JP6533189B2 - パターンアレイシート成形用型の製造方法、及びマイクロニードルアレイの製造方法 - Google Patents

パターンアレイシート成形用型の製造方法、及びマイクロニードルアレイの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はパターンアレイシート成形用型の製造方法、及びマイクロニードルアレイの製造方法に関する。
近年、痛みを伴わずにインシュリン(Insulin)及びワクチン(Vaccines)及びhGH(human Growth Hormone)などの薬剤を皮膚内に投与可能な新規剤型として、マイクロニードルアレイ(Micro-Needle Array)が知られている。自己溶解型のマイクロニードルアレイは、薬剤を含み、生分解性のあるマイクロニードル(微細針、又は微小針ともいう)をアレイ状に配列したものである。このマイクロニードルアレイを皮膚に貼付することにより、各マイクロニードルが皮膚に突き刺さり、これらマイクロニードルが皮膚内で吸収され、各マイクロニードル中に含まれた薬剤を皮膚内に投与することができる。マイクロニードルアレイは経皮吸収シートとも呼ばれる。
上述のマイクロニードルアレイは、例えば、マイクロニードルアレイの形状の反転形状である凹状パターンを有する樹脂製モールドを準備し、マイクロニードルアレイの原料であるポリマー溶解液を供給し、ポリマー溶解液を乾燥して硬化し、樹脂製モールドから剥離することによりマイクロニードルアレイが製造される。
上述の樹脂製モールドは、例えば、マイクロニードルアレイの形状と同形状の型を製造し、その型を樹脂製のシートに転写することで製造することができる。
特許文献1には、型を製造するために、基材を切削加工等の機械加工することが開示されている。
国際公開第2008/013282号
マイクロニードルアレイを用いて薬剤を皮膚内に投与する場合、マイクロニードルアレイには薬剤量の制御性が求められる。マイクロニードルアレイの薬剤量はマイクロニードルの形状(総体積)の影響を受けるため、マイクロニードルを精度良く形成する必要がある。上述したように、マイクロニードルは樹脂製モールドの凹部の形状に依存し、樹脂製モールドの凹部は型の形状に依存するため、型を精度良く製造する必要がある。
特許文献1に記載の切削加工等の機械加工により型を製造する場合、研削装置等の精度、又は刃の磨耗の観点から、型を精度良く製造できない懸念がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、薬剤量の制御性を改善できるパターンアレイ成形用型の製造方法、及びマイクロニードルアレイの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、パターンアレイシート成形用型の製造方法は、基材を機械加工することにより、アレイ状に配列され、100μm以上1500μm以下の高さを有し、かつ多段の形状を有する複数の針状突起を形成する工程と、非接触測定によって針状突起の体積を計測する工程と、針状突起の体積を調整するため、計測する工程における計測結果に基づいて、針状突起を追加工する工程と、を備える。
好ましくは、追加工する工程は、針状突起を機械加工することを含む。
好ましくは、追加工する工程は、針状突起を機械加工した後に、針状突起の上に無機膜を成膜することを含む。
好ましくは、針状突起の先端部の無機膜の厚さより、針状突起の裾部の無機膜の厚さを厚く成膜する。
好ましくは、無機膜の厚さが100nm以上である。
好ましくは、追加工する工程は、無機膜を成膜後に薄膜化することを含む。
好ましくは、針状突起の先端部に成膜された無機膜を薄膜化することにより針状突起の先端部の形状を調整することを含む。
好ましくは、追加工する工程の後に、針状突起に離型膜を形成する工程を含む。
好ましくは、離型膜がフッ素系材料、及び炭化水素系材料の少なくとも一方により構成される。
好ましくは、離型膜の厚さが、20nm以上50nm以下である。
本発明の別の態様によると、マイクロニードルアレイの製造方法は、上述のパターンアレイシート成形用型の製造方法により製造されたパターンアレイシート成形用型を用いてパターンアレイシートを製造する工程と、パターンアレイシートを用いて複製型を製造する工程と、複製型を用いて凹状パターンを有する樹脂製モールドを作製する工程と、樹脂製モールドの凹状パターンにポリマー溶解液を供給する工程と、ポリマー溶解液を乾燥させてポリマーシートとする乾燥する工程と、ポリマーシートを樹脂製モールドから離型する工程と、を含む。
本発明のパターンアレイ成形用型の製造方法によれば、薬剤量の制御性を改善することが可能となる。マイクロニードルアレイの製造方法によれば、薬剤量の制御性を改善することが可能となる。
パターンアレイシート成形用型の製造方法のフローチャートである。 針状突起を形成する工程を示す図である。 針状突起を形成する工程を示す図である。 針状突起を形成する工程を示す図である。 針状突起の断面図である。 パターンアレイシート成形用型の斜視図である。 パターンアレイシート成形用型の斜視図である。 非接触測定機の概略構成図である。 設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。 追加工後の設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。 頻度を縦軸、針状突起の体積を横軸とするグラフである。 成膜前と成膜後の設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。 針状突起に無機膜を成膜した状態を示す側面図である。 積算体積比を縦軸、針状突起の全高に対する針状突起の高さの比を横軸とするグラフである。 積算体積比を縦軸、針状突起の全高に対する針状突起の高さの比を横軸とするグラフである。 マイクロニードルアレイの製造方法のフローチャートである。 パターンアレイシートを製造する工程を示す工程図である。 パターンアレイシートを製造する工程を示す工程図である。 パターンアレイシートを製造する工程を示す工程図である。 電鋳金型を製造する工程を示す工程図である。 電鋳金型を製造する工程を示す工程図である。 樹脂製モールドの製造工程の手順を示す工程図である。 樹脂製モールドの製造工程の手順を示す工程図である。 ポリマー溶解液を供給する工程を示す工程図である。 ポリマーシートとするためポリマー溶解液を乾燥する工程を示す工程図である。 ポリマーシートを樹脂製モールドから離型する工程を示す工程図である。 マイクロニードルアレイを切断する工程を示す工程図である。
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
(パターンアレイシート成形用型の製造方法)
パターンアレイシート成形用型の製造方法について、図面を参照して説明する。図1は、パターンアレイシート成形用型の製造方法のフローチャートである。図1に示されるように、パターンアレイシート成形用型の製造方法は、針状突起形成工程(ステップS1)、計測工程(ステップS2)、及び追加工工程(ステップS3)を、少なくとも備える。
針状突起形成工程(ステップS1)では、基材を機械加工することにより、アレイ状に配列され、100μm以上1500μm以下の高さを有し、かつ多段の形状を有する複数の針状突起を形成する。計測工程(ステップS2)では、非接触測定によって針状突起の体積を計測する。追加工工程(ステップS3)では、針状突起の体積を調整するため、計測する工程における計測結果に基づいて、針状突起を追加工する。以下、各工程について説明する。
<針状突起形成工程(ステップS1)>
針状突起形成工程について、図2から図6に基づいて説明する。図2から図4は針状突起を形成する工程を示す図である。
図2に示されるように、パターンアレイシート成形用型10(図6参照)を作製するための基材20が準備される。基材20の素材としては、鉄、ステンレス合金、アルミニウム合金、Ni合金(めっきを含む)の金属を使用することができる。
図3に示されるように、第一切削刃30を用いて基材20を機械加工(切削)することにより、パターンアレイシート成形用型10の針状突起12を構成する第一部分12Aが基材20に形成される。第一部分12Aを形成するための各種条件(第一切削刃30の種類、切削速度等)が適宜選択される。
機械加工とは、切削刃、砥石等の工具により対象物を加工する方法を意味する。
図4に示されるように、第二切削刃32を用いて基材20を切削することにより、針状突起12を構成する第二部分12Bが基材20に形成される。第二切削刃32は第一切削刃30と同じであっても、異なっていてもよい。第二部分12Bを形成するための各種条件(第二切削刃32の種類、切削速度等)が適宜選択される。第二部分12Bを形成する際にパターンアレイシート成形用型10の第一面10Aが形成される。基材20に、第一部分12Aと第二部分12Bとを含む針状突起12を必要な数だけ作製し終えると、針状突起形成工程は終了となる。本実施形態では、第一切削刃30と第二切削刃32とを用いた機械加工示したが、これに限定されない。例えば、第一切削刃30及び第二切削刃32の何れか一方のみを用いる場合、さらに第三切削刃(不図示)を用いる場合でもよい。
図5は、針状突起形成工程後の針状突起の断面図である。
図5に示されるように、針状突起12は、第一面10Aから離れる方向に先細りとなる錐体形状の構造を有している。本実施形態では、針状突起12が、第一面10Aの側から、第二部分12Bと、第一部分12Aとを有し、第二部分12Bの側面と第一面10Aとの成す角度θ2と、第一部分12Aの側面と第一面10Aとの成す角度θ1との大きさが異なる形状を有している。したがって、本実施形態では一つ第二部分12Bと一つの第一部分12Aとを有しているので、第一面10Aと成す角度の異なる2つの側面を有する一段の段差を有する形状となる。多段の形状は、少なくとも一段の段差を有する形状である。なお、針状突起12は切削加工等により作製されるため、先端は曲面状である。先端径は好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
針状突起12の高さH1は、100μm以上1500μm以下であることが好ましく、500μm以上1200μm以下であることがさらに好ましい。針状突起12の高さH1は、第一面10Aから針状突起12の先端までの距離である。また、第一部分12Aの高さ(H1−H2)と、第二部分12Bの高さH2との比である(H1−H2)/H2については、1以上10以下の範囲であり、好ましくは1.5以上8以下の範囲である。
針状突起12の間隔L(ピッチ)は、300μm以上2000μm以下であることが好ましく、500μm以上1500μm以下であることがより好ましく、700μm以上1250μm以下であることがさらに好ましい。針状突起12の間隔Lを上述の範囲とすることにより、切削等の機械加工が容易となる。隣り合う針状突起12の間隔Lとは、ある針状突起12に対して最も近い位置にある別の針状突起12までの距離であり、図5に示すように、2つの針状突起12の先端間の距離で測定される。
図6は、パターンアレイシート成形用型の斜視図である。図6に示されるように、パターンアレイシート成形用型10は、略直方体の形状を有し、その第一面10Aに複数の針状突起12がアレイ状に配列されている。アレイ状とは整列された状態を意味する。針状突起12が整列されていれば良く、数、配置、ピッチ等は適宜選択される。針状突起12は第一部分12Aと第二部分12Bとから構成される第一面10Aと対向する反対側の面である第二面10Bは、ほぼ平坦面で構成されている。
後述するように、パターンアレイシート成形用型10からパターンアレイシートが形成される。パターンアレイシートから電鋳金型が作製され、電鋳金型から凹状パターンを有する樹脂製モールドが作製される。樹脂製モールドから成形品であるマイクロニードルアレイが製造される。パターンアレイシート成形用型10の針状突起12が、マイクロニードルアレイに複製される。したがって、針状突起12の形状を管理することが重要となる。
図7は、図6のパターンアレイシート成形用型10とは異なる針状突起12の形状を有している。図7の針状突起12は、先端部から裾部に向けて第一部分12Aと第二部分12Bと第三部分12Cと備える二段の段差を有する形状である。図7においては、第一部分12Aは円錐形状であり、第二部分12Bは円柱形状であり、第三部分12Cは円錐台形状を有している。但し、これらの形状には限定されない。
<計測工程(ステップS2)>
計測工程では、複数の針状突起12をアレイ状に形成したパターンアレイシート成形用型10が非接触測定によって測定され、針状突起12の体積が計測される。非接触の測定は、レーザー顕微鏡、又は白色干渉計を用いることにより、実現することができる。非接触測定とは、測定物に直接接触することなく測定する方法であって、例えば、光を利用して測定する方法を挙げることができる。
レーザー顕微鏡として、例えば、キーエンス社製のVK−X260、オリンパス社製のOLS4100等を使用することができる。白色干渉計として、例えば、Zygo社製の白色干渉計、Bruker社製のWyko等を使用することができる。
図8は、非接触測定機の概略構成図である。図8に示されるように、非接触測定機システム40は、例えば、非接触測定機42と、及び制御装置60と、を備えている。非接触測定機42と制御装置60とは電気的に接続されている。制御装置60は非接触測定機システム40の全体の動作を制御する。
非接触測定機42は、撮像装置44と、測定機本体46と、光源48と、及び測定物であるパターンアレイシート成形用型10を載置するテーブル50と、を備える。非接触測定機42として、上述のレーザー顕微鏡、白色干渉計等が使用される。
制御装置60は、操作入力部であるキーボード62、及び表示部であるディスプレイ64と、制御部66とを備える。制御部66は、各種の処理を行う演算部、各種プログラム及びデータ等が格納された記憶部等を備える。
複数の針状突起12を有するパターンアレイシート成形用型10がテーブル50に載置される。非接触測定機42によって、針状突起12の形状が計測される。非接触測定機42によって計測された結果が、制御装置60に入力される。制御装置60に入力された結果が、制御部66の演算部により処理され、針状突起12の体積が計測される。
針状突起12の体積を求める方法として、いくつかの方法がある。一つの方法は、計測した1つの針状突起12に対し、針状突起12の底部の重心を算出し、重心位置の高さにおける断面から径を算出する。算出された径に基づいて、高さ方向で積分することにより体積を求めることができる。
別の方法として、理想形状の位置情報と、計測した針状突起12とに基づいて3Dフィッティングすることにより径を算出し、算出された径に基づいて、高さ方向で積分することにより体積を求めることができる。
上記の方法で求めた体積が、一つのパターンアレイシート成形用型10の複数の針状突起12の総体積となる。
本実施形態では、全ての針状突起12を計測する場合について説明した。しかしながら、計測すべき針状突起12の数が多い場合、針状突起12の設計値に対する総体積の増加、又は減少の傾向を把握できる評価数を統計的に求め、全ての針状突起12を計測しない場合であっても良い。
複数の針状突起12を有するパターンアレイシート成形用型10を計測した結果の一例について説明する。100本の針状突起12を有するパターンアレイシート成形用型10を準備する。パターンアレイシート成形用型10の針状突起12を非接触測定機システム40により計測する。図9は、設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。体積比は、計測値/設計値の式により求めることができる。
図9に示されるように、この例においては、加工順が遅くなるほど、体積比が大きくなることが読み取れる。針状突起12を形成するための切削刃が、加工が進むにつれて摩耗し、その結果、針状突起12の形状が設計値から外れたと考えられる。
各針状突起12の体積が等しくない場合、パターンアレイシート成形用型10から製造されるマイクロニードルアレイの形状が等しくなくなるため、薬剤量の制御性が問題になることが懸念される。
<追加工工程(ステップS3)>
本実施形態においては、追加工工程では、各針状突起12の体積を調整するため、計測工程における計測結果に基づいて、針状突起12が追加工される。
追加工する工程として、各針状突起12の体積の計測結果に基づいて、機械加工により各針状突起12の体積が調整されるよう切削等することができる。同じ切削刃により針状突起12を機械加工する場合、例えば、加工順を逆にし、加工順の遅い針状突起12から加工順の早い針状突起12の順で機械加工することができる。切削刃が摩耗する場合でも、精度の高い追加工を実現することができる。
図10は、追加工後の設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。追加工後の各針状突起12を計測し、その計測結果を図10のグラフにプロットする。図10に示されるように、機械加工による追加工を針状突起12の行うことにより、各針状突起12の体積をほぼ等しくなるように調整することができる。体積がほぼ等しいとは、体積が同じであるか、又は体積のバラツキが一定の範囲に含まれていること意味する。一定の範囲は、製造されるマイクロニードルアレイに求められる精度から、定められる。
次に、100本の針状突起12を有する、6つのパターンアレイシート成形用型10を準備し、6つのパターンアレイシート成形用型10に対して機械加工による追加工を実施する。図11は、頻度を縦軸、針状突起の体積を横軸とするグラフである。グラフA、B、C、D、E、Fは、6つのパターンアレイシート成形用型10の各針状突起12の体積と頻度をプロットしたグラフである。
図11に示されるように、グラフA、B、C、D、E、及びFによれば、各パターンアレイシート成形用型10の針状突起12の体積は、ほぼ等しくなるように調整されている。グラフA、B、C、D、E、及びFによれば、各パターンアレイシート成形用型10の針状突起12の体積は、設計値に対して±3%に含まれている。パターンアレイシート成形用型10の針状突起12の体積が、上述の範囲内であれば、マイクロニードルアレイの薬剤量の制御性を向上させることができる。
一方、成形品であるマイクロニードルアレイの形状に関して、設計値に対する許容値がより小さいこと、即ち、ばらつきがより小さいことが求められ場合がある。例えば、グラフA、B、C、D、E、及びFで示されるパターンアレイシート成形用型10の針状突起12の体積を、設計値に近づけることが必要となる。
グラフD、E、及びFで代表される、設計値より大きな針状突起12の体積を有するパターンアレイシート成形用型10に対して、追加の機械加工による追加工を行うことで、針状突起12の体積を設計値に近づけることができる。
グラフA、B、及びCで代表される、設計値より小さな針状突起12の体積を有するパターンアレイシート成形用型10に対して、追加の機械加工による追加工によっては、針状突起12の体積を設計値に近づけることができない。
本実施形態では、機械加工により針状突起12の体積を調整した後、設計値より小さな針状突起12の上に無機膜を成膜することにより、針状突起12の体積を設計値に近づけることができる。図12は、成膜前と成膜後の設計値に対する体積比を縦軸、針状突起の加工順を横軸とするグラフである。図12に示されるように、各針状突起12に無機膜を成膜することにより、各針状突起12の体積を成膜前の状態より大きくすることができる。
無機膜の材料として、カーボン系ではDLC(Diamond−like Carbon)、TaC(Tetrahedral amorphous Carbon)、スパッタカーボン等を挙げることができる。また、無機膜の材料として、合金膜では、CrN、TiN、PtFe、Ni−W、TiO、SiO等をあることができる。無機膜の材料として、金属膜では、Au、Pt、Cu、Ni、Cr等を挙げることができる。針状突起12の上に無機膜を成膜する方法として、公知の真空成膜方法を用いることができる。
成膜される無機膜の厚さは100nm以上であることが好ましい。無機膜の厚さを100nm以上にすることにより、効果的に針状突起12の体積を増加させることが可能となる。なお、無機膜の厚さが厚い程、より効果的に針状突起12の体積を増加させることが可能となる。無機膜の厚さは、増加したい体積の大きさ、形成された針状突起12の高さ、隣接する針状突起12の距離等に基づいて、適宜決定される。
図13は、針状突起に無機膜を成膜する状態を示す側面図である。図13に示されるように、パターンアレイシート成形用型10の複数の針状突起12の上に、無機膜34が成膜される。無機膜を成膜する場合、パターンアレイシート成形用型10の第一面10Aに対して垂直方向(90°)から無機物質を堆積することが好ましい。垂直方向から無機物質を堆積することにより、針状突起12の先端部の無機膜34の厚さより、針状突起12の裾部の無機膜34の厚さを厚く成膜することができる。
無機膜34の厚さを、針状突起12の裾部より針状突起12の先端部において薄くすることができ、針状突起12の先端部が鈍ることを抑制することができる。針状突起12の先端部がマイクロニードルアレイの先端部に複製されるため、マイクロニードルアレイの穿刺性を確保ためには、針状突起12の先端部が鈍らないことが好ましい。
針状突起12の先端部の無機膜34の厚さより、針状突起12の裾部の無機膜34の厚さを厚く成膜することにより、効率的に針状突起12を増加させることができる。
また、パターンアレイシート成形用型10を回転させることにより、無機膜34を針状突起12の表面の全体に亘り、成膜することができる。
本実施形態では、第一面10Aに対して垂直方向から無機材料を堆積する場合を説明したが、この態様に限定されない。したがって、パターンアレイシート成形用型10無機材料を堆積する方向を、第一面10Aに対して90°から傾けた状態で無機膜を成膜してもよい。なお、針状突起12の先端部の無機膜34の厚さが、針状突起12の裾部の無機膜34の厚さより厚く成膜できる傾きであることが好ましい。
図14は、積算体積比を縦軸、針状突起の全高に対する針状突起の高さの比(針状突起の高さ/針状突起の全高:以下高さ比とも言う)を横軸とするグラフである。横軸において、針状突起の高さは、針状突起の先端を起点(0)とし、針状突起の先端から針状突起のある位置までの距離である。また、針状突起の全高は、針状突起の先端から第一面までの距離である。
図14において、横軸の数値が大きくなるにしたがい、その数値に対応する針状突起の位置での断面積は大きくなる。このことから、針状突起の裾部側での体積増加率は、針状突起の裾部側での体積増加率より大きくなることが読み取れる。したがって、針状突起の体積を増加させる場合、針状突起の先端部側に無機膜を成膜するより、針状突起の裾部側に無機膜を成膜することが、好ましいことが理解できる。
図15は、積算体積比を縦軸、針状突起の全高に対する針状突起の高さの比を横軸とするグラフである。横軸は、高さ比の値が0.8から1.0までの範囲を示している。縦軸は、針状突起の基準値に対して、均等な厚さの無機膜を成膜した際の体積の増加率を示している。
グラフAは基準値を、グラフBは基準値の針状突起の上に1μmの厚さの無機膜を0.8から1.0の高さ比の範囲において成膜した場合を、グラフCは基準値の針状突起の上に2μmの厚さの無機膜を0.8から1.0の高さ比の範囲において成膜した場合を、グラフDは基準値の針状突起の上に3μmの厚さの無機膜を0.8から1.0の高さ比の範囲において成膜した場合を、示している。
図15のグラフによれば、基準値の針状突起の上に3μmの厚さの無機膜を0.8から1.0の高さ比の範囲において成膜した場合、針状突起の体積を4%程度増加させることができることが理解できる。針状突起の体積を4%程度増加させることができれば、針状突起の体積を設計値に近づけることが可能となる。
針状突起の先端部は、0以上0.2以下の高さ比の範囲であり、針状突起の裾部とは0.8以上1.0以下の高さ比の範囲である。針状突起の先端部と針状突起の裾部の無機膜の厚さの差は、針状突起の先端部における平均膜厚と、針状突起の裾部における平均膜厚を比較することで求めることができる。
針状突起に対して追加工の工程として、機械加工した後に、針状突起の上に無機膜を成膜する場合について説明した。この追加工の工程に、さらに、成膜された無機膜を薄膜化することを含めることが好ましい。無機膜の薄膜化とは、無機膜の厚さを薄くすることを意味する。
針状突起の体積を調整するため、針状突起を機械加工した後に、針状突起の上に無機膜を成膜する場合、無機膜が、計測結果より予め求められた厚さより厚く成膜されることがある。厚い無機膜が成膜されると、針状突起の体積が、設計値から外れることが懸念される。
そこで、本実施形態においては、厚く成膜された無機膜を薄膜化することが好ましい。無機膜を薄膜化することにより、針状突起の体積を設計値に近づけることができる。
無機膜を薄膜化する方法として、ドライエッチングプロセスを挙げることができる。ドライエッチングプロセスとは、液体を使用せずに、対象物にイオン等を衝突させる物理的エッチング方式、反応性ガスにより化学反応を起こさせる化学的エッチング方式、又は両方を組み合わせたエッチング方式等を挙げることができる。無機膜を薄膜化することができれば、ドライエッチングプロセスに限定されない。
無機膜を薄膜化する場合、針状突起の先端部に成膜された無機膜を薄膜化することが好ましい。針状突起の先端部の無機膜が成膜された場合、先端部の形状が鈍る懸念がある。したがって、針状突起の先端部に成膜された無機膜を薄膜化することが好ましい。したがって、先端部の形状を設計値に近い形状にすること可能となる。
無機膜の種類によって、無機膜を薄膜化する方法を適宜変更することが好ましい。また、針状突起の先端部の角度に垂直になる角度、すなわち第一面に対して垂直方向から無機膜を薄膜化することが好ましい。垂直方向から無機膜を薄膜化することにより、針状突起の先端部の形状を調整することが可能となる。
<離型膜形成工程)>
追加工する工程の後に、針状突起に離型膜を形成する工程を含んでいてもよい。針状突起に離型膜を形成することにより、パターンアレイシート成形用型からパターンアレイシートを容易に離型することが可能となる。
離型膜は、フッ素系材料、及び炭化水素系材料の少なくとも一方により構成されることが好ましい。フッ素系材料として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)、PFA(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体:Tetrafluoroetylene−PerfluoroalkylvinyletherCopolymer)等を挙げることができる。フッ素系材料として、例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツール(登録商標)HD2100等を用いることができる。
針状突起に形成される離型膜は、20nm以上50nm以下の厚さを有することが好ましい。離型膜を20nm以上50nm以下の範囲とすることにより、針状突起の体積を大きく変化させないことが可能となる。体積を調整された針状突起の大きさを設計値から外れないようにすることが好ましい。離型膜は、スプレー等で、針状突起に塗布することができる。但し、離型膜を形成する方法は特に限定されない。
(マイクロニードルアレイの製造方法)
マイクロニードルアレイの製造方法について、図面を参照して説明する。図16は、マイクロニードルアレイの製造方法フローチャートである。図16に示されるように、マイクロニードルアレイの製造方法は、パターンアレイシート製造工程(ステップS21)、複製型製造工程(ステップS22)、樹脂製モールド製造工程(ステップS23)、ポリマー溶解液供給工程(ステップS24)、乾燥工程(ステップS25)、及び離型工程(ステップS26)を少なくとも備える。
<パターンアレイシート製造工程(ステップS21)>
パターンアレイシート製造工程では、パターンアレイシート成形用型の製造方法により製造されたパターンアレイシート成形用型を用いてパターンアレイシートを製造する。図17から図19は、パターンアレイシートの製造工程の手順を示す工程図である。
図17に示されるように、パターンアレイシート成形用型10と、パターンアレイシートの材料である熱可塑性樹脂シート80とを準備する。
熱可塑性樹脂シート80を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、液晶ポリマー、ポリ乳酸等を好適に用いることができる。熱可塑性樹脂シート80とは、膜厚が薄く、常温において自己支持性を有する状態にある熱可塑性樹脂を意味する。「自己支持性」とは、他の部材による支持がなくても、単体でその形態を保ち得ることをいう。
パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80とを相対的に移動して、パターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80に押圧する位置(例えば、領域A1)を決める。位置決めは、例えば、熱可塑性樹脂シート80を支持するテーブル(不図示)に、水平面内で互いに直交方向に移動するX軸駆動機構、Y軸駆動機構を設けることにより、実行される。
加熱されたパターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に押圧する。パターンアレイシート成形用型10の複数の針状突起12が熱可塑性樹脂シート80に押圧される。
パターンアレイシート成形用型10は、熱可塑性樹脂シート80を構成する熱可塑性樹脂材料のビカット温度以上に加熱される。加熱は、ヒータ(不図示)により行われる。熱可塑性樹脂シート80を構成する熱可塑性樹脂の種類に応じて、パターンアレイシート成形用型10は適正な温度に加熱される。
パターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に押圧するために、例えば、熱可塑性樹脂シート80を支持するテーブル(不図示)に、鉛直方向に移動するZ軸駆動機構を設けることにより、実行される。テーブルにZ軸駆動機構を設けた場合、熱可塑性樹脂シート80がパターンアレイシート成形用型10に移動する。また、鉛直方向に移動するZ軸駆動機構によりパターンアレイシート成形用型10を取り付けることもできる。この場合、パターンアレイシート成形用型10が熱可塑性樹脂シート80に移動する。
加熱されたパターンアレイシート成形用型10を押圧しながら、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側を一定時間加熱する。次いで、パターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80に押圧した状態で、パターンアレイシート成形用型10を冷却することにより、熱可塑性樹脂シート80が軟化温度以下になるまで冷却される。
図18に示されるように、パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80とを引き離して、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に、複数の針状突起12の反転形状の複数の凹部82を形成する。なお、パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80との引き離しは、上述したZ軸駆動機構により実行することができる。複数の凹部82は複数の針状突起12の反転形状を有しているので、複数の凹部82はアレイ状に配列される。複数の凹部82の窪みの大きさ、数、及び配置は、複数の針状突起12の基本的に同じとなる。凹部82は、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aから他方面に向けて先端が先細りの形状を有している。
次に、図18に示されるように、領域A1において凹部82の形成を終えると、パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80との位置決め(ここでは領域A2)を行う。領域A2において、加熱されたパターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に押圧する。パターンアレイシート成形用型10の針状突起12が熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に押圧される。
領域A2において、加熱されたパターンアレイシート成形用型10を押圧しながら、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側を一定時間加熱する。パターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80に押圧した状態で、パターンアレイシート成形用型10を冷却することにより、熱可塑性樹脂シート80が軟化温度以下になるまで冷却される。パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80とを引き離して、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aに、複数の針状突起12の反転形状の凹部82を形成する。
さらに、パターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80とを位置決めし(ここでは領域A3)、加熱したパターンアレイシート成形用型10を熱可塑性樹脂シート80の表面80Aに押圧する。
図17及び図18で説明したパターンアレイシート成形用型10と熱可塑性樹脂シート80との位置決めと、パターンアレイシート成形用型10の針状突起12の反転形状の凹部82を熱可塑性樹脂シート80に形成することを繰り返す。
図19に示されるように、熱可塑性樹脂シート80の表面80Aの側に、予め決められた領域に複数の凹部82を形成し終えると、熱可塑性樹脂シート80からパターンアレイシート84が製造される。
<複製型製造工程(ステップS22)>
複製型製造工程では、パターンアレイシートを用いてパターンアレイシート成形用型の複製である複製型を製造する。複製型を製造する一例として、電鋳処理を例に説明する。図20、図21は、電鋳金型の製造工程の手順を示す工程図である。
図20に示されるように、表面80Aの複数の領域に、複数の凹部82がアレイ状に配列されたパターンアレイシート84を準備し、パターンアレイシート84に電鋳処理を行う。電鋳処理においては、まず、パターンアレイシート84に導電化処理を行う。パターンアレイシート84に金属(例えば、ニッケル)をスパッタリングし、パターンアレイシート84の表面80A、及び複数の凹部82に金属を付着する。導電化処理を経たパターンアレイシート84を陰極に保持する。金属ペレットを金属製のケースに保持し陽極とする。パターンアレイシート84を保持する陰極と金属ペレットを保持する陽極とを電鋳液中に浸漬し、通電する。電鋳処理により、パターンアレイシート84の複数の凹部82に金属が埋め込まれ、金属体90が形成される。電鋳処理とは、電気めっき法により型(パターンアレイシート84)の表面に金属を析出させる方法をいう。
図21に示されるように、金属体90がパターンアレイシート84から離型されて、複数の針状突起94を有する電鋳金型92が製造される。複数の針状突起94は複数の凹部82の反転形状を有している。複数の針状突起94は、パターン状に配列される。電鋳金型92の針状突起94は、パターンアレイシート成形用型10の針状突起12と、ほぼ同一の形状となる。本実施形態では、電鋳金型92が複製型となる。
本実施形態では、パターンアレイシート成形用型10を用いてパターンアレイシート84を製造し、パターンアレイシート84から電鋳金型92を製造する。したがって、パターンアレイシート成形用型10の針状突起12と電鋳金型92の針状突起94とはほぼ同一の形状であり、かつ、電鋳金型92はパターンアレイシート成形用型10と比較して大面積の有している。すなわち、小型のパターンアレイシート成形用型10から、その複製型である大型の電鋳金型92を得ることができるので、機械加工に伴うコストを削減できる。
複製型は、電鋳処理に限定されず、パターンアレイシート84を用いて樹脂製の複製型を作製することもできる。
<樹脂製モールド製造工程(ステップS23)>
樹脂製モールド製造工程では、複製型を用いて複数の凹部を有する樹脂製モールドを製造する。図22、図23は、樹脂製モールドの製造工程の手順を示す工程図である。なお、複製型として電鋳金型92を用いる例で説明する。複製型は電鋳金型92に限定されない。
図22は、電鋳金型92を用いて樹脂製モールド100を製造する工程を示し、図23は電鋳金型92から樹脂製モールド100を離型する工程を示している。以下の第1から第3の方法により、アレイ状に配列された複数の凹部102を有する樹脂製モールド100を製造することができる。
まず、第1の方法について説明する。紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化樹脂を準備する。電鋳金型92の複数の針状突起94を紫外線硬化樹脂に押圧する。紫外線硬化樹脂に電鋳金型92を押圧した状態で、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させる。硬化させた紫外線硬化樹脂を電鋳金型92から離型する。電鋳金型92の複数の針状突起94の反転形状である複数の凹部102を有する樹脂製モールド100を製造することができる。
第2の方法について説明する。樹脂製モールド100の材料となる熱可塑性樹脂シートを準備する。複数の針状突起94を有する電鋳金型92を加熱する。加熱された電鋳金型92複数の針状突起94を熱可塑性樹脂シートの表面に押圧する。熱可塑性樹脂の表面は軟化されているので、複数の針状突起94の反転形状が熱可塑性樹脂シートに転写される。
熱可塑性樹脂シートに電鋳金型92を押圧した状態で、熱可塑性樹脂シートと電鋳金型92とを冷却する。電鋳金型92を冷却することにより熱可塑性樹脂シートを硬化させる。その後、熱可塑性樹脂シートを電鋳金型92から離型する。電鋳金型92の複数の針状突起94の反転形状である複数の凹部102を有する樹脂製モールド100を製造することができる。
次に、第3の方法について説明する。PDMS(polydimethylsiloxane:ポリジメチルシロキサン、例えば、ダウコーニング社製シルガード184)に硬化剤を添加したシリコーン樹脂を準備する。電鋳金型92の複数の針状突起94をシリコーン樹脂に押圧する。シリコーン樹脂に電鋳金型92を押圧した状態で、シリコーン樹脂を100℃で加熱処理し硬化させる。硬化させたシリコーン樹脂を電鋳金型92から離型する。電鋳金型92の複数の針状突起94の反転形状である複数の凹部102を有する樹脂製モールド100を製造することができる。
複数の凹部102は複数の針状突起94の反転形状であるので、複数の凹部102の各凹部の大きさは、複数の針状突起94の大きさと、ほぼ同じとなる。但し、樹脂製モールド100を製造する方法、第1〜第3の方法に限定されない。
<ポリマー溶解液供給工程(ステップS24)>
ポリマー溶解液供給工程では、図24に示されるように、樹脂製モールド100の複数の凹部102にポリマー溶解液112が供給される。
マイクロニードルアレイ110(図26参照)を形成するポリマー溶解液112の材料としては、水溶性材料を用いることが好ましい。マイクロニードルアレイ110の製造に用いられるポリマー溶解液112の樹脂ポリマーの素材としては、生体適合性のある樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、グルコース、マルトース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルデンプンなどの糖類、ゼラチンなどのタンパク質、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーを使用することが好ましい。これらの中でもゼラチン系の素材は多くの基材と密着性をもち、ゲル化する材料としても強固なゲル強度を持つため、基材と密着させることができる。マイクロニードルアレイ110を樹脂製モールド100から離型する際、基材(不図示)を用いてマイクロニードルアレイ110を離型することができるので、好適に利用することができる。濃度は材料によっても異なるが、薬剤を含まないポリマー溶解液112の中に樹脂ポリマーが10〜50質量%含まれる濃度とすることが好ましい。また、ポリマー溶解液112に用いる溶媒は、温水以外であっても揮発性を有するものであればよく、エタノールなどのアルコールなどを用いることができる。そして、ポリマー溶解液112の中には、用途に応じて体内に供給するための薬剤を共に溶解させることが可能である。薬剤を含むポリマー溶解液112のポリマー濃度(薬剤自体がポリマーである場合は薬剤を除いたポリマーの濃度)としては、0〜30質量%含まれることが好ましい。
ポリマー溶解液112の調製方法としては、水溶性の高分子(ゼラチンなど)を用いる場合は、水溶性粉体を水に溶解し、溶解後に薬剤を添加してもよいし、薬剤が溶解した液体に水溶性高分子の粉体を入れて溶かしてもよい。水に溶解しにくい場合、加温して溶解してもよい。温度は高分子材料の種類により、適宜選択可能であるが、必要に応じて、約20〜40℃の温度で加温することが好ましい。ポリマー溶解液112の粘度は、薬剤を含む溶解液では200mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは50mPa・s以下とすることが好ましい。薬剤を含まない溶解液では2000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは500mPa・s以下とすることが好ましい。ポリマー溶解液112の粘度を適切に調整することにより、樹脂製モールド100の凹部102に容易にポリマー溶解液112を注入することができる。例えば、ポリマー溶解液112の粘度は、細管式粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計、又は振動式粘度計で測定することができる。
ポリマー溶解液112に含有させる薬剤は、薬剤としての機能を有するものであれば限定されない。特に、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、ワクチン、水溶性低分子化合物に属する医薬化合物、又は化粧品成分から選択することが好ましい。
ポリマー溶解液112を樹脂製モールド100に注入する方法としては、例えば、ノズル、スピンコーター、スキージ等を用いた塗布を挙げることができる。
樹脂製モールド100の凹部102の先端に、貫通孔を形成しても、形成しなくても良い。貫通孔を形成した場合、凹部102内のエアーを貫通孔から逃がすことができる。したがって、ポリマー溶解液112を樹脂製モールド100の凹部102に入りやすくすることができる。また、この工程は、減圧状態で行うことが好ましい。
<乾燥工程(ステップS25)>
乾燥工程では、図25に示されるように、ポリマーシート114とするため、ポリマー溶解液112が乾燥される。例えば、樹脂製モールド100に供給されたポリマー溶解液112に風を吹き付けることにより乾燥させることができる。ポリマーシート114とは、ポリマー溶解液112に所望の乾燥処理を施した後の状態を意味する。ポリマーシート114の水分量等は適宜設定される。なお、乾燥により、ポリマーの水分量が低くなりすぎると離型しにくくなるため、弾力性を維持している状態の水分量を残存させておくことが好ましい。
ポリマーシート114には複数の凹部102の反転形状である後述する針状突起116が形成される。
<離型工程(ステップS26)>
離型工程では、図26に示されるように、樹脂製モールド100からポリマーシート114が離型され、マイクロニードルアレイ110が製造される。マイクロニードルアレイ110には、樹脂製モールド100の凹部102の反転形状である複数の針状突起116が形成される。
例えば、ポリマーシート114の樹脂製モールド100の反対側の面に、粘着層が形成されているシート状の基材(不図示)を付着させ、その基材を引き上げることにより、ポリマーシート114を樹脂製モールド100から離型することができる。ポリマーシート114の両端部を把持し、両端部を徐々に引き上げることにより、ポリマーシート114を樹脂製モールド100から離型することもできる。
<切断工程>
切断工程では、製造されたマイクロニードルアレイ110が、個別のマイクロニードルアレイ110A、110B、110C、110Dに切断される。樹脂製モールド100から離型されたマイクロニードルアレイ110は、切断装置(不図示)にセットされ、マイクロニードルアレイ110を切断する位置が決定される。基本的には、アレイ状に配列された複数の針状突起116の集合体を有する領域116A、116B、116C、116Dごとに切断位置が決定される。図27に示されるように、マイクロニードルアレイ110が切断され、複数の個別のマイクロニードルアレイ110A、110B、110C、110Dが製造される。
なお、本実施形態では、ポリマー溶解液112を樹脂製モールド100の凹部102に充填し、乾燥することによりポリマーシート114を形成する場合を説明したが、これに限定されない。
例えば、薬剤を含むポリマー溶解液112を樹脂製モールド100の複数の凹部102に充填して乾燥し、その後、薬剤を含まないポリマー溶解液112を樹脂製モールド100の複数の凹部102に充填し、乾燥することにより二層構造のポリマーシート114(マイクロニードルアレイ110)を製造することができる。
製造されるマイクロニードルアレイ110の複数の針状突起116(領域116A,116B,116C、116D)とは、針状突起116とは、先端側に先細りの形状を意味し、錐体形状、及び多段の錐体形状を含む。多段の錐体形状は、底面から先端に向けて角度の異なる側面を有する錐体形状を意味する。
針状突起116の高さは、100μm以上1500μm以下であることが好ましく、500μm以上1000μm以下である。
製造されるマイクロニードルアレイ110の複数の針状突起116を有するは、パターンアレイシート成形用型10の複製となる。パターンアレイシート成形用型10の針状突起12の形状、及び配置を所望の形状とすることにより、製造されるマイクロニードルアレイ110の針状突起116を所望の形状とすることができる。特に、本実施形態では、パターンアレイシート成形用型の針状突起の形状が調整されているので、針状突起116の形状がほぼ等しくされ、薬剤量の制御を改善することが可能となる。
10 パターンアレイシート成形用型
10A 第一面
10B 第二面
12 針状突起
12A 第一部分
12B 第二部分
12C 第三部分
20 基材
30 第一切削刃
32 第二切削刃
34 無機膜
40 非接触測定機システム
42 非接触測定機
44 撮像装置
46 測定機本体
48 光源
50 テーブル
60 制御装置
62 キーボード
64 ディスプレイ
66 制御部
80 熱可塑性樹脂シート
80A 表面
82 凹部
84 パターンアレイシート
90 金属体
92 電鋳金型
94 針状突起
100 樹脂製モールド
102 凹部
110、110A、110B、110C、110D マイクロニードルアレイ
112 ポリマー溶解液
114 ポリマーシート
116 針状突起
116A、116B、116C、116D 領域
A1、A2、A3 領域
L 間隔
S1、S2、S3、S21、S22、S23、S24、S25、S26 ステップ
θ1、θ2 角度

Claims (11)

  1. 基材を機械加工することにより、アレイ状に配列され、100μm以上1500μm以下の高さを有し、かつ多段の形状を有する複数の針状突起を形成する工程と、
    非接触測定によって前記針状突起の体積を計測する工程と、
    前記針状突起の体積を調整するため、前記計測する工程における計測結果に基づいて、前記針状突起を追加工する工程と、
    を備えるパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  2. 前記追加工する工程は、前記針状突起を機械加工することを含む請求項1に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  3. 前記追加工する工程は、前記針状突起を機械加工した後に、前記針状突起の上に無機膜を成膜することを含む請求項2に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  4. 前記針状突起の先端部の前記無機膜の厚さより、前記針状突起の裾部の前記無機膜の厚さを厚く成膜する請求項3に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  5. 前記無機膜の厚さが100nm以上である請求項3又は4に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  6. 前記追加工する工程は、前記無機膜を成膜後に薄膜化することを含む請求項3から5の何れか一項に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  7. 前記針状突起の先端部に成膜された前記無機膜を薄膜化することにより前記針状突起の先端部の形状を調整することを含む請求項6に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  8. 前記追加工する工程の後に、前記針状突起に離型膜を形成する工程を含む請求項1から7の何れか一項に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  9. 前記離型膜がフッ素系材料、及び炭化水素系材料の少なくとも一方により構成される請求項8に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  10. 前記離型膜の厚さが、20nm以上50nm以下である請求項8又は9に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載のパターンアレイシート成形用型の製造方法により製造されたパターンアレイシート成形用型を用いてパターンアレイシートを製造する工程と、
    前記パターンアレイシートを用いて複製型を製造する工程と、
    前記複製型を用いて凹状パターンを有する樹脂製モールドを作製する工程と、
    前記樹脂製モールドの凹状パターンにポリマー溶解液を供給する工程と、
    前記ポリマー溶解液を乾燥させてポリマーシートとする乾燥する工程と、
    前記ポリマーシートを前記樹脂製モールドから離型する工程と、
    を含むマイクロニードルアレイの製造方法。
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