以下に添付図面を参照して、光偏向装置、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置および画像読取装置の実施形態を詳細に説明する。なお以下の説明において、図には実施形態が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎず、これにより本実施形態が限定されるものではない。また複数の図に示される同様の構成成分については同一の符号を付して示し、その重複する説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる光偏向装置1の斜視図である。図1に示すように、光偏向装置1は、光を反射させるミラー13を有するミラー支持部10を備えている。このミラー支持部10の一方の端部には、ミラー支持部10を回転(揺動)可能に支持する第1弾性支持部材としての第1トーションバースプリング20aが接続されており、他方の端部には、第2弾性支持部材としての第2トーションバースプリング20bが接続されている。
第1トーションバースプリング20aのミラー支持部10と反対側の端部は、固定枠40に片持ち支持された第1駆動梁31aの自由端部から延びた第1接続部310aに接続されている。また、第2トーションバースプリング20bのミラー支持部10と反対側の端部は、固定枠40に片持ち支持された第2駆動梁31bの自由端部から延びた第2接続部310aに接続されている。
第1駆動梁31aの片面には、薄膜チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる第1圧電部材32aが積層され、第1駆動梁31aと第1圧電部材32aとで、平板短柵状のユニモルフ構造の第1駆動部30aを形成している。また、第2駆動梁31bの片面にも、薄膜チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる第2圧電部材32bが積層され、第2駆動梁31bと第2圧電部材32bとで、平板短柵状のユニモルフ構造の第2駆動部30bを形成している。
第1駆動部30aは、第1トーションバースプリング20aをねじり変形させる駆動手段として機能し、第2駆動部30bは、第2トーションバースプリング20bをねじり変形させる駆動手段として機能する。第1駆動部30aおよび第2駆動部30bは、それぞれ第1トーションバースプリング20aと第2トーションバースプリング20bをねじり変形させることにより、ミラー支持部10を回転駆動させる。
尚、以下では、第1駆動部30a、第2駆動部30bをまとめて駆動部30a、30bと称し、第1トーションバースプリング20a、第2トーションバースプリング20bをまとめてトーションバースプリング20a、20bと称する場合がある。
ここで、ミラー支持部10を四角形状にしてもその4角には光が当ることがない。そこで本実施形態では、4角を省いてミラー支持部10を楕円形状とすることで、ミラー支持部10を軽量化している。また、ミラー支持部10は、ミラー支持部10の回転軸方向が長径、回転軸方向に対して直交する方向が短径の楕円形状となっている。これにより、ミラー支持部10の回転軸方向に対して直交する方向をなるべく短くでき、かつ光量を確保できる。また、回転軸方向に対して直交する方向が短径の楕円形状として、ミラー支持部10の回転軸方向に対して直交する方向をなるべく短くした。これにより、ミラー支持部10のイナーシャを低減して、ミラー支持部10の高速駆動を実現することができる。
なお、駆動部30a、30bと、ミラー支持部10と、トーションバースプリング20a、20bとは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセス等の加工により一体に形成されている。また、ミラー支持部10のシリコン基板の表面10aには、アルミニウムや金などの金属の薄膜が形成されることにより、ミラー13が設けられている。
図2は、光偏向装置1の裏面斜視図である。図2に示すように、ミラー支持部10においてミラー13が設けられた表面10a(図1参照)と反対側の面である裏面10bは、ミラー支持部10を補強し剛性を向上させるためのリブ11を備えている。
図3は、光偏向装置1の裏面正面図である。図3に示すように、リブ11は、第1リブ11aと第2リブ11bとを備えている。第1リブ11aは、ミラー支持部10の回動軸方向と直交する方向(Y方向)に延びて形成されている。第2リブ11bは、ミラー支持部10の回転中心に設けられ、ミラー支持部10の回動軸方向(X方向)に延びて形成されている。尚、リブ11のより詳細な構造については、図5以下において説明する。
また、本実施形態の光偏向装置1は、図3に示すように、ミラー支持部10の中心(重心)Oが、トーションバースプリング20a、20bのミラー支持部10との接続部よりも、固定枠40の駆動部30a、30bが片持ち支持されている側に距離ΔSだけオフセットされている。こうすることで、トーションバースプリング20a、20bのミラー支持部10との接続部とミラー支持部10の中心(重心)Oとをミラー支持部10の回転軸方向と直交する方向において同じ位置に設けた場合に比べて、駆動部30a、30bのたわみ変形を利用してミラー支持部10を大きく回転振動させることができる。また、ミラー支持部10全体のZ方向の変動を阻止することができる。しかも、ミラー支持部10は、より大きな角度振幅を得ることができる。
図3に示すように、固定枠40の一部はミラー支持部10側に突出して形成されており、突出部はそれぞれ第1駆動梁31a、第2駆動梁31bとして機能する。
図4は、第1駆動部30aとその近傍の固定枠40を拡大して示した模式図である。図4(a)は絶縁層で覆う前の平面図、図4(b)は絶縁層で覆った後の平面図、図4(c)は(b)のA’−A’線部分の断面図である。なお、第2駆動部30bは第1駆動部30aと同様の構造であるので、図示および説明は省略する。
図4(a)〜(c)に示すように、第1駆動部30aは、固定枠40から突出して形成された第1駆動梁31aの上に、接着層33a、下部電極35a、圧電材料(第1圧電部材)32a、上部電極34a、絶縁層36aの順でスパッタにより成膜されて積層されている。そして積層後に、図4(b)に示すように、ランド部37a、38aなどの必要な部分だけが残るようにエッチング加工されている。尚、接着層33aのスパッタ材としてはチタン(Ti)等が使用され、上部電極34a、下部電極35aのスパッタ材としては白金(Pt)等が使用される。また、圧電材料32aのスパッタ材としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などが使用される。
ランド部37a、38aから配線を引き出し、上部電極34aと下部電極35aの間に電圧を印加すると、圧電材料32aはその電歪特性により、第1駆動梁31a表面の面内方向に伸縮する。これにより、第1駆動部30a全体が曲げ変形して反る。第2駆動部30bについても、圧電部材32aと同相の電圧を印加することで、第2駆動部30b全体が、第1駆動部30aと同一方向に曲げ変形する。尚、第1駆動部30aの圧電部材32a、および、第2駆動部30bの圧電部材32bに印加する電圧の波形は、パルス波、正弦波のいずれでもよく、その他の波形を用いてもよい。
尚、上述では、圧電材料32a、32bをスパッタ成膜により形成した例を示したが、圧電材料32a、32bの形成方法はこれに限らない。その他の形成方法として、バルク材料を所定のサイズに切断した圧電材料を接着剤により貼り付けても良い。或いは、エアロゾルデポジション法(AD法)で圧電材料32a、32bを形成しても良い。また、上述では図4の例を用いて、駆動梁31a、31bの片面に圧電材料32a、32bを配置したユニモルフ構造としたが、駆動梁31a、31bの両面に圧電材料を配置したバイモルフ構造としてもよい。
図1に示すように、トーションバースプリング20a、20bの長手方向と、各駆動部30a、30bの長手方向とは略直交して配置されて接続されている。従って、駆動部30a、30bの曲げ振動により、駆動梁31a、31bの接続部310a、310bがミラー支持部10に対して上下方向に振動し、トーションバースプリング20a、20bの捻り中心軸に対して垂直に働く。即ち、各駆動部30a、30bの曲げ振動が、図中矢印で示すように、各トーションバースプリング20a、20bの回転振動(捻り振動)に効率よく変換され、ミラー支持部10が大きく回転振動する。
このように、トーションバースプリング20a、20bとミラー支持部10は、各駆動梁31a、31bの自由端側に支持されているため、ミラー支持部10はより大きな角度振幅を得ることができる。また、上述のように、第1駆動梁31aから、第1接続部310a、ミラー支持部10、第2接続部310b、第2駆動梁31bにかけての駆動箇所は一体的に形成されており、圧電材料32a、32bもそれぞれ第1駆動梁31a、第2駆動梁31b上に一体的に成膜されている。このように振動箇所、および、ねじり振動箇所を一体的に形成しているので、光偏向装置1を小型化することができる。
次に、図2、図3で示したリブ11について、より詳細な構造を説明する。
図5は、第1の実施形態にかかるミラー支持部10の構造を示す斜視図である。ミラー支持部10は、シリコン(Si)/二酸化ケイ素(SiO2)/Siの3層構造のSOI(Silicon On Insulator)基板に、MEMS技術による微細加工を施して製造する。図5に示すように、ミラー支持部10においては、Si基板101上にSiO2膜102が形成され、さらにその上に、シリコンのリブ11が形成されている。
リブ11の上部の構造は、X方向に設けられた1枚の板状の第2リブ11bと、Y方向に設けられた複数の板状の第1リブ11aとを有している。尚、図3で上述したように、X方向とはミラー支持部10の回動軸方向のことであり、Y方向とは、ミラー支持部10の回動軸方向と直交する方向のことである。第2リブ11bは、図3で示したように、ミラー支持部10の中心(重心)Oより距離ΔSだけオフセットされた位置に設けられている。そして、複数の第1リブ11aはそれぞれ、Y方向の中心部において第1リブ11aと直交して連結している。以下、第1リブ11aと第2リブ11bとを特に識別しない場合には単にリブ11と称することとする。
尚、リブ11の2次元形状、即ち、X方向、Y方向の形状は図5で示した形状に限定されない。リブ11の2次元形状は、その他の形状であってもよい。
図5に示すように、リブ11の上部(先端部)は、Z方向、即ち、Si基板101の表面に対して垂直方向に切り立った壁面状の垂直部11cで構成されている。一方、リブ11の下部(裾部)は、垂直部11cの下端11eからミラー支持部10のエッジEにかけて低くなる傾斜部11dで構成されている。即ち、リブ11は、その上部が垂直になっており、その下部は裾広がりに傾斜する構造を有する。
リブ11が軽いほど、回転駆動時におけるトーションバースプリング20a、20b(図1等参照)への負荷を軽減することができるが、リブ11全体を細くしてしまうと、リブ11の剛性が低下し、耐久性が低下するとともに、振動時にはミラー支持部10の変形が誘発されてミラー13の光学特性を向上できない。他方、リブ11を太くするほど、リブ11の剛性を高めて耐久性を向上させ、ミラー支持部10の変形を抑制してミラー13の光学特性を向上することができるが、リブ11全体を太くしてしまうと、リブ11の重量増加によりトーションバースプリング20a、20bへの負荷が増加するとともに、駆動電力も増加してしまう。
これに対して、本実施形態のリブ11の形状によれば、リブ11の上部は軽く保ったまま、リブ11の下部は太くして剛性を高めることができる。また、本実施形態では、リブ11の根本部分を太くして重量を増加させることで、ミラー支持部10の回転軸寄りにリブ11の重心をシフトさせることができる。これにより、ミラー支持部10の高速駆動時にリブ11に加わる慣性モーメントを低減することができ、高速駆動を安定させることができる。
図6は、図5のA−A断面図である。図6に示すように、ミラー支持部10の断面構造は、Si基板101面積の全面にかけて、Si/SiO2/Siの3層構造となる。つまり、傾斜部11dの裾(傾斜面)はミラー支持部10のエッジEまで延びているので、ミラー支持部10はエッジEに至るまで3層構造をなすこととなる。そして、SiO2膜102と、SiO2膜102上に成膜されたSiのリブ11とは、SiO2膜102面積の全面にわたって接触することとなる。これにより、2層間の接着性を向上させてリブ11自体の強度を高めるとともに、ミラー支持部10の面変形を抑制して、ミラー13の光学特性を向上させることができる。
このように、第1の実施形態では、リブ11の裾に傾斜部11dを設けたことにより、ミラー支持部10の重量増加を抑えつつ、リブ11及びミラー支持部10の剛性向上を図ることができる。また、ミラー支持部10の剛性向上により、ミラー13の光学特性の向上を図ることができる。
尚、上述では、リブ11の上部(先端部)に垂直部11cが設けられ、リブ11の裾部に傾斜部11dが設けられた構成例を示したが、第1の実施形態ならびに以下に示す第2〜第3の実施形態はこれに限定されない。リブ11、リブ211(第2の実施形態)、リブ311(第3の実施形態)の上部には垂直部11cが設けられなくともよく、リブ構造が高さ方向全体において先端に向かって先細りになるような形状、逆に言えば、根本に向かって裾広がりになるような傾斜した構造であってもよい。このような形状であっても、裾部における基板との接着強度を向上させてミラー支持部10、ミラー支持部210(第2の実施形態)、ミラー支持部310(第3の実施形態)の剛性を向上させることができ、かつ、リブ先端側の軽量化を図ることができる。従って、垂直部11cを必ずしも設けなくとも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態にかかるミラー支持部210の構造を示す斜視図である。図7に示すように、ミラー支持部210においては、Si基板101上に、SiO2膜102が形成されており、さらにその上に、第2の実施形態にかかるリブ211が形成されている。尚、リブ211は第1の実施形態と同様にシリコンで形成される。
第2の実施形態のリブ211は、その上部に第1の実施形態と同様の構造の垂直部11cを備えているが、その下部には第1の実施形態の傾斜部11dと異なる傾斜部211dを備えている。即ち、第1の実施形態では図5で示したように、傾斜部11dの下端をミラー支持部10のエッジEまで延長させて設けるとした。これに対して第2の実施形態では、図7に示すように、傾斜部211dの下端211eは、ミラー支持部210のエッジEよりも内側のSiO2膜102上に位置する。
従って、リブ211の下端211eと、エッジEとの間の内側部Iにおいては、SiO2膜102が露出する構造となる。同様に、リブ211とリブ211との間隙Gにおいても、SiO2膜102が露出する構造となる。これにより、第2の実施形態の傾斜部211dは、第1の実施形態の傾斜部11dよりもその体積を減らすことができ、リブ211を軽量化することができる。
図8は、図7のB−B断面図である。図8に示すように、ミラー支持部210の断面構造は、リブ211の下部Uにおいて、Si基板101と、SiO2膜102と、Siのリブ211とからなる、Si/SiO2/Siの3層構造となる。そして、リブ211の下部U以外では、Si基板101と、SiO2膜102とからなる、SiO2/Siの2層構造となる。尚、ミラー支持部210において、リブ211と反対側の面には、ミラー13が設けられている。
2層構造となる基板面積と、3層構造となる基板面積の比率は、リブ211の傾斜部211dのサイズ(形状、体積、傾斜角度)により適宜制御することができる。傾斜部211dのサイズの制御方法については、後述する実施例でより詳細に説明するが、リブ211のエッチング時間を制御することにより任意のサイズの傾斜部211dを得ることが可能である。即ち、オーバーエッチ時間を短くすれば、リブ211のサイズを大きくするとともに傾斜部211dのサイズを大きくできる。一方、オーバーエッチ時間を長くすれば、リブ211のサイズを小さくするするとともに傾斜部211dのサイズを小さくできる。ここで、傾斜部211dのサイズの設計指針について、図9を用いて説明する。
図9は、オーバーエッチ時間の長さとリブ211のサイズとの関係を示した模式図である。図9(a)は、オーバーエッチ時間を長めに取って、リブ構造を細めにした場合のリブ211を模式的に示した図である。図9(b)は、オーバーエッチ時間を短めに取って、リブ構造を太めにした場合のリブ211を模式的に示した図である。
図9(a)に示すように、リブ構造を細めにし、傾斜部211dの体積を小さめにすると、リブ211およびミラー支持部210を軽量化することができる。軽量化を図っても、リブ211とミラー支持部210との接着面積は、傾斜部211dを設けていない従来型のリブ構造に比べて大きくできるため、従来型のリブ構造よりその強度を高め、リブ211の破損や脱落等を防止できる。また、リブ構造の剛性を高めることができるので、ミラー13の光学特性も向上させることができる。
一方、図9(b)に示すように、リブ構造を太めにし、傾斜部211dの体積を大きめにすると、リブ211およびミラー支持部210の重量は増すが、リブ211の強度やミラー支持部210の剛性をより高めることができる。図9(a)寄りの構造とするか、図9(b)寄りの構造とするか、および、傾斜部211dのサイズ設計については、Si基板101のサイズやリブ211の高さ等を考慮して適宜選択、設計すればよい。
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態にかかるミラー支持部310の構造を示す斜視図である。第3の実施形態にかかるミラー支持部310は、第2の実施形態においてリブ211の下部以外に積層されているSiO2膜102(図7、図8参照)を除去し、ミラー支持部310のエッジEをSi基板101の1層構造としている。また、第3の実施形態では、リブ211の下部に残ったSiO2膜を、リブ構造の一部として用いている。
即ち、図10に示すように、第3の実施形態のリブ311は、第2の実施形態のリブ211と、その下部に残され、リブ構造の根本部分として機能するSiO2膜3102とによって構成される。つまり、リブ211の下部以外のSiO2膜は除去されるので、リブ211下部のSiO2膜は基板として機能するよりも、リブ構造側として機能することとなる。
つまり、第3の実施形態のミラー支持部310は、Si基板101と、その上に設けられたリブ311とで構成されている。そして、リブ311は、リブ構造の一部を担うSiO2膜3102と、その上に設けられた第2の実施形態のリブ211との積層構造で構成されている。尚、リブ211の構成については図7及び図8とともに上述したので、ここでの説明は省略する。
図11は、図10のC−C断面図である。図11に示すように、ミラー支持部310の断面構造は、リブ311の下部Uにおいて、Siのリブ211と、SiO2膜3102と、Si基板101とからなる、Si/SiO2/Siの3層構造となる。そして、リブ311の下部U以外では、SiO2膜が除去されているため、Si基板101によるSi層の1層構造となる。
詳細は実施例で後述するが、ミラー支持部310の製造工程にはICPエッチ工程が含まれる。従来一般的に、ICPエッチにより形成されたミラー支持部310の側面には、微小な凹凸(スキャロップと呼ばれる波紋)が形成される。そして、ミラー支持部のエッジEに弾性係数の異なる膜が積層されていると、膜界面近傍で応力が発生し、スキャロップの微小な乱れ(欠陥)が起点となってミラー支持部の梁折れを引き起こす懸念がある。
これに対して、第3の実施形態によれば、ミラー支持部310のエッジEはSi基板101の1層構造で構成されるので、スキャロップによる影響を低減して、エッジE近傍の強度を高めることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、画像形成装置の光走査装置(光書き込みユニット)に、上述した光偏向装置1を備えた例について説明する。尚、光偏向装置1は、第1〜第3の実施形態で説明したミラー支持部10、210、310のうちいずれか1つを備える。
図12は、第4の実施形態にかかる画像形成装置4000の概略構成図である。図13は、光走査装置1001の光学系部品を示した斜視図である。図12に示すように、画像形成装置4000は光走査装置1001を備えており、光走査装置1001は上述した光偏向装置1を備えている。
図12に示すように、画像形成装置4000は、感光体ドラム1002を備えている。感光体ドラム1002のドラム外側には、帯電手段1004、現像手段1005、転写手段1006、クリーニング手段1009が設けられている。感光体ドラム1002は矢印1003方向に回転駆動され、帯電手段1004により帯電された表面に、光走査装置1001により光走査されることによって、静電潜像が形成される。この静電潜像は現像手段1005でトナー像に顕像化され、このトナー像は転写手段1006で記録紙1007に転写される。転写されたトナー像は定着手段1008によって記録紙1007に定着される。感光体ドラム1002の転写手段1006の対向部を通過した感光体ドラム1002の表面部分は、クリーニング手段1009により残留トナーが除去される。
なお、感光体ドラム1002に代えてベルト状の感光体を用いる構成も可能である。また、トナー像を記録紙1007以外の転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる構成とすることも可能である。
図12に示すように、光走査装置1001は、光源部1020と、光源駆動手段1500と、光偏向装置1と、コリメータレンズ等による結像光学系1021と、走査光学系1023(1023a〜1023c、図13参照)とを主に備えている。光源部1020としては、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームを発するレーザ素子が用いられる。光源駆動手段1500は、レーザビームを変調する。光偏向装置1は、レーザビームを偏向する。結像光学系1021は、光偏向装置1のミラー基板のミラー面に光源部1020からの、記録信号によって変調されたレーザビーム(光ビーム)を結像させる。走査光学系1023は、ミラー面で反射・偏向された1本又は複数本のレーザビームを感光体ドラム1002の表面(被走査面)に結像させる。光偏向装置1は、その駆動のための集積回路(駆動手段)1024とともに回路基板1025に実装された形で光走査装置1001(光書込みユニット)に組み込まれている。
図14は、光偏向装置1と駆動手段1024との接続図である。図14に示すように、光偏向装置1は駆動手段1024と電気的に接続されている。駆動手段1024は、光偏向装置1の駆動部30a、30b(図1参照)の上部電極34aと下部電極35a(図4参照)とに駆動電圧を印加する。これにより、光偏向装置1のミラー支持部10が回転してレーザ光が偏向され、レーザ光は、ビーム走査面である感光体ドラム1002(図12、図13参照)上を光走査することとなる。
図13に戻って、光源部1020からのレーザ光は、結像光学系1021を経た後、光偏向装置1により偏向される。光偏向装置1で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ1023aと第二レンズ1023b、反射ミラー1023c(図13参照)からなる走査光学系1023を経て、ビーム走査面である感光体ドラム1002に照射される。
以上のように、第4の実施形態にかかる画像形成装置4000は、第1〜第3の実施形態にかかるミラー支持部10、210、310のいずれか1つを備えた光偏向装置1を備えている。上述したように、第1〜第3の実施形態にかかる光偏向装置1はミラー支持部10、210、310の剛性向上により光学特性を向上させることができ、高速駆動も安定して行うことができる。従って、第4の実施形態の画像形成装置4000は、走査光の光学特性を向上させて潜像画像の画質向上を図ることができる。また、画像形成装置4000は、感光体ドラム1002上への高速走査も安定して行うことができるので、画像形成効率の向上を図ることができる。
また、第1〜第3の実施形態にかかる光偏向装置1は、従来の回転多面鏡(ポリゴンミラー)に比べて、駆動電力が小さい。従って、画像形成装置4000において回転多面鏡に替えて光偏向装置1を用いることで、画像形成装置4000の省電力化を図ることができる。
また、光偏向装置1の動作音、即ち、ミラー支持部10、210、310の振動時の風切り音は、回転多面鏡の動作音に比べて小さい。従って、画像形成装置4000において回転多面鏡に替えて光偏向装置1を用いることで、画像形成装置4000の静音性を向上させることができる。
さらに、光偏向装置1は、回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、発熱量もわずかである。従って、画像形成装置4000において回転多面鏡に替えて光偏向装置1を用いることで、画像形成装置4000の小型化を図ることができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、画像投影装置において、2軸方向に光を偏向する光偏向装置1dを備えた例について説明する。尚、光偏向装置1dは、2軸方向に光を偏向する点を除いては上述の光偏向装置1と同様の構成を有し、第1〜第3の実施形態で説明したミラー支持部10、210、310のうちいずれか1つを備えている。
図15は、第5の実施形態にかかる画像投影装置5000の全体構成を示す斜視図である。図15に示すように、画像投影装置5000の筐体2000には、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる3波長のレーザ光を出射するレーザ光源2001−R、2001−G、2001−Bが取り付けられている。また、レーザ光源2001−R、2001−G、2001−Bの出射端近傍には、レーザ光源2001−R、2001−G、2001−Bからの出射光を略平行光に集光するレンズ2002−R、2002−G、2002−Bが配置されている。また、画像投影装置5000は、2軸方向にレーザ光を偏向する光偏向装置1dを備えている。光偏向装置1dのより詳細な構成については、図16、図17とともに後述する。
レンズ2002−R、2002−G、2002−Bで略平行にされたR、G、Bのレーザ光は、ミラー2003やハーフミラー2004を経て、合成プリズム2005によって合成され、光偏向装置1dのミラー面に入射される。
ここで、光偏向装置1dの構成例について説明する。図16は、光偏向装置1dの裏面斜視図であり、図17は、光偏向装置1dの裏面正面図である。光偏向装置1dのミラー支持部10は、第1〜第3の実施形態にかかるリブ11を備えている。尚、図16、図17においてリブ11の2次元形状(X方向およびY方向の構造)は、図5で示した2次元形状とは異なるが、リブ高さ方向(Z方向)の構造は、第1〜第3の実施形態において上述した構造を有している。即ち、リブの裾部には傾斜部が設けられ、リブの重心が裾部寄りになるように構成されている。尚、図16、図17の光偏向装置1dのリブ11には、図5で示した2次元形状を適用してもよい。
図16、図17に示すように、光偏向装置1dの駆動部30(30a、30b)は、可動枠140に片持ち支持されている。また、可動枠140は、ミラー支持部10の回動軸方向に対して直交する方向回りに回動自在に支持されている。
即ち、可動枠140は、一対の可動枠トーションバースプリング120a、120bを介して固定枠40に支持されている。可動枠トーションバースプリング120a、120bのそれぞれには、駆動梁131a、131bがそれぞれ接続されている。即ち、図16に示すように、駆動梁131a、131bは、固定枠40に片持ち支持され、駆動梁131a、131bの自由端部側に可動枠トーションバースプリング120a、120bが接続されている。
そして、駆動梁131a、131bの片面にはそれぞれ、圧電部材132a、132b(図17参照)が積層されることにより、可動枠駆動部130a、130bが形成されている。図16、図17に示すように、可動枠駆動部130a、130bの長手方向は、可動枠トーションバースプリング120a、120bの長手方向と略直交する向きに設けられている。可動枠駆動部130a、130bは、先の図1〜図3に示した駆動部30a、30bと同様の構成を有している。
この光偏向装置1dは、可動枠駆動部130a、130bの上下振動により可動枠トーションバースプリング120a、120bをねじれ変形させて、可動枠140を、可動枠トーションバースプリング120a、120bの長手方向回りに揺動させる。そしてこれにより、駆動部30a、30b、トーションバースプリング20a、20bを介して可動枠140に支持されたミラー支持部10を、可動枠トーションバースプリング120a、120bの長手方向回りに揺動させることができる。
これにより、ミラー支持部10に接続されたトーションバースプリング20a、20bの長手方向回りの揺動と、可動枠140に接続された可動枠トーションバースプリング120a、120bの長手方向に対して直交する方向回りの揺動とを行うことができる。即ち、光偏向装置1dは、2軸方向に光を偏向することができる。また、トーションバースプリング20a、20bの長手方向回りの揺動の固有周波数と、可動枠トーションバースプリング120a、120bの長手方向回りの揺動の固有周波数と、を異ならせておき、それぞれの周波数で駆動部30a、30bと、可動枠駆動部130a、130bを駆動することで、ミラー支持部10を2軸方向に大きく回転させることができる。
そして、図15に示すように、光偏向装置1dのミラー面に入射した合成レーザ光は、光偏向装置1dによって2次元偏向走査されて投影面2007に投射され、画像を投影する。
図18は、画像投影装置5000の制御系の概略構成図である。なお、図18では、3波長のレーザ光源や集光レンズをそれぞれ一つにまとめて、レーザ高原2001、レンズ2002として示した。また、ミラー、ハーフミラー、合成プリズムは省略してある。
画像生成部2011は、画像情報に応じて画像信号を生成する。生成された画像信号は、変調器2012を介して光源駆動回路2013に送信され、スキャナ駆動回路2014には画像同期信号が送信される。
スキャナ駆動回路2014は、画像同期信号に応じて駆動信号を光偏向装置1dに与える。この駆動信号によって、光偏向装置1dのミラー支持部10は、直交した2つの方向に所定角度(例えば10deg程度)の振幅で共振振動し、入射したレーザ光が二次元偏向走査される。一方、レーザ光源2001から出射されるレーザ光は、光源駆動回路2013により、光偏向装置1dの二次元偏向走査のタイミングに合わせて強度変調されており、これによって、投影面2007に二次元の画像情報が投影される。強度変調はパルス幅を変調してもよいし、振幅を変調してもよい。変調器2012は、画像信号をパルス幅変調あるいは振幅変調し、この変調された信号を光源駆動回路2013によりレーザ光源2001を駆動できる電流に変調してレーザ光源2001を駆動する。
以上のように、第5の実施形態にかかる画像投影装置5000は、第1〜第3の実施形態にかかるミラー支持部10、210、310のいずれか1つを備えた光偏向装置1dを備えている。上述したように、第1〜第3の実施形態にかかる光偏向装置1はミラー支持部10、210、310の剛性向上により光学特性を向上させることができ、高速駆動も安定して行うことができる。従って、第5の実施形態の画像投影装置5000は、投影光による投影画像の画質向上を図ることができる。また、ミラー13の高速駆動を安定して行えるので、投影画像のちらつきを低減させることができる。
また、第5の実施形態では、第4の実施形態と同様に、回転多面鏡を用いた場合に比べて駆動電力が低減でき、画像投影装置5000の省電力化を図ることができる。また、上述したように、回転多面鏡を使用する場合に比べて動作音を低減できるため、画像投影装置5000の静音性を向上させることができる。また、上述と同様に、画像投影装置5000の小型化を図ることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、画像読取装置として機能するバーコードリーダにおいて、上述した光偏向装置1を備えた例について説明する。尚、光偏向装置1は、第1〜第3の実施形態で説明したミラー支持部10、210、310のうちいずれか1つを備えている。
図19は、第6の実施形態にかかるバーコードリーダ6000の全体構成を示す斜視図である。図19に示すように、バーコードリーダ6000は、上述した光偏向装置1を備えている。バーコードリーダ6000において、レーザダイオード3001から出射されたレーザ光は、集光レンズ3002で収束される。レーザ光は、開口絞り3003と、コレクターレンズ3004の中央に形成された開口部とを経て、光偏向装置1で偏向される。光偏向装置1は、レーザ光を偏向しながらバーコード面3006を走査し、バーコード3007の画像を走査する。
バーコード面3006からの反射光は、光偏向装置1およびコレクターレンズ3004で順次反射される。その後、反射光は、バンドパスフィルタ3008を経てホトディテクタ3009で受光される。バーコードリーダ6000は、ホトディテクタ3009の出力に基づいてバーコード3007のコードデータを読み取る。
以上のように、第6の実施形態にかかるバーコードリーダ6000は、第1〜第3の実施形態にかかるミラー支持部10、210、310のいずれか1つを備えた光偏向装置1を備えている。上述したように、第1〜第3の実施形態にかかる光偏向装置1はミラー支持部10、210、310の剛性向上により光学特性を向上させることができ、高速駆動も安定して行うことができる。従って、第6の実施形態のバーコードリーダ6000は、走査光の光学特性を向上させることができ、バーコードの読取成功率の向上を図ることができる。また、ミラー13の高速駆動を安定して行えるので、バーコードの読取速度の向上を図ることができる。
また、第6の実施形態では、第4、第5の実施形態と同様に、回転多面鏡を用いた場合に比べて駆動電力が低減でき、バーコードリーダ6000の省電力化を図ることができる。また、上述したように、回転多面鏡を使用する場合に比べて動作音を低減できるため、バーコードリーダ6000の静音性を向上させることができる。また、上述と同様にバーコードリーダ6000の小型化を図ることができる。
尚、本実施形態にかかる光偏向装置1を、バーコードリーダ6000以外の装置に適用してもよく、例えば、レーザレーダ装置等に適用することができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図5、図6にて上述した第1の実施形態にかかるミラー支持部10の製造例について説明する。図20は、実施例1におけるミラー支持部の製造工程を示した図である。
実施例1では、ミラー支持部10を、SOI(Silicon On Insulator)基板104を用いて製造した。SOI基板104は、リブ11が形成されることとなるSi膜103と、SiO2膜102と、Si基板101とが積層された基板であり、Si/SiO2/Siの3層構造となっている。Si膜103(活性層)の厚みは40μm、SiO2膜102(Box層)の厚みは0.5μm、Si基板101(支持層)の厚みは200μmとした。また、SOI基板104としては、4インチ、6インチ、8インチ、12インチのSOIウェハをそれぞれ用いた。
図20(a)に示すように、SOI基板104のリブ形成面(即ち、ミラー13の形成面の反対側)に、半導体リソグラフィー技術によってレジストパターン105を形成した。
次に、図20(b)に示すように、レジストパターン105をマスクとして、ICPドライエッチ(即ち、高密度プラズマを用いたドライエッチング)によりSOI基板104のエッチングを行った。エッチングは、ボッシュプロセスを適用した。実施例1のエッチング条件は、エッチステップにおいては、圧力4Pa、時間2sec、コイルパワー2200W、プラテンパワー170W、SF6ガス400sccmとした。また、デポステップにおいては、圧力4Pa、時間1sec、コイルパワー2200W、プラテンパワー0W、C4F8ガス400sccmとした。また、エッチング工程においては、SiFの発光強度(440nm)をモニターし、エッチング波形が下降に転じた時点から10秒程度経過した後に、エッチングを終了した。
次に、図20(c)に示すように、酸素プラズマを用いたドライアッシングによりレジストパターン105を除去した。
図20(b)に示すような微細加工プロセスでは、加工パターンのアスペクト比(パターン寸法と深さの比)が増大すると、エッチング速度が低下するマイクロローディング効果と呼ばれる現象が起こる。即ち、レジストパターン105の根本近傍では、他の箇所よりエッチングの開口面積が小さいため、根本近傍におけるエッチング速度は他の箇所よりも遅くなる。このような現象を生かすことにより、実施例1では、図20(c)に示すように、上部には垂直形状の垂直部11cを備え、下部(根本)には裾広がり形状(フレア形状)の傾斜部11dを備えた、リブ11を製造することができた。
また、上述した条件によれば、傾斜部11dの裾(縁)の先端が、ミラー支持部10のエッジEまで延びた構造とすることができ、SiO2膜102の全面にかけてSi膜103の傾斜部11dで被覆することができた。即ち、実施例1によれば、ミラー支持部10の断面構造は、その全面にかけて、Si基板101と、SiO2膜102と、Si膜103のリブ11とによるSi/SiO2/Siの3層構造とすることができた。
以上のように、実施例1によれば、傾斜部11dを有さない従来のリブ構造を製造する工程に対して新たな工程を追加することなく、エッチング条件(エッチング時間)を制御することにより、第1の実施形態にかかるリブ11の形状を製造することができた。
(実施例2)
実施例2では、図7、図8にて上述した第2の実施形態にかかるミラー支持部210の製造例について説明する。図21は、実施例2におけるミラー支持部の製造工程を示した図である。
図21(a)に示すように、SOI基板104のリブ形成面(即ち、ミラー13の形成面の反対側)に、半導体リソグラフィー技術によってレジストパターン105を形成した。当該工程は、実施例1と同様である。
次に、図21(b)に示すように、レジストパターン105をマスクとして、ICPドライエッチによりSOI基板104のエッチングを行った。エッチングは実施例1と同様に、ボッシュプロセスを適用した。実施例2におけるエッチング条件は実施例1と同様の値とした。そして、実施例2では、SiFの発光強度(440nm)をモニターし、エッチング波形が下降に転じた時点から40秒程度経過した後に、エッチングを終了した。
その後、図21(c)に示すように、酸素プラズマを用いたドライアッシングによりレジストパターン105を除去した。
実施例2では、以上のようにエッチング時間を実施例1より長くすることで、図21(c)に示すような形状の傾斜部211dを有するリブ211を製造できた。傾斜部211dの裾(縁)の先端は、ミラー支持部210のエッジEには至らず、エッジEよりも内側に位置していた。即ち、実施例2によれば、ミラー支持部210において傾斜部211dが配置されている箇所はSi/SIO2/Siの3層構造とし、傾斜部211dが設けられていない箇所はSiO2/Siの2層構造とすることができた。
尚、傾斜部211dの形状やサイズ、裾(縁)の先端位置は、エッチング波形下降後の処理時間(上述では40秒程度とした)を適宜設定することにより、所望の形状やサイズ、先端位置に制御することができる。
以上のように、実施例2によれば、傾斜部211dの縁をミラー支持部210のエッジEよりも内側に位置させた、第2の実施形態にかかるリブ211の形状を製造することができた。
(実施例3)
実施例3では、図10、図11にて上述した第3の実施形態にかかるミラー支持部310の製造例について説明する。図22は、実施例3におけるミラー支持部310の製造工程を示した図である。
図22(a)に示すように、SOI基板104のリブ形成面(即ち、ミラー13の形成面の反対側)に、半導体リソグラフィー技術によってレジストパターン105を形成した。当該工程は、実施例1、2と同様である。
次に、図22(b)に示すように、レジストパターン105をマスクとして、ICPドライエッチによりSOI基板104のエッチングを行った。エッチングは実施例1、2と同様に、ボッシュプロセスを適用した。実施例3におけるエッチング条件は、実施例1、2と同様の値とした。また、実施例2と同様に、SiFの発光強度(440nm)をモニターし、エッチング波形が下降に転じた時点から40秒程度経過した後に、エッチングを終了した。これにより、実施例2と同様の形状の垂直部11c、傾斜部211dを得ることができた。
次に、図22(c)に示すように、レジストパターン105を残したまま、SiO2ドライエッチを行った。SiO2ドライエッチの条件は、圧力240Pa、CHF3ガス10sccm、CF4ガス90sccm、Ar3ガス300sccm、RFパワー500Wとした。これにより、図22(b)に示すように、表面に露出している箇所のSiO2膜102をエッチングし、リブ211が設けられている箇所以外のSiO2膜を図22(c)に示すように除去することができた。尚、リブ211の下部に残ったSiO2膜3102は、第3の実施形態にかかるリブ311の下部構造として機能する。
その後、図20(d)に示すように、酸素プラズマを用いたドライアッシングによりレジストパターン105を除去した。
以上のように、実施例3では、図22(c)で示したSiO2ドライエッチの工程を加えることにより、根本(下部)にSiO2膜3102を有するリブ311を製造できた。また、実施例3では、ミラー支持部310においてリブ311が設けられている箇所はSi/SiO2/Siの3層構造とし、リブ311が設けられていない箇所は、実施例2より更に1層減ってSi基板101の1層構造とすることができた。
第3の実施形態において上述したように、ミラー支持部310のエッジE近傍をSi基板101の1層構造とすると、エッジE近傍の強度を高めることができる。従って、実施例3によれば、エッジE近傍の強度の高いミラー支持部310を製造することができた。
以上のように、実施例1〜3によれば、従来の製造工程を大きく変更することなく、十分な剛性と光学特性とを確保したミラー支持部10、210、310を製造することができた。このように、上記実施例1〜3で示した製造方法によれば、従来の製造工程を大きく変更することがないので、製造コストを従来と比較して大きく増加させることなく、光偏向装置1の剛性向上と光学特性向上とを図ることができる。