JP6532225B2 - ガラス材料及び歯科用補綴物 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス材料、及びガラス材料を有する歯科用補綴物に関する。
ガラス材料は、例えば、歯科用陶材として利用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。歯科用陶材は、歯科用補綴物において天然歯と同様の外観を再現するために、又は歯科用補綴物の外形を調整するために、結晶化ガラスやジルコニア等の歯科用補綴物の基材(セラミックフレーム、セラミックコアとも呼ばれる)上に焼き付けられるものである。
特許文献1には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、及び酸化リチウムを主成分として含有するガラスを含んでなる歯科用陶材であって、該ガラス中のこれら各成分の含有割合が、各成分をそれぞれSiO、Al、B、ZnO、NaO、及びLiOに換算したときのこれら各成分の合計に対する重量%で表して、それぞれSiO:57〜65重量%、Al:8〜18重量%、B:15〜25重量%、ZnO:0.1〜2重量%、NaO:3〜7重量%、及びLiO:2〜8重量%である歯科用陶材が開示されている。
特許文献2には、結晶化ガラスからなる歯科補綴物母材の表面に塗布した後焼成してグレーズ材となる歯科用グレーズ材原料組成物であって、焼成後の熱膨張係数が42〜60×10−7/℃であり、SiO66〜73重量%、B6.0〜15.5重量%、Al4.0〜5.5重量%、LiO0〜5.5重量%、NaO1.0〜8.0重量%、KO0.2〜1.1重量%、CaO0.1〜4.0重量%、BaO0.1〜5.5重量%、ZnO0〜2,0重量%およびTiO0〜5.0重量%からなる歯科用グレーズ材原料組成物が開示されている。
特開2000−139959号公報 特開平8−157319号公報
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
ガラス材料を歯科用陶材として使用する方法の一例について説明する。まず、粉末状のガラス材料を溶媒に分散させてガラス材料の液状物を作製する。次に、当該液状物を歯科用補綴物の基材上に築盛(塗布)した後、基材と共に焼成して、ガラス材料を基材上に焼き付ける(焼結させる)。これにより、基材上に陶材を有する歯科用補綴物が作製される。ガラス材料の築盛及び焼成は、1つの基材に対して複数回繰り返し行われることもある。
ガラス材料の上記使用例において、ガラス材料の焼結可能温度が高いとガラス材料及び基材の変形量が大きくなり、外形の調整が困難となる。また、基材が高温によって損傷を負うおそれもある。
ガラス材料の上記使用例において、通常、ガラス材料及び基材は、熱膨張係数が近いものが選択される。したがって、ガラス材料の熱膨張係数が焼成によって大きく変動すると、ガラス材料と基材との熱膨張係数の差が大きくなって、不具合が生じることがある。
ガラス材料の上記使用例において、ガラス材料の外観は重要である。したがって、焼成によってガラス材料の透明性が変化してしまうと、外観の調整が困難になると共に、天然歯の外観を再現することが困難になる。
ガラス材料の上記使用例において、ガラス材料は人の口腔内に露出する。人の口腔環境は酸性である。したがって、歯科用陶材として使用されるガラス材料は、耐酸性を有することが望まれる。
以上より、ガラス材料を歯科用補綴物に使用する場合、焼結可能温度が低いこと、焼成による熱膨張係数の変化が小さいこと、焼成による透明性の変化が小さいこと、及び高い耐酸性を有することが望まれる。特許文献1及び特許文献2では、これらの性状を有するガラス材料を得ることはできない。
本発明の第1視点によれば、ガラス相を含むガラス材料が提供される。ガラス相は、65.1質量%〜79.9質量%のSiO成分、4質量%〜8質量%のAl成分、3質量%〜14.9質量%のB成分、0.1質量%〜5質量%のLiO成分、2質量%〜5質量%のNaO成分、及び1質量%〜4質量%のZnO成分を含有する。
前記第1視点の変形として、ガラス相を含むガラス材料であって、前記ガラス相が、65.1質量%〜79.9質量%のSiO成分、4質量%〜8質量%のAl成分、3質量%〜14.9質量%のB成分、0.1質量%〜5質量%のLiO成分、2質量%〜5質量%のNaO成分1質量%〜4質量%のZnO成分、及び0質量%〜5質量%のK O成分、を含有し、860℃未満の焼結温度で1回焼成した前記ガラス材料の第1の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第1の熱膨張係数と、前記第1の焼結体を前記焼結温度でさらに3回焼成した前記ガラス材料の第2の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第2の熱膨張係数との差(絶対値)が0.8×10−6−1以下であり、前記焼結温度で1回焼成した前記ガラス材料の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した熱膨張係数が5×10 −6 −1 以下である
本発明の第2視点によれば、基材と、基材の上に配された第1視点に係るガラス材料の焼結体と、を備える歯科用補綴物が提供される。
本発明によれば、ガラス材料の焼結可能温度を低くすることができる。ガラス材料の焼結体において、焼成に伴う熱膨張係数の変化を抑制することができる。ガラス材料の焼結体焼成に伴う透明性の低下を抑制することができる。ガラス材料の耐酸性を高くすることができる。
欠陥の発生が抑制されていると共に、口腔環境に適した歯科用補綴物を提供することができる。
以下に、上記各視点の好ましい形態について記載する。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス相は、2質量%〜5質量%のKO成分、0.4質量%〜2質量%のCaO成分、及び0.3質量%〜1質量%のCeO成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス材料の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した酸に対する溶解量が100μg/cm以下である。
上記第1視点の好ましい形態によれば、焼結条件で1回焼成したガラス材料の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した熱膨張係数が5×10−6−1以下である。
上記第1視点の好ましい形態によれば、焼結条件で1回焼成したガラス材料の第1の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第1の熱膨張係数と、第1の焼結体を焼結条件でさらに3回焼成したガラス材料の第2の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第2の熱膨張係数との差(絶対値)が0.8×10−6−1以下である。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス材料は、顔料、蛍光顔料及び不透明剤のうちの少なくとも1つをさらに含有する。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス材料は、850℃以下で焼結させた焼結体である。
上記第2視点の好ましい形態によれば、基材は、ジルコニア系セラミックス、アルミナ系セラミックス、又はガラスである。
上記第2視点の好ましい形態によれば、基材は、マイカ結晶を含む結晶化ガラスである。
本発明のガラス材料について説明する。
ガラス材料は、組成物であってもよいし、焼結体であってもよい。組成物には、粒子状態、粉末、溶媒に分散させた液状体(スラリー含む)、成形体、焼結に至らない温度で焼成された仮焼体が含まれる。焼結体は、組成物の粒子を焼結させたものが含まれる。
ガラス材料は、主として非晶質とすることができ、結晶化ガラスを含有してもよい。ガラス材料は、ガラス相を含む。ガラス相は、下記に挙げるような成分を含有することができる。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、SiO成分を含有することができる。ガラス相において、SiO成分は、65.1質量%以上であると好ましく、66質量%以上であるとより好ましく、67質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、SiO成分は、79.9質量%以下であると好ましく、75質量%以下であるとより好ましく、73質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、Al成分を含有することができる。ガラス相において、Al成分は、4質量%以上であると好ましく、5質量%以上であるとより好ましく、6質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、Al成分は、8質量%以下であると好ましく、7.8質量%以下であるとより好ましく、7.6質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、B成分を含有することができる。ガラス相において、B成分は、3質量%以上であると好ましく、6質量%以上であるとより好ましく、9質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、B成分は、14.9質量%以下であると好ましく、14.7質量%以下であるとより好ましく、14.4質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、LiO成分を含有することができる。ガラス相において、LiO成分は、0.1質量%以上であると好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、1.9質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、LiO成分は、5質量%以下であると好ましく、4.5質量%以下であるとより好ましく、4.1質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、NaO成分を含有することができる。ガラス相において、NaO成分は、2質量%以上であると好ましく、2.1質量%以上であるとより好ましく、2.2質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、NaO成分は、5質量%以下であると好ましく、4.4質量%以下であるとより好ましく、4.1質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、KO成分を含有することができる。ガラス相において、KO成分は、0質量%以上とすることができ、2質量%以上であるとより好ましく、3質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、KO成分は、5質量%以下であると好ましく、4.8質量%以下であるとより好ましく、4.6質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、CaO成分を含有することができる。ガラス相において、CaO成分は、0質量%以上とすることができ、0.4質量%以上であるとより好ましく、0.5質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、CaO成分は、2質量%以下であると好ましく、1.8質量%以下であるとより好ましく、1.5質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、ZnO成分を含有することができる。ガラス相において、ZnO成分は、1質量%以上であると好ましく、1.2質量%以上であるとより好ましく、1.3質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、ZnO成分は、4質量%以下であると好ましく、3.5質量%以下であるとより好ましく、3質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料は、ガラス相を構成する成分として、CeO成分を含有することができる。ガラス相において、CeO成分は、0質量%以上とすることができ、0.3質量%以上であるとより好ましく、0.4質量%以上であるとさらに好ましい。ガラス相において、CeO成分は、1質量%以下であると好ましく、0.7質量%以下であるとより好ましく、0.5質量%以下であるとさらに好ましい。
ガラス相は、SiO成分、Al成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、ZnO成分、B成分及びCeO成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことができる。
ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分及びZnO成分を含有すると好ましい。ガラス相は、KO成分、CaO成分及びCeO成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含有することができる。
第1の組み合わせの例において、ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分及びZnO成分を含むことができる。第2の組み合わせの例において、ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、ZnO成分及びCeO成分を含むことができる。第3の組み合わせの例において、ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、及びZnO成分を含むことができる。第4の組み合わせの例において、ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分、CaO成分、ZnO成分、及びCeO成分を含むことができる。第5の組み合わせの例において、ガラス相は、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、ZnO成分、及びCeO成分を含むことができる。
ガラス材料は、その性状に影響の無い範囲内において、ガラス相を構成する上記成分以外の成分を含有することができる。
ガラス材料は、顔料(着色剤)、蛍光顔料(蛍光材)及び不透明剤(乳白剤)のうちの少なくとも1つを含有することもできる。顔料は、上記組成に影響しない程度に添加することができる。顔料、蛍光顔料及び不透明剤(乳白剤)のうちの少なくとも1つは、ガラス相を構成しなくてもよい。顔料又は蛍光顔料としては、例えば、P、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Sn、Sb、Bi、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb及びErの群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を利用することができる。不透明剤としては、例えば、TiO、ZrO、ZrSiO、SnO及びCeOの群から選択される少なくとも1つの化合物を利用することができる。ガラス材料に添加される顔料、蛍光顔料及び不透明剤は、1つの化合物であってもよいし、複数の化合物であってもよい。ガラス材料において、顔料、蛍光顔料及び不透明剤(乳白剤)のうちの少なくとも1つの含有率は例えば20質量%以下とすることができる。
ガラス材料の組成において、SiO成分、Al成分、NaO成分、KO成分、及びCaO成分の含有率は、例えば、蛍光X線分析によって測定することができる。LiO成分の含有率は、例えば、原子吸光分光分析によって測定することができる。B成分、ZnO成分及びCeO成分の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によって測定することができる。あるいは、ガラス材料を構成する各成分の原料中の配合割合から算出した組成をガラス材料の組成とみなすことができる。ガラス材料の組成と原料の組成とは実質的には同じであるとみなすことができるからである。
ガラス材料の組成(各成分の含有率)は、組成物又は焼結体の組成分析によって導き出すことができる。また、ガラス材料の組成は、ガラス材料の原料(酸化物及び酸化物を生成する化合物)に基づく酸化物換算した組成によっても導き出すことができる。
ガラス材料の組成物の焼結可能温度は、860℃未満であると好ましく、850℃以下であるとより好ましく、840℃以下であるとより好ましく、800℃以下であるとさらに好ましい。これにより、例えば、ガラス材料を歯科用調整材として用いて基材上で焼結させた場合に、基材が損傷することを抑制することができる。また、ガラス材料と基材の変形量を抑制することができる。ガラス材料の組成物は、例えば、740℃以上の焼成温度で焼結させることができる。
本発明のガラス材料は、他の材料(基材)に対する調整用材料として使用する場合、基材の熱膨張係数と近い範囲にある熱膨張係数を有すると好ましい。ガラス材料の焼結体の熱膨張係数は、JIST6526(2012)に準拠して25℃〜500℃の温度範囲で測定すると好ましい。本明細書においては、焼結のための焼成以外の焼成を行っていない焼結体(すなわち、焼結条件で1回焼成された試料片)の熱膨張係数を「第1熱膨張係数」と称する。また、焼結時の焼成のみを施した焼結体(1回焼成された試料片)に対して、焼結時と同じ焼成条件でさらに焼成した後に室温まで冷却するという再焼成(空焼き)工程を3回施した焼結体(すなわち、焼結条件で計4回焼成された試料片)の熱膨張係数を「第2熱膨張係数」と称する。第2熱膨張係数は、第1熱膨張係数を測定した試料片を焼結条件でさらに3回焼成して得た試料片をもって測定すると好ましい。
本発明のガラス材料の焼結体の第1熱膨張係数は、例えば、6×10−6−1以下であると好ましく、5×10−6−1以下であるとより好ましい。また、ガラス材料の焼結体の第1熱膨張係数は、3×10−6−1以上であると好ましい。これにより、ガラス材料の組成物を基材に適用して焼成したとしても、欠陥の発生を抑制することができる。
本発明のガラス材料の焼結体の第2熱膨張係数は、7×10−6−1以下であると好ましく、6×10−6−1以下であるとより好ましく、5×10−6−1以下であるとさらに好ましい。これにより、本発明のガラス材料を歯科用補綴物に使用する場合に、焼成を複数回繰り返したとしても欠陥の発生を抑制することができる。
また、ガラス材料と基材の熱膨張係数の差に起因する不具合の発生を抑制するためには、ガラス材料の焼結体を複数回焼成しても熱膨張係数の変動が小さいと好ましい。したがって、第2熱膨張係数と第1熱膨張係数との差が小さい方が好ましい。第2熱膨張係数と第1熱膨張係数の差の絶対値は、0.8×10−6−1以下であると好ましく、0.6×10−6−1以下であるとより好ましく、0.5×10−6−1以下であるとより好ましく、0.3×10−6−1以下であるとより好ましく、0.2×10−6−1以下であるとさらに好ましい。
ガラス材料の焼結体の酸に対する溶解量は、100μg/cm以下であると好ましく、50μg/cm以下であると好ましく、20μg/cm以下であるとさらに好ましい。例えば、ガラス材料を歯科用補綴物として使用する場合に、口腔内におけるガラス材料の減損を抑制するためである。酸に対する溶解量は、JIST6526(2012)に準拠して測定すると好ましい。
ガラス材料の焼結体の透明性(透光性)は、焼成による変化(例えば低下)が小さいと好ましい。例えば、透明性のあるガラス材料の焼結体を複数回(例えば、焼結時の焼成含めて4回)焼成しても、白濁が生じない焼結体であると好ましい。
本発明の歯科用補綴物について説明する。
歯科用補綴物は、基材と、基材上に配された上記ガラス材料と、を備える。基材上のガラス材料は、焼結体とすることができる。ガラス材料は、組成が異なる複数の層の積層体であってもよい。基材としては、例えば、ジルコニア系セラミックス、アルミナ系セラミックス、ガラス等を使用することができる。基材のガラスは、結晶化ガラスを含むことができ、非晶質であってもよい。基材のガラスは、例えば、マイカ結晶を含有することができる。
上記ガラス材料を歯科用補綴物に用いることにより、欠陥の発生を抑制することができる。また、口腔環境に適した歯科用補綴物を作製することができる。
次に、ガラス材料及び歯科用補綴物の製造方法の一例について説明する。
まず、目的とするガラス材料のガラス相を構成する各成分を生成する化合物を準備する。当該化合物としては、例えば、ガラス相を構成する酸化物、又は当該酸化物を生成する化合物を用いることができる。次に、各化合物を乾燥させた後、組成に従い秤量する。次に、各化合物を混合する。次に、例えば、混合物を熔融させた後、冷却してカレットを作製する。次に、カレットを粉砕した後、所定の粒径範囲の粒子となるようにふるい分けする。これにより、ガラス材料の組成物を得ることができる。
ガラス材料の色、蛍光性、透過率等を調整する場合には、ガラス材料の組成物に顔料、蛍光顔料及び不透明剤のうち少なくとも1つを添加し、混合することができる。
次に、ガラス材料の組成物を、アルコール、精製水等の溶媒に混合、スラリー化させ、必要があれば、所定の形状及び大きさに成形する。歯科用補綴物を製造する場合には、基材上に、ガラス材料の組成物を成形する。次に、成形体を乾燥させた後、成形体を加熱してガラス材料の組成物を焼結させて、ガラス材料の焼結体を得ることができる。焼結温度は、例えば、740℃以上860℃未満とすることができる。
ガラス材料の組成物及び焼結体を作製し、焼結体について熱膨張係数の測定及び耐酸性試験を行った。比較例3及び4は、特許文献1に記載の実施例1及び2の組成の再現を試みた試験例である。比較例5及び6は、特許文献2に記載の、熱膨張係数が4.2×10−6/K及び5.0×10−6/Kの欄の組成の再現を試みた試験例である(特許文献2における組成の単位は質量%であると解釈した)。
まず、ガラス相を構成する各成分を生成するための化合物を120℃で加熱して乾燥した。次に、ガラス相における酸化物の組成が表1及び表2となるように各化合物を秤量し、ボールミルを用いて混合した。表1に、実施例1〜9の組成を示す。表2に、比較例1〜6の組成を示す。表1及び表2に示す組成は、原料の化合物の配合割合に基づき、ガラス相の構成元素の酸化物に換算した組成である。表1及び表2の単位は質量%である。
次に、混合物を熔融坩堝に充填して、大気中において1500℃で熔融させた。熔融体を冷却後、カレット化し、さらにカレットをボールミルを用いてさらに粉砕した。次に、粉砕物を#200メッシュの篩を通過させふるい分けした。これにより、ガラス材料の組成物(粉末)を作製した。
次に、ガラス材料の組成物(粉末)を精製水に混合、スラリー化させた後、各種物性を測定するための試料片に成形した。成形体を乾燥させた後、表3に示す焼結温度で1分間加熱して、ガラス材料の焼結体を作製した。表3に示す焼結温度は、ガラス材料の組成物の粉末が焼結に至る適正焼結温度である。適正焼結温度とは、焼成体の表面に少し光沢が出た状態(すなわち焼結に至った状態)であると共に、焼成前の形状が維持されている状態(すなわち、過剰焼成により変形が生じていない状態)が得られる温度をいう。
得られた焼結体について組成分析を行った。その結果、分析結果は、表1に示す原料に基づく組成を整合することが確認された。すなわち、表1及び表2に示す組成は、ガラス材料の組成物及び焼結体の組成と同視できることが確認された。
得られたガラス材料の焼結体について、JIST6526(2012)(温度範囲25℃〜500℃)に準拠して上述の第1熱膨張係数及び第2熱膨張係数を測定した。また、JIST6526(2012)に準拠して酸に対する溶解量を測定した。さらに、第1熱膨張係数を測定するための試料片と第2熱膨張係数を測定するための試料片とを比較することによって複数回による焼成による焼結体の透明性の変化を観察した。結果を表3に示す。
表1における実施例1〜9の各成分の範囲は、SiO成分65.3質量%〜79.5質量%、Al成分4.7質量%〜8.0質量%、B成分3.4質量%〜14・4質量%、LiO成分0.9%〜4.1%、NaO成分2.2%〜4.5質量%、KO成分0質量%〜4.6質量%、CaO成分0質量%〜1.5質量%、ZnO成分1.0質量%〜2.7質量%、及びCeO成分0質量%〜0.7質量%であった。
実施例1〜9においては、適正焼結温度は850℃以下であった。一方、比較例1及び2においては、適正焼結温度が860℃以上であった。実施例1〜9おける適正焼結温度は、比較例1及び2における適正焼結温度も低くすることができた。ガラス材料を歯科用補綴物に適用する場合、ガラス材料の組成物は、例えば、マイカ系セラミック材料等の基材上で焼結させることになる。適正焼結温度が高いと、基材の損傷等の不具合が発生するおそれが高くなる。したがって、本発明のガラス材料は、例えば、歯科用補綴物に好適に適用可能であることが分かる。
実施例1〜9においては、ガラス材料の焼結体について、酸に対する溶解量は、50μg/cm以下であった。一方、比較例3、5及び6においては、酸に対する溶解量は、100μg/cm以上となった。実施例1〜9における耐酸性は、比較例3、5及び6における耐酸性よりも高くすることができた。人の口腔環境は酸性であるので、本発明のガラス材料は、歯科用補綴物に好適に適用可能であることが分かる。
実施例1〜9においては、第1熱膨張係数と第2熱膨張係数との差は0.3×10−6−1以下であった。一方、比較例1及び3においては、差は0.9×10−6−1以上であった。実施例1〜9においては、焼成による熱膨張係数の変化を比較例1及び3よりも小さくすることができた。ガラス材料を歯科用補綴物に適用する場合、熱膨張係数の変化が大きいと、基材とガラス材料の熱膨張の大きさの差異によって損傷が発生することがある。したがって、本発明のガラス材料は、例えば、歯科用補綴物に好適に適用可能であることが分かる。
実施例1〜9においては、計4回の焼成によっても焼結体の透明性の低下は観察されなかった。一方、比較例3、4及び6においては、再焼成によって焼結体に白濁が生じ、透明性の低下が観察された。ガラス材料を歯科用補綴物に適用する場合、ガラス材料の透明性が焼成回数によって変化してしまうと、天然歯の外観の再現が困難となる。したがって、本発明のガラス材料は、例えば、歯科用補綴物に好適に適用可能であることが分かる。
以上より、実施例1〜9においては、低焼結温度、高耐酸性、熱膨張係数の変化の抑制、及び透明性の低下の抑制を実現することができた。一方、比較例1〜6においては、これらをすべて実現する焼結体を得ることはできなかった。したがって、本発明のガラス材料を用いると、好適な歯科用補綴物を作製可能であることが分かる。
Figure 0006532225
Figure 0006532225

Figure 0006532225
上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明のガラス材料及び歯科用補綴物は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の全開示に枠内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。

Claims (8)

  1. ガラス相を含むガラス材料であって、
    前記ガラス相が、
    65.1質量%〜79.9質量%のSiO成分、
    4質量%〜8質量%のAl成分、
    3質量%〜14.9質量%のB成分、
    0.1質量%〜5質量%のLiO成分、
    2質量%〜5質量%のNaO成分
    1質量%〜4質量%のZnO成分、及び
    0質量%〜5質量%のK O成分、
    を含有し、
    860℃未満の焼結温度で1回焼成した前記ガラス材料の第1の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第1の熱膨張係数と、前記第1の焼結体を前記焼結温度でさらに3回焼成した前記ガラス材料の第2の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した第2の熱膨張係数との差(絶対値)が0.8×10−6−1以下であり、
    前記焼結温度で1回焼成した前記ガラス材料の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した熱膨張係数が5×10 −6 −1 以下である、
    ガラス材料。
  2. 前記ガラス相は、2質量%〜5質量%のKO成分を含有し、かつ、0.4質量%〜2質量%のCaO成分、及び0.3質量%〜1質量%のCeO成分からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含有する、請求項1に記載のガラス材料。
  3. 前記ガラス材料の焼結体についてJIST6526に準拠して測定した酸に対する溶解量が100μg/cm以下である、請求項1又は2に記載のガラス材料。
  4. 顔料、蛍光顔料及び不透明剤のうちの少なくとも1つをさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス材料。
  5. 基材と、
    前記基材の上に配された、請求項1〜のいずれか一項に記載のガラス材料の焼結体と、
    を備える歯科用補綴物。
  6. 前記基材は、ジルコニア系セラミックス、アルミナ系セラミックス、又はガラスである、請求項に記載の歯科用補綴物。
  7. 前記基材は、マイカ結晶を含む結晶化ガラスである、請求項に記載の歯科用補綴物。
  8. 前記ガラス相は、0質量%より多く、かつ、5質量%以下のK O成分を含有する、
    請求項1に記載のガラス材料。
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