JP6538658B2 - リチウムイオン電池を監視する方法及びこの方法の実現のための監視デバイス - Google Patents

リチウムイオン電池を監視する方法及びこの方法の実現のための監視デバイス Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン、すなわち「Li−イオン」タイプの蓄電池の分野に関する。具体的には、本発明は、電気化学セル又は電池を監視する方法に関する。また、本発明は、この監視方法を実現する監視デバイスに関する。
本発明は、エネルギストレージの分野に関し、詳しくは、リチウムイオン、すなわち「Li−イオン」電池の分野に関する。
オンボードアプリケーション及び固定アプリケーションの両方について、ユーザに信頼できる情報を提供するために、健康指標(health indicator)の開発が不可欠になっている。健康状態(state of health:SOH)は、電池消耗の指標である。これは、初期貯蔵容量(Cp initial)に対する貯蔵可能電気エネルギ(Cp)の合計の比率、すなわち、初期貯蔵容量(Cp initial)に対する実効容量(Cp)の比率である。
SOHパラメータは、電池の経年劣化を特徴付け、すなわち、電池の使用に伴う劣化の程度を、失われた容量(すなわち、レンジの損失)及び性能(供給される電力)によって特徴付ける。健康状態指標は、潜在的に大きく異なることがあり、電気化学的量(容量測定値及び電気抵抗)に基づいていてもよい。電気化学的指標は、電池の動作温度に影響を受けるため、利用が困難である。
電池の経年劣化の開始は、内部の構成要素を劣化させる電気化学的又は化学的メカニズムに起因する。電池経年劣化の原因となる内部メカニズムは、以下の通りである。
−電気化学的安定性の範囲に限界があることに起因する電解質の分解。この劣化により、溶媒分子の分解によってガスの放出が生じる。
−パッシベーションフィルムが粒子表面に形成されている場合(例えば、黒鉛ベースの電極の場合)、その経年劣化。この劣化は、パッシベーション層の破壊、及びリチウム化された電極が再び電解質に直接的に接触して新しいパッシベーション層が形成されることによるガス発生に起因する機械的現象に対応する。これらのイベントにより、材料への機械的応力が高まる。
−電極材料の分解。これは、結晶構造内の微小損傷(micro-fractures)、相の変化又は粒子の原子化、及びガス発生を意味する。
−集電体の腐食。
これらのメカニズムの組合せによって、性能の不可逆的な損失及び蓄電池内の力又は機械適応力の蓄積が生じる。
これらの劣化反応によって、電解質の分解又はコレクタの腐食によるガスの発生、パッシベーションフィルムの分解、結晶構造の破壊又は粒子の原子化が生じる。
現在までに開発されている又は開発途中の健康状態指標は、基本的に、電流及び電圧の2つの電気パラメータ、並びに以下に示すこれらに関連する量の変化に基づいている。
−クーロンカウント(又はアンペア時尺度)。これは、再較正関数が存在し、電流を正確に判定できると仮定した場合、正確な指標である。
−等価回路モデルに基づくインピーダンス測定及び特徴パラメータの抽出。これは、正確な指標であるが、温度に敏感である。また、実現が困難でもある。
したがって、温度依存性がなく、実現が容易な指標があれば有益である。
(電流/電圧ストレス下の)サイクリングの間又は(ストレスなしでの)時間の経過に伴う性能損失は、電極に存在する活物質(active materials)の結晶分解、拡張現象(粒子の収縮)によるこれらの構造の結束の損失、又はガス放出に起因し、これらは、音響現象を発生させ、並びに、これらを特別なセンサによって感知できれば、音響信号を蓄電池の健康状態に関連付けることができ、電池の制御システムにおける音響パラメータに基づく新しい状態指標を想定することができる。
特許文献EP2575205は、電池の状態の変化を検出する方法を開示している。この方法は、同じタイプの試験電池に基づく較正の予備ステップを必要とし、続いて、これを用いて、電池の異なる内部の状態についての試験電池の音響シグネチャを判定する。これらのシグネチャの判定は、非常に大規模なストレージ及び演算資源を必要とする。使用の間に電池の状態の変化を検出することは、時間の経過に伴う音響シグネチャの変化を検出することと、現在の音響シグネチャを先に保存されている参照シグネチャと比較することとを含む。また、この方法も高い演算容量を必要とする。これらの制約のために、この方法は、状態の変化をリアルタイムに検出することに不向きである。
本発明の目的は、先行技術から知られる監視方法を改善して、上述の課題を解決できる監視方法を提供することである。具体的には、本発明は、単純で、信頼性が高く、侵入的ではなく、経済的な電池監視方法を提案する。
本発明に基づく、電池の音響活動のセンサを用いて、電池の健康状態を判定する方法は、
特に動作中に、充電及び/又は放電動作による電池の使用期間に対応する電池の使用の基本サイクル内で、センサによって少なくとも1つの音響イベントを検出するステップと、
特に動作中に、使用の基本サイクル内で検出された音響信号毎に少なくとも1つのパラメータの値を判定するステップと、
特に動作中に、サイクル内で検出された音響信号毎に判定された少なくとも1つのパラメータを考慮する密度算出関数に基づいて、使用の基本サイクルについて音響密度の値を算出するステップであって、密度算出関数は、基本サイクルの間に検出されたイベントの数に基づく単調関数であるステップと、
特に動作中に、所与の音響密度値に対応する健康状態を知ることを可能にする関数的な関係又は所定のデータベースに基づいて、先に算出された音響密度値に対応する健康状態値を算出するステップとを有する。
本発明に基づく、試験電池の音響活動のセンサを用いて、試験電池を特徴付ける方法は、試験電池の使用の連続した基本サイクルの間に実行される、複数の連続した試験動作を含み、各試験動作は、
特に動作中に、充電及び/又は放電動作による試験電池の使用期間に対応する試験電池の使用の基本サイクルの間に、センサによって少なくとも1つの音響イベントを検出するステップと
特に動作中に、使用の基本サイクル内で検出された音響信号毎に少なくとも1つのパラメータの値を判定するステップと、
特に動作中に、サイクル内で検出された音響信号毎に判定された少なくとも1つのパラメータを考慮する密度算出関数に基づいて、使用の基本サイクルについて音響密度の値を判定するステップであって、密度算出関数は、基本サイクルの間に検出されたイベントの数に基づく単調関数であるステップと、
特に動作中に、基本サイクル中に又は基本サイクルの最後に、試験電池の健康状態を判定するステップと、
特に動作中に、関係する基本サイクルについて先に判定された健康状態及び音響密度値をデータベースに保存するステップとを有する。
音響密度値に対応する健康状態値の算出は、上に定義した特徴付け方法に従って、予め定められたデータベースに基づいて実行してもよい。
特徴付け方法は、データベースに基づいて、所与の音響密度値について、試験電池の健康状態を知ること可能にする関数的な関係を判定するステップを更に有していてもよい。
音響密度値に対応する健康状態値の算出は、上に定義した特徴付け方法に従って、予め定義されたデータベースに基づいて実行してもよい。
少なくとも1つのパラメータは、音響イベントの検出に対応していてもよく、基本サイクルについて定義される音響密度値は、サイクルの間に検出されるイベントの数に対応していてもよい。
この方法は、現在の基本サイクルについての音響密度値を測定するステップの後、N個の直近の音響密度値の平均に対応する円滑化された音響密度値を算出するステップを有していてもよく、円滑化された音響密度値は、データベースに保存され及び/又は健康状態の算出のために使用してもよい。
音響信号の少なくとも1つのパラメータは、
音響信号の振幅、
音響信号のエネルギ、
音響信号の立ち上がり時間、
音響信号の振動の周波数、
音響信号の期間、
閾値を超える箇所に対応する音響信号の「ヒット」の数、
音響ヒットの周波数、すなわち、音響信号における単位時間あたりの音響ヒットの数及び
音響イベントの存在から選択してもよい。
密度値は、音響信号の少なくとも1つのパラメータの値の合計に対応していてもよい。
添付の図面は、本発明に基づく監視デバイスの実施形態を例示的に表している。
第1のタイプの電池についての時間の経過に伴う音響活動強度の変化を表すグラフ図である。 第2のタイプの電池についての時間の経過に伴う音響活動強度の変化を表すグラフ図である。 完全な充電及び放電サイクルによる動作間の等価の原理を示す図である。 部分的な充電及び放電サイクルによる動作間の等価の原理を示す図である。 電池寿命の初期に対応する第1の時間範囲内の複数のサイクルに亘る、電池に配置された2つのセンサによって検出された音響活動の変化を、電池電圧の変化と共に表すグラフ図である。 電池寿命の末期に対応する第2の時間範囲内の複数のサイクルに亘る、電池に配置された2つのセンサによって検出された音響活動の変化を、電池電圧の変化と共に表すグラフ図である。 電池の健康状態の経時的な変化及び同期間に亘る電池内の音響現象の密度の移動平均を表すグラフ図である。 電池の健康状態と音響パラメータの強度の移動平均との間に存在する関係をモデル化するために用いることができる線形回帰直線を示すグラフ図である。 本発明の実施形態に基づく監視デバイスの実施形態を表す図である。 アコースティックエミッションを特徴付けるために用いることができる異なるパラメータを示すグラフ図である。 本発明に基づく特徴付け方法の実施形態のフローチャートである。 本発明に基づく監視方法の実施形態のフローチャートである。
上述したように、電池の性能の低下に関与する全ての内部の現象は、包括的に、構成要素の分解及びガスの発生の間に機械的な波の放出を引き起こす。これらの全ての現象により、音響信号が放出され、これらは、特定の周波数範囲の音響センサによって検出できる。
アコースティックエミッション(acoustic emission)は、材料内の局所的な微小変形(micro-displacements)に起因する一過性の弾性波の発生の現象と定義される。換言すれば、この物理的な現象を用いて、あらゆる種類の機械的応力の作用の下で進行する劣化を検出及び特定することができる。すなわち、アコースティックエミッションは、欠陥の成長を特定するだけではなく、欠陥の動力学的情報及び欠陥の進行プロセスに関する情報も提供する。周波数範囲は、通常、50kHz〜1.5MHzである。
本発明は、セル又は電池の動作中、特に、許容されている電圧範囲内での動作中にセル又は電池から放出されるアコースティックエミッション信号の使用に関する。これらの音響信号を使用し、処理することによって、健康状態に関する情報が提供される。健康状態に基づき、セル又は電池は、その用途に対して動作不能であると判定されることがあり、又はユーザ又は環境にとって危険であると判定されることもある。また、健康状態が既知になると、電池の他のパラメータ、例えば、充電の状態又はエネルギの状態を修正することもできる。
このように、本発明は、音響信号の分析に基づき、電池の健康状態の指標を確立する。この目的のために、電池が充電フェーズ又は放電フェーズで使用されているか、又は静置状態であるかを問わず、電池の全寿命に亘って、音響イベントを継続的に監視する。後述するように、記録された音響活動を用いて、電池の健康状態に関する情報を取得することができる。この変化は、電池技術に依存し、したがって、材料に影響を及ぼす分解のメカニズムに依存する。変化の分析は、使用されるリチウム技術に依存する。
図1は、リチウムの組み込みによって結晶構造及び材料の化学組成が変化する材料、例えば、CoO、Co、CuO、FeO等の転換反応化合物又は純金属(Si、Sn、Al、Sb…)又は2段階(SnO、CuSn)で形成されるリチウム合金等の材料を用いるリチウム技術において観察される変化の例を示している。この図から、電池の使用の初期に音響活動が速やかに低下し、この後、低下が緩やかになることがわかる。
図2は、二次元構造へのインターカレーションのために、リチウムの組み込みによって結晶構造が大きく変化しない材料、例えば、黒鉛又は薄板状酸化物LiMnO
タイプの化合物、又はスピネル酸化物、例えばLiMn等の3次元構造を有する材料を用いたリチウム技術の場合に観察される変化の例を示している。この図から、音響活動は、電池の使用の初期では非常に緩やかに増加し、使用の末期に非常に急激に増加することがわかる。
図1の場合、セルが経年劣化し、したがって、容量を失うにつれて、電気化学反応に参加する活物質が減るために音響活動が低下する。容量及びアコースティックエミッションのこの損失は、例えば、リチウム化合物の形成の間の金属粒子の原子化に起因し、すなわち、活物質の粒子と、粒子のネットワークが埋め込まれている高分子バインダとの間の接触が失われることに起因する。形成される粒子が小さくなると、電気的接触が失われ、音響雑音が低減される。
図2の場合、インターカレーション又は挿入タイプの結晶化材料が存在する。これらの構造は、一旦、形成及び要素サイクルが完了した後は、サイクリングの間、「より静か」である。このタイプの要素では、経年劣化におけるアコースティックエミッションは、パッシベーションフィルムの損傷及び/又はインターカレーション構造の劣化の特徴として生じる。この場合、音響活動は、時間とともに増加する。
本発明に基づく監視方法の実行のモードを実現するために、電池のサイクリング動作を一連の基本サイクルに「分割」する。各基本サイクルは、サイクリングの量的表現、すなわち、充電及び放電動作の基準値を用いて定義される。例えば、以下に詳細に説明するように、容量の値Ah、充電状態SOC(state of charge)の変化の値、エネルギの値、又は充電/放電における使用時間等の代表的な量を考慮してもよい。すなわち、選択された基準値に対応する代表的な量の正及び/又は負の変化を判定して、基本サイクルの開始及び終了時点を定義する。
この方法は、時間の関数として充電状態SOCを示す図3A及び図3Bに関して説明する以下の実例からより明瞭となる。
図3Aに示す第1のケースは、例えば、研究所における試験の間に実行される完全な充電/放電サイクルのシーケンスである。第1の時点t0では、SOCは、100%であり、次に、電池は、SOCが0%になる時点t1まで完全に放電され、次に、SOCが100%になる時点t2まで完全に充電される。
図3Bに示す第2のケースは、電池の使用に対応する。部分的又は完全な放電及び再充電による様々な振幅の一連のサイクルが観察される。この例では、第1の時点t0では、SOCが100%であり、時点t1までの部分的な放電d1によってSOCが50%になり、時点t2までの再充電によってSOCが75%になり、時点t3までの放電d2によってSOCが50%になり、時点t4までの再充電によってSOCが75%になり、時点t5までの放電d3によってSOCが25%になり、100%への部分的な再充電によってSOCが100%になり、完全な放電d4によってSOCが0%になっている。
第1の例では、基本サイクルは、基準容量値Crefを用いて定義され、これは、電池の公称容量に等しくてもよく、すなわち、使用電流及び電池寿命の初期の温度に関して、電池使用の公称条件において電池に保存できるアンペア時の値であってもよい。なお、電池の公称容量は、SOCが100%から0%になる電池の放電の間に供給されるアンペア時の値及び0%から100%への電池の充電の間に保存されるアンペア時の値に一致する。
基本サイクルは、放電動作の電流の積分値、すなわち、容量Ahの値として表される供給されたアンペア時の量が、この基準容量値に等しくなったときに完了したとみなされる。
したがって、最も単純な図3Aの例では、第1の基本サイクルは、時点t0から時点t1の間であるとみなされ、第2の基本サイクルは、時点t1から時点t3の間であるとみなされる。
実際的な観点からは、この方法は、基本サイクルの開始に一致する再初期化の時点から現在の時点までの間の放電における電流の積分値に一致する「放電容量Cdischarge」と呼ばれる量を監視し、放電容量が予め定義された基準容量になったときを基本サイクルの終了時点と判定する。
したがって、図3Bの例では、放電容量Cdischargeは、t0及びt1の間では、Cref/2によってインクリメントされ、t2及びt3の間では、Cref/4によってインクリメントされ、そして、t4及びt5の間に位置する時点T1までに、Cref/2によってインクリメントされるとみなされる。したがって、時点T1において、放電容量CdischargeがCrefに等しくなり、時点T1は、第1の基本サイクルの終了点及び次の基本サイクルの開始点になる。同じ計算を使用して、第2の基本サイクルの終了点は、時点の放電d4の間、SOCが25%になる時点T2になる。
同様に、基本サイクルの開始点となる再初期化の時点から現在の時点までの充電電流の積分値に対応する「充電容量Ccharge」と呼ばれる量を考慮することによって基本サイクルを定義することもできる。
充電容量Ccharge及び放電容量Cdischargeの組合せ(例えば、Cmeanと呼ぶ。)を考慮して、例えば、充電容量Ccharge及び放電容量Cdischarge両方が予め定義された基準容量に達したときに基本サイクルが終了したとみなすことによって、基本サイクルの開始点及び終了点を定義することもできる。
当業者にとって明らかなように、監視される量Ccharge、Cdischarge及びCmeanは、寿命の開始時にはゼロであり、基本サイクルが終了するたびに再初期化される。
必要であれば、経時的に測定される健康状態を用いて基準容量値自体を補正してもよい。このように、基本サイクルの判定によって、電池の実効容量の変化を考慮に入れることができる。
第2の例では、基本サイクルは、例えば、100%である充電状態SOCの変化の基準値を用いて定義される。この場合、SOCの負の変化が100%になったとき、例えば、図3Aにおける時点t0から時点t1まで及び時点t1から時点t3まで、又は図3Bにおける時点t0から時点T1まで及び時点T1から時点T2までに基本サイクルが完了したとみなされる。同様に、基本サイクルは、例えば、図3Aにおける時点t0から時点t2まで又は図3Bにおける時点t0から時点T’1までのように、SOCの正の変化が100%になったときに完了したとみなしてもよく、ここで、時点T’1は、時点t5と時点t6の間でSOCが75%になる時点に一致する。容量に関する上述の手法に加えて、この例では、SOCの変化について、SOCの正の変化及び負の変化の両方が100%の基準値に到達したときに基本サイクルが終了したとみなすこともできる。
第3の例では、基本サイクルは、使用の期間によって定義され、すなわち、中間の動作休止期間を参入しない有効な充電フェーズ及び放電フェーズの累積的な時間によって定義される。これは、充電/放電電流が一定である場合、充電及び放電の容量の計算に実質的に等しい。
上の例では、完全な充電/放電サイクルに相当する期間の量の変化に基づいて基本サイクルを定義しているが、この物理的な量の変化の振幅は、完全なサイクルの部分に対応するとみなしてもよく、複数の完全な充電/放電サイクルに対応するとみなしてもよい。更に、図3A及び図3Bに関して上述した例は、連続的な充電及び放電に関するものであるが、異なる充電フェーズ及び放電フェーズは、休止フェーズによって中断(分離)してもよい。
本発明が提案する方法を用いて監視できる電池の例は、負極がリチウムアルミニウム(LiAl)金属間化合物合金であり、正極がインターカレーション材料のリチウム二酸化マンガン(LiMnO)であるLiAl/LiMnO電池である。各電極で生じる反応を図5に示す。ここでは、包括的なケース及びx=1のケースにおけるバランス反応も示している。
図4及び図5は、C/20のレートで、すなわち、電池を20時間で完全に充電できる充電電流による電池のサイクリングの間に連続的に記録された音響活動を示すグラフである。電池の正極には、AEセンサ−1と呼ぶセンサを配置した。電池の負極には、AEセンサ−2と呼ぶセンサを配置した。充電フェーズ及び放電フェーズは、ゼロ電流緩和フェーズ(zero-current relaxation phases)によって分離されている。音響活動は、電池電圧によって変化し、放電の後(新しい充電が始まる前)の緩和フェーズで比較的高いことがわかる。また、(図4及び図5を比較することによって)時間とともにアコースティックエミッションパラメータの強度が低下することがわかる。
同じタイプの電池に対して異なる試験を行うことによって、例えば図6及び図7に示すようなグラフをプロットすることができる。グラフ6は、完了した基本サイクルの数の関数として健康状態及び音響活動の変化を表している。健康状態は、基準容量値に対するパーセンテージとして表される。完全な充電及び放電サイクルの場合、ここに示す音響活動は、音響イベント(ヒット)の密度を表すパラメータDの移動平均
Figure 0006538658
に対応する。ここに示す例では、健康状態は、音響活動とともに低下する。
図7のグラフは、ここに示す例における、基本サイクル毎に検出される音響イベントの数の移動平均に対応する円滑化された密度
Figure 0006538658
の関数として、健康状態SOHを表している。
Figure 0006538658
によって表される音響活動と健康状態の関係は、線形回帰法によって判定できることがわかる。図7に示すように、傾斜が小さい第1の線形関係を用いて、高いSOH(電池寿命の開始)と、基本サイクル毎に検出される100より多い音響イベントの円滑化された密度
Figure 0006538658
との関係をモデル化することができる。傾斜がより大きい第2の線形関係を用いて、98%未満から50%までの劣化したSOHと、100未満のイベントのより低い円滑化された密度
Figure 0006538658
との関係をモデル化することができる。
なお、基本サイクル毎の音響イベントの密度をDとすると、基本サイクルiにおけるその移動平均
Figure 0006538658
は、以下の式によって得られる。
Figure 0006538658
ここで、Nは、平均が算出される基本サイクルの数を表す。
図7に示す例では、数学的な関係fを用いて、
SOHを密度
Figure 0006538658
にリンクさせ、これは、以下のように表され、
Figure 0006538658
この関係は、例えば、上述した2つの線形関係を定義する式又はパラメータを用いて数式化される。この関係fを示すデータは、将来の使用のためにメモリに保存され、これを用いて、電池の使用の間に電池の健康状態を判定することができる。
試験フェーズで使用して、上述した関係
Figure 0006538658
を取得したタイプの電池を使用する場合、音響イベントの検出によって見出されるパラメータDの現在の値に基づいて、これらのデータを用いて、好ましくは、試験の後に見出される関係が、フィルタリングされた、換言すれば、平均化された密度値
Figure 0006538658
を考慮することによって取得される場合には、移動平均
Figure 0006538658
を用いて、電池の健康状態SOHを算出又は判定する方法を実行することができる。すなわち、ユーザは、音響イベントの検出に基づいて、電池の健康状態を確実に知ることができる。
1つ以上の電気化学セルを含む電池1を監視するデバイス2の実施形態について、図8を参照して以下に説明する。監視デバイスは、電池において生成されるアコースティックエミッションの検出及び分析に基づく。この目的のために、監視デバイスは、主に、電池内で発生するアコースティックエミッションに関するデータを取得するデバイス3と、電池の健康状態を判定する処理デバイス4とを備える。
データ取得デバイスは、例えば、電気化学セルに接触して配置され、又はセンサを1つの電気化学セルに「専用」にすることが望まれない場合、電池のケース上に配置された1つ以上の音響波センサ3a、3bを備えていてもよい。
取得デバイス3は、電池1で発生するアコースティックエミッションを検出し、これらを信号、特に電気信号に変換するように設計されている。この目的のために、取得デバイスは、アコースティックエミッションの発生箇所に可能な限り近くに配置することが望ましい。具体的には、取得デバイスは、セル又は電池の壁、例えば、セル又は電池の1つの表面に配置することが有用である。これにより、アコースティックエミッションは、セル又は電池の構成要素のみを通過して、取得デバイスに到達することができる。したがって、取得デバイスは、セル又は電池に固定してもよい。第1のセンサ要素は、正極端子に配置してもよい。第2のセンサ要素は、負極端子に配置してもよい。取得デバイスは、音響タイプ又は他のタイプのデバイスであってもよく、例えば、加速度計であってもよく、ここで、重要な特徴は、セル又は電池で発生するアコースティックエミッションを検出し、これを分析可能な信号に変換する能力である。取得デバイスは、圧電タイプであってもよい。特に、取得デバイスを使用して、周波数の範囲が1kHzから3MHzまで、特に、50kHzから1.5MHzまでのアコースティックエミッションを検出及び変換できる。
この例では、取得デバイスは、外れ値データ(outlier data)を除去するデバイス3cを更に備え、これは、例えば、複数のセンサを使用する場合、複数の検出に基づいて動作してもよい。
取得デバイスの出力において取得される信号は、アコースティックエミッションを引き起こす現象と、セル又は電池内で生じ取得デバイスに伝達されるアコースティックエミッションの関数であり、及び1又は複数のセンサが受信した信号の出力信号への取得デバイスによる変換の関数である。
そして、取得デバイスの出力信号は、信号処理デバイス4に供給される。例えば、この信号処理デバイスは、前置増幅器5、フィルタ6、増幅器7、及び必要に応じて、図示しない電気信号成形要素を備える。
この処理デバイス4を用いて、分析デバイス8が受信した各音響信号を分析することによって、電池内で検出されたアコースティックエミッションを特徴付けることができる。分析デバイスを用いて、以下に定義する音響信号の1つ以上のパラメータを判定することができ、及びこれらの値に基づいて、本発明の方法を用いて電池の健康状態値を取得することができる。そして、この健康状態値SOHは、他の如何なるシステムによっても使用できる。特に、健康状態値を人間−機械インターフェースに送信し、ユーザに電池の健康状態を知らせることができる。
監視デバイスは、本発明が提案する監視方法を実現するための全てのハードウェア及び/又はソフトウェア要素を備える。
取得デバイスの一部は、ソフトウェア手段から構成してもよい。同様に、処理デバイスの一部又は全部をソフトウェア手段から構成してもよい。
本発明に基づく電池の健康状態を判定する方法の異なる実施形態を以下に説明する。工場で実行できる特徴付け方法(characterization method)では、1つの特定のタイプの電池について、電池の健康状態と、電池内の音響イベントの密度を反映するパラメータとの間の関係を確立する。そして、この関係を用いて、電池の寿命の間に、電池を使用しながら電池の健康状態を判定することができる。
較正方法、並びにこれに続く、特徴付け方法によって定義される関係を用いて電池の健康状態を判定するための方法は、類似した概念及び処理を使用する。これらの2つの方法は、上述したように、充電/放電サイクル又は時間を基本サイクルに「分割」する。基本サイクル毎に電池によって放出される音響信号を検出し、音響信号毎に、音響信号の1つ以上の特徴的パラメータを判定する。そして、基本サイクルの間に測定された音響信号毎に記録される1つ以上の特徴的パラメータによって得られる値に基づいて、基本サイクル毎に密度値Dを測定する。
図9は、電池の音響イベントについて記録された音響信号を表している。音響信号の特徴的パラメータは、以下のパラメータの1つ以上に対応していてもよい。
−音響信号の振幅
−音響信号のエネルギ
−音響信号の立ち上がり時間
−音響信号の振動の周波数
−音響信号の期間
−閾値を超える箇所に対応する音響信号の「ヒット」の数
−音響ヒットの周波数、すなわち、音響信号における単位時間あたりの音響ヒットの数
−例えば、少なくとも1つのヒット、及び必要に応じて、音響信号の最小の振幅及び/又は時間間隔の検出による音響イベントの存在(バイナリ概念:音響信号が出現している間、「存在」=1)
なお、1つの音響イベントに対応する音響信号のピーク、ヒット又は振動の周波数は、時間の経過に伴うアコースティックエミッションの出現の周波数とは区別される。
基本サイクルの間に音響信号毎に記録された特徴的パラメータ又は複数の特徴的パラメータの組合せに基づいて基本サイクルの間に記録された音響イベントの密度を表す密度値Dを算出する。最も単純な例では、密度Dは、基本サイクルの間の「存在」パラメータが有効になった回数に等しい。密度Dは、検出されたイベントの各振幅の合計であってもよく、イベント毎に算出される振幅と期間の積の合計等であってもよい。密度Dは、以下のように定義できる。
Figure 0006538658
ここで、pjは、基本サイクルのj番目の音響信号について記録されるパラメータ値又は複数のパラメータ値の組合せであり、nEは、検討中の基本サイクルのイベントの数である。
密度Dは、上述の場合のように、合計であってもよいが、基本サイクルの各音響信号の1又は複数のパラメータ値を考慮する他の関数を使用してもよい。但し、本発明においては、Dの算出のための関数は、基本サイクルにおいて検出されるイベントの数の関数として増加又は減少する単調関数であることが重要である。
更に、iによって表される現在の基本サイクル毎に、フィルタリング(低域通過フィルタリング)され又は
Figure 0006538658
として表される円滑化された密度値Dを用いることが望ましい。この
Figure 0006538658
として表される円滑化された密度は、以下のように、N回の基本サイクルに亘る移動平均に対応していることが望ましい場合がある。
Figure 0006538658
以下、図10を参照して特徴付け方法の例を説明する。この特徴付け方法は、新しい試験電池を用いて、試験電池が動作しなくなったと判定されるまで、又は予め定められた最低SOH基準、例えば、60%の健康状態値SOHに基づく試験電池の寿命の終了まで、試験電池の充電及び放電を繰り返すことによって実行される。これらの充電/放電サイクルの間、健康状態は、本発明の評価デバイス以外の評価デバイスによって評価される。例えば、充電及び放電のアンペア時を積分し、試験電池の現在の容量の値を取得し、これを初期の容量と比較して、健康状態値を取得してもよい。更に、これらの試験電池サイクルの間、時間又はサイクルは、例えば、新しいサイクル毎に0にリセットされ、各基本サイクルの終了時に基準値に等しくなるサイクル指標Cを監視することによって、基本サイクルに分割される。
以下、この方法について、図10のフローチャートを参照して詳しく説明する。
第1のステップ100では、サイクル指標Cを初期化する。
ステップ110では、音響イベントを検出する。
ステップ120では、音響信号の1つ以上の特徴的パラメータP1〜Pmを算出/判定し、ここで、mは、整数であり、特徴的パラメータP1〜Pmに基づいて、パラメータPの何らかの組合せが算出される。
ステップ130では、進行中の基本サイクルについて記録された各イベントについて記録されたパラメータPの関数Fに等しい密度値Dを算出する。密度Dがパラメータの合計、例えば、各イベントについて記録された振幅の合計である場合、進行中の基本サイクル内で新しい信号が出現するたびに値Dがインクリメントされる。
ステップ140では、現在の基本サイクルが終了したかを判定する。この判定の結果が否定的である場合、ステップ110、120及び130に戻ることによって、必要に応じてイベントの検出を続ける。この判定の結果が肯定的である場合、ステップ100に戻ることによってサイクル指標Cを再初期化する。
先のステップにおける判定の結果が肯定的である場合、(サイクルの終了)、方法は、ステップ150に進み、上述した関連評価デバイスによって健康状態値SOHを評価する。
オプションであるステップ160では、必要に応じて、(幾つかサイクルの後に)既知となる前のサイクルで見出された密度Diの値に基づいて、終了した基本サイクルiについて、円滑化された密度値
Figure 0006538658
を算出する。
ステップ170では、基本サイクルiに対応する健康状態情報SOHi、記録された密度値Di及び円滑化された密度値
Figure 0006538658
を保存する。
試験電池の寿命の最後に実行されるステップ180では、健康状態SOHと、密度値Di、好ましくは、密度値
Figure 0006538658
との間の関数的な関係を定義する。
これにより、特徴付け方法は終了する。
試験電池と同じタイプの電池を使用する場合、上述した特徴付け方法によって見出された関数的な関係を用いて、使用中の電池の健康状態値を判定することができる。この判定のために使用できる方法の例を図11に示す。
電池の使用の間、ステップ200〜240では、それぞれ、上述したステップ100〜140と同じ手法に基づいて、アコースティックエミッションを監視し、計算を実行する。
各基本サイクルの最後に、すなわちステップ240での判定が肯定的であるとき、ステップ250において、(幾つかサイクルの後に)既知となる前のサイクルで見出された密度Diの値に基づいて、又は先に見出された円滑化された密度値
Figure 0006538658
に基づいて終了した基本サイクルiについて円滑化された密度値
Figure 0006538658
を算出する
ステップ260では、サイクルiについて先に算出された値Di及び/又は
Figure 0006538658
を保存する。
ステップ270では、先に算出された値Di又は
Figure 0006538658
及び健康状態SOHと密度値Di又は円滑化された密度値
Figure 0006538658
との間の予め定義された関数的な関係に基づいて、サイクルiについての現在の健康状態値SOHiを判定する。
特徴付け方法及びこれに続くSOHを判定する方法の1つの実施形態では、サイクル毎に健康状態SOHi及び密度Di又は
Figure 0006538658
に関する情報のみをデータベースに保存し(ステップ170参照)、このデータベースを判定方法のステップ270で使用して、電池の現在の健康状態を検出する。この目的のために、データベース及び密度値を使用して健康状態を算出する最適化アルゴリズムを使用することができる。
特徴付け方法及びこれに続くSOHを判定する方法の他の実施形態では、ステップ180と同様に、健康状態と密度Di又は
Figure 0006538658
との間の関数的な関係を判定する。この関係は、例えば、処理デバイス8の演算ユニットに保存される。数学的な関数的な関係は、例えば、密度値を健康状態値にリンクするアフィン関係(affine relations)を含み、又は個別の密度の間隔に亘って有効な複数のアフィン関係を含む。アフィン関係は、特に、保存及び後の使用が容易であり、すなわち、傾斜及びy切片の2つの値のみを記録することによってメモリに保存できる。同様に、この数学的な関係を使用してDi又は
Figure 0006538658
に基づいて健康状態を算出することは、特に、単純で、リソース負荷が軽い。
多くのケースがそうであるように、使用される電池が不完全な充電/放電サイクルを実行する場合、健康状態を判定する方法を適応化する対策を用意し、実行されるサイクルのタイプを考慮に入れてもよい。実際、図4は、充電状態SOCの全範囲に亘ってイベントの数が一様ではないことを示している。この具体例では、SOCが80%以上で充電が高いとき、音響イベントの数は、比較的少ない。逆に、SOCが40%未満で充電が低いとき、音響イベントの数は、比較的多い。健康状態と音響密度Dとの間の関数的な関係は、所与のタイプのサイクリング、例えば、完全なサイクリングについて取得されるため、電池の充電状態が、例えば、常に50%より大きい場合、この関数的な関係を使用することによって、健康状態が誤って判定される可能性がある。実際のサイクリングの特徴を考慮に入れるために、実行される基本サイクルにおけるSOC(又は類似した情報を提供する他のパラメータ、例えば電圧)を分析し、SOCの記録された値を考慮に入れながら、健康状態の判定を行うことができる。
1つの可能な補正は、例えば、SOCが50%〜100%である「高い」サイクリングと、SOCが0%〜50%である「低い」サイクリングとを想定し、特徴付けフェーズにおいて異なる種類のサイクリングを実行することである。これによって、2つのデータベース及びしたがって2つの関数的な関係が取得され、電池が実行するサイクルの性質に応じて、後にこれを使用することができる。
これに代えて又はこれに加えて、電池使用の特定の条件のみでSOHを判定する方法を使用する対策を講じてもよい。例えば、現在のサイクルのSOCの大部分が80%より大きかった場合、又は大部分が20%より小さかった場合、又は電池のタイプによって許容できるとみなされる何らかの他の閾値又は基準に基づいて、SOHを推定しないという対策を講じてもよい。
音響密度Di又は
Figure 0006538658
に基づいて健康状態を検出するために用いられる数学的な関係は、好ましくは、個別の音響密度の間隔に亘って有効な1つ以上のアフィン関係を含む。
このように、換言すれば、本発明に基づく、電池の健康状態を判定する方法は、動作中にデータを検出及び/又は取得する第1のフェーズと、これに続いて、特に動作中にデータを判定及び/又は分析及び/又は処理する第2のフェーズと、次に、第2のフェーズの結果に基づいて健康状態を判定する第3のフェーズとを含む。
好ましくは、本発明に基づく方法では、第1のフェーズにおいて、動作中にデータを検出及び/又は取得し、特に、充電及び/又は放電動作による電池の使用期間に対応する電池の使用の基本サイクル内で、センサによって少なくとも1つの音響イベントを検出する。すなわち、充電及び/又は放電動作による電池の使用期間に対応する電池の使用の基本サイクル内で、動作中にセンサによって少なくとも1つの音響イベントを検出することが好ましい。
好ましくは、本発明に基づく方法では、第2のフェーズにおいて、特に動作中にパラメータ値を判定し、及び/又はデータを分析及び/又は処理する。この第2のフェーズは、動作中に実行される。特に、この第2のフェーズでは、使用の基本サイクル内で検出された音響信号毎に少なくとも1つのパラメータの値を判定し、サイクル内で検出された音響信号毎に判定された少なくとも1つのパラメータを考慮する密度算出関数に基づいて使用の基本サイクルについて音響密度値を算出し、密度算出関数は、基本サイクルの間に検出されたイベントの数に基づく単調関数である。
好ましくは、本発明に基づく方法では、第3のフェーズにおいて、第2のフェーズの結果に基づいて健康状態を判定する。特に、所与の音響密度値に対応する健康状態を知ることを可能にする関数的な関係又は所定のデータベースに基づいて、先に算出された音響密度値に対応する健康状態値を算出する。
本明細書において、「動作中」という用語は、「機能している間」、又は「連続的に」、又は「電池が機能している間、すなわち、負荷に電流を供給し、又は電源によって再充電されることによって、電池がその機能を実行している間」を意味する。好適には、「動作中」という用語は、通常は、電池が電流を供給する負荷から電池が切り離され、及び/又は電池を再充電するための電源から電池が切り離される試験に関するフェーズのみを除外する。したがって、この用語は、試験のために電池が分離される純粋な及び/又は一回限りの診断のフェーズを除外する。
純粋な及び/又は一回限りの診断のフェーズでは、電池は、そのサービスを提供せず又はその機能を実行しない。これは、特定の電圧及び電流プロファイル(「検査」プロファイルと呼ばれる。)によって強調され、このプロファイルは、電池の典型的な動作プロファイルとは、非常に異なる。
このように、本発明に基づく方法では、電池は、各瞬間に又は継続的に、設計された機能、特に、負荷に電流を供給し及び電源から充電される基本的な機能を実行することができる。これにより、電池のサービス又は機能の継続性が提供される。電池の健康状態の判定は、電池の動作中又は使用の間に行われる。

Claims (9)

  1. 電池の音響活動のセンサ(3)を用いて、電池(1)の健康状態を判定する方法において、
    充電及び/又は放電動作による前記電池の使用期間に対応する前記電池の使用の基本サイクル内で、前記センサによって少なくとも1つの音響イベントを検出するステップと、
    前記使用の基本サイクル内で検出された音響信号毎に少なくとも1つのパラメータ(P)の値を判定するステップと、
    前記サイクル内で検出された音響信号毎に判定された前記少なくとも1つのパラメータ(P)を考慮する密度算出関数に基づいて、使用の基本サイクルについて音響密度の値
    Figure 0006538658
    を算出するステップであって、前記密度算出関数は、前記基本サイクルの間に検出されたイベントの数に基づく単調関数であるステップと、
    所与の音響密度値に対応する健康状態を知ることを可能にする関数的な関係又は所定のデータベースに基づいて、前記先に算出された音響密度値に対応する健康状態値を算出するステップとを有する方法。
  2. 試験電池の音響活動のセンサを用いて、前記試験電池を特徴付ける方法であって、前記試験電池の使用の連続した基本サイクルの間に実行される、複数の連続した試験動作を含み、各試験動作は、
    充電及び/又は放電動作による前記試験電池の使用期間に対応する前記試験電池の使用の基本サイクルの間に、前記センサによって少なくとも1つの音響イベントを検出するステップと
    前記使用の基本サイクル内で検出された音響信号毎に少なくとも1つのパラメータ(P)の値を判定するステップと、
    前記サイクル内で検出された音響信号毎に判定された前記少なくとも1つのパラメータ(P)を考慮する密度算出関数に基づいて、使用の基本サイクルについて音響密度の値
    Figure 0006538658
    を判定するステップであって、前記密度算出関数は、前記基本サイクルの間に検出されたイベントの数に基づく単調関数であるステップと、
    前記基本サイクル中に又は前記基本サイクルの最後に、前記試験電池の健康状態を判定するステップと、
    前記関係する基本サイクルについて先に判定された前記健康状態(SOH)及び前記音響密度値
    Figure 0006538658
    をデータベースに保存するステップとを有する方法。
  3. 前記データベースに基づいて、所与の音響密度値について、試験電池の健康状態を知ること可能にする関数的な関係を判定するステップを更に有する請求項2記載の試験電池を特徴付ける方法。
  4. 前記音響密度値に対応する健康状態値の算出は、請求項2記載の試験電池を特徴付ける方法に基づいて、予め定義されたデータベースに基づいて実行される請求項1記載の電池の健康状態を判定する方法。
  5. 前記音響密度値に対応する健康状態値の算出は、請求項3記載の試験電池を特徴付ける方法に基づいて、所定の関数的な関係に基づいて実行される請求項1記載の電池の健康状態を判定する方法。
  6. 前記少なくとも1つのパラメータは、音響イベントの検出に対応し、基本サイクルについて定義される前記音響密度値(Di)は、前記サイクルの間に検出されるイベントの数に対応する請求項1乃至5何れか1項記載の方法。
  7. 現在の基本サイクルについての音響密度値(Di)を測定するステップの後、N個の直近の音響密度値の平均に対応する円滑化された音響密度値
    Figure 0006538658
    を算出するステップを有し、前記円滑化された音響密度値は、前記データベースに保存され及び/又は前記健康状態の算出のために使用される請求項1乃至6何れか1項記載の方法。
  8. 前記音響信号の少なくとも1つのパラメータは、
    音響信号の振幅、
    音響信号のエネルギ、
    音響信号の立ち上がり時間、
    音響信号の振動の周波数、
    音響信号の期間、
    閾値を超える箇所に対応する音響信号の「ヒット」の数、
    音響ヒットの周波数、すなわち、音響信号における単位時間あたりの音響ヒットの数及び
    音響イベントの存在から選択される請求項1乃至7何れか1項記載の方法。
  9. 前記密度値(Di)は、前記音響信号の前記少なくとも1つのパラメータの値の合計に対応する請求項8記載の方法。
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