JP4436274B2 - 機能性高分子フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、機能性分子が均一に配向したドメインを内包若しくはそのパターンを保持した機能性高分子フィルムおよびその作製方法、並びに該フィルムの各種用途に関する。
有機デバイスはこれまでの無機デバイスと比較して、軽量で柔軟性を有するといった優位性をもつ。また、無機材料と比べ、有機材料は任意の機能性を有する分子を設計・合成することで、分子レベルでの様々な物性・特性を有するデバイスを得ることが可能である。このような有機デバイスに利用可能な物質として、ディスコチック液晶分子が注目されている。この液晶分子はカラムナー相を形成することで、そのカラムナー軸と平行な方向と垂直な方向とで電荷移動度などの物性に大きな異方性が見られることから、これらカラムナー軸の配向方向を、任意に且つ局所的に制御し、さらにこれら分子を固定化つまり高分子化することが出来れば、例えば有機半導体として応用することが可能となる。
しかしながら、これまでに報告されているディスコチック液晶分子の分子配向制御と高分子フィルム化は、ディスコネマティック相といった粘性が低く、液晶分子を容易に配向制御することの出来る相で行われていた。また、ラビング処理した高分子膜など、液晶の配向制御の為の配向層を液晶分子層に重ねてやる必要がある上、そもそも局所的な配向制御を行う場合、局所的な処理をそれら配向膜に施す必要があった。さらに、有機デバイスとして応用する場合、ディスコネマティック相と比べ、より秩序的であるカラムナー相での制御が必要であるが、このような粘性の高い液晶相の場合、この手法を用いた配向制御は非常に困難であった。
一方、特許文献1の手法を用いることにより、ヘキサゴナルカラムナー相での液晶分子の配向制御を行っている。しかしながら、例えば、ヘキサキスヘキシルオキシトリフェニレンでは、この手法の配向制御により得られた配向状態は、ヘキサゴナルカラムナー相温度でのみ保持され、それ以外の相の温度域、例えば室温では、結晶化への相転移により配向状態が大きく変化し配向制御により得られた構造を保持することが出来ない。
特許文献2は、分子性材料に赤外光を照射する分子性材料の配向制御方法を開示しているが、配向した有機ポリマーの製造については開示していない。
特許文献3は、配向性高分子膜に赤外光を照射する部分的に高分子配向を制御できることを開示しているが、高分子を製造した後に配向を制御することは制約を伴う。
特開2001-264763 WO2003/024586 特開2005-017430
本発明は任意の配向パターンを持った機能性高分子フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、1以上の重合性官能基を有する機能性分子の特定の領域での赤外光照射
により機能性分子の配向方向を制御することにより、任意の配向パターンを作り出し、その状態を保持したまま重合することで、任意の配向パターンを持った機能性高分子フィルムが作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の機能性高分子フィルムおよびその作製方法、該高分子フィルムの用途に関する。
1. 以下の(1)〜(3)のいずれかのパターンが形成されたフィルム:
(1) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
性分子を硬化したフィルムにおいて、該フィルムが分子配向に基づくパターンを有し、パターン部分と非パターン部分がいずれも液晶相もしくは中間相に基づく異方性を有し、且つ、パターン部分と非パターン部分の分子の配向方向がそれぞれ異なるフィルム
(2) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
性分子を硬化したフィルムにおいて、該フィルムが分子配向に基づくパターンを有し、パターン部分が液晶相もしくは中間相に基づく物性の異方性を有し、非パターン部分が等方的な物性を有するフィルム;
(3) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
性分子の一部または全部を不完全硬化したフィルムにおいて、該フィルムが液晶相ないし中間相の一様配向ドメインからなるパターンを有し、パターン部分および非パターン部分いずれも不完全硬化であるか、或いはパターン部分もしくは非パターン部分のいずれか一方が不完全硬化であり、他方が硬化である、温度変化に伴い液晶相もしくは中間相または等方性液体相を有するフィルム。

2. 以下の(1)〜(3)のいずれかの工程を行うことを特徴とする、パターンが形成されたフィルムの作製方法:
(1)1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を硬化する;
(2)1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、当該パターン部分のみを硬化し、次いで非パターン部分の温度を上げて未硬化部分を等方相にした後に硬化する;または
(3) 1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有
する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を不完全硬化するかまたはパターン部分もしくは非パターン部分を不完全硬化し他方を硬化するか、或いは、パターン部分を不完全硬化し非パターン部分の温度を上げて非パターン部分を等方相にした後に硬化もしくは不完全硬化する。
3. 粘性の大きな液晶相若しくは中間相がヘキサゴナルカラムナー相である項2に記載の方法。
4. 機能性分子が、1以上の重合性官能基を有する円盤状液晶性分子であることを特徴
とする、項2に記載の方法
5. 機能性分子が、1以上の重合性官能基を有する棒状液晶性分子であることを特徴と
する、項2に記載の方法
6. 機能性分子の赤外吸収帯に相当する波長を有する赤外光を照射することで、機能性分子の分子配向を任意に制御し、この配向状態で重合することを特徴とする項2に記載の方法。
7. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、パターンが形成された固体フィルム。
8. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、パターンが形成された液晶性フィルム。
9. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、パターンが形成された液晶分散型フィルム。
10. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、配向パターンにより形成された電気回路。
11. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、配向パターンにより形成された光回路。
12. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、光記録材料。
13. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、電子材料。
14. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、光電子材料。
15. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、導電性材料。
16. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、熱電材料。
17. 項1に記載のフィルムまたは項2〜6いずれかに記載の方法によって作製可能であるフィルムから構成される、表示素子。
本発明によれば、1以上の重合性官能基を有する機能性分子であれば、赤外光照射によ
る任意の方向への配向制御に続いて重合を行うことで、配向パターンを持った機能性高分子フィルムを作製することが可能となる。
本発明の機能性高分子フィルム作製方法により作製された材料は、電気回路としてや光回路として有用である。
本発明の好ましい実施形態によれば、秩序性の高いヘキサゴナルカラムナー相のカラムナー軸方向を制御することが可能であり、さらにその状態を、室温を含めた非常に広い範囲においても保持するフィルムを得ることが可能である。またこの手法では、配向膜を必要としない為、配向膜に関する工程をも省くことが出来る。
本明細書において、「硬化」もしくは「硬化する」とは、相転移しなくなるまで、重合することを意味し、「不完全硬化」もしくは「不完全硬化する」とは、重合後も相転移がおこる程度に、重合することを意味する。
機能性分子は、重合性官能基を1以上、例えば1〜15個、より具体的には2〜10個、特に2〜8個有するものが挙げられる。
本発明の製造方法において、上記(1)〜(3)のフィルムおよびそれに対応する上記(1)〜(3)の工程は、以下の実施形態に対応する:
工程1:1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相
を有する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を硬化する。
工程1では、赤外光照射による配向制御後、試料全体を硬化する。硬化は、例えばUV照射により行うことができるが、他の硬化条件(例えばX線、γ線などの照射)を使用して
もよい。硬化に必要なUV照射条件は特に限定されないが、例えば水銀ランプ(高圧ないし低圧)を使用して20分から5時間程度照射すればよい。
工程1では試料全体が硬化されているので、パターン部分と非パターン部分がいずれも液晶相もしくは中間相と同じような分子秩序性(異方性)を有し、分子の配向方向が局所的に(パターン部分と非パターン部分とで)それぞれ異なる方向を有するフィルムが得られる。
工程2:1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相
を有する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、当該パターン部分のみを硬化し、次いで非パターン部分の温度を上げて
未硬化部分を等方相にした後に硬化する。
工程2では、赤外光照射により配向制御した領域部分(パターン部分)のみをUV照射により硬化する。硬化条件は工程1と同様である。その後、温度を上げることにより未硬化部分(非パターン部分)を液晶相もしくは中間相から無秩序な液体(等方相)にし、その状態で残りの等方相部分を硬化する。
この場合、配向性のない等方的部分(非パターン部分)と、配向性を持った部分(パターン部分)をそれぞれ有するフィルムができる。工程1では異方性(液晶相もしくは中間相)のまま硬化されたフィルムであるのに対し、工程2では等方性(液体)に変換後に硬化されており、非パターン部分の光学的性質が工程1と工程2で相違する。
工程3: 1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有する薄膜状材料において、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を不完全硬化するかまたはパターン部分もしくは非パターン部分を不完全硬化し他方を硬化するか、或いは、パターン部分を不完全硬化し非パターン部分の温度を上げて非パターン部分を等方相にした後に硬化もしくは不完全硬化する。
工程3では、赤外光照射による配向制御によりパターンを形成後、重合性官能基の全部を不完全硬化するか、もしくは一部を不完全硬化し、残りを硬化することによりフィルムを得る。パターン部分と非パターン部分がいずれも異方性を有するフィルムの場合には、上記(1)の場合と同様に、フィルム全体に不完全硬化を行うか、或いはパターン部分と非
パターン部分の一方を硬化(もしくは不完全硬化)し、他方を不完全硬化(もしくは硬化)する。不完全硬化の条件は特に限定されないが、例えばUV照射を短時間(例えば1〜10分程度、好ましくは5分程度)行うことで実施できる。また、非パターン部分が等方性を有し、パターン部分が異方性を有するフィルムは、上記工程2の場合と同様に、先ずパターン部分を不完全硬化(もしくは硬化)し、次に非パターン部分を加熱して等方性の液体とした後、非パターン部分を硬化(もしくは不完全硬化)(上記パターン部分の不完全硬化の条件と同じ)して、該フィルムを得ることができる。
短時間のUV照射により、機能性分子に複数個(1以上)ある重合性官能基のうち、一部
のみを反応させる。すると、高分子化のため分子の長距離的な拡散は制限されるが、未反応部位の存在により、重合反応が十分に進んだ場合と比較して、分子は局所的な自由度を有する。そのため、温度変化とともに分子の配向秩序度も変化する。そのため偏光顕微鏡で観察すると、照射領域に形成された新たなドメイン部分の色彩が温度により変化する。これは温度とともに分子の配向状態のわずかな変化で、レターデーションが変化するため、色彩の変化として現われたものと考えられる。
このような手法を用いることで、局所的な領域のレターデーションが温度により変化する材料が得られる。このような変化の温度範囲は、重合前の低分子がとる液晶相の温度範囲よりも広い範囲となる。
また、特定のレターデーションが得られる温度で、分子の持つ残りの重合性官能基を反応させ分子を完全に固定すると、相転移によってレターデーションが大きく変化しない材料が得られる。
本発明の(3)のパターンを含むフィルムは、以下の表1の態様を含む:
Figure 0004436274
本発明においては、1以上の重合性官能基を有する機能性分子に、機能性分子の振動励
起エネルギーに相当する波長の赤外光を照射することで、機能性分子の配向方向を制御し、引き続いて重合を行うことにより、配向状態の異なる領域のパターンを持った機能性高分子フィルムを作製することが可能となる。
重合性の官能基としては、ビニル基が例示され、例えば末端にビニル基(CH2=CH-)を有
する炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく例示される。該アルケニル基は、ハロゲン
原子(塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、C1〜C4アルキル基(メチル、エチル、プロピル
、ブチルなど)、C1〜C4アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)
、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなど)、アミノ基、モノアルキルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ)などの基で1〜3個(好ましくは1個)置換されていても良く、該アルケニル基は、酸素原子、硫黄原子、アミド基(CONH,NHCO)、カルボニル基(CO)、エステル基(COO,OCO)など
の二価の基(1〜3個,好ましくは1個)で置換されていてもよい。
前記機能性分子としては、液晶分子が挙げられる。該液晶分子としては、特に限定されないが、一般的な棒状液晶分子、円盤状液晶分子が挙げられ、例えば、トリフェニレン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系の円盤状液晶分子を有するものが好ましく例示される。
好ましい重合性の機能性分子は、重合性基を有するトリフェニレン系の円盤状液晶分子であり、例えば下記一般式で表されるトリフェニレン化合物が例示される:
Figure 0004436274
(式中、Rは重合性基を有する基を表す。)
機能性分子としては、ネマチック相、スメクチック相、コレステリック相、カラムナー相およびキュービック相からなる群より選択される液晶相または中間相を特定の温度範囲で発現するものが好ましく、カラムナー相がより好ましい。
赤外光照射によるパターンの形成は、特許文献1〜3に記載されている公知の方法により行うことができる。具体的には、機能性分子の何れかの分子内化学結合の振動エネルギーに相当する波長を有する赤外光を照射する。ここで、機能性分子、特に液晶相または中間相の液晶材料に対しては無偏光赤外光を照射しても良いが、偏光赤外光を照射するのが好ましい。偏光赤外光を用いた場合には、照射光の偏光方向に依存した方向へ対象となる分子を配向させることができる。本明細書において、「偏光方向」とは、赤外光の電気ベクトルの振動方向を意味し、偏光面とは、赤外光の進行方向と電気ベクトルを含む面のことを意味する。また、偏光赤外光には、直線偏光赤外光、円偏光赤外光、楕円偏光赤外光を含む。
ここでいう、「偏光方向に依存した方向に分子を配向させる」とは、偏光方向に対し分子内化学結合の振動遷移モーメントが垂直となる方向に、分子が配向することを意味する。つまり、ある波長の偏光赤外光を受けると、対応する振動エネルギーを有する結合は、偏光赤外光を吸収しなくなるような方向を向くように、つまり偏光方向と化学結合の振動方向が垂直になる様に分子が配向する。
また、本発明においては、上記材料に、それぞれの分子内の任意の化学結合の振動励起エネルギーに相当する波長を有する赤外光を照射することができる。
これらの赤外光は、2.5〜25μmの範囲内にある波長(波数では400〜4000cm-1)を有するのが好ましく、2.5〜12.5μmの範囲内にある波長(波数では800〜4000cm-1)を有するのがより好ましい。これらの範囲内から、それぞれの分子の分子骨格および置換基の少なくとも1つの結合に対する振動エネルギー準位を励起する赤外光の波長を選択すればよい。
例えば、トリフェニレン系の液晶化合物として、ヘキサキスアルケニルオキシトリフェニレン化合物を例にとると、トリフェニレン分子コアの芳香族C−C結合の振動に起因する波長6.19μm(波数1615cm-1)、波長6.63μm(波数1509cm-1)、アルコキシ基C−O−C結合に起因する波 長6.99μm(波数1431cm-1)、
波長7.93μm(波数1261cm-1)、波長8.58μm(波数1166cm-1)、波長9.64μm(波数1039cm-1)、アルキル基に起因する波長3.41μm(波数2932cm-1)、波長3.50μm(波数2861cm-1)、芳香族C−H結合の面外変角振動に起因する波長11.92μm(波数839cm-1)などに相当する赤外光を照射することにより、液晶分子が再配向する。一般的な棒状結晶、ポルフィリン系、フタロシアニン系の化合物においても、各化合物の吸収帯に相当する赤外光を照射することに
より、液晶分子が再配向する。
振動遷移に基づく励起は、分子内の各化学結合毎に固有の波長の光を吸収して励起される現象である。また、伸縮振動、面外振動などのモードのように、同じ化学結合部位においても吸収する波長に対応して、各結合における振動遷移モーメントの向きは異なっている。このことより、振動励起による機能性分子の配向制御方法において、液晶分子中の化学結合毎に対応する赤外光の波長を選択して照射し分子を振動励起することで、液晶分子を再配向することができる。
また、対象とする分子も異方性光吸収分子を特に選択する必要がなく、照射する赤外光の波長を選択することで、対象分子中の化学結合部位を特異的に振動励起することが可能である。
例えば、液晶相または中間相の機能性分子に特定のパターンで(特定の部位に)赤外光を照射すると、赤外光を受けた部位のみが特定の方向を向き、赤外光を照射されていない部分とは、機能性分子の向き(配向)が相違する。本発明では、粘性の大きな液晶相若しくは中間相を使用しているので、赤外光照射により形成されたパターンは、機能性分子の重合中には、その配向を実質的に維持するので、該パターンが形成されたフィルムを作製することが可能である。ここで、「粘性が大きい」とは、赤外光照射によるパターンが、機能性分子の重合中に実質的に維持されることを意味し、ネマチック液晶の回転粘性係数では10〜400 mPa・s程度のものが例示される。ディスコチック液晶では、棒状液晶分子のネマチック相での粘度より大きいものが好ましく使用できる。
パターンの形状は特に限定されず、直線、曲線、ドット、円、だ円、折れ線、長方形、正方形、三角形、交叉する線、平行線、分岐する線などの模様、文字、回路ないし光導波路の形状、さらにはこれらの組み合わせが例示される。
本発明では、粘性の大きな液晶相若しくは中間相に赤外光を照射してパターンを形成しているので、赤外光を照射された部位のみにシャープなパターンを形成することができ、赤外光を受けていない境界領域は赤外光照射によりほとんど影響を受けない。
本発明の方法によれば、このようなシャープなパターンの作製が可能であるので、該方法により得られたフィルムは、パターンが形成された固体フィルム;パターンが形成された液晶性フィルム、パターンが形成された液晶分散型フィルムとして有用である。
本発明で使用する機能性分子が導電性の材料であると、得られたパターンを有するフィルムは、配向パターンにより形成された電気回路としても使用できる。
本発明において、偏光赤外光を用いると分子配向は特定の方向を配向するので、得られたフィルムは表示素子として好ましい。
本発明において得られたフィルムは、フィルム素子、フィルム材として、フレキシブルであり耐衝撃性に優れている。
また従来はパターン形成のために、まずパターンを描きたい機能発現材料にフォトレジストを塗布し、この層にパターンを描いたマスクをのせて、UV光照射でフォトレジスト層にパターンを焼きつける。次にフォトレジスト層のうち感光せず可溶のままの部分を取り除くことで、その部分の機能発現材料表面が露出される。この部分をエッチングにより取り除くことで、機能発現材料表面にパターンを描くことが可能となる。
本発明を用いれば、パターンを描きたい材料に赤外レーザー光の照射により直接パター
ンを描いている為、フォトレジストのようなものを塗布、除去といった必要がない。また、電荷移動度といった電気物性や、屈折率といった光物性に異方性をもつ分子を配向制御することで、ある部分のある方向へのみ、電気が流れる、光が透過するといった材料を、途中の工程で他の原料を追加することなく、また不必要部分を取り除くといったことをすることなく形成することが出来る。さらに、同じ材料を配向制御を行うことで異なる役割を担わすことが出来る。例えば、配向制御した部分を半導体や導体として、その他の部分を絶縁体としての役割を担わすことが出来る。
本発明において、偏光二色性を持つ赤外光を用いると、赤外光の入射方向と平行方向に液晶分子が配向し、液晶フィルム中に光学異方性をもった導波路形成や異方的導電路の形成が可能である。
例えば、自由電子レーザー等の偏光特性を持つ単色赤外光を用いて分子内化学結合の振動エネルギー準位を特異的に励起することにより、分子が加熱され局所的に熱的非平衡状態を作り出された後、偏光方向に依存して選択的に特定方向へ再配向することを利用する。本発明により得られるパターン付きフィルムは、用いた赤外光の波長が理論限界となる大きさのパターンの形成を可能にするほか、用いるレーザー光に強度分布があると、分子配向変化の強度依存性により、上記以下の大きさのパターンも形成可能であるため数μm
単位の精細なパターンを形成することが出来る。
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1
側鎖末端に二重結合を有するトリフェニレン系ディスコチック液晶分子(図1)に1wt%の光重合開始剤を混合したものを試料とした。140℃でホメオトロピック配向しているヘキ
サゴナルカラムナー相の試料に、この液晶分子の赤外吸収帯である6.62μmの波長のパル
ス状偏光赤外レーザー光を基板の垂直方向から照射した(図2A)。この際、照射域を移
動させることにより、十字状の領域へ照射を行った。照射領域のテクスチャは、照射前(
図3)と照射後(図4)で変化しており、配向ドメインの変化が確認でき、十字状のパター
ンが形成された。次に、このようにして形成したドメインのパターンを保持したまま、紫外光を試料に照射することで液晶分子を重合させ、高分子フィルムを得た(図2B)。こ
のようにして得られた高分子フィルムは、重合前の配向ドメインのパターンを保持したままである(図5)。室温から200℃の温度範囲においても赤外レーザー光照射によるドメインのパターンを保持したままであり、いずれの温度範囲に於いても、パターンを保持した高分子フィルムが得られた。また、重合フィルム内の分子の面内配向を顕微偏光赤外吸収スペクトルで調べたところ、照射領域のドメインでは、トリフェニレン環が照射赤外光の偏光方向に対し直交していた(図6)。一方、非照射域においてはそのような傾向は見られ
なかった(図7)。このことから、偏光赤外レーザー光の照射による、分子レベルでの配向制御を保持したままの高分子フィルムが作製されていることが確認できる。
実施例で用いた側鎖末端に二重結合を有するトリフェニレン系ディスコチック液晶分子の化学構造式である。 実施例の説明図である。温度コントロールされたホットステージ上に試料を置き、パルス状の偏光赤外レーザー光を試料に照射することで配向制御を行った後(A)、紫外光を照射することで光重合を行う(B)。 赤外レーザー光照射前の直交ニコル下での偏光顕微鏡写真である。 波長6.62μmの赤外レーザー光を照射した後の直交ニコル下での偏光顕微鏡写真である。 赤外レーザー光を照射後、紫外光を照射することで光重合した後の直交ニコル下での偏光顕微鏡写真である。 光重合後の面内配向について説明した図である。赤外レーザー光の照射域の一部分であるIの斜線領域の顕微偏光FT-IRの測定結果がIIである。1510cm-1と1618cm-1はトリフェニレン環の面内振動、835cm-1は面外振動に帰属される。IIIは配向制御に用いたパルス状偏光赤外レーザー光の偏光方向を示したものである。 光重合後の面内配向について説明した図である。赤外レーザー光の非照射域であるIの斜線領域の顕微偏光FT-IRの測定結果がIIである。1510cm-1と1618cm-1はトリフェニレン環の面内振動、835cm-1は面外振動に帰属される。IIIは配向制御に用いたパルス状偏光赤外レーザー光の偏光方向を示したものである。

Claims (6)

  1. 以下の(1)〜(3)のいずれかの工程を行うことを特徴とする、パターンが形成されたフィルムの作製方法:
    (1)1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有する薄膜状材料において、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を硬化する;
    (2)1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有する薄膜状材料において、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、当該パターン部分のみを硬化し、次いで非パターン部分の温度を上げて未硬化部分を等方相にした後に硬化する;または
    (3) 1以上の重合性官能基を有する機能性分子の粘性の大きな液晶相若しくは中間相を有
    する薄膜状材料において、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該材料の特定領域に赤外光照射を行い配向状態の異なるパターンを形成し、その配向状態で全体を不完全硬化するかまたはパターン部分もしくは非パターン部分を不完全硬化し他方を硬化するか、或いは、パターン部分を不完全硬化し非パターン部分の温度を上げて非パターン部分を等方相にした後に硬化もしくは不完全硬化する。
    Figure 0004436274
    〔式中、Rは酸素原子で置換されてもよい、末端にビニル基を有する炭素数2〜20のアルケニル基を示す。〕
  2. 式中、RがCH CH OCH=CH を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 粘性の大きな液晶相若しくは中間相がヘキサゴナルカラムナー相である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 機能性分子の赤外吸収帯に相当する波長を有する赤外光を照射することで、機能性分子の分子配向を任意に制御し、この配向状態で重合することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  5. 以下の(1)〜(3)のいずれかのパターンが形成されたフィルム:
    (1) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
    性分子を硬化したフィルムにおいて、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該フィルムが分子配向に基づくパターンを有し、パターン部分と非パターン部分がいずれも液晶相もしくは中間相に基づく異方性を有し、且つ、パターン部分と非パターン部分の分子の配向方向がそれぞれ異なるフィルム;
    (2) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
    性分子を硬化したフィルムにおいて、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該フィルムが分子配向に基づくパターンを有し、パターン部分が液晶相もしくは中間相に基づく物性の異方性を有し、非パターン部分が等方的な物性を有するフィルム;
    (3) 粘性の大きな液晶相若しくは中間相を形成し得る1以上の重合性官能基を有する機能
    性分子の一部または全部を不完全硬化したフィルムにおいて、該機能性分子が下記一般式で表されるトリフェニレン化合物であり、該フィルムが液晶相ないし中間相のパターンを有し、パターン部分および非パターン部分いずれも不完全硬化であるか、或いはパターン部分もしくは非パターン部分のいずれか一方が不完全硬化であり、他方が硬化である、温度変化に伴い液晶相もしくは中間相または等方性液体相を有するフィルム。
    Figure 0004436274
    〔式中、Rは酸素原子で置換されてもよい、末端にビニル基を有する炭素数2〜20のアルケニル基を示す。〕
  6. 式中、RがCH CH OCH=CH を示す、請求項5に記載のフィルム。
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