JP6543982B2 - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマCVD法により被処理物に効率的に成膜できる成膜装置と成膜方法に関する。
部材の耐食性、耐摩耗性、摺動性、意匠性等を向上させるため、DLC膜、TiN膜等の薄膜で部材表面を被覆することが多い。このような薄膜形成(成膜)には、PVD(Physical Vapor Deposition:物理蒸着)法やCVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)法が用いられる。もっとも、様々な形状の部材に対しても、薄膜を均一的な厚さで効率的に成膜できるCVD法が広く利用されている。中でも、比較的低温で処理でき、種々の組成からなる緻密な薄膜を形成できるプラズマCVD法が多用されるようになっている。
プラズマ生成方法にも種々あるが、一般的なCCP(Capacitively Coupled Plasma:容量結合型プラズマ)を用いたCVDは、通常、次のようにしてなされる。真空チャンバー内に平板状のアノード電極とカソード電極を対向させて配置し、アノード電極側から供給した原料ガスを電極間の(グロー)放電によりプラズマ化して、各種のプラズマ粒子をカソード電極上に載置した被処理物の表面に堆積(蒸着)させる。
このような一般的なプラズマCVD法は、適当な大きさの部材やバルク材等の表面に成膜することを対象としており、粒子や小物(ねじ等)等の粒状物またはその集合物(粉末等)に適するものではなかった。そこで、被処理物が粉末粒子等であっても、均一的に成膜できるプラズマCVD法が下記の特許文献で提案されている。
特開2003−13229号公報 特開2014−157760号公報
特許文献1および特許文献2は、いずれも、粉末等を収容した円筒状のカソード電極(真空チャンバー)とその真空チャンバーの中央に対向配置したアノード電極(対向電極)との間でプラズマを生成し、カソード電極を回転させながらCVD処理を行っている。この場合、被処理物(粉末等)はカソード電極内で撹拌されながらCVD処理されるため、微細な粒子等にも均一的な成膜が可能となる。
しかし、無数の微粒子の表面等に成膜する場合、成膜表面積の合計は、同質量のバルク材等よりも遙かに大きい。このため、それら特許文献に記載された装置・方法を用いても、従来と同様な原理で発生させたプラズマを利用してCVD処理をしている限り、粉末等へ成膜するには、バルク材等に成膜する場合に比べて、遙かに長時間の処理が必要となり、効率的な処理は困難である。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、被処理物が粒状物でCVDによる成膜面積が実質的に大きくなるような場合でも、均一的な成膜を効率的に行うことができる成膜装置および成膜方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来のプラズマCVD法とは異なり、ホローカソード放電により生成させたプラズマを利用してCVD処理することを着想し、この着想を具現化することに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《成膜装置》
(1)本発明の成膜装置は、被処理物の表面にプラズマCVD法による成膜を行う成膜装置であって、該被処理物を収容し得る有底中空状の収容部と該収容部の内外を連通する開口部とを有する中空電極と、該収容部内にある該被処理物の姿勢を変動させる変動手段と、プラズマを生成させる電力を該中空電極へ供給する給電手段とを備え、該中空電極は、密閉空間を構成するチャンバー内にあると共に該収容部内に対向電極が配置されておらず、該給電手段は、パルス電源からなり、該中空電極内でホローカソード放電によりプラズマを生成し得ることを特徴とする。
(2)本発明の成膜装置によれば、ホローカソード放電により中空電極内のプラズマ密度を大きくでき、中空電極の収容部内にある被処理物に対して、プラズマCVDによる成膜を効率的に行える。このため本発明の成膜装置を用いれば、表面積(成膜面積)の質量に対する割合(適宜「比表面積」という。)が大きい被処理物(例えば粒状物)に対しても、プラズマCVDの処理時間(成膜時間)を短縮でき、ひいては薄膜被覆した製品の生産コスト低減を図れる。
(3)ちなみに中空電極(ホローカソード)内のプラズマ密度が、平行平板電極間のプラズマ密度等よりも大きくなる理由は次のように考えられる。中空電極を陰極(カソード)とした場合、その内側のある陰極面から放出された二次電子は、シース(プラズマ相に接する電極表面近傍に形成される単一極性の荷電粒子層)により、その内側の対向する陰極面の方向(収容部が円筒状または球面状なら半径方向)へ加速される。この際、その二次電子は、平均自由工程が十分に長い(収容部が円筒状または球面状なら直径より長い)と、対向する陰極面に近づくことになる。
しかし、仮に、シースの厚さが対向する陰極面間の距離の1/2(収容部が円筒状または球面状なら半径)よりも小さいか、ほぼ等しい場合、二次電子は対向する陰極面の前面側にあるシース内で運動エネルギーを失って反射され、元の陰極面に向かって加速される。このような現象が中空電極内で繰り返し生じる結果、中空電極内には高エネルギーで長寿命な電子が閉じ込められた状態となり、中空電極内で電離回数が増加して、高いプラズマ密度が得られるホローカソード放電が生じると考えられる。
《成膜方法》
本発明は、上述した成膜装置としてのみならず、次のような成膜方法としても把握できる。すなわち本発明は、密閉空間を構成するチャンバー内にあると共に対向電極が内側に配置されていない中空電極内ホローカソード放電によりプラズマを生成させて被処理物にプラズマCVD法による成膜を行う成膜工程を備え、該被処理物は、粒状物であり、該成膜工程は、該粒状物を撹拌しつつ該中空電極へパルス通電してなされることを特徴とする成膜方法でもよい。なお、本発明の成膜方法は、上述した成膜装置を用いて実施できることは勿論であるが、その場合に制限(限定)されるものではない。
また、本発明の成膜方法は、種々の被処理物を対象とできるが、被処理物が粒状物である場合、本発明に係る成膜工程は、粒状物を撹拌する撹拌工程を伴うものであると好適である。これにより、粒状物に対しても均一的な成膜を効率的に行うことができる。なお、この撹拌工程は断続的になされてもよいが、成膜中に連続的になされると、より均一的な成膜が可能となり好ましい。
《その他》
(1)本発明の成膜装置は、対向電極(アノード電極)が中空電極に内包されていない点で、従来のプラズマCVD装置と大きく異なる。但し、本発明の成膜装置にとって対向電極は必須ではない。中空電極内でホローカソード放電が生じる限り、種々のプラズマ源()を用いることができるからである。例えば、CCP以外に、ECP(Electron Cyclotron resonance Plasma:電子サイクロトン共鳴プラズマ)、HWP(Helicon Wave Plasma:ヘリコン波励起プラズマ)、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)、SWP(Surface Wave Plasma:マイクロ波励起表面波プラズマ)等を用いることができ、対向電極の有無はプラズマ源の種類に依る。
(2)特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
成膜装置の一実施例を示す模式図である。 中空電極となる容体を示す半断面図である。 その容体を構成する半球体を示す平面図である。 中空電極に生じる放電(プラズマ生成)を模式的に示した図である。 その様子を撮影した写真である。 開放電極に生じる放電(プラズマ生成)を模式的に示した図である。 その様子を撮影した写真である。 中空電極と開放電極をそれぞれ用いてプラズマCVD処理したときの発光分析結果である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の成膜装置のみならず成膜方法にも適宜該当し得る。方法的な構成要素であっても物的な構成要素ともなり得る。方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《中空電極》
本発明に係る中空電極は収容部と開口部を備える。収容部は、被処理物を収容できる有底中空状であって、ホローカソード放電が可能な形状であれば、その具体的な形状を問わない。収容部は、例えば、有底筒状、開口球状、開口殻状等、様々な形態をとり得る。いずれにしても収容部は、開口部分を除き、内壁面(電極面)同士が対向した形状からなるとよい。また、収容部の内壁面は角部の少ない滑らかな曲面状からなり、側面と底面の接続部分がある場合は角部が丸められた形状であると好ましい。これにより放電が一部に集中することが抑止され、安定したホローカソード放電が得られ易い。
開口部は、被処理物を収容部内へ入れたり収容部内から出したりするために利用され得るのみならず、収容部内の排気や収容部への給気等に必要である。開口部は、処理中の被処理物が収容部内に安定保持される限り、その形態、配置、大きさ等を問わない。例えば、開口部は、処理中の中空電極の配置を基準として、その上方側(水平位置〜鉛直上方)に開口した穴等である。
《成膜装置》
(1)本発明の成膜装置は、プラズマCVDを行うために、チャンバーおよび中空電極以外にも、チャンバー内へ各種ガス(原料ガス、キャリアーガス等)を供給する給気手段、プラズマ生成(ホローカソード放電)に必要な電力を供給する電源回路またはそのような電力の供給源等を適宜備える。また、大気圧プラズマを利用する場合もあるが、一般的には減圧雰囲気で生成したプラズマ(真空プラズマ)を利用することが多いため、チャンバー内を排気(減圧)する排気手段もあると好ましい。
成膜時の電源(プラズマ電源)には、直流電源、高周波電源、パルス電源等を用いることができる。もっとも、粉末粒子等のように比表面積の大きな(または軽量な)被処理物は、処理中の帯電により浮遊等し、安定したプラズマ生成や成膜が困難となる場合もある。このような場合、高周波通電またはパルス通電(特にDCパルス通電)して成膜がなされると、安定した成膜が可能となる。そこで、チャンバー内にプラズマを生成させる電力を供給する給電手段は、高周波電源回路またはパルス電源回路からなると好適である。被処理物、原料ガス、チャンバー内圧等により適宜調整され得るが、例えば、粒状物(特に粉体)を入れた中空電極に直流パルス通電する場合、印加電圧:300〜3000Vさらには400〜600V、周波数:5kHz〜350kHzさらには50kHz〜150kHz、休止時間:0.4〜5μsさらには0.5〜2μsとするとよい。
(2)被処理物に均一的な成膜を行うために、本発明の成膜装置は、収容部内で被処理物の姿勢を変動させる変動手段を備えると好ましい。変動手段は、種々考えられ、被処理物に応じて適切な手段を選択すれば良い。例えば、被処理物が粉末等の粒状物である場合なら、変動手段には、被処理物に振動または揺動を付与する加振手段や被処理物を移動または転動させる撹拌手段などを用いることができる。
但し、比表面積の大きな被処理物(粉末等)は、処理中に加振されると、浮揚等し易くなって、安定した成膜が困難となる場合もある。このような場合、変動手段として、中空電極を回転させる回転手段を用いて、被処理物を収容部の内壁面に沿ってゆっくり転動等させながら、その姿勢を緩やかに変化させて処理すると、種々の被処理物に対して安定した成膜が可能となる。なお、ここでいう「回転」には、中空電極が自転する場合の他、公転する場合、さらには自転と公転の両方を行う場合も含まれる。被処理物等により適宜調整され得るが、例えば、粒状物(特に粉体)を入れた中空電極を自転させる場合、回転数:0.1〜10rpmさらには0.5〜5rpm程度でもよい。
中空電極が回転する場合、その収容部は被処理物と接触する内壁面の少なくとも一部(例えば内底面側)から突出した撹拌部を有すると好ましい。このような中空電極を用いると、被処理物が粒状物でも、効率的に、より均一的な成膜を行い得る。
《被処理物》
本発明の成膜装置または成膜方法は、種々の被処理物を対象とするが、例えば、粉末(砥粒粉を含む)、ねじ、ナット、ワッシャ等の粒状物の成膜に好適である。被処理物の材質は、金属、セラミックス、樹脂等のいずれでもよい。また、複雑な形態の被処理物でも、本発明の成膜装置等によれば均一的な成膜が可能である。なお、粒状物のサイズは被処理物毎に異なるため一概に特定することは困難であるが、例えば、一粒子または一品あたりの平均質量が2.1×10−6mg〜0.5gさらには4.0×10−6mg〜6.0×10−6gであると、本発明によるプラズマCVD処理に適する。
中空電極を配設した成膜装置を製作し、粉体にプラズマCVD処理を行った。また中空電極を開放電極に置換した成膜装置でも、同様に粉体にプラズマCVD処理を行った。それぞれの処理中における様子を観察し、電極の相違による影響を評価した。以下、そのような具体例を挙げつつ、本発明をより詳しく説明する。
《成膜装置》
(1)本発明の一実施例である成膜装置Mの概要を図1に模式的に示した。成膜装置Mは、真空チャンバー1と、処理機構部2と、電源部3と、ガス供給部4と、排気部5を備える。
真空チャンバー1は、導電材(ステンレス/JIS SUS304)からなり、全体がプラズマCVD処理を行う際の陽極(アノード電極)となる。
処理機構部2は、被処理物w(粉体)を収容する容体21(中空電極)と、容体21を斜め上方に延在する軸周りに回動可能に支承する一組の笠歯車(軸角が鈍角(例えば135°))からなる支持体22と、支持体22内にある一方の笠歯車に一端側が連結されていると共に鉛直下方に延在して真空チャンバー1を貫通する入力軸23と、入力軸23を駆動する回転数制御型のモータ24と、真空チャンバー1と入力軸23との間で絶縁性および気密性を確保しつつ入力軸23を真空チャンバー1に対して支承する絶縁真空シール付きの軸受25と、入力軸23とモータ24の回転軸とを絶縁して連結する絶縁カップリング26とを備える。なお、容体21と支持体22は、真空チャンバー1内に配設されており、モータ24は真空チャンバー1外に配設されている。容体21を除く処理機構部2が本発明でいう回転手段(変動手段)に相当する。
電源部3(給電手段)は、商用電源(図略)から電力を供給されて、真空チャンバー1と入力軸23の間へプラズマ生成に必要な直流パルス電圧を印加できるプラズマ電源回路30からなる。プラズマ電源回路30の陽極31は真空チャンバー1に接続されていると共に接地(アース)されており、その陰極32は入力軸23に接続されている。これにより真空チャンバー1はアノード電極となり、入力軸23を介した容体21は負電圧が印加されるカソード電極となる。
ガス供給部4(給気手段)は、真空チャンバー1内に配設され真空チャンバー1内へガスを供給するガス供給シャワー41と、そのガス源であるガス貯蔵体42と、ガス貯蔵体42からガス供給シャワー41へ供給するガス量を制御する流量調整器(マスフローコントローラ)43とを備える。ガス貯蔵体42は、各種の原料ガスまたはキャリアーガスを貯蔵したガスボンベ、または原料となる合成ガスを発生させるガス発生器からなる。ガス供給シャワー41と流量調整器43は真空チャンバー1外に配設される。
排気部5(排気手段)は、真空チャンバー1の内外を連通する排気路51と、排気路51の連通と遮断を切替えて排気量(真空チャンバー1内の真空度)を調整する調整弁(バタフライ弁)52と、排気路51および調整弁52を通じて真空チャンバー1内を排気する真空ポンプ53とを備える。
(2)中空電極となる容体21は、その半断面図である図2Aに示すように、平坦な円板状の底面211aと半球面状の側面211bを有する半球体211と、円状の開口212a(開口部)と半球面状の側面212bを有する半球筒体212とからなる。そして、半球体211と半球筒体212は、それぞれの外周側から突出したフランジ面を突き合わせて、ボルトおよびナットからなる固定具213により連結されている。なお、半球体211と半球筒体212も導電材(ステンレス/JIS SUS304)からなる。
半球体211は、その平面図である図2Bに示すように、側面211に沿って、その内壁面から中央(中心)方向へ突出した突起列214(撹拌部)を有する。この突起列214は、周方向に同ピッチで8条配設されている。容体21が軸p周りに回転すると、容体21内に投入された被処理物wは、半球体211の内壁面に沿いつつ、その突起列214により撹拌されることとなる。
《プラズマCVD処理/成膜方法》
成膜装置Mを用いて、次のような条件下で、被処理物wである粉体:20g(純Fe粉/粒度:74〜106μm)にプラズマCVD処理を施した。
容体21(図2A参照)を支持体22に取り付け、その容体21(図2A参照)内へ被処理物wを入れて真空チャンバー1を密閉した。この真空チャンバー1内を排気部5により排気して真空状態(7Pa)とした。この真空チャンバー1内へ、ガス供給部4から原料ガス(炭化水素系ガス:70sccm、窒素ガス(N):120sccm)を供給した。容体21を処理機構部2により自転(回転数:1rpm)させつつ(撹拌工程)、電源部3から、−600Vの直流パルス電圧を印加した(パルス通電工程)。このとき、パルス休止時間(T):1.5μsec、周波数:50kHzとした。このプラズマCVD処理を30分間行い(成膜工程)、各粉末粒子の表面に約0.1μmのアモルファス炭素膜が形成されていることを粉体粒子断面のSEM観察(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S−4300)により確認した。
《プラズマ観察》
(1)上記のプラズマCVD処理中における容体21(中空電極)の周囲の様子を図3Aに模式的に示すと共に、容体21の開口212a付近を撮影した写真を図3Bに示した。
容体21の半球筒体212を取り外して、半球体211のみとした開放電極を用いて、同様なプラズマCVD処理を行った。この処理中における半球体211の周囲の様子を図4Bに模式的に示すと共に、その上面側を撮影した写真を図4Bに示した。
(2)中空電極を用いたときに生成されたプラズマ(図3B参照)と、開放電極を用いたときに生成されたプラズマ(図4B参照)とを、浜松ホトニクス株式会社製 プラズマプロセスモニタ(C10346−1)を用いて発光分析した。これにより得られた結果を図5に示した。
《評価》
(1)図3Bと図4Bを比較すると明らかなように、開放電極を用いたときよりも、中空電極を用いたときに、より強い発光のプラズマが生じていることがわかる。このことは、図5に示したCH(波長:391.1nm)のそれぞれの発光強度からも明らかであり、中空電極を用いたときの発光強度は、開放電極を用いたときの約3倍となっていた。
このように中空電極を用いることにより大きなプラズマ密度を得ることができ、プラズマCVD処理を効率的に行い得ることがわかった。また、粉体等のように微細な粒子からなる被処理物であっても、成膜装置Mのように撹拌しつつ処理することにより、各粒子に対して均一的な成膜も可能となる。
(2)容体21の内壁面は、球面状の側面と平面からなり、それらの境界も円弧曲面で接続されている。このように被処理物の収容部の内壁面が滑らかな曲面からなることにより、中空電極内で電位集中によって放電が不均一になることが防止される。従って本実施例のような中空電極を用いると、内部全体で、均一的で高密度なプラズマ生成が可能となり、ひいては細かな被処理物の全面に対しても、均一的な成膜を効率よく行える。
また、被処理物が比表面積の大きい粒子等からなる場合に、プラズマ電源として単なる直流電源を用いると、被処理物がCVD処理中に浮遊したり、さらには、その浮遊した粒子が収容部の内壁面に再接触したときにアーク放電を生じたりして、放電ひいてはプラズマ生成が不安定になり得る。これに対して本実施例のようにプラズマ電源としてパルス電源を用いると、放電ひいてはプラズマ生成が安定化して、被処理物が粉体等であっても、高品質な成膜を効率的に行い得る。
図3Aに示すように、プラズマシースが容体21(中空電極)の最大内径(直径)の1/2より小さいか、ほぼ等しくなるときに、安定したホローカソード放電が生じ易くなり、効率的で安定したプラズマCVD処理が可能となる。
1 真空チャンバー
2 処理機構部(回転手段)
21 容体(中空電極)
214 突起列(撹拌部)
3 電源部(給電手段)
4 ガス供給部(給気手段)
5 排気部(排気手段)

Claims (8)

  1. 処理物の表面にプラズマCVD法による成膜を行う成膜装置であって、
    被処理物を収容し得る有底中空状の収容部と該収容部の内外を連通する開口部とを有する中空電極と、
    該収容部内にある該被処理物の姿勢を変動させる変動手段と、
    プラズマを生成させる電力を該中空電極へ供給する給電手段とを備え、
    該中空電極は、密閉空間を構成するチャンバー内にあると共に該収容部内に対向電極が配置されておらず
    該給電手段は、パルス電源からなり、
    該中空電極内でホローカソード放電によりプラズマを生成し得ることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記変動手段は、前記中空電極を回転させる回転手段である請求項に記載の成膜装置。
  3. 前記回転手段は、斜めに延在する軸周りに前記中空電極を回転させる請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記回転手段は、回転数:0.1〜10rpmで前記中空電極を自転させる請求項2または3に記載の成膜装置。
  5. 前記中空電極は、前記被処理物が接触し得る前記収容部の内壁面から突出した撹拌部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 前記被処理物は粒状物である請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。
  7. 密閉空間を構成するチャンバー内にあると共に対向電極が内側に配置されていない中空電極内ホローカソード放電によりプラズマを生成させて被処理物にプラズマCVD法による成膜を行う成膜工程を備え
    該被処理物は、粒状物であり、
    該成膜工程は、該粒状物を撹拌しつつ該中空電極へパルス通電してなされることを特徴とする成膜方法。
  8. 前記パルス通電は、直流パルス通電であり、印加電圧:300〜3000V、周波数:5kHz〜350kHz、休止時間:0.4〜5μsである請求項7に記載の成膜方法。
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