JP6541184B2 - 接着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ジアリールエーテルケトン基を有するポリマー材料とラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物とを接着する接着方法、歯科補綴物材料及び該歯科補綴物材料の製造方法に関するものである。
スーパーエンジニアリング樹脂は、電気・電子分野、航空宇宙分野、自動車産業、医療分野、一般工業分野等、幅広い用途に使用されている。このスーパーエンジニアリング樹脂の中でも、特にジアリールケトン基を有するポリマーであるポリアリールエーテルケトン樹脂は、優れた化学的性質、物理的性質を有することから様々な分野での利用が有望視されている。
たとえば、歯科治療の分野においては、このポリアリールエーテルケトン樹脂を歯科材料として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。ポリアリールエーテルケトン樹脂を歯科材料として用いる場合、歯質や他種の歯科材料と強固に接着させる事が必要となる。このような、ポリアリールエーテルケトン樹脂を含む部材と、歯質または他種の歯科材料などの部材とを接着させる技術として、様々な技術が提案されている(たとえば、特許文献2、非特許文献1〜2)。
しかしながら、このポリアリールエーテルケトン樹脂は、その表面の化学的安定性が高いことから、一般的に他の材料と接着させることは困難である。一般的には溶着やエポキシ系材料による接着が行われる事が多い。また、ポリアリールエーテルケトン樹脂材料の表面を改質し、その接着性を高める検討も行われている。例えば特許文献3では、プラズマ処理を行った後にエポキシ系接着材やエポキシ系プライマーを使用する技術が提案されている。
ここで、硬化性組成物として、ラジカル重合性の硬化性組成物はその重合速度が速いことや高強度な硬化物を作製しやすいことなどから広く使用されており、例えば接着性組成物、粘着剤、コーティング剤、封止材、塗料などに使用されている。例えば、歯科用途ではラジカル重合性の硬化性組成物が広く用いられており、歯科部材同士や歯科部材と歯牙とを接着させるための接着性組成物用途(歯科用セメント、歯科用ボンディング材など)、歯質欠損部の充填修復用途(歯科用コンポジットレジンなど)、歯科補綴物・義歯の作製(歯科用硬質レジン、歯科用即時重合レジンなど)が使用されている。
これらのラジカル重合性の硬化性組成物とポリアリールエーテルケトン樹脂材料とを接着することで、有用な様々な部材を作製することが可能となる。そのため、ポリアリールエーテルケトン樹脂などのジアリールケトン基を有するポリマーと、ラジカル重合性の硬化性組成物との間に、さらに高い接着性が得られる手法が望まれている。
また、ポリアリールエーテルケトン樹脂は、前述のようにその表面の化学的安定性が高いため、他の物質との親和性や反応性が低い。そのため、接着を目的とした手法以外でも、官能基の導入などを目的としてその表面を改質する検討も行われている。その一つに還元反応によってポリアリールエーテルケトン樹脂の表面に水酸基を生成する方法が知られている。例えば非特許文献3では、ポリエーテルエーテルケトン樹脂表面のカルボニル基を、ヒドリド還元剤である水素化ホウ素ナトリウムを使用して水酸基に還元させる方法が記されている。ただし、還元剤によって還元したポリアリールエーテルケトン樹脂材料に接着材やラジカル重合性組成物を適用する例は知られていない。また、還元したポリアリールエーテルケトン樹脂材料を歯科材料として用いる例も知られていない。
特開2013−144778号公報 特表2010−521257号公報 特開平5−177714号公報
DENTAL MATERIALS 26(2010) 553−559 DENTAL MATERIALS 28(2012) 1280−1283 Macromolecules 30(1997) 540−548
上記のように、ジアリールケトン基を有するポリマー材料、特にポリアリールエーテルケトン樹脂材料を利用する場合、接着性が課題となる。
そこで本発明では、ジアリールケトン基を有するポリマー材料、特にポリアリールエーテルケトン樹脂材料に対して簡便で適切な処理を行うことによって、ラジカル重合性の硬化性組成物との間に高い接着性を得る事を目的としている。すなわち、ジアリールケトン基を有するポリマー材料、特にポリアリールエーテルケトン樹脂材料と、ラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物とを、接着させる手法、及び歯科補綴物用に好適に使用されるジアリールケトン基を有するポリマー材料とその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行った結果、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面のジアリールケトン基を特定の処理によって還元したものは、ラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物と良好な接着性を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、アリールケトン基を有するポリマー材料と、(a)分子内に2つ以上の重合性官能基を有するラジカル重合性単量体及び(b)分子内に水酸基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物であって、当該硬化性組成物に含まれる全ラジカル重合性単量体の50質量%以上が前記(a)又は(b)である硬化性組成物と、を準備する工程、前記リマー材料の表面に、溶媒に還元剤を0.1mol/l以上の濃度で溶解させた溶液を塗布し、60〜180℃に加熱することにより、前記表面に存在するジアリールケトン基のカルボニル基を還元し、水酸基を生成させる還元工程、前記還元工程で水酸基が生成した前記ポリマー材料の表面に、前記硬化性組成物を付与する硬化性組成物付与工程、及び前記硬化性組成物を硬化させる硬化工程、を含むことを特徴とする、前記ポリマー材料と、前記硬化性組成物の硬化物の接着方法である。還元剤としては特にヒドリド還元剤を用いる事が好ましい。化性組成物に含まれるラジカル重合性単量体は重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。該接着方法に使用されるジアリールケトン基を有するポリマー材料及びラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物は、歯科用であることが好ましい。
本発明によれば、ジアリールケトン基を有するポリマー材料とラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物の接着において高い接着性を得る事が出来る。
本発明のジアリールケトン基を有するポリマー材料は、ジアリールケトン基、すなわちカルボニル基の炭素原子に2つのアリール基(それぞれ独立に、いかなる官能基を有していても良い)が結合している官能基を、繰り返し単位中に有するポリマーを20質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含む材料であり、ジアリールケトン基を有するポリマーのみからなる材料のほかに、ジアリールケトン基を有するポリマーにその他の樹脂をブレンドした材料、ジアリールケトン基を有するポリマーもしくはジアリールケトン基を有するポリマーとその他の樹脂をブレンドしたものを樹脂マトリックスとして使用して充填材と混合をした複合材料(以下該複合材料をポリアリールエーテルケトン樹脂複合体材料とも称する)などである。また、これらの材料に対して、顔料、安定化剤などの微量成分を添加しても良い。
ジアリールケトン基を有するポリマーとしては、ジアリールケトン基が主鎖中に存在していることが好ましく、強度などの点から、ポリアリールエーテルケトン樹脂が好ましい。
ポリアリールエーテルケトン樹脂は、その構造単位として、芳香族基、エーテル基(エーテル結合)およびケトン基(ケトン結合)を少なくとも含む熱可塑性樹脂であり、多くは、フェニレン基がエーテル基およびケトン基を介して結合した直鎖状のポリマー構造を持つ。ポリアリールエーテルケトン樹脂の代表例としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。なお、ポリアリールエーテルケトン樹脂の構造単位を構成する芳香族基は、ビフェニル構造などのようにベンゼン環を2つまたはそれ以上有する構造を持ったものでもよい。また、ポリアリールエーテルケトン樹脂の構造単位中には、スルホニル基または共重合可能な他の単量体単位が含まれていてもよい。
ジアリールケトン基を有するポリマーとブレンドすることが可能なその他の樹脂としては、剛性や強靭性などのジフェニルアリールケトン基を有するポリマーの物性を大幅に劣化させるもので無い限り特に制限されないが、例えば、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテルが挙げられる。ジアリールケトン基を有するポリマー(樹脂)とその他の樹脂をブレンドする場合、ジアリールケトン基を有するポリマーは全樹脂の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。
本発明のジアリールケトン基を有するポリマーに配合できる充填材としては、公知のものが特に制限無く利用できるが、無機充填材が好適である。例えば、充填材の材質としては、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、アルミノシリケートガラス、およびフルオロアルミノシリケートガラス、重金属(たとえばバリウム、ストロンチウム、ジルコニウム)を含むガラス;それらのガラスに結晶を析出させた結晶化ガラス、ディオプサイド、リューサイトなどの結晶を析出させた結晶化ガラスなどのガラスセラミックス;シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−アルミナなどの複合無機酸化物;あるいはそれらの複合酸化物にI族金属酸化物を添加した酸化物;シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属無機酸化物;などが挙げられる。
本発明のジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー部材の表面にラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物を付与する硬化性組成物付与工程、延期硬化性組成物を硬化させる硬化工程を、少なくとも含む接着方法によって高い接着性が得られる作用機序は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
すなわち、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面を還元剤と反応させることによって、ジアリールケトン基を有するポリマーのカルボニル基が水酸基へと還元される。水酸基へと還元されることによって、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に、2つのアリーレン基、水酸基、水素原子を置換基として有する炭素原子が存在するようになる。この炭素原子はラジカルを発生しやすい構造であるため、ラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物を付与し、そのラジカル重合性単量体がラジカル重合によって硬化する際に、該炭素原子とラジカル重合性単量体の間に反応が起こり、結合を生じうる。その結果、ジアリールケトン基を有するポリマー材料とその上に付与したラジカル重合性単量体を含有する組成物との間に化学結合が生じることとなり、高い接着性が得られると推察される。
このようなジアリールケトン基を有するポリマー材料を反応させる還元剤としては、カルボニル基を水酸基に還元させる事が出来る還元剤であれば特に制限無く使用できるが、その反応性の点からヒドリド還元剤である事が好ましい。ヒドリド還元剤とは、求核性の高いヒドリドイオンを発生させることによってカルボニル基を求核攻撃して水酸基へ還元する還元剤である。このようなヒドリド還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ジボラン、ボラン・テトラヒドロフラン錯体、ボラン・ジメチルスルフィド錯体、ボラン・トリメチルアミン錯体、トリメチルシラン等が挙げられる。扱いやすさなどの面から水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムが好ましく、水素化ホウ素ナトリウムが最も好ましい。
ジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元剤によって還元する手法は特に制限されないが、例えば還元剤を溶解させた溶液中にジアリールケトン基を有するポリマー材料を投入して加熱する手法、還元剤を溶解させた溶液中にジアリールケトン基を有するポリマー材料を浸漬後取り出して加熱する手法、還元剤を溶解させた溶液をジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に塗布して加熱する手法が挙げられる。これらの手法のうち、簡便に実施できる点や所望の被着面のみを還元処理できる点などから、特に還元剤を溶解させた溶液を、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に塗布して加熱する手法が好ましい。所望の被着面以外を還元処理した場合、還元剤により反応した面は非還元面と比較して親水性が向上することから、汚染物質などの付着が起こりやすくなるため、所望の被着面のみを還元できる手法が好ましい。
還元剤を溶解させた溶液の溶媒は、反応が進行すれば特に限定されない。そのため、反応に必要な量の還元剤を溶解させる事が出来、且つ還元剤を失活させないことや還元剤の働きを阻害しないものであれば良い。このような溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどが挙げられる。
還元剤を溶解させた溶液をジアリールケトン基を有するポリマー材料に塗布して加熱する手法の場合、適切に反応が進行するためには、加熱時に溶媒がすばやく揮発してしまった場合には反応の場が失われてしまい反応効率が低下することから、溶媒の沸点が高い事が好ましい。また、1回の操作で塗布できる溶液量が限られており、必要な還元剤量を得るために還元剤の濃度が低い溶液を複数回に分けて塗布することは作業効率の点から好ましくないため、還元剤の溶解量が高い溶媒を用いる事が望ましい。そのため還元剤を溶解させる溶媒として、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを用いる事が特に好ましく、ジメチルスルホキシドが最も好ましい。
還元剤を溶媒に溶解させる場合、反応を十分に進行させるためには還元剤濃度は高いほうが好ましく、0.1mol/l以上である事が好ましく、0.5mol/l以上である事がより好ましい。ただし、還元剤が完全溶解していない場合には、特に還元剤を溶解させた溶媒をジアリールケトン基を有するポリマー材料に塗布する場合には、溶けていない還元剤により、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に還元剤の層が形成されて反応効率を低下させる虞がある。還元剤を溶解させた溶媒をジアリールケトン基を有するポリマー材料に塗布する工程は、ジアリールケトン基を有するポリマー材料や還元剤溶液を温めた状態で行っても良いが、その作業性の面から10℃〜35℃で行う事が好ましく、17℃〜28℃で行う事がより好ましい。そのため、還元剤は10℃〜35℃にてその溶媒に完全溶解している事が好ましく、17℃〜28℃にてその溶媒に完全溶解している事がより好ましい。
また、還元剤を溶媒に溶解させる場合、還元剤を多量に用いた場合には、完全溶解しにくくなる。加えて、塗布する際には完全に溶解していても、塗布後にジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に還元剤が析出したり、また、反応中に反応残渣が多量に析出したりして、還元反応に影響を与える虞がある。そのため、還元剤は30mol/l以下である事が好ましく、10mol/l以下である事がより好ましく、5.0mol/l以下である事が最も好ましい。
なお、還元剤を溶解させた溶液には、還元反応に大きな影響を与えない範囲で、粘度調整用のフィラー、色調調整用の着色剤、保存安定性向上のための安定化剤、pH調整剤などの任意の成分を添加しても良い。
還元反応を行う温度は、還元反応が起これば特に制限されないが、好適には60℃〜180℃であり、より好適には90℃〜150℃である。低温で反応を行う場合には通常反応効率が低く、接着性向上に寄与するほど十分に反応が進行しないもしくは十分に反応を進行させるには長い時間がかかったり複数回に分けて反応を行わなければならない虞がある。反応温度が高い場合には、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の強度低下や変色などの劣化が発生する場合がある。
加熱の方法は反応が起こり、且つジアリールケトン基を有するポリマー材料の物性が著しく悪化しない限り特に制限されない。還元剤を溶解させた溶液をジアリールケトン基を有するポリマー材料に塗布して加熱する手法の場合、例えば、所望の形状に成形したジアリールケトン基を有するポリマー材料の所望の面に還元剤を溶解させた溶液を塗布した後に、所定の温度を保ったオーブン内に静置する方法にて行うことが出来る。この方法は、簡便に還元反応を実施でき、且つ均一に加熱を行う事が出来るため、好ましい手法として挙げられる。
ジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させることで、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面のカルボニル基が還元されて水酸基が生成する。この反応の進行の確認は、赤外分光法によって簡便に行う事が出来る。加えて、赤外分光法では接着に強く関与する表面近くの反応の進行を確認することが出来る。
赤外分光法では、塊状のジアリールケトン基を有するポリマー材料をフーリエ変換赤外分光光度計を使用して一回反射ATR法にて測定した際に、1650cm−1付近に現れるカルボニル基由来のピークのピーク面積(ν1650cm−1)と1490cm−1付近に現れる芳香環のピークのピーク面積(ν1490−1)のピーク面積比(ν1650cm−1/ν1490cm−1)を、還元反応前後にて比較すると、芳香環は還元反応によって変化しないことからカルボニル基の反応率が求められる。すなわち、還元反応前のピーク面積比をνb、還元反応後のピーク面積比をνaとした場合、以下の一般式(I)が赤外分光法によって求めた反応率である。
反応率 RIR [%] =100−(νa/νb×100)(I)
本反応においては、カルボニル基が還元され水酸基が生成するため、カルボニル基の反応率と水酸基の発生度合いには相関がある。
IRは高いほど水酸基の生成が多く起こっているため、接着には有利である。RIRの値は好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上である。
上記のようにジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させたポリマー部材の表面に対して、ラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物を付与し硬化させることによって、高い接着性を得る事が出来る。これは、還元剤と反応させ得られたジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に生成した水酸基に隣接する炭素原子上、すなわち、2つのアリーレン基、水酸基、水素原子を置換基として有する炭素原子上には、水素引き抜きによって容易にラジカルが発生するため、付与したラジカル重合性単量体が硬化する際に、ジアリールケトン基を有するポリマー表面に生成した水酸基に隣接する炭素原子と積層したラジカル重合性単量体との間に、結合を形成する。その結果、高い接着性が得られると推察している。
このようにジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させたポリマー部材の表面に付与する硬化性組成物としては、ラジカル重合性単量体を含有しているものが特に制限無く利用できる。
硬化性組成物は、通常、始めは粘稠度が低く容易に変形可能であるためこれを所望の形状に変形させて所望の箇所に設置した後、重合硬化させることができる。ラジカル重合性単量体を含有しているラジカル重合性の硬化性組成物は、たとえば、接着性組成物、歯科材料、粘着剤、コーティング剤、封止材、塗料などに使用されている。
硬化性組成物に含まれるラジカル重合性単量体は、公知のものが特に制限無く利用できる。ラジカル重合性単量体の重合性官能基は生体毒性の低さや重合活性の高さなどの点から、ビニル基、スチリル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などの官能基が挙げられるが、重合速度や生体安全性の点から特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。一般に好適に使用されるラジカル重合性単量体としては、たとえば、下記(I)〜(IV)に示されるものが挙げられる。
(I)単官能ラジカル重合性単量体
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、6−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、10−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート等のメタクリレート、及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等
(II)二官能ラジカル重合性単量体
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート、ビス(6−メタクリロイルオキシヘキシル)ハイドロジェンホスフェート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト;1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、1,6−ビス(メタクリロイルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサン等。
(III)三官能ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
(IV)四官能ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等。
これらの(メタ)アクリレート系ラジカル重合性単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。また、上記(メタ)アクリレート系単量体以外のラジカル重合性単量体を用いても良い。
ラジカル重合性単量体は、分子内に2つ以上の重合性官能基を有するラジカル重合性単量体を、全重合性単量体の内50質量%以上用いる事が好ましい。分子内に2つ以上の重合性官能基を有するラジカル重合性単量体を用いることにより、ポリマーが網目構造を形成する事が出来、硬化した硬化性組成物の強度が高くなる。硬化性組成物の硬化物の強度が高くなること、特にジアリールケトン基を有するポリマー材料との界面付近の硬化性組成物の硬化物の強度が高いことは、高い接着性を得るために有利である。
ラジカル重合性単量体として、水酸基を有するラジカル重合性単量体を全重合性単量体の内30質量%以上用いる事が好ましく、50質量%以上用いる事がより好ましい。水酸基を有するラジカル重合性単量体を用いることによって、還元反応によって水酸基が生成したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の親和性が向上し、接着性が向上する。なお、ラジカル重合性単量体に含まれる水酸基は、アルコール性水酸基である事がより好ましい。
硬化性組成物の硬化工程は、いかなる手法を用いてもよく、一般的に重合開始剤を硬化性組成物に配合し、これを任意のタイミングで活性化させることによって行われる。その他、硬化性組成物が重合開始剤を含有していないプライマー型の硬化性組成物の場合(以下「プライマー」と称することがある)、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料にこのプライマーを付与した後、その上からさらにラジカル重合性単量体と重合開始剤とを含む組成物(以下「第二硬化性組成物」と称することがある)を付与し、この第二硬化性組成物を重合硬化させる際に、同時にプライマーを重合硬化させればよい。ただし硬化性組成物の重合開始剤の有無以外の条件(ラジカル重合性単量体の組成など)が同一の場合、重合開始剤を含む硬化性組成物の方が、プライマーと比較して、接着界面近傍での硬化性組成物の層の強度をより高めやすくなり、より高い接着性が得られやすくなる。
硬化性組成物が重合開始剤を含む場合、重合開始剤として、光重合開始剤、化学重合開始剤あるいは熱重合開始剤を用いることができ、2種類以上の重合開始剤を組み合わせて利用することもできる。なお、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料への塗布後、硬化性組成物を硬化させる際に簡便に行う事が出来ることから、光重合開始剤および/または化学重合開始剤を用いることが好ましい。以下にこれら3種類の重合開始剤についてより詳細に説明する。
光重合開始剤としては、公知のものが何ら制限なく使用できる。代表的な光重合開始剤としては、α−ジケトン類及び第三級アミン類の組み合わせ,アシルホスフィンオキサイド及び第三級アミン類の組み合わせ、チオキサントン類及び第三級アミン類の組み合わせ,α−アミノアセトフェノン類及び第三級アミン類の組み合わせ,アリールボレート類及び光酸発生剤類の組み合わせ等の光重合開始剤が挙げられる。
上記各種光重合開始剤に好適に使用される各種化合物を例示すると、α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、p,p'−ジメトキシベンジル、p,p'−ジクロロベンジルアセチル、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等が挙げられる。
三級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2'−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を配合して使用することができる。
アシルホスフィンオキサイド類としては、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
チオキサントン類としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
α−アミノアセトフェノン類としては、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1等が挙げられる。
上記光重合開始剤は単独で用いても、2種類以上のものを混合して用いても良い。
化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。該アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物が例示される。
代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアリールパーオキサイドなどが挙げられる。
有機過酸化物を具体的に例示すると、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t―ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド類が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
また、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等も好適な有機過酸化物として使用できる。
使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いても何等構わないが、中でもハイドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシエステル類及びジアシルパーオキサイド類が重合活性の点から特に好ましい。さらにこの中でも、硬化性組成物の保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。
該有機過酸化物と該アミン化合物からなる開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸を加えた系、5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合しても何ら問題なく使用できる。
また、遷移金属化合物/有機過酸化物系の化学重合開始剤も挙げられる。該遷移金属化合物を具体的に例示すると、例えば、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセテート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、互酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)等のバナジウム化合物、ヨウ化スカンジウム(III)等のスカンジウム化合物、塩化チタン(IV)、チタニウム(IV)テトライソプロポキシド等のチタン化合物、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、クロム酸、クロム酸塩等のクロム化合物、酢酸マンガン(II)、ナフテン酸マンガン(II)等のマンガン化合物、酢酸鉄(II)、塩化鉄(II)、酢酸鉄(III)、塩化鉄(III)等の鉄化合物、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)等のコバルト化合物、塩化ニッケル(II)等のニッケル化合物、塩化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(II)、酢酸銅(II)等の銅化合、塩化亜鉛(II)、酢酸亜鉛(II)等の亜鉛化合物が例示される。これらの遷移金属化合物の中でも、高い接着性が得られやすいことなどから、+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を用いることが好ましい。有機過酸化物としては、例えば上記に例示したものが挙げられる。
また、アリールボレート化合物が酸により分解してラジカルを生じることを利用した、アリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤を用いることもできる。
アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物がより好ましい。
1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す)の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素〔ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す〕の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
上記で例示した各種のアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。上述したアリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤に、更に有機過酸化物及び/又は遷移金属化合物を組み合わせて用いることも好適である。有機過酸化物としては前記した通りである。遷移金属化合物としては+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物が好適である。該+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)、等のバナジウム化合物が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
これら重合開始剤の配合量は、重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲である事が好ましく、0.1〜8質量部である事がより好ましい。重合開始剤量が0.01質量部未満では、特に硬化直後において、硬化性組成物の硬化が不十分となり、接着性が低下する傾向にある。逆に、重合開始剤が10質量部を超える場合、特に接着界面部分において硬化性組成物の硬化体強度が低下し、接着性が低下する傾向にある。
硬化性組成物には、その他、必要に応じて充填材、溶媒、重合禁止剤、重合抑制剤、染料、顔料、香料などの成分が含まれていても良い。
硬化性組成物は、低粘度であることが好ましい。硬化性組成物の粘度が低い方が、硬化性組成物とジアリールケトン基を有するポリマー材料の馴染みが向上し、硬化性組成物中のラジカル重合性単量体が重合する際の還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料との結合の形成が均一且つ高密度に行われることになり、より高い接着性を得る事が出来る。ただし、粘度が低すぎる場合には硬化性組成物をジアリールケトン基を有するポリマー材料上に均一に付与する事が難しくなる。そのため、硬化性組成物の粘度は、23℃において、0.3cP〜100000cPの範囲である事が好ましく、0.3cP〜10000cPの範囲である事がより好ましく、0.4cP〜3000cPの範囲である事が更に好ましく、0.4cP〜500cPの範囲である事が更に好ましく、0.5cP〜30cPの範囲である事が更に好ましく、0.5cP〜10cPの範囲が最も好ましい。粘度の測定は、光重合開始剤を使用した場合に測定中の重合による粘度変化を防止するために赤色灯下にて、23℃に保った恒温室内で、コーンプレート型粘度計を用いて行えば良い。
ここで、硬化性組成物の強度を向上させるなどの目的によって充填材を配合することも可能である。しかし、充填材を多量に配合すると硬化性組成物の粘度は高いものとなる。そのため、本発明の硬化性組成物に配合される充填材は、重合性単量体100質量部当たり300質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましく、20質量部以下が最も好ましい。なお、充填材の配合量が多過ぎる場合、硬化性組成物中のラジカル重合性単量体と還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料が接触する割合も低下してしまい、高い接着性を得るために必要な結合の密度が低下してしまう点からも、硬化性組成物中の充填材量は少ない方が好ましい。
なお、充填材としては、公知の無機充填材、有機充填材、有機−無機複合充填材が何ら制限なく用いられる。
無機充填材の例としては、石英、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、フルオロアルミノシリケートガラスなどが挙げられる。なお、これら無機充填材を使用する場合は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することがこのましい。この場合、無機充填材とラジカル重合性単量体との親和性が良くなり、硬化物の機械的強度や耐水性を向上させることができる。表面処理は公知の方法で行うことができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
有機充填材の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート−ポリエチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの有機高分子からなる粒子が挙げられる。
有機無機複合充填材の例としては、前述の無機粒子と重合性単量体を混合した後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機無機複合充填材が挙げられる。
これら充填材の粒径は特に限定されず、一般的に使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該充填材の屈折率も特に制限されず、たとえば歯科用途として用いる場合は一般的な歯科用の無機充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが好適に使用できるなど、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や、屈折率の異なる複数の充填材を併用しても良い。
硬化性組成物を低粘度なものとするために、硬化性組成物に溶媒を配合してもよい。溶媒を配合することによって硬化性組成物を低粘度とすることが容易となり、好ましい。ここで、溶媒は、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に硬化性組成物を付与した後は系から取り除かれる事が好ましく、揮発性溶媒であることが好ましい。ここで、揮発性溶媒とは20℃における蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。ただし、揮発性溶媒は十分に揮発し残留して悪影響を与えない事が好ましいため、20℃における蒸気圧は2.0KPa以上である事がより好ましく、5.0KPa以上である事が更に好ましい。一方、揮発性溶媒の揮発が速すぎる場合には、使用時に素早く付与する必要があり、加えて硬化性組成物の保存安定性も悪くなる。そのため、揮発性溶媒の20℃における蒸気圧は60KPa以下である事が好ましく、50KPa以下である事が更に好ましい。また、揮発性溶媒の沸点は特に限定されないが、沸点が低い方が硬化性組成物を還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与した後に取り除きやすいことから、揮発性溶媒の760mmHgでの沸点は100℃以下である事が好ましく、80℃以下である事がさらに好ましい。このような好ましい揮発性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、水などが挙げられる。これらの揮発性溶媒は単独で使用しても良いし、均一に混合できる場合には複数を混合しても良い。
本発明の接着方法において、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の被着面を還元工程の前に粗ぞう化する事がより好ましい。被着面が粗ぞう化されたジアリールケトン基を有するポリマー材料は、表面の凹凸が増加するため、この被着面を還元した後に硬化性組成物を付与することによって、より高い接着性を得る事が出来る。粗ぞう化処理方法としては特に限定されず公知の粗ぞう化処理方法が利用できるが、簡便性および安全性の観点からはサンドブラスト処理が好ましい。サンドブラスト処理は、一般的には粒径が数μm〜数百μmのアルミナ粒子を、サンドブラスト装置を用いて数十KPa〜数MPaの圧力でジアリールケトン基を有するポリマー材料の被着面に噴射することで実施できる。
また、本発明の接着方法では、硬化性組成物付与工程において、硬化性組成物は他の組成物と混合した混合物の状態で還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に付与してもよく、硬化工程において、接着性組成物は他の組成物と混合した混合物の状態で硬化させてもよい。また、硬化性組成物を、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に付与する形態は、特に制限されず、たとえば、硬化性組成物を還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に直接付与したり、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料以外の他の部材の表面に硬化性組成物を付与した後、他の部材を、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に接触させることで、硬化性組成物を、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に接触させたりできる。
本発明の接着方法では、硬化性組成物を用いてジアリールケトン基を有するポリマー材料同士を接着させることも可能である。その場合、たとえば、合口を設けたリング状のジアリールケトン基を有するポリマー材料の一端と他端との双方に対して、還元工程を実施し、同一の硬化性組成物を付与し、硬化させることでジアリールケトン基を有するポリマー材料の一端と他端とを接着することができる。
また他の例としては、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に対して、硬化性組成物を付与しこれを硬化させることで、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面が、硬化性組成物の硬化物によってコーティングされた構造体を作製することができる。
また、硬化性組成物が他の部材(以下「第二部材」と称することがある)と接着性を有する場合、本発明の接着方法を使用することによって、硬化性組成物を介して、ジアリールケトン基を有するポリマー材料と第二部材とを接着させることも可能である。ここで、第二部材としては、たとえば、接着作業の開始前から固体状を成す部材(以下、「固体状第二部材」と称す場合がある)であってもよく、接着作業の開始前においてはペースト状あるいは液状を成し、接着作業中に硬化することにより、接着作業の完了後においては固体状を成す硬化性の部材(以下、「硬化性第二部材」と称す場合がある)であってもよい。
固体状第二部材は、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料であってもよく、被着面近傍部分に還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料を全く含まない部材であってもよい。
硬化性第二部材は、接着材として機能するものであってもよい。この場合、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与した硬化性組成物の硬化物と、硬化性第二部材の硬化物とを強固に接着できる。これに加えて、硬化性第二部材をその他の固体部材(以下、「第三部材」と称す場合がある)との接着にも利用できる。たとえば、硬化性第二部材が、第三部材の表面に対して強固に接着する性質を有する部材であれば、本発明の接着方法によってジアリールケトン基を有するポリマー材料とラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物を接着し、第三部材側に硬化前の硬化性第二部材を付与して接着を行うことにより、ジアリールケトン基を有するポリマー材料と第三部材とを強固に接着することができる。第三部材は公知の固体部材であれば特に制限無く利用できるが、通常は、被着面近傍部分が還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマーではない部材を利用することが好ましい。なお、第二部材および第三部材の詳細については後述する。
なお、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与する硬化性組成物として重合開始剤を含有しないプライマーを用いる場合、ラジカル重合性単量体と重合開始剤を含有した硬化性第二部材(上述の第二硬化性組成物に該当する)を使用することでプライマーを硬化させることができる。
その場合、たとえば、プライマーを、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に付与した後、さらに硬化性第二部材を付与し、その後硬化性第二部材を硬化させればよい。硬化処理のタイミング、硬化方法(熱硬化、光硬化、化学硬化)は、硬化性第二部材に配合される重合開始剤の種類に応じて適宜選択できる。
また、第三部材をさらに用いる場合は、たとえば、プライマーを、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に付与し、硬化性第二部材を第三部材の表面に付与した後、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料のプライマーが付与された面と第三部材の硬化性第二部材が付与された面とを接触させ、その後、硬化性第二部材を硬化させればよい。また、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面にプライマーと硬化性第二部材とをこの順に付与した後、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料のプライマーおよび硬化性第二部材が付与された面と第三部材とを接触させ、その後、硬化性第二部材を硬化させてもよい。あるいは、第三部材の表面に硬化性第二部材とプライマーとをこの順に付与した後、第三部材の硬化性第二部材およびプライマーが付与された面と還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面とを接触させ、その後、硬化性第二部材を硬化させてもよい。なお、プライマーや硬化性第二部材を付与する部材、タイミングや、硬化性第二部材を硬化させるタイミングは適宜選択することができる。
固体状第二部材は公知の固体材料からなる部材であれば特に制限されず、材料組成や部材の構造について、ジアリールケトン基を有するポリマー材料と固体状第二部材とは、同一であっても異なっていてもよい。固体状第二部材が、還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料からなる場合、本実施形態の硬化性組成物は、固体状第二部材に対しても高い接着性で接着することが可能である。固体状第二部材を構成する材料としては、たとえば、a)ジアリールケトン基を有するポリマー等の各種の樹脂、樹脂以外の有機物を主成分とする材料(パルプ材など)、金属、無機化合物などの人工的に製造もしくは精製された材料、b)a)に示す材料を2種類以上用いた複合材料、あるいは、c)歯牙や骨などの非人工的な生体材料などであってもよい。
また、硬化性第二部材は、重合開始剤および重合性単量体を少なくとも含むものである。硬化性第二部材を構成する各成分としては、本発明の接着方法で還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与することができる硬化性組成物で使用可能な材料を適宜組み合わせて利用できる。但し、硬化性第二部材の組成は、通常、接着に実際に使用される本発明の接着方法で還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与する硬化性組成物とは異なる組成が選択される。なお、硬化性第二部材は重合性単量体を含むため、硬化性第二部材と本発明の接着方法で還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料に付与する硬化性組成物とは強固に接着される。また、第三部材もさらに用いる場合、硬化性第二部材に含まれる重合性単量体は、第三部材の表面とも相互作用し、硬化性第二部材と第三部材とを接着することができる。なお、硬化性第二部材の組成は、第三部材の被着部構成材料と親和性の高い組成を選択することが好ましい。
第三部材については公知の固体材料からなる部材であれば特に制限されず、固体状第二部材と同様の部材を用いることができる。しかしながら、第三部材としては、通常、被着部構成材料がジアリールケトン基を有するポリマーを含まない部材を用いることが好ましい。
本発明の接着方法は、歯科用途に使用するジアリールケトン基を有するポリマー材料に対して適用することが特に好ましい。歯科用途では、広くラジカル重合性の硬化性組成物が使用されており、本発明の接着方法を使用することによって、ジアリールケトン基を有するポリマー材料とラジカル重合性の歯科用硬化性組成物との接着において、従来よりも高い接着性を得ることができるため好ましい。また、歯科用途では、口腔内などの過酷な環境において、強い接着性を有していることが必要であり、とりわけ高い接着性が要求される分野であるが、本発明の接着方法によって該要求を満たすことが容易となるため、好ましい。
なお、歯科用途、とりわけ歯科補綴物材料は審美的な要求が高いことから、還元工程において、還元剤を溶解させた溶液を、ジアリールケトン基を有するポリマー材料の表面に塗布して60〜180℃で加熱する手法が特に好ましい。
本発明に用いられるジアリールケトン基を有するポリマー材料を歯科用途で利用した歯科材料としては、ジアリールケトン基を有するポリマーを用いて一部分または全体が作製された義歯、人工歯、義歯床、歯科用インプラント、歯冠修復材料、支台築造材料などの歯科補綴物材料が挙げられる。
本発明の接着方法を歯科用途に使用するジアリールケトン基を有するポリマー材料に対して適用する場合、硬化性組成物としては、歯科用途で使用されているラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物を使用することができる。このような歯科用硬化性組成物としては、たとえば、歯科用コンポジットレジン、歯科用硬質レジン、歯科用レジンセメント、歯科用ボンディング材、歯科用即時重合レジン、歯科用プライマーなどが挙げられる。
また、上記のように歯科用途ではラジカル重合性の硬化性組成物が広く用いられており、接着性組成物としてもラジカル重合性の硬化性組成物が広く用いられていることから本発明の接着方法の還元工程を経て得られたジアリールケトン基を有するポリマー材料を歯科用補綴物として使用することによって、歯科用途で広く用いられているラジカル重合性の接着性組成物を介して強固に歯牙に接着させることが容易となる。そのため、ジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる工程を少なくとも含む歯科補綴物の製造方法を、好ましい形態として挙げることができる。
歯科補綴物としてジアリールケトン基を有するポリマー材料を利用する場合、強度などの歯科用途に必要な物性が得られやすい点から、ポリアリールエーテルケトン樹脂が好ましい。その中でも特に、歯科用修復材料として用いられるポリアリールエーテルケトン樹脂としては、色調および物性の観点から、主鎖を構成するエーテル基とケトン基とが、エーテル・エーテル・ケトンの順に並んだ繰り返し単位を有するポリエーテルエーテルケトン、もしくは、エーテル・ケトン・ケトンの順に並んだ繰り返し単位を有するポリエーテルケトンケトンである事が用いることが好ましい。
このようなジアリールエーテルケトン基を有するポリマー材料から、上記還元工程を経て得られた歯科補綴物用材料は、その表面のジアリールケトン基(ジアリールケトン部位)の一部が還元され、炭素原子に1つの水酸基と1つの水素原子と2つのアリーレン基とが置換基として存在するジアリールメタノール部位とが存在することとなる。このジアリールケトン部位の数をa、ジアリールメタノール部位の数をbとしたときに、100×b/(a+b)が10〜90の範囲であるものが好ましく、30〜70の範囲であることがより好ましい。100×b/(a+b)を10以上とすることによって、該歯科補綴物用材料と接着性組成物などの歯科用硬化性組成物との間に高い接着性を得ることが容易となる。一方、100×b/(a+b)を90以下とすることによって、親水的な水酸基による、プラークや汚染物質などの歯科補綴物への付着を抑制したり、着色を抑制して歯科補綴物の高い審美性を保ったりすることが容易となる。
100×b/(a+b)の値は、前述の還元工程のジアリールケトン基を有するポリマー材料の反応率RIRと同様に、赤外分光法によって求めることが可能である。この赤外分光法を用いた方法により、接着に強く関わる表面数μm部位の状態を確認することが可能である。具体的には、ジアリールケトン基を有するポリマー材料をフーリエ変換赤外分光光度計を使用して一回反射ATR法にて測定した際に、1650cm−1付近に現れるカルボニル基由来のピークのピーク面積(ν1650cm−1)と1490cm−1付近に現れる芳香環のピークのピーク面積(ν1490−1)のピーク面積比(ν1650cm−1/ν1490cm−1)を、還元反応前後にて比較すると、芳香環は還元反応によって変化しないことからジアリールケトン部位の減少量と、ジアリールメタノール部位の生成量を求めることができる。すなわち、前述のように、還元工程を実施する前のピーク面積比をνb、還元工程を実施した後のピーク面積比をνaとした場合、以下の一般式(II)によって100×b/(a+b)の値を求めることができる。
100×b/(a+b) = 100×(νb−νa)/νb (II)
なお、この100×b/(a+b)の値は、上記の一般式(I)で求めたRIRと、同一の値を示す。すなわち、次の一般式(III)の関係となる。
100×b/(a+b) = RIR[%] (III)
上記のような還元工程を経たジアリールケトン基を有するポリマー材料を歯科補綴物用材料として利用する場合、該材料自体を歯科補綴物として利用してラジカル重合性の硬化性組成物である歯科用レジンセメントを使用して歯質に装着したり、歯科用硬質レジンなどを積層して歯科補綴物を作製するために用いたりする事が出来る。
また、歯科用硬質レジンなどを積層して歯科補綴物を作製する場合は、所望の形状に成形したジアリールケトン基を有するポリマー材料の、歯科用硬質レジンなどを積層する面を還元剤と反応させることによって本発明の歯科補綴物用材料を得ることができる。その後、該面に歯科用硬質レジンを直接付与したり、歯科用硬質レジンを付与する前に歯科用ボンディング材処理や歯科用プライマー処理を行った後に、歯科用硬質レジンを積層したりすればよい。
該材料自体を歯科補綴物として利用する場合、例えば歯科技工所などで所望の形状の歯科補綴物をジアリールケトン基を有するポリマー材料によって作製し、それを歯質に装着するために歯科用レジンセメントを適用する面を還元剤と反応させることによって本発明の歯科補綴物用材料となる。その後、歯科医師が患者の歯質欠損部に装着するために歯科用レジンセメントを使用したり、歯科用レジンセメントを適用する前にジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元剤により処理した面に対して歯科用ボンディング材処理や歯科用プライマー処理を行った後に、歯科用レジンセメントを用いて患者の歯質欠損部に装着したりすることが出来る。本発明の歯科補綴物用材料を、上記のように歯質欠損部に装着する場合、還元されたジアリールケトン基を有するポリマー材料は空気中の酸素等によってゆっくりと酸化されうるが、少なくとも1週間程度は高い接着性が得られる表面状態を保つ事が可能である。そのため、歯科技工所にてジアリールケトン基を有するポリマー材料によって歯科補綴物を作製し、そのまま加熱装置等の設備等が整っている歯科技工所にて還元反応を実施し、該還元面が塵芥などの付着により汚染されないように箱に入れる、布やアルミホイルなどにより覆う等の梱包をして歯科医院に送付することが好適な歯科補綴物作製・使用方法の一例である。
ラジカル性重合性単量体及び重合開始剤を含む歯科用硬化性組成物とジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させた歯科補綴物用材料とを含む歯科治療用キットを、好適な歯科治療用キットとして挙げることも可能である。該キットを構成する歯科用硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体を含むあらゆる歯科材料を意味し、具体的には、歯科用ボンディング材、歯科用レジンセメント、歯科用充填修復材、歯科用硬質レジン、歯科用即時重合レジン、歯科用プライマー等を意味する。また、この歯科治療用キットは、ラジカル性重合性単量体を含む歯科用硬化性組成物とジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させた歯科補綴物用材料の2つの構成品のみから成るキットでも良いし、他の構成品、例えば歯科用硬化性組成物として重合開始剤を含有しない歯科用プライマーを利用する場合には、その歯科用プライマーの上からさらに積層して用いる歯科用レジンセメントなどを含むものであっても良い。
また、ラジカル性重合性単量体含む歯科用硬化性組成物、歯科補綴物用のジアリールケトン基を有するポリマー材料、歯科補綴物用のジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元するための還元剤溶液とを含む歯科治療用キットを、好適な歯科治療用キットとして挙げることも可能である。この歯科治療用キットは、ラジカル性重合性単量体を含む歯科用硬化性組成物、歯科補綴物用のジアリールケトン基を有するポリマー材料、歯科補綴物用のジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元するための還元剤溶液の3つの構成品のみから成るキットでも良いし、他の構成品、例えば歯科用硬化性組成物として重合開始剤を含有しない歯科用プライマーを利用する場合には、その歯科用プライマーの上からさらに積層して用いる歯科用レジンセメントなどを含むものであっても良い。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中に示した略号、称号については以下のとおりである。
[ラジカル重合性単量体]
・bisGMA:2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・UDMA:1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサン
・PM1:2−メタクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート
・PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェート
・HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[重合開始剤]
・CQ:カンファーキノン
・DMBE:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
・BPO:ベンゾイルパーオキサイド
・DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン
・DMAn:9,10−ジメチルアントラセン
・IMPDI:4−イソプロピル−4−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
[充填材]
・F1:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより表面処理したもの
・F2:不定形シリカ−ジルコニア(平均粒径3μm)γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより表面処理したもの
[溶媒]
・DMSO:ジメチルスルホキシド
・DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
・DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
[カチオン重合性単量体]
・OX−1
Figure 0006541184
・EP−1
Figure 0006541184
被着体としては、D1、D2の2種類のジアリールケトン基を有するポリマー材料であるポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を用いた。D1は、VESTAKEEP MC4420(ダイセルエボニック社製)、D2は、VESTAKEEP M2G(ダイセルエボニック社製)である。
各試験方法については以下のとおりである。
(引張り接着強さ測定)
上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を射出成形により厚さ約2mmの板状に成形して被着体とした。この被着体の被着面を#800の耐水研磨紙で磨いた後にサンドブラスト処理(サンドブラスト装置を使用して粒径約50μmのアルミナ粒子を約0.2MPaの圧力で10秒間吹き付けた)にて粗ぞう化を行った。その後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。次いで、後述するM1〜M5に示す各手法に基づいて、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料のサンドブラストを行った面に対して還元剤と反応させるなどの処理を行った。得られたポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の還元反応などの処理を行った面に対して、直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付けた。
その後、硬化性組成物がB1,B2,B3の場合は、該硬化性組成物(B1,B2,B3)を穴に塗布し、10秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥し、歯科用照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)にて30秒間硬化性組成物に対して光照射を行い硬化させた。その上に歯科用レジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)を塗布し、さらにその上にステンレス製アタッチメントを圧接することで、接着試験片を作製した。
硬化性組成物としてプライマーを使用する場合(P1)は、プライマー(P1)を穴に塗布し、10秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。その上に歯科用硬化性組成物である歯科用レジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)を塗布し、さらにその上にステンレス製アタッチメントを圧接することで、接着試験片を作製した。
硬化性組成物がC1の場合は、穴の上に該硬化性組成物(C1)を塗布し、さらにその上にステンレス製アタッチメントを圧接することで、接着試験片を作製した。
硬化性組成物がR1の場合は、上記両面テープの穴と同心円状となるように、厚さ0.5mm、直径8mmの穴を有するパラフィンフックスを固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に該硬化性組成物(R1)を充填し、ポリエステルシートで圧接し歯科用照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)にて30秒間硬化性組成物に対して光照射を行い硬化させた。その上に歯科用レジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)を塗布し、さらにその上にステンレス製アタッチメントを圧接することで、接着試験片を作製した
ラジカル重合性組成物の代わりにカチオン重合性組成物(O1)を使用する場合は、上記両面テープの穴と同心円状となるように、厚さ0.5mm、直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞にカチオン重合性組成物(O1)を充填し、ポリエステルシートで圧接し歯科用照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)にて30秒間カチオン重合性組成物に対して光照射を行い硬化させた。その上に歯科用レジンセメント(ビスタイトII、トクヤマデンタル社製)を塗布し、さらにその上にステンレス製アタッチメントを圧接することで、接着試験片を作製した。
上述の接着試験片を37℃で24時聞保持した後、引張り試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料と硬化性組成物との引っ張り接着強さを測定した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料と硬化性組成物との引っ張り接着強さの測定は、各実施例あるいは各比較例につき、各種試験片4本についてそれぞれ測定し、平均値と標準偏差(S.D.)を求めた。
(還元反応の反応率RIRの測定)
上記ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を射出成形により厚さ約2mmの板状に成形して被着体とした。その後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。こうして得られたポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の表面をよく乾燥させた後、IRスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(Spectrum One、Perkin Elmer社製)を用いて1回反射ATR法にて得て、1650cm−1付近に現れるカルボニル基由来のピークのピーク面積(ν1650cm−1)と1490cm−1付近に現れる芳香環のピークのピーク面積(ν1490−1)を算出し、反応前のピーク面積比νb(=ν1650cm−1/ν1490cm−1)を求めた。
その後、該サンプルを後述するM1〜M5に示す各手法に基づいて、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料のピーク面積比を求めた面に対して還元剤と反応させるなどの処理を行った。
処理後よく乾燥させ、処理を行った面について、IRスペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて1回反射ATR法にて得て、1650cm−1付近に現れるカルボニル基由来のピークのピーク面積(ν1650cm−1)と1490cm−1付近に現れる芳香環のピークのピーク面積(ν1490−1)を算出し、反応後のピーク面積比νa(=ν1650cm−1/ν1490cm−1)を求めた。
こうして求めたピーク面積比を用いて、赤外分光法によってもとめた反応率RIR(=100−νa/νb×100)を算出した。
(ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料と還元剤との反応)
以下に示す各手法にて、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料と還元剤とを反応させた。
M1:水素化ホウ素ナトリウムをDMSOに溶解させ、0.7mol/lの水素化ホウ素ナトリウム/DMSO溶液を調製した。サンドブラスト後洗浄したポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の表面に水素化ホウ素ナトリウム/DMSO溶液をブラシを用いて塗布し、120℃に保ったオーブン内に3時間静置した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。
M2:水素化ホウ素ナトリウムをDMIに溶解させ、0.7mol/lの水素化ホウ素ナトリウム/DMI溶液を調製した。サンドブラスト後洗浄したポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の表面に水素化ホウ素ナトリウム/DMI溶液をブラシを用いて塗布し、120℃に保ったオーブン内に3時間静置した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。
M3:水素化ホウ素ナトリウムをDMFに溶解させ、0.7mol/lの水素化ホウ素ナトリウム/DMF溶液を調製した。サンドブラスト後洗浄したポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の表面に水素化ホウ素ナトリウム/DMF溶液をブラシを用いて塗布し、120℃に保ったオーブン内に3時間静置した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。
(その他処理方法)
M4:サンドブラスト後洗浄したポリエーテルエーテルケトン樹脂材料をよく乾燥した。
M5:サンドブラスト後洗浄したポリエーテルエーテルケトン樹脂材料の表面に、DMSOをブラシを用いて塗布し、120℃に保ったオーブン内に3時間静置した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料をオーブンから取り出し、室温まで冷却した後、水に浸して超音波に5分間晒し、続いてアセトンに浸して超音波に5分間晒すことで洗浄を行った。
<実施例1>
ジアリールケトン基を有するポリマーD1と、0.26gの水素化ホウ素ナトリウムを10mlのDMSOに溶解させて作製した0.7mol/lの水素化ホウ素ナトリウム/DMSO溶液を使用して、M1の手法に従ってジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。ラジカル重合性単量体成分としてbisGMAを5g、3Gを5g混合し、重合開始剤成分としてCQを0.2g、DMBEを0.2g添加し、さらに溶媒としてアセトンを10g添加し攪拌して、硬化性組成物B1を作製した。硬化性組成物の組成を表1に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例2〜4>
実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。表1に示した組成を変更した以外は、実施例1に準じて硬化性組成物を作製した。硬化性組成物の組成を表1に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該歯方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例5>
実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。ラジカル重合性単量体成分としてbisGMAを3g、3Gを2g、PM1を1.5g、PM2を1.5g、HEMAを2g混合し、さらに溶媒としてアセトンを10g添加し攪拌して、プライマー組成物(硬化性組成物)P1を作製した。プライマー組成物の組成を表1に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマーと硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例6>
実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。ラジカル重合性単量体成分としてbisGMAを3g、3Gを2g、PM1を1.5g、PM2を1.5g、HEMAを2g混合し、重合開始剤成分としてDEPTを0.05g添加し、さらに充填材成分としてF1を16g、F2を10g添加混合し、ペースト化した。使用直線に前記ペーストを1g取り、これに9.7mgのBPOを添加混合し硬化性組成物C1を得て、素早く試験に使用した。硬化性組成物の組成を表1に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例7>
実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。ラジカル重合性単量体成分としてbisGMAを5g、3Gを5g混合し、重合開始剤成分としてCQを0.2g、DMBEを0.2g添加し、さらに充填材成分としてF1を16g、F2を10g添加混合し、ペースト化し、硬化性組成物R1を作製した。硬化性組成物の組成を表1に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例8、9>
表1に示したジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる方法として、還元剤溶媒の溶液を変更した以外は、実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<実施例10>
ジアリールケトン基を有するポリマー材料をD2に変更した以外は、実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の還元工程の反応率と、該方法によって接着したジアリールケトン基を有するポリマー材料と硬化性組成物の間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<比較例1>
ジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元剤と反応させずにM4の手法に従って処理した。該ポリマーの反応率と、実施例1で作製した硬化性組成物B1との間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<比較例2>
ジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元剤と反応させずにM5の手法に従って処理した。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の反応率と、実施例1で作製した硬化性組成物B1との間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<比較例3>
ジアリールケトン基を有するポリマー材料を還元剤と反応させずにM4の手法に従って処理した。カチオン重合性単量体成分としてOX−1を6g、EP−1を4g混合し、重合開始剤成分としてCQを0.06g、DMAnを0.02g、IMDPIを0.15g添加し、さらに充填材成分としてF1を16g、F2を10g添加混合し、ペースト化し、硬化性組成物O1を作製した。カチオン重合性単量体を含有する硬化性組成物の組成を表2に示す。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の反応率と、該硬化性組成物との間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
<比較例4>
実施例1に準じてジアリールケトン基を有するポリマー材料と還元剤とを反応させる還元工程を行った。該ジアリールケトン基を有するポリマー材料の反応率と、比較例3で作製した硬化性組成物O1との間の引っ張り接着強さを測定した。結果を表3に示す。
(評価結果)
各実施例及び各比較例の重合性組成物のポリエーテルエーテルケトン樹脂材料に対する引っ張り接着強さの測定結果を表3に示す。
Figure 0006541184
Figure 0006541184
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評価結果について、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を還元剤と反応させた後にラジカル重合性単量体を含む硬化性組成物を用いた実施例1〜10は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を還元剤と反応させずに硬化性組成物を付与した比較例1,2より高い接着強さを示した。
ラジカル重合反応ではなくカチオン重合反応が起こるよう調製した硬化性組成物を用いた比較例3,4は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を還元剤と反応させた場合とさせない場合で接着強さに差が現れなかった。このことは、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を還元剤と反応させることによって接着強さが向上する効果はラジカル重合性組成物が必要であり、ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料とラジカル重合性単量体がラジカル反応によって結合を生成することによって接着強さが向上するとの説を裏付けるものであることを示している。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂材料を還元剤と反応させた後に、ラジカル重合性単量体の組成のみが異なる硬化性組成物を用いた実施例1〜4を比較すると、水酸基を有するラジカル重合性単量体(bisGMA、HEMA、PM1、PM2)を含有する硬化性組成物を用いた実施例1,3,4は、水酸基を有するラジカル重合性単量体を含有しない硬化性組成物を用いた実施例2と比較して高い接着強さを示した。加えて、アルコール性水酸基を有するラジカル重合性単量体(bisGMA、HEMA)を含有する硬化性組成物を用いた実施例1,3は、水酸基を有するがアルコール性水酸基を有さないラジカル重合性単量体(PM1、PM2)を含有する硬化性組成物を用いた実施例4と比較して高い接着強さを示した。
同一のラジカル重合性単量体組成である硬化性組成物を、還元剤と反応させたポリアリールエーテルケトン樹脂材料に対して用いた実施例3,5,6では、低粘度で重合開始剤を含有する硬化性組成物を付与した実施例3が、低粘度だが重合開始剤を含有しないプライマーを使用した実施例5及び重合開始剤を含有するがフィラーを含有し高粘度である硬化性組成物を付与した実施例6と比較して、高い接着強さを示した。
同じく、同一のラジカル重合性単量体組成である硬化性組成物を、還元剤と反応させたポリアリールエーテルケトン樹脂材料に対して用いた実施例1,7では、低粘度で重合開始剤を含有する硬化性組成物を付与した実施例1が、フィラーを含有し高粘度である硬化性組成物を付与した実施例7と比較して、高い接着強さを示した。
本実施例で使用した硬化性組成物のうち、B1、B2、B3、B4、P1は、赤色灯下にて、23℃に保った恒温室内で、コーンプレート型粘度計を用いて測定した粘度は、0.5cP〜10cPの範囲に含まれるものであり、C1、R1の粘度は3000cPを超えるものである。同一の被着体に対して同一の手法にて還元反応を行った実施例1〜7を比較すると、より粘度の低い硬化性組成物であるB1、B2、B3、B4、P1を使用した実施例1〜5は、より粘度の高い硬化性組成物であるC1、R1を使用した実施例6,7と比較して高い接着強さを示した。

Claims (4)

  1. アリールケトン基を有するポリマー材料と、(a)分子内に2つ以上の重合性官能基を有するラジカル重合性単量体及び(b)分子内に水酸基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体を含有する硬化性組成物であって、当該硬化性組成物に含まれる全ラジカル重合性単量体の50質量%以上が前記(a)又は(b)である硬化性組成物と、を準備する工程、
    前記リマー材料の表面に、溶媒に還元剤を0.1mol/l以上の濃度で溶解させた溶液を塗布し、60〜180℃に加熱することにより、前記表面に存在するジアリールケトン基のカルボニル基を還元し、水酸基を生成させる還元工程、
    前記還元工程で水酸基が生成した前記ポリマー材料の表面に、前記硬化性組成物を付与する硬化性組成物付与工程、及び
    前記硬化性組成物を硬化させる硬化工程、
    含むことを特徴とする、前記ポリマー材料と、前記硬化性組成物の硬化物の接着方法。
  2. 前記還元剤がヒドリド還元剤である請求項1に記載の接着方法。
  3. 前記ラジカル重合性単量体が、(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体である請求項1又は2に記載の接着方法。
  4. 前記還元工程において、下記式で定義される前記還元の反応率:R IR を30%〜70%とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接着方法。
    IR (%) = 100−(νa/νb×100)
    {但し、上記式中のνb及びνaは、夫々、フーリエ変換赤外分光光度計用いた一回反射ATR法にて、前記還元工程の前記還元の前及び後における前記ポリマー材料の前記表面を測定したときに得られる、1650cm −1 付近に現れるカルボニル基由来のピークのピーク面積(ν1650cm −1 )と、1490cm −1 付近に現れる芳香環のピークのピーク面積(ν1490cm −1 )と、のピーク面積比(ν1650cm −1 /ν1490cm −1 )としたときの、還元反応前のピーク面積比(νb)及び還元反応後のピーク面積比(νa)を表す。}
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