JP6533216B2 - 免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法 - Google Patents

免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法に関する。
近年、検体の前処理を行う必要の無い、免疫クロマトグラフィーによるイムノアッセイは、抗体の持つ特異的反応性を利用して、試料液中の抗原を検出する簡便な体外診断キットもしくは携帯用診断装置として重要性が高まっている。特に、ウィルスや細菌等の病原体検査キットは、一般の病院やクリニックでも汎用されている身近な免疫クロマト分析装置である。
従来の免疫クロマト分析装置の最も簡単な構造としては、試料添加部、標識物質保持部、検出部が担持されたクロマトグラフ媒体、及び吸収部が相互に繋がった構造である。
このような免疫クロマト分析装置に対し、現在ではインフルエンザウィルスのような微量な抗原を検出するために、高感度化が求められている。この要求を満たすために、例えば検体を、ステロイド骨格を持つ界面活性剤溶液で展開し、その後標識物質を増幅する方法(特許文献1)が提案されている。また、被験物質と該被験物質に対する第一の抗体で修飾した標識物質とを含む溶液を多孔性担体上で特定の速度で展開する方法(特許文献2)が提案されている。
しかし、従来の免疫クロマト分析装置では、要求されるレベルにまで被検出物質の検出感度を高めることはできなかった。
日本国特開2012−211849号公報 日本国特開2008−197038号公報
したがって、本発明の目的は、被検出物質の検出感度を著しく高めることのできる、免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法を提供することにある。
本発明は、以下の通りである。
1.検体を添加する試料添加部と、前記検体に含まれる被検出物質を認識する標識物質を保持する標識物質保持部と、前記標識物質の溶出を遅延させるインキュベーション部と、前記被検出物質を検出する検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部と、前記検出部を通過した液体を吸収する吸収部とを含む免疫クロマト分析装置。
2.前記インキュベーション部が、界面活性剤を含有することを特徴とする前項1に記載の免疫クロマト分析装置。
3.前記インキュベーション部が、分子シャペロンを含有することを特徴とする前項1に記載の免疫クロマト分析装置。
4.前記インキュベーション部が、環状オリゴ糖を含有することを特徴とする前項2に記載の免疫クロマト分析装置。
5.前記標識物質の平均粒径が、20〜200nmであることを特徴とする前項1〜4のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置。
6.前項1〜5のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置を用い、下記工程(1)〜(5)を順次実施することを特徴とする、免疫クロマト分析方法。
(1)前記検体を試料添加部に添加する工程
(2)前記標識物質保持部に保持されている標識物質により前記検体に含まれる被検出物質を認識させる工程
(3)前記インキュベーション部において標識物質の溶出を遅延させる工程
(4)前記検体及び標識物質を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
(5)展開された移動相中の被検出物質を検出部で検出する工程。
本発明の免疫クロマト分析装置は、検体を添加する試料添加部と、前記検体に含まれる被検出物質を認識する標識物質を保持する標識物質保持部と、前記標識物質の溶出を遅延させるインキュベーション部と、前記被検出物質を検出する検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部と、前記検出部を通過した液体を吸収する吸収部とを備えてなるものである。
前記インキュベーション部によって標識物質の溶出が遅延されることから、インキュベーション部内で検体に含まれる被検出物質の到達を標識物質が待機する時間が生じ、これにより、標識物質と被検出物質との結合の機会が大幅に増加し、被検出物質の検出感度を著しく高めることを可能にしている。
また、前記インキュベーション部が、界面活性剤を含有する形態によれば、被検出物質と検出物質の反応や被検出物質の可溶化(変性)が促進され、被検出物質以外の物質による悪影響を防止でき、検出部での検出感度をさらに高めることができる。
また、前記インキュベーション部が、分子シャペロンを含有する形態によれば、被検出物質を天然の構造にリフォールディングさせ被検出物質の検出部における反応性を高めることができ、検出感度をさらに高めることができる。
また、前記インキュベーション部が、界面活性剤と共に環状オリゴ糖を含有する形態によれば、免疫クロマト装置間の感度(発色強度)の誤差を低減できるとともに、インキュベーション部を良好に乾燥し、バッキングシートからの剥がれを防止できる。また界面活性剤の凝集に起因する着色も生じないことから、被検出物質の可溶化をより高め検出感度を高めるという効果を奏する。
また、前記標識物質の平均粒径が、20〜200nmである形態によれば、溶出の遅延による、より高い感度増大効果が得られる。
また、前記免疫クロマト分析装置を用い、前記工程(1)〜(5)を順次実施する方法によれば、前記インキュベーション部によって標識物質の溶出が遅延されることから、インキュベーション部内で検体に含まれる被検出物質の到達を標識物質が待機する時間が生じ、これにより、標識物質と被検出物質との結合の機会が大幅に増加し、被検出物質の検出感度を著しく高めることが可能となる。
図1は、免疫クロマト分析装置の構造を説明するための図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の免疫クロマト分析装置は、検体を添加する試料添加部と、前記検体に含まれる被検出物質を認識する標識物質を保持する標識物質保持部と、前記標識物質の溶出を遅延させるインキュベーション部と、前記被検出物質を検出する検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部と、前記検出部を通過した液体を吸収する吸収部とを備えてなる。
以下、図面を参照しながら本発明の免疫クロマト分析装置の一実施形態について説明する。
本発明の免疫クロマト分析装置は図1に示すように、試料添加部(サンプルパッドともいう)(1)、標識物質保持部(コンジュゲートパッドともいう)(2)、インキュベーション部(インキュベーションパッドともいう)(3)、クロマトグラフ媒体部(4)、検出部(5)、吸収部(6)及びバッキングシート(7)から構成されている。それらの各部位の構造、仕様及び態様は以下のとおりである。
試料添加部(1)は、免疫クロマト分析装置において、検体(サンプル)を滴下する部位である。サンプルは、通常の免疫クロマト分析装置に使用される素材であればどのようなものでもよい。試料添加部は試料を吸収保持するグラスファイバーまたはセルロースファイバーが通常使用される。
標識物質保持部(2)は、あらかじめ被検出物質と結合する抗体等に結合した、後述する標識物質(マーカー物質)が含有されている。標識物質保持部内を被検出物質が移動する際に抗体等と結合し、標識化される。標識物質保持部は、例えば、グラスファイバー不織布またはセルロースファイバー等からなっている。
標識物質は、被検出物質と特異的に結合する物質、例えば抗体、抗原、アプタマー、ペプチド及びレクチン等を標識化する。免疫クロマトグラフ法における検出試薬の標識には、一般に酵素等も使用されるが、被検出物質の存在を目視で判定するのに適していることから、標識物質としては不溶性担体を用いることが好ましい。検出試薬を不溶性担体に感作することにより標識化した検出試薬を調製することができる。
標識物質としての不溶性担体には、金、銀もしくは白金のようなコロイド状金属粒子、酸化鉄のようなコロイド状金属酸化物粒子、硫黄などのコロイド状非金属粒子及び合成高分子よりなるラテックス粒子、またはその他を用いることができる。特に金コロイドが、検出が簡便で好ましい。
これらの粒子の平均粒径は、20〜200nmであることが好ましく、30〜150nmであることがさらに好ましい。このような平均粒径の範囲内であれば、平均粒径が前記範囲よりも大きいラテックス粒子などをもちいた場合に比べ、溶出の遅延に起因する被検出物質と標識された検出物質との反応性がより顕著に向上し高感度な検出を可能にする。平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)製、JEM−2010)により、撮影した投影写真を用いて無造作に100個の粒子を粒子の投影面積円相当径を計測し、その平均値から算出することができる。
インキュベーション部(3)は、標識物質の溶出を遅延させる機能を有する。インキュベーション部(3)は、例えば、グラスファイバー不織布、レーヨン不織布及びセルロースファイバー等からなっている。
インキュベーション部(3)は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の存在により、被検出物質と検出物質の反応や被検出物質の可溶化が促進され、被検出物質以外の物質による悪影響を防止でき、検出部での検出感度をさらに高めることができる。
とりわけ、可溶化した被検出物質に対してより強く反応する検出物質を検出部で用いる場合、可溶化していない被検出物質を多く含む試料を用いても、インキュベーション部に含有する界面活性剤により可溶化が促進され検出感度がより高められる。
界面活性剤としては、検体の種類、標識物質、検出方法等を勘案して適宜選択すればよい。例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アミン塩系等のカチオン性界面活性剤;ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩、オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、オクチルグルコシド、デカノイル‐N-メチルグルカミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤等が挙げられる。
中でも好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、オクチルグルコシド、デカノイル‐N-メチルグルカミドが最適に用いられる。
界面活性剤の添加量は、インキュベーション部(3)に対し、例えば、0.05〜2mg/cmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mg/cmである。前記範囲であることによって可溶化がより促進され検出感度が更に高められるからである。
また、インキュベーション部(3)は、分子シャペロンを含有することが好ましい。分子シャペロンの存在により、被検出物質の検出部における反応性を高めることができ、検出感度をさらに高めることができる。
具体的には、分子シャペロンは変性したタンパク質などの抗原の立体構造を正常型に復元(リフォールディング)させる活性、または、変性したタンパク質の不可逆的な凝集を抑制する活性を有する。そのため、変性した抗原を含む試料の検出において、検出部に正常型のタンパク質をより強く認識する検出物質を用いる場合に、タンパク質の凝集を抑制しつつリフォールディングさせることで検出感度が高められる。
したがって、例えば、下記で説明する検出部(5)に可溶化していないタンパク質と結合し易い抗体を用いた場合、より多くの被検出物質が抗体と結合することになり、感度が高まる。
分子シャペロンとしては天然の分子でも人工の分子でも用いられ、例えば、分子シャペロン活性を有する糖類、非イオン性界面活性剤及びヒートショックプロテイン(熱ショック性タンパク質)等が挙げられる。中でも環状糖類、非イオン性界面活性剤が好ましい。
分子シャペロンの添加量は、インキュベーション部(3)に対し、例えば、5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%、さらに好ましくは8〜12質量%である。または、インキュベーション部(3)に対し、例えば、0.05〜5mg/cmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mg/cmである。前記範囲であることによって検出感度をより高められるからである。
また、インキュベーション部(3)は、界面活性剤と共に環状オリゴ糖を含有することが好ましい。環状オリゴ糖の存在により、免疫クロマト装置間の感度(発色強度)の誤差を低減できるとともに、製造時、インキュベーション部(3)を良好に乾燥し、かつ界面活性剤の凝集に起因する着色も生じないことから、界面活性剤の効果を高め被検出物質の検出感度を高めることができる。
環状オリゴ糖としては、単糖が5〜10個程度環状につながった構造を有するオリゴ糖が挙げられる。具体的には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、α−シクロアワオドリン、β−シクロアワオドリン及びこれらのヒドロキシ基(OH基)をメチル化、モノクロロトリアジノ化、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、トリアセチル化、スルホブチル化、グリコシル化またはマルトース付加等により修飾した誘導体等が挙げられる。環状オリゴ糖は、1種単独でも2種以上併用してもよい。
環状オリゴ糖の添加量は、インキュベーション部(3)に対し、例えば、0.1〜4mg/cm、好ましくは0.1〜3mg/cm、さらに好ましくは0.2〜2mg/cmである。前記範囲であることによって界面活性剤の効果をより高め被検出物質の検出感度を更に高められるからである。
環状オリゴ糖は、インキュベーション部(3)が界面活性剤を含有する場合に、環状オリゴ糖の表面に存在する親水性基及び内部に存在する疎水性基の作用により、界面活性剤のミセル化や凝集を抑制し、上記のような効果を奏するものと推測される。
クロマトグラフ媒体部(4)は、クロマトグラフの展開部位である。クロマトグラフ媒体部は、毛管現象を示す微細多孔性物質からなる不活性の膜である。クロマトグラフで使用される検出試薬、固定化試薬または被検出物質などと反応性を有しないものとして、例えば、ニトロセルロース製のメンブレン(以下「ニトロセルロースメンブレン」という場合がある)等が挙げられる。
ニトロセルロース製のメンブレンとしては、ニトロセルロースが主体で含まれていればよく、純品またはニトロセルロース混合品などニトロセルロースを主材とするメンブレンを使用すると良いが、その他の材料でも何ら問題はない。
その他の材料としては、例えば、セルロース類メンブレン、ナイロンメンブレン及び多孔質プラスチック布類(ポリエチレン、ポリプロピレン)などが挙げられる。
前記ニトロセルロースメンブレンは、さらに毛細管現象を促進させる物質を含有させることもできる。該物質としては、膜面の表面張力を低下させ、親水性をもたらす物質が好ましい。
例えば、糖類、アミノ酸の誘導体、脂肪酸エステル、各種合成界面活性剤またはアルコール等の両親媒性の作用を有する物質であって、免疫クロマトグラフ上での被検出物質の移動に影響がなく、マーカー物質(例えば金コロイドなど)の発色に影響を及ぼさない物質が好ましい。
ニトロセルロースメンブレンは、多孔性であって、毛細管現象を示す。この毛細管現象の指標は、吸水速度(吸水時間:capillary flow time)を測ることで確認できる。吸水速度は、検出感度と検査時間に影響する。
本発明の免疫クロマト分析方法で用いるクロマトグラフ媒体としてのニトロセルロースメンブレンの形態及び大きさは特に制限されるものではなく、実際の操作の点及び反応結果の観察の点において適切であればよい。
さらに操作をより簡便にするためには、反応部位が表面に形成されているクロマトグラフ媒体の裏面に、プラスチックなどよりなる支持体を設けることが好ましい。この支持体の性状は特に制限されるものではないが、目視判定によって測定結果の観察を行う場合には、支持体は、標識物質によりもたらされる色彩と類似しない色彩を有するものであることが好ましく、通常、無色又は白色であることが好ましい。
検出部(5)は、前記クロマトグラフ媒体部(4)上に形成され、すなわち、被検出物質と特異的に結合する物質、例えば抗体が固定化試薬として任意の位置に固定化された反応部位が形成される。
固定化試薬をクロマトグラフ媒体に固定化する方法としては、固定化試薬をクロマトグラフ媒体に物理的又は化学的手段により直接固定化する方法と、固定化試薬を微粒子に物理的又は化学的に結合し、この微粒子をクロマトグラフ媒体に捕捉して固定化する間接固定化方法がある。
直接的に固定化する方法としては、物理吸着を利用してもよいし、共有結合によってもよい。ニトロセルロースメンブレンの場合、物理吸着を行うことができる。共有結合ではクロマトグラフ媒体の活性化には一般的に臭化シアン、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミド等が用いられるが、いずれの方法も用いることができる。
間接的に固定化する方法としては、不溶性微粒子に固定化試薬を結合した後に、クロマトグラフ媒体に固定化する方法がある。不溶性微粒子の粒径はクロマトグラフ媒体に捕捉されるが移動することのできないサイズのものを選択することができ、好ましくは平均粒径5μm程度以下の微粒子である。
これらの粒子としては抗原抗体反応に使用されるものが種々知られており、本発明でもこれら公知の粒子を使用することができる。例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリグリシジルメタクリレートもしくはアクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などの乳化重合法によって得られる有機高分子ラテックス粒子などの有機高分子物質の微粒子、ゼラチン、ベントナイト、アガロースもしくは架橋デキストランなどの微粒子、シリカ、シリカ−アルミナもしくはアルミナなどの無機酸化物または無機酸化物にシランカップリング処理などで官能基を導入した無機粒子等が挙げられる。
本発明においては、感度調整の容易さ等から直接固定化の方が好ましい。また、クロマトグラフ媒体への固定化試薬の固定化には、いろいろな方法が使用できる。
例えば、マイクロシリンジ、調節ポンプ付きペンまたはインキ噴射印刷等、種々の技術が使用可能である。反応部位の形態としては特に限定されないが、円形のスポット、クロマトグラフ媒体の展開方向に対し垂直にのびるライン、数字、文字または+、−などの記号等として固定化することもできる。
固定化試薬を固定化した後、非特異的な吸着により分析の精度が低下することを防止するため、必要に応じて、クロマトグラフ媒体に、公知の方法でブロッキング処理を行うことができる。
一般にブロッキング処理はウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼインまたはゼラチン等の蛋白質が好適に用いられる。かかるブロッキング処理後に、必要に応じて、例えば、Tween20、TritonX−100またはSDS等の界面活性剤を1つ又は2つ以上組み合わせて洗浄してもよい。
吸収部(6)は、クロマトグラフ媒体の末端に、検出部(5)を通過した検体や展開液等の液体を吸収させるために設置される。本発明の免疫クロマト分析装置において、吸収部は例えば、グラスファイバーからなることができる。吸収部がグラスファイバーからなることによって、試料液の液戻りを大幅に低減することができる。
バッキングシート(7)は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けることにより、片面が粘着性を有し、該粘着面上に試料添加部(1)、標識物質保持部(2)、インキュベーション部(3)、クロマトグラフ媒体(4)、検出部(5)、及び吸収部(6)の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート(7)は、粘着剤によって試料液に対して不透過性、非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。
本発明の免疫クロマト分析方法は以下の工程(1)〜(5)を含み、上記の免疫クロマト分析装置を用いて検体に含まれる被検出物質を検出する。
(1)前記検体を試料添加部に添加する工程
(2)前記標識物質保持部に保持されている標識物質により前記検体に含まれる被検出物質を認識させる工程
(3)前記インキュベーション部において標識物質の溶出を遅延させる工程
(4)前記検体及び標識物質を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
(5)展開された移動相中の被検出物質を検出部で検出する工程。
各工程について以下に説明する。
(1)検体を試料添加部に添加する工程
工程(1)では、第1に、検体を、測定精度を低下させることなく、免疫クロマトグラフ媒体中をスムーズに移動する程度の濃度に検体希釈液で調整または希釈して検体含有液とするのが好ましい。第2に、該検体含有液を試料添加部(1)上に、所定量(通常、0.05〜2ml)滴下する。検体含有液が滴下されると、検体含有液は試料添加部(1)中で移動を開始する。
検体希釈液は、また展開液としても使用することができるものであるが、通常、溶媒として水を用い、これに緩衝液、塩、及び非イオン界面活性剤、さらに、例えば抗原抗体反応の促進あるいは非特異的反応を抑制するための蛋白質、高分子化合物(PVP等)、イオン性界面活性剤又はポリアニオン、あるいは、抗菌剤、キレート剤等々の1種もしくは2種以上を加えてもよい。
展開液として用いる場合には、検体と展開液を予め混合したものを、試料添加部上に供給・滴下して展開させることもできるし、先に検体を試料添加部上に供給・滴下した後、展開液を試料添加部上に供給・滴下して展開させてもよい。
被検出物質を含む検体としては、例えば、生体試料、即ち、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞及び便からの抽出液等の他、牛乳、卵、小麦、豆、牛肉、豚肉、鶏肉などやそれらを含む食品等の抽出液等が挙げられる。
(2)標識物質保持部に保持されている標識物質により検体に含まれる被検出物質を認識させる工程
工程(2)は、工程(1)において試料添加部に添加された検体含有液を、標識物質保持部(2)へと移動させ、標識物質保持部に保持されている標識物質により検体中の被検出物質を認識させる工程である。
標識物質は、被検出物質と特異的に結合する物質、例えば抗体、抗原、アプタマー、ペプチド及びレクチン等を標識化する。免疫クロマトグラフ法における検出試薬の標識には、一般に酵素等も使用されるが、被検出物質の存在を目視で判定するのに適していることから、標識物質としては不溶性担体を用いることが好ましい。検出試薬を不溶性担体に感作することにより標識化した検出試薬を調製することができる。
標識物質としての不溶性担体には、金、銀もしくは白金のようなコロイド状金属粒子、酸化鉄のようなコロイド状金属酸化物粒子、硫黄などのコロイド状非金属粒子及び合成高分子よりなるラテックス粒子、またはその他を用いることができる。特に金コロイドが、検出が簡便で好ましい。
これらの粒子の平均粒径は、20〜200nmであることが好ましく、30〜150nmであることがさらに好ましい。このような平均粒径の範囲内であれば、平均粒径が前記範囲よりも大きいラテックス粒子などをもちいた場合に比べ、溶出の遅延に起因する被検出物質と標識された検出物質との反応性がより顕著に向上し高感度な検出を可能にする。
平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)製、JEM−2010)により、撮影した投影写真を用いて無造作に100個の粒子を粒子の投影面積円相当径を計測し、その平均値から算出することができる。
不溶性担体は、被検出物質の存在を視覚的に判定するのに適した標識物質であり、目視による判定を容易にするためには有色であることが好ましい。コロイド状金属粒子及びコロイド状金属酸化物粒子は、それ自体が粒径に応じた特定の自然色を呈するものであり、その色彩を標識として利用することができる。
標識物質として用いることのできるコロイド状金属粒子及びコロイド状金属酸化物粒子には、例えば、コロイド状金粒子、コロイド状銀粒子、コロイド状白金粒子、コロイド状酸化鉄粒子、コロイド状水酸化アルミニウム粒子などが挙げられる。特に、コロイド状金粒子とコロイド状銀粒子が適当な粒径において、コロイド状金粒子は赤色、コロイド状銀粒子は黄色を示す点で好ましい。
コロイド状金属粒子として、例えばコロイド状金粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法によりコロイド状金粒子を調製することができる。
検出試薬をコロイド状金属粒子に感作する方法としては、物理吸着や化学結合などの公知の方法が使用できる。例えば、コロイド状金粒子に抗体を感作した検出試薬は、金粒子がコロイド状に分散した溶液に抗体を加えて物理吸着させた後、牛血清アルブミン溶液を添加して抗体が未結合である粒子表面をブロッキングすることにより調製する。
本発明の方法により検出される被検出物質としては、それに特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されず、例えば、蛋白質、ペプチド、核酸、糖(特に糖タンパク質の糖部分、糖脂質の糖部分等)、複合糖質等が挙げられる。
本発明において「特異的に結合する」とは、生体分子が持つ親和力に基づいて結合することを意味する。このような親和力に基づく結合としては、例えば、抗原と抗体との結合、糖とレクチンとの結合、ホルモンと受容体との結合、酵素と阻害剤との結合、相補的核酸同士及び核酸と核酸結合蛋白質との結合などが挙げられる。
従って、被検出物質が抗原性を有する場合、被検出物質に特異的に結合する物質としては、例えば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体が挙げられる。また、被検出物質が糖の場合、被検出物質に特異的に結合する物質としては例えば、レクチンタンパク質が挙げられる。
具体的な被検出物質としては、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IPA)、CA15−3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK−MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウイルス、肺炎球菌、レジオネラ菌、ヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミンまたは糖化アルブミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(3)インキュベーション部において標識物質の溶出を遅延させる工程
工程(3)は、工程(2)において被検出物質が標識物質に認識された後に実施され、標識物質保持部から標識物質の溶出を遅延させる役割を有する。試料添加部で添加された検体含有液は、前記のように標識物質保持部に到達するが、ここでは被検出物質と標識物質とが十分反応するよりも前に、標識物質保持部から標識物質が溶出して(流れ出て)しまう傾向にある。
そこで、インキュベーション部を新たに設けることによって、インキュベーション部内で検体に含まれる被検出物質の到達を標識物質が待機する時間が生じ、これにより、標識物質と被検出物質との結合の機会が大幅に増加し、被検出物質の検出感度を著しく高めることができる。
また、インキュベーション部に界面活性剤を添加する形態では、被検出物質の可溶化が促進され、被検出物質以外の物質による悪影響を防止でき、検出部での検出感度をさらに高めることができること、また、分子シャペロンを添加する形態では、被検出物質の検出部における反応性が高められること、また、界面活性剤と共に環状オリゴ糖を添加する形態では、感度ムラを防止できるとともに、製造時、インキュベーション部(3)を良好に乾燥でき、かつ着色も防止されること、は上述の通りである。
なお図1の形態では、インキュベーション部(3)は、上部の標識物質保持部(2)と下部のクロマトグラフ媒体部(4)との間に存在し、試料展開方向においてその端部が重なって配置されているが本発明はこの形態に限定されず、インキュベーション部(3)の上面の全体及び/または下面の全体が、試料展開方向に対し垂直方向において、標識物質保持部(2)及びクロマトグラフ媒体部(4)にそれぞれ重なっていてもよい。
好ましくは、標識物質保持部(2)がクロマトグラフ媒体部(4)に直接接触しない様にインキュベーション部(3)を配置し、更に標識物質保持部(2)の展開方向の下流の端部よりインキュベーション部(3)の展開方向の下流の端部が突出することがより好ましい。
インキュベーション部(3)の試料展開方向の長さは、5〜20mmであることが好ましく、8〜16mmであることがより好ましい。前記範囲であることによって適切に標識物質の溶出が遅延され非特異的な偽陽性も生じず検出感度をより高めることができるからである。
(4)検体及び標識物質を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
工程(4)は、工程(3)において被検出物質が標識物質に認識されかつインキュベーション部を通過した後、検体及び標識物質を、クロマトグラフ媒体部(4)上を移動相として通過させる工程である。
(5)展開された移動相中の被検出物質を検出部で検出する工程
工程(5)は、クロマトグラフ媒体上を移動相として通過した検体中の被検出物質が、例えば抗原・抗体の特異的結合反応により、検出部に保持、即ち、担持固定されている抗体と標識試薬とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に反応結合して、検出部が着色する工程である。
被検出物質が存在しない場合には、試料の水分に溶解した標識試薬は、クロマトグラフ媒体上の検出部を通過しても特異的結合反応が起こらないので、検出部が着色しない。
最後に、検体含有液の水分は、吸収部(6)へと移動する。
このように、本発明の免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析方法によれば、検体に含まれる被検出物質の検出感度を著しく高めることが可能となる。なお本発明における被検出物質は、可溶化されていてもいなくてもよい。それぞれの被検出物質の形態によって、例えば抗体の種類を適宜選択することができる。
具体的には、被検出物質が抗原として肺炎球菌である場合、抗原は生体内では可溶化していない正常型の立体構造であるが生体外では可溶化されている場合がある。この場合、検出部における抗体は、可溶化していない抗原に強くまたは特異的に結合できるものを選択しても、インキュベーション部に分子シャペロンを含有させることによって、検出感度がより高まることは上述の通りである。
標識物質保持部、検出部における抗体は立体構造認識能などの各々別の性質を持つ抗体を選択できることとなり、標識物質保持部及び検出部における抗体の種類の組み合わせを大幅に広げることが可能となる。
これとは別に、抗原が可溶化していない場合、検出部における抗体は、可溶化した抗原に強くまたは特異的に結合できるものを選択しても、インキュベーション部に界面活性剤を含有させることによって、検出感度が高まることは上述の通りである。
なお、本発明では、上記のように構成したことから、標識物質保持部、検出部における抗体は立体構造認識能などの各々別の性質を持つ抗体を選択できることとなり、標識物質保持部及び検出部における抗体の種類の組み合わせを大幅に広げることが可能となる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜19]
(1)試料添加部の作製
試料添加部としてグラスファイバーからなる不織布(ミリポア社製:300mm×30mm)を用いた。
(2)標識物質保持部の作製
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:LC80、30または150nm)0.5mlに、リン酸緩衝液(pH7.4)で0.05mg/mlの濃度になるように希釈したマウス由来抗インフルエンザAモノクローナル抗体(第二抗体)を0.1ml加え、室温で10分間静置した。
次いで、1質量%の牛血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加え、更に室温で10分間静置した。その後、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1質量%のBSAを含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加えた。以上の手順で標識物質溶液を作製した。
上記作製した標識物質溶液300μLに300μLの10質量%トレハロース水溶液と1.8mLの蒸留水を加えたものを15mm×300mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識物質保持部を作製した。
(3)インキュベーション部の作製
インキュベーション部として、12mm×300mmグラスファイバーパッド(ミリポア社製)を用いた。
界面活性剤を加える場合は、表1〜3に記載の含有量となるようにグラスファイバーパッドに表1〜3に記載の界面活性剤10質量%溶液を加えた後に乾燥し保持させた(実施例5〜17)。
環状オリゴ糖を更に加える場合は、インキュベーション部に対し表1〜3に記載の含有量となるように前記界面活性剤を含む5質量%のα−シクロデキストリン(東京化成 catNo.C0776)水溶液またはγ−シクロデキストリン(東京化成 catNo.C0869)水溶液を加えた後に乾燥し保持させた(実施例5〜17)。実施例5〜15ではα−シクロデキストリン、実施例16〜17ではγ−シクロデキストリンを使用した。
分子シャペロンを加える場合は、表3に記載の含有量となるように、インキュベーション部に対し、10質量%の分子シャペロン(Hsp70,Human,Recombinant(フナコシ社製:SPR−103B))溶液を加えた後に乾燥し保持させた(実施例18〜19)。
(4)クロマトグラフ媒体部及び検出部の作製
メンブレンとしてニトロセルロースからなるシート(ミリポア社製、商品名:HF120、300mm×25mm)を用いた。
次に、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.4)で1.0mg/mlの濃度になるようにウサギ由来抗肺炎球菌ポリクローナル抗体(第一抗体)を希釈した溶液150μLを、乾燥されたメンブレン上の検出部位(検出ライン)に1mmの幅で塗布し、金ナノ粒子標識試薬の展開の有無や展開速度を確認するために検出部位の下流に、金ナノ粒子標識物質や被検出物質である動物肉タンパク質などと広く親和性を有するヤギ由来抗血清をリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈した液をコントロール部位(コントロールライン)に塗布した。その後、50℃で30分間乾燥させ、室温で一晩乾燥させ、クロマトグラフ媒体部及び検出部を作製した。
(5)免疫クロマト分析装置の作成
次に、バッキングシートから成る基材に、試料添加部、標識物質保持部、インキュベーション部、検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部、展開した試料や標識物質を吸収するための吸収部としてグラスファイバー製の不織布を順次貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、免疫クロマト分析装置とした。
なお、標識物質保持部及びインキュベーション部の試料展開方向の長さをそれぞれ表1〜3に記載の長さとし、標識物質保持部の展開方向下流の端部からインキュベーション部の展開方向下流の端部が下流へ5mm突出する様に配置した。また、インキュベーション部は、標識物質保持部とクロマトグラフ媒体部とが直接接触しない様に配置し貼り合わせた。
(6)検体希釈液
表1〜3に記載の含有量の非イオン界面活性剤(日油株式会社製、商品名:MN811とナカライテスク社製、商品名NP−40の1:1混合物)、80mMの塩化カリウム、20mMのグアニジン塩酸塩、0.4重量%のポリビニルピロリドン(平均分子量36万)を含む50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を調製し、鼻汁・痰・咽頭ぬぐい液等の検体を希釈処理するための試薬とした。
(7)測定
上記作製した免疫クロマト分析装置を用いて、以下の方法で試料中の肺炎球菌の存在の有無を測定した。即ち、吸引トラップの片方の管を吸引ポンプに、もう片方の管を肺炎球菌に感染していない人の喉の奥部まで挿入し、吸引ポンプを陰圧にして喀痰を採取した。
採取した喀痰を上記検体希釈液で20倍に希釈し、これを陰性検体試料とした。また、陰性検体試料に、肺炎球菌濃度が5.0×10CFU/mLとなるように市販の不活化肺炎球菌を加えたものを陽性検体試料とした。
陰性検体試料、陽性検体試料とも150μLを免疫クロマト分析装置の試料添加部上に載せて展開させ、10分後に、検出部の発色の度合いを目視及びデンシトメーター(浜松ホトニクス社製商品名イムノクロマトリーダーC1066−10)により測定した。
デンシトメーターによる測定値は、各実施例及び比較例において繰り返し5回の試験の測定値の平均値を示し、その平均値からの剥離範囲を分析装置間の測定値の誤差範囲として算出した。デンシトメーターでの測定また、非特異的反応についても同様に測定した。
目視で測定した評価方法を以下に記す。
+:赤色の発色を確認できる
++:赤色の発色を強く確認できる
+++:赤色の発色を非常に強く確認できる
±:赤色の発色を弱く確認できる
−:赤色の発色を確認できない
また、実施例1〜19において、インキュベーション部のバッキングシートへの張り合わせ不良の有無を評価した。具体的には、裁断機で5mm幅に裁断し製造された20本の免疫クロマト分析装置を無作為に抽出し、インキュベーション部の剥がれが生じた本数を目視で確認した。
結果を表1〜3に示す。
[比較例1]
実施例1において、インキュベーション部を設けず、標識物質保持部の試料展開方向の長さを12mmとしたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
Figure 0006533216
Figure 0006533216
Figure 0006533216
表1〜3の結果から、各実施例の免疫クロマト分析装置は、インキュベーション部を設けない比較例1に比べて、被検出物質の検出感度を著しく高め得ることが判明した。とくにインキュベーション部に界面活性剤を含有する実施例5〜17、及びインキュベーション部に分子シャペロンを含有する実施例18〜19では、さらに感度が向上していることが分かる。
また、環状オリゴ糖を添加した実施例6〜17のインキュベーション部は、界面活性剤が均一に分散し良好な凍結乾燥状態が得られ、変色も起こらなかった。これに対し、界面活性剤を添加し環状オリゴ糖を添加しなかった上記実施例5のインキュベーション部は、凍結乾燥後に濡れ(ベタツキ感)があり、やや黄色に着色し、裁断後の免疫クロマト分析装置のインキュベーション部の剥がれ不具合が生じていた。
また、同仕様の免疫クロマト装置間の発色強度のムラを繰り返し5回試験の測定値の平均値からの剥離範囲を誤差として算出することにより調べたところ、実施例5の装置では、10mAbsを超える誤差(発色強度のムラ)が観察された。実施例6〜17の装置では、何れも3〜5mAbsの誤差範囲と発色強度ムラの少ない結果であった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年3月27日付で出願された日本特許出願(特願2014−066127)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1.試料添加部
2.標識物質保持部
3.インキュベーション部
4.クロマトグラフ媒体部
5.検出部
6.吸収部
7.バッキングシート

Claims (4)

  1. 検体を添加する試料添加部と、前記検体に含まれる被検出物質を認識する標識物質を保持する標識物質保持部と、前記標識物質の溶出を遅延させるインキュベーション部と、前記被検出物質を検出する検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部と、前記検出部を通過した液体を吸収する吸収部とをこの順で設け、前記インキュベーション部が、非イオン性界面活性剤及び単糖が5〜10個環状につながった構造を有するオリゴ糖を含有することを特徴とする免疫クロマト分析装置。
  2. 検体を添加する試料添加部と、前記検体に含まれる被検出物質を認識する標識物質を保持する標識物質保持部と、前記標識物質の溶出を遅延させるインキュベーション部と、前記被検出物質を検出する検出部が担持されたクロマトグラフ媒体部と、前記検出部を通過した液体を吸収する吸収部とを含み、前記インキュベーション部が、ヒートショックプロテインを含有することを特徴とする免疫クロマト分析装置。
  3. 前記標識物質の平均粒径が、20〜200nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の免疫クロマト分析装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置を用い、下記工程(1)〜(5)を順次実施することを特徴とする、免疫クロマト分析方法。
    (1)前記検体を試料添加部に添加する工程
    (2)前記標識物質保持部に保持されている標識物質により前記検体に含まれる被検出物質を認識させる工程
    (3)前記インキュベーション部において標識物質の溶出を遅延させる工程
    (4)前記検体および標識物質を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
    (5)展開された移動相中の被検出物質を検出部で検出する工程。
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