JP6520118B2 - 色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び発光表示装置 - Google Patents
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Description
これらの液晶表示装置や発光表示装置には、カラーフィルターが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルターを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルターは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、発光表示装置では、白色発光の発光素子にカラーフィルターを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
技術進化により電池容量が大きくなったとはいえ、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルターを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
このような着色層の形成方法においては、色材として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた顔料分散法が広く用いられてきた。しかし、顔料を用いたカラーフィルターでは、現在の更なる高輝度化の要求を達成することが困難となってきた。
例えば、特許文献1には、トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が知られている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の染料と対アニオンの造塩化合物は、いずれも耐熱性、及び繊維への染着性が不十分であり色落ちの問題があった。
aは1以上の数を表し、Xa−はa価のアニオンを表す。
R1〜R6及びArが複数ある場合、当該複数あるR1〜R6及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
また、本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)におけるaが2以上である色材を選択して用いることができる。
また本発明は、前記本発明に係るカラーフィルターと、発光体とを有する、発光表示装置を提供する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において有機基とは、炭素原子を1個以上有する基のことをいう。
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
aは1以上の数を表し、Xa−はa価のアニオンを表す。
R1〜R6及びArが複数ある場合、当該複数あるR1〜R6及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の色材分散液に用いられる色材(1)は、上記一般式(I)で表されるように、トリアリールメタン骨格を有するカチオンを含み、当該トリアリールメタン骨格におけるR1〜R6のうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む置換基である。炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基は、鎖状の脂肪族炭化水素基や平面的な構造を有する芳香族炭化水素基と比較して嵩高い構造を有している。即ち、脂環式炭化水素基においては、各炭素原子の分子軌道はSP3混成軌道になることから、炭素原子及び当該炭素原子に結合する水素原子は3次元的に配置されて嵩高くなっている。例えば炭素原子数が6の脂環式炭化水素基であるシクロヘキシル基は、いわゆるいす型配座や舟形配座をとり、炭素原子が3次元的に配置されると共に、各炭素原子が有する2本のC−H結合のうち1本は、炭素環が作る擬和平面に対して垂直となっているため、嵩高い構造となっている。
このような嵩高い構造を有するトリアリールメタンカチオンは、分子間のπ−π相互作用が阻害されやすいため、従来のトリアリールメタン系染料と比較して、凝集した状態であっても、トリアリールメタン骨格の積み重ね(スタッキング)が生じにくいものと推定される。そのため、一般式(I)で表される化合物は、凝集体中でトリアリールメタン骨格同士が近接しすぎず、ある程度の間隔をもって配置されるものと推定される。そのため、一般式(I)で表される化合物は、スタッキングしやすい従来のトリアリールメタン系染料と比較して、効率よく光を吸収するものと推定される。その結果、一般式(I)で表される色材の凝集物は、従来よりも高いモル吸光係数を有するという特徴も有している。
本発明の色材分散体は、このような一般式(I)で表される色材(1)を凝集物の状態で(B)分散剤により分散しているため、耐熱性に優れ、高温加熱後においても輝度やコントラストの低下が抑制されて、高輝度且つ高コントラストな塗膜を形成可能な色材分散液となる。
本発明の(A)色材は、少なくとも下記一般式(I)で表される色材(1)を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の色材を含有するものである。本発明において(A)色材は、上記色材(1)を含有するため、耐熱性に優れ、高輝度且つ高コントラスト化を達成することが可能となる。
一般式(I)において、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基である。当該2価の芳香族基は、特に限定されず、得られる化合物の色調などを考慮して適宜選択することができる。当該芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。
これらの芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素原子数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点からより好ましく、中でも、エチル基又はメチル基であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基が置換基として有してもよい芳香族炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、炭素原子数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素原子数が6〜16の芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点から、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の他、ノルボルニル基、ビシクロ[2,2,2]オクチル基、アダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基が挙げられる。本発明においては、耐熱性の点から、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基の中でも有橋脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数が7以上、より好ましくは炭素減数が10以上のの有橋脂環式炭化水素基であることが好ましい。
なお本発明において、有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいう。有橋脂環式炭化水素基は、脂肪族環内に橋かけ構造を有しない脂環式炭化水素基と比較して、更に嵩高い構造を有しているため、化合物の凝集物はバルクがより小さくなり、耐熱性が向上するものと推定される。
一方、脂環式炭化水素基の炭素原子数の上限は特に限定されないが、構造が単純で原料が入手しやすい点から、12以下であることが好ましく、更に10以下であることが好ましい。
なお、対応する脂環式炭化水素とは、脂環式炭化水素基に水素を付加した化合物をいい、例えば、ノルボルニル基に対応する脂環式炭化水素は、ノルボルナン(融点85℃)であり、アダマンチル基に対応する脂環式炭化水素はアダマンタン(融点270℃)である。
R1〜R6における芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、シクロヘキシルフェニル基、ノルボルニルフェニル基、アダマンチルフェニル基等が挙げられる。
aは1以上の数を表し、本発明において一般式(I)で表される色材(1)は、aが1である化合物、即ち、1価のアニオンを有する化合物であってもよく、また、一般式(I)で表される色材(1)物は、aが2以上である化合物、即ち、2価以上のアニオンを有する化合物であってもよい。色材の溶解度が低下して、分散性及び分散安定性に優れる点からは、前記色材(1)におけるaが2以上である化合物、即ち、2価以上のアニオンを有する化合物であることが好ましいが、溶媒や分散剤の選択により、1価のアニオンを有する一般式(I)で表される色材(1)を分散して用いることができる。
以下、Xa−が1価のアニオンである場合と、Xa−が2価以上のアニオンである場合について順に説明するが、本発明においては、一般式(I)で表される色材(1)におけるXa−が、1価のアニオンと2価以上のアニオンの混合物であってもよい。
一般式(I)で表される色材(1)において、Xa−が1価のアニオンである場合、1価のアニオンは、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表し、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオンや、硝酸イオン(NO−)、過塩素酸イオン(ClO4 −)等が挙げられる。
アニオン性置換基としては、例えば、−SO2N−SO2CH3、−SO2N−COCH3、−SO2N−SO2CF3、−SO2N−COCF3、−CF2SO2N−SO2CH3、−CF2SO2N−COCH3、−CF2SO2N−SO2CF3、−CF2SO2N−COCF3等のイミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −、−COO−、−CF2COO−等の置換基が挙げられる。
中でも、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −が好ましく、更に、−SO3 −(スルホナト基)であることが好ましい。
上記アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]ヘキサン、ビシクロ[3,2,3]オクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記一般式(I)で表される色材(1)の色調を所望のものに調整することができる。
Xa−が2価以上のアニオンである場合、当該アニオンは特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。
Xa−が2価以上の有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SO2N−SO2CH3、−SO2N−COCH3、−SO2N−SO2CF3、−SO2N−COCF3、−CF2SO2N−SO2CH3、−CF2SO2N−COCH3、−CF2SO2N−SO2CF3、−CF2SO2N−COCF3等のイミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −、−PO3 2−、−COO−、−CF2PO3 2−、−CF2COO−等の置換基が挙げられる。
中でも、カチオンを安定化し、色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −が好ましく、更に、−SO3 −(スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料及びフタロシアニン染料、インジゴ染料に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記一般式(I)で表される色材(1)の色調を所望のものに調整することができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(MmOn)c−であってもヘテロポリ酸イオン(XlMmOn)c−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。
中でも、耐熱性の点から、少なくともタングステンを含み、且つモリブデンを含んでいてもよいポリ酸アニオンであることが好ましく、中でも、全ポリ酸アニオン中の前記モリブデンの前記タングステンに対するモル比が2/98以下であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(A)で表される化合物と、下記一般式(B)で表される化合物とを縮合反応させてトリアリールメタンカチオンを製造した後、必要に応じて、当該カチオンと、所望のアニオンとを溶媒中で混合することにより、所望のアニオンを有する前記一般式(I)で表される化合物が得られる。
一般式(A)で表される化合物、及び一般式(B)で表される化合物は、それぞれ市販品を用いてもよく、所望の構造を有する化合物を合成してもよい。
R5又はR6に炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有する一般式(A)で表される化合物は、例えば、所望の置換基Ar’が導入されたハロゲン化芳香族化合物と、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有するアミン化合物を、塩基存在下、酢酸パラジウム等を触媒として溶媒中で反応させることにより得ることができる。
前記ハロゲン化芳香族化合物の使用量は、前記アミン化合物に対して1.5〜10モル当量とすることが好ましく、1.5〜3.0モル当量とすることがより好ましく、更に、1.8〜2.2モル当量とすることが副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常100〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から130〜145℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常6〜72時間、好ましくは6〜48時間の範囲に設定される。
上記反応において用いられる一般式(B)で表される化合物の使用量は、前記一般式(A)に対して、1.5〜4.0モル当量であることが好ましく、1.5〜3.0モル当量であることがより好ましく、更に1.8〜2.2モル当量であることが、副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常110〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から110〜120℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常1〜10時間、好ましくは1〜5時間の範囲に設定される。
(A)色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
その他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド82等の顔料や、アシッドレッド等の染料が挙げられる。
色材分散液中の(A)色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
また、本発明の色材分散液において、(A)色材として、一般式(I)で表される色材(1)と、その他の色材を混合して用いる場合、混合比は、所望の色調に調製するために適宜設定すればよく、特に限定されない。耐熱性の点からは、(A)色材全量100質量部中、色材(1)が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましい。
本発明の色材分散液において、(A)色材中の少なくとも一般式(I)で表される色材(1)は、(B)分散剤により、溶剤中に分散させて用いられる。(B)分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
以下、上記好ましい分散剤について詳細に説明する。
本発明においては(B)分散剤として、少なくとも下記一般式(II)で表される構成単位を有した重合体を好適に用いることができる。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(II)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
また、一般式(II)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK−LPN6919等が挙げられる。
本発明において分散剤は、上記一般式(II)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体も好適に用いることができる。
本発明においては、塩形成剤を用い、一般式(II)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。特に、塩形成剤が酸性有機リン化合物である場合には、色材の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、色材表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素による色材の染料骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制され、染料骨格を含む色材の耐熱性や耐光性が向上する。このため、酸性有機リン化合物によって塩変性した重合体を分散剤として用いると、本発明に用いられる高透過率の色材(A)が良好に分散した状態で高温加熱時の退色をより抑制できることから、カラーフィルター製造工程における高温加熱工程を経ても、より高輝度な着色層を形成できる。
また、分散剤として好適に用いられるウレタン系分散剤は、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなる分散剤である。
ウレタン系分散剤を用いることにより、少量で良好な分散が可能なとなる。分散剤を少量とすることにより、相対的に硬化成分等の配合量を増やすことができ、その結果、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
本発明においては(C)溶剤は、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられ、中でも、分散時の溶解性や塗布適性の点からエステル系溶剤を用いることが好ましい。
中でも、人体への危険性が低いこと、室温付近での揮発性が低いが加熱乾燥性が良い点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。この場合には、従来のPGMEAを用いた着色樹脂組成物との切り替えの際にも特別な洗浄工程を必要としないというメリットがある。
本発明の色材分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む色材分散液の全量に対して、通常は60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、色材濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
本発明の色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の色材分散液は、前記分散剤を溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、色材と必要に応じてその他の化合物を混合し、分散機を用いて分散させることによって調製することができる。また、本発明の色材分散液は、色材と分散剤を溶剤に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製してもよい。
本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物を後述する感光性樹脂組成物とした場合には現像性が良好である。通常、カチオン染料は後述するアルカリ可溶性樹脂中のアクリル酸基と染料のもつカチオンとの静電相互作用によって現像時のアルカリ水溶液への溶解性が低下してしまう。特に樹脂組成物中に均一に溶解している場合にはその影響は大きいため、現像溶解性が乏しい。一方、本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、一般式(I)で表される色材は分散剤によって分散されるため、色材微粒子の周りを分散剤が覆い、その立体障害によって上記のアルカリ可溶性のアクリル酸基との静電相互作用がなくなるため、十分な現像溶解性を有すると推測される。
以下、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る色材分散液に含まれ得る成分については、上記色材分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。中でも、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルターの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のものを挙げることができる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルター用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルター用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。
(A)色材の合計の含有量は、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3〜65質量%、より好ましくは4〜55質量%の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、カラーフィルター用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、分散性及び分散安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
また、(B)分散剤の含有量としては、(A)色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して3〜40質量%用いることができる。更に、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して5〜35質量%の割合で配合するのが好ましく、特に5〜25質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、(A)色材の分散性及び分散安定性に優れ、保存安定性に優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
バインダー成分は、これらの合計量がカラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して10〜92質量%、好ましくは15〜87質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れたり、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
また、(C)溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記カラーフィルター用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55〜95質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、65〜88質量%の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを含有し、(A)色材が(B)分散剤より(C)溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(1)(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを混合して色材分散液を調製した後、当該色材分散液に、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)(C)溶剤中に、(A)色材と、(B)分散剤と、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法;(3)(C)溶剤中に、(B)分散剤と、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、(A)色材を加えて混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。上記(1)の方法において、色材分散液の調製方法としては、(A)色材が分散剤により溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、公知の混合手段を用いることができる。
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明のカラーフィルターに用いられる着色層は、少なくとも1つが、一般式(I)で表される色材(1)を含む着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
まず、カラーフィルター用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルター用着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルター用着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
本発明のカラーフィルターにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルターに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルターにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性やフレキシブル性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、液晶層と、耐光基板とを有することを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、通常、前記本発明のカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有する。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルター10と、透明基板23上に電極基板22を備えた対向基板30と、上記カラーフィルター10と上記対向基板30との間に形成された液晶層25とを有しており、カラーフィルター10と液晶層25との間に透明電極膜21を有する。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、基板21及び基板22としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができ、例えば、透明基材上に、透明電極と配向膜を有するもの等とすることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルター及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封止することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルターの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルターを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルター及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
本発明に係る発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の発光表示装置100は、カラーフィルター10と、発光体80とを有している。カラーフィルター10と、発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた発光表示装置として公知の構成とすることができる。
(1)中間体Aの合成
水175mLに、2−アダマンタンアミン塩酸塩25g(133.2mmol)を加え、次いで、水酸化ナトリウム5.9g(147.5mmol)を加えて、室温で1時間撹拌し、ろ過した。水でケーキを洗浄し、乾燥させ、2−アダマンタンアミンを15.6g得た。
キシレン50mL中にt−ブトキシナトリウム26.0g(270.6mmol)、2−アダマンタンアミン13.9g(91.9mmol)、トリフェニルホスフィン0.51g(1.94mmol)、酢酸パラジウム0.22g(0.98mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン20.0g(96.6mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(1)で表される中間体Aが3.5g(収率13%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):278(M+H)
クロロベンゼン15g中に、前記中間体A 3.0g(10.8mmol)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン4.8g(14.8mmol)、オキシ塩化リン2.4g(15.7mmol)を加えて、40−45℃で2時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(2)で表される色材A−1が2.2g(収率33%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):584(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (79.27%、8.09%、6.83%);理論値(79.39%、8.12%、6.77%)
また当該色材A−1は、波長600nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、92600 L/(mol・cm)であった。
なお、モル吸光係数は、日立ハイテクノロジー社製 U−4100分光光度計を用い、サンプリング間隔:0.5nm、1cm石英セルを用いて測定を行い、下記式にて算出した。
モル吸光係数(ε)= 極大波長における吸光度/モル濃度
関東化学製12タングストリン酸・n水和物1.84g(0.52mmol)をメタノール40mL、水40mLの混合液に加熱溶解させ、前記色材A−1 1.0g(1.6mmol)を加え、1時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿物を減圧乾燥して下記化学式(3)で表される色材A−2を2.4g(収率96%)を得た。
得られた化合物(色材A−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M+)、2879(M−)
・元素分析値:CHN実測値 (31.85%、8.10%、6.93%);理論値(31.90%、3.26%、2.72%)
・蛍光X線分析:Mo/W実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
XRFの測定条件として、上記色材の測定径を30mmφ、測定雰囲気を13Paの真空状態、測定元素は、B(ボロン)から原子番号順にU(ウラン)までの元素を対象とした。
(1)中間体Bの合成
キシレン32mL中にt−ブトキシナトリウム8.2g(85.3mmol)、1−アダマンタンメチルアミン9.6g(58.1mmol)、トリフェニルホスフィン0.32g(1.22mmol)、酢酸パラジウム0.14g(0.62mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン12.6g(60.8mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(4)で表される中間体Bが2.5g(収率14%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):292(M+H)
クロロベンゼン11.0g中に、中間体B 2.2g(7.5mmol)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン3.6g(11.1mmol)、オキシ塩化リン1.8g(11.7mmol)を加えて、40−45℃で2時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(5)で表される色材B−1が1.3g(収率25%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):598(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (79.71%、8.18%、6.76%);理論値(79.52%、8.26%、6.62%)
また当該色材B−1は、波長586nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、83600 L/(mol・cm)であった。
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材B−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(6)で表される色材B−2を得た(収率97%)。
得られた化合物(色材B−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):598(M+)、2879(MH2−)
・元素分析値:CHN実測値 (32.45%、3.42%、2.65%);理論値(32.38%、3.36%、2.70%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
(1)中間体Cの合成
キシレン62mL中にt−ブトキシナトリウム16.2g(168.6mmol)、シクロヘキシルアミン11.4g(115.0mmol)、トリフェニルホスフィン0.63g(2.40mmol)、酢酸パラジウム0.27g(1.20mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン25.0g(120.7mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(7)で表される中間体Cが5.9g(収率22%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):226(M+H)
クロロベンゼン25g中に、前記中間体C 5.0g(22.2mmol)、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン9.9g(30.5mmol)、オキシ塩化リン4.9g(32.0mmol)を加えて、40−45℃で3時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(8)で表される色材C−1が4.3g(収率34%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):532(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.94%、7.27%);理論値(78.21%、8.16%、7.39%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
また当該色材C−1は、波長588nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、80900 L/(mol・cm)であった。
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材C−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(9)で表される色材C−2を得た(収率96%)。
得られた化合物(色材C−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):598(M+)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (29.84%、3.21%、2.90%);理論値(29.79%、3.11%、2.82%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
前記合成例1の(3)において、関東化学製12タングストリン酸・n水和物9.19g(2.7mmol)の代わりに、関東化学製12タングストリン酸・n水和物9.01g(2.6mmol)および関東化学製12モリブドリン酸・n水和物0.01g(0.054mmol)を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(10)で表されるモリブデンとタングステンとのモル比が2.0:98.0の色材D−2を得た(収率96%)。
得られた化合物(色材D−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−4.02、−15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M+)、1824(M2−)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (32.15%、3.40%、2.60%);理論値(32.04%、3.28%、2.73%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (2.0%、97.9%);理論値(2.00%、98.0)
前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに東京化成製Basic Blue 7を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(11)で表される色材E−2を得た(収率95%)。
得られた化合物(色材E−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):478(M+)、2879(MH2−)
・元素分析値:CHN実測値 (27.65%、2.75%、2.86%);理論値(27.57%、2.80%、2.92%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
なお、Basic Blue 7は、波長593nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、70600 L/(mol・cm)であった。
(1)中間体Fの合成
キシレン62mL中にt−ブトキシナトリウム16.2g(168.6mmol)、n−ヘキシルアミン11.6g(114.6mmol)、トリフェニルホスフィン0.63g(2.40mmol)、酢酸パラジウム0.27g(1.20mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン25.0g(120.7mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(12)で表される中間体Fが11.0g(収率40%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):228(M+H)
クロロベンゼン25g中に、前記中間体F 5.0g(22.0mmol)、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン9.9g(30.5mmol)、オキシ塩化リン4.9g(32.0mmol)を加えて、40−45℃で3時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(13)で表される色材F−1が9.6g(収率77%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):534(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (77.75%、8.62%、7.19%);理論値(77.93%、8.48%、7.37%)
また当該色材F−1は、波長591nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、83200 L/(mol・cm)であった。
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材F−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(14)で表される色材色材F−2を得た(収率92%)。
得られた化合物(色材F−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M+)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (29.78%、3.19%、2.91%);理論値(29.75%、3.24%、2.81%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
反応器に、PGMEA60.74質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60重量%)35.64質量部(有効固形分21.38質量部)をそれぞれ溶解させ、PPAを3.62質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで塩型ブロックポリマー分散剤A溶液(固形分25%)を調製した。
(1)バインダー樹脂Aの合成
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてAIBN 2.0質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aは、質量平均分子量(Mw)8500、数平均分子量(Mn)4200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02、酸価85mgKOH/gであった。
(1)合成例1の色材A−2 13.0質量部と、調製例1で調製した塩型ブロックポリマー分散剤A溶液を20.80質量部(有効固形分5.20質量部)、調製例2のバインダー樹脂A 11.82質量部(有効固形分5.20質量部)、PGMEA54.38質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、色材分散液Aを得た。
(2)上記(1)で得られた色材分散液A 28.57質量部、調製例2で得られたバインダー組成物A 28.29質量部、PGMEA 43.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC社製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン社製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、着色樹脂組成物Aを得た。
実施例1において色材A−2の代わりに色材B−2〜D−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液B〜D、及び着色樹脂組成物B〜Dを得た。
実施例1において色材Aの代わりに色材E−2〜F−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液E〜F、及び着色樹脂組成物E〜Fを得た。
<光学性能評価、耐熱性評価>
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度y=0.082になるようにし、得られた着色基板の色度(x、y)、輝度(Y)、L、a、b(L0、a0、b0)をオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。上記の着色膜が形成された基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、得られた着色膜の色度(x、y)、輝度(Y)及びL、a、b(L1、a1,b1)を測定した。測定した値から、加熱後の色度(x)、輝度(Y)の値、230℃での加熱前後の色差(ΔEab)を算出した。表1に結果を示す。
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、それぞれガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間乾燥した。
この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯で、空気中、ギャップ150μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して50mJ/cm2とした。得られた塗膜を230℃で30分間放置し、作製したガラス基板のコントラスト値を壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用いて測定した。コントラスト値が大きいほど光の散乱度合いが少なく、液晶表示装置のカラーフィルターとして使用した場合の漏れ光が少なくなり、液晶パネルの明暗をはっきりさせることができる。コントラストを大きくするためには、塗膜が均一であることが求められる。結晶の析出や相分離などが生じた不均一な塗膜ではコントラスト値が小さくなる。測定結果を表1に示した。
表1に示される通り、一般式(I)で表される色材である、色材A−2〜D−2を含有する着色樹脂組成物を用いて得られた着色層は、ポストベーク後の色差が小さく、輝度及びコントラストに優れていることが明らかとなった。これは、一般式(I)で表される色材の凝集体において、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有するトリアリールメタン骨格を有するカチオンとポリ酸アニオンの塩形成によって、トリアリールメタン骨格のスタッキングが生じにくく、ある程度の間隔をもって配置されているところ、トリアリールメタン骨格に置換基として導入されている前記脂環式炭化水素基が、色材の凝集体中の空間に均一に配置され、かつ固定化されているため、色材凝集体中の空間が減少し、高密度化した結果、耐熱性が向上したためだと考えられる。中でも、アダマンチル基を有する色材A−2、B−2又はD−2を含有する実施例1、2及び4は、実施例3と比較しても更に耐熱性に優れていることが明らかとなった。これは、アダマンチル基に対応するアダマンタンの融点が270℃と、シクロヘキサンの融点6〜7℃と比較しても高いため、高温加熱時においても色材中で安定していることが耐熱性向上に寄与するものと推定される。一方、鎖状炭化水素基であるエチル基やヘキシル基を含む色材を含有する比較例1、2は耐熱性が低かった。鎖状炭化水素基に対応する鎖増炭化水素の融点が低いため、また、当該鎖状炭化水素基は熱による運動の活性が高く、色材凝集体中の空間において安定に存在できず、耐熱性向上効果が低かったためだと考えられる。また、エチル基に対応するエタン(融点−89℃)よりもヘキシル基に対応するヘキサン(融点−95℃)の方がより融点が低いため、比較例1よりも比較例2の方がより耐熱性が低い結果となったと考えられる。これはアルキル鎖長が延びることによる融点の低下が化合物の不安定化につながったと考えられた。なお色材が熱により劣化した結果、比較例2の見かけのコントラスト値は高くなっている。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルター
21 透明電極膜
22 電極基板
23 透明基板
25 液晶層
30 対向基板
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 発光体
100 有機発光表示装置
Claims (8)
- (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、色材分散液。
aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
R1〜R6及びArが複数ある場合、当該複数あるR1〜R6及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基に対応する脂環式炭化水素の融点が、80〜300℃である、請求項1に記載の色材分散液。
- 前記一般式(I)におけるXa−が、タングステン及びモリブデンより選択される1種以上の原子を含むa価のポリ酸である、請求項1又は2に記載の色材分散液。
- 前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記ポリ酸が、少なくともタングステンを含み、モリブデンの前記タングステンに対するモル比が2/98以下である、請求項3に記載の色材分散液。
- (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
R1〜R6及びArが複数ある場合、当該複数あるR1〜R6及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター。
aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
R1〜R6及びArが複数ある場合、当該複数あるR1〜R6及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。) - 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、液晶層と、対向基板とを有する、液晶表示装置。
- 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、発光体とを有する、発光表示装置。
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