JP6532315B2 - トナー - Google Patents
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Description
高速印刷に対応し、かつトナーの低温定着性を向上させるために、トナーの結着樹脂のガラス転移点や軟化点を下げ、かつシャープメルト性を有する結着樹脂を用いる方法がある。近年、さらにシャープメルト性を有する樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有させたトナーが多く提案されている。結晶性ポリエステルのトナー中での存在状態がトナーの特性に大きく影響することが知られている。
一方、結晶性ポリエステルは、電気抵抗が低く、結晶性ポリエステルを含有したトナーは含有しないトナーに比べ帯電性が低下する傾向にあることが知られている。その改善のためにトナーに使用する外添剤を工夫する検討が種々行われている。特許文献3には、シリカの一次粒子同士が合着されてなる二次粒子形状の非球形シリカを使用することで高温高湿環境における保存性に優れ、流動性、転写性、低温定着性に優れたトナーが開示されている。
また、特許文献3の発明では、高温高湿環境において高印字比率で耐久された場合や、高温高湿環境において放置された場合におけるトナーの帯電性低下や、それによる画像白地部へのカブリを充分に抑制するには至っておらず改善が求められている。
本発明の目的は、上記の課題を解決したトナーを提供することにある。具体的には、高温高湿環境での耐久安定性を有し、かつ高温高湿環境に放置後も帯電性を維持し濃度変動やカブリの少ないトナーを提供することである。
該結着樹脂は非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、
該無機微粉末は、チタン酸ストロンチウム微粉末を含有し、
該チタン酸ストロンチウム微粉末の一次粒子の個数平均径が、30nm以上300nm以下であり、
該チタン酸ストロンチウム微粉末は、立方体状及び/又は直方体状の粒子形状を有し、且つペロブスカイト型結晶構造を有する粒子であり、
透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られる該トナーの断面画像を2値化して得られる画像において、
トナー表面から0.30μmの深さまでに、以下の通りに定義される針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの個数平均粒径Dcが40nm以上300nm以下であり、
トナー表面から0.30μmの深さまでに、以下の通りに定義される針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布において、最大値が50nm以上290nm以下に存在することを特徴とするトナーである。
(針状)
短軸長さが25nm以下で、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が3以上で、結晶の長軸方向両端部における短軸方向の中心点同士を直線で結んだ際、その直線からの結晶輪郭のずれが、結晶短軸長さの100%以内の長さに収まっている形状をいう。
該結着樹脂は非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、
該無機微粉末は、チタン酸ストロンチウム微粉末を含有し、
該チタン酸ストロンチウム微粉末の一次粒子の個数平均径が、30nm以上300nm以下であり、
該チタン酸ストロンチウム微粉末は、立方体状及び/又は直方体状の粒子形状を有し、且つペロブスカイト型結晶構造を有し、
透過型電子顕微鏡(TEM)観察による該トナーの断面において、
トナー表面から0.30μmの深さまでに針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの個数平均粒径Dcが40nm以上300nm以下であり、
トナー表面から0.30μmの深さまでに針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布において、最大値が50nm以上290nm以下に存在することを特徴とするトナーである。
そのメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
現像器内でトナーが撹拌される際には現像バイアスがかかっている。撹拌による摩擦で発生した負電荷はその電位差をもとに比較的低抵抗な結晶性ポリエステルをパスとしてトナー表面のチタン酸ストロンチウム微粉末に移動すると考える。チタン酸ストロンチウムの比誘電率は300程度であり一般的な外添剤であるシリカ微粉末と比較して高く、コン
デンサのようなはたらきを発現してチタン酸ストロンチウム表面に電荷が蓄積されると考える。そのため高温高湿環境に放置後も帯電性が維持され、濃度変動や白地部へのかぶりが抑制されると考える。
チタン酸ストロンチウム微粉末の近傍に存在する針状の結晶性ポリエステルからチタン酸ストロンチウム微粉末に負電荷が移動するためには、チタン酸ストロンチウム微粉末の粒子形状が重要であることが本発明者らの検討で明らかになった。
このようにして製造されたチタン酸ストロンチウム微粉末は立方体/直方体形状を有しているため、結晶性ポリエステルからチタン酸ストロンチウムへの電荷移動が起こりやすい。その詳細な理由は不明であるが、本発明のチタン酸ストロンチウム微粉末はその立方体/直方体形状に由来して、内部から最表面まで結晶構造が均一になっていると思われる。そのため焼結法で製造されたチタン酸ストロンチウム微粉末に比べて結晶性ポリエステルから負電荷を受け取りやすく電荷を蓄積しやすい結晶構造になっていると思われる。
また、チタニアゾル粒子に吸着しているイオンを除去する目的で、該チタニアゾルの分散液に、水酸化ナトリウムのようなアルカリ性物質を添加することが好ましい。このときナトリウムイオン等を含水酸化チタン表面に吸着させないために、該スラリーのpHを7以上にしないことが好ましい。また、反応温度は60℃〜100℃が好ましく、所望の粒度分布を得るためには昇温速度を30℃/時間以下にすることが好ましく、反応時間は3〜7時間であることが好ましい。
チタン酸ストロンチウム微粉末の粒径は含水酸化チタンスラリーのpHや、添加するストロンチウム水酸化物の量を変えることによって調整することができる。
このようにして得られたチタン酸ストロンチウム微粉末はペロブスカイト型結晶構造を有している。
処理されていることが、トナー粒子への付着性を高め電荷蓄積がしやすい点で好ましい。
トナー中の該チタン酸ストロンチウム微粉末の含有量は、電荷の蓄積効果と、トナー表面からの離脱を抑制することとを両立させる観点から、トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.2質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
トナー粒子と無機微粉末との混合は、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
本発明において、結晶性ポリエステルとは示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測されるポリエステルである。
本発明の結晶性ポリエステルは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によるトナーの断面において、トナー表面から0.30μmの深さまで(トナー表層)に針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの個数平均粒径Dcが40nm以上300nm以下であり、
トナー表面から0.30μmの深さまでに針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布において、最大値が50nm以上290nm以下に存在することが重要である。
本発明のチタン酸ストロンチウム微粉末はトナー粒子の表面に外添剤として添加されている。そのため、チタン酸ストロンチウム微粉末への電荷移動に大きく寄与するトナー表面から0.30μmの深さまでに針状で観察される結晶性ポリエステルの長軸長さの分布が本発明において重要である。
非晶性ポリエステルや結晶性ポリエステルの合成に用いる酸・アルコールのモノマーを変えることにより、結晶性ポリエステルの非晶性ポリエステルへの分散性や相溶性が変わ
るため長軸長さを変化させることができる。
粉砕法でトナーを製造する場合、溶融混練後の吐出温度や冷却速度を変えることで長軸長さを変えることができる。乳化凝集法や溶解懸濁法等の液相でトナーを製造する場合、トナー造粒の際の温度を変えることで該結晶性ポリエステルの長軸長さを変えることができる。
また、得られたトナー粒子を熱処理することによっても0.30μmの深さまでに存在する該結晶性ポリエステルの長軸長さを変えることができる。
また、トナー表層の結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布における最大値は、粉砕法でトナーを製造する場合、溶融混練後の冷却速度を変えることにより制御することができる。乳化凝集法や溶解懸濁法等の液相でトナーを製造する場合、トナーの造粒時間を変えることにより制御することができる。また、得られたトナー粒子を熱処理する場合、その処理温度や処理時間を変えることによっても、トナー表層の結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布の最大値を制御することができる。
(非晶性ポリエステル)
本発明に使用される非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記式(1)で表されるビスフェノール誘導体が挙げられる。水素化ビスフェノールA、下記式(1)で表されるビスフェノール誘導体などの、ビスフェノール類が好ましい。
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルのような多価アルコールが挙げられる。
加物を80モル%以上(より好ましくは90モル%以上100モル%以下)含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるものが好ましい。また、アルコール成分と炭素数4以上18以下(より好ましくは6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸を含有したカルボン酸成分とを縮重合して得られた非晶性ポリエステルであることが好ましい。また、ビスフェノール類に対する該プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数が1.6モル以上3.0モル以下であることが好ましく、1.6モル以上2.6モル以下であることがより好ましい。
プロピレンオキサイド付加物の比率を上げることは、非晶性樹脂の疎水性を高め、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が向上し、高温高湿環境に放置後も帯電量が安定する観点で好ましい。また、該プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数を上記範囲にすると、結晶性ポリエステルの分散性を向上させることができ、高温高湿環境放置後の画像濃度を安定させる観点でより好ましい。
また、炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸を含有したカルボン酸成分を用いた非晶性ポリエステルを用いることで、この部分が結晶性ポリエステルと強く親和することでトナー内部における結晶性ポリエステルの分散性が向上する。それによってカブリがより抑制されるため好ましい。炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸のカルボン酸成分に対するモル比率としては6mol%以上40mol%以下であることがより好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれらの金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、帯電安定性の観点から、酸価は1mgKOH/g以上10mgKOH/g以下が好ましい。
低軟化点の非晶性ポリエステルAと高軟化点の非晶性ポリエステルBの含有比率(A/B)は質量基準で60/40〜90/10であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
低軟化点の非晶性ポリエステルAの軟化点は70℃以上100℃以下であることが、トナーの保存性と低温定着性の両立の観点から好ましい。
高軟化点の非晶性ポリエステルBの軟化点は110℃以上180℃以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
本発明のトナーにおいて、非晶性ポリエステルの含有量はトナー粒子100質量部に対して60質量部以上90質量部以下であると、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性とが両立しやすいためより好ましい。
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、顔料分散性を向上させたり、トナーの帯電安定性、耐ブロッキング性を改善したりする目的で上記非晶性ポリエステル以外に下記の重合体を本発明の効果を阻害しない量で添加することも可能である。
本発明では、離型剤や顔料の分散性が向上すると、表面の結晶性ポリエステルの微細結
晶の分散性の向上につながるため分散剤としてのその他の樹脂をトナーに含有させるのが好ましい。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られることが好ましい。その中で、低温定着性と保存性を一段高いレベルで両立するという点から、結晶性ポリエステル樹脂のモノマー構成として、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が炭素数2以上22以下(好ましくは6以上12以下)の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。より好ましくは上記アルコール成分のうち、80質量%以上が炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下(好ましくは6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。より好ましくは上記カルボン酸成分のうち、80質量%以上が炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下が好ましい。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明のトナーには、前述したチタン酸ストロンチウムのほかに、必要に応じて他の無機微粉末を含有させることもできる。無機微粉末は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粉末が好ましい。無機微粉末は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉末が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉末であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉末を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、又は未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
トナー粒子を製造する方法としては、公知の方法で得ることができるが、結晶性ポリエステルの長軸長さを本発明の範囲に制御するのが容易である点で、結着樹脂と、必要に応じて着色剤、ワックスなどその他の材料を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法がより好ましい。
以下、粉砕法でのトナー製造手順の一例について説明する。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。混練吐出温度は、100〜155℃が好ましい。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、溶融混練物の冷却速度を制御するために冷却工程で水などによって冷却してもよい。冷却速度は、5〜40℃/min.が好ましい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)などの分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理などのトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
また、熱処理による表面処理前に、外添剤を外添処理することもできる。この場合、熱処理によって外添剤がトナー粒子の表面に固着するために、長時間印刷によるストレスによってもトナー粒子の表面が削れにくくなる。そのため、常温低湿環境や高温高湿環境においても長時間印刷後の濃度変動が少なく、カブリが良化するため好ましい。
(TEMによるトナー断面の結晶性ポリエステル分散状態の評価)
前記トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察及び結晶性ポリエステルドメインの評価は、以下のようにして実施することができる。
トナー断面をルテニウム染色することによって、結晶性ポリエステル樹脂が明瞭なコントラストとして得られる。結晶性ポリエステル樹脂はトナー内部を構成する有機成分よりも、弱く染色される。これは、結晶性ポリエステル樹脂の中への染色材料の染み込みが、密度の差などが有るために、トナー内部の有機成分よりも弱いためと考えられる。
染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施し、光硬化性樹脂D800(日本電子社)で包埋したのち、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度1mm/sで膜厚60nm(or70nm)のトナー断面を作製した。
得られた断面を真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEM(JEOL社、JEM2800)を用いてSTEM観察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelで取得した。
得られた画像については、画像処理ソフト「Image−Pro Plus (Media Cybernetics社製)」にて2値化(閾値120/255段階)を行う。
得られた2値化前の断面画像を図1に示す。図1に見られるように、結晶性ポリエステルの結晶ドメインは黒く針状に確認でき、得られた画像を2値化することで結晶ドメインを抽出し、そのサイズを計測する。本発明では無作為に選んだ20個のトナーについて断面観察した際に、長さが測定可能な結晶性ポリエステルの結晶ドメインの長軸及び短軸の長さを全数計測する。その際、トナーの表面から0.30μm内側までの領域(図1の点線に挟まれた矢印dの範囲)の結晶性ポリエステルの結晶の長軸長さの個数平均(個数平均径(Dc))を求める。なお、トナーの表面から0.30μmの境界をまたぐ(境界上に存在する)結晶については測定しないものとする。
ここで、結晶性ポリエステルの結晶ドメインの長軸長さとは、図2に示すように、断面画像の結晶ドメインにおける最長距離(図2のa)であり、短軸長さは結晶長軸の中点位置での最短距離(図2のb)である。
なお、本発明における針状とは、細長く真直度が高い形状であり、短軸長さが25nm以下でかつ、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が3以上でかつ、結晶の長軸方向両端部における短軸方向の中心点同士を直線で結んだ際、その直線からの結晶輪郭のずれが、結晶短軸長さの100%以内の長さに収まっている形状と定義する。
(該結晶性ポリエステル樹脂の長軸長さの度数分布及びその最大値)
このようにして計測したトナー表面から0.30μm内側までの領域の結晶性ポリエステルの長軸長さを、0nmを超え5nm以下、5nmを超え10nm以下のように5nm間隔の区間に分類し度数分布を作成する。度数が最大となる区間の長軸長さの最大値を代表値とする。
本発明におけるチタン酸ストロンチウム微粉末の一次粒子の個数平均径の測定は、日立超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて行う。
測定は、無機微粉末を混合した後のトナー粒子について行う。
撮影倍率は5万倍とし、撮影された写真をさらに2倍に引き伸ばした後、得られたFE−SEM写真像から、無機微粉末の最大径(長軸径)aと最小径(短軸径)bを測定して、(a+b)/2を当該粒子の粒径とする。ランダムに選択した100個の無機微粉末について粒径を計測し算術平均を求め、無機微粉末の一次粒子の個数平均径とする。
トナー中における結晶性ポリエステルの結晶及びワックスの最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は示差熱量分析(DSC)で測定される吸熱量ΔHにて測定できる。分取GPCを用いてトナーから結晶性樹脂を分離することで、結晶性樹脂のピークを特定できる。
本発明におけるトナー等(トナー、結晶性ポリエステル)の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャ
ンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.7に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.98倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.5mol/
Lになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで7℃/時間で昇温し、80℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返した。その後、さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末1を得た。ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粉末1を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末1をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。該チタン酸ストロンチウム微粉末1の物性を表1に示す。
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.3%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.6に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで10℃/時間で昇温し、60℃に到達してから7時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末2を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末2をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.25%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.7に調整し上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで10℃/時間で昇温し、65℃に到達してから8時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウ
ム微粉末3を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末3をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.8に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.96倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで8℃/時間で昇温し、65℃に到達してから4時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、洗浄を繰り返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末4を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末4をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.8に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、0.95倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを65℃まで8℃/時間で昇温し、65℃に到達してから4時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、洗浄を繰り返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末5を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末5をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを1.0に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、1.02倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを90℃まで70℃/時間で昇温し、90℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリ
ーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末6を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末6をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを4.3に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを8.0に調整し上澄み液の電気伝導度が100μS/cmになるまで洗浄をくり返しした。
該含水酸化チタンに対し、1.10倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.3mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
窒素雰囲気中で該スラリーを95℃まで25℃/時間で昇温し、95℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末7を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末7をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを上澄み液の電気伝導度が90μS/cmになるまで純水で洗浄した。
該含水酸化チタンに対し、1.5倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO3換算で0.2mol/リットルになるように蒸留水を加えた。
窒素雰囲気中で該スラリーを80℃まで10℃/時間で昇温し、80℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸カルシウム水溶液を滴下して、ペロブスカイト型結晶表面にステアリン酸カルシウムを析出させた。その後、該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していない表面がステアリン酸カルシウムで処理されたチタン酸ストロンチウム微粉末8を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末8をSEMにより形状を観察した結果、直方体及び/又は立方体の粒子形状を有していた。
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン350gをボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混合物を10kg/cm2の圧力で成形して1200 ℃ で7時間焼結した。これを、機械粉砕して、焼結工程を経由した一次粒子の平均粒径が50nmのチタン酸ストロンチウム微粉末9を得た。このチタン酸ストロンチウム微粉末9をSEMにより形状を観察した結果、一次粒子が凝集した不定形な形状を有していた。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:73.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4質量部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して82.0mol%)
・アジピン酸:4.3質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂A1の軟化点は90℃であった。
非晶性ポリエステルA1の合成例において、使用するアルコール成分又はカルボン酸成分とモル比率、触媒を表1のように変更したほかは同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂A2〜A17を得た。その際、多価アルコールの総モル数が合成例A1と同じになるように原材料の質量部を調整した。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.4質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4質量部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%)
・アジピン酸:3.4質量部(0.02モル;多価カルボン酸総モル数に対して14.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:2.1質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して6.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が140℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、結着樹脂B1を得た。得られた結着樹脂B1の軟化点は140℃であった。
非晶性ポリエステルB1の合成例において、第一反応工程で使用するアルコール成分又はカルボン酸成分とモル比率、触媒を表3のように変更したほかは同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂B2〜B17を得た。その際、多価アルコールの総モル数が合成例A1と同じになるように原材料の質量部を調整した。
・ヘキサンジオール:34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻し、結晶性ポリエステル樹脂C1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1は結晶性に由来する融解ピークを示した。
結晶性ポリエステルC1の合成例において、アルコール成分とカルボン酸成分を表4に記載のものに変更したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステルC2〜C7を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂C2〜C7は結晶性に由来する融解ピークを示した。
・非晶性ポリエステル樹脂A1 70質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30質量部
・結晶性ポリエステル樹脂C1 7.5質量部
・炭化水素ワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 4質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて吐出温度135℃にて混練した。得られた混練物を15℃/minの冷却速度で冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
得られたトナー粒子100質量部に、チタン酸ストロンチウム微粉末1(0.5質量部)、ポリジメチルシロキサン10質量%で表面処理したBET比表面積100m2/gの疎水性シリカ微粉末0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業株式会社製)で回転数30s−1、回転時間10min混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.1μmであった。トナー1のDSC測定において、結晶性ポリエステルに由来する吸熱ピークが観察された。
トナー1の製造例において、原料として使用した非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、混錬の吐出温度、得られた混練物の冷却速度、及びチタン酸ストロンチウム微粉末を表5に記載したように変更したこと以外は同様にして、トナー2〜37を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微
粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をお
こなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表7のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2〜37を得た。
画像形成装置としてキヤノン製フルカラー複写機imagePress C800を用いて、上記二成分系現像剤を、画像形成装置のシアン用現像器に入れて後述の評価を行った。改造点は、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外したことである。
FFh画像(ベタ画像)におけるトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように、調整した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFが256階調の256階調目(ベタ部)である。
耐久画像出力試験では、高温高湿環境下(H/H;温度30℃、相対湿度80%)において、画像比率25%で、1万枚の耐久画像出力試験を行った。1万枚連続通紙中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととする。評価紙は、5万枚の耐久画像出力にコピー普通紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
初期(1枚目)と10,000枚連続通紙時の画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。また評価結果を表8に示す。
X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用し、初期(1枚目)及び10,000枚目のFFh画像部:ベタ部の画像濃度を測定し、両画像濃度の差Δから、以下の基準でランク付けした。評価結果を表8に示す。
A:0.05未満(非常に優れている。)
B:0.05以上0.10未満(良好である。)
C:0.10以上、0.20未満(本発明の効果が得られているレベルである。)
D:0.20以上(本発明の効果が十分に得られていないレベルである)。
高温高湿環境下(H/H;温度30℃、相対湿度80%)において、画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。また、初期(1枚目)及び10,000枚目の、00h画像部:白地部の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(初期(1枚目)及び10,000枚目)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリの値から、下記の評価基準に従ってランク付けした。評価結果を表8に示す。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)。
(評価基準)
A:0.5%未満(非常に優れている。)
B:0.5%以上、1.0%未満(良好である。)
C:1.0%以上、2.0%未満(本発明の効果が得られているレベルである。)
D:2.0%以上(本発明の効果が十分に得られていないレベルである)。
前記(1)及び(2)の評価が終了した評価機をそのまま高温高湿環境下(H/H;温度30℃、相対湿度80%)に1週間放置した。その後1枚印字を行い、FFH画像部:ベタ部の画像濃度を(1)と同様に測定し、高温高湿環境に放置前のFFH画像部:ベタ部の画像濃度と比較し、両画像の濃度差Δから、以下の基準でランク付けした。評価結果を表8に示す。
A:0.05未満(非常に優れている。)
B:0.05以上0.15未満(良好である。)
C:0.15以上0.30未満(本発明の効果が得られているレベルである。)
D:0.30以上(本発明の効果が十分に得られていないレベルである)。
Claims (5)
- 結着樹脂を含有するトナー粒子と、外添剤としての無機微粉末を有するトナーであって、
該結着樹脂は非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、
該無機微粉末は、チタン酸ストロンチウム微粉末を含有し、
該チタン酸ストロンチウム微粉末の一次粒子の個数平均径が、30nm以上300nm以下であり、
該チタン酸ストロンチウム微粉末は、立方体状及び/又は直方体状の粒子形状を有し、且つペロブスカイト型結晶構造を有する粒子であり、
透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られる該トナーの断面画像を2値化して得られる画像において、
トナー表面から0.30μmの深さまでに、以下の通りに定義される針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの個数平均粒径Dcが40nm以上300nm以下であり、
トナー表面から0.30μmの深さまでに、以下の通りに定義される針状で観察される該結晶性ポリエステルの長軸長さの度数分布において、最大値が50nm以上290nm以下に存在することを特徴とするトナー。
(針状)
短軸長さが25nm以下で、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が3以上で、結晶の長軸方向両端部における短軸方向の中心点同士を直線で結んだ際、その直線からの結晶輪郭のずれが、結晶短軸長さの100%以内の長さに収まっている形状をいう。 - 該結晶性ポリエステルは、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸との縮重合物である請求項1に記載のトナー。
- 該非晶性ポリエステルは、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合物である請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物は、前記ビスフェノール類に対するプロピレンオキサイドの平均付加モル数が、1.6モル以上3.0モル以下であること
を特徴とする請求項3に記載のトナー。 - 該非晶性ポリエステルは、アルコール成分と炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸を含有したカルボン酸成分との縮重合物である請求項1又は2に記載のトナー。
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