JP6543965B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれよりなる複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、部材とした際の反り量が少なく、金属部材との良好な接合性、耐候性および成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材と金属部材とを一体化した複合体に関するものである。さらに詳しくは、モバイルパソコンやタブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電気・電子部品に特に有用なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれよりなる複合体に関するものである。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPSと略記することもある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記することもある。)は、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐薬品性を有し、多くの電気・電子機器部材や自動車機器部材、その他OA機器部材等に幅広く使用されている。
PASは、ガラス繊維等の繊維状無機充填材、炭酸カルシウム、タルク等の粒状無機充填材を配合することにより、機械的強度、耐熱性、剛性等を大きく向上させることができる。しかしながら、繊維状充填剤を配合することによって、成形品に反りが発生し、モバイルパソコンやタブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途への搭載が制限されている。また、これらの用途においては、部品形状の複雑化や小型化の要求から、部品の薄肉化が進展しており、薄肉化した際の反りを低減することが望まれている。さらには、部品点数削減の点から、従来は内部部品として使用されていたPPS製部品を、外装部品としても使用することが望まれている。しかし、PPSには耐候性に劣るという課題を有していた。
PASの反りを改良するための方法として、例えばPPS、ガラスフレーク、ガラスフレーク以外の無機充填材、オレフィン系樹脂を配合してなるPPS樹脂組成物(例えば特許文献1参照。)、PPS、ガラス繊維、特定の官能基を含有するオレフィン系重合体、エポキシ樹脂、ガラスフレークおよび/または炭酸カルシウムを配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(例えば特許文献2参照。)等が提案されている。
また、金属との良好な接合性を有するPAS樹脂組成物については、これまでにもいくつかの検討がなされ、例えば、(a)PAS、(b)極性基含有ポリエチレン系共重合体、及び(c)トリアジンチオール類を配合する樹脂組成物(例えば特許文献3参照。)、また、(a)PPS、(b)極性基含有ポリオレフィン、及び(c)相溶化剤を配合する樹脂組成物(例えば特許文献4参照。)等が提案されている。
さらに、PPSの耐候性を改良する方法として、例えばPPSに、特定のアルキリデンビス(ベンゾトリアゾリルフェノール)化合物を配合してなるPPS樹脂組成物(例えば特許文献5参照。)、PPS、銅酸化物及び/又は硫化物を配合してなるPPS樹脂組成物(例えば特許文献6参照。)等が提案されている。
そして、目的は異なるものの特定のPPS、扁平な断面形状を有するガラス繊維を配合してなるPPS樹脂組成物(例えば特許文献7参照。)、PPS樹脂、扁平な断面形状を有するガラス繊維、 熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成物と金属とのインサート成形品(例えば特許文献8参照。)等が提案されている。
特開2002−129014号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2005−306926号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2010−070712号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2010−284899号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特公平06−002878号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開昭60−147471号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2006−328291号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2005−161693号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1及び2に提案された樹脂組成物においては、部材とした際の反りという点で課題を有するものであった。また、特許文献3及び4に提案された樹脂組成物においては、金属との接合性は良好であるものの、部材とした際の反りおよび耐候性については何ら検討されておらず、課題発生の可能性を有するものであった。さらに、特許文献5及び6に提案された樹脂組成物においては、耐候性は良好であるものの、部材とした際の反りおよび金属との接合性については課題を有する可能性のあるもであった。そして、特許文献7及び8に提案された樹脂組成物においては、耐候性に課題を有する可能性のあるものであった。即ち、これら提案の樹脂組成物はおしなべて、部材とした際の低反り、金属との良好な接合性、良好な耐候性および良好な成形流動性とを同時に得ることは難しいものであった。
そこで、本発明は、部材とした際の反り量が少なく、金属との良好な接合性、良好な耐候性および成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材と金属部材とを一体化した複合体に関するものであり、さらに詳しくは、これら優れた特性を有することからモバイルパソコンやタブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電気・電子部品に特に有用なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びそれよりなる複合体を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリアリーレンスルフィド樹脂、少なくとも変性エチレン系共重合体、特定のガラス繊維、及び特定の紫外線吸収剤から構成され、特定の配合割合からなる樹脂組成物が、部材とした際の反り、金属との良好な接合性、耐候性、成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が50〜500ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体(B)5〜30重量部、繊維断面アスペクト比2〜4を有するガラス繊維(C)70〜170重量部、並びに融点が130℃以上を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、130℃以上を有するトリアジン系紫外線吸収剤及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種以上の紫外線吸収剤(D)1〜10重量部を含んでなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B)5〜30重量部、繊維断面アスペクト比2〜4を有するガラス繊維(C)70〜170重量部、並びに紫外線吸収剤(D)1〜10重量部を含んでなるものである。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を構成するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)としては、一般にポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであればよく、該ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該ポリアリーレンスルフィド樹脂の具体的例示としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度特性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、ポリ(p−フェニレンスルフィド)であることが好ましい。
さらに、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度50〜500ポイズのポリアリーレンスルフィド樹脂であり、その中でも、特に薄肉流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、50〜400ポイズのポリアリーレンスルフィド樹脂であることが好ましい。ここで、50ポイズ未満のポリアリーレンスルフィド樹脂である場合、得られる樹脂組成物は、機械的強度に劣るものとなる。一方、500ポイズを越えるものである場合、得られる樹脂組成物は薄肉流動性に劣るものとなる。
該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の製造方法としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロ芳香族化合物を重合することにより得る事が可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げる事ができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げる事ができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロ芳香族化合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジビフェニル等を挙げる事ができる。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)としては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、ポリアリーレンスルフィド樹脂の分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に不活性ガス又は酸化性ガス中で加熱処理を行い、硬化を行ったものであってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を構成する変性エチレン系共重合体(B)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の金属接合性を改良するものであり、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体,エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系共重合体である。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が金属との接合性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:40〜1:10〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダインLX4110(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインTX8030(アルケマ(株)製)、(商品名)ボンダインAX8390(アルケマ(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が金属との接合性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位(重量比)=85〜99:15〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト2C(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファーストE(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が金属との接合性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:酢酸ビニル残基単位(重量比)=50〜98:15〜1:35〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト2B(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7B(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が金属との接合性等に優れることから、エチレン残基単位:α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=50〜98:10〜1:40〜1の範囲であることが好ましい。該エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト7L(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7M(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が金属との接合性等に優れることから、エチレン残基単位:α−オレフィン残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50〜98:45〜1:5〜1の範囲からなるものであることが好ましく、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存し、グラフト化反応を進行することにより入手することが可能である。
そして、変性エチレン系共重合体(B)を構成するα−オレフィンとは、炭素数が3以上のα−オレフィンを言い、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を例示できる。また、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル等が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルが挙げられる。
該変性エチレン系共重合体(B)の配合量としては、とりわけ金属接合性と成形流動性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、5〜30重量部である。ここで、エチレン系共重合体(B)の配合量が5重量部未満である場合、得られる樹脂組成物は金属との接合性に劣るものとなる。一方、配合量が30重量部を超える場合、成形加工時の金型汚染がひどくなり好ましくない。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を構成するガラス繊維(C)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の機械的強度、反りを改良するものであり、該ガラス繊維(C)としては、一般に、繊維断面アスペクト比2〜4を有する(扁平)ガラス繊維であれば如何なるものであってもよい。
該ガラス繊維(C)の種類としては、Eガラス、Cガラス、Tガラスなどが挙げられ、その中でもとりわけ機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることからEガラスであることが好ましい。
該ガラス繊維(C)の断面形状としては、繊維断面アスペクト比2〜4を有する(扁平)ガラス繊維であり、具体的な断面形状としては、長円形、楕円形、半円、まゆ形、矩形又はこれらの類似形であるものが好ましい。該ガラス繊維(C)の繊維径としては、とりわけ機械的強度と成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから繊維断面の短径が6〜16μmであるものが好ましい。
該ガラス繊維(C)の形態としては、チョップドストランド、ミルドファイバー、ロービングなどが挙げられ、とりわけポリアリーレンスルフィド樹脂組成物とする際の取扱いに優れるものとなるから、チョップドストランドであることが好ましい。繊維断面アスペクト比が4であるチョップドストランドとしては、例えば(商品名)CSG−3PA 830、(日東紡(株)製)、繊維断面アスペクト比が2であるチョップドストランドとしては、(商品名)CSG−3PL 830(日東紡(株)製)等が挙げられる。これらのガラス繊維(C)は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
該ガラス繊維(C)の配合量としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、70〜170重量部である。ここで、70重量部未満である場合、得られた樹脂組成物を部材とした際に反りの発生しやすいものとなる。一方、170重量部を越える場合、得られる樹脂組成物は、成形流動性に劣るものとなる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を構成する紫外線吸収剤(D)は耐候性を改良するものであり、とりわけ耐候性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、融点が130℃以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、融点が130℃以上のトリアジン系紫外線吸収剤及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種以上の紫外線吸収剤である。ここで、融点が130℃以下の紫外線吸収剤である場合、得られる組成物は耐候性に劣るものとなる。
融点が130℃以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、例えば2,2’−メチレンビス(6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。そして、該2,2’−メチレンビス(6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)の市販品としては、例えば(株)アデカ製、(商品名)LA−31(融点197℃)、BASF(株)製、(商品名)TINUVIN360(融点197℃)等が挙げられる。該2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノールの市販品としては、例えば(株)アデカ製、(商品名)LA−36(融点140℃)、該2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノールの市販品としては、例えば(株)シプロ化成製、(商品名)シーソーブ706(融点163℃)、該2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの市販品としては、例えばBASF(株)製、(商品名)TINUVIN234(融点139℃)等が挙げられる。
融点が130℃以上のトリアジン系紫外線吸収剤としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノールなどが挙げられる。該2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニルフェニル)−1,3,5−トリアジンの市販品としては、例えば(株)アデカ製、(商品名)LA−F70(融点147℃)、該2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールの市販品としては、例えばBASF(株)製、(商品名)TINUVIN1577(融点149℃)、該2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノールの市販品としては、例えばBASF(株)製、(商品名)TINUVIN1600(融点130℃)等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、該カーボンブラックの市販品としては、例えば三菱化学(株)製、(商品名)#950(融点3550℃)、 三菱化学(株)製、(商品名)#2600(融点3550℃)等が挙げられる。
該紫外線吸収剤(D)の配合量としては、とりわけ耐候性と金型汚染性に優れたPAS樹脂組成物となることから、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、1〜10重量部である。ここで、該紫外線吸収剤(D)の配合量が1重量部未満である場合、得られる樹脂組成物は耐候性に劣るものとなる。一方、配合量が10重量部を超える場合、成形加工性に劣る樹脂組成物となり好ましくない。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、特に成形加工性が優れたものとなることから、さらに、離型剤(E)を配合してなるものが好ましい。該離型剤(E)としては、例えば脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスから選択される1種以上のものであることが好ましく、該脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスとしては市販のものが使用できる。該脂肪酸アミド系滑剤は、高級脂肪酸アミド、エチレンビスステアロアミド、高級脂肪酸及びジアミンからなる重縮合物などが挙げられ、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばステアリン酸、セバシン酸、エチレンジアミンからなる重縮合物である、(商品名)ライトアマイドWH−255(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。また、該カルナバワックスしては、一般にカルナバワックスと称するものであれば如何なるものを用いる事が可能であり、例えば(商品名)精製カルナバ粉末1号(日興リカ(株)製)等を挙げることができる。該離型剤の配合量としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜3重量部であることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素繊維、窒化珪素ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、ボロンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカー;ロックウール、ジルコニア、チタン酸バリウム、炭化珪素、シリカ、高炉スラグ等の無機系繊維;全芳香族ポリアミド繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維等の有機系繊維;ワラステナイト、マグネシウムオキシサルフェート等の鉱物系繊維が添加されたものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレークが添加されたものであっても構わない。
また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のタルク、カオリン、シリカなどの結晶核剤;ポリアルキレンオキサイドオリゴマー系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤;酸化防止剤;熱安定剤;滑剤;発泡剤などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。
さらに、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアルキレンオキサイド等の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を製造する際の製造方法としては特に制限はなく、一般的な混合・混練方法として知られている方法を用いる事が可能であり、例えば全ての原材料を配合し溶融混練する方法;原材料の一部を配合した後で溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法;あるいは原材料の一部を配合後単軸又は二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法、など、いずれの方法を用いてもよい。また、小量の添加成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加することで使用してもよい。そして、溶融混練を行う方法としては、従来から使用されている加熱溶融混練方法を用いることができ、例えば単軸又は二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダーなどによる加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常260〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材と金属部材とを射出成形により直接一体化したものであってもよく、該金属部材としては、物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材であることが好ましく、金属部材の表面に物理的処理及び/又は化学処理を施した金属部材であれば如何なるものであっても良い。
そして、該金属部材としては、金属部材の範疇に属するものであればいかなる材質よりなる部材でもよく、その中でもポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体とした際に各種用途への適応が可能となることから、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材、銅合金製部材、マグネシウム製部材、マグネシウム合金製部材、鉄製部材、チタン製部材、チタン合金製部材、ステンレス製部材である金属部材が好ましい。
該金属部材は、表面を物理的処理及び/又は化学処理した金属部材とすることが好ましく、該物理的処理及び/又は化学処理を施すことにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材と直接一体化した際に優れた密着性、接合性、気密性を有するものとなるものである。そして、金属部材の表面を物理的処理及び/又は化学処理する方法としては如何なる方法を用いて物理的処理及び/又は化学処理を施すことも可能であり、その中でも金属部材とポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材との接合性、密着性に特に優れた複合体となることから、物理的処理としては、例えば表面に微小固体粒子を接触又は衝突させる方法、また高エネルギー電磁線を照射する方法等を挙げることができ、より具体的にはサンドブラスト処理、液体ホーニング処理、レーザ加工処理等を挙げることができる。更に、サンドブラスト処理、液体ホーニング処理の際の研磨剤としては、例えばサンド、スチールグリッド、スチールショット、カットワイヤー、アルミナ、炭化ケイ素、金属スラグ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ等を挙げることができる。また、レーザ加工処理としては、WO2007/072603号公報に提案の方法等をも挙げることができる。
また、金属部材とポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材との接合性、密着性に特に優れた複合体となることから、化学処理としては、例えば陽極酸化処理法、酸又はアルカリの水溶液で化学処理する方法、等を挙げることができる。
そして、陽極酸化処理としては、例えば金属部材を陽極として電解液中で電化反応を行いその表面に酸化被膜を形成する方法であってもよく、メッキ等の分野において陽極酸化法として一般的に知られている方法を用いることができる。より具体的には、例えば1)一定の直流電圧をかけて電解を行う直流電解法、2)直流成分に交流成分を重畳した電圧をかけることにより電解を行うバイポーラ電解法、等を挙げることができる。陽極酸化法の具体的例示としては、WO2004/055248号公報等に提案の方法等を挙げることができる。
また、酸又はアルカリの水溶液で化学処理する方法としては、例えば金属部材を酸又はアルカリの水溶液に浸せきし金属部材表面を化学処理する方法であってもよく、その際の酸又はアルカリの水溶液としては、例えばリン酸等のリン酸系化合物;クロム酸等のクロム酸系化合物;フッ化水素酸等のフッ化水素酸系化合物;硝酸等の硝酸系化合物;塩酸等の塩酸系化合物;硫酸等の硫酸系化合物;水酸化ナトリウム、アンモニア水溶液などのアルカリ水溶液;トリアジンチオール水溶液、トリアジンチオール誘導体水溶液により化学処理する方法等を挙げることができ、より具体的例示としては、特開平10−096088号公報、特開平10−056263号公報、特開平04−032585号公報、特開平04−032583号公報、特開平02−298284号公報、WO2009/151099号公報、WO2011/104944号公報等に提案の方法、等を挙げることができる。
該物理的処理及び/又は化学処理は、単独で処理しても両者を併用して処理しても良く、例えば、表面に物理的処理を施した後に化学処理を施した金属部材を用いて金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体としたものであっても良い。
該金属部材−ポリアリーレンスルフィド脂組成物部材複合体の製造方法としては、該表面が物理的処理及び/又は化学処理された金属部材とポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材とを射出成形により直接一体化することが可能であれば如何なる方法をも用いることができ、その中でも特に効率よく複合体を製造することが可能となることから射出インサート成形法により一体化することが好ましい。そして、該射出インサート成形法としては、例えば金型内に金属表面が物理的処理及び/又は化学処理された金属部材を装着し、該金属部材に溶融ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を充填し、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材とし、該金属部材とポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材とが直接一体化された複合体とする方法を挙げることができる。この際のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融温度としては280〜340℃を挙げることができ、インサート成形を行う際の成形機としては、とりわけ生産性に優れることから射出成形機を用いてインサート射出成形を行うことが好ましい。
該金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の形状としては、射出成形により直接一体化する際のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の充填性に優れ、部材としたときの反りが少ない複合体となることから、0.3〜10mmの複合体厚さを含む複合体であって複合体厚さに対する複合体長さの比および/または複合体厚さに対する複合体幅の比が2以上の板状複合体を含む複合体であることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、部材とした際の反り量が少なく、金属部材との良好な接合性、外装部品としての耐候性および成形流動性に優れる特性をあわせもつことから、部品形状の複雑化や小型化のニーズから部品の薄肉化、外装部品としての使用が望まれている携帯端末機器の筐体等の電気・電子部品、又は自動車電装部品に好適に用いられる。
本発明は、部材とした際の反り量が少なく、金属部材との良好な接合性、外装部品としての耐候性、成形加工に必要な成形流動性に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供するものであり、モバイルパソコンやタブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に有用なものである。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いた、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、変性エチレン系共重合体(B)、ガラス繊維(C)、紫外線吸収剤(D)、離型剤(E)を以下に示す。
<ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)>
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−1)(以下、PPS(A−1)と記す。):溶融粘度80ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−2)(以下、PPS(A−2)と記す。):溶融粘度400ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−3)(以下、PPS(A−3)と記す。):溶融粘度190ポイズ。
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(A−4)(以下、PPS(A−4)と記す。):溶融粘度350ポイズ。
<変性エチレン系共重合体(B)>
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(B−1)(以下、変性エチレン系共重合体(B−1)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインAX8390。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B−2)(以下、変性エチレン系共重合体(B−2)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファースト7M。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル−酢酸ビニル共重合体(B−3)(以下、変性エチレン系共重合体(B−3)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファースト7B。
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸−グリシジルエステル共重合体(B−4)(以下、変性エチレン系共重合体(B−4)と記す。):住友化学(株)製、(商品名)ボンドファーストE。
<ガラス繊維(C)>
ガラス繊維(C−1);日東紡(株)製チョップドストランド、(商品名)CSG−3PA 830、繊維断面のアスペクト比4。
ガラス繊維(C−2);日東紡(株)製チョップドストランド、(商品名)CSG−3PL 830、繊維断面のアスペクト比2。
<紫外線吸収剤(D)>
トリアジン系紫外線吸収剤(D−1);アデカ(株)製、(商品名)LA−F70、融点147℃。
トリアジン系紫外線吸収剤(D−2);BASF(株)製、(商品名)TINUVIN1577、融点149℃。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D−3);アデカ(株)製、(商品名)LA−31、融点197℃。
カーボンブラック(D−4);三菱化学(株)製、(商品名)#950、融点 3550℃。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D−5);アデカ(株)製、(商品名)LA−29、融点104℃。
<離型剤(E)>
脂肪酸アミド系滑剤(E−1);共栄社化学(株)製、(商品名)ライトアマイドWH−255。
カルナバワックス(E−2);日興リカ(株)製、(商品名)精製カルナバ粉末1号。
<合成例1(PPS(A−1)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2085g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)を洗浄した。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が80ポイズのPPS(A−1)を得た。
<合成例2(PPS(A−2)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、340gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2107g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに1時間重合反応を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が400ポイズのPPS(A−2)を得た。
<合成例3(PPS(A−3)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、30%苛性ソーダ溶液(30%NaOHaq)48g及びN−メチル−2−ピロリドン3679gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、380gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2107g、N−メチル−2−ピロリドン985gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN−メチル−2−ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p−フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリフェニレンスルフィドを105℃で一昼夜乾燥した。次いで、乾燥したポリフェニレンスルフィドをバッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下で240℃まで昇温し、1時間の保持による硬化処理を行うことによって、溶融粘度が190ポイズのPPS(A−3)を得た。
<合成例4(PPS(A−4)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、粒状の苛性ソーダ(100%NaOH:和光純薬特級)8.7g及びN−メチル−2−ピロリドン3232gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、339gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン2129g、N−メチル−2−ピロリドン1783gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、250℃にて2時間重合を行った。次いで、この系に250℃で蒸留水509gを圧入し、255℃まで昇温してさらに2時間重合反応を行った。重合終了後、室温まで冷却し、重合スラリーを遠心濾過器で固液分離した。ケーキを窒素気流下でN−メチル−2−ピロリドン、アセトンで順次3回繰り返し洗浄し、さらに、窒素気流下で0.2%塩酸、及び温水で順次洗浄した。得られたポリ(p−フェニレンスルフィド)を105℃で一昼夜乾燥することによって、溶融粘度が350ポイズのPPS(A−4)を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の評価・測定方法を以下に示す。
〜ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
〜耐候性の評価〜
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を、シリンダー温度310℃、金型温度135℃とした射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって射出成形し、70mm×70mm×2mm厚の成形体とし、サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(スガ試験機(株)製、(商品名)サンシャインスーパーロングライフウェーザーメーター)を用いて、JIS D−205 WAN−1Sに準拠し100時間供し成形体の表面状態を目視にて判定した。
○:成形品表面に荒れが認められなかったもの。
×:成形品表面に荒れが認められるもの。
〜金属接合性および反りの評価〜
物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属板(127mm(長辺)×12.7(短辺)mm×0.5mm(厚さ))を、金型温度150℃に設定した射出成形機金型内に装着し、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、射出インサート成形を行い、127mm(長辺)×12.7mm(短辺)×3.2mm(厚さ)(複合体厚さに対する複合体長さの比40、複合体厚さに対する複合体長さの比4)の金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
成形後24時間経過した該金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の界面を目視にて判定した。
○:金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の界面にはく離が認められなかったもの。
×:金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の界面にはく離が認められるもの。
さらに、該成形後24時間経過した該金属部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の長辺に生じたたわみのたわみ量を反り量として評価した。
〜成形流動性の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE75S)に、深さ1mm、幅10mmの溝がスパイラル状に掘られた金型を装着し、次いで、シリンダー温度を310℃、射出圧力を190MPa、射出速度を最大、射出時間を1.5秒、及び金型温度を135℃に設定した該射出成形機のホッパーにポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を投入し、射出した。そして金型内のスパイラル状の溝を溶融流動した長さを成形流動性として測定した。成形流動性として180mmを超えるものを実用上十分な値を示すと判断した。
実施例1
合成例1で得られたPPS(A−1)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−2)20重量部、紫外線吸収剤(D−1)2.5重量部、及び離型剤(E−1)1.0重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−1)100重量部に対して130重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得た。
一方、アルミニウム合金(A5052)製板(127mm(長辺)×12.7(短辺)mm×0.5mm(厚さ))をアセトンに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液、次いで10重量%硫酸水溶液に浸漬し、さらに15重量%硫酸水溶液中で電流密度0.5A/cmで陽極酸化処理することにより、アルミニウム合金表面を化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を得た。
得られたアルミニウム合金(A5052)板を、金型温度150℃に設定した射出成形機金型内に装着し、得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)のホッパーに投入し、射出インサート成形を行い、127mm(長辺)×12.7mm(短辺)×3.2mm(厚さ)(複合体厚さに対する複合体長さの比40、複合体厚さに対する複合体長さの比4)のアルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体は、実用上十分な耐候性を有し、金属接合性および反り量も良好であった。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例2
合成例2で得られたPPS(A−2)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−1)7重量部、紫外線吸収剤(D−2)1.8重量部、及び離型剤(E−2)0.7重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−2)100重量部に対して75重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得た。
一方、アルミニウム(A1050)製板(127mm(長辺)×12.7(短辺)mm×0.5mm(厚さ))をエタノールに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を95℃のエタノールアミン0.5重量%を含有する蒸留水混合液に5分間浸漬することによりベーマイト処理を施し、表面にベーマイト層を有するアルミニウム(A1050)製板を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びベーマイト層を有するアルミニウム(A1050)製板を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体は、実用上十分な耐候性を有し、金属接合性および反り量も良好であった。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例3
合成例1で得られたPPS(A−1)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−3)28重量部、紫外線吸収剤(D−3)6重量部、及び離型剤(E−1)0.6重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−1)をPPS(A−2)100重量部に対して165重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得た。
一方、アルミニウム合金(A6063)製板(127mm(長辺)×12.7(短辺)mm×0.5mm(厚さ))をアセトンに浸漬することにより表面の洗浄を行った後、該試験片を#800のアルミナ、次いで#2000のアルミナにて液体ホーニング処理を行うことにより、アルミニウム合金表面を物理的処理したアルミニウム合金(A6063)製板を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び物理的処理したアルミニウム合金(A6063)製板を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体は、実用上十分な耐候性を有し、金属接合性および反り量も良好であった。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例4
合成例3で得られたPPS(A−3)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−4)15重量部、紫外線吸収剤(D−4)1.5重量部、及び離型剤(E−2)0.7重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−2)をPPS(A−1)100重量部に対して95重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得た。
一方、アルミニウム合金(A5052)製板を用いた以外は、実施例1と同様に表面処理を実施することにより、アルミニウム合金表面を化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体は、実用上十分な耐候性を有し、金属接合性および反り量も良好であった。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
実施例5
合成例4で得られたPPS(A−4)100重量部に対し、変性エチレン系共重合体(B−1)17重量部、紫外線吸収剤(D−4)3.8重量部、及び離型剤(E−2)0.5重量部を予め均一に混合し、シリンダー温度300℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)のホッパーに投入した。一方、ガラス繊維(C−2)をPPS(A−1)100重量部に対して125重量部となるように該二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーから投入し、溶融混練してペレット化したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を得た。
一方、アルミニウム合金(A5052)製板を用いた以外は、実施例1と同様に表面処理を実施することにより、アルミニウム合金表面を化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体を得た。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表1に示す。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、アルミニウム合金部材−ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体は、実用上十分な耐候性を有し、金属接合性および反り量も良好であった。また、成形流動性も実用上十分な値を示した。
Figure 0006543965
比較例1〜4
PPS(A−1)、変性エチレン系共重合体(B−2)、紫外線吸収剤(D−1、D−5)及び離型剤(E−1)を表2に示す構成割合で配合して、二軸押出機のホッパーに投入し、ガラス繊維(C−1)を、表2に示す構成割合になるように、二軸押出機のサイドフィーダーのホッパーに投入し、実施例1と同様の方法により樹脂組成物を得た。
一方、実施例1と同様の方法により、アルミニウム合金表面を化学処理したアルミニウム合金(A5052)製板を得た。
得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりアルミニウム合金部材−樹脂組成物部材複合体を得た。
得られた樹脂組成物、アルミニウム合金部材−樹脂組成物部材複合体の耐候性、金属接合性、たわみ量、成形流動性を評価した。評価結果を表2に示す。
比較例1により得られた樹脂組成物は、耐候性に劣るものであった。比較例2により得られた樹脂組成物は、反り量に劣るものであった。比較例3により得られた樹脂組成物は、金属接合性に劣るものであった。比較例4により得られた樹脂組成物は、成形流動性に劣るものであった。
Figure 0006543965
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、金属部材とを一体化した部材とした際の反り量が少なく、金属部材との良好な接合性、外装部品としての耐候性、成形加工に必要な成形流動性に優れるものであり、モバイルパソコンやタブレット、携帯電話など携帯端末機器の筐体等の電子・電気部品用途、又は自動車電装部品等の電気部品用途に用いられる樹脂組成物およびそれよりなる複合体として期待されるものである。

Claims (5)

  1. 直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が50〜500ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体である変性エチレン系共重合体(B)5〜30重量部、繊維断面アスペクト比2〜4を有するガラス繊維(C)70〜170重量部、並びにカーボンブラックである紫外線吸収剤(D)1〜10重量部を含んでなることを特徴とする耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、さらに、脂肪酸アミド系滑剤、カルナバワックスからなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤(E)0.1〜3重量部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材と、直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が50〜500ポイズであるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100重量部に対し、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体である変性エチレン系共重合体(B)5〜30重量部、繊維断面アスペクト比2〜4を有するガラス繊維(C)70〜170重量部、並びにカーボンブラックである紫外線吸収剤(D)1〜10重量部を含んでなる耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材とを射出成形により直接一体化してなることを特徴とする金属部材−耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体。
  4. 金属部材が、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材、銅合金製部材、マグネシウム製部材、マグネシウム合金製部材、鉄製部材、チタン製部材、チタン合金製部材及びステンレス製部材からなる群より選択される1種以上の金属部材であることを特徴とする請求項3に記載の金属部材−耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体。
  5. 金属部材−耐候性ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物部材複合体が、0.3〜10mmの複合体厚さを含む複合体であって複合体厚さに対する複合体長さの比および/または複合体厚さに対する複合体幅の比が2以上の板状複合体を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の金属部材−耐候性ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物部材複合体。
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