JP6531913B2 - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液から高純度なニッケル粉やそれを固めたブリケットを得る方法に関するものである。
特に湿式ニッケル製錬プロセスで発生した工程内の中間生成溶液の処理に適用できる。
湿式製錬プロセスを用いてニッケル粉を工業的に製造する方法として、原料を硫酸溶液に溶解後、不純物を除去する工程を経て、得た硫酸ニッケル溶液にアンモニアを添加し、ニッケルのアンミン錯体を形成させ、生成した硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に水素ガスを供給しニッケルを還元することによりニッケル粉を製造する方法がある。
例えば非特許文献1には還元反応時に鉄化合物を種晶として添加し、鉄化合物上にニッケルを析出させるニッケル粉の製造プロセスが記載されているが、製品中への種晶由来の鉄混入がある点が課題である。
さらに、水素ガス以外の還元剤を用いてニッケル粉を得る方法もこれまでに提案されてきている。
例えば、特許文献1には安価で、かつ耐侯性に優れ、樹脂と混練した状態で電気抵抗が低く、初期電気抵抗および使用中の電気抵抗を低減し、長期間にわたり安定して使用でき、導電ペーストおよび導電樹脂用の導電性粒子として好適なニッケル粉、およびその製造方法を提供する方法が開示されている。
特許文献1に開示されるニッケル粉は、コバルトを1〜20質量%含有し、残部がニッケルおよび不可避不純物からなり、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されるニッケル粉であって、酸素含有量が0.8質量%以下である。二次粒子の表層部にのみコバルトを含有し、その表層部におけるコバルト含有量が1〜40質量%とすることが好ましい、とされている。
この開示される製造方法によって、このニッケル粉を得ようとする場合、コバルトが共存することになり、例えばニッケル酸化鉱石のようにニッケルとコバルトが共存して存在し、これらを分離してそれぞれを高純度かつ経済的に回収しようとする用途には適していない。
さらに特許文献2には、粒子凝集物を生じにくいように改善された、液相還元法による金属粉末の製造方法が提供されている。
この製造方法は、金属化合物、還元剤、錯化剤、分散剤を溶解することにより、金属化合物に由来する金属イオンを含有する水溶液を作製する第1工程と、水溶液のpH調整をすることにより金属イオンを還元剤により還元させ、金属粉末を析出させる第2工程とを備える金属粉末の製造方法である。
しかし、この製造方法は高価な薬剤を用いて高コストであり、上記ニッケル製錬として大規模に操業するプロセスに適用するには経済面で有利とはいえない。
以上のように様々なニッケル粉を製造するプロセスが提案されているが、工業的に安価な水素ガスを用いて高純度のニッケル粉を製造する方法は提唱されていなかった。
特開2005−240164号公報 特開2010−242143号公報
POWDER METALLURGY、1958、No.1/2、P.40−52
このような状況の中で、工業的に安価な水素ガスを使用し、微小なニッケル粉を用いて硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からの高純度のニッケル粉の粗大な粒を生成する製造方法の提供を目的とするものである。
このような課題を解決する本発明の第1の発明は、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からニッケル粉を生成する製造工程において、(1)前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、平均粒径0.1〜5μmのニッケル粉を種晶として添加して混合スラリーを形成する種晶添加工程。
(2)前記処理工程(1)の種晶添加工程で得られた前記混合スラリーに水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケル成分が前記種晶上に析出して形成したニッケル粉を含む還元スラリーを形成する還元工程。
(3)前記処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリーを、固液分離して前記ニッケル粉を固相成分として分離、回収した後、前記回収したニッケル粉に、水酸化ニッケルを前記還元工程から得られる反応後液で溶解して得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加えた溶液に水素ガスを吹き込み、前記ニッケル粉を成長させた高純度ニッケル粉を含む成長スラリーを形成する成長工程の(1)〜(3)に示す処理工程を施すことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における処理工程(1)の種晶添加工程における種晶を硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に添加して混合スラリーを形成する際、その混合スラリーに分散剤をさらに添加することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明の処理工程(1)の種晶添加工程における添加する種晶の添加量が、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケル重量に対し、1〜100%となる量であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における硫酸ニッケルアンミン錯体溶液が、コバルトを不純物として含むニッケル含有物を溶解する浸出工程と、その浸出工程で得られたニッケルとコバルトを含む浸出液をpH調整した後、溶媒抽出法により硫酸ニッケル溶液とコバルト回収液に分離する溶媒抽出工程と、得られた硫酸ニッケル溶液をアンモニアにより錯化処理する錯化工程を経て得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第4の発明におけるニッケル含有物が、ニッケルおよびコバルトの混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、金属ニッケルの粉末の少なくとも1種であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第の発明は、第4及び第5の発明における溶媒抽出法の有機相が、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステルまたはジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第の発明は、第4〜第の発明における硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中の硫酸アンモニウム濃度が、100〜500g/L、且つアンモニウム濃度が、前記錯体溶液中のニッケル濃度に対してモル比で1.9以上であることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第の発明は、第1の発明における処理工程(2)の還元工程、及び処理工程(3)の成長工程が、温度を150〜200℃、及び圧力を1.0〜4.0MPaの範囲に維持して各処理を行うことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第の発明は、第2の発明における分散剤が、アクリル酸塩もしくはスルホン酸を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第10の発明は、第1の発明における処理工程(3)の成長工程を経て得られた高純度ニッケル粉を、団鉱機を用いて塊状のニッケルブリケットに加工するニッケル粉団鉱工程と、得られた塊状のニッケルブリケットを、水素雰囲気中で温度500〜1200℃での保持条件により、焼結処理を行い、焼結体のニッケルブリケットを形成するブリケット焼結工程を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第11の発明は、第1の発明における処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリー、及び処理工程(3)の成長工程で得られた成長スラリーの固液分離処理によりニッケル粉を固相成分として分離した後の反応後液を濃縮し、硫酸アンモニウムを晶析させて硫安結晶を回収する硫安回収工程を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第12の発明は、第1の発明における処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリー、及び処理工程(3)の成長工程で得られた成長スラリーの固液分離処理によりニッケル粉を固相成分として分離した後の反応後液にアルカリを加えて加熱し、アンモニアガスを揮発させ回収するアンモニア回収工程を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第13の発明は、第12の発明におけるアンモニア回収工程で回収したアンモニアが、第4の発明に記載の溶媒抽出工程のpH調整、及び錯化工程における硫酸ニッケルアンミン錯体溶液の生成に用いるアンモニアに循環使用されることを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明の第14の発明は、第2の発明の処理工程(2)の還元工程における分散剤に、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液を種晶量に対して2.0wt%添加することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
本発明によれば、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液から、水素ガスを用いてニッケル粉を生成する製造方法において、その製品を汚染しない種晶を用いることにより、高純度な、ニッケル粉を容易に得ることができる。
本発明のニッケル粉の製造フロー図である。 分散剤としてアクリル酸塩もしくはスルホン酸塩を使用し、繰返し還元を実施した時のニッケル粉の嵩密度と粒径の結果である。 本願実施例4において分散剤としてアクリル酸塩もしくはスルホン酸塩を使用し、繰り返し還元を実施した後のニッケル粉SEM像である。
本発明では、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からニッケル粉を得る製造方法において、湿式製錬プロセスの工程液に下記(1)〜(3)に示す工程を施すことによって、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液から、より不純物の少ない高純度ニッケル粉を製造することを特徴とするものである。
以下、図1に示す本発明の高純度ニッケル粉の製造フロー図を参照して、本発明の高純度ニッケル粉の製造方法を説明する。
[浸出工程]
先ず、浸出工程は、出発原料となる、ニッケルおよびコバルト混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、ニッケル粉などから選ばれる一種、または複数の混合物から成る工業中間物などのニッケル含有物を、硫酸により溶解して、ニッケルを浸出させて浸出液(ニッケルを含む溶液)を生成する工程で、特開2005−350766号公報などに開示された公知の方法を用いて行われる。
[溶媒抽出工程]
次に、この浸出液にPH調整を行い、溶媒抽出工程に供する。
この工程は、浸出工程で得られた後、pH調整された浸出液と有機相を接触させ、各相中の成分を交換することで、水相中のある成分の濃度を高め、他の異なる成分の濃度を低くするものである。
本発明では有機相に2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステルまたはジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸を用いて浸出液中の不純物元素、特にコバルトを選択的に抽出し、高純度の硫酸ニッケル溶液を得るものである。
また、この工程時にpH調整のため用いられるアンモニア水には、後述するアンモニア回収工程で生成されるアンモニア水を使用することができる。
[錯化工程]
この錯化工程は、溶媒抽出工程で得られた高純度の硫酸ニッケル溶液に、アンモニアガスまたはアンモニア水のアンモニアを添加、錯化処理し、ニッケルのアンミン錯体である硫酸ニッケルアンミン錯体を生成し、その硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を形成する工程である。
この時のアンモニウム濃度は、溶液中のニッケル濃度に対しモル比で1.9以上になるようにアンモニアを添加する。添加するアンモニアのアンモニウム濃度が1.9未満ではニッケルがアンミン錯体を形成せず、水酸化ニッケルの沈殿が生成してしまう。
また、硫酸アンモニウム濃度を調整するために、本工程において硫酸アンモニウムを添加することができる。このときの硫酸アンモニウム濃度は100〜500g/Lが好ましく、500g/L以上では溶解度を超えてしまい、結晶が析出してしまい、プロセスのメタルバランス上、100g/L未満を達成するのは困難である。
さらに、この工程で用いるアンモニアガスまたはアンモニア水にも、後述するアンモニア回収工程で生成されるアンモニアガスまたはアンモニア水を使用することができる。
さらに、ニッケル含有物の水酸化ニッケルを用い、(2)還元工程で得られた還元スラリーを固液分離処理して得た反応後液に水酸化ニッケルを溶解することによって、反応後液中の硫酸アンモニウムと反応して硫酸ニッケルアンミン錯体溶液の生成が可能である。なお、使用する反応後液には製造工程上硫酸アンモニウムが残存している。また、アンモニウム濃度や硫酸アンモニウム濃度が上記適正範囲に達していない場合、アンモニアや硫酸アンモニウムを適量補充しても良い。
[硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からのニッケル粉製造工程]
図1の破線で囲まれた(1)〜(3)の処理工程で示される硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からニッケル粉を製造する工程を以下に説明する。なお、図中の黒太矢印は、この工程における工程フローを示している。
(1)種晶添加工程
上記錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、平均粒径が0.1〜5μmのニッケル粉を種晶としてニッケル粉スラリーの形態で添加して種晶を含む混合スラリーを形成する。なお、この種晶とするニッケル粉は、後述の「種晶生成工程」で作製することが可能である。
このときに添加する種晶の重量は、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケル重量に対し1〜100%が好ましい。1%未満では次工程の還元時の反応効率が著しく低下する。また100%以上では使用量が多く、種晶製造にコストが掛かり、経済的ではない。
また、同時に分散剤を添加しても良い。この分散剤を添加することにより種晶が分散するため、次工程の還元工程の効率を上昇させることができる。
ここで使用する分散剤としては、アクリル酸塩もしくはスルホン酸塩を有するものであれば特に限定されないが、工業的に安価に入手できるものとしてポリアクリル酸塩が好ましい。
(2)還元工程
処理工程(1)の種晶添加工程で得られた混合スラリーに水素ガスを吹き込み、溶液中のニッケルを種晶上に析出させるニッケル粉生成処理により、その種晶上に析出して形成したニッケル粉を含む還元スラリーを形成する。
このとき、反応温度は150〜200℃が好ましい。150℃未満では還元効率が低下し、200℃以上にしても反応への影響はなく熱エネルギー等のロスが増加する。
また、反応時の圧力は1.0〜4.0MPaが好ましい。1.0MPa未満では反応効率が低下し、4.0MPaを超えても反応への影響はなく水素ガスのロスが増加する。
処理工程(1)の種晶添加工程で得られた混合スラリーの液中には、不純物として主にマグネシウムイオン、ナトリウムイオン、硫酸イオン、アンモニウムイオンが存在するが、いずれも溶液中に残留するため、高純度のニッケル粉を生成することができる。
(3)成長工程
処理工程(2)の還元工程で生成した還元スラリーを固液分離後、回収した高純度のニッケル粉に、前述の錯化工程で得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加え、(2)の還元工程と同じ方法により水素ガスを供給する粒成長処理を施し、粒成長したニッケル粉を含む成長スラリーを形成する。これにより高純度のニッケル粉上にニッケルが還元析出するため、粒子を成長させることができる。
また、本成長工程を複数回繰り返して行なうことにより、より嵩密度が高く、より粒径が大きな高純度のニッケル粉を生成することができる。
また、得たニッケル粉に対して、以下のニッケル粉団鉱工程やブリケット焼成工程を経てより粗大で酸化し難く取り扱いしやすいブリケットの形状に仕上げても良い。
さらにアンモニア回収工程を設けても良い。
種晶添加工程に先立ち、使用する種晶を作製する工程として、「種晶生成工程」を実施しても良く、以下に、その概要を述べる。
この工程は、溶媒抽出工程で得られた高純度の硫酸ニッケル溶液と、ヒドラジンを混合し、種晶とする微小ニッケル粉を生成する工程である。
このとき、さらにアルカリを混合しても良く、用いるアルカリとしてアンモニアを硫酸ニッケル溶液中のニッケル量に対し、モル比で2倍以上添加し、苛性ソーダを用いてpHを7〜12に調整すると良い。
用いるヒドラジンの添加量としては、硫酸ニッケル中のニッケル量に対し、モル比で0.5〜2.5倍が好ましい。0.5倍未満ではニッケルが全量反応せず、2.5倍を超えても反応効率に影響を及ぼさず薬剤ロスが増加する。
また、反応温度は25〜80℃が好ましく、25℃未満では反応時間が長時間になり工業的に適用するには現実的ではない。一方、80℃以上では反応槽の材質が限られるため設備費がかさんでくる。さらに、この際に界面活性剤を少量添加することにより生成するニッケル粉の粒径を細かくすることができる。
こうして生成した種晶となる平均粒径0.1〜5μmの微小ニッケル粉は、固液分離され、スラリー状のニッケル粉スラリーとして供給される。
[ニッケル粉団鉱工程]
本発明により製造される高純度のニッケル粉は、製品形態として、乾燥後に団鉱機等により成形加工を行ない塊状のニッケルブリケットを得る。
また、このブリケットへの成形性を向上させるために、場合によってはニッケル粉に水等の製品品質を汚染しない物質をバインダーとして添加する。
[ブリケット焼結工程]
団鉱工程で作製したニッケルブリケットは、水素雰囲気中で焙焼、焼結を行ない、ブリケット焼結体を作製する。この処理では強度を高めると共に、微量残留するアンモニア、硫黄成分の除去を行なうもので、その焙焼・焼結温度は、500〜1200℃が好ましい。500℃未満では焼結が不十分となり、1200℃を超えても効率がほとんど変わらずエネルギーのロスが大きくなる。
[硫安回収工程]
処理工程(2)の還元工程および処理工程(3)の成長工程における各スラリーを、ニッケル粉を固相として分離する固液分離処理により発生する反応後液中には硫酸アンモニウムおよびアンモニアが含まれる。
そこで、硫酸アンモニウムは、硫安回収工程を施すことで、反応後液を加熱濃縮して硫酸アンモニウムを晶析させ、硫安結晶として回収することができる。
[アンモニア回収工程]
また、アンモニアは、上記反応後液にアルカリを添加しpHを10〜13に調整後、加熱することによりアンモニアガスを揮発させ回収することができる。
ここで用いるアルカリは特に限定されるものではないが、苛性ソーダ、消石灰などが工業的に安価であり好適である。
また、回収したアンモニアガスは水と接触させることによりアンモニア水を生成することができ、得たアンモニア水は工程内に繰り返し使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を、より詳細に説明する。
[種晶の生成]
25%アンモニア水73mlに、水酸化ナトリウムを36gと60%ヒドラジン溶液53mlを添加し、合計の液量を269mlに調整した。
ウォーターバスを用いて、その液温が75℃になるように保持、撹拌しながら、硫酸ニッケル溶液(100g/L)273gをビーカー内の液に滴下して反応させ、30分間保持した。その後、固液分離を行ない、生成したニッケル粉を回収した。得られたニッケル粉の平均粒径は2μmであった。
(1)種晶添加工程
ニッケル75gが含まれる硫酸ニッケル溶液と硫酸アンモニウム330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整した。この溶液に上記「種晶の生成」で得られたニッケル粉を種晶として7.5gを添加して混合スラリーを作製した。
(2)還元工程
(1)で作製した混合スラリーを、オートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給して還元処理であるニッケル粉生成処理を行った。
水素ガスの供給後、1時間が経過した後に水素ガスの供給を停止し、オートクレーブを冷却した。冷却後に得られた還元スラリーを濾過による固液分離処理し、高純度の小径ニッケル粉を回収した。このときの回収したニッケル粉は70gであった。
(3)成長工程
次に、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム濃度330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整した。
この溶液に上記(2)で得られた高純度の小径ニッケル粉を全量添加してスラリーを作製した。
このスラリーをオートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給した。
水素ガスの供給後、1時間が経過した後に水素ガスの供給を停止し、オートクレーブを冷却した。冷却後に得られた成長スラリーを濾過による固液分離処理し、高純度の粒成長したニッケル粉を回収した。
表1に示す硫酸ニッケルアンミン錯体溶液1000mlに、種晶として平均粒径1μmのニッケル粉を75g添加した後、オートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給した。
水素ガスの供給後、1時間が経過した後に水素ガスの供給を停止し、オートクレーブを冷却した。冷却後に得られた還元スラリーを濾過による固液分離処理を施し、回収したニッケル粉を純水で洗浄した後、ニッケル粉の不純物品位を分析した。結果を表1に示す。MgやNaはニッケル粉への混入はなく、高純度のNi粉を生成することができた。
実施例1の「成長工程」にて作製した種晶75gとポリアクリル酸ナトリウム1.5g、硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム濃度330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整した混合スラリーを作製した。
次に、その混合スラリーをオートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給した。水素ガスの供給後、1時間が経過した後に水素ガスの供給を停止した。
オートクレーブの冷却後、得られた還元スラリーを濾過による固液分離処理し、小径ニッケル粉を回収した。このとき、反応後液中のニッケル濃度は0.4g/Lであり、99%以上の還元率が得られた。
実施例3で回収した小径ニッケル粉と硫酸ニッケル336g、硫酸アンモニウム濃度330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整してスラリーを作製した。
再びオートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給して粒成長処理を施した後、濾過による固液分離処理を経て、粒成長したニッケル粉を回収した。
この操作を繰り返し、ニッケル粉をより成長させた。
実施例4で得られるニッケル粉は、図2に示すように、成長工程を繰り返し、還元を実施することによって、その粒径が大きくなり粒子成長している。対して、繰返し還元回数が増加するにつれて嵩密度は低下している。また、図3のSEM像より生成したニッケル粉は表面に凹凸を有した粒子形状をしているため、比較例3に示す分散剤としてリグニンスルホン酸塩を用いた場合のニッケル粉より粗大で易溶性のニッケル粉を得ることができた。
なお、得られたニッケル粉中の硫黄品位は0.04%であった。
そこで、このニッケル粉を、2%水素雰囲気中にて1000℃に加熱し60分間保持する焙焼処理を行った。焙焼後に得られたニッケル粉中の硫黄品位は0.008%であり、焙焼により硫黄品位を低減させることができた。
ニッケル濃度120g/Lの硫酸ニッケル液1000mlにスラリー濃度200g/Lに調整した消石灰を800ml添加することにより、120gの水酸化ニッケルを得た。
その水酸化ニッケルを、還元工程で得られる反応後液に模した、ニッケル濃度30g/Lの硫酸ニッケル液とアンモニア濃度40g/Lの硫酸アンモニウム溶液の混合液1700mlに投入、撹拌、溶解することにより混合スラリーを作製した。
次に、このスラリーをオートクレーブにて撹拌しながら185℃に昇温し、オートクレーブ内の圧力が3.5MPaになるように水素ガスを吹き込み、供給して粒成長処理を施した後、濾過による固液分離処理を経て、粒成長したニッケル粉を回収した。
(比較例1)
種晶を添加せずに、純水45ml、硫酸ニッケル六水和物20g、硫酸アンモニウム15g、28%アンモニア水10mlを混合した溶液をオートクレーブに入れ、撹拌しながら水素ガスを3.5MPaまで供給し、185℃に昇温後、6時間保持した。冷却後、オートクレーブ内を確認すると、析出物は容器と撹拌羽根上にスケールとして付着しており、粉状のニッケルを生成することはできなかった。
(比較例2)
リグニンスルホン酸ナトリウムを添加せずに、その他は実施例3の条件と同様にして還元工程を実施した。その結果、回収できたニッケル粉は33gであり、14%の回収率に留まった。
(比較例3)
分散剤として、リグニンスルホン酸ナトリウムを7.5g添加し、その他は実施例4の条件と同様にして繰り返し成長試験を実施した。
その結果、図2に示すようにニッケル粉の粒径は繰返し還元回数を重ねるごとに大きくなっている。しかし、嵩密度に関しては約5g/cm付近から変化することなく推移した。

Claims (14)

  1. 硫酸ニッケルアンミン錯体溶液からニッケル粉を生成する製造工程において、
    下記(1)から(3)に示す処理工程を施すことを特徴とするニッケル粉の製造方法。

    (1)前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に、平均粒径0.1〜5μmのニッケル粉を種晶として添加して混合スラリーを形成する種晶添加工程。
    (2)前記処理工程(1)の種晶添加工程で得られた前記混合スラリーに水素ガスを吹き込み、前記混合スラリー中のニッケル成分が前記種晶上に析出して形成したニッケル粉を含む還元スラリーを形成する還元工程。
    (3)前記処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリーを、固液分離して前記ニッケル粉を固相成分として分離、回収した後、前記回収したニッケル粉に、水酸化ニッケルを前記還元工程から得られる反応後液で溶解して得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液を加えた溶液に水素ガスを吹き込み、前記ニッケル粉を成長させた高純度ニッケル粉を含む成長スラリーを形成する成長工程。
  2. 前記処理工程(1)の種晶添加工程における前記種晶を前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液に添加して混合スラリーを形成する際、前記混合スラリーに分散剤をさらに添加することを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
  3. 前記処理工程(1)の種晶添加工程における前記添加する種晶の添加量が、硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中のニッケル重量に対し、1〜100%となる量であることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
  4. 前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液が、
    コバルトを不純物として含むニッケル含有物を溶解する浸出工程と、
    前記浸出工程で得られたニッケルとコバルトを含む浸出液をpH調整した後、溶媒抽出法により硫酸ニッケル溶液とコバルト回収液に分離する溶媒抽出工程と、
    前記硫酸ニッケル溶液をアンモニアにより錯化処理する錯化工程を、
    経て得られた硫酸ニッケルアンミン錯体溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  5. 前記ニッケル含有物が、ニッケルおよびコバルトの混合硫化物、粗硫酸ニッケル、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、金属ニッケルの粉末の少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のニッケル粉の製造方法。
  6. 前記溶媒抽出法の有機相が、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステルまたはジ−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸であることを特徴とする請求項4又は5に記載のニッケル粉の製造方法。
  7. 前記硫酸ニッケルアンミン錯体溶液中の硫酸アンモニウム濃度が、100〜500g/L、
    且つアンモニウム濃度が、前記錯体溶液中のニッケル濃度に対してモル比で1.9以上であることを特徴とする請求項4〜のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  8. 前記処理工程(2)の還元工程、及び処理工程(3)の成長工程が、温度を150〜200℃、及び圧力を1.0〜4.0MPaの範囲に維持して各処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
  9. 前記分散剤が、アクリル酸塩もしくはスルホン酸を含むことを特徴とする請求項2に記載のニッケル粉の製造方法。
  10. 前記処理工程(3)の成長工程を経て得られた高純度ニッケル粉を、団鉱機を用いて塊状のニッケルブリケットに加工するニッケル粉団鉱工程と、
    得られた塊状のニッケルブリケットを、水素雰囲気中で温度500〜1200℃での保持条件により、焼結処理を行い、焼結体のニッケルブリケットを形成するブリケット焼結工程を含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル粉の製造方法。
  11. 前記処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリー、及び処理工程(3)の成長工程で得られた成長スラリーの固液分離処理によりニッケル粉を固相成分として分離した後の反応後液を濃縮し、硫酸アンモニウムを晶析させて硫安結晶を回収する硫安回収工程を含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル粉の製造方法。
  12. 前記処理工程(2)の還元工程で得られた還元スラリー、及び処理工程(3)の成長工程で得られた成長スラリーの固液分離処理によりニッケル粉を固相成分として分離した後の反応後液に、アルカリを加えて加熱し、アンモニアガスを揮発させ回収するアンモニア回収工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
  13. 前記アンモニア回収工程で回収したアンモニアが、請求項4記載の溶媒抽出工程のpH調整、及び錯化工程における硫酸ニッケルアンミン錯体溶液の生成に用いるアンモニアに循環使用されることを特徴とする請求項12記載のニッケル粉の製造方法。
  14. 前記処理工程(2)の還元工程における分散剤にポリアクリル酸ナトリウム水溶液を種晶量に対して2.0wt%添加することを特徴とする請求項2に記載のニッケル粉の製造方法。
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