JP6538103B2 - 車体フロア構造 - Google Patents
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Description
カバー部材1の内部には、スライドドアのスライド動作をガイドするスライドレールが収められている。サイドシル32の側面部32Aには前後方向に長手の開口部37(図4)が形成されており、スライドドアに設けられたアームが開口部37を通ってスライドレールに連結している。図1に示すように、カバー部材1の車幅方向内側に燃料タンク36が位置している。前記したように燃料タンク36は車体31の車幅中心よりも右寄りに配置されているため、左側よりも右側のカバー部材1の方が燃料タンク36との距離が近い。以下では、右側のカバー部材1に本発明を適用した場合について説明する。
カバー部材1は、図6に示すように、フロアパネル33とサイドシル32の側面部32Aおよび下面部32Cとに跨って取り付けられる箱形状を呈している。図4に示すように、本実施形態のカバー部材1は、車両前寄りの前カバー部材2と、車両後寄りの後カバー部材3とに分割して構成されている。さらに、前カバー部材2は、側面カバー部材4と底面カバー部材5とを備えて構成されている。
側面カバー部材4は、フロアパネル33の下面にあてがわれて第1の複数溶接部13を形成する第1接合フランジ15と、第2の複数溶接部14を形成する第2接合フランジ16と、を有している。第1接合フランジ15と第2接合フランジ16とは、所定の荷重入力方向P(図3)との交差方向において、互いに脆弱部17を挟んで配置されている。本実施形態では、前記「所定の荷重入力方向P」とは、車両の側面衝突等による「車幅方向内側に向かう方向」である。したがって、これとの交差方向である車両前後方向において、第1接合フランジ15と第2接合フランジ16とは、互いに脆弱部17を挟んで配置されている。
脆弱部17は、前面部6と側面部7との間に形成された湾曲状のコーナー部8から構成されている。コーナー部8は、荷重入力方向Pに向けて凸形状となる位置に形成されている。ここで、コーナー部8を挟んで配置された第1接合フランジ15および第2接合フランジ16について考察する。図3において、仮に、第1接合フランジ15の第1側辺15Aを、仮想線15Aaで示すようにコーナー部8の頂点18の近傍まで延ばして形成した場合、または、第2接合フランジ16の第1側辺16Aを、仮想線16Aaで示すように頂点18の近傍まで延ばして形成した場合、所定の荷重入力に対し、コーナー部8での所望の変形が第1接合フランジ15または第2接合フランジ16によって抑制されるおそれがある。その場合、コーナー部8の変形による衝撃エネルギーの吸収が足りずに、第1の複数溶接部13および第2の複数溶接部14に過大なせん断荷重がかかることがある。そして、第1の複数溶接部13および第2の複数溶接部14が剥離した場合には、第1接合フランジ15や第2接合フランジ16が燃料タンク36と干渉するおそれがある。
第1の複数溶接部13と第2の複数溶接部14とは、それぞれ、少なくとも3つの溶接部が三角状に配置されている。第1の複数溶接部13は、第1側辺15A寄りと第2側辺15B寄りとにそれぞれ前面部6の上縁から等距離で位置する溶接部13A,13Bと、第1側辺15Aの先端寄りに位置する溶接部13Cと、を備えて構成されている。溶接部13A〜13Cを互いに結ぶ仮想線20から判るように、溶接部13A〜13Cは三角状に配置されている。同様に、第2の複数溶接部14は、第1側辺16A寄りと第2側辺16B寄りとにそれぞれ側面部7の上縁から等距離で位置する溶接部14A,14Bと、第1側辺16Aの先端寄りに位置する溶接部14Cと、を備えて構成されている。溶接部14A〜14Cを互いに結ぶ仮想線21から判るように、溶接部14A〜14Cは三角状に配置されている。このように第1の複数溶接部13、第2の複数溶接部14を、少なくとも3つの溶接部が三角状に配置されるようにすることで、溶接部に加わるせん断荷重を分散させることができる。
図2において、フロアパネル33には、上下方向に膨出して干渉禁止部品(燃料タンク36)の外郭に略沿って延出し、その一部がカバー部材1の脆弱部17と上下方向に重なるビード部38が形成されている。図1に示すように、燃料タンク36の右側面には、後方に向かうにしたがい車幅方向内側に傾斜する傾斜部36Aが形成されている。この傾斜部36Aとサイドシル32との間におけるフロアパネル33に、概ね傾斜部36Aに沿って、すなわち後方に向かうにしたがい車幅方向内側に傾斜するように延出し、下方向に膨出するビード部38が形成されている。図2において、ビード部38の後端38A周りは、幅広となったうえで若干車幅方向外側に傾斜するように形成されており、この後端38Aの下方に、図5(a)にも示すように、脆弱部17を構成するコーナー部8が重なるように配置されている。
図2、図4、図6において、後カバー部材3は、車両後方に向かうにしたがい車幅方向外側に傾斜するように延在する側面部22と、側面部22の下端から車幅方向外側に水平状に延在する底面部23とを備えて構成されている。前カバー部材2の側面部7と同様に、後カバー部材3の側面部22も、下方に向かうにしたがい若干車幅方向外側に傾斜するように延在している。側面部22と前カバー部材2の側面部7とは、各々前縁と後縁同士が重なって溶接で接合されることで、カバー部材1全体の側面を構成する。底面部23と前カバー部材2の底面部10とは、各々前縁と後縁同士が重なって溶接で接合されることで、カバー部材1全体の底面を構成する。
図7、図8において、サイドシル32の上面部32Bにはセンタピラー39が立設されている。後カバー部材3とセンタピラー39との間には、車幅方向に延設しセンタピラー39と後クロスメンバ35とを連結する補強ブラケット26が介設されている。補強ブラケット26は、車幅方向に、具体的には車幅方向内側に向かうにしたがい若干前方に傾斜して水平状に延びる基面部26Aと、基面部26Aの前縁および後縁で下方に曲げ加工された補強面部26B,26Bと、各補強面部26Bの車幅方向内側端から延びて後カバー部材3の側面部22に接面する接合フランジ26C,26Cと、を備えた形状からなる。補強ブラケット26は、後クロスメンバ35と車幅方向に一直線状に並んで配置されている。
2 前カバー部材
3 後カバー部材
4 側面カバー部材
5 底面カバー部材
6 前面部
7 側面部
8 コーナー部
10 底面部
13 第1の複数溶接部
14 第2の複数溶接部
15 第1接合フランジ
16 第2接合フランジ
17 脆弱部
22 側面部
23 底面部
26 補強ブラケット
31 車体
32 サイドシル
33 フロアパネル
35 後クロスメンバ
36 燃料タンク(干渉禁止部品)
38 ビード部
39 センタピラー
Claims (8)
- 取付部品がフロアパネルに溶接により取り付けられた車体フロア構造であって、
前記取付部品は、前記フロアパネルにあてがわれて第1の複数溶接部を形成する水平状の第1接合フランジと第2の複数溶接部を形成する水平状の第2接合フランジとを有し、
前記第1接合フランジと前記第2接合フランジとは、所定の横方向の荷重入力方向との交差方向において、互いに脆弱部を挟んで配置され、
前記脆弱部は、前記第1接合フランジの基端辺と前記第2接合フランジの基端辺とが交差して前記荷重入力方向に向けて凸形状となる位置に形成された前記取付部品の湾曲状のコーナー部であることを特徴とする車体フロア構造。 - 前記第1の複数溶接部または前記第2の複数溶接部は、少なくとも3つの溶接部が三角状に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車体フロア構造。
- 前記第1の複数溶接部は、前記第1接合フランジの基端辺との略直交方向に配置された複数の溶接部を備え、
前記第2の複数溶接部は、前記第2接合フランジの基端辺との略直交方向に配置された複数の溶接部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体フロア構造。 - 前記第1接合フランジおよび前記第2接合フランジは、前記コーナー部の湾曲範囲から外れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車体フロア構造。
- 取付部品がフロアパネルに溶接により取り付けられた車体フロア構造であって、
前記取付部品は、前記フロアパネルにあてがわれて第1の複数溶接部を形成する第1接合フランジと第2の複数溶接部を形成する第2接合フランジとを有し、
前記第1接合フランジと前記第2接合フランジとは、所定の荷重入力方向との交差方向において、互いに脆弱部を挟んで配置され、
前記フロアパネルにおいて、
上下方向に膨出し一部が前記脆弱部と上下方向に重なるビード部が形成されていることを特徴とする車体フロア構造。 - 取付部品がフロアパネルに溶接により取り付けられた車体フロア構造であって、
前記取付部品は、前記フロアパネルにあてがわれて第1の複数溶接部を形成する第1接合フランジと第2の複数溶接部を形成する第2接合フランジとを有し、
前記第1接合フランジと前記第2接合フランジとは、所定の荷重入力方向との交差方向において、互いに脆弱部を挟んで配置され、
前記取付部品は、スライドレールをカバーするカバー部材であり、前記フロアパネルとサイドシルの側面および下面とに跨って取り付けられる箱形状を呈していることを特徴とする車体フロア構造。 - 前記カバー部材は、車両前寄りの前カバー部材と車両後寄りの後カバー部材とに分割され、
前記後カバー部材は、前記前カバー部材よりも引っ張り強度が高く形成されるとともに、クロスメンバに連結されていることを特徴とする請求項6に記載の車体フロア構造。 - 前記後カバー部材とセンタピラーとの間に、車幅方向に延設し前記センタピラーと前記クロスメンバとを連結する補強ブラケットが介設されていることを特徴とする請求項7に記載の車体フロア構造。
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