JP6533435B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、光取り出し効率が向上し、高い輝度を有する有機EL素子に関する。
有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)は自発光型の素子であり、発光効率、画質、消費電力等に優れ、さらにはデザイン性(薄型)に優れた発光素子としてディスプレイ、照明等の用途に期待されている。有機ELディスプレイは、従来のCRTやLCDと比較して視認性が高い、視野角依存性がないといった表示性能の利点を有し、またディスプレイを軽量化、薄層化できるといった利点も有している。有機EL照明は軽量化、薄層化といった利点に加え、フレキシブルな基板を用いることでこれまで実現できなかった形状の照明を実現できる可能性を有している。
有機EL素子は、一般に、発光層を含め素子を構成する各層の屈折率が空気より高い(例えば、発光層など有機層の屈折率は1.6〜2.1である。)ため、発光した光は界面で全反射しやすく、その光取り出し効率は20%に満たず、大部分の光を損失している。
有機EL素子における光損失に関して、図6を参照にして説明する。有機EL素子は、図6に示すように、基本的には、第一電極10(背面電極)、発光層を含み2〜3層からなる有機層20、第二電極30(透明電極)及び透明基板40が積層されてなる構成を有し、例えば、第一電極10から注入された正孔と第二電極30から注入された電子とが有機層20で再結合し蛍光性物質などを励起することにより発光するものである。有機層20から発光した光は、直接又はアルミニウムなどで形成される第一電極10で反射して、透明基板40から出射する。しかしながら、図6に示すように、有機層20の内部で発生した光Lb及び光Lcは、屈折率の異なる隣接層界面に入射する角度によっては全反射を起こし、表示装置内部を導波してしまい外部に取り出すことができない。この導波する光の割合は隣接層との相対屈折率で決まり、一般的な有機EL素子の構成:[空気(n=1.0)/透明基板(n=1.5)/透明電極(n=2.0)/有機層(n=1.7)/背面電極]の場合には、外部(空気)に放出されず表示装置内部を導波する光の割合は81%となる。すなわち、発光量全体の19%しか有効に利用できない。
光取り出し効率を向上させるには、(1)透明基板/空気界面での全反射を防止し「有機層+透明電極+透明基板」を導波する光(図6のLb)を取り出す、(2)透明電極/透明基板界面での全反射を防止し「有機層+透明電極」を導波する光(図6のLc)を取り出す施策が必須である。
前記(1)に関しては、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板/空気界面での全反射を防ぐ方法が提案されている(特許文献1参照)。
前記(2)に関しては、透明電極/透明基板界面や発光層/隣接層界面を回折格子状に加工する方法(特許文献2及び特許文献3参照)が提案されている。例えは、発光層/隣接層界面に回折格子を形成する方法は、隣接層が導電性媒体からなり、回折格子の凹凸の深さは発光層の膜厚に対して40%程度で、凹凸のピッチと深さを特定の関係にすることで、導波光を取り出すものである。さらに、積層された有機層間の界面を凹凸に加工して発光効率を増加させる方法(特許文献4参照)も提案されている。この方法は、発光層の膜厚に対する深さが20%程度、界面の傾斜角が30°程度の凹凸を有機層間の界面に形成し、有機層同士の接合界面を大きくすることで発光効率を増大させるものである。しかしながら、これらの方法は加工が難しいうえに、通電時に絶縁破壊を起こし易い等の問題があり、有用な光の取り出し方法のさらなる開発が望まれている。
これに対し、透明電極と透明基板との間に光散乱層を配置することで、光取り出し効率を改善しつつ、画像のボケを低減させる方法が提案されている(特許文献5及び特許文献6参照)。例えは、特許文献5は、発光層から放出する光が有機物層を出射してから光透過性絶縁層に至るまでの光路上に微粒子分散層を配置した構成を開示しており、前記微粒子分散層は、感光性樹脂等のベース材料に平均粒径100〜350nmの多数の微粒子(TiO、ZrO又はZnO)が分散されていると記載している。
特許文献6は、透明電極と透明基板との間に、屈折率が1.6以上である高屈折率粒子(TiO、ZrO、ZnO、SnO等)を含有する光散乱層を設けた構成を開示しており、前記光散乱層にはさらに高屈折率を有する金属酸化物超微粒子(ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等)を含有しても良いと記載している。
しかしながら、特許文献5及び特許文献6に記載の方法は、光散乱層のベース材料としてそれぞれ屈折率が1.5〜1.6の材料及び1.6未満の材料を用いており、透明電極と光散乱層との界面における全反射に対する改良効果が小さく、さらなる光取り出し効率の向上が望まれている。
米国特許第4774435号明細書 特開平11−283751号公報 特開2002−313554号公報 特開2002−313567号公報 特開2006−107744号公報 特開2006−107744号公報
特開2009−259792号公報
従って、本発明の目的は、有機EL素子内部(時に、透明電極と透明基板との界面)で生じる全反射を抑制し、発光層で発生した光の取り出し効率を向上させた高い輝度を有する有機EL素子を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、特許文献5、特許文献6等に記載された光散乱層において、ベース材料の見かけの屈折率を高くして、かつより屈折率の高い光散乱粒子を含有させることにより、透明電極と光散乱層との界面における全反射をできるだけ小さくすることができるとともに、高い光散乱効果を得ることができるため、光取り出し効率をさらに向上できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の有機EL素子は、第一電極と、発光層を有する有機層と、第二電極と、高屈折率光散乱層と、透明基板とを順に有する有機EL素子であって、前記高屈折率光散乱層が、ダイヤモンド微粒子を含有することを特徴とする。
前記高屈折率光散乱層は、バインダーとメジアン径10〜200nmのダイヤモンド微粒子Aとからなり、前記ダイヤモンド微粒子Aの含有量が、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Aとの合計に対して、1〜50質量%であるのが好ましい。
前記高屈折率光散乱層中の前記ダイヤモンド微粒子Aの密度は、前記透明基板側から前記第二電極側に向かって高くなるように積層方向に勾配を有しているのが好ましい。
前記高屈折率光散乱層は前記ダイヤモンド微粒子Aの密度が異なる複数の層からなり、前記透明基板側から前記第二電極側に向かって層中の前記ダイヤモンド微粒子Aの密度が高くなるように配置されているのが好ましい。
前記高屈折率光散乱層は、前記第二電極の屈折率と前記透明基板の屈折率との間の屈折率を有するのが好ましい。
前記高屈折率光散乱層は、さらにメジアン径0.2〜50μmのダイヤモンド微粒子Bを、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Bとの合計に対して、1〜70質量%含有してもよい。
前記透明基板の前記高屈折率光散乱層と対向する側とは反対側に、可視域の光を散乱させるための低屈折率光散乱層を有するのが好ましい。
前記低屈折率光散乱層は、バインダーとメジアン径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子Bとからなり、前記ダイヤモンド微粒子Bの含有量が、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Bとの合計に対して、1〜70質量%であるのが好ましい。
本発明の有機EL素子は、光の取り出し効率に優れ、高い輝度を有するので、照明装置の光源、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の表示装置、プリンタヘッド等の露光装置等に好適である。また本発明の有機EL素子は、拡散層に含まれる光散乱体として色収差に優れるダイヤモンド微粒子を使用しているため、高い画質の表示装置を得ることができる。
本発明の第一実施形態の有機EL素子の層構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第一実施形態の有機EL素子の高屈折率光散乱層を模式的に示す断面図である。 コア/シェル型複合粒子の例を示す模式図である。 本発明の第二実施形態の有機EL素子の層構成を模式的に示す断面図である。 本発明の第二実施形態の有機EL素子の低屈折率光散乱層を模式的に示す断面図である。 有機EL素子の光取り出し効率を説明するための模式図である。
[1]有機EL素子の構成
<第一実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第一実施形態の有機EL素子1の層構成を模式的に示す断面図である。有機EL素子1は、少なくとも、第一電極10と、有機層20と、第二電極30と、高屈折率光散乱層50と、透明基板40とをこの順に積層した構成を有する。なお図1に記載の有機EL素子はボトムエミッション型の層構成を示す例であるが、本発明はトップエミッション型の有機EL素子にも適用できる。他の実施形態についても同様である。
(1)透明基板
透明基板40は、第一電極10と、有機層20と、第二電極30と、高屈折率光散乱層50とを支持するための平滑な板状の部材である。図1に示す有機EL素子1は、いわゆるボトムエミッション型の素子であり、有機層20から放射された放射光の光取り出し方向が透明基板40側となる。そのため、透明基板40は、透光性の部材が用いられ、可視域(400〜700nm)の光の透過率が50%以上であるのが好ましい。具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。またポリマー板としては、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエーテルサルファイド系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、トリアジン系樹脂等を原料として用いてなるものを挙げることができる。透明基板40としては、板状に限定されず、フィルム状であっても良い。通常、透明基板40として用いられるガラスの屈折率は1.5であり、ポリマーの中で、比較的屈折率の低いものは1.4程度であり、比較的屈折率の高いものは1.65程度であり、さらに屈折率の大きい材料としては2.0程度である。
(2)第一電極
第一電極10は、有機層20に隣接して設けられ、電極用材料が用いられる。第一電極10は、ボトムエミッション型の素子においては、光を反射させる材料で構成されることが好ましく、例えば、Al、Cu、Ag、Au等の金属や合金等で構成される第一電極10は、一層で構成してもよいし、複数層で構成してもよい。光を反射させる材料で構成される層同士を積層させてもよいし、透明な導電性部材で構成される層と光を反射させる材料で構成される層とを積層させてもよい。
(3)第二電極
第二電極30は、有機層20と高屈折率光散乱層50との間に有機層20と隣接して設けられる。第二電極30は、有機層20を挟んで第一電極10と対向して配置される。上述のとおり本実施形態では、有機層20から放射された放射光を透明基板40側から素子外部へ取り出すため、第二電極30は透明電極とする。この場合、第二電極30の可視域の光の透過率を10%より大きくすることが好ましい。第二電極30のシート抵抗は、数百Ω/□(オーム/スクエア)以下が好ましい。第二電極30の厚さは、材料にもよるが、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。本実施形態では、第二電極30を陽極とし、第一電極10を陰極とするが、第二電極30を陰極とし、第一電極10を陽極としてもよい。第二電極30には、電極用材料が用いられ、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(酸化インジウム亜鉛)(「IZO」は、登録商標である。)、ZnO(酸化亜鉛)等の透明電極材料が用いられる。透明電極材料の屈折率は1.7〜2.2程度である。
(4)有機層
有機層20は、第一電極10と第二電極30との間に設けられる。有機層20は、一層又は複数層で構成される。有機層20のうち少なくとも1層は発光層である。従って、有機層20は、一層の発光層で構成されていてもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層、電子障壁層等の有機EL素子で採用される層を有していてもよい。有機層20は無機化合物を含んでいてもよい。本実施形態では、有機層20は面状の発光領域を構成する。
発光層にはAlq[tris(8−hydroxyquinolinato)aluminium]等の発光材料が用いられ、赤色、緑色、青色、黄色等の単色光を示す構成のものや、それらの組み合わせによる発光色、例えば、白色発光を示す構成のもの等が用いられる。発光層を形成するにあたっては、ホスト材料に、ドーパント材料として発光材料をドーピングするドーピング法が知られている。ドーピング法で形成した発光層では、ホスト材料に注入された電荷から効率よく励起子が生成され、生成された励起子の励起子エネルギーをドーパント材料に移動させ、ドーパント材料から高効率の発光を得ることができる。本発明の一実施形態では、発光層を、一重項励起子による発光を利用する蛍光型発光層又は三重項励起子による発光を利用する燐光型発光層とすることができる。有機EL素子1の有機層20において、上述の例示した化合物以外に有機EL素子において使用される材料の中から任意の化合物を選択して用いることができる。
(5)高屈折率光散乱層
高屈折率光散乱層50は、有機層20の発光層から放射された放射光を効率的に有機EL素子1の外部へ取り出すために、第二電極30と透明基板40との間に配置される。高屈折率光散乱層50は、第二電極30の屈折率と透明基板40の屈折率との間の屈折率を有し、さらに可視域の光を散乱させる微粒子を含有するのが好ましい。前述したように、第二電極30の屈折率は1.5〜2.0程度、透明基板40の屈折率は1.7〜2.2程度であるので、高屈折率光散乱層50の屈折率は1.5〜2.2程度であるのが好ましい。第二電極30と高屈折率光散乱層50との界面及び高屈折率光散乱層50と透明基板40との界面における反射ができるだけ小さくなるように、高屈折率光散乱層50の屈折率を設定する。
このように第二電極30と透明基板40との間の屈折率を有する高屈折率光散乱層50を第二電極30に隣接して設けることにより、第二電極30と透明基板40との界面における屈折率差よりも、第二電極30と高屈折率光散乱層50との界面における屈折率差が小さくなるため、第二電極30から出射する際の光の臨界角がより大きくなり、より全反射が起こりにくくなる。そのため、第二電極30から出射する光量が増加する。さらに第二電極30から出射し高屈折率光散乱層50に入射した光は、高屈折率光散乱層50中に存在する微粒子によって散乱し、効率よく高屈折率光散乱層50から透明基板40に入射し、空気中に出射する。
高屈折率光散乱層50は、ダイヤモンド微粒子を含有する層であり、好ましくは、図2に示すように、バインダー51とダイヤモンド微粒子52とからなる。ダイヤモンド微粒子52は、後述するように、メジアン径10〜200nmのダイヤモンド微粒子A(52a)及び必要に応じてメジアン径0.2〜50μmのダイヤモンド微粒子B(52b)を含有する。ダイヤモンド微粒子A(52a)は主にバインダーの屈折率を高める働きを有し、ダイヤモンド微粒子B(52b)は主に可視域の光を散乱させる働きを有する。
(a)ダイヤモンド微粒子
ダイヤモンド微粒子52としては、高屈折率光散乱層50中に均一に分散させるためバインダー及び層を形成する際の溶剤との親和性に優れたものが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基が粒子表面に比較的多く存在するものが好ましい。また必要に応じてダイヤモンド微粒子52の表面を疎水性基等の官能基で修飾して使用してもよい。これらのダイヤモンド微粒子52としては、天然ダイヤモンドもしくは人造ダイヤモンドを粉砕して得られたもの、又は***法によって得られたナノダイヤモンドが挙げられる。
天然ダイヤモンド又は人造ダイヤモンドを粉砕して得られたものとしては、機械的な方法によって80〜100nmに粉砕したものを使用するのが好ましい。粉砕して得られたダイヤモンド微粒子は、必要に応じてその表面を官能基で修飾して、溶剤等との親和性を高めた状態で使用するのが好ましい。
***法で得られたナノダイヤモンドは、ナノサイズのダイヤモンド微粒子の表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、グラファイト系炭素が存在するため黒く着色している。このまま使用することも可能であるが、酸化処理によって粒子表面のグラファイト系炭素の多くを除去し透明度を高めることができる。酸化処理によって得られたダイヤモンド微粒子は、微量に残ったグラファイト系炭素の表面に存在する−COOH、−OH等の親水性官能基のため、親水的なバインダーや溶剤に対する親和性が極めて良好であり、ガラスや親水性基を有する高分子への良好な分散性を有する。またその表面をフッ素やケイ素を含有する基で修飾して使用することもできる。
酸化処理して得られたナノダイヤモンドは、メジアン径2〜10nm程度のナノサイズのダイヤモンドからなるメジアン径30〜250nm(動的光散乱法)の二次粒子なので、そのまま後述するダイヤモンド微粒子Aとして使用できる。しかしメジアン径30〜250nmの粒子は、粒径が小さすぎるため可視光を散乱させる効果が小さいため、光散乱体として使用する場合、さらにミー散乱が起こる程度の粒径(メジアン径0.1〜50μm)に凝集させて使用するのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子は、2.55〜3.48g/cmの比重を有するのが好ましい。ダイヤモンド微粒子の比重は、ナノダイヤモンドの精製度(グラファイト系炭素の除去率)に伴って増加するので、比重から粒子中のダイヤモンド含率(粒子表面に存在するグラファイト系炭素の量)を求めることができる。例えば、比重が2.55g/cmの場合のダイヤモンド含率は24体積%、比重が3.48g/cmの場合のダイヤモンド含率は98体積%である。
ダイヤモンド微粒子の比重が2.55g/cm未満、すなわち酸化処理を行わない場合であっても、その表面にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基を有しているが、さらに酸化処理を施すことによって、それらの数を増加させることができる。また過剰に酸化処理を施した場合、ナノダイヤモンドのシェル部分のグラファイト系炭素がほとんど除去されるため、逆にカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基等の官能基が少なくなってしまい、その結果、溶剤等への分散性が低下する場合があるので、比重は3.48g/cmを越えない程度であるのが好ましい。また比重は3.48g/cmを越えていた場合であっても、必要に応じてバインダーや溶剤との親和性を高める効果を有する官能基で表面修飾を行うことで、バインダー及び溶剤への分散性を高めることができる。
前記比重は、3.0g/cm(ダイヤモンド84体積%)以上3.46g/cm(ダイヤモンド97体積%)以下であるのがより好ましく、3.38g/cm(ダイヤモンド90体積%)以上3.45g/cm(ダイヤモンド96体積%)以下であるのが最も好ましい。なおナノダイヤモンド中のダイヤモンドの体積%は、ダイヤモンドの比重3.50g/cm及びグラファイトの比重2.25g/cmを用いて、ナノダイヤモンドの比重から算出した値である。
(i)ダイヤモンド微粒子A
高屈折率光散乱層50には、10〜200nmのメジアン径を有するダイヤモンド微粒子を含有するのが好ましい。このようなメジアン径を有するダイヤモンド微粒子(以下、ダイヤモンド微粒子A(52a)と言う。)は、主に可視光の波長域(400〜700nm)よりも小さいサイズの粒子からなるので可視光を散乱させる効果は小さいが、その高い屈折率(屈折率2.42)によって層全体の屈折率を高めるといった効果を発揮する。ダイヤモンド微粒子Aのメジアン径は、可視光による散乱(ミー散乱)が起こらない程度のサイズ、すなわち200nm以下であり、より好ましくは100nm以下、最も好ましくは50nm以下のサイズのものを用いる。なお10〜200nmのメジアン径を有するダイヤモンド微粒子であっても200nm以上の比較的大きなサイズの粒子もある程度は含まれるため、可視域の光を散乱させる効果は小さいが有している。
ダイヤモンド微粒子をバインダー中に均一に分散させてなる高屈折率光散乱層50の屈折率は、ダイヤモンド微粒子とバインダーとの加成性が成り立つので、ダイヤモンドの屈折率とバインダーの屈折率との加重平均で表すことができる。例えば、屈折率が1.60のバインダー(80質量部)に対して20質量部のダイヤモンド微粒子(屈折率2.42)を分散させて用いた場合、高屈折率光散乱層50の屈折率は1.76となる。このように、ダイヤモンド微粒子をバインダー中に分散させることにより、簡便に高屈折率光散乱層50の屈折率を調節することができる。
すなわち、高屈折率光散乱層50中のダイヤモンド微粒子Aの含有量は、高屈折率光散乱層50をどのような屈折率に設計するかによって決定すればよいが、高屈折率光散乱層50を形成するバインダー材料に対して、1〜50質量%であるのが好ましく、2〜45質量%であるのがより好ましく、5〜40質量%であるのが最も好ましい。
高屈折率光散乱層中のダイヤモンド微粒子Aは、層の厚さ方向に均一な密度で分布していても良いが、前記透明基板側から前記第二電極側に向かってダイヤモンド微粒子Aの密度が高くなるように、層の厚さ方向に勾配を設けて分布していてもよい。このように厚さ方向にダイヤモンド微粒子Aの密度勾配を設けることにより、前記透明基板側から前記第二電極側に向かって屈折率が徐々に増加するように変化し、透明基板と第二電極側との間の屈折率をなめらかに接続することができる。このとき、屈折率の接続をよりなめらかにするためには、高屈折率光散乱層の透明基板側(透明基板と接触する面)の屈折率を透明基板と同等の屈折率にして、高屈折率光散乱層の第二電極側(第二電極と接触する面)の屈折率を第二電極と同等の屈折率にするのが好ましい。高屈折率光散乱層厚さ方向のダイヤモンド微粒子Aの密度勾配は、連続的でも良いし、階段状であっても良い。
(ii)ダイヤモンド微粒子B
高屈折率光散乱層50は、ダイヤモンド微粒子Aに加えて、より可視光の拡散性を高めるために、メジアン径0.2〜50μmのダイヤモンド微粒子(以下、ダイヤモンド微粒子B(52b)と言う。)を含有してもよい。ダイヤモンド微粒子Bは、可視域の光の波長と同等のメジアン径、又はさらに大きいメジアン径を有しているため、ミー散乱により、可視域の光に対して高い散乱効果を発揮する光散乱体として働く。ダイヤモンド微粒子Bは、ダイヤモンドの一次粒子でも良いし、ダイヤモンド微粒子の凝集体(例えば、メジアン径1〜10nm程度のナノ粒子が凝集した形状のもの)であってもよい。ダイヤモンド微粒子Bのメジアン径は、より好ましくは0.2〜30μmであり、最も好ましくは0.5〜20μmである。
前記光散乱体として、図3(a)〜図3(c)に示すような、ダイヤモンド微粒子のコア101と、有機ポリマー又はシリカのシェル102とからなるコア/シェル型複合粒子100を用いることもできる。
ダイヤモンド微粒子B(52b)の含有量は、高屈折率光散乱層50中の前記バインダー51と前記ダイヤモンド微粒子B(52b)との合計に対して、1〜70質量%であるのが好ましく、2〜65質量%であるのがより好ましく、3〜60質量%であるのがより好まし
(b)バインダー
前記バインダー51としては、特に限定されないが、ガラス材料又は高分子樹脂が好ましい。前記バインダーを構成するガラス材料としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。
高分子樹脂としては可視光の透過性に優れたものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルサルファイド系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、トリアジン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を用いることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。図4は、第二実施形態の有機EL素子2の層構成を模式的に示す断面図である。有機EL素子2は、少なくとも、第一電極10と、有機層20と、第二電極30と、高屈折率光散乱層50と、透明基板40と、低屈折率光散乱層60とをこの順に積層した構成を有する。第二実施形態の有機EL素子2は、第一実施形態の有機EL素子1において、透明基板40の高屈折率光散乱層50と反対側の面に低屈折率光散乱層60を設けたものであり、第一電極10、有機層20、第二電極30及び高屈折率光散乱層50は第一実施形態の有機EL素子1と同様であるので、ここでは低屈折率光散乱層60についてのみ説明する。
(1)低屈折率光散乱層
低屈折率光散乱層60は、図4に示すように、透明基板40の高屈折率光散乱層50と反対側の面に設けられ、可視域の光を散乱させる働きを有する。低屈折率光散乱層60で可視域の光を散乱させることにより、有機層20の発光層から放射された放射光を効率的に有機EL素子2の外部へ取り出すことができる。
低屈折率光散乱層60は、図5に示すように、バインダー61中にダイヤモンド微粒子62が分散されてなる層であるのが好ましく、前記ダイヤモンド微粒子62としては、特にメジアン径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子Bが好ましい。前記ダイヤモンド微粒子Bの含有量は、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Bとの合計に対して、1〜70質量%であるのが好ましい。なおダイヤモンド微粒子Bとしては、0.1〜50μmのメジアン径を有するダイヤモンド微粒子であれば良く、前記高屈折率光散乱層で説明したダイヤモンド微粒子Bを使用できる。なお1つの有機EL素子中において、前記高屈折率光散乱層で使用するダイヤモンド微粒子と低屈折率光散乱層で使用するダイヤモンド微粒子とは同じであっても異なっていても良い。
低屈折率光散乱層60を構成するバインダー61は、前記透明基板40と同じ程度の屈折率を有するのが好ましい。このように低屈折率光散乱層60と透明基板40との屈折率を同じ程度とすることにより、低屈折率光散乱層60と透明基板40との界面における放射光の反射を防止することができる。そのため、有機層20の発光層から放射され放射光が効率よく低屈折率光散乱層60に入射し、低屈折率光散乱層60で散乱されることにより、外部(空気中)に指向性の少ない光として取り出される。従って、低屈折率光散乱層60により光取り出し効率を向上させることができるとともに、素子外部へ取り出す光の均一性をさらに向上させることができる。透明基板40の屈折率は1.7〜2.2程度であるので、低屈折率光散乱層60を構成するバインダーの屈折率は1.7〜2.2程度であるのが好ましい。
[2]有機EL素子の製造方法
(1)高屈折率光散乱層の形成
高屈折率光散乱層50は、ダイヤモンド微粒子及びバインダー又はその前駆体を含む塗布液を前記透明基板40の表面に塗布する方法、又はあらかじめダイヤモンド微粒子及びバインダーを含む膜を作製しておき、その膜を前記透明基板40の表面に貼り付ける方法により前記透明基板40の表面に形成することができる。また前記塗布方法と貼り付け方法とを組み合わせて高屈折率光散乱層50を形成しても良い。これらの方法を組み合わせる場合、ダイヤモンド微粒子分散液を塗布した後に前記膜を貼り付けても良いし、前記膜を貼り付けた後にダイヤモンド微粒子分散液を塗布してもよい。前記塗布液には必要に応じて、溶剤、各種添加剤を点有しても良い。
前記バインダー前駆体は、高屈折率光散乱層50を構成するバインダーを形成するためのモノマー、又は前述のハードコート剤である。この前駆体を含む塗布液には、重合開始剤、溶剤、触媒、増粘剤、界面活性剤等を含有させても良い。
塗布方法としては、ディップコート法、インクジェット法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法等の方法から目的に応じて適宜選択することができる。中でも均一な層形成に有利なインクジェット法及びスピンコート法が好ましい。このときダイヤモンド微粒子Aの濃度が異なる複数の塗布液を順に塗布し積層することにより、ダイヤモンド微粒子Aの密度が厚さ方向に変化した高屈折率光散乱層を形成することができる。
貼り付け方法により高屈折率光散乱層50を形成する場合、例えば押出成形によってダイヤモンド微粒子及びバインダーを含む膜を形成し、それらをドライラミネーション、熱ラミネーション等により貼り合わせて行う方法が挙げられる。高屈折率光散乱層50を接着剤で透明基板40に貼り付ける場合、高屈折率光散乱層50又は透明基板40と同等の屈折率を有する接着剤を使用するのが好ましい。接着剤としては、例えば、アクリル系やエポキシ系の光学接着剤を用いることができる。またダイヤモンド微粒子Aの密度が異なる膜を作製し、それらを順に貼り付けて積層することにより、ダイヤモンド微粒子Aの密度が厚さ方向に変化した高屈折率光散乱層を形成することができる。
(2)低屈折率光散乱層の形成
低屈折率光散乱層60は、ダイヤモンド微粒子及びバインダー又はその前駆体を含む塗布液を前記透明基板40の表面に塗布する方法、又はあらかじめダイヤモンド微粒子及びバインダーを含む膜を作製しておき、その膜を前記透明基板40の表面に貼り付ける方法により前記透明基板40の表面に形成することができる。また前記塗布方法と貼り付け方法とを組み合わせて低屈折率光散乱層60を形成しても良い。これらの方法を組み合わせる場合、ダイヤモンド微粒子分散液を塗布した後に前記膜を貼り付けても良いし、前記膜を貼り付けた後にダイヤモンド微粒子分散液を塗布してもよい。前記塗布液には必要に応じて、溶剤、各種添加剤を点有しても良い。低屈折率光散乱層60は、前記透明基板40の、前記高屈折率光散乱層50を形成する面とは反対側の面に形成する。低屈折率光散乱層60の形成は、前記高屈折率光散乱層50を形成する前であっても、前記高屈折率光散乱層50を形成した後であっても、前記高屈折率光散乱層50、有機層20及び電極10,30を形成した後であってもよい。バインダーとしては、前記高屈折率光散乱層50の形成で挙げたものを使用することができる。
(3)有機発光層及び電極の形成
形成した高屈折率光散乱層50の上に、第二電極30、有機層20及び第一電極10を順次積層形成する。第一電極10や第二電極30の形成は、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成方法を採用することができる。また有機層20の形成は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法等の乾式成膜法やスピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法等の湿式成膜法等の形成方法を採用することができる。
<実施形態の変形>
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)ダイヤモンド微粒子の作製
TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65kgの爆発物を3mの爆発チャンバー内で爆発させて生成するBDを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こしBDを合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15mmの断面を有する超音速ラバルノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張及び気化)のため、生成物の冷却速度は280℃/分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末、BD)の比重は2.55g/cm、メジアン径(動的光散乱法)は220nmであった。このBDは比重から計算して、76容積%のグラファイト系炭素と24容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
このBDを60質量%硝酸水溶液と混合し、160℃、14気圧、20分の条件で酸化性分解処理を行った後、130℃、13気圧、1時間で酸化性エッチング処理を行った。酸化性エッチング処理により、BDからグラファイトが一部除去された粒子が得られた。この粒子を、アンモニアを用いて、210℃、20気圧、20分還流し中和処理した後、自然沈降させデカンテーションにより35質量%硝酸での洗浄を行い、さらにデカンテーションにより3回水洗し、遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ダイヤモンド微粒子の粉末を得た。
このダイヤモンド微粒子の粉末を、さらに水に分散させ、デカンテーションを繰り返すことにより、上澄み部分の比較的粒径の小さなダイヤモンド微粒子Aと、沈殿部分の比較的粒径の大きなダイヤモンド微粒子Bとに分離した。ダイヤモンド微粒子Aのメジアン径は130nm(動的光散乱法)であり、ダイヤモンド微粒子Bのメジアン径は1.2μm(動的光散乱法)であった。比重はともに3.38g/cmであった。比重から計算して、これらのダイヤモンド微粒子は90容積%のグラファイト系炭素と10容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
(2)有機EL素子の作製
紫外線硬化型アクリレートハードコート剤[GE東芝シリコーン(株)製、商品名「UVHC1105」固形分濃度100重量%]100部、紫外線硬化型シリコーン樹脂[チッソ(株)製、商品名「サイラプレーンFM−7711」(分子量1000)]0.4部、作製したダイヤモンド微粒子Aを20質量部及びイソプロピルアルコール100部からなる高屈折率光散乱層用塗布液を作製した。
25mm×25mm×0.7mm厚(日本板硝子製、NA35)のガラス基板[屈折率:1.50(波長=550nm)]の表面に、この塗布液を硬化後の膜厚が0.5μmになるようにスピンコーターで塗布し、80℃で2分間乾燥した後、紫外線を照射量1000mJ/cmで照射して高屈折率光散乱層を形成した。この高屈折率光散乱層の屈折率は1.73であった。なお別途ダイヤモンド微粒子Aを添加しないで作製したときのハードコート層の屈折率は1.60であった。
形成した高屈折率光散乱層の上に、IZOを蒸着して膜厚110nmのIZO透明電極(第二電極:屈折率2.0)を形成し、このIZO膜上に正孔注入性の化合物HI−1を蒸着して膜厚5nmの正孔注入層を形成し、この正孔注入層上に正孔輸送性の化合物HT−1を蒸着して膜厚120nmの第一正孔輸送層を形成し、この第一正孔輸送層上に正孔輸送性の化合物HT−2を蒸着して膜厚85nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、ホスト材料として化合物RH−1と、リン光ドーパント材料として化合物RD−1とを共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。この発光層内における化合物RD−1の濃度は5質量%であった。化合物RD−1の極大発光ピーク波長は602nmであった。
この発光層上に電子輸送性の化合物ET−1を蒸着して膜厚5nmの第一電子輸送層を形成し、この第一電子輸送層上に電子輸送性の化合物ET−2を蒸着して膜厚10nmの第二電子輸送層を形成し、この第二電子輸送層上に電子輸送性の化合物ET−3を蒸着して膜厚5nmの第三電子輸送層を形成し、この第三電子輸送層上にLiFを成膜速度0.1オングストローム/minで蒸着して電子注入性電極(陰極)としての膜厚1nmのLiF膜を形成し、このLiF膜上に金属A1を蒸着して膜厚80nmの金属陰極を形成した。このようにして、実施例1の有機EL素子を作製した。
(3)輝度の評価
得られた有機EL素子に、電流密度が5mA/cmとなるように電圧を印加し、正面輝度を輝度計(トプコン社製、BM5A)で測定した。
実施例2
(1)高屈折率光散乱層用塗布液A〜Cの作製
紫外線硬化型アクリレートハードコート剤[GE東芝シリコーン(株)製、商品名「UVHC1105」固形分濃度100重量%]100部、紫外線硬化型シリコーン樹脂[チッソ(株)製、商品名「サイラプレーンFM−7711」(分子量1000)]0.4部、作製したダイヤモンド微粒子Aを3質量部及びイソプロピルアルコール100部からなる高屈折率光散乱層用塗布液Aを作製した。
高屈折率光散乱層用塗布液Aに対して、ダイヤモンド微粒子Aの添加量をそれぞれ20質量部及び40質量部に変更した以外は同様にして、高屈折率光散乱層用塗布液B及びCを作製した。
(2)有機EL素子の作製
25mm×25mm×0.7mm厚(日本板硝子製、NA35)のガラス基板[屈折率:1.50(波長=550nm)]の表面に、高屈折率光散乱層用塗布液Aを、硬化後の膜厚が0.17μmになるようにスピンコーターで塗布し、80℃で2分間乾燥した。前記高屈折率光散乱層用塗布液Aを塗布及び乾燥した上に、同様にして、高屈折率光散乱層用塗布液Bを塗布及び乾燥し、さらにその上に高屈折率光散乱層用塗布液Cを塗布及び乾燥した後、紫外線を照射量1000mJ/cmで照射して高屈折率光散乱層A〜Cを形成した。この高屈折率光散乱層A〜Cの屈折率はそれぞれ1.62、1.73及び1.83であった。
形成した高屈折率光散乱層A〜Cの上に、実施例1と同様にして、透明電極(IZO膜)、正孔注入層、第一正孔輸送層、第二正孔輸送層、発光層、第一電子輸送層、第二電子輸送層、第三電子輸送層、電子注入性電極(LiF膜)及び金属陰極(金属Al)を形成し、実施例2の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度を実施例1と同様にして測定した。
実施例3
実施例1で用いた高屈折率光散乱層用塗布液に、さらに実施例1で作製したダイヤモンド微粒子Bを5質量部添加した以外は実施例1と同様にして、実施例3の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度を実施例1と同様にして測定した。
実施例4
紫外線硬化型アクリレートハードコート剤[GE東芝シリコーン(株)製、商品名「UVHC1105」固形分濃度100重量%]100部、紫外線硬化型シリコーン樹脂[チッソ(株)製、商品名「サイラプレーンFM−7711」(分子量1000)]0.4部、実施例1で作製したダイヤモンド微粒子Bを5質量部及びイソプロピルアルコール100部からなる低屈折率光散乱層用塗布液を作製した。
25mm×25mm×0.7mm厚(日本板硝子製、NA35)のガラス基板[屈折率:1.50(波長=550nm)]の一方の面に、実施例1で作製した高屈折率光散乱層用塗布液を硬化後の膜厚が0.5μmになるようにスピンコーターで塗布し、80℃で2分間乾燥した後、ガラス基板の他方の面に、作製した低屈折率光散乱層用塗布液を硬化後の膜厚が0.2μmになるようにスピンコーターで塗布し、80℃で2分間乾燥した後、両面に紫外線を照射量1000mJ/cmで照射して高屈折率光散乱層及び低屈折率光散乱層を形成した。この高屈折率光散乱層の屈折率は1.73であり、低屈折率光散乱層の屈折率は1.59であった。
形成した高屈折率光散乱層の上に、実施例1と同様にして、透明電極(IZO膜)、正孔注入層、第一正孔輸送層、第二正孔輸送層、発光層、第一電子輸送層、第二電子輸送層、第三電子輸送層、電子注入性電極(LiF膜)及び金属陰極(金属Al)を形成し、実施例4の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度を実施例1と同様にして測定した。
比較例1
高屈折率光散乱層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度を実施例1と同様にして測定した。
比較例2
高屈折率光散乱層中に添加したダイヤモンド微粒子Aを、二酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社製、ST−700、屈折率2.4以上、平均粒径1.0μm)で等重量で置き換えた以外は実施例1と同様にして、比較例2の有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の輝度を実施例1と同様にして測定した。
<評価結果>
表1に実施例1〜4、比較例1及び2の輝度測定の結果を示す。なお輝度の測定値は、比較例1の値を1.00とした相対値で示した。
Figure 0006533435
表1から明らかなように、ダイヤモンド微粒子Aを含有する高屈折率光拡散層を設けることにより輝度が著しく高まり、高屈折率光拡散層にダイヤモンド微粒子Bを含有させ拡散の効果を高めることによりさらに輝度が高まった。また透明基材の表面に低屈折率光散乱層を設けることによりさらに輝度が高まった。

Claims (7)

  1. 第一電極と、発光層を有する有機層と、第二電極と、高屈折率光散乱層と、透明基板とを順に有する有機EL素子であって、
    前記高屈折率光散乱層が前記第二電極及び前記透明基板に隣接して設けられ、且つ
    前記高屈折率光散乱層が、バインダーとメジアン径10〜200nmのダイヤモンド微粒子Aとからなり、前記ダイヤモンド微粒子Aの含有量が、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Aとの合計に対して、1〜50質量%であることを特徴とする有機EL素子。
  2. 請求項に記載の有機EL素子において、前記高屈折率光散乱層中の前記ダイヤモンド微粒子Aの密度が、前記透明基板側から前記第二電極側に向かって高くなるように積層方向に勾配を有していることを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項に記載の有機EL素子において、前記高屈折率光散乱層が前記ダイヤモンド微粒子Aの密度が異なる複数の層からなり、前記透明基板側から前記第二電極側に向かって層中の前記ダイヤモンド微粒子Aの密度が高くなるように配置されていることを特徴とする有機EL素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子において、前記高屈折率光散乱層が、前記第二電極の屈折率と前記透明基板の屈折率との間の屈折率を有することを特徴とする有機EL素子。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子において、前記高屈折率光散乱層が、さらにメジアン径0.2〜50μmのダイヤモンド微粒子Bを、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Bとの合計に対して、1〜70質量%含有することを特徴とする有機EL素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子において、前記透明基板の前記高屈折率光散乱層と対向する側とは反対側に、可視域の光を散乱させるための低屈折率光散乱層を有することを特徴とする有機EL素子。
  7. 請求項に記載の有機EL素子において、前記低屈折率光散乱層が、バインダーとメジアン径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子Bとからなり、前記ダイヤモンド微粒子Bの含有量が、前記バインダーと前記ダイヤモンド微粒子Bとの合計に対して、1〜70質量%であることを特徴とする有機EL素子。
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