JP6529006B2 - シリンダ装置およびブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は車両に用いられるシリンダ装置およびブレーキシステムに関する。
従来、ブレーキ操作子の操作量に応じて液圧を発生させるブレーキシステムに用いられるシリンダ装置として、例えば、特許文献1に示すようなのものが知られている。
このブレーキシステムは、ブレーキバイワイヤ式であり、入力装置とシリンダ装置と液圧制御装置とを有している。入力装置は、ブレーキ操作子に連結されたピストンによって液圧を発生させるマスタシリンダと、ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータとを備える。シリンダ装置は、電動アクチュエータとしての電動モータと、この電動モータによりスライド駆動されるボールねじと、このボールねじにより押動されるピストンとを備えている。
特開2012−106637号公報
特許文献1のシリンダ装置では、ピストンがボールねじにより押動される構成であるので、加圧方向にピストンを素早く移動させることができる。一方、ピストンの減圧方向への移動は、リターンスプリングの付勢力によるものであるため、例えば、急減圧した場合(素早く液圧を解除した場合)に、ボールねじの移動に対してピストンの追従が遅れるおそれがあった。このようにピストンの追従が遅れると、その直後に再度加圧する場合には、昇圧特性が変化し、ブレーキフィーリングの違和感を運転者に与えてしまうおそれがあった。
本発明は、減圧方向へのピストンの追従性を向上させることができ、ブレーキフィーリングを向上させることができるシリンダ装置およびブレーキシステムを提供することを課題とする。
このような課題を解決するために創案された本発明のシリンダ装置は、運転者のブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって液圧を発生させるシリンダ装置である。シリンダ装置は、前記電動アクチュエータの駆動によって軸方向に移動可能な出力部材と、前記出力部材の押動によって加圧方向に摺動し、前記出力部材の退動によって減圧方向に摺動するピストンと、を備えている。前記出力部材と前記ピストンとは連結手段で連結されている。連結手段は、前記出力部材と前記ピストンとを軸方向と直交する方向に連結する連結ピンを備えている。また、前記出力部材に形成され前記連結ピンが挿入される挿通孔を備え、前記出力部材が前記ピストンを押動する際に、前記挿通孔の少なくとも後側の孔壁と前記連結ピンの後側の外面との間にクリアランスが形成される。
かかるシリンダ装置では、出力部材とピストンとが連結手段で連結されているので、加圧方向のみならず減圧方向にもピストンを追従させることができる。このように本発明によれば、減圧方向へのピストンの追従性を効果的に向上させることができるので、ブレーキフィーリングを向上させることができる。
また、連結ピンを用いた簡単な構造によって、ピストンの追従性を向上させることができる。
また、液圧加圧時において、挿通孔の少なくとも後側の孔壁と連結ピンの後側の外面との当接を回避することができる。すなわち、出力部材でピストンを直接に押動することができるので、出力部材がピストンを押動する際に連結ピンに荷重がかからず、連結ピンの荷重負担を軽減して耐久性を向上することができる。
また、前記ピストンに掛止されるクリップによって、前記連結ピンを抜け止め保持することができ、さらに耐久性が向上する。
また、本発明のブレーキシステムは、前記シリンダ装置を備えたブレーキシステムであって、車輪ブレーキに作用させる液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧が車輪ブレーキに付与される状態、および前記シリンダ装置の液圧が車輪ブレーキに付与される状態を切り替える切替弁と、を備える。さらに、ブレーキシステムは、前記シリンダ装置から前記切替弁に通じる連通路と、前記連通路に設けられ、前記連通路を遮断可能な遮断弁と、を備える。かかる構成のようなブレーキシステムにおけるシリンダ装置に対して本発明を用いると好適である。
また、本発明のブレーキシステムは、ブレーキ液を貯溜するリザーバタンクと、前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と、前記補給路からブレーキ液を吸液する吸液制御を実行する制御手段と、を備える。さらに、ブレーキシステムは、制御手段が、吸液制御を実行する必要があるか否かを判断し、吸液制御を実行する必要がある場合に、前記遮断弁を閉じるとともに、前記電動アクチュエータによって前記スレーブシリンダを減圧方向に駆動させる制御を実行する。
かかるブレーキシステムでは、吸液制御を実行する必要がある場合に、遮断弁が閉じられ、スレーブシリンダが減圧方向に駆動される。この場合、出力部材とピストンとが連結手段で連結されているので、減圧方向にピストンを好適に追従させることができる。これによって、スレーブシリンダ内(液圧室)が速やかに負圧となり、補給路からスレーブシリンダにブレーキ液がスムーズに吸液される。したがって、スレーブシリンダの軸長を比較的短く設定したとしても、吸液制御によってスレーブシリンダ内に再加圧のためのブレーキ液を迅速に補給することができる。これにより、スレーブシリンダの大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムが得られる。また、レスポンスのよい昇圧を実現することができる。
本発明によると、減圧方向へのピストンの追従性を向上させることができるので、ブレーキフィーリングを向上させることができるシリンダ装置およびブレーキシステムが得られる。
本発明の第一実施形態に係るシリンダ装置が適用されたブレーキシステムを示す液圧回路図である。 シリンダ装置としてのスレーブシリンダを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)はロッドとピストンとの連結部分(連結手段)を示す平面図である。 (a)は加圧方向へ摺動する際のロッドとピストンとのクリアランスを示す断面図、(b)は減圧方向へ摺動する際のロッドとピストンとのクリアランスを示す断面図である。 (a)(b)は切替弁および遮断弁の構造を模式的に示す説明図である。 図1に示すブレーキシステムの起動時の液圧回路図である。 吸液制御に至る場合のフローチャートである。 要求液圧と必要ストローク量との関係を示す図である。 システム最大のホイールシリンダ圧が要求された時の吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。 本発明の第二実施形態に係るシリンダ装置としてのスレーブシリンダを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)は連結部材を軸方向他端側から見た図、(c)は連結部材の側面図である。 (a)〜(c)は連結部材に対して係合部が係合する際の様子を示した説明図である。l 本発明の第三実施形態に係るシリンダ装置としてのスレーブシリンダを示す図であり、(a)はボルトによる連結を示した拡大断面図、(b)は圧入による連結を示した拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
ブレーキシステムAは、図1に示すように、原動機(エンジンや電動モータ等)の起動時に作動するバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムとの双方を備えるものである。
ブレーキシステムAは、主として、マスタシリンダ10と、シリンダ装置としてのスレーブシリンダ20と、制御弁手段としての液圧制御装置30と、を備えている。ブレーキシステムAは、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車の他、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
マスタシリンダ10は、二つのピストン11,12を有するタンデム型である。マスタシリンダ10は、ブレーキペダルP(ブレーキ操作子)の踏力によって(操作量に応じて)車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに作用させる液圧を発生する。マスタシリンダ10には、ストロークシミュレータ40が接続されている。ストロークシミュレータ40は、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力を付与する。
スレーブシリンダ20は、ブレーキペダルPの操作量に応じて電動モータ24(電動アクチュエータ)を駆動させることで液圧を発生させる。スレーブシリンダ20の発生した液圧(以下、「発生液圧」という)は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに作用する。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキに作用する液圧を制御し、車両挙動の安定化を支援する。
本実施形態のブレーキシステムAでは、マスタシリンダ10、スレーブシリンダ20および液圧制御装置30が一つの基体1に備わり、一体のユニットとして構成されている。
基体1内には、第一ブレーキ系統K1および第二ブレーキ系統K2が備わる。第一ブレーキ系統K1には、マスタシリンダ10から二つの車輪ブレーキFL,RRに通じる第一液圧路2aが設けられ、第二ブレーキ系統K2には、マスタシリンダ10から残りの車輪ブレーキRL,FRに通じる第二液圧路2bが設けられている。また、基体1内には、分岐液圧路3、共通液圧路4、第一連通路5a、第二連通路5b、補給路9a、戻り液路9bが形成されている。第一液圧路2aには、第一圧力センサ6が設けられている。共通液圧路4には、第二圧力センサ7が設けられている。
マスタシリンダ10は、有底円筒状のシリンダ穴10aに挿入された第一ピストン11および第二ピストン12と、シリンダ穴10a内に収容された二つの第一弾性部材13および第二弾性部材14と、を備えている。マスタシリンダ10にはブレーキ液を貯溜するリザーバタンク15が付設されている。リザーバタンク15は、マスタシリンダ10へブレーキ液を供給する第一供給口15a,15bと、第一供給口15a,15bとは独立した第二供給口15cと、を備えている。第二供給口15cには、補給路9aおよび戻り流路9bが接続されている。
シリンダ穴10aの底面10bと第一ピストン11との間には第一圧力室16aが形成されている。第一圧力室16aにはコイルばねである第一弾性部材17aが介設されている。
第一ピストン11と第二ピストン12との間には第二圧力室16bが形成されている。また、第二圧力室16bにはコイルばねである第二弾性部材17bが介設されている。
なお、シリンダ穴10aの内周面には、複数のカップシール10c,10cが装着されている。
第二ピストン12の端部は、プッシュロッドP1を介してブレーキペダルPに連結されている。第一ピストン11および第二ピストン12は、ブレーキペダルPの踏力を受けてシリンダ穴10a内を摺動し、両圧力室16a,16b内のブレーキ液を加圧する。両圧力室16a,16b内で加圧されたブレーキ液は、シリンダ穴10aに設けられた出力ポート18a,18bを通じて出力される。
出力ポート18aには第一液圧路2aが接続され、出力ポート18bには第二液圧路2bが接続されている。第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、下流側の液圧制御装置30に接続されている。
また、マスタシリンダ10には、第二ピストン12のストロークを検出するストロークセンサSTが組み付けられている。
ストロークシミュレータ40は、シミュレータシリンダ穴41に挿入されたシミュレータピストン42と、シミュレータシリンダ穴41の底面41bとシミュレータピストン42との間に介設された二つの弾性部材43,44と、を備えている。
シミュレータシリンダ穴41内には、圧力室45が形成されている。圧力室45は、導入口46とシミュレータピストン42との間に設けられていて、分岐液圧路3、第二液圧路2bおよび出力ポート18bを介して、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。したがって、ブレーキペダルPを操作してマスタシリンダ10の第二圧力室16bで液圧が発生すると、ストロークシミュレータ40のシミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して移動する。これにより、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。弾性部材43,44が配置される背圧室47には、ポート47aを介してリザーバタンク連通路9が接続されている。リザーバタンク連通路9はマスタシリンダ10のポート19および第一供給口15bを介してリザーバタンク15に連通している。
スレーブシリンダ20は、シリンダ穴21に挿入された一つのスレーブシリンダピストン22と、シリンダ穴21内に収容された弾性部材23と、電動モータ24と、駆動伝達部25と、を備えている。
シリンダ穴21の底部21bとスレーブシリンダピストン22との間には液圧室26が形成されている。液圧室26にはコイルばねである弾性部材23が配置されている。
液圧室26は、共通液圧路4および第一連通路5aを介して第一液圧路2aに通じるとともに、共通液圧路4および第二連通路5bを介して第二液圧路2bに通じている。
電動モータ24は、電動サーボモータである。電動モータ24は、コイル部24aと、ベアリング24bに支持された回転部24cとを備えている。回転部24cには磁石24dが取り付けられている。
回転部24cの内側には、駆動伝達部25が備わる。駆動伝達部25は、電動モータ24の回転駆動力を直線方向の軸力に変換するものである。駆動伝達部25は、スレーブシリンダピストン22(以下、単に「ピストン22」という)に当接しているロッド25aと、ロッド25aと回転部24cとの間に配置された複数のボール25bと、を備えている。ロッド25aの外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されており、このねじ溝には複数のボール25bが転動自在に収容されている。ロッド25aの先端部(ピストン22との対向部)は半球状に形成されている(図2(a)参照)。回転部24cは、複数のボール25bに螺合されている。このように、回転部24cとロッド25aとの間にはボールねじ機構が設けられている。ロッド25aは特許請求の範囲における出力部材に相当する。
電動モータ24は、基体1に装着される制御手段としての電子制御装置70によって駆動制御される。電動モータ24には、図示しない回転角センサが取り付けられている。回転角センサの検出値は電子制御装置70に入力される。電子制御装置70は、回転角センサの検出値に基づいて、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量を算出する。
ピストン22は、図2(a)に示すように、ロッド25aの押動によって加圧方向(一端方向)に摺動し、ロッド25aの退動によって減圧方向(他端方向)に摺動する。図3(a)に示すように、ピストン22の後部には、有底円筒状の凹部22aが形成されている。凹部22aには、ロッド25aの先端部が収容される。
ロッド25aとピストン22とは、連結手段27で連結されている。連結手段27は、図3(a)に示すように、ロッド25aに形成された挿通孔27aと、挿通孔27aに挿入される連結ピン27bとを備えている。挿通孔27aは、ロッド25aの軸線に直交する方向(図では紙面の上下方向)に形成されている。連結ピン27bは略円柱状を呈している。連結ピン27bの両端部は、ピストン22の後壁に形成された透孔22c,22c(図3(a)参照)に挿入されている。透孔22c,22cは凹部22aを挟んで対向している。
図2(b)に示すように、ピストン22の後壁の外周面には、透孔22c,22c(一方のみ図示)の開口部に交差するようにして周溝27dが形成されている。周溝27dには、略C字状のクリップ27cが装着されている(図3(a)参照)。クリップ27cは、透孔22c,22cに挿通される連結ピン27bの両端部を覆っており、連結ピン27bが連通孔27aから抜け落ちるのを規制する役割をなしている。
連通孔27aの孔径は、連結ピン27bの直径よりも大径とされている。すなわち、図3(a)に示すように、ロッド25aが当接した状態において連結ピン27bの周囲にはクリアランスが形成されている。連通孔27aは、ロッド25aの先端部がピストン22の凹部22aの底部22bに当接した状態で、少なくとも連結ピン27bの後側にクリアランスが形成される位置に設ける。このようにすると、連通孔27aと連結ピン27bとの組み付け時の公差を確保することができるとともに、ロッド25aの押動によって加圧方向(一端方向)にピストン22が摺動する際には、ロッド25aの押圧力が連結ピン27bに作用しない構造となる。
一方、ロッド25aの退動によって減圧方向(他端方向)にピストン22が摺動する際には、図3(b)に示すように、連通孔27aの前側のクリアランスが閉塞され連結ピン27bの外面27b1に連通孔27aの内面27a1が当接する。これによって、ロッド25aの退動に追従してピストン22が減圧方向(他端方向)に摺動する。なお、ロッド25aの先端部とピストン22の底部22bとの間には隙間Sが形成される。
電動モータ24の回転部24cが回転すると、回転部24cとロッド25aとの間に設けられたボールねじ機構によって、ロッド25aに直線方向の軸力が付与され、ロッド25aが前後方向(一端方向および他端方向)に進退移動する。
ロッド25aがピストン22側に移動したときには、ピストン22がロッド25aからの入力を受けてシリンダ穴21内を進動(加圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。また、ロッド25aがピストン22とは反対側に移動したときには、弾性部材23の付勢力を受けつつピストン22がロッド25aとともにシリンダ穴21内を退動(減圧方向に移動)し、液圧室26内のブレーキ液が減圧される。
液圧制御装置30は、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与する液圧を適宜制御するものである。液圧制御装置30は、アンチロックブレーキ制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。また、液圧制御装置30には、戻り液路9bが接続されている。
車輪ブレーキFL,RR,RL,FRは、それぞれ配管を介して基体1の出口ポート301に接続されている。そして、通常時は、ブレーキペダルPの踏力に対応してスレーブシリンダ20から出力された液圧が両液圧路2a,2bを通じて各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの各ホイールシリンダWに付与される。
なお、以下では、液圧制御装置30において、第一液圧路2aに接続された系統を「第一液圧系統300a」と称し、第二液圧路2bに接続された系統を「第二液圧系統300b」と称する。
第一液圧系統300aには、各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられており、同様に、第二液圧系統300bには、各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁装置Vが設けられている。
制御弁装置Vは、スレーブシリンダ20から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR(詳細には、ホイールシリンダW)への液圧の行き来を制御する弁であり、ホイールシリンダWに作用する液圧(以下、「ホイールシリンダ圧」という)を増圧、保持または減圧させることができる。そのため、制御弁装置Vは、入口弁31、出口弁32、チェック弁33を備えて構成されている。
入口弁31は、第一液圧路2aから各車輪ブレーキFL,RRへ至る二つの液圧路、および第二液圧路2bから各車輪ブレーキRL,FRへ至る二つの液圧路に一つずつ配置されている。入口弁31は、常開型の比例電磁弁(リニアソレノイド弁)であり、入口弁31のコイルに流す駆動電流の値に応じて、入口弁31の上下流の差圧(入口弁31の開弁圧)が調整可能となっている。入口弁31は、通常時に開いていることで、スレーブシリンダ20から各ホイールシリンダWへ液圧が付与されるのを許容している。また、入口弁31は、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により閉塞し、各ホイールシリンダWに付与される液圧を遮断する。
出口弁32は、各ホイールシリンダWと戻り液路9bとの間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁32は、通常時に閉塞されているが、車輪がロックしそうになったときに電子制御装置70の制御により開放される。出口弁32が開弁すると、各ホイールシリンダWに作用しているブレーキ液が減圧する。
チェック弁33は、各入口弁31に並列に接続されている。チェック弁33は、ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側(マスタシリンダ10側)へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。したがって、入口弁31を閉じた状態にしたときにおいても、チェック弁33は、各ホイールシリンダW側からスレーブシリンダ20側へのブレーキ液の流れを許容する。
このような液圧制御装置30では、電子制御装置70により入口弁31および出口弁32の開閉状態を制御することで、各ホイールシリンダWのホイールシリンダ圧が調整される。例えば、入口弁31が開、出口弁32が閉となる通常状態において、ブレーキペダルPを踏み込めば、スレーブシリンダ20からの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達してホイールシリンダ圧が増圧する。また、入口弁31が閉、出口弁32が開となる状態であれば、ホイールシリンダWから戻り液路9b側へブレーキ液が流出し、ホイールシリンダ圧が減少して減圧する。さらに、入口弁31と出口弁32がともに閉となる状態では、ホイールシリンダ圧が保持される。
次に、基体1内に形成された各液圧路について説明する。
二つの第一液圧路2aおよび第二液圧路2bは、いずれもマスタシリンダ10のシリンダ穴10aを起点とする液圧路である。
第一液圧路2aは、マスタシリンダ10の第一圧力室16aに通じている。一方、第二液圧路2bは、マスタシリンダ10の第二圧力室16bに通じている。第一液圧路2aは、下流側の車輪ブレーキFL,RRに通じている。一方、第二液圧路2bは、下流側の車輪ブレーキRL,FRに通じている。
分岐液圧路3は、第二液圧路2bからストロークシミュレータ40の圧力室45に至る液圧路である。分岐液圧路3にはバルブとしての常閉型電磁弁8が設けられている。常閉型電磁弁8は分岐液圧路3を開閉するものである。
二つの第一連通路5aおよび第二連通路5bは、いずれも、スレーブシリンダ20の液圧室26を起点とする液圧路である。第一連通路5aおよび第二連通路5bは、共通液圧路4に合流して、シリンダ穴21につながっている。第一連通路5aは液圧室26から第一液圧路2aに至る流路であり、一方、第二連通路5bも液圧室26から第二液圧路2bに至る流路である。
第一液圧路2aと第一連通路5aとの連結部位には、三方向弁である第一切替弁51が設けられている。第一切替弁51は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第一切替弁51は、図4(a)に示すように、弁体51aが第一弁座51cに着座する第一のポジションと、図4(b)に示すように、弁体51aが第二弁座51dに着座する第二のポジションとを選択可能である。第一のポジションでは、第一液圧路2aの上流側(マスタシリンダ10側)と第一液圧路2aの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキFL,RR)とが連通し、第一連通路5aへの通路が遮断される。つまり、第一切替弁51が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20は、と遮断される(非連通状態となる)。なお、第一のポジションでは、コイル51eが非通電状態であるので、リターンスプリング51bの付勢力によって弁体51aが第一弁座51cに着座している。また、第二のポジションでは、図4(b)に示すように、第一液圧路2aの上流側への連通が遮断され、第一連通路5aと第一液圧路2aの下流側とが連通する。つまり、切替弁51が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキFL,RRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。なお、第二のポジションでは、コイル51eが通電状態であるので、コイル51eの磁力によって弁体51aが第二弁座51dに着座している。
一方、第二液圧路2bと第二連通路5bとの連結部位には、三方向弁である第二切替弁52が設けられている。第二切替弁52は、2ポジション3ポートの電磁弁である。第二切替弁52は、図4(a)に示すように、弁体51aが第一弁座51cに着座する第一のポジションと、図4(b)に示すように、弁体51aが第二弁座51dに着座する第二のポジションとを選択可能である。第一のポジションでは、第二液圧路2bの上流側(マスタシリンダ10側)と第二液圧路2aの下流側(液圧制御装置30側、車輪ブレーキRL,FR)とが連通し、第二連通路5bへの通路が遮断される。つまり、第二切替弁52が第一のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10と連通するが、スレーブシリンダ20は、と遮断される(非連通状態となる)。なお、第一のポジションでは、コイル51eが非通電状態であるので、リターンスプリング51bの付勢力によって弁体51aが第一弁座51cに着座している。また、第二のポジションでは、図4(b)に示すように、第二液圧路2bの上流側への連通が遮断され、第二連通路5bと第二液圧路2bの下流側とが連通する。つまり、切替弁52が第二のポジションにあるときの車輪ブレーキRL,FRは、マスタシリンダ10とは遮断される(非連通状態となる)が、スレーブシリンダ20とは連通した状態となる。なお、第二のポジションでは、コイル51eが通電状態であるので、コイル51eの磁力によって弁体51aが第二弁座51dに着座している。
なお、第一切替弁51および第二切替弁52は、電子制御装置70によってポジションが切り替わる。ちなみに、第一切替弁51および第二切替弁52は、システムの起動時や、マスタシリンダ10からホイールシリンダWに液圧を直接作用させるバックアップモード時には、弁体51aが第一のポジションにある。また、第一切替弁51および第二切替弁52は、スレーブシリンダ20からホイールシリンダWに液圧を作用させる通常のブレーキ制御時等に、弁体51aが第二のポジションにある。
第一連通路5aには、第一遮断弁61が設けられている。第一遮断弁61は常開型電磁弁であり、第一連通路5aを開閉する。図4(a)に示すように、コイル61eに通電しないときは、リターンスプリング61bの付勢力によって弁体61aが弁座61cから離座し、第一連通路5aが連通する。また、図4(b)に示すように、コイル61eに通電したときは、磁力で弁体61aが弁座61cに着座し、第一連通路5aが遮断する。閉弁時の第一遮断弁61の弁体61aは、上流側(液圧発生源側)となるスレーブシリンダ20側から弁座61cに押し付けられる。第一遮断弁61の開閉(コイル61eに対する通電制御)は、電子制御装置70によって行われる。
第二連通路5bには、第二遮断弁62が設けられている。第二遮断弁62は常開型電磁弁であり、第二連通路5bを開閉する。図4(a)に示すように、コイル61eに通電しないときは、リターンスプリング61bの付勢力によって弁体61aが弁座61cから離座し、第二連通路5bが連通する。また、図4(b)に示すように、コイル61eに通電したときは、磁力で弁体61aが弁座61cに着座し、第二連通路5bが遮断する。閉弁時の第二遮断弁61の弁体61aは、上流側(液圧発生源側)となるスレーブシリンダ20側から弁座61cに押し付けられる。第二遮断弁62の開閉(コイル61eに対する通電制御)は、電子制御装置70によって行われる。
二つの圧力センサ6,7は、いずれも、ブレーキ液圧の大きさを検知するものである。両圧力センサ6,7で取得された情報(検出値)は電子制御装置70に入力される。
一方の圧力センサ6は、マスタシリンダ10と第一切替弁51との間の第一液圧路2aに配置されている。圧力センサ6は、マスタシリンダ10で発生した液圧を検知するマスタ圧センサとして機能する。
他方の圧力センサ7は、共通液圧路4に配置されている。圧力センサ7は、スレーブシリンダ20で発生した液圧を検知する。
補給路9aは、リザーバタンク15からスレーブシリンダ20に至る液路である。また、補給路9aは、分岐補給路9cを介して共通液圧路4に接続されている。分岐補給路9cには、リザーバタンク15側から共通液圧路4側(スレーブシリンダ20側)へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁9dが設けられている。通常時、補給路9aを通じてリザーバタンク15からスレーブシリンダ20にブレーキ液が補給される。また、後記する吸液制御時には、リザーバタンク15(第二供給口15c)から補給路9a、分岐補給路9cおよび共通液圧路4を通じて、スレーブシリンダ20にブレーキ液が吸液される。
戻り液路9bは、液圧制御装置30からリザーバタンク15に至る液路である。戻り液路9bには、液圧制御装置30の出口弁32を介して各ホイールシリンダWから逃されたブレーキ液が流入する。戻り液路9bに逃がされたブレーキ液は、戻り液路9bから第二供給口15cを介してリザーバタンク15に戻される。
電子制御装置70は、内部に制御基板(図示せず)を収容し、基体1の側面等に取り付けられている。電子制御装置70は、両圧力センサ6,7やストロークセンサSTの各種センサから得られた情報(検出値)や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて、常閉型電磁弁8の開閉、電動モータ24の作動、両切替弁51,52の作動、両遮断弁61,62の開閉、および液圧制御装置30の制御弁装置Vの開閉を制御する。
また、電子制御装置70は、吸液制御を行う機能を備えている。吸液制御は、補給路9aからスレーブシリンダ20内にブレーキ液を積極的に吸液して、スレーブシリンダ20内のブレーキ液を確保するための制御である。例えば、高液圧領域までスレーブシリンダ20で加圧するためにブレーキ液を確保したい場合や、スレーブシリンダ20の発生液圧が運転者の要求液圧となった状態(以下、この状態を「定常」という)で、それ以降の加圧に備えてブレーキ液を予め確保しておく場合などに実行される。吸液制御の詳細は後記する。
次にブレーキシステムの動作について概略説明する。
(通常のブレーキ制御)
ブレーキシステムAでは、システムが起動されると、分岐液圧路3の常閉型電磁弁8が開弁される。この状態では、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ10で発生した液圧は、ホイールシリンダWには伝達されずに、ストロークシミュレータ40に伝達される。そして、圧力室45の液圧が大きくなり、シミュレータピストン42が弾性部材43,44の付勢力に抗して底面41b側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容され、擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
また、ブレーキペダルPが操作されたことをストロークセンサSTが検知すると、図5に示すように、第一切替弁51および第二切替弁52が励磁され弁体51aが第二のポジションに移動する(図4(b)参照)。この移動によって第一液圧路2aの下流側(車輪ブレーキ側)と第一連通路5aとが通じるとともに、第二切替弁52によって第二液圧路2bの下流側と第二連通路5bとが通じる。つまり、マスタシリンダ10とホイールシリンダWとが遮断された状態(非連通状態)になるとともに、スレーブシリンダ20がホイールシリンダWと連通した状態になる。
また、ストロークセンサSTによって、ブレーキペダルPの踏み込みが検知されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が駆動され、スレーブシリンダ20のピストン22が底部21b側に移動することで、液圧室26内のブレーキ液が加圧される。
電子制御装置70は、スレーブシリンダ20の発生液圧(圧力センサ7で検出された液圧)と、マスタシリンダ10から出力された液圧(ブレーキペダルPの操作量に対応した液圧)とを対比し、その対比結果に基づいて電動モータ24の回転速度等を制御する。このようにして、ブレーキシステムAではブレーキペダルPの操作量に応じて液圧を昇圧させる。
スレーブシリンダ20の発生液圧は、液圧制御装置30を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、各車輪に制動力が付与される。
ブレーキペダルPの踏み込みが解除されると、電子制御装置70によりスレーブシリンダ20の電動モータ24が逆転駆動され、ピストン22が弾性部材23によって電動モータ24側に戻される。これによって、液圧室26内が降圧され、各ホイールシリンダWの作動が解除される。
(吸液制御)
次に、吸液制御について説明する。吸液制御とは、スレーブシリンダ20の液圧室26内にブレーキ液を確保するためにリザーバタンク15からブレーキ液を吸液する制御である。本実施形態のブレーキシステムAは、電子制御装置70が吸液制御を実行する必要があるか否かを判断し、吸液制御を実行する必要がある場合に、後記するように第一遮断弁61および第二遮断弁62を閉じるとともに、スレーブシリンダ20を減圧方向に駆動させる制御を実行する。なお、液圧室26には、急ブレーキ等の特殊なブレーキ時を除いて、通常(常用)のブレーキ制御時に必要な量のブレーキ液が確保されている。
ここでは、システム最大発生液圧が必要となる急ブレーキ等の特殊なブレーキ時における吸液制御について説明する。急ブレーキ等の特殊なブレーキ時には、常用のブレーキ制御時の液圧よりも高い液圧が要求される。この場合、スレーブシリンダ20では、シリンダ穴21内を加圧方向にスライドしたピストン22が、シリンダ穴21の底部21bに当接する寸前の位置で減圧方向に戻される(電動モータ24側となる一端側に戻される)という吸液制御が行われる。以下、図6〜図8を参照して詳細に説明する。図6はシステム最大ホイールシリンダ圧が必要となる吸液制御を説明するためのフローチャート、図7はスレーブシリンダの発生液圧とこれに対する必要ストローク量との関係を示すマップである。
初めに、図6のステップS21において、ストロークセンサSTの検出値ST1を電子制御装置70に入力し、ステップS22において、検出値ST1に基づく運転者の要求液圧P3を算出する。
その後、ステップS23において、図7に示すマップに基づいて、要求液圧P3に対応するピストン22の必要ストローク量STWを算出する。
その後、ステップS24において、算出した必要ストローク量STWが常用最大ストローク量(リミットストローク量)STLを超えるか否かを判定する。リミットストローク量STLは、例えば、加圧時にピストン22が初期位置からシリンダ穴21の底部21bに当接する直前の位置まで移動したときの移動距離として設定されている。つまり、ステップS24では、リミットストローク量STL以内のストローク量で運転者の要求液圧P3を発生することができるか否かを判定している。
ステップS24において、必要ストローク量STWがリミットストローク量STLよりも小さいと判定した場合(ステップS24、No)には、ステップS21に戻り、以下のステップS22,S23を繰り返す。
ステップS24において、必要ストローク量STWがリミットストローク量STLよりも大きいと判定した場合(ステップS24、Yes)には、ステップS25に移行し、ピストン22の戻し量STBを算出する。つまり、リミットストローク量STLで運転者の要求液圧P3をまかなえない場合に、リミットストローク量STLを超えて加圧すべく、ピストン22を減圧方向に一旦戻して再加圧を行う。戻し量STBは、図7に示すマップに基づいて算出することができる。
その後、ステップS26において、スレーブシリンダ20の加圧駆動を開始する。そして、続くステップS27において、スレーブシリンダ20のピストン22のストローク量STR(通算ストローク量)を入力する。
その後、ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上となったか否かを判定する。ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上ではないと判定した場合(ステップS28、No)には、ステップS27に戻る。
ステップS28において、入力されたストローク量STRがリミットストローク量STL以上となった場合(ステップS28、Yes)には、ステップS29に移行し、吸液制御を開始する。
吸液制御に移行すると、電子制御装置70は、第一遮断弁61および第二遮断弁62を閉弁制御する。この場合、第一遮断弁61および第二遮断弁62は、スレーブシリンダ20側から車輪ブレーキ側に向けて弁体61aが閉弁する(リターンスプリング61bの付勢力を受けて閉弁する)ので、閉弁時には、スレーブシリンダ20側からの液圧を受けて弁体61aを弁座61cにスムーズに着座する(図4(a)(b)参照)。第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧は、第一遮断弁61および第二遮断弁62の閉弁によって保持状態にされる。
その後、前記ステップS25で算出した戻し量STB分、電動モータ24を減圧方向(戻し方向)に駆動する。そうすると、ロッド25aおよびピストン22が一体となって減圧方向に素早く戻され、ホイールシリンダWの液圧が保持状態とされたまま、液圧室26が減圧して負圧状態となる。これによって、補給路9aおよび共通液圧路4を通じてリザーバタンク15から液圧室26にブレーキ液が吸液される。この場合、吸液されるブレーキ液の量は、戻し量STBに基づくものであり、加圧を補完することが可能な量とされている。
その後、ステップS30において、ピストン22を加圧方向に再び駆動するとともに、第一遮断弁61および第二遮断弁62を開弁制御する。これによって、ホイールシリンダ圧V1が再び昇圧され、運転者の要求液圧P3に対応するホイールシリンダ圧V1が得られる。
なお、第一遮断弁61および第二遮断弁62の開弁のタイミングは、例えば、ピストン22を戻し方向に駆動した後、加圧方向にピストン22を駆動し、第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧(ホイールシリンダ圧V1)に対してスレーブシリンダ20の発生液圧SCVが同圧となるタイミングで開弁するか、または同圧になる直前のタイミングにて開弁するのがよい。このタイミングで開弁することによって、第一遮断弁61および第二遮断弁62の上流側と下流側との液圧の差圧がない状態のため、開弁動作をスムーズに行うことができるとともに、自然な昇圧特性を得ることができる。なお、第一遮断弁61および第二遮断弁62の下流側の液圧に対してスレーブシリンダ20の発生液圧SCVが同圧となった後のタイミングにて開弁することもできる。この場合には、発生液圧SCVにリターンスプリング61bの荷重を加えた圧力になるまでに開弁するのがよい。
図8はシステム最大のホイールシリンダ圧V1Mが要求された時の吸液制御のタイミングを示すタイムチャートである。図8に示すように、スレーブシリンダ20のピストン22が加圧方向に駆動され、時刻T1でストローク量STRがリミットストローク量STLに到達すると、吸液制御が開始される(液圧制御の開始タイミング)。つまり、常用圧力最大値VM(太破線で図示)までは、吸液制御なしにホイールシリンダ圧V1が上昇される。
吸液制御では、前記のように、前記ステップS25で算出した戻し量STB分、電動モータ24が減圧方向(戻し方向)に駆動され、液圧室26にブレーキ液が吸液される(時刻T1から時刻T2)。
一方、第一遮断弁61および第二遮断弁62は時刻T1で閉弁される。これによって、ホイールシリンダ圧V1は、時刻T1から時刻T2まで保持される。
時刻T2において、ピストン22が加圧方向に再び駆動されてストローク量STR(通算ストローク量)が再び増加すると、ホイールシリンダ圧V1が上昇を開始する。そして、時刻T4でシステム最大のホイールシリンダ圧V1Mまで上昇し、リミットストローク量STLを超えた加圧が補完される。
本実施形態のブレーキシステムでは、吸液制御を備えているので、スレーブシリンダ20の軸長を必要以上に確保することなく、システムの最大液圧を高めることができる。
以上説明した本実施形態では、ロッド25aとピストン22とが連結手段27で連結されているので、加圧方向のみならず減圧方向にもピストン22を追従させることができる。このように本実施形態では、減圧方向へのピストン22の追従性を効果的に向上させることができるので、ブレーキフィーリングを向上させることができる。
また、挿通孔27aに連結ピン27bを挿入するという簡単な構造によって、ピストン22の追従性を向上させることができる。
また、クリアランスによって、液圧加圧時に、挿通孔27aの少なくとも後側の孔壁と連結ピン27bの後側の外面との当接を回避することができるので、ロッド25aによってピストン22を直接押動することができる。したがって、ピストン22の加圧方向の摺動時において、連結ピン27bに荷重が作用せず、連結ピンの荷重負担を軽減して耐久性を向上することができる。
また、クリップによって連結ピン27bをピストン22に抜け止め保持することができ、より一層耐久性が向上する。
また、ブレーキシステムAにおいて、本実施形態のスレーブシリンダ20を適用すると好適である。
また、吸液制御を実行する必要がある場合に、第一遮断弁61および第二遮断弁62が閉じられ、スレーブシリンダ20が減圧方向に駆動される。この場合、ロッド25aとピストン22とが連結手段27で連結されているので、減圧方向にピストン22を好適に追従させることができる。これによって、スレーブシリンダ20内(液圧室26)が速やかに負圧となり、補給路9aからスレーブシリンダ20にブレーキ液がスムーズに吸液される。したがって、スレーブシリンダ20の軸長を比較的短く設定したとしても、吸液制御によってスレーブシリンダ20内に再加圧のためのブレーキ液を迅速に補給することができる。これにより、スレーブシリンダ20の大型化を回避しつつ、高液圧領域まで好適に昇圧することができるブレーキシステムAが得られる。また、レスポンスのよい昇圧を実現することができる。
(第二実施形態)
図9を参照して第二実施形態に係るシリンダ装置について説明する。本実施形態が前記第一実施形態と異なるところは、連結手段27Aが、係合部25cと連結部材82とを備えている点にある。
係合部25cは、略球状を呈しており、ロッド25aの先端部に設けられている。係合部25cに連続しているロッド25aの肩部は、係合部25cに向けてテーパ状に窄まっている。
連結部材80は、ロッド25aとピストン22とを連結する部材であり、ピストン22の凹部22a内に装着される。連結部材80は、弾力性を備える部材、例えば合成樹脂製の部材からなり、有底円筒状を呈している。連結部材80は、底部81と、これに連続する胴部82とを備えている。図9(b)に示すように、底部81の中心には丸孔81aが形成されている。丸穴81aには、ロッド25aの先端部が挿通配置される(図10(c)参照)。胴部82の外周面には、突起83(図9(b)(c)参照)が設けられている。突起83は、胴部82の周方向に90度間隔で計四個設けられている。各突起83は、ピストン22の凹部22a内に形成された係合穴22dに係合される。ピストン22に連結部材80を組み付ける際には、弾性を利用して凹部22a内に連結部材80を挿入し、その後、連結部材80を周方向に回動させることによって係合穴22dに突起83が合わさる。
胴部82の内側には、ロッド25aの係合部25cが挿入される。胴部82の内面には、胴部82の開口縁部から底部81へ向けて延在する当接片84が設けられている。各当接片84は舌片状を呈しており、弾力性を有している。各当接片84は、図10(a)に示すように、胴部82の内側にロッド25aの係合部25cを挿入すると、図10(b)に示すように、各当接片84は、係合部25cに押されて胴部82の内面側に湾曲する。そして、図10(c)に示すように、係合部25cをさらに挿入すると、各当接片84が弾性復帰して、係合部25cの後側に回り込むようにして後側の湾曲部25b1に当接する。
本実施形態では、連結部材80を介してロッド25aとピストン22とを簡単に連結することができる。しかも、連結部材80にロッド25aの係合部25cを係合した後は、係合部25cに当接片84が当接して、連結部材80に係合部25が抜け止め保持される。したがって、ロッド25aとピストン22との連結が好適に維持され、減圧方向へのピストンの追従性を向上させることができる。
(第三実施形態)
図11を参照して第三実施形態に係るシリンダ装置について説明する。本実施形態が前記第一実施形態および第二実施形態と異なるところは、ボルト27b1や圧入部材27c1を用いてロッド25aとピストン22とを連結している点にある。
このうち、図11(a)に示す連結手段27Bは、ボルト27b1による締結にてロッド25aとピストン22とを連結したものである。ロッド25aには、軸方向に貫通するボルト挿通孔25cが形成されている。ピストン22の凹部22aの底部22bには、ネジ穴22eが形成されている。ネジ穴22eには、ボルト27b1が螺合可能である。ボルト27b1の頭部には、カバー27b2が被着される。
この連結手段27Bによれば、ボルト27b1による締結でロッド25aとピストン22とを簡単に連結することができる。また、ロッド25aとピストン22との連結は、スレーブシリンダ20に各部品を組み付けた後に、スレーブシリンダ20の外部から行うことも可能であるので、組付性にも優れている。
また、図11(b)に示す連結手段27Cは、圧入部材27c1による圧入にてロッド25aとピストン22とを連結したものである。ロッド25aの先端部には、ロッド側圧入穴25dが形成されている。また、ピストン22の凹部22aの底部22bには、ピストン側圧入穴22efが形成されている。圧入部材27c1は、ロッド側圧入穴25dおよびピストン側圧入穴22efに圧入される。
この本実施形態では、圧入部材27c1による圧入でロッド25aとピストン22とを簡単に連結することができる。圧入部材27c1による連結では、ロッド25aの先端部とピストン22の底部22bとの対向部同士を圧入部材27c1で連結するものであるので、ロッド側圧入穴25dおよびピストン側圧入穴22efの加工が一部分で済み、連結に係るコストを低減することができる。
なお、前記各実施形態では、モータ24の駆動によってロッド25aが進退動するように構成したが、これに限られることはなく、ロッド25aを固定して、その周りに配置される回転部24cが進退動するように構成してもよい。この場合には、回転部24cの先端部を溶接等による連結手段によってピストン22に連結し、ピストン22が進退動するように構成することができる。この場合によっても、減圧方向にピストン22を好適に追従させることができる。
20 スレーブシリンダ(シリンダ装置)
22 ピストン
22a 挿通孔
24 電動モータ(電動アクチュエータ)
25a ロッド(出力部材)
27 連結手段
27b 連結ピン
27A〜27D 連結手段
P ブレーキペダル(ブレーキ操作子)

Claims (4)

  1. 運転者のブレーキ操作子の操作量に応じて駆動する電動アクチュエータによって液圧を発生させるシリンダ装置であって、
    前記電動アクチュエータの駆動によって軸方向に移動可能な出力部材と、
    前記出力部材の押動によって加圧方向に摺動し、前記出力部材の退動によって減圧方向に摺動するピストンと、を備え、
    前記出力部材と前記ピストンとが連結手段で連結されており、
    前記連結手段は、
    前記出力部材と前記ピストンとを軸方向と直交する方向に連結する連結ピンを備えており、
    前記出力部材に形成され前記連結ピンが挿入される挿孔を備え、
    前記出力部材が前記ピストンを押動する際に、前記挿通孔の少なくとも後側の孔壁と前記連結ピンの後側の外面との間には、クリアランスが形成されることを特徴とするシリンダ装置。
  2. 請求項1に記載のシリンダ装置であって、
    前記連結ピンは、前記ピストンに掛止されるクリップによって抜け止め保持されていることを特徴とするシリンダ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のシリンダ装置を備えたブレーキシステムであって、
    車輪ブレーキに作用させる液圧を発生するマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダの液圧が車輪ブレーキに付与される状態と、前記シリンダ装置の液圧が車輪ブレーキに付与される状態と、を切り替える切替弁と、
    前記シリンダ装置から前記切替弁に通じる連通路と、
    前記連通路に設けられ、前記連通路を遮断可能な遮断弁と、を備えたことを特徴とするブレーキシステム。
  4. 請求項に記載のブレーキシステムであって、
    ブレーキ液を貯溜するリザーバタンクと、
    前記リザーバタンクから前記スレーブシリンダにブレーキ液を補給する補給路と、
    前記補給路からブレーキ液を吸液する吸液制御を実行する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、吸液制御を実行する必要があるか否かを判断し、吸液制御を実行する必要がある場合に、前記遮断弁を閉じるとともに、前記電動アクチュエータによって前記スレーブシリンダを減圧方向に駆動させる制御を実行することを特徴とするブレーキシステム。
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