JP6540524B2 - 半透明性木目調延伸フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、半透明性を有し、繊維状の意匠性外観を有する木目調延伸フィルムに関する。
従来、透写紙、グラシン紙、パラフィン紙および硫酸紙といった半透明性を有する紙は、その表面に文字や絵柄等を印刷して高級感や意匠性を高めることが可能であると共に、内容物の確認をすることも可能であることから、食品の包装等に用いられている。しかしながら、そのような紙は、厚みを大きくすると半透明性が失われ、厚みを小さくすると機械強度が不十分となる。また、印刷・断裁・包装等の際に紙粉が発生し、印刷性や断裁作業性の悪化、包装物の汚染といった問題を生ずる。さらに、プラスチック製フィルムと比べると耐湿性、耐水性および耐油性は低く、水分や油分を含む食品等の包装等には使用することができない。また、紙は一般にヒートシール性を有さず、ヒートシール性を要する包装形態には使用することができない。
これに対し、プラスチック製フィルムは、耐湿性、耐水性および耐油性に優れ、良好な機械強度を有することから、食品や薬品等の包装紙等に用いられている。しかしながら、プラスチック製フィルムは透明性が高く、その全面に印刷しなければ文字や絵柄等を視認しにくく、加えて質感が均一であるため高級感や意匠性が得られにくい。このため、プラスチック製フィルムは消費者の注目を集めにくいという課題がある。
特許文献1には、ポリプロピレンおよび特定の炭酸カルシウム粉末を含有するポリプロピレン樹脂組成物から形成されたパール光沢を有するポリプロピレン二軸延伸フィルムが提案されている。
特許文献2には、極性基を有する石油樹脂および/またはその水素化物を含有する不透明ポリオレフィン系樹脂フィルムが提案されている。
特許文献3には、結晶性ポリオレフィンと環状オレフィン系樹脂とからなる不透明ポリオレフィン系フィルムが提案されている。
特開平11−005852号公報 特開2001−019808号公報 特開平8−73618号公報
しかしながら、上記特許文献1に関して、上記ポリプロピレン二軸延伸フィルムに用いられる炭酸カルシウムは不透明性であり、半透明性のフィルムは得られない。また、上記ポリプロピレン系不透明フィルムは、本発明のフィルムの木目調外観を有するものではない。また、粒子の脱落による包装物の汚染や、印刷用途での印刷版の汚れが発生することがあり、断裁作業性についても良好であるとはいえない。
また、上記特許文献2に関して、上記ポリオレフィン系不透明フィルムは、軟化点が必ずしも高くないため、耐熱性に劣る場合がある。したがって、上記フィルムは、印刷用基材や記録用紙基材として熱乾燥を行う用途には適当ではない。また、上記ポリオレフィン系不透明フィルムは、本発明のフィルムの木目調外観を有するものではない。
また、上記特許文献3に関して、上記結晶性オレフィンと上記環状オレフィン系樹脂の分散性は必ずしも良くないため、環状オレフィン系樹脂が微細分散されず、その外観は不透明となる。また、上記不透明ポリオレフィン系フィルムは、本発明のフィルムの木目調外観を有するものではない。
このような状況下、紙に比べて高い耐湿性、耐水性、耐油性および機械強度を有するプラスチック製フィルムでありながら半透明性をも有し、意匠性に優れた外観を有するフィルムが望まれている。
そこで、本発明の目的は、半透明性であり、木目調の外観を有する延伸フィルムを提供することである。
本発明者らは、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと、Tgが142℃以上185℃以下である非晶性環状オレフィン系樹脂Bとを樹脂成分として少なくとも含有する層を1層以上有し、上記層は、樹脂成分を基準に70重量%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂A、および25重量%以下の非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含有する半透明性木目調延伸フィルムにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明には、以下のものが含まれる。
[1]結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層を1層以上有し、全光線透過率が35%以上85%以下である半透明性木目調延伸フィルムであって、前記層は、樹脂成分を基準に70重量%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび25重量%以下の非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含有し、前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ガラス転移温度が142℃以上185℃以下である、半透明性木目調延伸フィルム。
[2]前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、エチレンとノルボルネンの共重合体である、[1]に記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[3]前記ポリプロピレン系樹脂Aは、融点が155℃以上170℃以下である、[1]または[2]に記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[4]50%を超える全光線透過率を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[5]2軸延伸フィルムである、[1]〜[4]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[6]フィルム中の灰分は、フィルムを基準に1重量%以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[7]光沢低減層をさらに有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[8]ヒートシール層をさらに有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルムの製造方法であって、結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含む樹脂組成物を押出機に供給し、加熱溶融し、次いでフィルム状に押出する工程を含む、製造方法。
[10]前記樹脂組成物を、200〜260℃の押出機のシリンダー温度にてフィルム状に押出する、[9]に記載の方法。
[11]前記樹脂組成物を、0.7〜2.0のドラフト比でフィルム状に押出する、[9]または[10]に記載の製造方法。
本発明の半透明性木目調延伸フィルム(以下、本発明のフィルムと称する)は、印刷せずとも木目調の独特の風合いを有するため、一般の包装用紙に比べ消費者の注目を集めやすい。また、本発明のフィルムは、半透明性であるため、内容物をうっすらと確認することができる。したがって、本発明のフィルムは、例えばダイレクトメール等の基材用や包装用、菓子、食品の包装用、高級包装用、装飾用、ラベル用基材、テープ用基材、印刷用基材、記録用紙基材等に好適に用いることが出来る。
また、本発明のフィルムでは、無機粒子を用いずとも、半透明性フィルムが得られる。したがって、粒子の脱落が無く、印刷用基材として用いた際にも、版の汚染が少ない。さらに、その生産の際に高精度フィルターを用いた場合でも、詰まり等を生じることが無いため、異物が少なく生産性が良く、断裁時に切断面が荒れることや断裁刃の消耗が早い等の問題が起こらない。
図1は、実施例1において得られたフィルムの木目調外観を示す。 図2は、図1に示したフィルムを反対側の面から見た図を示す。 図3は、図1のA−A部分を拡大した図である。
本発明のフィルムは、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層を1層以上有し、全光線透過率が35%以上85%以下である半透明性木目調延伸フィルムであって、前記層は、樹脂成分を基準に70重量%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび25重量%以下の非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含有し、前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ガラス転移温度が142℃以上185℃以下である、半透明性木目調延伸フィルムである。
本発明のフィルムは、全光線透過率が35%以上85%以下である半透明性フィルムである。全光線透過率が35%未満であると、不透明性になり、包装に用いた場合、内容物の確認が困難となる。また、85%を超えると、透明性が高くなり、フィルム外観の意匠性や高級感が低下する。
本発明のフィルムは、全光線透過率が好ましくは40%以上、より好ましくは50%を越え、さらに好ましくは52%以上である。また、本発明のフィルムは、全光線透過率が好ましくは80%以下、より好ましくは77%以下、さらに好ましくは75%以下である。上記全光線透過率であれば、フィルムが適度な半透明性となるため好ましい。本発明では、全光線透過率は、JIS−K7361に準拠して測定される値のことであり、例えば日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH−5000等を用いて測定することができる。
本発明のフィルムの、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層において、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとの屈折率差や、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとの界面間に延伸により形成された空隙部と樹脂との屈折率差により、フィルムの透過率は低下する。本発明では、結晶性ポリプロピレン系樹脂A中での非晶性環状オレフィン系樹脂Bの分散状態およびその周囲に形成される空隙部が、様々な大きさになることで透過率に部分差が生じる。かつそれらが縦方向に配向状態にあることで、透過率が異なる部位が多数の筋状模様となって表れることにより、木目調のフィルム外観を呈するものと考えられる。
ここで、結晶性とは、DSCを用いて、窒素流下、−40℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持し、20℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した後、再び20℃/分で300℃まで昇温した際のDSC曲線に明確な溶融ピークが現れることをいう。一方、非晶性とは、DSCを用いた上記測定において明確な溶融ピークが現れないことをいう。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aとしては、プロピレンの単独重合体およびプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。結晶性ポリプロピレン系樹脂Aとして、プロピレンの単独重合体を用いる場合には、フィルムの機械強度や耐熱性が向上しやすい傾向がある。また、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aとして、プロピレンとエチレンの共重合体を用いる場合には、低温での折り割れ性が良化し、かつ表面光沢度を下げやすい傾向がある。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aとして、プロピレンの単独重合体およびプロピレンとエチレン等の共重合体を、それぞれ単独で、またはこれらを混合して用いることができる。また、本発明のフィルムが多層構造の場合には、要求される品質に応じて、層によって用いる樹脂の種類を使い分けることもできる。
プロピレンの単独重合体としては、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂が好ましい。本発明では、結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂は、好ましくは、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度であるメソペンタッド分率([mmmm])が92%〜98%であり、さらに好ましくは93%〜97%である。メソペンタッド分率[mmmm]が92%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械強度が得られる。一方、メソペンタッド分率[mmmm]を98%以下とすることで、延伸性が良好となる。
上記メソペンタッド分率([mmmm])を測定するための高温NMR装置には、特に制限はなく、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置、例えば日本電子株式会社製高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)JNM−ECP500を用いることができる。観測核は13C(125MHz)であり、測定温度は135℃、溶媒にはオルト−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(体積混合比=4/1))が用いられる。高温NMRによる方法は、公知の方法、例えば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行うことができる。測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準はCH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrm等)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrm等に由来する各シグナルの帰属に関し、例えば「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」等のスペクトルの記載が参照される。上記メソペンタッド分率([mmmm])は、ポリプロピレン樹脂の重合条件や触媒の種類、触媒量等の重合条件を、適宜調整することによってコントロールすることができる。
プロピレンの単独重合体としては、公知の方法、例えばチタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中プロピレンを重合する方法、液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合)、気相で重合する方法等により製造したものを用いることができる。また、市販されている生成物を用いることもできる。代表的市販品としては、例えば株式会社プライムポリマー製のプライムポリプロ(登録商標)シリーズのうち単独重合体のもの、サンアロマー株式会社製のPC412A等、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)シリーズのうち単独重合体のもの、Borealis社製Daployシリーズ、大韓油化工業株式会社製5014Lシリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズのうち単独重合体のもの等が挙げられる。
プロピレンとエチレンとの共重合体としては、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体がいずれも好ましく用いられ、エチレンを共重合体中に50重量%以下含有するものがより好ましい。代表的市販品としては、例えば株式会社プライムポリマー社製プライムポリプロ(登録商標)シリーズのうち共重合体のもの、日本ポリプロ株式会社製のノバテック(登録商標)シリーズのうち共重合体のものおよびウインテック(登録商標)シリーズ、住友化学株式会社製の住友ノーブレン(登録商標)シリーズのうち共重合体のもの等が挙げられる。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aの融点は、好ましくは155℃以上170℃以下、より好ましくは157℃以上165℃以下である。結晶性樹脂Aの融点が上記範囲内である場合には、延伸フィルムの生産性および得られる延伸フィルムの耐熱性が良好となり、および結晶性ポリプロピレン系樹脂A中での非晶性環状オレフィン系樹脂Bの分散状態を制御することが容易となり、所望の全光線透過率および木目調の外観を得ることができる。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aのガラス転移温度は、50℃以下が好ましく、−30℃〜30℃がより好ましい。結晶性ポリプロピレン系樹脂Aが上記範囲内である場合には、フィルムの延伸の際に、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとの界面間に適度な空隙部が形成され得るため好ましい。また、延伸フィルムの生産性や得られる延伸フィルムの耐熱性、柔軟性、低温もろさ等が良好となるため好ましい。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aの、JIS−K7210に準拠し、230℃、21.18Nで測定したメルトマスフローレートは、好ましくは0.5g/10分〜8g/10分、より好ましくは1g/10分〜6g/10分である。メルトマスフローレートを上記範囲とすることで、樹脂の流動性が適度な範囲となり、延伸フィルムの厚みを精度良く制御することができる。また、結晶性ポリプロピレン系樹脂A中で非晶性環状オレフィン系樹脂Bの微細分散状態を制御することが容易となり、所望の全光線透過率および木目調のフィルム外観を得ることができる。
結晶性ポリプロピレン系樹脂Aは、その層に含まれる樹脂成分を基準に70重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは85重量%以上の量で用いることができる。また、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aは、その層に含まれる樹脂成分を基準に、好ましくは98重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは92重量%以下の量で用いることができる。結晶性ポリプロピレン系樹脂Aを上記範囲内の量で用いることにより、延伸性や機械強度に優れたフィルムを得ることができる。これに対して、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aが、その層に含まれる樹脂成分を基準に70重量%未満である場合、十分な延伸性や機械強度を有するフィルムが得られない。
次に、非晶性環状オレフィン系樹脂Bについて説明する。本発明のフィルムに用いる非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ガラス転移温度が142℃以上185℃以下である。非晶性環状オレフィン系樹脂Bが、上記範囲内のガラス転移温度を有することにより、フィルムの延伸の際に、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとの界面間に適度な空隙部が形成され、半透明の木目調フィルムが得られることとなる。非晶性環状オレフィン系樹脂Bのガラス転移温度は、好ましくは146℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは154℃以上である。また、非晶性環状オレフィン系樹脂Bのガラス転移温度は、好ましくは179℃以下、より好ましくは173℃以下、さらに好ましくは167℃以下である。非晶性環状オレフィン系樹脂Bのガラス転移温度が上記の好ましい範囲内のガラス転移温度であれば、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとの界面間に適度な空隙部が形成され易くなり、所望の全光線透過率およびフィルム外観を得ることができる。
非晶性環状オレフィン系樹脂Bとしては、環状オレフィンと直鎖オレフィンの共重合体を用いることができる。該非晶性環状オレフィン共重合体は、結晶性ポリプロピレン系樹脂A中に良好に微分散されるため、本発明に好適に用いることができる。非晶性環状オレフィン共重合体は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明のフィルムが多層構造の場合には、要求される品質に応じて、層によって用いる樹脂の種類を使い分けることもできる。
非晶性環状オレフィン共重合体としては、シクロアルケン、ビシクロアルケン、トリシクロアルケンおよびテトラシクロアルケンからなる群から選択される少なくとも1種の環状オレフィンと、エチレンおよびプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種の直鎖オレフィンとからなる共重合体が挙げられる。
環状オレフィンの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−i−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、2−メチル−トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、5−メチル−トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−デセン、10−メチル−トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−デセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
非晶性環状オレフィン共重合体のガラス転移温度は、例えば非晶性環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量を多くし、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量を少なくすることにより、上記範囲内に調節することができる。好ましくは、非晶性環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量は70〜90重量%、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は30〜10重量%である。より好ましくは、非晶性環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量は75〜85重量%、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は25〜15重量%である。さらに好ましくは、非晶性環状オレフィン共重合体中の環状オレフィン成分の含有量は77〜83重量%、エチレン等の直鎖オレフィン成分の含有量は23〜17重量%である。
環状オレフィン成分としては、生産性、透明性および容易な高ガラス転移温度化の観点から、ノルボルネンおよびその誘導体が好ましい。直鎖オレフィン成分としては、反応性の観点から、エチレンが好ましい。したがって、非晶性環状オレフィン共重合体は、ノルボルネンとエチレンの共重合体が好ましい。
また、環状オレフィンおよび直鎖オレフィンの他に本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、他の共重合可能な不飽和単量体成分を共重合させることもできる。そのような共重合可能な不飽和単量体は、分子量調整剤として作用してよく、その例として、3〜20個の炭素原子を有するα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネル、テトラシクロドデセン、2−メチルテトラシクロドデセン、2−エチルテトラシクロドデセン等を挙げることができる。
さらに、非晶性環状オレフィン系樹脂Bとして、非晶性環状オレフィン共重合体の水素添加物を使用することもできる。向上した耐熱劣化性および耐候劣化性がもたらされることから、二重結合のほぼ全てが水素添加により飽和された水素添加物が好ましい。水素添加物の水素添加率は、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上である。
本発明では、非晶性環状オレフィン系樹脂Bとして、市販の非晶性環状オレフィン共重合体を用いてもよい。代表的市販品としては、例えばポリプラスチックス株式会社製TOPAS(登録商標)6015S−04、6017S−04等、三井化学株式会社製アペル(登録商標)6015T等が挙げられる。
非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、その層に含まれる樹脂成分を基準に25重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは16重量%以下の量で用いることができる。また、非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、その層に含まれる樹脂成分を基準に、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上の量で用いることができる。非晶性環状オレフィン系樹脂Bを上記範囲内の量で用いることにより、所望の全光線透過率および木目調のフィルム外観を得ることができる。これに対して、非晶性環状オレフィン系樹脂Bが、その層に含まれる樹脂成分を基準に25重量%を超える場合、全光線透過率があまりに低くなり所望の半透明性が得られず、および木目調のフィルム外観を得ることができない。
本発明のフィルムを構成する結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層には、樹脂成分として、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bとは異なった融点やガラス転移温度を示す結晶性樹脂または非晶性樹脂(以下、他の樹脂と称する)を、延伸性の調整、低温耐衝撃性の調整、表面粗さの調整、剛度、強度、伸度等の各種物性の調整等を目的に、本発明の効果を損なわない範囲の量で含有させてもよい。
他の樹脂としては、特に限定されず、延伸フィルム用途に適したものとされる従来公知の樹脂を本発明においても適宜用いることができる。その例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のポリオレフィン系樹脂およびその共重合体樹脂、例えばエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等の、α−オレフィン同士の共重合体等が挙げられる。また、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂およびその共重合体、例えばスチレン−ブタジエン共重合体等のビニル単量体−ジエン単量体共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等のビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体共重合体等が挙げられる。
このような他の樹脂の含有量は、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層に含まれる樹脂成分を基準に15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを、必要に応じて他の樹脂および/または添加剤と共にブレンドして樹脂組成物を得た後、これを押出機を用いて溶融押出して得られた原反シートを延伸することにより、結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層を少なくとも1層有する本発明のフィルムを製造することができる。
上記添加剤としては、例えば熱安定剤、酸化防止剤、有機および無機滑剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。このような添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内の量で樹脂組成物に添加することができる。
熱安定剤および酸化防止剤の例としては、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。さらに具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン株式会社製「Irganox(登録商標)1010」)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン(BASFジャパン株式会社製「Irganox(登録商標)1330」)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン株式会社製「Irgafos(登録商標)168」)等が挙げられる。これらのなかでも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、フェノール系とホスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系の組み合わせ、フェノール系とホスファイト系とラクトン系の組み合わせが、フィルムの化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
滑剤の例としては、有機系滑剤として、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリコーン架橋ポリマー、また無機系滑剤として、シリカ、アルミナ等が挙げられるが、印刷用途での印刷版の汚れの少ない有機系滑剤が好ましい。
塩素捕獲剤の例としては、ステアリン酸カルシウムや金属石鹸類、ハイドロタルサイト等が挙げられる。
帯電防止剤の例としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノールおよび/またはアルキルアミンエタノールエステルおよび/またはアルキルアミンジエタノールジエステル等が挙げられる。これらのうち2種類以上の帯電防止剤を併用しても良く、さらに脂肪族アルコールを併用しても良い。
それらのなかでも、ステアリルジエタノールアミンモノステアリン酸エステルとステアリルジエタノールアミンを併用すると、帯電防止性能に優れ、印刷適性が向上することから好ましい。
帯電防止剤の代表的な市販品の例としては、花王株式会社製エレクトロストリッパーシリーズ等が挙げられる。
着色剤を用いることで、様々な色の木目調フィルムを得ることができる。着色剤は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。着色剤として、例えばカドミウム、クロム含有無機化合物、アゾ、キナクリドン有機顔料等が挙げられる。また市販される染料や有色顔料を使用してよく、例えば東京インキ株式会社製カラーマスターバッチやドライカラー、大日精化工業株式会社製ハイコンクマスターやカラーコンパウンド等を好適に用いることができる。
結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂B、および必要に応じて他の樹脂および/または添加剤をブレンドする方法としては、例えば結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bのペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体および/または添加剤と共に、タンブラーやミキサー等のバッチ式混合装置や、あるいは連続計量式混合装置を用いてドライブレンド樹脂組成物を得る方法、および結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bのペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体および/または添加剤と共に混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンド樹脂組成物を得る方法等が挙げられる。
本発明においては、ドライブレンド樹脂組成物を用いる方法が、結晶性ポリプロピレン樹脂A中での非晶性環状オレフィン系樹脂Bの分散径を不均一にし易く、木目調の外観を得るうえで好ましい。
本発明の半透明性木目調延伸フィルムの製造方法は、結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層を1層以上有し、全光線透過率が35%以上85%以下である半透明性木目調延伸フィルムであり、前記層は、樹脂成分を基準に70重量%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび25重量%以下の非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含有し、前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ガラス転移温度が142℃以上185℃以下である、半透明性木目調延伸フィルムの製造方法であって、
結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含む樹脂組成物を押出機に供給し、加熱溶融し、次いでフィルム状に押出する工程を含む、製造方法である。
即ち、上述の通り得られた樹脂組成物は、押出機に供給し、加熱溶融し、次いでフィルム状に押出することができる。加熱溶融した樹脂組成物は、必要に応じて、フィルター等により微小異物等を除去することもできる。押出成形は、通常、Tダイを用いて行うことができる。
押出機のスクリュータイプに制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、またはそれ以上の多軸スクリュータイプを用いてよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のいずれの混練タイプをも用いてよいが、1軸スクリュータイプ、および同方向回転の2軸スクリュータイプの混錬機が、繊維状の木目調外観を有するフィルムが得られ易く好ましい。
樹脂組成物をフィルム状に押出する際、押出機のシリンダー温度は、好ましくは200〜260℃、より好ましくは210〜250℃である。押出機のシリンダー温度が260℃を超える場合には、得られるフィルムの透過率が高くなり、およびフィルム外観において繊維感が得られず、木目調外観が得られにくくなる。また、押出機のシリンダー温度が200℃未満の場合には、得られるフィルムの透過率が低くなり、白色フィルムに近づくため、木目調外観が得られにくくなる。したがって、本発明のフィルムの製造方法の好ましい態様は、樹脂組成物を200〜260℃の押出機のシリンダー温度にてフィルム状に押出する工程を含む。また、押出の際の樹脂の熱劣化防止のため、窒素等の不活性ガスをパージしてもよい。
また、押出速度に対する引出速度の比であるドラフト比は、好ましくは0.7〜2.0、より好ましくは0.8〜1.5である。ドラフト比が、0.7より低い場合には、原反シートが成形しにくい。また、ドラフト比が、2.0を超える場合には、得られるフィルムの透過率が高くなる傾向があり、および延伸時の破断が起きやすく、生産性が悪化する場合がある。したがって、本発明のフィルムの製造方法の好ましい態様は、樹脂組成物を、0.7〜2.0のドラフト比でフィルム状に押出する工程を含む。
押出機より押し出された樹脂シートは、例えば25〜120℃の温度に設定した少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアナイフや他のロール、または静電気等により密着させるといった公知の方法により、シート状に成形され、原反シートとなる。金属ドラムの温度が上記範囲内であれば、結晶性ポリプロピレン樹脂Aの結晶成長を制御することが可能となり、延伸時の変形が制御され、所望の全光線透過率および木目調外観が得られやすくなる。金属ドラムの好ましい温度範囲は30〜80℃である。
本発明のフィルムは、ドライブレンドおよび/またはメルトブレンド樹脂組成物を単層ダイから押出成形し、延伸を施した単層フィルムであってよいが、所望のフィルム厚みを得ること等を目的に、複数の層および/またはフィルムを従来公知の積層方法、例えば共押出法、ラミネート法、ヒートシール法等を用いて積層することにより得られる多層フィルムであってもよい。多層フィルムは、例えば表層(スキン層:層b)とコア層(層a)からなる、層b/層a/層bの3層の層構成、片側の表層をさらに別の層(層c)とした層b/層a/層cの3層の層構成、コア層を2層とした層b/層a/層a/層cの4層構成や、一方のコア層を他のコア層(層a’)とした層b/層a/層a’/層cの4層構成等とすることができる。
共押出法としては、溶融樹脂を金型手前のフィードブロック内で接触させるダイ前積層法、金型内部の経路で接触させるダイ内積層法、同心円状の複数リップから吐出し接触させるダイ外積層法等が挙げられる。例えばダイ内積層法の場合には、3層マルチマニホールドダイ等の多層ダイを用いることができる。
ラミネート法としては、Tダイ法に用いる溶融押出成型法の設備を使用し、溶融樹脂のフィルムを別のフィルム上に直接押し出して積層フィルムを成型する押出ラミネート法等が挙げられる。
ヒートシール法としては、貼り合わせた複数のフィルムに加熱した金属体をフィルム外部から押し当て、伝導した熱がフィルムを溶融させて接着する外部加熱法、および高周波の電波や超音波によってフィルムに熱を発生させ接合する内部発熱法等が挙げられる。
本発明では、上記の積層方法を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。
上記表層(スキン層)は、結晶性ポリプロピレン樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとを樹脂成分として少なくとも含有する層であってよく、光沢低減層やヒートシール層等であってもよい。光沢低減層を設けた場合には、通常は高光沢である印刷フィルムと異なったマット調の風合いを得られやすく、高級感が得られやすく好ましい。光沢低減層がヒートシール性を兼ね備えていてもよい。
表層は、異なる種類の層を本フィルムの片面ごとに積層してもよいし、両面とも同一の種類の層を積層してもよい。本発明のフィルムを包装用途等で使用する場合には、本発明のフィルムは、少なくとも片面にヒートシール層を有することが好ましい。
表層として、結晶性ポリプロピレン樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとを樹脂成分として少なくとも含有する層を積層する場合、各層の結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bの種類および添加量は、コア層と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。表層として、結晶性ポリプロピレン樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとを樹脂成分として少なくとも含有する層を積層することで、木目調外観を得られ易くなる。
また本発明の半透明性延伸フィルムは、結晶性ポリプロピレン樹脂Aと非晶性環状オレフィン系樹脂Bとを樹脂成分として少なくとも含有する層を、さらに1層以上有してよい。結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bとしては、それぞれ先に記載した樹脂を使用してよい。各層の結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bの種類および添加量は、同じであってもよいし、または異なっていてもよい。異なる場合、非晶性環状オレフィン系樹脂Bの添加量が多い層で所望の全光線透過率を得やすくし、結晶性ポリプロピレン樹脂Aの添加量が多い層で延伸性を良化させる等、品質と生産性を両立させやすく好ましい。2層以上を積層する場合、少なくとも1層は結晶性ポリプロピレン樹脂Aを、その層に含まれる樹脂成分を基準に70重量%以上含有し、および少なくとも1層は結晶性ポリプロピレン樹脂Aを、その層に含まれる樹脂成分を基準に85重量%以上含有するのが好ましい。
光沢低減層に用いる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のポリオレフィン系樹脂およびその共重合体樹脂、例えばエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体等の、α−オレフィン同士の共重合体等が挙げられる。また、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂およびその共重合体、例えばスチレン−ブタジエン共重合体等のビニル単量体−ジエン単量体共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等のビニル単量体−ジエン単量体−ビニル単量体共重合体等のうち2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。また光沢低減層に非晶性環状オレフィン系樹脂Bを用いても良い。これらの中でも、良好な光沢低減効果が得られることから、エチレン−プロピレン共重合体とポリエチレンの組み合わせ、エチレン−プロピレン共重合体とポリエチレンと非晶性環状オレフィン系樹脂Bの組み合わせが光沢低減効果が高く好ましい。
ヒートシール層に用いる樹脂は、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂であって、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン等の炭素数が2〜10のα−オレフィン系モノマーから選ばれた2種以上を重合して得たランダム共重合体またはブロック共重合体が好ましい。これらの共重合体は単独で、または混合して使用することができる。
特に好ましいのは結晶性プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、α−オレフィンとしてはエチレンまたは炭素数が4〜20のα−オレフィン等が挙げられ、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を用いることが好ましく、エチレンもしくはブチレンを用いたコポリマーもしくはターポリマーを用いることが特に好ましい。例えばプロピレン−エチレン−ブテン共重合体(住友化学工業株式会社製FL6741G)及び/又はプロピレン−ブテン共重合体が好ましい。前記プロピレン−エチレン−ブテン共重合体は、ランダム共重合体であることが好ましい。
表層には、必要に応じて、上述の他の樹脂および添加剤を含有させることができる。このような他の樹脂および添加剤は、表層の目的とする効果を損なわない範囲の量で用いることができる。また、表層には、本発明の効果を損なわない範囲内で、アクリル樹脂系微粒子やシリカ等のブロッキング防止剤を含有させてもよい。
表層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1μm〜10μm、より好ましくは3μm〜9μmである。
本発明のフィルムを得るための延伸方法としては、周速差を設けたロール間で延伸する方法、テンター法、チューブラー法等公知の方法を用いることができる。延伸方向としては、一軸延伸、二軸延伸、斜め方向への二軸延伸等が可能であり、二軸以上の延伸では、逐次延伸および同時延伸がいずれも適用可能である。これらのうち木目調の外観を有するフィルムが得られ易い点から、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、および周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が好ましく、周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が特に好ましい。
延伸は通常、フィルム温度(Ts)が主樹脂である結晶性ポリプロピレン樹脂Aの融点Tm(A)とガラス転移温度Tg(A)の間の温度となるように行う。ここで、フィルム温度Tsはフィルムが延伸開始される時点のフィルムの温度であるが、逐次二軸延伸等の多段延伸において各段でのフィルム温度が異なる場合は、それらのうち最も低いフィルム温度をTsとする。
Tsが非晶性環状オレフィン系樹脂Bのガラス転移温度Tg(B)未満であると、延伸時に非晶性環状オレフィン系樹脂Bが変形することができず、繊維状の木目調外観が得られやすくなる。
したがって、本発明では、以下の関係式:
Tg(B)>Ts>Tg(A)
が満たされることにより、所望の全光線透過率および木目調外観を有する半透明性延伸木目調フィルムが得られるため好ましい。
Tsは、Tg(A)より100℃以上高い場合より好ましく、Tg(A)より110〜150℃高い場合さらに好ましい。この場合、延伸時の結晶ポリプロピレン樹脂Aが適度に変形し、所望の全光線透過率を示す半透明のフィルムが得られ易くなる。また、Tsは、好ましくはTg(B)より5℃以上低いと、より好ましくは10〜50℃低いと、所望の全光線透過率を示す、繊維状の木目調外観を有するフィルムが得られ易く好ましい。
逐次二軸延伸方法としては、使用する樹脂の融点およびガラス転移温度により延伸温度や延伸倍率を調整する必要があるが、まず、原反シートを好ましくは100〜155℃、より好ましくは110〜145℃の温度に保ち、周速差を設けたロール間に通して、あるいはテンター法にて、縦方向に好ましくは3〜6倍、より好ましくは3.5〜5.5倍、さらに好ましくは3.8〜5.2倍に延伸する。引き続き、当該延伸フィルムをテンター法にて、好ましくは110〜160℃、より好ましくは120〜155℃の温度で、横方向に好ましくは7〜11倍、より好ましくは7.5〜10.5倍、さらに好ましくは8〜10倍に延伸した後、緩和、熱セットを施し巻き取る。
巻き取られたフィルムは、好ましくは20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、所望の製品幅に断裁することができる。こうして機械的強度、剛性に優れた延伸フィルムが得られる。なお延伸時の温度を上げると全光線透過率が上がりやすくなり、温度を下げると全光線透過率が下がりやすくなる。
フィルムには、オンラインもしくはオフラインにて、必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等を行うことができる。特に、本フィルムを印刷用途で使用する場合には、本フィルムの片面および/または両面に、印刷インキの濡れ広がりや密着性の改善等を目的に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の処理を行うことが好ましい。本発明では、フィルム表面のK6768:1999のぬれ張力が36〜45mN/mであると好ましく、38〜44mN/mであるとより好ましい。
あるいは、同様のぬれ張力を有し、さらに平滑性を有する印刷適性付与層を設けてもよい。
本発明のフィルムは、少なくとも一方の面の60度鏡面光沢度が、5%〜160%であってよい。本発明では、60度鏡面光沢度は、JIS−Z8741(方法3)に準拠して測定した値である。
本発明のフィルムは、無機物の脱落による包装物の汚染や、印刷用途での印刷版の汚れ、また、断裁時に切断面が荒れることや断裁刃の消耗が早い等の問題を防ぐために、灰分が好ましくはフィルムを基準に1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。灰分の下限値は、特に制限されないが、少ないほど好ましく、例えば0.01質量%、0質量%等である。本発明では、灰分は、JIS−K7250−1(2006)A法に準じて測定することができる。
本発明のフィルムの厚みは、その使用用途にもよるが、10μm〜150μmであることが好ましく、より好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜60μm、特に好ましくは25〜45μmであり、最も好ましくは25〜40μmである。フィルムの厚みが10μm以上であると、十分な強度が得られやすい。また、フィルムの厚みが150μm以下であると、延伸性や生産性に優れる。
本発明のフィルムは、好ましくはヒートシール性を有する。本発明の半透明延伸フィルムがヒートシール性を有する場合には、食品包装用途に好ましく用いることができる。この場合、フィルムの少なくとも片面に上述のヒートシール層を設けることが好ましい。
本発明のフィルムは、ダイレクトメール等の基材用や包装用、菓子、食品等の包装用、薬品包装用、装飾用、ラベル用、テープ用基材、印刷用基材、ポスター用紙、感熱紙基材、記録用紙基材等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
[樹脂のメルトマスフローレート(MFR)]
JIS K−7210(1999)に準じて、株式会社東洋精機製作所製メルトインデクサーを用いて、測定温度230℃および荷重21.18Nの条件で測定した。
[樹脂の融点、ガラス転移温度]
パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。各樹脂を5mg量り取り、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットした。窒素流下、−40℃から260℃まで20℃/分の速度で昇温し、260℃で5分間保持し、20℃/分で−40℃まで冷却し、−40℃で5分間保持した。その後再び20℃/分で260℃まで昇温する際のDSC曲線より、融点およびガラス転移温度を求めた。JIS−K7121の9.1(1)に定める溶融ピーク(複数の溶融ピークを示す場合は最大の溶融ピーク)を融点とし、JIS−K7121の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
[フィルムの全光線透過率]
日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH−5000を用いて、JIS−K7361に準拠して測定した。
[フィルムの厚み]
シチズンセイミツ株式会社製紙厚測定器MEI−11を用いて、JIS−C2330に準拠して測定した。
[フィルムの60度鏡面光沢度]
株式会社村上色彩技術研究所製変角光沢計GM−3D型を用いて、JIS−Z8741(方法3)に準拠して、60度鏡面光沢度を測定した。なお測定は、フィルムの縦方向および横方向について測定し、両者を平均した値である。
[外観(繊維状の木目調外観)]
蛍光灯の光を透かしてフィルムを目視観察し、外観を下記のように評価した。
◎:木目調の外観を明確に確認することができる。
○:木目調の外観を一部に確認することができる。
×:繊維状の木目調外観を確認することができない。
[フィルムの灰分]
JIS−K7250−1(2006)A法に準じて、測定試料量200gで測定した。
〔実施例1〕
結晶性ポリプレピレン系樹脂Aとして、プライムポリプロ(登録商標)F−300SP(株式会社プライムポリマー製、結晶性ポリプロピレン単独重合体、MFR=3g/10分、融点160℃、ガラス転移温度−17℃)、非晶性環状オレフィン系樹脂BとしてTOPAS(登録商標)6015S−04(ポリプラスチックス株式会社製、非晶性ノルボルネン−エチレン共重合体、ガラス転移温度158℃、MFR=0.4g/10分)のペレットをそれぞれ、表1に示す割合でミキサーにてドライブレンドすることにより混合原料ペレットを調製した。
混合原料ペレットを、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入して溶融し、シリンダー温度230℃およびドラフト比0.9にて、単層ダイより押し出した。押し出された樹脂層を、70℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度150℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)を130℃まで予熱し、まず縦方向に延伸速度6倍/秒にて5倍まで延伸した。次いで設定温度165℃のオーブン内にてフィルム温度を145℃まで予熱し、横方向に延伸速度1倍/秒にて10倍まで延伸した。次いで同オーブン内にて、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を9.5倍まで緩和し、次いで10秒間熱セットした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚み30μmの延伸フィルムを得た。
〔実施例2〕
押出の際のシリンダー温度を255℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例3〕
押出の際のシリンダー温度を205℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例4〕
押出の際のドラフト比を1.7に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例5〕
結晶性ポリプレピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bの部数を表1に示す値に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例6〕
非晶性環状オレフィン系樹脂Bとして、APEL(登録商標)APL6015T(三井化学株式会社製、非晶性ノルボルネン−エチレン共重合体、ガラス転移温度145℃)を表1に示す部数で用い、押出の際のシリンダー温度を220℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例7〕
非晶性環状オレフィン系樹脂Bとして、TOPAS(登録商標)6017S−04(ポリプラスチックス株式会社製、非晶性ノルボルネン−エチレン共重合体、ガラス転移温度178℃)を表1に示す部数で用い、シリンダー温度を245℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例8〕
結晶性ポリプレピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bの部数を表1に示す部数で用いたこと以外は実施例7と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔実施例9〕
ヒートシール性を有する光沢低減層用樹脂として、WINTEC(登録商標)WFW5T(日本ポリプロ株式会社製エチレン−プロピレン共重合体樹脂、融点143℃)85重量部、ハイゼックス(登録商標)7700F(プライムポリマー株式会社製、ポリエチレン樹脂、融点131℃)10重量部、非晶性環状オレフィン系樹脂BとしてTOPAS(登録商標)6015S−04を5重量部をミキサーにてドライブレンドして、光沢低減層用混合原料を調製した。
高光沢ヒートシール(HS)層用樹脂として、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(住友化学株式会社製、FL6741G、融点130℃)90重量部、およびプロピレン−ブテン共重合体(三井化学株式会社製、タフマーMX7070、融点75℃)10重量部、ブロッキング防止剤として非晶質シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア730)0.2重量部をミキサーにてドライブレンドして、高光沢ヒートシール層用混合原料を調製した。
実施例1と同様の混合原料ペレットをメイン層を形成するための一軸スクリュータイプ押出機aに、光沢低減層用混合原料をスキン層1を形成するための一軸スクリュータイプ押出機bに、および高光沢ヒートシール層用混合原料をスキン層2を形成するための一軸スクリュータイプ押出機cに、それぞれホッパーから投入して溶融し、これらを3層マルチマニホールドダイ内部にてスキン層1−メイン層−スキン層2の3層構成に積層し、3層積層樹脂層として押し出した。一軸スクリュータイプ押出機aと一軸スクリュータイプ押出機bと一軸スクリュータイプ押出機cの押出樹脂量の比率は1:10:1とした。押し出された樹脂層のスキン層2側を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、実施例1と同様に延伸し、厚み36μmの延伸フィルムを得た。
〔実施例10〕
スキン層1の原料として実施例9の高光沢ヒートシール層用混合原料を用いたこと以外は実施例9と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔比較例1〕
結晶性ポリプレピレン系樹脂Aとしてのプライムポリプロ(登録商標)F−300SPを、ドライブレンドおよび溶融混合を実施せずに単独で使用した以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔比較例2〕
結晶性ポリプレピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bの部数を表1に示す値に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔比較例3〕
非晶性環状オレフィン系樹脂Bとして、TOPAS(登録商標)5013F−04(ポリプラスチックス株式会社製、非晶性ノルボルネン−エチレン共重合体、ガラス転移温度134℃、MFR=9.2g/10分)を表1に示す部数で用い、シリンダー温度を210℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔比較例4〕
非晶性環状オレフィン系樹脂Bを使用せず、代わりに結晶性環状オレフィン系樹脂として、TOPAS(登録商標)E−140(ポリプラスチックス株式会社製、結晶性ノルボルネン−エチレン共重合体、融点84℃、ガラス転移温度−6℃、MFR=4.4g/10分)を表1に示す部数で用い、シリンダー温度を200℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
〔比較例5〕
非晶性環状オレフィン系樹脂Bを使用せず、代わりに無機粒子である軽質炭酸カルシウム粉末(丸尾カルシウム株式会社製カルテックス5、平均粒子径0.9μm)を表1に示す部数でドライブレンドして調製した混合原料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、延伸フィルムを得た。
表1に示される通り、実施例1〜10において得られた延伸フィルムは、全光線透過率が35〜85%の間であり、木目調の外観を有する半透明性延伸フィルムであった。これに対し、結晶性樹脂を単独で用いた比較例1では、全光線透過率が高く、木目調のフィルム外観は得られなかった。非晶性環状オレフィン系樹脂Bの量が30部である比較例2では、全光線透過率が低く、木目調のフィルム外観は得られなかった。非晶性環状オレフィン系樹脂Bのガラス転移点が134℃である比較例3では、全光線透過率が高く、木目調のフィルム外観は得られなかった。非晶性環状オレフィン系樹脂Bを用いずに、結晶性環状オレフィン系樹脂を用いた比較例4では、全光線透過率が低く、木目調のフィルム外観は得られなかった。したがって、本発明によれば、木目調のフィルム外観を有する半透明性延伸フィルムが得られることが理解される。

Claims (10)

  1. 結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを樹脂成分として少なくとも含有する層を1層以上有し、全光線透過率が35%以上85%以下である半透明性木目調延伸フィルムであって、前記層は、樹脂成分を基準に70重量%以上の結晶性ポリプロピレン系樹脂Aおよび25重量%以下の非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含有し、前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ガラス転移温度が142℃以上185℃以下であり、前記非晶性環状オレフィン系樹脂Bは、ノルボルネンとエチレンの共重合体である、半透明性木目調延伸フィルム。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂Aは、融点が155℃以上170℃以下である、請求項1に記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  3. 50%を超える全光線透過率を有する、請求項1または2に記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  4. 2軸延伸フィルムである、請求項1〜のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  5. フィルム中の灰分は、フィルムを基準に1重量%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  6. 光沢低減層をさらに有する、請求項1〜のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  7. ヒートシール層をさらに有する、請求項1〜のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の半透明性木目調延伸フィルムの製造方法であって、結晶性ポリプロピレン樹脂Aおよび非晶性環状オレフィン系樹脂Bを含む樹脂組成物を押出機に供給し、加熱溶融し、次いでフィルム状に押出する工程を含む、製造方法。
  9. 前記樹脂組成物を、200〜260℃の押出機のシリンダー温度にてフィルム状に押出する、請求項に記載の方法。
  10. 前記樹脂組成物を、0.7〜2.0のドラフト比でフィルム状に押出する、請求項またはに記載の製造方法。
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