JP6546721B2 - 単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ - Google Patents

単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ Download PDF

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Description

本発明は、単結晶シリコンを引き上げるための石英ガラスるつぼに関する。
従来、単結晶半導体材料のような単結晶物質の製造には、いわゆるチョクラルスキー法と呼ばれる方法が広く採用されている。この方法は多結晶シリコンを容器内で溶融させ、この溶融浴(融液)内に種結晶の端部を浸けて回転させながら引き上げるものである。この方法では、種結晶の下に同一の結晶方位を持つ単結晶が成長する。単結晶シリコンを引き上げる場合、この単結晶引き上げ容器には石英ガラスるつぼが一般的に使用されている。
ポリシリコンを石英ガラスるつぼ中で溶融して単結晶シリコンを引き上げる際に、シリコン融液(メルト)の表面に振動波面が発生し、この振動波面の発生による、シリコン種結晶がシリコン融液に適切に接触できない問題及び単結晶シリコンの結晶性が乱れる問題は、通常よく発生する現象である。
この融液の表面の振動(「液面振動」又は「湯面振動」とも呼ばれる。)の原因の一つとして、石英ガラスるつぼの内表面が合成石英ガラス層とされていることが挙げられる。石英ガラスるつぼの内表面が合成石英ガラス層とされている場合、合成石英ガラス層は実質無気泡であるため、単結晶シリコンを引き上げる際に液面振動が起こりやすくなる。
特に近年、単結晶シリコンの直径が8インチ(200mm)以上になり、また、さらに直径が大きいものが大量に生産されるようになってきている。製造する単結晶シリコンの直径が大きくなるにつれて、その引き上げに使用される石英ガラスるつぼの口径も大きくなる。石英ガラスるつぼが大口径になるに従って、液面振動の問題は、益々重要になってきた。
上記のような液面振動の問題を解決するべく、例えば、特許文献1には、るつぼ内表面を粗面化することで液面振動を抑制する技術が開示されている。特許文献1の方法により、単結晶シリコン引き上げ1本目の液面振動を抑制することが可能となる。しかしながら、同一のるつぼから複数の単結晶シリコンを引き上げる、いわゆるマルチ引き上げを行う場合、複数本目の単結晶シリコン引き上げでは液面振動が発生しやすいという問題があった。
国際公開第WO2011/158712号
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、単結晶シリコンの引き上げ時の液面振動の発生を効果的に抑制し、特に、マルチ引き上げにおける複数本目の単結晶シリコン引き上げの際の液面振動の発生を抑制することができる単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、底部、湾曲部、及び直胴部とからなり、内部に保持したシリコン融液から単結晶シリコンを引き上げるための石英ガラスるつぼであって、気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層と、実質的に気泡を含有しない透明石英ガラスからなる内層とを有し、前記直胴部の内表面の一部に、上下方向を長手方向とした溝が形成されており、かつ、該溝は、前記るつぼが前記シリコン融液を保持する際に、該溝が前記シリコン融液の初期状態における融液面と接するように形成されており、前記底部及び前記湾曲部には前記溝が形成されていないことを特徴とする単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼを提供する。
本発明の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼでは、溝の存在により、液面振動を抑制することができる。特に、マルチ引き上げにおいて、1本目の単結晶シリコン引き上げで生じる石英ガラスるつぼ内面の溶損によっても、本発明のるつぼであれば溝が残り、2本目以降の単結晶シリコン引き上げで液面振動を効果的に抑制することができる。そのため、2本目以降の単結晶シリコンの引き上げも安定的に行うことができる。また、底部及び湾曲部には溝が形成されていないので、長時間操業しても、石英ガラスるつぼのバルク部に含有される不純物や気泡が、シリコン融液に溶出することもない。
この場合、前記底部の外表面の中心点から、前記直胴部の上端までの高さをHとしたときに、0.5×H〜0.9×Hの高さの範囲内に前記溝が形成されていることが好ましい。
このような範囲に溝を形成することにより、より確実に、シリコン融液の初期状態における融液面と溝とが接するようにすることができる。
また、前記溝の深さが、前記るつぼの内表面から0.1mm〜1.0mmであることが好ましい。
このような溝の深さにすることにより、より確実に2本目以降の単結晶シリコン引き上げにおける液面振動を抑制することができるとともに、るつぼ壁からの不純物のシリコン融液への溶け込みを防止できる。
また、前記溝の横幅が、0.1mm〜5.0mmであることが好ましい。
このような溝の横幅にすることにより、より確実に2本目以降の単結晶シリコン引き上げにおける液面振動を抑制することができる。
また、前記溝が、前記直胴部の内表面に4本以上形成されていることが好ましい。
このように、溝を4本以上とすることにより、より効果的に液面振動を抑制することができる。
また、前記溝と溝の間の領域を粗面とすることができる。
このように、溝と溝の間に粗面領域を設けることにより、1本目の単結晶シリコン引き上げ時において、より効果的に液面振動を抑制することができる。
また、前記溝及び/又は前記粗面が、石英粉を用いたブラスト処理により形成されたものとすることができる。この場合、前記ブラスト処理を、乾式又は湿式とすることができる。
このような方式により溝を形成することにより、簡便に、かつ、不要な不純物を導入することなく、溝を形成することができる。粗面の形成についても同様である。
本発明の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼでは、溝の存在により、液面振動を効果的に抑制することができる。特に、いわゆるマルチ引き上げにおいて、1本目の単結晶シリコン引き上げで生じる石英ガラスるつぼ内面の溶損によっても、本発明のるつぼであれば溝が残り、2本目以降の単結晶シリコン引き上げで液面振動を効果的に抑制することができる。そのため、2本目以降の単結晶シリコンの引き上げも安定的に行うことができる。その結果、単結晶引き上げの操業時間の短縮にもつながる。しかも、底部及び湾曲部には溝が形成されていないので、長時間操業しても、石英ガラスるつぼのバルク部に含有される不純物や気泡が、シリコン融液に溶出することもない。従って、本発明の石英ガラスるつぼを用いて単結晶シリコンを引き上げれば、高純度で気泡に基づくピンホール等の欠陥を有しない単結晶が得られる。
本発明に係る単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼの一例の概略断面図である。 本発明に係る単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼの一例の斜視図である。 本発明に係る単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼにシリコン融液を保持した様子を示す概略断面図である。 本発明に係る単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼの別の一例の概略断面図である。
上記のように、石英ガラスるつぼ内表面を粗面化することで液面振動を抑制する方法では、単結晶シリコン引き上げ1本目の液面振動を抑制することができても、複数本目の単結晶シリコン引き上げでは液面振動が発生しやすいという問題があった。これは、1本目の引き上げで生じる石英ガラスるつぼ内面溶損により粗面が平滑化され、複数本目の単結晶シリコン引き上げでは液面振動が発生してしまうことによる。この複数本目の液面振動を抑制するため、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
以下、図面を参照し、本発明をより具体的に説明する。
図1に、本発明に係る石英ガラスるつぼの一例の概略断面図を示す。図2は、図1に示した本発明の石英ガラスるつぼの斜視図である。石英ガラスるつぼ11は、底部、湾曲部、及び直胴部とからなり、気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層13と、実質的に気泡を含有しない透明石英ガラスからなる内層12とを有する。直胴部とはるつぼ形状のうち略円筒形の部分を指す。直胴部と底部の間の領域を湾曲部と称する。るつぼの底部は、例えば、るつぼの外径の約3分の2の直径を有する部分と定義することができる。直胴部の高さは、例えば、るつぼの高さのうち上部4分の3の部分と定義することもできるが、るつぼの形状によりまちまちである。内層12及び外層13の厚さは通常用いられる石英ガラスるつぼにおける厚さと同様にすることができ、特に限定されない。例えば、内層12の厚さは1.5mm以上とすることができるが、これより薄くてもよい。一般に内層12はシリコン融液と直接接触するため高純度石英ガラスで形成され、外層13はるつぼの強度を保つこととコストの点から内層12より低純度とされる。
本発明の石英ガラスるつぼ11においては、直胴部の内表面の一部に、上下方向を長手方向とした溝21が形成されている。この「上下方向」とは、るつぼ11の内表面(すなわち、内層12の表面)において、るつぼ端面(石英ガラスるつぼ11の上端)からるつぼ底部中心へ向かう方向のことを指す。この溝21は、石英ガラスるつぼ11がシリコン融液を保持する際に、溝21がシリコン融液の初期状態における融液面と接するように形成される。図3に、石英ガラスるつぼ11にシリコン融液を保持した様子(単結晶シリコン引き上げ前)を示す。石英ガラスるつぼ11の内部にシリコン融液31が保持され、シリコン融液31から単結晶シリコンが引き上げられる。「シリコン融液の初期状態における融液面」とは、単結晶シリコンを引き上げる前のシリコン融液31が石英ガラスるつぼ11内に入っている状態での液面のことを指す。図3中に図示した融液面32が、シリコン融液の初期状態における融液面である。
また、本発明の石英ガラスるつぼ11においては、底部及び湾曲部には溝21が形成されていないことが必須である。底部及び湾曲部は、シリコン単結晶引き上げの間、シリコン融液31と接触している時間が長く、直胴部と比べて溶損の幅が大きい。そのため、底部及び湾曲部に溝が形成されていると、溶損が外層13にまで達しやすくなり、不純物や気泡がシリコン融液31に取り込まれやすくなってしまう。
なお、本発明の説明における単結晶シリコンの引き上げ時の液面振動とは、種結晶をシリコン融液31に接触させ、種絞り(ネッキング)を経て、単結晶シリコンのショルダー部形成が始まるまでの間に見られる液面振動を指す。本発明の石英ガラスるつぼ11を用いることにより、この液面振動を抑制することができる。
前記のように、本発明の石英ガラスるつぼ11においては、シリコン融液31の初期状態における液面の位置が溝21の上下方向の範囲内となるように溝21を設ける必要がある。このときの溝21の石英ガラスるつぼ11の上端部からの位置は、石英ガラスるつぼ11の径や製造条件などによって適宜設定すればよい。特に、石英ガラスるつぼ11の底部の外表面の中心点から、直胴部の上端までの高さをHとしたときに、0.5×H〜0.9×Hの高さの範囲(図1参照)内に溝21が形成されていることが好ましい。このような範囲に溝21を形成することにより、より確実に、シリコン融液31の初期状態における融液面と溝21とが接するようにすることができる。
図1に図示したように、高さHは石英ガラスるつぼ11の底部の外表面から測定した高さである。
また、溝21の上下方向の長さは、シリコン融液31の初期状態における液面を中心に上方に10mm以上及び下方に10mm以上の長さで形成することが好ましい。このような長さで溝21を形成することにより、より確実に、シリコン融液31の初期状態における融液面と溝21とが接するようにすることができる。
本発明においては、溝21の深さが、石英ガラスるつぼ11の内表面から0.1mm〜1.0mmであることが好ましい。溝21の深さを0.1mm以上とすることにより、より確実に2本目以降の単結晶シリコン引き上げにおける液面振動を抑制することができる。また、溝21の深さを1.0mm以下とすることにより、石英ガラスるつぼ11のるつぼ壁からの不純物のシリコン融液への溶け込みを抑制することができる。シリコン融液を高温で保持する際に石英ガラスるつぼ11の内表面は侵蝕されるため、溝21の底面も同様に侵蝕される。この侵蝕が、複数本の単結晶シリコン引き上げを経ても外層13に達しないように設定することが好ましい。通常の石英ガラスるつぼの内層及び外層の厚さであれば、溝21の深さを1.0mm以下とすればよい。内層12の厚さが1.0mmより薄い場合でも、内層12の厚さに応じて溝21の深さを設定することができる。内層12の厚さを0.5mmとする場合は、例えば、溝の深さは0.1〜0.3mmとすることができる。
本発明においては、溝21の横幅が、0.1mm〜5.0mmであることが好ましい。このような溝の横幅にすることにより、より確実に2本目以降の単結晶シリコン引き上げにおける液面振動を抑制することができる。なお、溝21の横幅とは、上下方向と直交する方向における溝21の開口部の幅のことを指す。溝21の断面形状は特に限定されず、U字溝、V字溝、方形溝等適宜設定することができる。
本発明においては、溝21は少なくとも1本形成されていればよいが、溝21が直胴部の内表面に4本以上形成されていることが好ましい。このように、溝を4本以上とすることにより、より効果的に液面振動を抑制することができる。溝の本数の上限は特に限定されないが、生産性を考慮して本数を設定することができる。
また、溝21と溝21の間の領域が粗面となっていてもよい。図4に、本発明の石英ガラスるつぼの別の一例として、粗面を形成した態様を示した。溝21と溝21の間に粗面領域22を設けることにより、1本目の単結晶シリコン引き上げ時において、より効果的に湯面振動を抑制することができる。図4には、溝21と粗面22のそれぞれの上下端を揃えた態様を図示しているが、粗面22の形成位置は図示した態様に限定されず、溝21と溝21の間に粗面が形成されていればよい。
また、溝21は、石英粉を用いたブラスト処理により形成されたものとすることができる。このような方式により溝21を形成することにより、簡便に、かつ、不要な不純物を導入することなく、溝を形成することができる。ブラスト処理に用いる石英粉としては、合成石英粉又は高純度天然石英粉を用いることができる。ブラスト処理は、石英粉を圧縮空気や遠心力で吹き付けることにより、石英ガラスるつぼ11の内表面に溝21を形成するものである。ブラスト処理としては、石英粉を吹き付ける乾式ブラストでもよいし、水などの流体とともに石英粉を吹き付ける湿式ブラストでもよい。石英粉としては、粒径106μm〜355μmの範囲の石英粉の重量積算が80%以上であるのが好適である。粒径の測定及び選別にあたっては例えば篩いを用いればよい。
また、粗面22の形成についても、溝21の形成と同様に、石英粉を用いたブラスト処理により形成することができ、乾式又は湿式のいずれも用いることができる。
本発明の石英ガラスるつぼ11では、1本目の単結晶シリコン引き上げで生じる石英ガラスるつぼ11の内面の溶損によっても、溝21が残り、2本目以降の単結晶シリコン引き上げで液面振動を効果的に抑制することができる。そのため、2本目以降の単結晶シリコンの引き上げを安定的に行うことができる。その結果、操業時間の短縮にもつながる。しかも、底部及び湾曲部には溝が形成されていないので、長時間操業しても、石英ガラスるつぼ11のバルク部に含有される不純物や気泡が、シリコン融液31に溶出することもない。従って、本発明の石英ガラスるつぼ11を用いて単結晶シリコンを引き上げれば、高純度で気泡に基づくピンホール等の欠陥を有しない単結晶が得られる。
なお、本発明の適用にあって、るつぼの口径に特別の限定はなく、様々な口径のるつぼ
に適用可能である。
以下に、本発明の実施例及び比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない限り様々の変形が可能であることは勿論である。
(実施例1)
図1及び図2に示した単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ11を、以下の工程を経て作製した。まず、粒径50〜500μmの天然石英粉を回転する内径570mmのモールド内に供給し、外層となる厚さ25mmの粉体層からなる成型体を成型した。次に、アーク放電により該成型体の内部から加熱溶融すると同時に、その高温雰囲気中に合成石英ガラス粉を100g/minの割合で供給し、泡の無い透明ガラス層(内層)を全内面領域にわたり、1〜3mmの厚さで形成した。溶融が終了した後、冷却して直径555〜560mmの石英ガラスるつぼを得た。この石英ガラスるつぼについて、高さH(底部の外表面の中心点から、直胴部の上端までの高さ)が370mmとなるよう上端部をカットし、石英ガラスるつぼを作製した。次に、この石英ガラスるつぼに対して、直胴部内面において、石英粉ブラスト処理で長さ74mm、深さ0.1mmの溝21を4本形成した石英ガラスるつぼ11を作製した。溝形成位置は高さHに対して、0.6×Hから0.8×Hの範囲とした。溝形成処理は、上端部が下になるように石英ガラスるつぼをひっくり返した状態で内壁面に対して行った。ブラスト材として使用した高純度天然石英粉について粒度分布を測定したところ粒径106μm〜355μmの占める割合は87重量%であった。
次に、上記のようにして作製した石英ガラスるつぼ11を使用して、以下のように単結晶シリコンの引き上げを行った。まず、石英ガラスるつぼ11の内部に多結晶シリコンを収容した後、溶融して、図3に示したシリコン融液31を得た。このとき、シリコン融液31の初期状態における融液面32は、高さが約260mm(すなわち、約0.7×H)であり、溝21が融液面32と接していた。種結晶をシリコン融液31に接触させ、種絞り(ネッキング)を経て、単結晶シリコンのショルダー部形成が始まるまでの間に、シリコン融液31の融液面32の振動は若干見られた程度で、操業に影響がないレベルであった。同一の石英ガラスるつぼ11を用いて、原料の投入及び単結晶シリコン引き上げをさらに2回繰り返して行った(すなわち、全体で3回の引き上げ)が、液面振動の傾向は1回目と同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例2)
実施例1と比べて溝21の本数を8本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動は生じなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例3)
実施例1と比べて溝21の深さを0.5mmに、溝21の本数を8本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動は生じなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例4)
実施例1と比べて溝21の深さを0.7mmに、溝21の本数を8本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動は生じなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例5)
実施例4と比べて、溝21の下端を高さ0.2×Hに変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。これにより、溝21が直胴部の下端近く、すなわち湾曲部との境界付近にまで形成された。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動の発生はなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。ただし、製造した単結晶の歩留まりがやや低下した。これは、溝21を直胴部の下端近くにまで形成したため、直胴部の下端近くにおいて、長時間シリコン融液31と接触することによる侵蝕が進んだためと考えられる。
(実施例6)
実施例1と比べて溝21の深さを1.0mmに変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動は生じなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例7)
実施例1と比べて溝21の深さを1.0mmに、溝21の本数を12本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動は生じなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例8)
実施例1と比べて溝21の深さを1.0mmに、溝21の本数を2本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動が発生したが、振動は若干見られた程度で、操業に影響がないレベルであった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。また、製造した単結晶の歩留まりも良好であった。
(実施例9)
実施例1と比べて溝21の深さを1.2mmに、溝21の本数を8本に変更した石英ガラスるつぼ11を作製した。この石英ガラスるつぼ11を用いて、実施例1と同様にシリコン融液31から単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動の発生はなかった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。ただし、製造した単結晶の歩留まりがやや低下した。これは、溝21を深く形成したため、シリコン融液31による侵蝕が進んだためと考えられる。
(比較例1)
単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼを、以下の工程を経て作製した。まず、粒径50〜500μmの天然石英粉を回転する内径570mmのモールド内に供給し、厚さ25mmの粉体層からなる成型体を成型した。次に、アーク放電により該成型体の内部から加熱溶融すると同時に、その高温雰囲気中に合成石英ガラス粉を100g/minの割合で供給し、泡の無い透明ガラス層を全内面領域にわたり、1〜3mmの厚さで形成した。溶融が終了した後、冷却して直径555〜560mmの石英ガラスるつぼを得た。この石英ガラスるつぼについて、高さが370mmとなるよう上端部をカットし、石英ガラスるつぼを作製した。この石英ガラスるつぼには、実施例1〜9のような溝を形成しなかった。
次に、上記のようにして作製した石英ガラスるつぼを使用して、以下のように単結晶シリコンの引き上げを行った。まず、石英ガラスるつぼの内部に多結晶シリコンを収容した後、溶融して、シリコン融液を得た。このとき、シリコン融液の初期状態における融液面は、高さが約260mmであった。種結晶をシリコン融液に接触させ、種絞り(ネッキング)を経て、単結晶シリコンのショルダー部形成が始まるまでの間に見られるシリコン融液面の振動が発生したため、自動操業ができず、オペレーターによる手動調整が必要であった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動が発生し、自動操業ができず、オペレーターによる手動調整が必要であった。
(比較例2)
実施例4と比べて、溝の長さをるつぼ底部の中心まで形成するように変更した石英ガラスるつぼを作製した。すなわち、溝を直胴部だけでなく、湾曲部及び底部に形成した。この石英ガラスるつぼを用いて単結晶シリコンの引き上げを行ったところ、液面振動の発生はなかった。なお、シリコン融液の初期状態における融液面の高さは約260mmであった。2回目及び3回目の引き上げでも液面振動の傾向は同様であった。ただし、製造した単結晶の歩留まりが、大幅に低下した。これは、溝を湾曲部及び底部にも形成したため、長時間のシリコン融液31との接触により侵蝕が大幅に進んだためと考えられる。
実施例1〜9、及び比較例1〜2の石英ガラスるつぼの溝の形成条件、並びに、単結晶シリコン引き上げの結果を表1にまとめた。表中の記号「○」は結果が非常に良好であること、記号「△」は結果が問題ないレベルであること、記号「×」は結果が不良であることを示している。
Figure 0006546721
実施例1〜9、及び比較例1〜2の結果から、直胴部の内表面の一部に溝を形成することにより、単結晶歩留まりを高く保ったまま液面振動を抑制することができることがわかる。また、その一方で、底部及び湾曲部に溝が形成しないことが必要であることがわかる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
11…石英ガラスるつぼ、 12…内層、 13…外層、
21…溝、 22…粗面、 31…シリコン融液、 32…融液面。

Claims (7)

  1. 底部、湾曲部、及び直胴部とからなり、内部に保持したシリコン融液から単結晶シリコンを引き上げるための石英ガラスるつぼであって、
    気泡を含有する不透明石英ガラスからなる外層と、実質的に気泡を含有しない透明石英ガラスからなる内層とを有し、
    前記直胴部の内表面の一部に、上下方向を長手方向とした溝が形成されており、かつ、該溝は、前記るつぼが前記シリコン融液を保持する際に、該溝が前記シリコン融液の初期状態における融液面と接するように形成されており、前記底部及び前記湾曲部には前記溝が形成されておらず、前記溝と溝の間の領域が粗面となっていることを特徴とする単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  2. 前記底部の外表面の中心点から、前記直胴部の上端までの高さをHとしたときに、0.5×H〜0.9×Hの高さの範囲内に前記溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  3. 前記溝の深さが、前記るつぼの内表面から0.1mm〜1.0mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  4. 前記溝の横幅が、0.1mm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  5. 前記溝が、前記直胴部の内表面に4本以上形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  6. 前記溝及び/又は前記粗面が、石英粉を用いたブラスト処理により形成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
  7. 前記ブラスト処理が乾式又は湿式であることを特徴とする請求項に記載の単結晶シリコン引き上げ用石英ガラスるつぼ。
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