JP6531305B2 - チタン酸塩イオン交換体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チタン酸塩イオン交換体およびその製造方法に係り、特にアルカリ金属イオンを含む放射性廃液から多価金属イオンを除去するのに好適なチタン酸塩イオン交換体およびその製造方法に関するものである。
原子力発電設備の事故などで出た放射性廃液は、燃料成分や海水成分や設備の腐食成分などを含んでおり、この廃液は水処理され、処理された水は燃料冷却に再利用されるが、Sr,Cs,Mn,Co,Ru,Sbやベータ核種など各種成分が濃縮された濃縮廃液は残る。そのため、この放射性濃縮廃液の除染処理が必要となる。
放射性廃液に含まれている放射性ストロンチウム(Sr−89,Sr−90)を除染するために、チタン酸塩がよく用いられる。
下記特許文献1には、チタン酸塩イオン交換体の製造方法が開示されている。このチタン酸塩イオン交換体は、次のような工程を経て製造される。
(1).固体含水酸化チタンと、交換可能なカチオンを含むアルカリ剤と、液体とを含むスラリーを作り、
(2).前記酸化チタンを前記アルカリ剤と反応させてチタネート化合物を生成させ、
(3).反応終了後静置してチタネート化合物を含む固体分を液体と分離し、
(4).固体分から粒状のチタネート化合物を回収する。
(5).加圧濾過機を用いてチタネート化合物の濾過ケーキを生成し、
(6).濾過ケーキを洗浄してアルカリを除去して、
(7).洗浄した濾過ケーキを乾燥させて恒量状態にし、
(8).乾燥させたケーキを粉砕して種々の大きさの顆粒群を製造して、
(9).その顆粒群の中から粒径0.1mm〜2mmの顆粒を分級し、
(10).分級した顆粒を洗浄して微粒子を除去しチタン酸塩イオン交換体粒子を製造する。
また下記特許文献2には、放射性廃液の処理方法が開示されている。この処理方法は、乾燥ゼオライトに20%の三塩化チタン(TiCl)溶液を添加して混合し、そのチタン処理ゼオライトを水洗、濾過、乾燥することにより、Ti3+イオンからTi4+イオンに変換する。
そのチタン処理ゼオライトを水で飽和して、酸が中和するまでNaOHの希薄溶液を添加し、その後水でNaOHを水洗除去して乾燥させることによりチタン酸ナトリウムの形で5wt%までのチタンを含有するチタン処理ゼオライトのイオン交換体を得て、イオン交換カラム内に充填する。
一方、高レベル放射性廃液をスラッジと上澄み液に分離し、スラッジを水洗して、そのスラッジ洗浄溶液と前記上澄み液のpH値を約12.5に調整する。このスラッジ洗浄溶液と上澄み液をイオン交換カラム内に通して前記イオン交換体と接触させ、イオン交換カラムからの溶出液をコンクリートと混合して、溶出液を含有したコンクリートを低レベル廃棄物として貯蔵する方法である。
特表2000−502595号公報 米国特許第5,298,166号明細書
チタン酸塩はアルカリ土類金属イオンを選択的に吸着するので、放射性廃液の除染に好適であるが、次のような欠点もある。
(1)チタン酸塩は微粉末であるため、カラムで使用するためには、所定の大きさに造粒する必要がある。
(2)造粒剤(結着剤)として有機化合物を使用して造粒したものは、耐放射線性が弱いため、長期間安定して使用することができず、耐用寿命が短い。
また、前記特許文献1に記載のチタン酸塩イオン交換体は、チタネート化合物の乾燥物であり、脆くて崩れやすい。また、乾燥物を粉砕した後に篩い分けして、所望の粒径の吸着材を得る方法であるため、歩留まりが悪い。
さらに、前記特許文献2に記載のイオン交換体は、チタン酸塩をゼオライトに担持したものであるが、チタン酸塩が担体から脱離しやすい傾向にあり、イオン交換機能を長期間安定して発揮することが難しいなどの課題を有している。
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、イオン交換機能を長期間安定して発揮することのできるチタン酸塩イオン交換体およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の手段は複数の元素を含む放射性廃液を通過させるカラムに充填するためのチタン酸塩イオン交換体の製造方法であって、平均細孔径を15nm〜50nmの範囲に規制した多孔質シリカゲルを無機酸溶液中に所定時間浸漬し、浸漬後に多孔質シリカゲルを無機酸溶液から取り出して水洗と乾燥を行う多孔質シリカゲルの不純物除去工程と、不純物を除去した多孔質シリカゲルに脱水済み有機溶剤を添加し、不活性ガスをパージして、次に有機チタン溶液を多孔質シリカゲルに添加し、不活性ガスをパージして、前記脱水済み有機溶剤と有機チタン溶液の混合液の還流を行い、多孔質シリカゲルのチタン修飾を行う有機チタンの修飾工程と、
チタン修飾済み多孔質シリカゲルに0.001(W/V)%から10(W/V)%のアルカリ溶液を添加するアルカリ処理工程
含むことを特徴とする無機物質のチタン酸塩イオン交換体の製造方法である。
本発明の第の手段は前記第の手段において、
前記有機チタンの修飾工程で使用する前記有機チタン溶液がチタニウムイソプロポキシドで、前記脱水済み有機溶剤がトルエン、イソプロパノール、メタノール、ノルマルヘキサン、キシレンのグループから選択された少なくとも1種の有機溶剤であることを特徴とするものである。
本発明の第の手段は前記第の手段において、
前記有機チタン溶液中のチタン濃度が1.0mmol−Ti/L−SiO2から500mmol−Ti/L−SiO2の範囲であることを特徴とするものである。
本発明は前述のような構成になっており、イオン交換機能を長期間安定して発揮することのできるチタン酸塩イオン交換体およびその製造方法を提供することができる。
本発明で用いられる多孔質シリカゲルの模式化した拡大断面図である。 本発明の実施例で多孔質シリカゲルの表面を化学結合によりナトリウム−チタン修飾した構成を示す模式図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が15nmの吸着材を用いてSr吸着試験を行なった際のSr除去率を示す特性図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が30nmの吸着材を用いてSr吸着試験を行なった際のSr除去率を示す特性図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が50nmの吸着材を用いてSr吸着試験を行なった際のSr除去率を示す特性図である。 本発明の実施例に係る吸着材からのチタン酸塩の溶出試験に用いる溶出試験装置の概略構成図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が15nmの吸着材を用いて各種元素の吸着試験を行なった際の元素除去率を示す特性図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が30nmの吸着材を用いて各種元素の吸着試験を行なった際の元素除去率を示す特性図である。 本発明の実施例に係る平均細孔径が50nmの吸着材を用いて各種元素の吸着試験を行なった際の元素除去率を示す特性図である。
本発明は、多孔質のシリカゲルを骨格(担体)として用いて、それを化学結合によりチタン酸塩で修飾したものを例えば吸着材などのイオン交換体として使用するものである。
本発明のイオン交換体の製造方法は、(I)多孔質シリカゲルの不純物除去工程、(II)チタン酸塩の修飾工程ならびに (III)アルカリ処理工程を有している。次に各工程の概略を説明する。
(I).多孔質シリカゲルの不純物除去工程
図1は、本発明で用いられる多孔質シリカゲル1の模式化した拡大断面図である。同図に示すようにシリカゲル1の内部には無数の細孔2が3次元的に入り込んで多孔質構造を形成している。図2は、この多孔質シリカゲル1の表面(外表面ならびに細孔内表面)を化学結合によりナトリウム−チタン修飾した構成を示す模式図である。
前述のようにシリカゲル1の内部には無数の細孔2が形成されており、その細孔2内に不純物が付着、堆積しているため、後述するチタン酸塩によるシリカゲル1の修飾を効果的に行うには、多孔質シリカゲル1、特にそれの細孔2内部に付着、堆積している不純物を確実に除去する必要がある。
この不純物の除去には無機酸溶液が使用され、その使用液量は多孔質シリカゲルの体積の約1.5倍から10倍であり、無機酸溶液内に多孔質シリカゲルが長時間浸漬される。無機酸溶液としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などが使用される。
所定時間浸漬した後に多孔質シリカゲルを酸溶液から取出し、純水で洗浄する。洗浄は、洗浄排水のpH値が約2から7の範囲になるまで行われる。pH値が約2未満であると不純物の残量が多く、洗浄の目的が十分に達成されない。
洗浄後、多孔質シリカゲルの乾燥が行われる。乾燥温度は約室温から500℃程度で、乾燥時間は約1時間から48時間程度であり、乾燥温度が低くければ乾燥時間は長く必要であり、乾燥温度が高かければ乾燥時間は短くて済む。

(II).チタン酸塩の修飾工程
前述の酸洗浄済み多孔質シリカゲルをさらに乾燥する。乾燥温度は約100℃から500℃程度で、乾燥時間は約1時間から48時間程度であり、乾燥温度が低くければ乾燥時間は長く必要であり、乾燥温度が高かければ乾燥時間は短くて済む。
多孔質シリカゲルの体積の約1.5倍から10倍の脱水済み有機溶剤を多孔質シリカゲルに添加し、不活性ガスパージにより反応系の水分を除去しながら所定時間に静置する。
有機溶剤としては、例えばトルエンなどが使用される。また、不活性ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどが使用される。
次に有機チタン溶液を多孔質シリカゲルに添加し、不活性ガスパージにより反応系の水分を除去しながら所定時間に静置する。有機チタン溶液としては、例えばチタニウムイソプロポキシドなどが使用される。有機チタン溶液中のチタン濃度は、1.0mmol−Ti/L−SiOから500mmol−Ti/L−SiOが適当である。
前記有機チタン溶液と前記有機溶剤の混合液(例えば、チタニウムイソプロポキシドとトルエンの混合液)の還流を行い、多孔質シリカゲルのチタン修飾を行う。乾燥温度は約室温から使用する有機溶剤の沸点までで、乾燥時間は約1時間から48時間程度である。
脱水済み有機溶剤と有機チタン溶液の組み合わせは、両物質の親和性により決定する。両物質が反応したり分離したりすることがない組み合わせであれば、チタン修飾に使用可能である。
次いで、チタン修飾済み多孔質シリカゲルをそれの体積の約1.2倍の脱水済み有機溶剤(例えばトルエンなど)で1回から10回程度洗浄を行う。しかる後、チタン修飾済み多孔質シリカゲルを乾燥する。乾燥温度は約室温から50℃程度である。高温になると火災などの危険因子が多くなるため、高温乾燥はできる限り避けて、減圧脱気などで乾燥を行う方が望ましい。乾燥時間は約1時間から48時間程度である。
(III).アルカリ処理工程
チタン修飾済み多孔質シリカゲルの体積の約1.5倍から100倍のナトリウム含有アルカリ溶液をチタン修飾済み多孔質シリカゲルに添加し、振とうする。アルカリ濃度は約0.001(W/V)%から10(W/V)%程度で、乾燥時間は約1時間から24時程度である。
なお、アルカリ溶液はケイ酸を溶解するため、アルカリ溶液濃度と静置(接触)時間に注意が必要である。すなわち、アルカリ濃度が低いと完成したイオン交換体の元素吸着量が少なく、アルカリ濃度が高いとイオン交換体の機械的強度が低下もしくはシリカゲルが本工程で完全に溶解してしまう。また、静置(接触)時間が短いと完成したイオン交換体の元素吸着量が少なく、静置(接触)時間が長いと完成したイオン交換体の機械的強度が低下する。従って、アルカリ溶液濃度と静置(接触)時間のバランスが必要である。
次にチタン修飾済み多孔質シリカゲルを、純水で洗浄する。洗浄は、洗浄排水のpH値が約10.5となるまで行う。但し、前述のアルカリ溶液濃度が0.5(W/V)%までの低濃度の場合は、洗浄しなくてもイオン交換体として使用可能である。
しかる後、チタン修飾済み多孔質シリカゲルの乾燥を行う。乾燥温度は約室温から300℃程度で、乾燥時間は約1時間から48時間程度であり、乾燥温度が低くければ乾燥時間は長く必要であり、乾燥温度が高かければ乾燥時間は短くて済む。
次に、イオン交換体の具体的な製造方法について説明する。
本実施例では、平均細孔径が15nm、30nm、50nmの3種類の多孔質シリカゲルを担体として用いて、イオン交換体を製造した。3種類の多孔質シリカゲルとして、富士シリシア化学株式会社製 製品名Q−15(平均細孔径15nm、以下Q−15と略記することもある)、製品名Q−30 (平均細孔径30nm、以下Q−30と略記することもある)、製品名Q−50(平均細孔径50nm、以下Q−50と略記することもある)を使用した。
多孔質シリカゲル中の平均細孔径は、公知のガス吸着法または水銀圧入法による細孔分布測定から求めることができる。
なお、前記Q−15、Q−30ならびにQ−50の多孔質シリカゲルは、平均粒径が1.18mm〜2.36mmの粒状をしている。
以下、イオン交換体の主な製造条件を工程別に説明する。
(I).多孔質シリカゲルの不純物除去工程
前記Q−15、Q−30、Q−50の多孔質シリカゲルを、それぞれ2Mの硝酸溶液に室温において6時間浸漬した。浸漬後に多孔質シリカゲルを酸溶液から取出し、洗浄排水のpH値が約5.5になるまで純水で洗浄した。洗浄後、多孔質シリカゲルを乾燥温度105℃程度で、6時間乾燥した。
この多孔質シリカゲルの不純物除去工程は、シリカゲル細孔内におけるチタン酸塩の修飾量を可及的に増加するために、重要な前処理工程である。
(II).チタン酸塩の修飾工程
酸洗浄済み多孔質シリカゲルを、さらに170℃で3時間乾燥した。この乾燥多孔質シリカゲルに、その体積の2.5倍の脱水済みトルエンを添加し、窒素パージにより30分間反応系の水分を除去した。トルエンの脱水には、3Aゼオライトを使用した。
次にチタン濃度200mmol−Ti/L−SiOのチタニウムイソプロポキシド溶液を多孔質シリカゲルに添加し、窒素ガスパージにより反応系の水分を除去しながら30分間静置した。
そしてトルエンの沸点である105℃で5時間、チタニウムイソプロポキシドとトルエンの混合液の還流を行い、チタンで修飾した多孔質シリカゲルを生成した。
しかる後、チタン修飾済み多孔質シリカゲルをそれの体積の1.2倍の脱水済みトルエンで4回洗浄を行い、洗浄後にチタン修飾済み多孔質シリカゲルを室温で12時間乾燥を行った。
(III).アルカリ処理工程
チタン修飾済み多孔質シリカゲルの体積の10倍の0.5(W/V)%水酸化ナトリウム溶液をチタン修飾済み多孔質シリカゲルに添加して、室温で4時間静置し振とうさせて、ナトリウム−チタン修飾済み多孔質シリカゲルを得る(図2参照)。
次に洗浄排水のpH値が約10.5となるまでナトリウム−チタン修飾済み多孔質シリカゲルを純水で洗浄し、その後にナトリウム−チタン修飾済み多孔質シリカゲルを105℃で4時間乾燥してイオン交換体(吸着材)を得る。
次の表1は、この実施例に用いられる前の多孔質シリカゲルの平均細孔径、比表面積、細孔容積と、この実施例で得られた各イオン交換体(吸着材)のTi含有量とNa含有量の物性を比較した表である。
この表1から明らかなように、平均細孔径が15nmのQ−15と平均細孔径が50nmのQ−50を比較したとき、細孔容積では殆ど差がないが、比表面積を見るとQ−50はQ−15よりも1/3程度少なく、それが吸着材となった時にTi含有量ならびにNa含有量も1/3程度少ないことが分かり、イオン交換機能 (吸着機能)を十分に発揮させるためには、骨格(担体)である多孔質シリカゲルの平均細孔径の上限値は50nmである。
平均細孔径が60nmから150nmの多孔質シリカゲルもあるが、平均細孔径が50nmを超すと、比表面積はQ−50よりも更に少なくなり、それに応じて吸着材となった時にはTi含有量ならびにNa含有量が減少して、イオン交換機能 (吸着機能)を十分に発揮することができなくなる。
一方、平均細孔径が10nmと6nmの多孔質シリカゲルを用いてイオン交換体(吸着材)を作成してみたが、前述のアルカリ処理工程で多孔質シリカゲルにナトリウム含有アルカリ溶液(水酸化ナトリウム水溶液)を添加して振とうした際に、多孔質シリカゲルの内部にひび割れが発生していることを確認した。
このひび割れの発生原因は明確には解明していないが、多孔質シリカゲルの細孔内に充填された水(水酸化ナトリウム水溶液)による膨潤現象が関係していると考えられる。多孔質シリカゲルの平均細孔径が15nm以上であれば、アルカリ処理工程で多孔質シリカゲルの内部にはひび割れが発生しないことを、本発明者らは他の実験で確認している。
以上説明したように、骨格(担体)である多孔質シリカゲルの平均細孔径を15nmから50nmの狭い範囲に規制することにより、アルカリ処理工程で多孔質シリカゲルの内部にひび割れが発生しないで、しかも、シリカゲル細孔内におけるチタン酸塩の修飾量を十分に確保することができる。
前記実施例で得られた各イオン交換体(吸着材)が元素吸着機能を有することを確かめるために、バッチ式Sr吸着試験を行ない、Srを吸着元素とし、吸着平衡時間を測定した。
試験に使用した吸着液は、無水の塩化ストロンチウム(キシダ化学株式会社製 製品番号020−73755)をイオン交換水に溶解して作成した。吸着液中のSr濃度は、Q−15ならびにQ−30は3.3mmol/dm、Q−50は1.4mmol/dmとした。
このようにして調整した吸着液を吸着材1cmに対して15cmの割合で加え、30℃の水浴中で振とうし、振とう前後の溶液中のSr濃度を原子吸光分光光度法で測定した。
図3ないし図5は、このバッチ式Sr吸着試験での各イオン交換体(吸着材)における吸着液との混合時間とSr除去率との関係を示す特性図であり、図3はQ−15の吸着材、図4はQ−30の吸着材、図5はQ−50の吸着材の特性図である。
この図3ないし図5から明らかなように、Q−15、Q−30、Q−50のいずれの吸着材も混合時間が長くなるとSr除去率は徐々に上がる傾向にあり、混合時間が100分間以上になると全ての吸着材においてSr除去率は略50%以上になっていることが確認された。
次に吸着材からのチタン酸塩の溶出試験結果について説明する。図6は、その溶出試験に用いる溶出試験装置の概略構成図である。
吸着材を溶出試験装置に充填する前に、吸着材の浸漬試験を行う。
この浸漬試験は図示していないが、純水を張ったガラスビーカーに、試験する吸着材を入れる。投入直後および1時間経過後にビーカー内の吸着材を目視で観察し、吸着材にひび割れが無いこと、および水中に浮遊物が無いことを確認する。この吸着材のひび割れおよび水中に浮遊物が無いことを確認してから、次の溶出試験に移る。
溶出試験装置は図6に示すように、純水3を貯留した純水ボトル4と、フランジヤポンプ5と、圧力メータ6と、粒子状の吸着材7を充填したガラス製のカラム8と、サンプリングボトル9から構成されている。各部材はチューブ10で図に示すように接続されている。
カラム8は内径が2cmで高さが15cmのものを使用し、カラム8の出口側底部には、外径が2cmのフッ素樹脂製のフィルター(図示せず)が敷設されている。
前述の浸漬試験によって内部を脱気した吸着材7をカラム8内に高さ4cmまで充填する。この高さまで充填した吸着材7の充填量は、12.57cmとなる。
フランジヤポンプ5を駆動して、純水ボトル4内の純水3を室温において通液速度SV4.2(約0.88cm/min)で5日間連続して通液する。
カラム8から排出された排出液11は24時間毎に分けて採取され、排出液11中のチタン濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)により分析する。
次の表2は、各Q−15、Q−30、Q−50別に積算通水量と排出液中のチタン濃度を纏めたものである。
この表2の結果から、最も吸着材が劣化する、すなわち最もチタン酸塩が溶出され易い純水による溶出試験において、各Q−15、Q−30、Q−50ともに5日間(120時間)連続通水しても(積算通水量:6350cm以上)実質的にチタン酸塩の溶出が無いこと、すなわち多孔質シリカゲルに対してチタン酸塩が確実に担持されていることを確認した。
なお、Q−15とQ−30においては、通液初期の排出液11にチタンが微量検出され、それ以降は検出されていないという現象が起きている。これは吸着材製造時、シリカ骨格に修飾されなかったチタン類(シラノール基との未反応チタン類)の一部が、吸着材の細孔内に残存しており、これが通液初期に流出したもので、多孔質シリカゲルに修飾されたチタン酸塩が溶出したものではないと考えられる。
また、通水中には吸着材から微粉が発生して、その微粉の目詰まりによりカラム内差圧が上昇する可能性があるためカラム内差圧の変化を監視していたが、カラム内差圧の上昇は少ないことが確認された。これは通水により吸着材が摩耗して微粉化が抑えられたことを示しており、カラムを使用した除染処理に適していることが確認できた。
有機チタンとして実施例で使用したチタニウムイソプロポキシドの他に、例えばチタン(IV)カーブトキシド、(ジイソプロポキシ)ビスBREWチタン(IV)、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)メトキシド、酸化チタン(IV)ビス(アセチルアセトナート)、チタン(IV)テトラブトキシドモノマー、チタン(IV)テトラブトキシドテトラマー、チタン(IV)テトラキス(2−エチル−1−ヘキサノラート)等の有機チタンも使用可能である。
本実施例で使用するチタニウムイソプロポキシドは、前述の他の有機チタンよりも安価で入手し易いという特長がある。このチタニウムイソプロポキシドと親和性のある有機溶剤としては実施例で用いているトルエンの他に、例えばイソプロパノール、メタノール、ノルマルヘキサン、キシレンなどが使用可能であることが確認されている。なお、これらの有機溶剤は、全て3Aゼオライトによる脱水済みのものまたは市販の脱水溶媒を使用する。
図7ないし図9は、前記実施例のイオン交換体(吸着材)を用いて各種元素の吸着試験を行なった結果を示す特性図であり、図7はQ−15の吸着材、図8はQ−30の吸着材、図9はQ−50の吸着材の特性図である。
吸着試験の手順は前述したSr吸着試験と同様であり、試験条件は、各吸着元素濃度を1.0mg/L(10種金属混合液)とし、固液比=1:1000(体積比)で3時間浸漬し、5Aろ紙で固液を分離した。
この図7ないし図9から明らかなように、本発明の実施例に係るQ−15、Q−30、Q−50のいずれの吸着材でもCs(セシウム),Ca(カルシウム),Sr(ストロンチウム),Ba(バリウム),Mn(マンガン),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Ce(セリウム),Eu(ユウロビウム),Nd(ネオジム)など各種元素を吸着することができ、特にQ−15ならびにQ−30、すなわち多孔質シリカゲルの平均細孔径が15nm〜30nmの範囲に規制され吸着材は優れた吸着(除去)性能を有していることが確認された。
本発明の吸着材を用いて特定元素を分離・除去する処理に用いる場合には、カラム内に所定量の吸着材を充填し、前記特定元素を含む液をそのカラム内に通液することにより、特定元素を分離・除去が行われる。
本発明の特徴部分を列記すれば、下記の通りである。
(1)本発明のイオン交換体は、多孔質シリカゲルを骨格として、化学結合によりチタン酸塩を修飾したものであり、多孔質シリカゲルは最初から粒状になっている。そのため従来技術のようにチタン酸塩を造粒する必要がなく、製造工程の簡略化が図れる。また、造粒のために有機化合物からなる造粒剤(結着剤)を用いる必要がない。
(2)担体は多孔質シリカゲルの無機材料で構成され、また、それに担持するチタン酸塩も無機材料であり、イオン交換体全体が無機材料で構成されて有機化合物を含んでいないから、耐放射線性が強く、長期安定性に優れている。
(3)化学結合により、多孔質シリカゲルの表面にチタン酸塩を確実に担持でき、イオン交換体の微粉化が抑制され、カラムを使用する場合にカラム内差圧の上昇が無く、長時間の処理に適している。
(4)骨格となる多孔質シリカゲルの粒径、ならびに多孔質シリカゲルの細孔径(例えば平均細孔径15nm、30nm、50nmなど)を適宜選択することで、イオン交換体の使用条件に柔軟に対応することが可能である。
1:多孔質シリカゲル、
2:細孔、
3:純水、
7:吸着体、
8:カラム。

Claims (3)

  1. 複数の元素を含む放射性廃液を通過させるカラムに充填するためのチタン酸イオン交換体の製造方法であって、
    平均細孔径を15nm〜50nmの範囲に規制した多孔質シリカゲルを無機酸溶液中に所定時間浸漬し、浸漬後に多孔質シリカゲルを無機酸溶液から取り出して水洗と乾燥を行う多孔質シリカゲルの不純物除去工程と、不純物を除去した多孔質シリカゲルに脱水済み有機溶剤を添加し、不活性ガスをパージして、次に有機チタン溶液を多孔質シリカゲルに添加し、不活性ガスをパージして、前記脱水済み有機溶剤と有機チタン溶液の混合液の還流を行い、多孔質シリカゲルのチタン修飾を行う有機チタンの修飾工程と、
    チタン修飾済み多孔質シリカゲルに0.001(W/V)%から10(W/V)%のアルカリ溶液を添加するアルカリ処理工程
    含むことを特徴とする無機物質のチタン酸塩イオン交換体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のチタン酸塩イオン交換体の製造方法において、
    前記有機チタンの修飾工程で使用する前記有機チタン溶液がチタニウムイソプロポキシドで、前記脱水済み有機溶剤がトルエン、イソプロパノール、メタノール、ノルマルヘキサン、キシレンのグループから選択された少なくとも1種の有機溶剤であることを特徴とするチタン酸塩イオン交換体の製造方法。
  3. 請求項に記載のチタン酸塩イオン交換体の製造方法において、
    前記有機チタン溶液中のチタン濃度が1.0mmol−Ti/L−SiO2から500mmol−Ti/L−SiO2の範囲であることを特徴とするチタン酸塩イオン交換体の製造方法。
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