JP6527709B2 - 無段変速機の金属ベルト用エレメント - Google Patents

無段変速機の金属ベルト用エレメント Download PDF

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Description

本発明は無段変速機の金属ベルト用エレメントに関し、より詳細には金属ベルト駆動時にエレメントのネック根元部に発生する応力を好適に低減し繰り返し疲労強度を向上させ、これにより無段変速機のトルク伝達容量を向上させると共に、オーバードライブレシオ領域付近における無段変速機の動力伝達効率を向上させることが可能な無段変速機の金属ベルト用エレメントに関するものである。
無段変速機の金属ベルト用エレメントは、図8に示されるように、略台形状のエレメントのエレメント本体と、金属リング集合体が嵌合する左右一対のリングスリットを間に有するネック部と、ネック部を介して本体の上部に形成される略三角形状のイヤー部とを備えている。エレメント本体の左右方向両端部には、ドライブプーリ(図示せず)及びドリブンプーリ(図示せず)のV面に当接可能な一対の当接面が形成されている。またエレメントの進行方向前側および後側には隣接するエレメントに当接する主面がそれぞれ形成され、また、進行方向前側の主面の下部には左右方向に延びるロッキングエッジを介して傾斜面が形成されている。更に、前後に隣接するエレメントを結合すべく、イヤー部の前後面に相互に嵌合可能なノーズ部およびホール部(図9(b))がそれぞれ形成されている。そして左右のリングスリットの下縁に、金属リング集合体の内周面(最内周の金属リングの内周面)を支持するサドル面が形成されている。
そして上記金属リング集合体と上記エレメントとから成る金属ベルトは一対のプーリ(ドライブプーリ、ドリブンプーリ)間に巻き掛けられ、エレメントの両当接面がプーリのV面に押圧され、その当接面とプーリのV面との摩擦力によってエンジンからの回転動力をドライブプーリからドリブンプーリへ伝達する。このようにエレメントは金属ベルトの回転時においてサドル面を金属リング集合体によって下方に押圧されながら両当接面をプーリのV面で押圧されることになる。更に、エレメントがドライブプーリとドリブンプーリに伝達トルクを受け渡すときにエレメント本体にはトルクの伝達方向によって前後方向への曲げモーメントが作用する。従って、エレメントのネック部、特にサドル面との交差部であるネック根元部(図中の点円部)に応力が集中する。
上記ネック根元部には、ネック側面からサドル面にかけて滑らかに窪ませた円弧凹部が形成されている。この円弧凹部の断面形状が、ネック側面に連続する曲率半径R1の第1円弧と、第1円弧に連続しながら底部を形成する曲率半径R2の第2円弧とで構成され、曲率半径R1が曲率半径R2より大きいことを特徴とするエレメントが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
また、円弧凹部が曲率半径R1,R2,R3,R4の4つの円弧で構成され、これら曲率半径の内で底部を形成する第2円弧の曲率半径R2が最大値であることを特徴とするエレメントが知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
また、サドル面からの円弧の深さDと曲率半径Rとの比D/Rが0.3から0.75の範囲内であることを特徴とするエレメントも知られている(例えば、特許文献3を参照。)。
他方、エレメント材料の炭素含有量(含有C%)はネック根元部の応力集中に大きな影響を与えることが知られている。炭素含有量(含有C%)が0.50〜0.70%である鋼材によってエレメントを製作する場合、エレメントの耐摩耗性および耐疲労性を向上させることが知られている(例えば、特許文献4を参照。)。
特許第4766064号 特許第3975791号 特許第4321119号 特許第5594521号
上記特許文献1及び2は、サドル面とネック側面を滑らかな円弧(曲面)で繋げることでネック根元部に発生する応力を低減する為の手法である。つまり、エレメント全体の形状を変更することなく、円弧の曲率半径Rを大きくすることでネック根元部に発生する応力を低減する為の手法である。
しかしながら、ネック根元部に発生する応力については、曲率半径Rよりもサドル面から円弧最下部までの距離(深さ)Dの影響が大きいことが強度解析により明らかになっている。上記特許文献1及び2ではサドル面からの円弧最下部までの距離(D)が考慮されていない。
図10は、図9(a)に示されるように、エレメントが拘束された状態でエレメントのサドル面上に下向きの荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示している。また、図11は、図9(b)に示されるように、エレメントが拘束された状態でサドル面とロッキングエッジの中間位置に当る背面に、ホール部側からノーズ部側へ荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示している。図10(a)(b)及び図11(a)(b)から明らかな通り、R1<R2(R1/R2<1)かつR3<R2(R3/R2<1)の関係であっても発生する応力は高い値で大きくばらついている。従って、上記特許文献1及び2はネック根元部の応力を低減することに関して大きな効果を有しているとは必ずしも言えない。
他方、上記特許文献3では、サドル面からの円弧最下部までの距離(D)が考慮されている。
しかしながら、図10(c)及び図11(c)から明らかな通り、0.3≦D/R≦0.75においてネック根元部に高い応力が発生していることが分かる。従って、上記特許文献3についてもネック根元部の応力を低減することに関して大きな効果を有しているとは必ずしも言えない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、金属ベルト駆動時にエレメントのネック根元部に発生する応力を好適に低減し繰り返し疲労強度を向上させ、これにより無段変速機のトルク伝達容量を向上させると共に、オーバードライブレシオ領域付近における無段変速機の動力伝達効率を向上させることが可能な無段変速機の金属ベルト用エレメントを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る無段変速機の金属ベルト用エレメントでは、帯状の金属リングが複数枚積層された金属リング集合体によって位相を揃えて該金属リング集合体に沿って環状に複数枚積層され、該金属リング集合体を支持するサドル面と該サドル面から上方へ延設されたネック部とを有する無段変速機の金属ベルト用エレメントにおいて、
前記サドル面と前記ネック部が交差するネック根元部に該サドル面側に窪んだ凹部が形成され、該凹部は前記ネック部の側面に滑らかに繋がると共に前記凹部の底面部分に達しない範囲に形成される下向き凸状の第1曲面(R1)と、該第1曲面(R1)に滑らかに繋がると共に前記底面部分を形成する下向き凸状の第2曲面(R2)と、該第2曲面と前記サドル面の双方に滑らかに繋がる上向き凸状の第3曲面(R3)とから構成され、
前記第1曲面(R1)、前記第2曲面(R2)および前記第3曲面(R3)の順に各曲率半径は大きくなると共に、前記第2曲面の曲率半径(R2)に対する前記第2曲面の深さ(D)の比は0.3以下の値であることを特徴とする。
上記構成では、サドル面とネック部が交差するネック根元部(コーナ部)が、ネック部からサドル面にかけてその曲率半径が順に大きくなり且つ底面部分を形成する曲率半径がサドル面からの深さに依存している3つの上記各曲面(円弧)が滑らかに繋がって構成されている。すなわち、ネック側面に繋がる第1曲面の曲率半径をR1、底面部分を形成する第2曲面の曲率半径をR2、サドル面に繋がる第3曲面の曲率半径をR3、サドル面を基準とした第2曲面の深さをDとした時、R1<R2<R3かつD/R2≦0.3を満たす3つの上記各曲面(円弧)によってサドル面とネック部が交差するネック根元部(コーナ部)が構成されている。特に曲率半径を順に大きくしながら、底面部分を形成する曲率半径R2をサドル面からの深さDに依存させることにより、ネック根元部に発生する応力を好適に低減することが可能となる。
本発明に係る無段変速機の金属ベルト用エレメントの第2の特徴は、前記エレメントを構成する鋼材は、添加物として少なくとも炭素(C)、珪素(Si)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)を含み、前記炭素の含有量(%)は0.61%以上0.71%以下である。
上記構成では、上記炭素含有率の鋼材を用いることで上記円弧凹部の形状的特徴と相俟って、ネック根元部に発生する応力を好適に低減すると共にエレメントの繰り返し疲労強度を向上させることが可能となる。
本発明のエレメントによれば、ネック根元部の上記形状的特徴とエレメントを構成する鋼材の上記材料的特徴が相俟ってエレメントのネック根元部に発生する応力を好適に低減すると共に、エレメントの繰り返し疲労強度を向上させることが可能となる。また、本発明のエレメントではサドル面から底面部分に到る距離(D)は小さくなりネック根元部に発生する応力は小さくなるため、ロッキングエッジをサドル面側に移動させることが可能となる。これにより、オーバードライブレシオ領域付近において、リングとサドル面との間で生じる滑りによるトルクロスを低減することができ、無段変速機の動力伝達効率の向上に寄与することが可能となる。
本発明のエレメントのネック根元部を示す要部断面説明図である。 本発明のエレメントにおいてサドル面上に下向きの荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示すグラフである。 本発明のエレメントにおいてサドル面とロッキングエッジの中間位置に当る背面に、ホール部側からノーズ部側へ荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示すグラフである。 鋼材、ネック根元部形状および繰り返し疲労強度の相関を示すグラフである。 炭素含有量、ネック根元部形状および繰り返し疲労強度の相関を示すグラフである。 本発明のエレメントに係るロッキングエッジを示す説明図である。 本発明のエレメントを使用する無段変速機に係る動力伝達効率を示す説明図である。 従来のエレメントを示す斜視図である。 エレメントに加えられる荷重の向きを示す説明図である。 従来のエレメントにおいてサドル面上に下向きの荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示すグラフである。 従来のエレメントにおいてサドル面とロッキングエッジの中間位置に当る背面に、ホール部側からノーズ部側へ荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示すグラフである。 図4及び図5に係る「繰り返し数1.0E+5回における疲労強度に相当する荷重」を説明するS-N線図である。
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明に係る無段変速機の金属ベルト用エレメント(以下、「エレメント」という。)100のネック根元部を示す要部断面説明図である。なお、図1(b)は各曲率半径Rと深さDの相関を示すグラフである。また、記号Dはサドル面上端から最深部(点)PCに到る深さ(距離)であり、記号Wはネック側面からサドル面のR開始点PEに到る距離である。
このエレメント100では、サドル面とネック側面を滑らかに繋ぐネック根元部に係る接続面が、ネック側面からサドル面にかけてその曲率半径が順に大きくなり且つ底面部分を形成する曲率半径R2がサドル面からの深さDに依存している3つの曲面(円弧):下向き凸状の曲面(円弧)PA-PB、下向き凸状の曲面(円弧)PB-PD、上向き凸状の曲面(円弧)PD-PEが滑らかに繋がって構成されている。また、詳細については後述するが、本エレメント100を構成する鋼材としては炭素含有量(質量%)が0.61〜0.71%である鋼材が使用されている。なお、ここでは説明の都合上、曲面と円弧は同じ意味で用いることとする。
また、ここで言う「滑らか」とは、隣接する曲面(円弧)が同一の接平面(接線)を持って接続している、ことを意味している。従って、各円弧の中心は両接続点における各法線の交点として求められ、その曲率半径はその円弧中心から接続点までの距離として求められる。逆に、各曲面の円弧中心と曲率半径が既知の場合は、2つの円弧中心を結ぶ直線が法線となり、その法線と曲率半径によって接続点の位置が自動的に求められ、接続点の位置から円弧の長さが自動的に決定される。例えば、円弧PB-PDの接続点PB,PDの位置については、円弧中心C1とC2を結ぶ法線n2と、円弧中心C2とC3を結ぶ法線n3と、曲率半径R2とによって自動的に求められ、接続点PB,PDの位置から円弧PB-PDの長さが自動的に決定される。
円弧PA-PBは、接続点PAにおいてネック側面に滑らかに繋がると共に最深部PCに達しない接続点PBにおいて円弧PB-PDに滑らかに繋がっている。円弧PA-PBは曲率半径がR1で円弧中心C1が面外に位置する下向き凸状の円弧である。また、円弧PA-PBはネック側面と円弧PB-PDに接線接続しているため、共通接線L1,L2を有し、従って円弧中心C1は接続点PA,PBにおける共通接線L1,L2に対応する各法線n1,n2の交点として求められる。また、円弧PA-PBの開始点である接続点PAの高さ位置については、本実施例においてはサドル面上端PFと一致しているが、サドル面上端PFから上下にリング(図8)板厚の半分以内、すなわち±1/2Δ以内に位置することが望ましい。
円弧PB-PDは、接続点PBにおいて円弧PA-PBに滑らかに繋がると共に最深点PCを含む接続点PBから接続点PDに到る範囲に形成され、円弧中心C2が面上に位置し曲率半径がR2である下向き凸状の円弧である。また、円弧PB-PDは円弧PA-PBと円弧PD-PEの双方に接線接続しているため、共通接線L2,L3を有し、従って円弧中心C2は接続点PB,PDにおける共通接線L2,L3に対応する各法線n2,n3の交点として求められる。また、後述する通り、サドル面上端PFから最深点PCに到る深さDと半径R2は相互に依存しており、D/R2≦0.3という関係を有している。
円弧PD-PEは、接続点PDにおいて円弧PB-PDに滑らかに繋がると共に接続点PEにおいてサドル面に滑らかに繋がっており、円弧中心C3が面内にあり曲率半径がR3である上向き凸状の円弧である。円弧PD-PEは円弧PB-PDとサドル面に接線接続しているため、共通接線L3,L4を有し、従って円弧中心C3は接続点PD,PEにおける共通接線L3,L4に対応する各法線n3,n4の交点として求められる。
また、ネック側面からサドル面のR開始点までの距離Wについては、大きくなると、リングとサドル面との接触面が小さくなり、リング挙動に悪影響が起きる為、1.6〜1.7mmが望ましい。
各曲率半径R1,R2,R3について、図1(b)に示されるように、R1<R2<R3という関係を有し、同時に曲率半径R2のみ上記深さDに依存し、D/R2≦0.3という関係を有している。従って、接続点PAと接続点PEが固定されている場合、深さDが決定されると、D/R2≦0.3という関係から曲率半径R2が決定される。同時に、円弧中心C2も自動的に決定される(円弧中心C2は最深点PCにおける接線L5に対応する法線n5上で最深点PCから距離R2に位置するため)。続いて、R1<R2という関係および接線接続(接続点を通る法線上に円弧中心が位置する)という拘束条件から、円弧中心C1、曲率半径R1および接続点PBがそれぞれ自動的に決定される。同様に、R2<R3という関係および接線接続という拘束条件から円弧中心C3、半径R3および接続点PDについてもそれぞれ自動的に決定される。このように、本発明のエレメント100では、(円弧PA-PB、円弧PB-PD、および円弧PD-PEが滑らかに繋がった)ネック根元部形状については、深さDと曲率半径R2が決定されると、自動的に決定されることになる。
図2は、図9(a)と同様に、エレメントが拘束された状態でエレメントのサドル面上に下向きの荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示している。なお、図2(a)はD/R2≦0.3という拘束条件を伴わないR1<R2<R3のみの場合を、図2(b)はD/R2≦0.3という拘束条件を伴うR1<R2<R3の場合をそれぞれ示している。
図から明らかな通り、D/R2≦0.3という拘束条件ありの場合は、D/R2≦0.3という拘束条件なしの場合に比べネック根元部に発生する最大応力Smaxがより低減しており、且つ応力のバラツキも小さくなっている。なお、詳細については省略するが、D/R2≦0.3かつR1<R2<R3という関係ならびに接続点における接線接続という条件から、半径R2の値は必然的に約1.0mm以上の範囲に限定される。
図3は、図9(b)と同様に、エレメントが拘束された状態でネック部にホール部側からノーズ部側へ荷重を加えた時のネック根元部に発生する応力を強度解析によって求めた時の解析結果を示している。なお、図3(a)はD/R2≦0.3という拘束条件を伴わないR1<R2<R3のみの場合を、図3(b)はD/R2≦0.3という拘束条件を伴うR1<R2<R3の場合をそれぞれ示している。
図から明らかな通り、D/R2≦0.3という拘束条件ありの場合は、拘束条件なしの場合に比べネック根元部に発生する最大応力Smaxが低減しており、且つ応力のバラツキも小さくなっている。
このように、図2及び図3に示される通り、D/R2≦0.3という拘束条件はネック根元部に発生する応力を低減するのに大きな効果を有していることが分かる。
ところで、ネック根元部に係る上記形状的特徴(R1<R2<R3かつD/R2≦0.3)に、材料的特徴(炭素含有量:0.61〜0.71%の範囲、望ましくは0.61〜0.67%の範囲)が加わる場合、すなわち、炭素含有量が上記範囲内にある鋼材を使用して上記形状的特徴(R1<R2<R3かつD/R2≦0.3)を有するネック根元部を製作する場合、そのエレメントはネック根元部における応力低減効果だけでなく繰り返し疲労強度の向上においても大きな効果を有するようになる。以下、本エレメント100に係る繰り返し疲労強度の向上について説明する。
図4は、炭素含有量[%]が0.84の鋼材Aと0.61の鋼材Bに対し同様の焼入れ・焼戻し処理をそれぞれ行い、これら熱処理された鋼材Aおよび鋼材Bを用いてネック根元部形状の異なる(D/R2=0.298、1.0)合計4種類のエレメントに加工し、図9(a)又は図9(b)と同様の荷重条件で単体疲労試験をそれぞれ行い、S−N線図を求めて繰り返し数1.0E+5回における疲労強度に相当する荷重を上記4種類のエレメントについてそれぞれ求めた結果である。なお、ここで言う「繰り返し数1.0E+5回における疲労強度に相当する荷重」とは、図12に示されるように、繰り返し数が1.0E+5回以下で破損した試験体の荷重データを統計的に処理して得られるS-N線図におけるN=1.0E+5(cycle)での値Sのことである。また、「疲労強度が向上する」とは上記S-N線図全体が上方へシフトすることである。
鋼材Aに比べて鋼材Bは含有C量が少ない分、靱性に富み、材料試験片等での1.0E+5回疲労強度は鋼材Aに比べておよそ20%以上高くなる。しかし、D/R2=1.0 のネック根元部形状では鋼材Aと鋼材Bを比較すると強度の向上分は5%程度と材料自体の強度差がほとんど得られない。これはネック根元部における応力集中が高くなり、材料強度差がほとんど失われてしまうことによる。
一方、鋼材Aの結果と鋼材BのD/R2=0.298の結果を比較すると、疲労強度が50%以上向上した。これは、鋼材Bから成るD/R2=0.298のネック根元形状の場合、上記形状的特徴(R1<R2<R3かつD/R2≦0.3)による応力集中を緩和する効果に加えて、材料自体の効果も活かされて、形状効果と材料効果の相乗効果によってより高強度になることを意味している。
図4に示される通り、材料効果による疲労強度の向上は、ネック根元部形状すなわちD/R2の値によって異なることが分かる。以下、ネック根元部形状と炭素含有量[%]の相関について説明する。
図5は、様々な炭素含有量[%]の鋼材に対し上記図4と同様の焼入れ・焼戻し処理を行って、これら熱処理された鋼材をネック根元部形状の異なる(D/R2=0.298、0.4、1.0)の様々なエレメントに加工し、同様の単体疲労試験をそれぞれ行い、S-N線図を求めて繰り返し数1.0E+5回における疲労強度に相当する荷重を各エレメントについてそれぞれ求めた結果である。
D/R2=0.298の時、応力緩和されたネック根元部形状のエレメントでは炭素含有量[%]が0.6付近(0.61〜0.71)で最大の強度になるが、それ以上でもそれ以下でも強度は低くなる。これは炭素含有量が低い領域では硬度不足による強度の低下が起こり、逆に炭素含有量の高い領域では靱性が低くなることによる強度の低下が生じるためと考えられる。すなわち、上記形状的特徴に適合する炭素含有量[%]は、0.61〜0.71、望ましくは0.61〜0.67の最適値をもっている。
D/R2=0.4の時、炭素含有量[%]の減少するにつれて疲労強度は緩やかに上昇するが、0.65付近で頭打ち状態に達する。材料効果についてもD/R2=0.298の材料効果に比べ小さい。
D/R2=1.0の時、炭素含有量[%]の減少するにつれて疲労強度は非常に緩やかに上昇するが、0.6付近で頭打ち状態に達する。材料効果については、図4にて上述した通り、疲労強度の上昇は5%程度である。
図6は、本発明のエレメントの形状と従来のエレメントの形状との比較を示す説明図である。
本発明のエレメントに係るネック根元部の深さDは、従来のエレメントに比べ小さくなる。この差分(変化量)はロッキングエッジをリスクなくサドル面側に移動させる取り代(移動代)として利用することができる。
ロッキングエッジがサドル面に近づくと、図7に示されるように、オーバードライブ(OD)レシオ領域付近において、リングとサドル面との間で生じる滑りによるトルクロスを低減することができ、これにより無段変速機の動力伝達効率が好適に向上するようになる。
以上の通り、本発明のエレメント100によれば、ネック根元部の上記形状的特徴(R1<R2<R3かつD/R2≦0.3)とエレメントを構成する鋼材の上記材料的特徴(炭素含有量:0.61〜0.71%、望ましくは0.61〜0.67%)が相俟ってエレメントのネック根元部に発生する応力を好適に低減すると共に、エレメントの繰り返し疲労強度を向上させることが可能となる。これは、図4及び図5に示されるように、疲労限度ならびにS-N線図全体が向上するためである。これにより、エレメントのサイズを拡大することなく、トルク伝達容量の向上が可能となる。また、本発明のエレメントではサドル面から底面部分に到る距離(D)は小さくなりネック根元部に発生する応力は小さくなるため、ロッキングエッジをサドル面側に移動させることが可能となる。これにより、オーバードライブレシオ領域付近において、リングとサドル面との間で生じる滑りによるトルクロスを低減することができ、無段変速機の動力伝達効率の向上に寄与することが可能となる。
100 エレメント
C1、C2、C3、C4 円弧中心
L1、L2、L3、L4、L5 接線
n1、n2、n3、n4、n5 法線
PA、PB、PD、PE 接続点
PC 最深点
PF サドル面上端
PA-PB、PB-PD、PD-PE 曲面(円弧)
R1、R2、R3 曲率半径
D サドル面上端から最深点に到る距離(深さ)
W ネック側面からサドル面のR開始点に到る距離

Claims (3)

  1. 帯状の金属リングが複数枚積層された金属リング集合体によって位相を揃えて該金属リング集合体に沿って環状に複数枚積層され、該金属リング集合体を支持するサドル面と該サドル面から上方へ延設されたネック部とを有する無段変速機の金属ベルト用エレメントにおいて、
    前記サドル面と前記ネック部が交差するネック根元部に該サドル面側に窪んだ凹部が形成され、該凹部は前記ネック部の側面に滑らかに繋がると共に前記凹部の底面部分に達しない範囲に形成される下向き凸状の第1曲面と、該第1曲面に滑らかに繋がると共に前記底面部分を形成する下向き凸状の第2曲面と、該第2曲面と前記サドル面の双方に滑らかに繋がる上向き凸状の第3曲面とから構成され、
    前記第1曲面、前記第2曲面および前記第3曲面の順に各曲率半径は大きくなると共に、前記第2曲面の曲率半径に対する前記第2曲面の深さの比は0.3以下の値であることを特徴とする無段変速機の金属ベルト用エレメント。
  2. 前記エレメントを構成する鋼材は、添加物として少なくとも炭素(C)、珪素(Si)、マンガン(Mn)及びクロム(Cr)を含み、前記炭素の含有量(%)は0.61%以上0.71%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の金属ベルト用エレメント。
  3. 前記第2曲面の深さは、ロッキングエッジを含む平面と前記サドル面との距離よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の無段変速機の金属ベルト用エレメント。
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