JP6545510B2 - 経口組成物用添加剤 - Google Patents

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Description

本発明は、飲食品及び経口医薬品などの経口組成物の調製に際して、経口組成物の有用性を高める目的で添加される可食性組成物、言い換えれば経口組成物用添加剤に関する。より詳細には、経口組成物に唾液分泌促進作用、嚥下改善作用(嚥下補助作用)、及び咀嚼改善作用(咀嚼補助作用)からなる群から選択される少なくとも1つの作用を付与するために、成分の1つとして経口組成物の調製時に添加して用いられる経口組成物用添加剤に関する。
また本発明は、当該経口組成物用添加剤を用いて調製される経口組成物(飲食品、経口医薬品)、及びその調製方法に関する。
さらに本発明は、スピラントールが有する唾液分泌促進作用を増強する方法、並びに当該方法の用途に関する。
唾液は、口腔機能や口腔内の環境の維持等に重要な役割を果たしている。口腔機能としては、発声及び会話を円滑にする機能、並びに食物の摂取及び嚥下機能を挙げることができる。特に飲食品の摂取及び嚥下機能において、唾液は、食塊形成作用、アミラーゼ分泌による消化活動、並びに味物質の可溶化及びカーボネート・デヒドロゲナーゼの分泌による味覚の維持作用に深く関わっている。また、口腔内の環境維持に関して、唾液は歯を含む口腔内の自浄作用、歯の再石灰化作用、抗菌作用、免疫作用、抗炎症作用、及び成長因子等による組織修復促進作用に深く関わっている。
しかしながら、情緒やストレス障害、神経症、臓器障害、脳炎、腫瘍、脳血管障害、高血圧、バセドウ氏病、及び糖尿病等の各種疾患、薬剤の副作用、放射線治療、並びに加齢等を原因として唾液の分泌量が低下することが知られている。特に高齢者は、加齢による唾液腺機能の低下に加え、複数の慢性疾患やそれらの治療薬により、唾液の分泌量が減少するため、口腔内の乾燥を訴える者が多いのが実情である。
唾液の分泌量の低下は、口腔内に乾燥をもたらし、その結果、咀嚼や嚥下の困難、及び消化機能の低下を招く。また、口腔内不快感及び口臭発生の原因ともなる。更に症状が進行すると、歯周疾患、及び口内炎等の口腔感染症の原因になる。従って、何らかの手段によって、該当者の唾液の分泌量を増加させることが求められる。
従来、唾液の分泌量を増加させる手段として、酸味を用いて、味覚的に刺激を与える方法(特許文献1)、及び嗅覚的に刺激を与える方法(特許文献2)が提案されている。また、唾液分泌促進作用を有する植物抽出物を使用する方法(特許文献3〜6)、並びにムスカリン受容体を標的にした薬物(特許文献7)、及びPAR−2を標的とした薬物(特許文献8)を用いる方法も提案されている。
しかしながら、上記文献に開示されている方法は、いずれも効果の強さや持続性について充分とはいい難く、その他にも下記のような問題を有している。
特許文献1記載の方法は、嗜好性の面から汎用性がない。また、刺激が強いため、頻繁に適用すると歯牙の溶解や口腔粘膜に対する刺激等、口腔組織への影響が危惧される。特許文献2記載の方法は、嗅覚刺激の消失とともに効果が消失してしまうという問題がある。特許文献3〜6記載の方法は、使用する植物抽出物には特有の刺激、呈味及び香味を有しているものが多く、また有機酸の併用が必須又は推奨されているため、それを適用できる組成物(食品組成物、口腔用組成物)が限られるという問題がある。さらに特許文献7及び8記載の方法は、薬物利用による副作用が懸念される。
また一方で、植物オランダセンニチに含まれているスピラントールには、香気性とともに、唾液分泌促進作用または口内湿潤化作用があることが知られており、単独で、又は既存の冷感剤若しくは温感剤等と組み合わせて、口腔ケア製品、飲食品、香粧品、医薬品の成分として使用することが提案されている(特許文献9〜11)。
特開平7−101856号公報 特開2003−40752号公報 特開平11−71253号公報 特開平10−182392号公報 特開2002−265375号公報 特開2005−162633号公報 特開平8−12575号公報 特開2001−64203号公報 特表2012−521192号公報 国際公開WO2011/007807号公報 特表2009−531287号公報
本発明は、上記従来技術に鑑み、唾液の分泌を促進することのできる経口組成物(飲食品、経口医薬品)の調製に有効な添加剤(経口組成物用添加剤)を提供することを目的とする。好ましくは、本発明は、唾液分泌機能が低下した者に対して唾液の分泌を促進し、咀嚼や嚥下を補助することのできる経口組成物を調製するために有効な添加剤を提供することを主な目的とする。当該添加剤は、より好ましくは、経口組成物に上記作用を付与しながらも、望ましくない口腔内への刺激及び風味(味、香り)、並びに人体に有害な副作用を与えない、経口組成物に適した添加剤である。また、本発明は、かかる添加剤を用いた上記経口組成物の調製方法、及び当該経口組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、スピラントールにキサンタンガム等の増粘多糖類を併用することで、スピラントールが有する唾液分泌促進作用が増強することを見出した。またかかる知見に基づいてさらに検討したところ、特にスピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合を5質量部以上とすることで、対象とする経口組成物(飲食品、経口組成物)の嗜好性(味、香りなど)に大きな影響を与えることなく、スピラントールの唾液分泌促進作用を増強させることができることを確認し、さらなる研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本願発明は、以下の態様を有する。
(I)経口組成物用添加剤
(I−1)スピラントール及び増粘多糖類を含有する経口組成物用添加剤。
(I−2)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(I−1)に記載の経口組成物用添加剤。
(I−3)スピラントール1質量部に対して増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で含有する(I−1)又は(I−2)に記載する経口組成物用添加剤。
(I−4)固体状、ペースト状及び液体状よりなる群から選択される少なくとも1種の形状を有するものである、(I−1)乃至(I−3)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤。
(I−5)経口組成物が飲食品または経口医薬品である、(I−1)乃至(I−4)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤。
(I−6)経口組成物が、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、及び咀嚼機能が低下している人よりなる群から選択される少なくとも1種の人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品である、(I−1)乃至(I−5)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤。
(I−7)下記(1)及び(2)の少なくとも1つの物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する経口組成物を調製するための添加剤である、(I−1)乃至(I−6)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤:
(1)破断歪み:0.3〜0.8
(2)「かたさ」:500〜500,000N/m
(3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
(I−8)下記(a)〜(c)のいずれかの用途に使用される、(I−1)乃至(I−7)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤:
(a)経口組成物に唾液分泌促進作用を付与する唾液分泌促進剤:
当該唾液分泌促進剤は、唾液分泌機能が低下した者(唾液分泌機能低下者)のための経口組成物(飲食品、経口医薬品)を調製するために好適に使用することができる。
(b)経口組成物に嚥下容易性を付与する嚥下補助剤:
当該嚥下補助剤は、嚥下機能が低下した者(嚥下機能低下者)のための経口組成物(飲食品、経口医薬品)を調製するために好適に使用することができる。
(c)経口組成物に咀嚼容易性を付与する咀嚼補助剤。
当該咀嚼補助剤は、咀嚼機能が低下した者(咀嚼機能低下者)のための経口組成物(飲食品、経口医薬品)を調製するために好適に使用することができる。
(II)経口組成物、及びその調製方法
(II−1)(I−1)乃至(I−8)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤を含有する経口組成物。
(II−2)飲食品または経口医薬品である(II−1)に記載する経口組成物。
(II−3)上記経口組成物が、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、及び咀嚼機能が低下している人よりなる群から選択される少なくとも1種の人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品である、(II−1)または(II−2)に記載する経口組成物。
(II−4)上記経口組成物が、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する飲食品または経口医薬品である、(II−1)乃至(II−3)のいずれかに記載する経口組成物:
(1)破断歪み:0.3〜0.8
(2)「かたさ」:500〜500,000N/m
(3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
(II−5)上記経口組成物が穀類加工飲食品である、(II−2)又は(II−3)に記載する経口組成物。
(II−6)スピラントール及び増粘多糖類、または(I−1)乃至(I−8)のいずれかに記載する経口組成物用添加剤を、水分含量60質量%以上の飲食品または経口医薬品に配合する工程を有する、(II−1)乃至(II−5)のいずれかに記載する経口組成物の調製方法。
(III)用途
(III−1)スピラントールに増粘多糖類を併用することを特徴とする、スピラントールが有する唾液分泌促進作用を増強する方法。
(III−1−1)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(III−1)に記載の増強方法。
(III−1−2)スピラントール1質量部に対して増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で用いる(III−1)又は(III−1−1)に記載する増強方法。
(III−1−3)スピラントールに増粘多糖類を併用して、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態に調製する工程を有する、(III−1)、(III−1―1)及び(III−1−2)のいずれかに記載する増強方法:
(1)破断歪み:0.3〜0.8
(2)「かたさ」:500〜500,000N/m
(3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
(III−2)スピラントール及び増粘多糖類を含有する経口組成物を、唾液分泌機能が低下している人に経口投与または摂取させる工程を有する、当該人の唾液分泌促進方法。
(III−2−1)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(III−2)に記載の唾液分泌促進方法。
(III−2−2)上記経口組成物が、スピラントール1質量部に対して増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で含有するものである、(III−2)又は(III−2−1)に記載する唾液分泌促進方法。
(III−2−3)上記経口組成物が飲食品または経口医薬品である、(III−2)、(III−2−1)及び(III−2−2)のいずれかに記載する唾液分泌促進方法。
(III−2−4)上記経口組成物が、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する飲食品または経口医薬品である、(III−2)、(III−2−1)、(III−2−2)及び(III−2−3)のいずれかに記載する唾液分泌促進方法:
(1)破断歪み:0.3〜0.8
(2)「かたさ」:500〜500,000N/m
(3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
(III−2−5)上記経口組成物が穀類加工飲食品である、(III−2)、(III−2−1)、(III−2−2)及び(III−2−3)に記載する唾液分泌促進方法。
(III−3)唾液の分泌減少を改善するため、または唾液分泌を促進するために使用される、スピラントール及び増粘多糖類を含有する経口組成物。
(III−3−1)増粘多糖類が、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種である、(III−3)に記載の経口組成物。
(III−3−2)上記経口組成物が、スピラントール1質量部に対して増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で含有するものである、(III−3)又は(III−3−1)に記載する経口組成物。
(III−3−3)経口組成物が飲食品または経口医薬品である、(III−3)、(III−3−1)又は(III−3−2)のいずれかに記載する経口組成物。
(III−3−4)上記経口組成物が、下記(1)及び(2)の少なくとも1つの物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する飲食品または経口医薬品である、(III−3)、(III−3−1)、(III−3−2)及び(III−3−3)のいずれかに記載する経口組成物:
(1)破断歪み:0.3〜0.8
(2)「かたさ」:500〜500,000N/m
(3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
(III−3−5)上記経口組成物が穀類加工飲食品である、(III−3)、(III−3−1)、(III−3−2)及び(III−3−3)に記載する経口組成物。
本発明の経口組成物用添加剤は、飲食品や経口医薬品などの経口組成物に唾液分泌促進作用、嚥下容易性、又は/及び咀嚼容易性を付与することができる。このため、当該添加剤は、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、または咀嚼機能が低下している人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品を調製するために、好適に使用することができる。特にスピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が5質量部以上である本発明の経口組成物用添加剤は、嗜好性(味、香りなど)に与える影響が少ないため、添加量に大きな制限を受けることなく経口組成物の調製に使用することができる。
また本発明の経口組成物は、上記経口組成物用添加剤を含有するため、唾液分泌促進作用、嚥下容易性又は/及び咀嚼容易性を有しており、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、または咀嚼機能が低下している人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品として好適に提供することができる。
さらに本発明の方法によれば、スピラントールに増粘多糖類を併用することで、スピラントールが有する唾液分泌促進作用を増強することができる。このため、スピラントールに加えて増粘多糖類を含む経口組成物を唾液分泌機能が低下した被験者に摂取または服用させることにより、当該被験者の唾液分泌を促進し、唾液分泌低下を改善することが可能である。
実験例1における唾液分泌促進効果を示したグラフである。唾液分泌量は、水摂取時の唾液分泌量を1.00とした相対値として示されている。 実験例2における唾液分泌促進効果を示したグラフである。唾液分泌量は、水摂取時の唾液分泌量を1.00とした相対値として示されている。 実験例3における唾液分泌促進効果を示したグラフである。唾液分泌量は、水摂取時の唾液分泌量を1.00とした相対値として示されている。 実験例6における唾液分泌促進効果を示したグラフである。唾液分泌量は、ブランク摂取時の唾液分泌量を1.00とした相対値として示されている。
(I)経口組成物用添加剤
本発明の経口組成物用添加剤(以下、単に「本発明の添加剤」ともいう)は、スピラントール及び増粘多糖類を含有することを特徴とする。
(1)スピラントール
スピラントールは、(2E,6Z,8E)-N-イソブチル-2,6,8-デカトリエンアミドの化合物名を有する不飽和イソブチルアミドである。スピラントールは、例えばキク科ノコギリソウ属ノコギリソウ[学名:Achillea alpina]、キク科ヌマツルギク属オランダセンニチ(別名:センニチギク、葉唐辛子)及びキバナオランダセンニチ[いずれも学名はAcmella oleracea]、キク科ムラサキバレンギク属ムラサキバレンギク[学名:Echinacea purpurea]、及びキク科スピランテス属スピランテス[学名:Spilanthes acmella]などの植物の葉および頭花、並びにヘリオプシス・ロンギペス[学名:Heliopsis longipes]の根などに含まれている香気性の化合物である。上記植物の葉および頭花から調製されるオレオレジンには、スピラントールが20〜50質量%程度、またヘリオプシス・ロンギペスから調製されるオレオレジンには、スピラントールが1質量%以上含まれている(特許文献9参照)。このため、本発明でもスピラントールとしてこれらの植物から抽出調製したスピラントールを用いることができる。また、スピラントールは、本発明の効果を妨げないことを限度として、単一の化合物(純品、精製物)でなくてもよく、例えば上記植物のスピラントールを含む部位の抽出物、具体的にはオレオレジンなどの粗精製物であってもよい。かかる植物抽出物としては、好ましくはオランダセンニチ及びキバナオランダセンニチの葉または頭花の抽出物を挙げることができる。
ここで植物抽出物は、抽出工程に制限はないが、例えば、上記植物のスピラントールを含む部位から溶媒により抽出して得られる抽出物、超臨界若しくは亜臨界二酸化炭素により抽出して得られる抽出物、又は水蒸気蒸留により得られる精油等を使用することができる。
抽出に使用できる溶媒としては、水、アルコール、その他の有機溶媒が例示される。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノール等の炭素数1〜4の低級アルコール:エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の多価アルコールを例示することができる。好ましくは低級アルコール、特にエタノールである。その他の有機溶媒としてアセトン、ヘキサン、及び酢酸エチル等を例示することができる。好ましい抽出溶媒としては、ヘキサンを挙げることができる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよいし、また含水アルコールなどのように2種類以上の溶媒を任意に混合して用いてもよい。
抽出方法としても、特に制限はされないが、上記植物としてオランダセンニチまたはキバナオランダセンニチを用いる場合、例えば、その花頭または全草部の重量1質量部に対し、溶媒1〜20質量部を加え、必要に応じて撹拌しながら、常温(適宜加温しても良い)で30分〜24時間抽出処理を行う。抽出後、濾過又は遠心分離等により不溶物を除去し、次いで溶媒を蒸発除去することで、スピラントールを含む植物抽出物を得ることができる。
こうしたオランダセンニチまたはキバナオランダセンニチの抽出物を始めとするスピラントール含有植物抽出物は上記方法に従って調製することもできるし、また簡便には商業的に入手することもできる。
またスピラントールは、その合成方法も公知であることから(特許文献10)、当該方法によって合成することで入手することもできる。また簡便には、合成スピラントールを商業的に入手することができる。
本発明の経口組成物用添加剤に含まれるスピラントールの割合は、添加剤の形態によっても異なるが、例えば添加剤の形態が粉末、顆粒または錠剤などの固体状形態である場合、通常0.0001〜0.05質量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.0005〜0.045質量%であり、より好ましくは0.001〜0.04質量%である。また、添加剤の形態が、ペースト状または液体状形態である場合は、通常0.00001〜0.005質量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.00005〜0.0045質量%であり、より好ましくは0.0001〜0.004質量%である。
また、スピラントールとして、オランダセンニチ抽出物やキバナオランダセンニチ抽出物等のスピラントールを含む植物抽出物を用いる場合、本発明の経口組成物用添加剤に含まれるスピラントールの割合は、経口組成物用添加剤に配合する植物抽出物中のスピラントールの含有割合から算出することができる。
(2)増粘多糖類
本発明が対象とする増粘多糖類は、飲食品または経口医薬品への使用が許可されている可食性の増粘多糖類である。かかる増粘多糖類としては、例えば、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、カラギナン(カッパ型、イオタ型、ラムダ型)、タマリンドシードガム、マンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、寒天、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)、プルラン、カードラン、トラガントガム、ガティガム、アラビアガム、澱粉、タラガム、カラヤガム、ファーセレラン、発酵セルロース、結晶セルロース及び大豆多糖類を挙げることができる。
本発明では、増粘多糖類の中でも、特にキサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンが好適に用いられる。より好ましい増粘多糖類は、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、及びネイティブ型ジェランガムからなる群から選ばれる1種以上である。これらは1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。2種以上の組み合わせとしては、制限されないものの、キサンタンガムとグァーガム、キサンタンガムとカラギナン、キサンタンガムとグァーガムとローカストビーンガム、ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムを挙げることができる。さらに、これらの増粘多糖類よりなる群から選択される少なくとも1種に、前述する増粘多糖類の群から選択される少なくとも1種を組み合わせて使用することもできる。
本発明の添加剤に含まれるスピラントールに対する増粘多糖類の割合は、スピラントール1質量部に対して、通常5〜50,000質量部の範囲から選択することができる。また、本発明の添加剤に含まれるスピラントールに対する増粘多糖類の割合は、添加調製する経口組成物に応じて選択調整することができる。例えば、本発明の添加剤がとろみを有する経口組成物を調製するための添加剤である場合、スピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合として50〜50,000質量部、好ましくは70〜45,000質量部、より好ましくは80〜40,000質量部の範囲を挙げることができる。当該増粘多糖類の割合は、さらに150〜25,000質量部、好ましくは500〜15,000質量部、より好ましくは1,000〜12,000質量部の範囲とすることもできる。また、本発明の添加剤がゲル状の経口組成物を調製するための添加剤である場合、スピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合として5〜8,000質量部、好ましくは8〜7,500質量部、より好ましくは10〜7,000質量部の範囲を挙げることができる。さらに本発明の添加剤が穀物加工飲食品に添加配合するための添加剤である場合、スピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合として5〜5,000質量部、好ましくは8〜4,500質量部、より好ましくは10〜4,000質量部の範囲を挙げることができる。スピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が、上記記載の割合よりも極度に少なくなると、スピラントールに由来する辛味や雑味が生じるようになるため、経口組成物に適用するとその味が損なわれる場合がある。
なお、スピラントールとして、オランダセンニチ抽出物やキバナオランダセンニチ抽出物等のスピラントールを含む植物抽出物を用いる場合も、植物抽出物に含まれるスピラントールに対する増粘多糖類の割合が上記範囲にあればよい。従って、スピラントール含有植物抽出物1質量部に対する増粘多糖類の割合は、当該植物抽出物中のスピラントールの含有割合から算出することができる。例えば、本発明の添加剤がとろみを有する経口組成物を調製するための添加剤である場合において、スピラントールを60質量%の割合で含む植物抽出物を用いる場合、当該植物抽出物1質量部に対する増粘多糖類の割合は、通常30〜30,000質量部、好ましくは40〜27,000質量部、より好ましくは45〜24,000質量部の範囲を挙げることができる。当該増粘多糖類の割合は、さらに100〜15,000質量部、好ましくは300〜9,000質量部、より好ましくは600〜7,000質量部の範囲とすることもできる。スピラントールと同様に、植物抽出物1質量部に対する増粘多糖類の割合が30質量部よりも極度に少なくなると、スピラントールや植物抽出物に由来する辛味や雑味が生じるようになるため、経口組成物に適用するとその味が損なわれる場合がある。
本発明の添加剤に含まれる増粘多糖類の割合は、添加剤の形態によっても異なるが、例えば添加剤の形態が粉末、顆粒または錠剤などの固体形態である場合、通常1質量%以上100質量%未満の範囲から適宜設定することができる。好ましくは3〜90質量%であり、より好ましくは5〜80質量%である。また、添加剤の形態がペースト状又は液体状形態である場合、通常0.1〜10質量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは0.2〜8質量%であり、より好ましくは0.3〜6質量%である。
(3)その他の成分
本発明の添加剤は、上記成分に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で、任意の可食性成分を含有することができる。
例えば、可食性金属塩、賦形剤、有機酸、着色料、栄養素(ビタミン類を含む)、抗酸化剤、保存料、抗菌剤(例えば、静菌剤など)スピラントールを含む植物以外の植物抽出物(例えば、茶抽出物、コーヒー抽出物、ココア抽出物等)、果汁(例えば、オレンジ、グレープ、アップル、ピーチ、パイナップル、トマト、イチゴ等)、甘味料、及び香料等が挙げられる。
可食性金属塩は、増粘多糖類の溶解性を向上させる、または増粘やゲル化機能を向上させる場合に用いられる。可食性金属塩の種類は特に制限されないが、好ましくはナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム等)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム等)、マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム等)などを挙げることができる。可食性金属塩を用いる場合、本発明の経口組成物用添加剤に配合する可食性金属塩の割合は、添加剤の形態によっても異なるが、例えば粉末、顆粒または錠剤などの固体形態である場合、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%の範囲を例示することができる。
賦形剤は、増粘多糖類の溶解性を向上させる場合に用いられる。賦形剤としては、制限されないものの、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等)、二糖類(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール等)、オリゴ糖、または澱粉分解物(例えば、デキストリン、粉飴等)を挙げることができる。好ましくはデキストリン、乳糖、粉飴であり、より好ましくは、味に影響を与えない点でデキストリンである。
(4)添加剤の形態、調製方法、作用、及び用途等
本発明の添加剤は、少なくとも前述するスピラントール及び増粘多糖類を含有していれば、その形態は問わない。例えば、固体状、ペースト状、及び液体状等を挙げることができる。好ましくは粉末状、顆粒状、錠剤状等の固体状又は液体状であり、より好ましくは、水への溶解性に優れる点から顆粒状である。
本発明の添加剤は、その形態に応じて常法に従って調製することができる。例えば、粉末状の添加剤は、スピラントール(またはスピラントールを含む植物抽出物)及び増粘多糖類を、賦形剤と粉体混合することで調製することができる。また粉末状の添加剤は、スピラントール(またはスピラントールを含む植物抽出物)及び増粘多糖類を含む液体を噴霧乾燥(スプレードライ)することによっても調製することができる。顆粒状の添加剤は、上記粉体混合物を造粒することで調製することができる。また顆粒状の添加剤は、粉末状の増粘多糖類に、スピラントール(またはスピラントールを含む植物抽出物)をバインダー液として噴霧することによっても調製可能である。錠剤状の添加剤は、前記粉末状または顆粒状の添加剤を打錠機によって錠剤状に成形することで調製可能である。液体状の添加剤は、溶媒(好ましくは水)にスピラントール(またはスピラントールを含む植物抽出物)及び増粘多糖類を添加することで調製することができる。
本発明の添加剤は、通常、水または水を含む経口組成物を摂取または服用する際に、対象とする経口組成物に添加して用いられる。対象とする経口組成物は、後述するように、所定量以上の水分を有するように調整されているので、本発明の添加剤を添加し、また撹拌混合することにより増粘してゾルまたはゲルになる。
ここで、本発明の添加剤を添加混合する際の対象経口組成物の温度としては、本発明の添加剤が溶解または分散することで、それに含まれる増粘多糖類が水和し、膨潤する温度を挙げることができる。この温度は、増粘多糖類の種類によって異なり、1〜100℃の範囲で適宜設定することができる。
対象経口組成物に対する本発明の添加剤の添加量は、対象経口組成物の種類及び水分含量、並びに目的や用途に応じて適宜調整することができる。例えば、本発明の添加剤を配合した後の経口組成物中に含まれるスピラントール含量が0.000003〜0.03質量%となるような割合で添加することが望ましい。好ましくは経口組成物中に含まれるスピラントール含量が0.000006〜0.015質量%、より好ましくは0.000009〜0.01質量%となるような割合である。なお、対象経口組成物が穀類を加工して調製される飲食品(穀類加工飲食品)である場合は、特に、本発明の添加剤を配合した後の経口組成物中に含まれるスピラントール含量が0.00003〜0.0015質量%となるような割合で添加することが望ましい。好ましくは穀類加工飲食品中に含まれるスピラントール含量が0.00005〜0.0013質量%、より好ましくは0.0001〜0.001質量%となるような割合である。
また、本発明の添加剤をスピラントール含有植物抽出物を用いて調製する場合は、当該添加剤を配合した後の経口組成物中に含まれるスピラントール含量が上記範囲になるように植物抽出物の割合を調整すればよい。なお、当該割合はスピラントール含有植物抽出物に含まれるスピラントールの割合から算出することができる。
本発明の添加剤は、対象とする経口組成物に唾液分泌促進作用を付与するために用いることができる。言い換えると、本発明の添加剤は唾液分泌促進作用を有する経口組成物を調製するために用いられる。この意味で、本発明の添加剤は唾液分泌促進剤と称することができる。なお、「唾液分泌促進剤」とは、唾液分泌量を増加する作用を有するものであり、本発明においては、上記するように、飲食品や経口医薬品などの経口組成物に添加することで、当該経口組成物に唾液分泌量を増加させる効能(唾液分泌促進作用)を付与するものをいう。
また、本発明の添加剤は、対象とする経口組成物に嚥下容易性を付与するために用いることができる。言い換えると、本発明の添加剤は嚥下が容易な経口組成物を調製するために用いられる。この意味で、本発明の添加剤は嚥下補助剤(または嚥下改善剤)と称することができる。さらに本発明の添加剤は、対象とする経口組成物に咀嚼容易性を付与するために用いることができる。言い換えると、本発明の添加剤は咀嚼が容易な経口組成物を調製するために用いられる。この意味で、本発明の添加剤は咀嚼補助剤(または咀嚼改善剤)と称することができる。
なお、本発明において、「嚥下」とは口腔内の物を飲み下すことを意味する。また「咀嚼」とは、口腔内で経口組成物を細断化すること、また口腔内で経口組成物を細断化しながら唾液と充分に混ぜ合わせることを意味する。ここで細断化には、下顎や歯を使って経口組成物を噛み砕くことだけでなく、歯茎または舌を使って経口組成物を押し潰すことも含まれる。
(5)対象とする経口組成物
本発明の添加剤が添加の対象とする経口組成物は、口から摂取または服用(投与)される飲食品及び経口医薬品である。後述する本発明の経口組成物と区別するために、当該経口組成物を「対象経口組成物」と、また飲食品及び経口医薬品を、それぞれ「対象飲食品」及び「対象経口医薬品」ともいう。
対象飲食品として、具体的には、水(ミネラルウォーターを含む)、清涼飲料水(例えば、茶系飲料、果実飲料、野菜飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、スポーツ飲料、炭酸飲料、乳性飲料、豆乳及び豆乳飲料、スポーツ飲料など)、乳製品(例えば、牛乳、乳酸菌飲料など)などの飲料;スープ、味噌汁、汁粉、甘酒などの汁物;菓子(ペースト状及びジェル状の菓子を含む);栄養補助飲食品(ペースト状及びジェル状の栄養補助飲食品を含む);主食(例えば、米飯食品、麺類、パン類など)及び総菜(ミキサー食、ペースト食、及び離乳食などの菓子、主食及び総菜を流動状に調製したものを含む);濃厚流動食、経腸栄養剤(経口投与または経口摂取されるもの)等を挙げることができる。なお、上記菓子、栄養補助飲食品、主食、及び総菜等には穀類を加工して調製される穀類加工飲食品が含まれる。
ここで穀類加工飲食品とは、例えば麦(大麦、小麦)、稗、粟、米、蕎麦、豆(例えば、大豆など)、及びとうもろこしなどの穀類を加工して調製される飲食品を意味する。制限はされないものの、例えば菓子(例えば、クッキー、ビスケット、クラッカー、ドーナツ、ラスク、ケーキ(パンケーキを含む)、マドレーヌ、マカロン、パイ、及びシュークリームなどの焼菓子、揚げ菓子、蒸し菓子)、米飯食品、麺類(例えば、うどん、そば、ラーメン、春雨、マカロニ、ワンタンなど)、パン類(中華まん、及びピザを含む)、皮食品(例えば、餃子、シュウマイ、ワンタン、春巻き)及びその皮、粉食品(例えば、ホットケーキ、たこ焼き、お好み焼き、クレープ、バッター)を製造するためのプレミックス粉(例えば、ホットケーキミックス粉、たこ焼きやお好み焼きのミックス粉、クレープのミックス粉、バッターミックス粉)、コーンフレークなどを挙げることができる。これらの穀類加工飲食品は、水分含量が少なく、パサパサして食塊がまとめにくいもの、及び水分を含むとべとつきを生じるものが多く、このため、口溶けが悪かったり飲み込み難かったりする。特に、米飯食品、小麦粉を主体とする菓子、麺類、及びパン類は咀嚼機能低下者や嚥下機能低下者が飲み込み難い物性を有するものが多い。このような物性を有する穀類加工飲食品に対して本発明の添加剤を適用すると、後述する実験例に示すように、穀類加工飲食品の口溶けを改善することができる。また喫食時に口腔内でまとまり感を得ることができ、および/または咽頭への付着感を低減することができるので、飲み込みやすい穀類加工飲食品を調製することができる。
また対象経口医薬品としては、経口的に投与されるものであればよく、例えば粉末剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、及び液剤(ドリンク剤)を例示することができる。
なお、本発明の添加剤に含まれる増粘多糖類の増粘又はゲル化作用を発揮することが求められる対象経口組成物に、本発明の添加剤を適用する場合は、対象経口組成物が所定量以上の水分を含んでいることが好ましい。かかる対象経口組成物の水分含量として、好ましくは60質量%以上を挙げることができる。好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。このため、対象経口組成物(飲食品、経口医薬品)の水分含量が60質量%よりも少ない場合は、本発明の添加剤を添加する前に、対象経口組成物の水分含量が上記範囲内になるように水を添加するなどして(対象経口組成物が、例えば粉末剤や顆粒剤等の製剤の場合は、水にこれらの製剤を分散させるなどして)、対象経口組成物の水分含量を調整することが望ましい。
(II)経口組成物、及びその調製方法
本発明は、スピラントール及び増粘多糖類を含有することを特徴とする経口組成物である。当該経口組成物には前述する本発明の添加剤を含有する経口組成物が含まれる。本発明の経口組成物は、経口的に摂取または服用されるものであればよく、例えば飲食品及び経口医薬品が含まれる。
本発明の経口組成物は、スピラントール及び増粘多糖類、好ましくは前述する本発明の添加剤を用いて調製することができる。
本発明の経口組成物中に含まれるスピラントールの割合は、本発明の効果を奏することを限度として特に制限されないが、通常0.000003〜0.03質量%の範囲を挙げることができる。好ましくは0.000006〜0.015質量%、より好ましくは0.000009〜0.01質量%である。対象経口組成物が穀類を加工して調製される飲食品(穀類加工飲食品)である場合は、特に、本発明の経口組成物中に含まれるスピラントールの割合は0.00003〜0.0015質量%の範囲であることが望ましい。好ましくは0.00005〜0.0013質量%、より好ましくは0.0001〜0.001質量%である。スピラントールとして、オランダセンニチ抽出物またはキバナオランダセンニチ抽出物等のようにスピラントールを含有する植物抽出物を用いる場合も同様である。
本発明の経口組成物中の増粘多糖類の割合としては、本発明の経口組成物に含まれるスピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が5〜50,000質量部となるような範囲を挙げることができる。また、本発明の経口組成物に含まれるスピラントールに対する増粘多糖類の割合は、添加調製する経口組成物の種類に応じて選択調整することができる。例えば、本発明の経口組成物がとろみを有する経口組成物である場合、当該経口組成物に含まれるスピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が50〜50,000質量部、好ましくは70〜45,000質量部、より好ましくは80〜40,000質量部となるような範囲を挙げることができる。また当該範囲はさらに150〜25,000質量部、好ましくは500〜15,000質量部、より好ましくは1,000〜12,000質量部の範囲とすることもできる。また、本発明の経口組成物がゲル状の経口組成物である場合、当該経口組成物に含まれるスピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が5〜8,000質量部、好ましくは8〜7,500質量部、より好ましくは10〜7,000質量部となるような範囲を挙げることができる。さらに本発明の経口組成物が穀類加工飲食品である場合、スピラントール1質量部に対する増粘多糖類の割合が5〜5,000質量部、好ましくは8〜4,500質量部、より好ましくは10〜4,000質量部となるような範囲を挙げることができる。
この条件を満たすものであれば、特に制限されないものの、本発明の経口組成物100質量%中の増粘多糖類の割合として、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.02〜8質量%、より好ましくは0.03〜6質量%の範囲を例示することができる。
本発明の経口組成物は、それを摂取または服用(投与)する前、好ましくはその直前に、スピラントール及び増粘多糖類を対象経口組成物に添加することで調製することができる。好ましくは、本発明の経口組成物は、スピラントール及び増粘多糖類を対象経口組成物に添加し、撹拌混合することで調製することができる。また必要に応じて撹拌混合後、静置または冷却してゲル状に固化して調製することもできる。なお、スピラントール及び増粘多糖類として、簡便には前述する本発明の添加剤を用いることができる。
ここで対象経口組成物は、上記(I)(5)に記載するものを挙げることができ、当該記載はここに援用することができる。対象経口組成物の水分含量が60質量%よりも少ない場合は、60質量%以上になるように水を添加するなどして、対象経口組成物の水分含量を調整することが望ましい。
スピラントール及び増粘多糖類(または本発明の添加剤)を対象経口組成物に添加配合する際の温度条件、または撹拌混合する際の温度条件は、スピラントール及び増粘多糖類が当該対象経口組成物中に溶解または分散できる温度であればよい。
また、増粘多糖類のうち脱アシル型ジェランガムは、可溶性金属塩の存在下で増粘またはゲル化する性質を有するので、これらの増粘多糖類を用いる場合は可溶性金属塩を併用することが好ましい。かかる可溶性金属塩としては、制限はされないものの、好ましくはナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、カリウム塩(例えば、塩化カリウム、クエン酸カリウム等)、カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム等)マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウム等)などを挙げることができる。可食性金属塩を用いる場合、本発明の経口組成物中に可食性金属塩が、通常0.00001〜15質量%、好ましくは0.00002〜10質量%の割合で含まれるように配合することが望ましい。
撹拌混合は、特に制限されず、箸、スプーンまたはフォークを使ってかき混ぜてもよいし、また家庭用ミキサー、フードプロセッサー、ハンドミキサー、ブレンダー、クッキングカッター、プロペラ撹拌機などの撹拌器具を使用して撹拌混合してもよい。
斯くして本発明の経口組成物は、所定の物性を有するゲルまたはゾルの形態を有するように調製することができる。
なお、本発明において「ゲル」とは、具体的には20℃の品温で1〜2分間静置した場合に保形性を有し、且つ自重で流動しないもの、つまり静置後1分と静置後2分の間でその形状が変わらないものを意味する。また「ゾル」とは、20℃の品温で2分間静置した場合に自重で流動し保形性を有しないか、または静置後1分と静置後2分の間でその形状が変わるものを意味する。
本発明の経口組成物がゲルの形態を有する場合、当該経口組成物は、品温20℃の条件で測定した破断歪みが0.3〜0.8、好ましくは0.4〜0.8、より好ましくは0.45〜0.75の範囲にあることが好ましい。ここで「破断歪み」は、下記の測定方法により求めることができる。
[破断歪みの測定方法]
(a)被験試料として、直径20mm、高さ10mmの円柱状の経口組成物(被験試料)(品温20℃)を用意する。
(b)テクスチャーアナライザーを用いて、上記被験試料を圧縮する。圧縮は、直径100mmの治具を用いて、10mm/sの速度で行う。
(c)圧縮により得られる「応力−歪み曲線」から破断点を決定し、下記式から破断歪みを求める。
Figure 0006545510
ゲル形態の経口組成物の破断歪みが0.3〜0.8、好ましくは0.4〜0.8、より好ましくは0.45〜0.75の範囲にあると、口腔内で咀嚼することで細断化された経口組成物が口腔内で適度にまとまり(まとまり感を有し)、咀嚼機能や嚥下機能が低下した者にも咀嚼、嚥下しやすい経口組成物となる。破断歪みが0.8を大きく超えると、経口組成物を口腔内で細断化するまでに時間がかかり、飲み込みづらい場合がある。
なお、スピラントールに増粘多糖類を併用したゲル状飲食品による唾液分泌促進効果は、ゲル状飲食品の破断歪みが小さいほど大きくなる傾向がある。具体的には、ゲル状飲食品(20℃)の破断歪みが0.3〜0.8、好ましくは0.4〜0.8、より好ましくは0.45〜0.75である場合に、唾液分泌促進効が特に顕著に認められる。
また本発明の経口組成物がゲルの形態を有する場合、当該経口組成物は、品温20℃の条件で測定した「かたさ」が500,000N/m以下、好ましくは500〜400,000N/mの範囲、より好ましくは500〜250,000N/mの範囲にあることが好ましい。ここで「かたさ」は、ユニバーサルデザインフード自主規格 第2版(日本介護食品協議会)の記載に準じて測定することができる。具体的には、下記の測定方法により求めることができる。
[「かたさ」の測定方法]
被験試料を直径40mm、高さ20mmの容器に充填し、テクスチャーアナライザーを使用して、直径20mm、高さ8mmの樹脂製のプランジャーを用いて、圧縮速度10mm/s、クリアランス5mmで2回圧縮測定する。1回目の圧縮時の最大応力を「「かたさ」(N/m)」とする。
特に「かたさ」が500〜500,000N/m、好ましくは500〜250,000N/mの範囲にあると、咀嚼機能が低下した者であっても咀嚼及び嚥下しやすい経口組成物となる。
また、本発明の経口組成物がゾルの形態を有する場合、当該経口組成物は、品温20℃の条件で測定した粘度が、ずり速度100s−1で0.003Pa・s以上、好ましくは0.003〜0.6Pa・sの範囲、より好ましくは0.005〜0.5Pa・sの範囲にあることが好ましい。ここで「粘度」は、直径50mm、コーンプレート型の治具(樹脂製)を用い、試料の測定温度を20℃にし、100s−1時の粘度値を読み取ることにより測定することができる。測定機器はARES−LS1(TA instruments社製)を例示することができる。
斯くして調製される経口組成物は、後述する実験例に示すように、スピラントールに加えて増粘多糖類を含むことで、増粘多糖類を含まない経口組成物と比べて、優れた唾液分泌促進作用を有する。このため、唾液分泌機能が低下している人に適した飲食品または経口医薬品として提供することができる。また、本発明の経口組成物は、後述する実験例に示すように、スピラントールに加えて増粘多糖類を含むことで、増粘多糖類を含まない経口組成物と比べて、優れた咀嚼容易性及び嚥下容易性を有する。このため、咀嚼機能が低下している人または/および嚥下機能が低下している人が好適に摂取できる飲食品として、またこれらの人が好適に服用できる経口医薬品として提供することができる。
また、本発明の経口組成物が穀類加工飲食品である場合は、それを摂取または投与(服用)する前に、スピラントール及び増粘多糖類が穀類加工飲食品に含まれていれば、添加時期は特に制限されない。例えば、本発明の経口組成物がクッキーである場合は、焼成前の生地にスピラントール及び増粘多糖類を添加し、当該生地を焼成することで、口溶けが改善された穀類加工飲食品を調製することができる。
以下に、本発明を実施例及び実験例にて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実験例1 唾液分泌促進作用の評価:増粘多糖類としてグァーガムを使用
表1に記載する割合で、増粘多糖類とスピラントールを含む経口組成物用添加剤が水に溶解してなる形態を有する経口組成物(被験試料1−1、及び比較試料1−1及び1−2)を調製し、唾液分泌促進作用を評価した。
(1)経口組成物用添加剤、及び経口組成物の調製
オランダセンニチの花頭または全草部の乾燥物1質量部に対し、ヘキサン(溶媒)5質量部を加え、50℃にて5時間還流抽出した。得られた抽出物をろ過して不溶物を除去し、溶媒を除去してオランダセンニチ抽出物をオレオレジンの状態(ペースト状)(湿重量でスピラントールを60質量%含有)を得た。得られたオランダセンニチ抽出物1質量部に対して2,000質量部の割合になるようにグァーガムを添加した(経口組成物用添加剤[実施例1−1])。次いで、これに表1記載の割合になるように水(80℃)を配合しよく混合して溶解し、その後20℃に冷却して、経口組成物(飲食品)(被験試料1−1)を調製した。被験試料1−1はゾルであった。なお、被験試料1−1中に含まれるスピラントール1質量部に対するグァーガムの割合は3333.3質量部である。
また比較試験用に、表1記載の濃度になるように上記オランダセンニチ抽出物、及びグァーガムをそれぞれ単独で水に溶解し、飲食品(比較試料1−1及び1−2)を調製した。
被験試料1−1及び比較試料1−2の粘度は、流動計ARES-LS1(治具:直径50mm、コーンプレート型の樹脂製)(TA instruments社製)を用いて、試料の測定温度を20℃、100s−1時の粘度値として0.06〜0.07Pa・sであった。
Figure 0006545510
(2)唾液分泌促進作用の評価
唾液分泌に異常のない健常者3名(A〜C:平均年齢31.3歳)をパネルとして、上記で調製した飲食品(被験試料1−1、比較試料1−1及び1−2)各々について、下記の方法により、その唾液分泌促進作用を評価した。
(a)飲食品(被験試料1−1、比較試料1−1又は1−2)15gを口に含み、5秒間保持した後、一回で嚥下する。
(b)嚥下後、5秒間経過後に、舌の下に3.75cm×3.75cmの大きさの脱脂綿を入れて2分間保持する。なお、脱脂綿は予め重さを測定しておく。
(c)2分後、脱脂綿を回収して重さを測定する。
(d)舌の下に入れる前後の脱脂綿の重量変化から、各々の飲食品(被験試料1−1、比較試料1−1又は1−2)を摂取した場合の唾液分泌量を算出する。
なお、各パネリストには、コントロールとして、飲食品に代えて水そのもの(ブランク)15gを摂取して、同様に唾液分泌量を測定してもらった。
結果を表2及び図1に示す。唾液分泌量の個人差を排除するため、表2には、水(ブランク)を用いて測定した唾液分泌量を1.00として標準化した数値(相対値)を示す。
Figure 0006545510
表2に示すように、スピラントール及び増粘多糖類(グァーガム)を併用した経口組成物用添加剤(実施例1−1)を含む飲食品(被験試料1−1)を摂取すると、いずれのパネリストもブランク(水)に比べて唾液分泌量が増加し、唾液分泌促進効果が認められた。また、この飲食品は無味無臭であった。このため、実施例1−1の経口組成物用添加剤によれば、適用する経口組成物の風味を損ねることなく、当該経口組成物に唾液分泌促進作用を付与できると考えられる。
グァーガムを含まない比較試料1−1に関しては、平均して概ね唾液分泌量の増加が認められたが、上記被験試料1−1の唾液分泌量の増加と比べると、その唾液分泌促進効果は格段に低かった。また、パネリストAのように唾液分泌量の増加が認められないケースも見られた。
グァーガムのみを含有する(スピラントールを含まない)比較例1−2に関しては、2名のパネリストの唾液分泌量がブランク(水)と同等または同等以下であり、平均して唾液分泌促進効果は認められなかった。
以上のことから、増粘多糖類(グァーガム)自体は単独で唾液分泌促進効果を有しないにも関わらず、スピラントールに増粘多糖類(グァーガム)を併用することで、スピラントールが有する唾液分泌促進作用が増強することが判明した。
(3)嚥下性の評価
上記で調製した飲食品(被験試料1−1、比較試料1−1及び1−2)について、まとまり感と付着感を評価し、それらの総合評価を飲み込みやすさとし、嚥下性を評価した。なお、評価は嚥下性に関する専門のパネリスト4名で行った。
まとまり感:口腔内での飲食品のまとまりやすさ
[判断基準]
◎:非常にまとまりやすい
○:まとまりやすい
×:まとまりにくい。
付着感:飲食品を飲み込む際の咽頭への付着感
[判断基準]
◎:付着感が非常に小さい
○:付着感が小さい
×:付着感が大きい。
飲み込みやすさ:飲食品の飲み込みやすさ
[判断基準]
◎:非常に飲み込みやすい
○:飲み込みやすい
×:飲み込みにくい。
結果を表3に示す。
Figure 0006545510
表3に示すように、被験試料1−1の飲食品(スピラントール濃度:0.00015質量%)は、口腔内でまとまりやすく、且つ嚥下時の咽頭への付着感が非常に小さく、総合的観点から非常に飲み込みやすく、優れた嚥下適性を有すると評価された。一方、増粘多糖類(グァーガム)を含有しない飲食品(比較試料1−1)は、付着感は非常に小さいものの、口腔内でまとまりにくく、総合判断として飲み込みやすさが顕著に劣っており、嚥下しやすい物性とは言い難かった。また、スピラントールを含有しない飲食品(比較試料1−2)は、口腔内でややまとまるものの、付着感が大きく、総合判断として飲み込みやすさが劣っており、嚥下しやすい物性とは言い難かった。
以上の結果より、本発明の経口組成物用添加剤は、とろみを有する経口組成物を調製するための添加剤、及び嚥下補助剤として適していることが示された。
実験例2 唾液分泌促進作用の評価:増粘多糖類としてキサンタンガムまたはローカストビーンガムを使用
表4に記載する割合で、増粘多糖類とスピラントールを含む経口組成物用添加剤が水に溶解してなる形態を有する経口組成物(被験試料2−1及び2−2、並びに比較試料2−1)を調製し、唾液分泌促進作用を評価した。
(1)経口組成物用添加剤、及び経口組成物の調製
実験例1(1)で調製したオレオレジン状態のオランダセンニチ抽出物1質量部に対して2,000質量部の割合(湿重量比)になるようにキサンタンガムを添加した(経口組成物用添加剤[実施例2−1])。次いで表4記載の割合になるように水(80℃)を配合し、よく混合して溶解し、その後20℃に冷却して、経口組成物(飲食品)(被験試料2−1)を調製した。被験試料2−1はゾルであった。なお、被験試料2−1中に含まれるスピラントール1質量部に対するキサンタンガムの割合は3333.3質量部である。また同様に、同オランダセンニチ抽出物1質量部に対して1,500質量部の割合(湿重量比)になるようにローカストビーンガムを添加し(経口組成物用添加剤[実施例2−2])、また表4記載の割合になるように水(80℃)を配合してよく混合することで溶解し、その後20℃に冷却して、経口組成物(飲食品)(被験試料2−2)を調製した。被験試料2−2はゾルであった。なお、被験試料2−2中に含まれるスピラントール1質量部に対するローカストビーンガムの割合は2,500質量部である。
また比較試験用に、表4記載の濃度になるように上記オランダセンニチ抽出物を単独で水に溶解し、飲食品(比較試料2−1)を調製した。被験試料2−1及び2−2の粘度は、試料の測定温度を20℃、100s−1時の粘度値として0.06〜0.07Pa・sであった(測定機器は実験例1と同じ。以下の実験例も同様)。
Figure 0006545510
(2)唾液分泌促進作用の評価
上記で調製した飲食品(被験試料2−1、2−2、及び比較試料2−1)について、実験例1(2)と同様にして、唾液分泌促進作用を評価した。結果を表5及び図2に示す。
Figure 0006545510
表5に示すように、スピラントール及びキサンタンガムを併用した経口組成物用添加剤(実施例2−1)を含む飲食品(被験試料2−1)を摂取する場合、並びにスピラントール及びローカストビーンガムを併用した経口組成物用添加剤(実施例2−2)を含む飲食品(被験試料2−2)を摂取する場合のいずれもが、すべてのパネリストにおいてブランク(水)に比べて唾液分泌量が増加し、唾液分泌促進効果が認められた。また、これらの飲食品はいずれも無味無臭であった。このため、実施例2−1及び2−2の経口組成物用添加剤によれば、適用する経口組成物の風味を損ねることなく、当該経口組成物に唾液分泌促進作用を付与できると考えられる。
増粘多糖類を含有しない比較試料2−1に関しては、平均して概ね唾液分泌量の増加が認められたが、増粘多糖類をスピラントールと併用した上記被験試料2−1及び2−2の唾液分泌量の増加と比べると、その唾液分泌促進効果は低かった。また、パネリストAのように唾液分泌量の増加が認められないケースも見られた。
以上のことから、スピラントールに増粘多糖類(キサンタンガム、ローカストビーンガム)を併用することで、スピラントールが有する唾液分泌促進作用が増強することが判明した。
(3)嚥下性の評価
上記で調製した飲食品(被験試料2−1〜2−2、比較試料2−1)について、まとまり感と付着感を評価し、それらの総合評価を飲み込みやすさとし、嚥下性を評価した。なお、評価は嚥下性に関する専門のパネリスト4名で行った。
まとまり感:口腔内での飲食品のまとまりやすさ
[判断基準]
◎:非常にまとまりやすい
○:まとまりやすい
×:まとまりにくい。
付着感:飲食品を飲み込む際の咽頭への付着感
[判断基準]
◎:付着感が非常に小さい
○:付着感が小さい
×:付着感が大きい。
飲み込みやすさ:飲食品の飲み込みやすさ
[判断基準]
◎:非常に飲み込みやすい
○:飲み込みやすい
×:飲み込みにくい。
結果を表6に示す。
Figure 0006545510
表6に示すように、被験試料2−1及び2−2の飲食品(スピラントール濃度:0.00015質量%)は、口腔内でまとまりやすく、且つ嚥下時の咽頭への付着感が非常に小さく、総合的観点から非常に飲み込みやすく、優れた嚥下特性を有すると評価された。一方、増粘多糖類を含有しない飲食品(比較試料2−1)は、付着感は非常に小さいものの、口腔内でまとまりにくく、総合判断として飲み込みやすさが顕著に劣っており、嚥下しやすい物性とは言い難かった。
以上の結果より、本発明の経口組成物用添加剤は、とろみを有する経口組成物を調製するための添加剤、及び嚥下補助剤として適していることが示された。
実験例3:唾液分泌促進作用:用量依存性
表7に記載する割合で、増粘多糖類とスピラントールを含む経口組成物用添加剤(実施例3−1〜3−6)が水に溶解してなる形態を有する経口組成物(被験試料3−1〜3−6)を調製し、唾液分泌促進作用を評価した。
(1)経口組成物用添加剤、及び経口組成物の調製
実験例1(1)で調製したオレオレジン状態のオランダセンニチ抽出物1質量部に対して、キサンタンガムの割合が200質量部(実施例3−1)、400質量部(実施例3−2)、800質量部(実施例3−3)、6,000質量部(実施例3−4)、8,000質量部(実施例3−5)、または10,000質量部(実施例3−6)(いずれも湿重量比)になるようにそれぞれ添加した。次いで表7記載の割合になるように水(80℃)を配合し、よく混合して溶解し、その後20℃に冷却して、経口組成物(被験試料3−1〜3−6)を調製した。被験試料3−1〜3−6はゾルであった。なお、被験試料3−1〜3−6中に含まれるスピラントール1質量部に対するキサンタンガムの割合は、333質量部(被験試料3−1)、667質量部(被験試料3−2)、1,331質量部(被験試料3−3)、10,000質量部(被験試料3−4)、13,333質量部(被験試料3−5)、または16,667質量部(被験試料3−6)である。
調製した被験試料3−1〜3−6の粘度は、試料の測定温度を20℃、100s−1時の粘度値として0.007〜0.199Pa・sであった。
Figure 0006545510
(2)唾液分泌促進作用の評価
上記で調製した飲食品(被験試料3−1〜3−6)について、実験例1(2)と同様にして、唾液分泌促進作用を評価した。但し、パネリストを1名追加し(パネリストDの追加)、4名で評価を行った。結果を表8及び図3に示す。
Figure 0006545510
表8に示すように、スピラントール及びキサンタンガムを併用した経口組成物用添加剤(実施例3−1〜3−6)を含む飲食品(被験試料3−1〜3−6)の摂取により、ブランク(水)に比べて唾液分泌量が増加し、唾液分泌促進効果が認められた。特に被験試料3−3及び3−4の結果から、スピラントール1質量部に対してキサンタンガムを1,331〜10,000質量部の割合(オランダセンニチ抽出物1質量部に対してキサンタンガムを800〜6,000質量部(湿重量比)の割合)で併用することで、より優れた唾液分泌促進効果が得られることが判明した。また、これらの飲食品はいずれも無味無臭であった。このため、実施例3−1〜3−6の経口組成物用添加剤によれば、適用する経口組成物の風味を損ねることなく、当該経口組成物に唾液分泌促進作用を付与できると考えられる。
(3)嚥下性の評価
上記で調製した飲食品(被験試料3−1〜3−6)について、まとまり感と付着感を評価し、それらの総合評価を飲み込みやすさとし、嚥下性を評価した。なお、評価は嚥下性に関する専門のパネリスト4名で行った。
まとまり感:口腔内での飲食品のまとまりやすさ
[判断基準]
◎:非常にまとまりやすい
○:まとまりやすい
×:まとまりにくい。
付着感:飲食品を飲み込む際の咽頭への付着感
[判断基準]
◎:付着感が非常に小さい
○:付着感が小さい
×:付着感が大きい。
飲み込みやすさ:飲食品の飲み込みやすさ
[判断基準]
◎:非常に飲み込みやすい
○:飲み込みやすい
×:飲み込みにくい。
結果を表9に示す。
Figure 0006545510
表9に示すように、被験試料3−1〜3−6の飲食品(スピラントール濃度:0.0006〜0.00019質量%)は、いずれも口腔内でまとまりやすく、且つ嚥下時の咽頭への付着感が非常に小さく、総合的観点から非常に飲み込みやすく、優れた嚥下特性を有すると評価された。
以上の結果より、本発明の経口組成物用添加剤は、とろみを有する経口組成物を調製するための添加剤、及び嚥下補助剤として適していることが示された。
実験例4 唾液分泌促進作用の評価:増粘多糖類としてキサンタンガムを使用
(1)経口組成物用添加剤、及び経口組成物の調製
流動層造粒法により顆粒状の経口組成物用添加剤(実施例4−1)を調製した。具体的には、キサンタンガムとデキストリンを粉体混合し、当該粉体混合物に対して実験例1(1)で調製したオレオレジン状態のオランダセンニチ抽出物を水に溶解したバインダー溶液を噴霧して、顆粒状の経口組成物用添加剤を調製した。また比較試験用に、キサンタンガムを用いずデキストリン(粉末)に対してオレオレジン状態(ペースト状)のオランダセンニチ抽出物を水に溶解したバインダー溶液を噴霧して、顆粒状の経口組成物用添加剤(比較例4−1)を調製した。下記表10に、上記粉体混合物(増粘多糖類+賦形剤)及びバインダー溶液に含まれるオランダセンニチ抽出物の総量を100質量%としたときの各成分の配合割合を示す。
得られた顆粒状の経口組成物用添加剤(実施例4−1及び比較例4−1)2gを水(20℃)98gに添加溶解して、飲食品を(被験試料4−1及び比較試料4−1)を調製した。被験試料4−1はゾルであった。
Figure 0006545510
(2)唾液分泌促進作用の評価
上記で調製した飲食品(被験試料4−1及び比較試料4−1)について、実験例1(2)と同様にして、唾液分泌促進作用を評価した。その結果、スピラントール及びキサンタンガムを併用した顆粒状の経口組成物用添加剤(実施例4−1)を含む飲食品(被験試料4−1)は、いずれのパネラーにおいてもブランク(水)に比べて唾液分泌量が多く、唾液分泌促進効果が認められた。また、これらの飲食品はいずれも無味無臭であった。
一方、増粘多糖類を添加せず調製した比較試料4−1に関しては、平均して概ね唾液分泌量の増加が認められたが、被験試料4−1の唾液分泌量の増加と比べると、その唾液分泌促進効果は低かった。
(3)嚥下性の評価
上記で調製した飲食品(被験試料4−1及び比較試料4−1)について、実験例1(3)と同様にして、嚥下性を評価した。その結果、スピラントール及びキサンタンガムを併用した顆粒状の経口組成物用添加剤(実施例4−1)を含む飲食品(被験試料4−1)は、いずれのパネリストにおいても、口腔内でまとまりやすく、且つ嚥下時の咽頭への付着感が非常に小さく、総合的観点から非常に飲み込みやすく、優れた嚥下特性を有すると評価された。
一方、増粘多糖類を添加せず調製した比較試料4−1に関しては、嚥下時の咽頭への付着感は小さいものの、口腔内でまとまりにくく、総合判断として飲み込みにくく、嚥下しやすい物性とは言い難かった。
以上の結果より、本発明の経口組成物用添加剤は、とろみを有する経口組成物を調製するための添加剤、及び嚥下補助剤として適していることが示された。
実験例5 唾液分泌促進作用及び嚥下改善作用の評価
(1)経口組成物の調製
経口組成物用添加剤として、実験例1(1)で調製したオレオレジン状態のオランダセンニチ抽出物、及び増粘多糖類(脱アシル型ジュランガム、ネイティブ型ジュランガム)を用いて、表11の処方に従ってゲル状の飲食品を調製した。
具体的には、90℃まで加熱したイオン交換水に、グラニュー糖、脱アシル型ジェランガム及びネイティブ型ジェランガムを添加した。この混合液を90℃で10分間撹拌後、オランダセンニチ抽出物(スピラントール含量60質量%)、及び約10mLの熱水に溶解した乳酸カルシウムを添加し、撹拌溶解した(被験試料5−1〜5−3)。また、比較試験用に、オランダセンニチ抽出物を用いず、約10mLの熱水に溶解した乳酸カルシウムだけを上記混合液に添加し、撹拌溶解した試料も調製した(比較試料5−1)。
得られた各溶液から、下記手順に従ってゲル状飲食品を調製し、破断歪み及び「かたさ」を評価した。
(2)経口組成物の破断歪みと「かたさ」の評価
(2−1)ゲル状飲食品の調製、及びその破断歪みの測定
ガラス製の筒状物(内直径20mm、高さ10mm、厚み1.5mm)の中に、前記の各溶液を注ぎ込み、8℃の水槽で2時間冷却して固化させた後、5℃で15時間静置して、円柱状(直径20mm、高さ10mm)のゲル状飲食品(被験試料5−1〜5−3、比較試料5−1)を調製した。
なお、このゲル状飲食品は無味無臭であった。
上記で調製した円柱形態を有する各ゲル状飲食品(直径20mm、高さ10mm)(以下、「被験試料」という)の破断歪みを、下記手順に従って、テクスチャーアナライザー(テクスチャーアナライザーTA−XT−2i[Stable Micro Systems社製])を用いて測定した。なお、測定に際して被験試料は、品温が20℃になるように調温した。
(a)直径100mmの治具を用いて、被験試料を10mm/sの速度で圧縮する。
(b)圧縮により得られる「応力−歪み曲線」から破断点を決定し、下式から被験試料の破断歪みを求める。
Figure 0006545510
(2−2)ゲル状飲食品の調製、及びその「かたさ」の測定
ステンレス製の円柱状容器(内直径40mm、高さ20mm)の中に、前記の各溶液を注ぎ込み、8℃の水槽で2時間冷却して固化させた後、5℃で15時間静置して、直径40mm、高さ20mmの容器に充填されたゲル状飲食品(被験試料5−1〜5−3、比較試料5−1)を調製した。
なお、これらのゲル状飲食品は無味無臭であった。
上記で調製した被験試料(直径40mm、高さ20mmの容器に充填)の「かたさ」を、テクスチャーアナライザー(テクスチャーアナライザーTA−XT−2i[Stable Micro Systems社製])を用いて測定した。具体的には、直径20mm、高さ8mmの樹脂製のプランジャーを用いて、圧縮速度10mm/s、クリアランス5mmで2回圧縮測定し、1回目の圧縮時の最大応力を「かたさ」(N/m)とした。なお、測定に際して被験試料は、品温が20℃になるように調温した。
各ゲル状飲食品の破断歪み及び「かたさ」を表11に併せて示す。
Figure 0006545510
(3)唾液分泌促進作用の評価
上記で調製したゲル状飲食品のうち、被験試料5−2及び比較試料5−1について、実験例1(2)と類似する方法で、唾液分泌促進作用を評価した。
(a)飲食品(被験試料5−2、比較試料5−1)15gを口に含み、10秒間かけて舌で押し潰した後、一回で嚥下する。
(b)嚥下後、5秒間経過後に、舌の下に3.75cm×3.75cmの大きさの脱脂綿を入れて2分間保持する。なお、脱脂綿は予め重さを測定しておく。
(c)2分後、脱脂綿を回収して重さを測定する。
(d)舌の下に入れる前後の脱脂綿の重量変化から、各ゲル状飲食品(被験試料5−2、比較試料5−1)を摂取した場合の唾液分泌量(g)を算出する。
結果を表12に示す。
Figure 0006545510
表12に示すように、スピラントール及び増粘多糖類(ジェランガム)を併用した経口組成物用添加剤(実施例5−2)を含む飲食品(被験試料5−2)の摂取により、スピラントールを含まない飲食品(比較試料5−1)に比べて唾液分泌量が増加し、唾液分泌促進効果が認められた。
(4)咀嚼性及び嚥下性の評価
上記で調製したゲル状飲食品(被験試料5−1〜5−3、比較試料5−1)について、咀嚼性及び嚥下性を、下記の3つの観点で評価した。なお、評価は咀嚼性及び嚥下性に関する専門のパネリスト4名で行った。
(a)まとまり感:飲食品を咀嚼して細片化したときの口腔内での飲食品のまとまりやすさ
[判断基準]
◎:非常にまとまりやすい
○:まとまりやすい
×:まとまりにくい。
(b)飲み込みやすさ:飲食品を咀嚼した後の飲み込みやすさ
[判断基準]
◎:非常に飲み込みやすい
○:飲み込みやすい
×:飲み込みにくい。
(c)付着感:飲食品を咀嚼するとき及び飲み込む際の咽頭への付着感
[判断基準]
◎:付着感が非常に小さい
○:付着感が小さい
×:付着感が大きい。
結果を表13に示す。
Figure 0006545510
表13に示すように、被験試料5−1〜5−3のゲル状飲食品(スピラントール濃度:0.00015〜0.0006質量%、破断歪み:0.45〜0.75)は、いずれも咀嚼時に口腔内でまとまりやすく、飲み込み易く、且つ咀嚼する時及び飲み込む際の咽頭への付着も非常に小さく、嚥下が非常に容易であると評価された。一方、スピラントールを含有しないゲル状飲食品(破断歪み:0.6)は、破断歪みが同じである被験試料5−2と比べて、まとまり感、飲み込みやすさ、及び付着感のいずれも劣っていた。
以上の結果より、本発明の経口組成物用添加剤は、ゲル状の経口組成物を調製するための添加剤、咀嚼補助剤及び嚥下補助剤として適していることが示された。
実験例6 穀類加工飲食品の評価
(1)穀類加工飲食品の調製
経口組成物用添加剤として、実験例1(1)で調製したオレオレジン状態のオランダセンニチ抽出物および増粘多糖類(キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナン)を用いて、表14の処方に従って穀類加工飲食品(クッキー)を調製した。
具体的には、小麦粉(薄力粉)、脱脂粉乳、食塩及び増粘多糖類(キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナン)を粉体混合した(混合物A)。別途、万能混合攪拌機のボウルに油脂(マーガリン)を添加し、ビーターを用いて回転数126rpmにてクリーム状にした後、砂糖を加え、更に3分間混合した。次いで、全卵及びスピラントールを少しずつ加え混合後、混合物Aを加えて軽く混合し、クッキー生地を調製した。調製したクッキー生地を冷蔵庫で30分間静置後、厚さ5mmに圧延し、型(φ32mm)で抜いた。180℃のオーブンで約12分間焼成し、クッキーを調製した(被験試料6)。また、比較試験用に、オランダセンニチ抽出物を含まない試料(比較試料6)、オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含まない試料(ブランク)を調製した。
Figure 0006545510
(2)唾液分泌促進作用の評価
実験例1と同様の方法で、パネリスト3名により、上記で調製した穀類加工飲食品(被験試料6、比較試料6及びブランク)各々について、その唾液分泌促進作用を評価した。具体的には以下のとおりである。
(a)飲食品(被験試料6、比較試料6又はブランク)5gを口に含み、30秒間咀嚼した後、嚥下する。
(b)嚥下後、5秒間経過後に、舌の下に3.75cm×3.75cmの大きさの脱脂綿を入れて2分間保持する。なお、脱脂綿は予め重さを測定しておく。
(c)2分後、脱脂綿を回収して重さを測定する。
(d)舌の下に入れる前後の脱脂綿の重量変化から、各々の飲食品(被験試料6、比較試料6又はブランク)を摂取した場合の唾液分泌量を算出する。
結果を表15及び図4に示す。唾液分泌量の個人差を排除するため、表15には、ブランクを用いて測定した唾液分泌量を1.00として標準化した数値(相対値)を示す。
Figure 0006545510
表15に示すように、スピラントール及び増粘多糖類を併用した穀類加工飲食品(被験試料6)を摂取すると、いずれのパネリストもブランクに比べて唾液分泌量が増加し、唾液分泌促進効果が認められた。一方、スピラントールを含まず、増粘多糖類を含む比較試料6の唾液分泌量はブランクと同等であった。このことから、被験試料6は比較試料6と比べて唾液分泌促進効果があることが認められた。
(3)口溶け、まとまり感、飲み込みやすさ、及び付着感の評価
上記で調製した穀類加工飲食品(被験試料6、比較試料6及びブランク)について、口溶け、まとまり感、飲み込みやすさ及び付着感を、下記の4つの観点で評価した。なお、評価は咀嚼性及び嚥下性に関する専門のパネリスト4名で行なった。
(a)口溶け:飲食品を咀嚼するときの口溶けのよさ
[判断基準]
◎:非常に口溶けがよい
○:口溶けがよい
×:口溶けが悪い。
(b)まとまり感:飲食品を咀嚼して細片化したときの口腔内での飲食品のまとまりやすさ
[判断基準]
◎:非常にまとまりやすい
○:まとまりやすい
×:まとまりにくい。
(c)飲み込みやすさ:飲食品を咀嚼した後の飲み込みやすさ
[判断基準]
◎:非常に飲み込みやすい
○:飲み込みやすい
×:飲み込みにくい。
(d)付着感:飲食品を咀嚼するとき及び飲み込む際の咽頭への付着感
[判断基準]
◎:付着感が非常に小さい
○:付着感が小さい
×:付着感が大きい。
結果を表16に示す。
Figure 0006545510
表16に示すように、被験試料6の穀類加工飲食品は、ブランクに比べて、口溶けがよく、咀嚼時に口腔内でまとまりやすく、また嚥下時に飲み込みやすく、咽頭への付着が小さいと評価された。これに対して、比較試料6は咀嚼時に口腔内でまとまりやすいものの、被験試料6に比べて、口どけが悪く、嚥下時に飲み込みにくく、咽頭への付着感が大きいと評価された。

Claims (12)

  1. スピラントール1質量部に対して、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種の増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で含有する経口組成物用添加剤。
  2. 経口組成物が飲食品または経口医薬品である、請求項1に記載する経口組成物用添加剤。
  3. 経口組成物が、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、及び咀嚼機能が低下している人よりなる群から選択される少なくとも1種の人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品である、請求項1または2に記載する経口組成物用添加剤。
  4. 下記(1)及び(2)の少なくとも1方の物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する経口組成物を調製するための添加剤である、請求項1乃至のいずれかに記載する経口組成物用添加剤:
    (1)破断歪み:0.3〜0.8
    (2)「かたさ」:500〜500,000N/m
    (3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
  5. 下記のいずれかの用途に使用される、請求項1乃至のいずれかに記載する経口組成物用添加剤:
    (a)経口組成物に唾液分泌促進作用を付与する唾液分泌促進剤
    (b)経口組成物に嚥下容易性を付与する嚥下補助剤
    (c)経口組成物に咀嚼容易性を付与する咀嚼補助剤。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載する経口組成物用添加剤を含有する経口組成物。
  7. 上記経口組成物が、唾液分泌機能が低下している人、嚥下機能が低下している人、及び咀嚼機能が低下している人よりなる群から選択される少なくとも1種の人が摂取または服用する飲食品または経口医薬品である、請求項に記載する経口組成物。
  8. 上記経口組成物が、下記(1)及び(2)の少なくとも1方の物性を有するゲル、または下記(3)に記載する物性を有するゾルの形態を有する飲食品または経口医薬品である、請求項6または7に記載する経口組成物:
    (1)破断歪み:0.3〜0.8
    (2)「かたさ」:500〜500,000N/m
    (3)粘度:0.003〜0.6Pa・s。
  9. 上記経口組成物が穀類加工飲食品である、請求項またはに記載する経口組成物。
  10. 求項1乃至のいずれかに記載する経口組成物用添加剤を、水分含量60質量%以上の飲食品または経口医薬品に配合する工程を有する、請求項乃至のいずれかに記載する経口組成物の調製方法。
  11. スピラントール1質量部に対して、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、サイリウムシードガム及びカラギナンよりなる群から選択される少なくとも1種の増粘多糖類を5〜50,000質量部の割合で併用することを特徴とする、スピラントールが有する唾液分泌促進作用を増強するための増粘多糖類の使用方法(但し、人間の疾患を治療する方法を除く)
  12. 唾液の分泌減少を改善するため、または唾液分泌を促進するために使用される、請求項6〜9のいずれかに記載する経口組成物。
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