものであればよい。また、第1〜第3の点灯手段110,120,130の少なくともいずれか1つと、その他の点灯手段とを選択可能に備えるものであってもよい。
(再キャリブレーション)
ここまで説明したように、照明灯100は、点灯キャリブレーションを実施して、安定器の有無や安定器の種別に応じて、最適な点灯手段を選択することで、省電力化と安定点灯を両立させている。
灯具へ照明灯100を設置した場合、通常は、その後、長い期間に亘り使用を継続するので、点灯キャリブレーションは初回の起動時だけ実行して結果を記録し、2回目以降の起動時は、決定した点灯方式で点灯させることとなる(図23のS205)。
しかしながら、LEDを用いた照明灯100は、蛍光灯に比較して寿命が長いので、製品としての使用サイクルの中で灯具が変わることも想定される。すなわち、点灯キャリブレーションが実施された灯具とは異なる他の部屋での照明に転用されるようなケースである。また、照明灯100の寿命が長いことで、安定器の動作特性の経年変化が発生して、選択されている点灯状態が最適でなくなるケースも考えられる。
このような場合には、再度、点灯キャリブレーションをやり直すこと、いわゆる再キャリブレーションを行うことが望まれる。
再キャリブレーションの方法としては、ユーザが、コントローラ150の記憶部にアクセスしてキャリブレーション結果を初期化するような手段(ハードリセット手段)を備えることが考えられるが、工事レスLED照明は、灯具から電源が供給されているときのみシステムが動作するため、ユーザが、コントローラ150の記憶部にアクセスしてキャリブレーション結果を初期化することは困難であり、また、ハードリセットをするためには、点灯中の工事レスLED照明のハードリセットボタンなどにユーザがアクセスする必要がある。
しかしながら、一般に灯具は、ユーザが容易に触れられるところには設けられないため、この方法によるキャリブレーション結果のリセットは、現実的ではない。
このように、点灯条件をキャリブレーションする工事レスLED照明の再キャリブーションをユーザが直接命令する手段がないという課題があった。
そこで、本実施形態に係る照明灯(照明灯100)は、交流信号を全波整流する整流手段(整流部301)と、2以上の点灯手段を有し、整流手段から入力される交流信号に応じて、2以上の点灯手段のうちから1の点灯手段を選択する点灯制御手段(点灯制御部302)と、点灯制御手段にて選択された点灯手段によって発光制御される発光手段(発光部303)と、点灯制御手段が選択した点灯手段を再設定させる再設定手段(リセット検出部304)と、を備え、再設定手段は、整流手段からの出力信号(電源信号VC)の有無を検出するとともに、該出力信号の有無の切り替わり時間を検出して、該出力信号のパターンを検出し、該パターンが所定の条件を満たす場合に、点灯制御手段に点灯手段を再設定させるものである。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。
したがって、灯具に装着された状態の照明灯に対して、ユーザにより、再キャリブレーションの命令実行を可能とするものである。これにより、灯具の切り替わりや、灯具の経時変化に対する点灯制御の対応を可能とするものである。
具体的には、以下に説明するように、灯具から照明灯への電源供給、すなわち安定器出力の信号出力の有無を監視して、出力有無の切り替わりの間隔、回数を検出し、その信号パターンを再キャリブレーションの命令信号に用いるものである。すなわち、ユーザは、照明灯を所定の条件を満たすようにオンオフ操作することで、ユーザ側から、簡易に再キャリブレーションを実行することができる。
[第1の実施形態]
図24は、リセット検出手段を備えた照明回路101を含む照明装置300の一例であって、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101の回路図である。
図24に示す照明回路101は、整流部301と、点灯制御部302と、発光部303と、リセット検出部304と、を備えており、整流部301、点灯制御部302、およびリセット検出部304は、発光部303を点灯させる点灯制御装置として機能する。
整流部301は、交流信号を全波整流するブリッジダイオード102,103である。発光部303は、半導体発光素子部160(LED負荷161)である。また、電流値検出部170を含むものである。また、半導体発光素子切替手段190を併せて備えることが好ましい。
点灯制御部302は、蛍光灯安定器203の種類を判別して、その判別結果に応じて最適な点灯方法を選択する点灯キャリブレーションを実行する点灯手段(第1の点灯手段110、第2の点灯手段120、第3の点灯手段130)と、切替手段(切替手段140)と、点灯キャリブレーションのための制御手段(コントローラ150の一部)を含むものである。
ここで、点灯制御部302は、蛍光灯安定器203の種類を判別して、その判別結果に応じて最適な点灯方法を選択する機能を有するものであればよく、ここまで説明した点灯手段、切替手段、および制御手段の構成に限られるものではない。また、点灯制御部302は、少なくとも2以上の蛍光灯安定器203の種類を判別可能なものであればよく、商用電源Eに直接接続される場合を判別可能でなくてもよい。
点灯制御部302では、点灯キャリブレーション後に、最適点灯に関するキャリブレーションデータ(キャリブレーション結果)を保持しているが、図24に示す照明回路101では、後述するように、リセット検出部304からキャリブレーションリセット信号RSTが入力されると、最適点灯に関するキャリブレーションデータが初期化されて、再キャリブレーションを実施可能となっている。
リセット検出部304は、コントローラ150の一部に構成される。リセット検出部304には、整流部301の出力信号(電源信号VC)が入力されて、この出力信号の信号パターンが所定のパターンとなった場合に、点灯制御部302にキャリブレーションリセット信号RSTを出力する。
リセット検出部304は、検出制御部310と、データ格納部311と、タイマ312と、を備えている。また、図25は、リセット検出部304におけるリセット検出処理を示すタイミングチャートである。また、図26は、リセット検出部304および点灯制御部302が実行するリセット検出処理の一例を示すフローチャートである。
検出制御部310は、整流部301から入力される電源信号VCの立ち上がりから立ち下がりまでの時間(電源信号VCのパルス幅である)を検出する。
データ格納部311は、リセットアクセス信号(カウンタ値)を保持する記憶部である。データ格納部311は、不揮発性メモリであって、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)で構成される。このため、リセットアクセス信号は、電源遮断状態でも保持される。
タイマ312は、計時手段であって、タイミング信号TMを検出制御部310に出力する。
検出制御部310は、システム起動時に、リセットアクセス信号をデータ格納部311から読み出して(R)、電源信号VCの立ち上がりから立ち下がりまでの時間が所定時間以下である場合は、リセットアクセス信号をカウントアップ(インクリメント)し、その結果を、データ格納部311に書き込む(W)。
する。
また、検出制御部310は、システム起動時に、リセットアクセス信号をデータ格納部311から読み出して(R)、その値が所定の値である場合に、キャリブレーションリセット信号RSTを点灯制御部302にアサートする。
すなわち、リセット検出部304では、所定時間以内に、電源スイッチのオン/オフがなされたことを検出して、リセットアクセス信号をカウントアップし、リセットアクセス信号が所定の値に到達した場合、キャリブレーションリセット信号RSTが出力されるものである。
図25のタイミングチャートを参照して、リセット検出部304でのリセット検出処理の詳細を説明する。
照明灯100の電源スイッチをオンにして、照明灯100の電源供給を行うと、蛍光灯安定器203から電力が供給され、整流部301の電源信号VCが立ち上がる。
このとき、検出制御部310は、電源信号VCの立ち上がりから立ち下がりまでの時間をカウントして、3秒以下の場合はリセットアクセス信号をカウントアップする。これに対し、電源信号VCの立ち上がりから立ち下がりまでの期間が3秒を超えた場合には、リセットアクセス信号をクリアする。
このように、リセットアクセス信号をカウントアップしていき、リセットアクセス信号のカウントが「2」になっている状態において、電源スイッチがオンになり、電源信号VCが立ち上がったときに、キャリブレーションリセット信号RSTがアサートされる。
なお、本実施形態では、リセットアクセス信号をカウントアップするための電源信号VCの立ち上がりから立下りの期間は3秒としているが、この時間は任意に設定可能な値である。また、キャリブレーションリセット信号RSTをアサートするための条件となるリセットアクセス信号のカウント値を「2」としているが、この値も任意に設定可能な値である。
以上説明したリセット検出処理により、ユーザが照明灯100の電源スイッチのオン/オフを所定間隔以内(ここでは、3秒以内)で、繰りかえし(ここでは、2回)行うことで、その起動時(ここでは、3回目)に、記憶されているキャリブレーション結果をリセットすることが可能となる。したがって、ユーザが所定の操作を実行することで、再キャリブレーションを実施することができる。
図26のフローチャートを参照して、リセット検出部304が実行するリセット検出処理の一例を説明する。
リセット検出処理では、照明灯100に電源が供給される(S301)ことで、システムが起動し、先ず、検出制御部310は、リセットアクセス信号をデータ格納部311から読み出して、カウント値を確認する(S302)。
リセットアクセス信号のカウント値が「2」である場合(S302:Yes)は、キャリブレーションリセット信号RSTをアサートする(S303)。リブレーションリセット信号RSTがアサートされると、点灯制御部302では、キャリブレーション結果を初期化し、再キャリブレーションを実施する(S304)。
一方、リセットアクセス信号のカウント値が「2」でない場合、すなわち「1」または「0」である場合(S302:No)、検出制御部310は、電源信号VCのパルス幅である立ち上がりから立ち下がりまでの時間をカウントする(S305)。
次いで、電源信号VCのパルス幅が3秒以下の場合(S306:Yes)、リセットアクセス信号をカウントアップし、その値をデータ格納部311に記憶する(S307)。一方、電源信号VCのパルス幅が3秒を超える場合(S306:No)、リセットアクセス信号をクリアして、0に設定する(S308)。
このように、リセット検出処理が電源投入時に実行されることで、ユーザからの再キャリブレーションの実施命令を受け付けることが可能となっている。
以上説明した本実施形態に係る照明灯によれば、省電力化を図るとともに、灯具に応じて適切な点灯制御をすることができ、かつ灯具が変更した場合や、安定器の動作特性が変化した場合であっても、適切な点灯制御をすることができる。
また、本実施形態では、整流部301の出力信号に基づいて、電源のオンオフが所定時間内に切り替わることが、繰り返されたことを検出しているので、安定した動作を実現することができる。
[第2の実施形態]
図27は、リセット検出手段を備えた照明回路101を含む照明装置300の他の例であって、商用電源E、蛍光灯安定器203、並びに照明灯100の実装基板11a、11b、及び電源基板7に設けられている照明回路101の回路図である。
第2の実施形態に係る照明灯は、本実施形態に係る照明灯(照明灯100)は、交流信号を全波整流する整流手段(整流部301)と、2以上の点灯手段を有し、整流手段から入力される交流信号に応じて、2以上の点灯手段のうちから1の点灯手段を選択する点灯制御手段(点灯制御部302)と、点灯制御手段にて選択された点灯手段によって発光制御される発光手段(発光部303)と、点灯制御手段が選択した点灯手段を再設定させる再設定手段(リセット検出部304)と、を備え、再設定手段は、整流手段に入力される安定器からの出力信号(出力信号BP)の有無を検出するとともに、該出力信号の有無の切り替わり時間を検出して、該出力信号のパターンを検出し、該パターンが所定の条件を満たす場合に、点灯制御手段に点灯手段を再設定させるものである。
第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、整流部301からの電源信号VCではなく、蛍光灯安定器203の出力信号BPを検出制御部310への入力として用いて、リセット検出処理を実行するものである。
この第2の実施形態に係る照明灯では、蛍光灯安定器からの出力(すなわち、照明灯への入力)に基づいて、電源のオンオフが所定時間内に切り替わることが、繰り返されたことを検出しているので、安定した動作を実現することができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。