JP6301176B2 - ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体 - Google Patents

ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体 Download PDF

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Description

本発明は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体に関する。特に、本発明は、クリストバライト結晶を含有するガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体に関する。
種々のガラスセラミック材料が種々の用途に使用されている。
例えば、特許文献1には、セラミックス系歯冠用陶材の色調調整用組成物としてアルミノシリケートガラスを用いることが開示されている。特許文献1に記載のアルミノシリケートガラスは、以下の成分:SiO55.0〜75.0重量%、B5.0〜20.0重量%、Al5.0〜15.0重量%、LiO0.5〜1.5重量%、NaO3.0〜8.0重量%、KO3.0〜8.0重量%、CaO1.0〜5.0重量%、MgO0.1〜1.0重量%、Sb0.1〜1.0重量%を含み、焼成温度が760〜860℃であり、かつ、25〜500℃の範囲における線形熱膨張係数が6.0×10−6−1〜9.0×10−6−1である。
また、特許文献2には、熱膨張係数が高いクリストバライト結晶相含有シリカガラスが開示されている。特許文献2に記載のクリストバライト結晶相含有シリカガラスは、シリカガラスマトリックス相中に球状又は島状のα−クリストバライト結晶相が存在するクリストバライト結晶相含有シリカガラスであって、α−クリストバライト結晶相が直径0.1〜1000μm、その含有量が少なくとも10重量%である。
特開2009−207743号公報 特開平8−295534号公報
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
ガラスセラミック材料の製品化工程または使用工程においては、コンピュータ制御によるセラミックの機械的な三次元加工が行われている。例えば、歯科分野においては、患者の歯の三次元データに基づき、ガラスセラミック材料をコンピュータ制御により機械加工し、歯の治療に使用する補綴物を作製している。
コンピュータ制御による機械加工によれば、簡単に精密なセラミック加工物を得ることができる。しかしながら、コンピュータ制御による機械的三次元加工によって得られたセラミック加工物であっても、希望を完全に満たすセラミック加工物、すなわち、さらなる処置が不要なセラミック加工物が得られるわけではない。例えば、セラミック加工物の外形及び寸法が所望する外形及び寸法と異なっていたり、セラミック加工物単体では所望の色調が再現できていないことがある。この場合、基材となるセラミック加工物に、同じ又は別のセラミック材料を付加することによって、外形・寸法の修正や色調の補正が行われることがある。例えば、歯科分野においては、機械加工により得られたセラミック加工物をそのまま患者に適用すると、咬合不良、隣在歯との干渉不足等の不具合が生じることがある。この場合、セラミック加工物上に、別のセラミック材料(アドオン陶材と呼ばれることがある)を盛って外形や大きさを修正することが行われている。また、ガラスセラミック単体では、天然歯のような色調を再現することは困難である。この場合、着色材を含有するセラミック材料(ステイン陶材と呼ばれることがある)をセラミック加工物に塗布して、天然歯と同様の色調を再現することが行われている。
上記のような調整は、例えば、調整材としてのセラミック材料の粉末を溶媒に分散させた液状物を基材上に塗布して、基材上でセラミック材料を焼成(焼結)させることによって行われる。したがって、調整材の性状は、基材の性状に対して制約されることがある。例えば、調整材の熱膨張係数が基材の熱膨張係数よりも高すぎると、調整材に欠陥が生じてしまう。また、調整材の塗布及び焼成は複数回行われることがある。この場合には、調整材は、複数回の焼成によっても熱膨張係数が大きく変動しないことが望まれる。
上述のような調整材としては、リューサイト結晶を含有するセラミック材料が多く用いられている。しかしながら、リューサイト結晶は熱膨張係数が大きいので、リューサイト結晶を含有する陶材を適用できる基材は限られている。そこで、リューサイト結晶に代わるセラミック材料としては、シリケートガラスの主成分シリカの結晶体であるクリストバライト(cristobalite)結晶を適用することが考えられる。しかしながら、これまで知られているクリストバライト結晶は、200℃前後におけるα型からβ型への変態時に大きく膨張してしまう。したがって、このようなクリストバライト結晶を含有するセラミック材料を調整材に用いると、リューサイト結晶と同様にして、焼成時に調整材に欠陥が生じてしまうことになる。
特許文献1に記載のアルミノシリケートガラスは非晶質であると考えられる。したがって、歯冠陶材用の色調調整組成物に十分な靭性を有していないと考えられる。また、通常、ガラスを結晶化させると熱膨張係数が高くなる傾向がある。したがって、仮に、特許文献1に記載のアルミノシリケートガラスを結晶化できたとしても、熱膨張係数が相当に高くなってしまうことが推測される。
特許文献2に記載のクリストバライト結晶相含有シリカガラスには、独立気泡が分散しているため、十分な強度を得ることができない。また、例えば、独立気泡に起因して、歯科用陶材に適した高い透明性を確保することもできない。
そこで、例えば、上記問題を有しないようなセラミック材料が望まれている。
本発明の第1視点によれば、クリストバライト結晶を含有するガラス相を含むガラスセラミック組成物が提供される。ガラス相が、75mol%〜83mol%のSiO成分、3mol%〜5mol%のAl成分、2mol%〜10mol%のB成分、2mol%〜3mol%のLiO成分、3mol%〜5mol%のNaO成分、2mol%〜4mol%のKO成分、0.01mol%〜1mol%のCaO成分、及び0.01mol%〜2mol%のZnO成分、を含有する。
本発明の第2視点によれば、クリストバライト結晶を含有するガラス相を含むガラスセラミック焼結体が提供される。ガラス相が、75mol%〜83mol%のSiO成分、3mol%〜5mol%のAl成分、2mol%〜10mol%のB成分、2mol%〜3mol%のLiO成分、3mol%〜5mol%のNaO成分、2mol%〜4mol%のKO成分、0.01mol%〜1mol%のCaO成分、及び0.01mol%〜2mol%のZnO成分、を含有する。
クリストバライト結晶を含有するガラスセラミック材料であっても、変態時における熱膨張係数を低くすることができると共に、複数回焼成における熱膨張係数の変動を小さくすることができる。
実施例及び比較例における塩基性成分(RO及びRO)に対するSiO成分及びAl成分の比をプロットしたグラフ。 実施例4のガラスセラミック焼結体の電子顕微鏡写真。 図2の写真面における酸素(O)の分布図。 図2の写真面におけるケイ素(Si)の分布図。 実施例2、実施例4、比較例3及び比較例9のガラスセラミック焼結体のX線回折パターン。
以下に、上記各視点の好ましい形態について記載する。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス相が、75mol%〜78mol%のSiO成分、4mol%〜5mol%のAl成分、7mol%〜9mol%のB成分、2mol%〜3mol%のLiO成分、3mol%〜5mol%のNaO成分、2mol%〜3mol%のKO成分、0.4mol%〜0.5mol%のCaO成分、及び0.8mol%〜1mol%のZnO成分、を含有する。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス相におけるAl成分のモル分率とSiO成分のモル分率との比が0.062以下である。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でSiO成分のモル分率を除した値が8.44以下である。
上記第1視点の好ましい形態によれば、ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でAl成分のモル分率を除した値が0.40以上である。
本発明の第3視点によれば、第1視点に係るガラスセラミック組成物の粒子を焼結させたガラスセラミック焼結体が提供される。
上記第3視点の好ましい形態によれば、860℃以下で加熱することによって焼結させる。
上記第2視点の好ましい形態によれば、クリストバライト結晶を含有するガラス相を含み、ガラス相が、75mol%〜78mol%のSiO成分、4mol%〜5mol%のAl成分、7mol%〜9mol%のB成分、2mol%〜3mol%のLiO成分、3mol%〜5mol%のNaO成分、2mol%〜3mol%のKO成分、0.4mol%〜0.5mol%のCaO成分、及び0.8mol%〜1mol%のZnO成分、を含有する。
上記第2視点及び第3視点の好ましい形態によれば、ガラス相におけるAl成分のモル分率とSiO成分のモル分率との比が0.062以下である。
上記第2視点及び第3視点の好ましい形態によれば、ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でSiO成分のモル分率を除した値が8.44以下である。
上記第2視点及び第3視点の好ましい形態によれば、ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でAl成分のモル分率を除した値が0.40以上である。
上記第2視点及び第3視点の好ましい形態によれば、JIST6526に準拠して測定した熱膨張係数が11×10−6−1以下である。
上記第2視点及び第3視点の好ましい形態によれば、焼結条件で1回焼成した第1の試料についてJIST6526に準拠して測定した第1の熱膨張係数と、焼結条件で4回焼成した第2の試料についてJIST6526に準拠して測定した第2の熱膨張係数との差(絶対値)が0.6×10−6−1未満である。
本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、クリストバライト結晶の結晶化ガラスを含有するガラスセラミック材料(結晶化ガラス)である。ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、好ましくは、室温においてα−クリストバライト結晶を主たる結晶相として有する。クリストバライト結晶の存在は、X線回折(XRD;X-Ray Diffraction)パターンによって確認することができる。ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、XRDパターンによってクリストバライト結晶以外の結晶相を検出できなくてもよい。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、SiO成分を含有する。SiO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、75mol%以上であると好ましい。SiO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、80mol%以下であると好ましく、78mol%以下であるとより好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、Al成分を含有する。Al成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、3mol%以上であると好ましく、4mol%以上であるとより好ましい。Al成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、5mol%以下であると好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分としてのシリカ成分とアルミナ成分モル比(Al成分のモル数/SiO成分のモル数)は、0.062以下であると好ましい。この比が0.062より大きいと、クリストバライト結晶を生成及び成長させることが困難となる。すなわち、非晶質材料となってしまう。
SiO成分の割合について、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成をモル比率で表わしたとき、ガラス相を構成する成分のうちの塩基性成分(RO成分+RO成分)のモル数の総量に対するSiO成分の比(SiO成分のモル数/(RO成分+RO成分の合計モル数))は8.44以下であると好ましい。Al成分の割合について、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成をモル比率で表わしたとき、塩基性成分(RO成分+RO成分)のモル数の総量に対するAl成分の比(Al成分のモル数/(RO成分+RO成分のモル数))は0.40以上であると好ましい。なお、上記モル比率において、B成分については、下記実施例において示すように、物性への影響が小さいと考えられるため計算から除外されている。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体における上記のSiO成分及びAl成分の含有割合は、後述の実施例において示すような三角形の領域に含まれると好ましい。この三角形の領域は、xを(SiO成分のモル数/(RO成分+RO成分の合計モル数))、yを(Al成分のモル数/(RO成分+RO成分のモル数))とすると以下の式で表すことができる。このとき三角形の頂点は、(x,y)=(6.45,0.40)、(8.44,0.53)、及び(8.44,0.40)となる。
y≦0.062x
y≧0.40
x≦8.44
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体におけるSiO成分及びAl成分の含有割合を上記範囲に設定することにより、クリストバライト結晶が変態した際の熱膨張率を低下させることができる。例えば、ガラスセラミック組成物を歯科用調整材に適用した場合に、基材上に塗布したガラスセラミック組成物を焼成しても(すなわち、基材上にガラスセラミック焼結体を作製しても)、熱膨張による欠陥の発生を抑制することができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、B成分をさらに含有すると好ましい。B成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、2mol%以上であると好ましく、6mol%以上であると好ましく、7mol%以上であるとより好ましい。B成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、10mol%以下であると好ましく、9mol%以下であるとより好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、LiO成分をさらに含有すると好ましい。LiO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して2mol%以上であると好ましい。LiO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、3mol%以下であると好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、NaO成分をさらに含有すると好ましい。NaO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して3mol%以上であると好ましい。NaO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、5mol%以下であると好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、KO成分をさらに含有すると好ましい。KO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、2mol%以上であると好ましい。KO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、4mol%以下であると好ましく、3mol%以下であるとより好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、CaO成分をさらに含有すると好ましい。CaO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、0.01mol%以上であると好ましく、0.4mol%以上であるとより好ましい。CaO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、1mol%以下であると好ましく、0.5mol%以下であるとより好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、ZnO成分をさらに含有すると好ましい。ZnO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、0.01mol%以上であると好ましく、0.8mol%以上であるとより好ましい。ZnO成分は、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体において、ガラス相を構成する成分の合計モル数に対して、2mol%以下であると好ましく、1mol%以下であるとより好ましい。これにより、後述するような性状のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得ることができる。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、ガラス相を構成する成分として、SiO成分、Al成分、B成分、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、及びZnO成分を含有すると好ましい。ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、実質的に、この8種の成分から構成することも可能である。すなわち、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成において、実質的に、この8種の成分のモル数の合計が実質的に100mol%となるようにする(すなわち、モル分率とする)ことができる。このとき、各成分の含有率は上記に示すような範囲をとると好ましい。なお、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体が上記8種の成分からなる場合、塩基性成分(RO成分+RO成分)とは、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、及びZnO成分のことをいう。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、顔料、蛍光顔料及び不透明剤(乳白剤)のうちの少なくとも1つを含有することもできる。顔料は、上記組成に影響しない程度に添加することができる。顔料、蛍光顔料及び不透明剤(乳白剤)のうちの少なくとも1つは、ガラス相を構成しなくてもよい。顔料又は蛍光顔料としては、例えば、P、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Sn、Sb、Bi、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb及びErの群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を利用することができる。不透明剤としては、例えば、TiO、ZrO、ZrSiO、SnO及びCeOの群から選択される少なくとも1つの化合物を利用することができる。ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体に添加される顔料、蛍光顔料及び不透明剤は、1つの化合物であってもよいし、複数の化合物であってもよい。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成において、SiO成分、Al成分、NaO成分、KO成分、及びCaO成分の含有率は、例えば、蛍光X線分析によって測定することができる。LiO成分の含有率は、例えば、原子吸光分光分析によって測定することができる。B成分及びZnO成分の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析によって測定することができる。あるいは、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を構成する各成分の原料中の配合割合から算出した組成をガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成とみなすことができる。後述の実施例2及び5に記載するように、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成と基材の組成とは実質的には同じであるとみなすことができるからである。
ガラスセラミック組成物の粒径(d50)は、30μm以下であると好ましく、20μm以下であると好ましく、10μm以下であると好ましい。
ガラスセラミック組成物の粉末の焼結可能温度は、900℃未満であると好ましく、890℃未満であるとより好ましく、880℃以下であるとより好ましく、860℃以下であるとさらに好ましい。これにより、例えば、ガラスセラミック組成物を歯科用調整材として用いて基材上で焼結させた場合に、基材が損傷することを抑制することができる。また、過熱による変形を抑制することができる。ガラスセラミック組成物の粉末は、例えば、780℃以上の焼成温度で焼結させることができ、さらには840℃以上の焼成温度で焼結させることができる。
本発明のガラスセラミック焼結体は、本発明のガラスセラミック組成物の粒子を焼結させたものとすることができる。以下に説明する熱膨張係数、透過率、曲げ強度、破壊靭性及び溶解量に関する数値は、ガラスセラミック焼結体に関する数値である。すなわち、ガラスセラミック組成物(粉末)を加熱焼結して、各測定方法に基づいて所定の大きさに作製したガラスセラミック焼結体の試料片に関する値である。
本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、他の材料(基材)に対する調整用材料として使用する場合、基材の熱膨張係数と近い範囲にある熱膨張係数を有すると好ましい。特に、本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用陶材として使用する場合、クリストバライト結晶のα−β変態時におけるガラスセラミック焼結体の熱膨張係数は、基材となるジルコニア系セラミックス、アルミナ系セラミックス、マイカ系セラミックス等の基材の熱膨張係数と同様であると好ましい。例えば、本発明のガラスセラミック焼結体の第1熱膨張係数は、11×10−6−1以下であると好ましく、9×10−6−1以下であるとより好ましく、7×10−6−1以下であるとより好ましく、5.9×10−6−1以下であるとより好ましく、5.6×10−6−1以下であるとより好ましく、5.4×10−6−1以下であるとさらに好ましい。また、ガラスセラミック焼結体の第1熱膨張係数は、5×10−6−1以上であると好ましい。これにより、ガラスセラミック組成物を基材に適用して加熱したとしても、欠陥の発生を抑制することができる。
熱膨張係数は、JIST6526(2012)に準拠して測定すると好ましい。ガラスセラミック焼結体の試料片は、焼結により作製されているので、熱膨張係数を測定する前に1回焼成されていることになる。本明細書においては、これを「第1熱膨張係数」という。また、ガラスセラミック組成物を焼結させて作製した試料片(すなわち、ガラスセラミック焼結体)を、焼結時と同じ焼成条件でさらに焼成した後に室温まで冷却するという再焼成(空焼き)工程を3回行った試料片(すなわち、計4回焼成された試料片)について、JIST6526(2012)に準拠して測定した熱膨張係数を「第2熱膨張係数」という。
本発明のガラスセラミック焼結体の第2熱膨張係数は、11×10−6−1以下であると好ましく、9×10−6−1以下であるとより好ましく、7×10−6−1以下であるとより好ましく、6.5×10−6−1以下であるとより好ましく、6.2×10−6−1以下であるとより好ましく、5.9×10−6−1以下であるとより好ましく、5.6×10−6−1以下であると好ましく、5.5×10−6−1以下であるとさらに好ましい。例えば、本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用の調整材に使用する場合に、焼成を複数回繰り返したとしても欠陥の発生を抑制することができる。
また、複数回の焼成による欠陥の発生を抑制するためには、複数回の焼成によってもガラスセラミック焼結体の熱膨張係数の変動が小さいと好ましい。したがって、第2熱膨張係数と第1熱膨張係数との差が小さい方が好ましい。第2熱膨張係数と第1熱膨張係数の差の絶対値は、0.6×10−6−1未満であると好ましく、0.5×10−6−1以下であるとより好ましく、0.4×10−6−1以下であるとより好ましく、0.2×10−6−1以下であるとさらに好ましい。なお、通常、第2熱膨張係数のほうが第1熱膨張係数よりも高くなる。
ガラスセラミック焼結体の透過率は、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用陶材として使用する場合、基材を見えないようにする場合には、透過率は0%とすることができる。一方、エナメル質を再現したい場合には、透過率は15%以上であると好ましく、30%以上であると好ましく、50%以上であるとより好ましく、55%以上であるとより好ましく、60%以上であるとさらに好ましい。透過率は、ISO Visual(ISO5−2)に準拠して測定すると好ましい。試料片に、顔料、蛍光顔料及び不透明剤(乳白剤)を添加した場合には、上記透過率を満たさなくてもよい。
ガラスセラミック焼結体の曲げ強度は、50MPa以上であると好ましく、70MPa以上であるとより好ましく、80MPa以上であるとより好ましく、100MPa以上であるとより好ましく、110MPa以上であるとより好ましく、120MPa以上であるとより好ましく、130MPa以上であるとさらに好ましい。例えば、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用陶材として使用する場合、十分な耐久性を確保することができる。曲げ強度は、JIST6526(2012)に準拠して測定すると好ましい。
ガラスセラミック焼結体の破壊靭性は、0.8MPam1/2以上であると好ましく、1MPam1/2以上であるとより好ましく、1.2MPam1/2以上であるとより好ましく、1.4MPam1/2以上であるとより好ましく、1.5MPam1/2以上であるとより好ましく、1.6MPam1/2以上であるとより好ましく、1.7MPam1/2以上であるとより好ましく、1.8MPam1/2以上であるとさらに好ましい。例えばガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用陶材として使用する場合、十分な耐久性を確保することができる。破壊靭性は、JISR1607(2010)に準拠して測定すると好ましい。
ガラスセラミック焼結体の酸に対する溶解量は、100μg/cm以下であると好ましく、50μg/cm以下であると好ましく、20μg/cm以下であるとより好ましく、10μg/cm以下であるとより好ましく、5μg/cm以下であるとさらに好ましい。例えば、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用陶材として使用する場合、口腔内でガラスセラミック焼結体の減損を抑制するためである。溶解量は、JIST6526(2012)に準拠して測定すると好ましい。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体のCuKα線によるX線回折パターンにおいては、2θが20°〜25°の範囲にクリストバライトの結晶のシャープなピークが確認できると好ましい。
次に、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の製造方法の一例について説明する。
まず、目的とするガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体のガラス相を構成する、例えば上述の各成分に相当する酸化物を準備する。次に、酸化物を乾燥させた後、組成に従い秤量する。次に、各酸化物を混合する。次に、例えば、混合物を熔融させた後、冷却してカレットを作製する。次に、カレットを粉砕した後、所定の粒径範囲の粒子となるようにふるい分けする。次に、熔融体を800℃〜1000℃で30分〜60分間加熱して、クリストバライト結晶を析出させる。これにより、結晶化ガラスであるガラスセラミック組成物を得ることができる。次に、ガラスセラミック組成物の粉末は、所定の粒径範囲となるように、ふるい分けしてもよい。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の色、蛍光性、透過率等を調整する場合には、ガラスセラミック組成物に顔料、蛍光顔料及び不透明剤のうち少なくとも1つを添加し、混合することができる。
次に、ガラスセラミック焼結体の製造方法の一例について説明する。ガラスセラミック組成物を、アルコール、精製水等の溶媒に混合、スラリー化させ、必要があれば、所定の形状及び大きさに成形する。次に、成形体を乾燥させた後、成形体を加熱してガラスセラミック組成物を焼結させることができる。ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を歯科用調整材として使用する場合には、基材に不具合を生じさせないために、焼結温度は、900℃未満であると好ましく、890℃未満であるとより好ましく、880℃以下であるとより好ましく、860℃以下であるとさらに好ましい。
ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を作製し、各種物性を測定した。まず、ガラス相を構成する各酸化物を生成するための各化合物を120℃で加熱して乾燥した。次に、ガラス相における酸化物の組成が表1となるように各化合物を秤量し、混合物をボールミルを用いて混合した。表1の単位はmol/%である。表2に、表1の組成から求めた成分比を示す。
次に、混合物を熔融坩堝に充填して、大気中において1500℃で熔融させた。熔融体を冷却後、カレット化し、さらにカレットをボールミルを用いてさらに粉砕した。次に、粉砕物を#200メッシュの篩を通過させふるい分けした。次に、得られた粉末を耐火セラミックス製の容器内に入れ、860℃で60分加熱処理した。これにより、ガラスセラミック組成物を得ることができた。
次に、得られたガラスセラミック組成物をボールミルで粉砕した後、#200メッシュでふるい分けして、ガラスセラミック組成物の粉末を作製した。
ガラスセラミック組成物の粉末を精製水に混合、スラリー化させた後、各種物性を測定するための試料片に成形した。成形体を乾燥させた後、表3に示す焼結温度で1分間加熱して、ガラスセラミック焼結体を作製した。表3に示す焼結温度は、ガラスセラミック組成物の粉末が焼結に至る適正焼結温度である。適正焼結温度とは、焼成体の表面に少し光沢が出た状態(すなわち焼結に至った状態)であると共に、焼成前の形状が維持されている状態(すなわち、過剰焼成により変形が生じていない状態)が得られる温度をいう。また、表3に、ガラスセラミック焼結体のX線回折法により確認した結晶系を示す。
得られたガラスセラミック焼結体について、上述の測定方法に従い、第1熱膨張係数、第2熱膨張係数、透光性、破壊靭性、曲げ強度、及び溶解量を測定した。測定結果を表4及び表5に示す。
表1における実施例1〜10の各成分の範囲は、SiO成分75.6mol%〜82.5mol%、Al成分3.9mol%〜4.8mol%、B成分3.0mol%〜9.4mol%、LiO成分2.2%〜2.8%、NaO成分3.6%〜4.4mol%、KO成分2.4mol%〜3.0mol%、CaO成分0.4mol%〜0.5mol%、及びZnO成分0.8mol%〜1.0mol%であった。表2に、実施例1〜10における、Al成分とSiO成分との比、塩基性成分(RO及びRO)の総計に対する及びSiO成分の割合、塩基性成分(RO及びRO)の総計に対するAl成分の割合、及び塩基性成分(RO及びRO)の総計に対する及びB成分の割合を示す。実施例1〜10における塩基性成分(RO及びRO)は、LiO成分、NaO成分、KO成分、CaO成分、及びZnO成分である。
図1に、表2に示す横軸Al/(RO+RO)、縦軸SiO/(RO+RO)としてプロットしたグラフを示す。実施例1〜10ではクリストバライト結晶の存在が確認されたのに対し、比較例1〜4及び10で得られたガラスセラミック組成物は非晶質であった。これは、Al成分が全体に対して又はSiO成分に対して多かったためと考えられる。
比較例5〜9についてはクリストバライト結晶が観測された。しかしながら、実施例1〜10の第1熱膨張係数は5.9×10−6−1以下であったのに対し、比較例5,6,8及び9においては6.7×10−6−1以上と、実施例1〜10に比べて高かった。
また、第2熱膨張係数と第1熱膨張係数の差については、実施例1〜10の差は0.5×10−6−1以下であったのに対し、比較例6〜9においては0.6×10−6−1以上と、実施例1〜10に比べて変動が大きかった。
したがって、実施例1〜10に係るガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体によれば、比較例5〜9に係るセラミック材料よりも、第1熱膨張係数及び第2熱膨張係数、並びに第2熱膨張係数と第1熱膨張係数の差のうちの少なくとも1つを低くすることができる。すなわち、実施例1〜10によれば、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の焼成時の熱膨張、及び複数回焼成における熱膨張の変動を抑制することができる。これにより、本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、例えば、歯科用調整材に好適に適用可能であることが分かる。
図2に、実施例4のガラスセラミック焼結体の電子顕微鏡写真を示す。電子顕微鏡写真は、加速電圧10kV,倍率1万倍で測定した。図3に、図2の写真面における酸素(O)の分布図を示す。図4に、図2の写真面におけるケイ素(Si)の分布図を示す。これより、図2の写真において観測される結晶粒がAl等を含有するような異種結晶ではないこと、すなわちSiOの結晶であることが確認できた。
図5に、実施例2、実施例4、比較例3及び比較例9のガラスセラミック焼結体のX線回折パターンを示す。X線回折パターンは、CuKα線(50kV、50mA)で測定した。図5より、図2〜図4において示した結晶粒がクリストバライト結晶であることが同定された。上述のように、比較例3のガラスセラミックは非晶質であった。また、熱膨張係数が高い比較例9は、実施例2及び4に係るガラスセラミック焼結体よりも結晶性の高いクリストバライト結晶を含有していると推測される。これより、クリストバライト結晶の結晶性をある一定の範囲に収めることによって、熱膨張係数及び熱膨張係数の変動を低く抑えることができると推測される。
また、実施例1〜10においては、適正焼結温度は860℃以下であったのに対し、比較例5〜7においては、適正焼結温度が890℃以上となった。すなわち、比較例5〜7における適正焼結温度は、実施例1〜10における適正焼結温度よりも高くなった。例えば、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、歯科用調整材に適用する場合、ガラスセラミック組成物は、例えば、マイカ系セラミック材料等の基材上で焼結させることになる。したがって、基材に不具合を発生させないようにするためには、かつ調整材に変形が生じないようにするためには、ガラスセラミック組成物の焼成温度は低いほうが好ましい。したがって、本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体によれば、例えば、歯科用調整材に好適に適用可能であることが分かる。
ここで、図1を参照すると、実施例1〜10の組成は、頂点は、(x,y)=(6.45,0.40)、(8.44,0.52)、及び(8.44,0.40)で囲まれた三角形の領域に含まれることが分かる。このとき、ガラス相におけるSiO成分及びAl成分は、(SiO,Al)=(75.4mol%,4.7mol%)、(79.2mol%,4.9mol%)、及び(80.1mol%,3.8mol%)となる。また、三角形の各辺の関数は、それぞれ、y≦0.062x、y≧0.40、及びx≦8.44となる。これより、上述のようなクリストバライトの結晶性、低い熱膨張係数、小さい熱膨張係数の変動、及び低い焼結可能温度を有するガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体を得るためには、組成を三角形の範囲に収まるように設定すればよいことが推測される。なお、組成範囲を三角形の領域に限定することを意図するものではなく、実施例のさらなる追加により線で囲まれた領域は変更又は拡張できる可能性がある。
ガラスセラミック焼結体は、透光性、破壊靭性、曲げ強度、及び溶解量についても好適な結果が得られた。これより、本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体は、例えば、歯科用調整材に好適に適用可能であることが確認された。
実施例2及び5において得られたガラスセラミック組成物について元素分析を行った。SiO成分、Al成分、NaO成分、KO成分、CaO成分については、測定試料をガラスビードにし、リガク社製蛍光X線分析装置(ZSX100e)を用いて検量線法にて測定した。LiO成分については、測定試料をフッ酸に溶解した溶液を作製し、日立製作所社製原子吸光分光光度計(Z−5310)にて測定した。B成分については、測定試料をアルカリ溶解した溶液を作製し、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP発光分光分析装置(SPS3500)にて測定した。ZnO成分については、測定試料をフッ酸に溶解した溶液を作製し、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP発光分光分析装置(SPS3500)にて測定した。表6に分析結果を示す。表6における原料組成は、表1に示す組成と同じである。分析の結果、結果物における組成は、原料における組成と整合していることが確認された。これより、ガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体の組成は、原料の組成によって表わすことができると共に、原料の配合によって制御できることが確認された。
上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明のガラスセラミック組成物及びガラスセラミック焼結体並びにその製造方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の全開示に枠内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。

Claims (14)

  1. クリストバライト結晶を含有するガラス相を含み、
    前記ガラス相が、
    75mol%〜83mol%のSiO成分、
    3mol%〜5mol%のAl成分、
    2mol%〜10mol%のB成分、
    2mol%〜3mol%のLiO成分、
    3mol%〜5mol%のNaO成分、
    2mol%〜4mol%のKO成分、
    0.01mol%〜1mol%のCaO成分、及び
    0.01mol%〜2mol%のZnO成分、
    を含有する、ガラスセラミックス組成物。
  2. 前記ガラス相が、
    75mol%〜78mol%のSiO成分、
    4mol%〜5mol%のAl成分、
    7mol%〜9mol%のB成分、
    2mol%〜3mol%のLiO成分、
    3mol%〜5mol%のNaO成分、
    2mol%〜3mol%のKO成分、
    0.4mol%〜0.5mol%のCaO成分、及び
    0.8mol%〜1mol%のZnO成分、
    を含有する、請求項1に記載のガラスセラミック組成物。
  3. 前記ガラス相におけるAl成分のモル分率とSiO成分のモル分率との比が0.062以下である、請求項1又は2に記載のガラスセラミック組成物。
  4. 前記ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でSiO成分のモル分率を除した値が8.44以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスセラミック組成物。
  5. 前記ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でAl成分のモル分率を除した値が0.40以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラスセラミック組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラスセラミック組成物の粒子を焼結させた、ガラスセラミック焼結体。
  7. 860℃以下で加熱することによって焼結させた、請求項6に記載のガラスセラミック焼結体。
  8. クリストバライト結晶を含有するガラス相を含み、
    前記ガラス相が、
    75mol%〜83mol%のSiO成分、
    3mol%〜5mol%のAl成分、
    2mol%〜10mol%のB成分、
    2mol%〜3mol%のLiO成分、
    3mol%〜5mol%のNaO成分、
    2mol%〜4mol%のKO成分、
    0.01mol%〜1mol%のCaO成分、及び
    0.01mol%〜2mol%のZnO成分、
    を含有する、ガラスセラミックス焼結体。
  9. 前記ガラス相が、
    75mol%〜78mol%のSiO成分、
    4mol%〜5mol%のAl成分、
    7mol%〜9mol%のB成分、
    2mol%〜3mol%のLiO成分、
    3mol%〜5mol%のNaO成分、
    2mol%〜3mol%のKO成分、
    0.4mol%〜0.5mol%のCaO成分、及び
    0.8mol%〜1mol%のZnO成分、
    を含有する、請求項8に記載のガラスセラミック焼結体。
  10. 前記ガラス相におけるAl成分のモル分率とSiO成分のモル分率との比が0.062以下である、請求項6〜9のいずれか一項に記載のガラスセラミック焼結体。
  11. 前記ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でSiO成分のモル分率を除した値が8.44以下である、請求項6〜10のいずれか一項に記載のガラスセラミック焼結体。
  12. 前記ガラス相における塩基性成分のモル分率の総和でAl成分のモル分率を除した値が0.40以上である、請求項6〜11のいずれか一項に記載のガラスセラミック焼結体。
  13. JIST6526に準拠して測定した熱膨張係数が11×10−6−1以下である、請求項6〜12のいずれか一項に記載のガラスセラミック焼結体。
  14. 焼結条件で1回焼成した第1の試料についてJIST6526に準拠して測定した第1の熱膨張係数と、焼結条件で4回焼成した第2の試料についてJIST6526に準拠して測定した第2の熱膨張係数との差(絶対値)が0.6×10−6−1未満である、請求項6〜13のいずれか一項に記載のガラスセラミック焼結体。
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