JP6520118B2 - 色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び発光表示装置 - Google Patents

色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び発光表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、色材分散液、カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び発光表示装置に関する。
ディスプレイ等に代表される薄型画像表示装置、いわゆるフラットパネルディスプレイが、ブラウン管型ディスプレイよりも薄く奥行き方向に場所をとらないことを特徴として数多く上市された。その市場価格は生産技術の進化と共に年々価格が手ごろになり、さらに需要が拡大され、生産量も年々増加している。特にカラー液晶テレビはほぼTVのメインストリームに到達した。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や発光表示装置には、カラーフィルターが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルターを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルターは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、発光表示装置では、白色発光の発光素子にカラーフィルターを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められており、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルターの高輝度化が特に求められている。特にモバイルディスプレイ(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)では大きな課題である。
技術進化により電池容量が大きくなったとはいえ、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルターを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
ここで、カラーフィルターは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法においては、色材として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた顔料分散法が広く用いられてきた。しかし、顔料を用いたカラーフィルターでは、現在の更なる高輝度化の要求を達成することが困難となってきた。
高輝度化を達成するための一つの手段として、染料を用いたカラーフィルター用着色樹脂組成物が検討されている。染料は顔料に比べて、一般に透過率が高く、高輝度のカラーフィルターを製造し得るが、耐熱性や耐光性が悪く、カラーフィルター製造工程における高温加熱時等に、色度が変化しやすいという問題があった。また、染料を用いた着色樹脂組成物は、乾燥工程中に異物を析出しやすいという問題があった。塗膜に異物が析出するとコントラストが著しく悪化して着色層として使用することが困難であった。
染料の各種耐性を向上する手法として、染料を造塩する手法が知られている。
例えば、特許文献1には、トリアリールメタン系染料の熱への耐久性を向上させるためにトリアリールメタン染料の対アニオンに塩化物イオン又はアリール硫酸イオンを用いた例が知られている。
特許文献2では、色特性及び耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れる安定なカラーフィルター用着色組成物を得る手段として、トリアリールメタン系塩基性染料と少なくとも2つのスルホン基を有する有機スルホン化物とからなる造塩化合物が記載されている。
また、特許文献3では、耐光性に優れ、耐光性をも満たす着色樹脂組成物を得る手段として、フタロシアニンやアントラキノンなどの色素骨格のスルホン化物を対アニオンとし、カチオンであるトリアリールメタン骨格と塩形成する手法が報告されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の染料と対アニオンの造塩化合物は、いずれも耐熱性、及び繊維への染着性が不十分であり色落ちの問題があった。
特許文献4には、高温においても長時間に亘って輝度に優れた液晶表示が可能となるカラーフィルター用青色顔料として、特定の塩基性トリアリールメタン染料の、タングステン、ケイ素、リンから選ばれるひとつないしは複数の元素と、酸素とを必須元素として含有するアニオンからなるカラーフィルター用青色顔料が開示されている。
特開2008−304766号公報 特開2011−7847号公報 WO2009/107734号公報 特表2011−186043号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の色材は、いずれも耐熱性が不十分であり、更に優れた耐熱性を有する色材が求められている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れ、高輝度で高コントラストな塗膜を形成可能な色材分散液、耐熱性に優れ、高輝度で高コントラストな着色層を形成可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物、耐熱性に優れ高輝度且つ高コントラストなカラーフィルター、当該カラーフィルターを有する液晶表示装置及び発光表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。
aは1以上の数を表し、Xa−はa価のアニオンを表す。
〜R及びArが複数ある場合、当該複数あるR〜R及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも1つが、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基に対応する脂環式炭化水素の融点が、80〜300℃であることが、着色層の耐熱性を向上し、高輝度化及び高コントラスト化の点から好ましい。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)におけるaが1である色材を選択して用いることができる。
また、本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)におけるaが2以上である色材を選択して用いることができる。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)におけるXa−が、タングステン及びモリブデンより選択される1種以上の原子を含むa価のポリ酸であることが、着色層の耐熱性を向上し、高輝度化及び高コントラスト化の点から好ましい。
本発明の色材分散液、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物、及び本発明のカラーフィルターにおいては、前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記ポリ酸が、少なくともタングステンを含み、モリブデンの前記タングステンに対するモル比が2/98以下であることが、着色層の耐熱性を向上し、高輝度化及び高コントラスト化の点から好ましい。
本発明は、前記本発明に係るカラーフィルターと、液晶層と、耐光基板とを備える、液晶表示装置を提供する。
また本発明は、前記本発明に係るカラーフィルターと、発光体とを有する、発光表示装置を提供する。
本発明によれば、耐熱性に優れ、高輝度で高コントラストな塗膜を形成可能な色材分散液、耐熱性に優れ、高輝度で高コントラストな着色層を形成可能なカラーフィルター用着色樹脂組成物、耐熱性に優れ高輝度且つ高コントラストなカラーフィルター、当該カラーフィルターを有する液晶表示装置及び発光表示装置を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルターの一例を示す模式断面図である。 図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。 図3は、本発明の発光表示装置の一例を示す模式断面図である。
以下、本発明に係る色材分散液、カラーフィルター、液晶表示装置、及び発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において有機基とは、炭素原子を1個以上有する基のことをいう。
1.色材分散液
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
(一般式(I)中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。
aは1以上の数を表し、Xa−はa価のアニオンを表す。
〜R及びArが複数ある場合、当該複数あるR〜R及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
本発明に係る色材分散液は、一般式(I)で表される色材(1)を(B)分散剤により、(C)溶剤中で分散して用いることにより、耐熱性に優れ、高輝度且つ高コントラストな塗膜を形成可能な色材分散液となる。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推定される。
本発明の色材分散液に用いられる色材(1)は、上記一般式(I)で表されるように、トリアリールメタン骨格を有するカチオンを含み、当該トリアリールメタン骨格におけるR〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む置換基である。炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基は、鎖状の脂肪族炭化水素基や平面的な構造を有する芳香族炭化水素基と比較して嵩高い構造を有している。即ち、脂環式炭化水素基においては、各炭素原子の分子軌道はSP3混成軌道になることから、炭素原子及び当該炭素原子に結合する水素原子は3次元的に配置されて嵩高くなっている。例えば炭素原子数が6の脂環式炭化水素基であるシクロヘキシル基は、いわゆるいす型配座や舟形配座をとり、炭素原子が3次元的に配置されると共に、各炭素原子が有する2本のC−H結合のうち1本は、炭素環が作る擬和平面に対して垂直となっているため、嵩高い構造となっている。
このような嵩高い構造を有するトリアリールメタンカチオンは、分子間のπ−π相互作用が阻害されやすいため、従来のトリアリールメタン系染料と比較して、凝集した状態であっても、トリアリールメタン骨格の積み重ね(スタッキング)が生じにくいものと推定される。そのため、一般式(I)で表される化合物は、凝集体中でトリアリールメタン骨格同士が近接しすぎず、ある程度の間隔をもって配置されるものと推定される。そのため、一般式(I)で表される化合物は、スタッキングしやすい従来のトリアリールメタン系染料と比較して、効率よく光を吸収するものと推定される。その結果、一般式(I)で表される色材の凝集物は、従来よりも高いモル吸光係数を有するという特徴も有している。
本発明の色材分散体は、このような一般式(I)で表される色材(1)を凝集物の状態で(B)分散剤により分散しているため、耐熱性に優れ、高温加熱後においても輝度やコントラストの低下が抑制されて、高輝度且つ高コントラストな塗膜を形成可能な色材分散液となる。
本発明の色材分散液は、少なくとも、一般式(I)で表される色材(1)を含む(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、他の成分を含有しても良いものである。以下、本発明の色材分散液の各成分について順に説明する。
[(A)色材]
本発明の(A)色材は、少なくとも下記一般式(I)で表される色材(1)を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の色材を含有するものである。本発明において(A)色材は、上記色材(1)を含有するため、耐熱性に優れ、高輝度且つ高コントラスト化を達成することが可能となる。
(一般式(I)中の各符号は、上述のとおりである。)
<色材(1)>
一般式(I)において、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基である。当該2価の芳香族基は、特に限定されず、得られる化合物の色調などを考慮して適宜選択することができる。当該芳香族基は、炭素環からなる芳香族炭化水素基の他、複素環基であってもよい。芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素としては、ベンゼン環の他、ナフタレン環、テトラリン環、インデン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の縮合多環芳香族炭化水素;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素が挙げられる。当該鎖状多環式炭化水素においては、ジフェニルエーテル等のように鎖状骨格中にO、S、Nを有していてもよい。一方、複素環基における複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環;ピラン、ピロン、ピリジン、ピロン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環が挙げられる。
これらの芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
本発明においては、Arが炭素原子数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素原子数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
一般式(I)において、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。なお、本発明において炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含むとは、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基であるか、置換基として炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む場合が包含される。中でも、着色力、及び耐熱性に優れる点からは、R又はRのうち少なくとも一方が炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
〜Rにおける脂肪族炭化水素基は、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であっても、環状の脂環式炭化水素基であってもよい。
直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基等が挙げられ、中でも、炭素原子数が1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが、製造及び原料調達の容易さの点からより好ましく、中でも、エチル基又はメチル基であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基が置換基として有してもよい芳香族炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、炭素原子数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素原子数が6〜16の芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点から、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
〜Rにおける脂環式炭化水素基は、特に限定されないが、耐熱性の点からは、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基が好ましい。本発明においては、R〜Rのうち少なくとも一つは、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含むため、耐熱性に優れた化合物を得ることができる。
炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の他、ノルボルニル基、ビシクロ[2,2,2]オクチル基、アダマンチル基等の有橋脂環式炭化水素基が挙げられる。本発明においては、耐熱性の点から、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基の中でも有橋脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数が7以上、より好ましくは炭素減数が10以上のの有橋脂環式炭化水素基であることが好ましい。
なお本発明において、有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいう。有橋脂環式炭化水素基は、脂肪族環内に橋かけ構造を有しない脂環式炭化水素基と比較して、更に嵩高い構造を有しているため、化合物の凝集物はバルクがより小さくなり、耐熱性が向上するものと推定される。
一方、脂環式炭化水素基の炭素原子数の上限は特に限定されないが、構造が単純で原料が入手しやすい点から、12以下であることが好ましく、更に10以下であることが好ましい。
本発明において、前記炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基は対応する脂環式炭化水素の融点が、80〜300℃であることが好ましい。このような脂環式炭化水素基を用いることにより、トリアリールメタン骨格を有するカチオンとポリ酸アニオンとの塩形成時において、バルク中に安定に存在できるようになり、耐熱性が向上する。
なお、対応する脂環式炭化水素とは、脂環式炭化水素基に水素を付加した化合物をいい、例えば、ノルボルニル基に対応する脂環式炭化水素は、ノルボルナン(融点85℃)であり、アダマンチル基に対応する脂環式炭化水素はアダマンタン(融点270℃)である。
また、R〜Rにおける芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素原子数が6〜16の芳香族基がより好ましい。当該芳香族炭化水素基は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよく、当該脂肪族炭化水素基としては、前記脂肪族炭化水素基が挙げられ、置換基として前記炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含んでいても良い。
〜Rにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、シクロヘキシルフェニル基、ノルボルニルフェニル基、アダマンチルフェニル基等が挙げられる。
とR、RとR、RとRが結合して環構造を形成しているとは、RとR、RとR、又はRとRが窒素原子を介して環構造を形成していることをいう。環構造は特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
本発明においては、中でも、化学的安定性の点からR〜Rのうちいずれか一つが炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む脂肪族炭化水素基であり、その他は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、若しくは、RとR、RとR、又はRとRが結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
本発明においてアニオンであるXa−は、a価のアニオンを表す。Xa−は、特に限定されず、公知のアニオンの中から1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
aは1以上の数を表し、本発明において一般式(I)で表される色材(1)は、aが1である化合物、即ち、1価のアニオンを有する化合物であってもよく、また、一般式(I)で表される色材(1)物は、aが2以上である化合物、即ち、2価以上のアニオンを有する化合物であってもよい。色材の溶解度が低下して、分散性及び分散安定性に優れる点からは、前記色材(1)におけるaが2以上である化合物、即ち、2価以上のアニオンを有する化合物であることが好ましいが、溶媒や分散剤の選択により、1価のアニオンを有する一般式(I)で表される色材(1)を分散して用いることができる。
以下、Xa−が1価のアニオンである場合と、Xa−が2価以上のアニオンである場合について順に説明するが、本発明においては、一般式(I)で表される色材(1)におけるXa−が、1価のアニオンと2価以上のアニオンの混合物であってもよい。
(Xa−が1価のアニオンである場合)
一般式(I)で表される色材(1)において、Xa−が1価のアニオンである場合、1価のアニオンは、特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。ここで有機アニオンとは、炭素原子を少なくとも1つ含有するアニオンを表す。また、無機アニオンとは、炭素原子を含有しないアニオンを表し、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンのようなハロゲン化物イオンや、硝酸イオン(NO)、過塩素酸イオン(ClO )等が挙げられる。
a−が1価の有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SOSOCH、−SOCOCH、−SOSOCF、−SOCOCF、−CFSOSOCH、−CFSOCOCH、−CFSOSOCF、−CFSOCOCF等のイミド酸基や、−SO 、−CFSO 、−COO、−CFCOO等の置換基が挙げられる。
中でも、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO 、−CFSO が好ましく、更に、−SO (スルホナト基)であることが好ましい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されない。当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられ、これらは炭素鎖中に、O、S、N等の異種原子が含まれていてもよく、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基が含まれていてもよく、水素原子が置換されていてもよい。有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記アニオン性置換基が置換される有機基としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]ヘキサン、ビシクロ[3,2,3]オクタン、アダマンタン等の炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、フルオレン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キサンテン、カルバゾール等の芳香族化合物が挙げられ、更にハロゲン原子、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、中でも、アニオン性置換基の導入が容易な点から、単環又は多環芳香族炭化水素基及びこれらが組み合わされた基であることが好ましい。
アニオンにより色変化しないことを目的とする場合には、400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基を用いることが好ましい。400nm以下の波長領域に吸収極大をもつ有機基としては、例えば、ナフタレン、テトラリン、インデン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多環式炭素環からなる有機基;ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、スチルベン等の鎖状多環式炭化水素からななる有機基;フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール等の5員複素環からなる有機基、ピラン、ピロン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等の6員複素環からなる芳香族化合物;ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール、クマリン、ベンゾ−ピロン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等の縮合多環式複素環からなる有機基等が挙げられる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料及びフタロシアニン染料、インジゴ染料に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記一般式(I)で表される色材(1)の色調を所望のものに調整することができる。
(Xa−が2価以上のアニオンである場合)
a−が2価以上のアニオンである場合、当該アニオンは特に限定されず、有機アニオンであっても無機アニオンであってもよい。
a−が2価以上の有機アニオンである場合、その構造は特に限定されない。中でも、アニオン性置換基を有する有機基であることが好ましい。
アニオン性置換基としては、例えば、−SOSOCH、−SOCOCH、−SOSOCF、−SOCOCF、−CFSOSOCH、−CFSOCOCH、−CFSOSOCF、−CFSOCOCF等のイミド酸基や、−SO 、−CFSO 、−PO 2−、−COO、−CFPO 2−、−CFCOO等の置換基が挙げられる。
中でも、カチオンを安定化し、色材の発色を安定させる点から、1価のアニオン性置換基を2つ以上用いることが好ましい。また、原材料入手の容易さや製造コスト、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO 、−CFSO が好ましく、更に、−SO (スルホナト基)であることがより好ましい。
アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
アニオン性置換基が置換される有機基としては、特に限定されず、前記Xa−が1価のアニオンである場合と同様の有機基の中から、適宜選択して用いることができる。
また、アニオン性置換基が置換される有機基としては、有機化合物又は有機金属化合物である、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料及びフタロシアニン染料、インジゴ染料に由来する骨格を用いてもよい。或いは、従来公知の酸性染料、直接染料、酸性媒染染料を用いてもよい。
染料由来の骨格や酸性染料、直接染料、酸性媒染染料等を用いた場合には、得られる色材の色調が変化し、前記一般式(I)で表される色材(1)の色調を所望のものに調整することができる。
一方、Xa−が2価以上の無機アニオンである場合、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物である限り、その構造や組成は特に限定されない。無機アニオンとしては、例えば、2価以上のオキソ酸のアニオン(リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO 2−)、モリブデン酸イオン(MoO 2−)等)や、複数のオキソ酸が縮合したポリ酸イオン等の無機アニオンやその混合物を挙げることができる。
上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(Mc−であってもヘテロポリ酸イオン(Xc−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。
中でも、耐熱性の点から、少なくともタングステンを含み、且つモリブデンを含んでいてもよいポリ酸アニオンであることが好ましく、中でも、全ポリ酸アニオン中の前記モリブデンの前記タングステンに対するモル比が2/98以下であることが好ましい。
タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンとしては、例えば、イソポリ酸である、タングステン酸イオン[W10324−、モリブデン酸イオン[Mo192−や、ヘテロポリ酸である、リンタングステン酸イオン[PW12403−、[P18626−、ケイタングステン酸イオン[SiW12404−、リンモリブデン酸イオン[PMo12403−、ケイモリブデン酸イオン[SiMo12404−、リンタングストモリブデン酸イオン[PW12−xMo403−(xは1〜11の整数)、[P18−yMo626−(yは1〜17の整数)、ケイタングストモリブデン酸イオン[SiW12−xMo404−(xは1〜11の整数)等が挙げられる。タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンとしては、耐熱性の点、及び原料入手の容易さの点から、上記の中でもヘテロポリ酸であることが好ましく、更にP(リン)を含むヘテロポリ酸であることがより好ましい。
本発明において、一般式(I)で表される色材(1)のアニオン(Xa−)は、1価のアニオン、又は2価以上のアニオンを単独で用いることもでき、1価のアニオンと2価以上のアニオンとを組合わせて用いることもできる。また、本発明において、アニオンは、有機アニオン又は無機アニオンを単独で用いることもでき、有機アニオンと無機アニオンとを組合わせて用いることもできる。
(一般式(I)で表される色材(1)の製造方法)
一般式(I)で表される化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記一般式(A)で表される化合物と、下記一般式(B)で表される化合物とを縮合反応させてトリアリールメタンカチオンを製造した後、必要に応じて、当該カチオンと、所望のアニオンとを溶媒中で混合することにより、所望のアニオンを有する前記一般式(I)で表される化合物が得られる。
(上記一般式(A)及び上記一般式(B)中のR〜Rは、前記一般式(I)におけるR〜Rと同様であって、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。Ar’は、一般式(I)におけるArに水素が結合した1価の芳香族基であり、X’は、1価のアニオンである。)
上記の製造方法は、一般式(A)のArと、一般式(B)のカルボニル基との間で脱水縮合することにより、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を少なくとも1個含むトリアリールメタン骨格を形成するものである。
一般式(A)で表される化合物、及び一般式(B)で表される化合物は、それぞれ市販品を用いてもよく、所望の構造を有する化合物を合成してもよい。
以下では、一例として、R又はRに炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有する一般式(I)で表される色材(1)の合成方法を説明する。
又はRに炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有する一般式(A)で表される化合物は、例えば、所望の置換基Ar’が導入されたハロゲン化芳香族化合物と、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有するアミン化合物を、塩基存在下、酢酸パラジウム等を触媒として溶媒中で反応させることにより得ることができる。
前記ハロゲン化芳香族化合物の使用量は、前記アミン化合物に対して1.5〜10モル当量とすることが好ましく、1.5〜3.0モル当量とすることがより好ましく、更に、1.8〜2.2モル当量とすることが副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常100〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から130〜145℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常6〜72時間、好ましくは6〜48時間の範囲に設定される。
当該反応に用いられる塩基としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムの他、金属アルコキシド、金属アミド等が挙げられる。中でも、求核性の低い強塩基を用いることが、副反応を抑え、塩基発生剤の収率を向上させる観点から好ましく、例えば、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、リチウム−t−ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムテトラメチルピペリジド等が好適に用いられる。求核性の低い強塩基の中でも、カリウム−t−ブトキシドを用いることがより好ましい。
前記塩基の添加量は、特に限定されないが、通常、アミン化合物に対して2.0〜4.0モル当量であり、2.5〜3.5モル当量であることが反応収率を向上する点から好ましい。
一般式(A)で表される化合物と、一般式(B)で表される化合物の縮合反応は、公知の方法とすることができ、例えば、オキシ塩化リン等の塩素化剤を用いた溶媒中で反応させることにより得ることができる。
上記反応において用いられる一般式(B)で表される化合物の使用量は、前記一般式(A)に対して、1.5〜4.0モル当量であることが好ましく、1.5〜3.0モル当量であることがより好ましく、更に1.8〜2.2モル当量であることが、副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
上記反応における反応温度は、特に制限はないが、通常110〜150℃程度であり、副反応を抑制する点から110〜120℃であることが好ましい。また、上記反応の反応圧力に特に制限はないが、常圧〜0.1MPaが望ましく、常圧がさらに望ましい。また上記反応における反応時間は、合成量や反応温度等により変動する場合があるので一概には言えないが、通常1〜10時間、好ましくは1〜5時間の範囲に設定される。
前記オキシ塩化リンの添加量は、特に限定されないが、通常、前記化合物(A)に対して1.5〜3.0モル当量であり、1.8〜3.0モル当量であることが反応収率を向上する点から好ましい。
一般式(I)で表される色材(1)は、前記反応により得られたトリアリールメタンの塩化物と、所望のアニオンを、溶媒中で混合することにより得られる。
<他の色材>
(A)色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
その他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド82等の顔料や、アシッドレッド等の染料が挙げられる。
他の色材の配合量としては、(A)色材全量100質量部に対して、他の色材が40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、前記一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性や、耐熱性や耐光性の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
本発明に用いられる(A)色材の平均分散粒径としては、カラーフィルターの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、コントラストを向上し、耐熱性及び耐光性に優れる点から、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、20〜150nmの範囲内であることがより好ましい。(A)色材の平均分散粒径が上記範囲であることにより、本発明の色材分散液を用いて製造された液晶表示装置、発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
色材分散液中の(A)色材の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶剤で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明の色材分散液において、色材の含有量は、特に限定されない。色材の含有量は、分散性及び分散安定性の点から、色材分散液全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の色材分散液において、(A)色材として、一般式(I)で表される色材(1)と、その他の色材を混合して用いる場合、混合比は、所望の色調に調製するために適宜設定すればよく、特に限定されない。耐熱性の点からは、(A)色材全量100質量部中、色材(1)が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましい。
[(B)分散剤]
本発明の色材分散液において、(A)色材中の少なくとも一般式(I)で表される色材(1)は、(B)分散剤により、溶剤中に分散させて用いられる。(B)分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
このような分散剤の市販品としては、例えば、Disperbyk−2000、2001、BYK−LPN6919、21116(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB821、881(味の素(株)製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、BYK−LPN6919、21116が好ましい。
高分子分散剤としては、中でも、上記色材(1)を好適に分散でき、分散安定性が良好である点から、少なくとも下記一般式(II)で表される構成単位を有した重合体、及び、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなるウレタン系分散剤よりなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
以下、上記好ましい分散剤について詳細に説明する。
<少なくとも下記一般式(II)で表される構成単位を有した重合体>
本発明においては(B)分散剤として、少なくとも下記一般式(II)で表される構成単位を有した重合体を好適に用いることができる。
(一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(II−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(II−a)中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R12及びR13は互いに同一であっても異なっていても良い。)
一般式(II)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、Qが連結基を介することなく一般式(II)における炭素原子に直接結合していることを意味する。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(II)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
また、これらの分散剤の上記一般式(II)で表される構成単位を任意の割合で下記塩形成剤によって塩形成することによって特に好適に用いることができる。
一般式(II)で表される構成単位を有した重合体としては、中でも、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報、特開2010−237608号公報、特開2011−75661号公報に記載の構造を有するブロック共重合体、及びグラフト共重合体が、色材の分散性及び分散安定性及び樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から好ましい。
また、一般式(II)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK−LPN6919等が挙げられる。
(塩形成剤)
本発明において分散剤は、上記一般式(II)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体も好適に用いることができる。
本発明においては、塩形成剤を用い、一般式(II)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。特に、塩形成剤が酸性有機リン化合物である場合には、色材の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、色材表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素による色材の染料骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制され、染料骨格を含む色材の耐熱性や耐光性が向上する。このため、酸性有機リン化合物によって塩変性した重合体を分散剤として用いると、本発明に用いられる高透過率の色材(A)が良好に分散した状態で高温加熱時の退色をより抑制できることから、カラーフィルター製造工程における高温加熱工程を経ても、より高輝度な着色層を形成できる。
<ウレタン系分散剤>
また、分散剤として好適に用いられるウレタン系分散剤は、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなる分散剤である。
ウレタン系分散剤を用いることにより、少量で良好な分散が可能なとなる。分散剤を少量とすることにより、相対的に硬化成分等の配合量を増やすことができ、その結果、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
本発明においてウレタン系分散剤としては、中でも、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上との反応生成物であることが好ましく、更に、(1)1分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート類と、(2)片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類、及び片末端又は両末端に水酸基を有するポリ(メタ)アクリレート類から選択される1種以上と、(3)同一分子内に活性水素と、塩基性基又は酸性基とを有する化合物との反応生成物であることがより好ましい。
ウレタン系分散剤の市販品としては、Disperbyk−161、162、163、164、167、168、170、171、174、182、183、184、185、BYK−9077(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、アジスパーPB711(味の素(株)製)、EFKA−46、47、48(EFKA CHEMICALS社製)等を挙げることができる。中でも、耐熱性、電気信頼性、分散性の点から、Disperbyk−161、162、166、170、174が好ましい。
本発明の色材分散液において、分散剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されないが、色材の分散性及び分散経時安定性の点から、(A)色材100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80質量部である。
(C)溶剤
本発明においては(C)溶剤は、色材分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられ、中でも、分散時の溶解性や塗布適性の点からエステル系溶剤を用いることが好ましい。
好ましいエステル系溶剤としては、例えば、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
中でも、人体への危険性が低いこと、室温付近での揮発性が低いが加熱乾燥性が良い点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。この場合には、従来のPGMEAを用いた着色樹脂組成物との切り替えの際にも特別な洗浄工程を必要としないというメリットがある。
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色材分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む色材分散液の全量に対して、通常は60〜85質量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、色材濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
(その他の成分)
本発明の色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
<色材分散液の製造方法>
本発明の色材分散液は、前記分散剤を溶剤に混合、撹拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、色材と必要に応じてその他の化合物を混合し、分散機を用いて分散させることによって調製することができる。また、本発明の色材分散液は、色材と分散剤を溶剤に混合し、公知の分散機を用いて分散させることによって調製してもよい。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.1〜0.5μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されないが、前記一般式(I)で表される色材を微細化して高い透過率を実現する点から、5〜40時間に設定されることが好ましい。
本発明の色材分散液は、後述するカラーフィルター用着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として好適に用いられる。すなわち、色材分散液とは、後述の着色樹脂組成物を調製する前段階において予備調製される、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比の高い色材分散液である。具体的には、(組成物中の色材成分質量)/(組成物中の色材成分以外の固形分質量)比は通常1.0以上である。色材分散液と、後述する各成分とを混合することにより、分散性に優れたカラーフィルター用着色樹脂組成物を調製することができる。
[カラーフィルター用着色樹脂組成物]
本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物は、前記本発明に係る色材分散液を含むことにより、耐熱性に優れ、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成することができる。
また、本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物を後述する感光性樹脂組成物とした場合には現像性が良好である。通常、カチオン染料は後述するアルカリ可溶性樹脂中のアクリル酸基と染料のもつカチオンとの静電相互作用によって現像時のアルカリ水溶液への溶解性が低下してしまう。特に樹脂組成物中に均一に溶解している場合にはその影響は大きいため、現像溶解性が乏しい。一方、本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、一般式(I)で表される色材は分散剤によって分散されるため、色材微粒子の周りを分散剤が覆い、その立体障害によって上記のアルカリ可溶性のアクリル酸基との静電相互作用がなくなるため、十分な現像溶解性を有すると推測される。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物は、少なくとも(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含むものであり、更に本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を有してもよいものである。
以下、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る色材分散液に含まれ得る成分については、上記色材分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
[バインダー成分]
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。中でも、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルターの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
前記カラーフィルター用着色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルター着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、感光性バインダー成分等を適宜用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のものを挙げることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
一方、ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。
本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
(1)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルター用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルター用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体の具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のものを挙げることができ、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有しないモノマーと、(メタ)アクリル酸及びその無水物から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、着色樹脂組成物に含まれる色材100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると色材の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
(2)多官能モノマー
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
(3)光開始剤
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、特開2013−250446号公報に記載のもの等が挙げられる。
カラーフィルター用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分中の色材等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
また、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物においては、更に、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などを含有してもよい。
<カラーフィルター用着色樹脂組成物における各成分の配合割合>
(A)色材の合計の含有量は、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3〜65質量%、より好ましくは4〜55質量%の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、カラーフィルター用着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、分散性及び分散安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
また、(B)分散剤の含有量としては、(A)色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して3〜40質量%用いることができる。更に、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して5〜35質量%の割合で配合するのが好ましく、特に5〜25質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、(A)色材の分散性及び分散安定性に優れ、保存安定性に優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
バインダー成分は、これらの合計量がカラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分全量に対して10〜92質量%、好ましくは15〜87質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れたり、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
また、(C)溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記カラーフィルター用着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55〜95質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、65〜88質量%の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
<カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法>
カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを含有し、(A)色材が(B)分散剤より(C)溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該カラーフィルター用着色樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(1)(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを混合して色材分散液を調製した後、当該色材分散液に、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)(C)溶剤中に、(A)色材と、(B)分散剤と、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法;(3)(C)溶剤中に、(B)分散剤と、バインダー成分、及び所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、(A)色材を加えて混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。上記(1)の方法において、色材分散液の調製方法としては、(A)色材が分散剤により溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、公知の混合手段を用いることができる。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
3.カラーフィルター
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材(1)を含むことを特徴とする。
(一般式(I)中の各符号は、上述のとおりである。)
このような本発明に係るカラーフィルターについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルターの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルター10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
(着色層)
本発明のカラーフィルターに用いられる着色層は、少なくとも1つが、一般式(I)で表される色材(1)を含む着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルター用着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
本発明のカラーフィルターに用いられる前記一般式(I)で表される色材(1)を含む着色層は、前記本発明に係るカラーフィルター用着色樹脂組成物を用いて形成されることが好ましく、当該カラーフィルター用着色樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。当該着色層は、例えば、前記カラーフィルター用着色樹脂組成物が感光性樹脂組成物の場合、下記の方法により形成することができる。
まず、カラーフィルター用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルター用着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルター用着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
(遮光部)
本発明のカラーフィルターにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルターに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
(透明基板)
本発明のカラーフィルターにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルターに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性やフレキシブル性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルターの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、液晶層と、耐光基板とを有することを特徴とする。本発明の液晶表示装置は、通常、前記本発明のカラーフィルターと、対向基板と、前記カラーフィルターと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有する。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルター10と、透明基板23上に電極基板22を備えた対向基板30と、上記カラーフィルター10と上記対向基板30との間に形成された液晶層25とを有しており、カラーフィルター10と液晶層25との間に透明電極膜21を有する。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、基板21及び基板22としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができ、例えば、透明基材上に、透明電極と配向膜を有するもの等とすることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルター及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封止することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルターの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルターを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルター及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
5.発光表示装置
本発明に係る発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルターと、発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の発光表示装置100は、カラーフィルター10と、発光体80とを有している。カラーフィルター10と、発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルター上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルターが用いられた発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
<合成例1:色材A−1、色材A−2の合成>
(1)中間体Aの合成
水175mLに、2−アダマンタンアミン塩酸塩25g(133.2mmol)を加え、次いで、水酸化ナトリウム5.9g(147.5mmol)を加えて、室温で1時間撹拌し、ろ過した。水でケーキを洗浄し、乾燥させ、2−アダマンタンアミンを15.6g得た。
キシレン50mL中にt−ブトキシナトリウム26.0g(270.6mmol)、2−アダマンタンアミン13.9g(91.9mmol)、トリフェニルホスフィン0.51g(1.94mmol)、酢酸パラジウム0.22g(0.98mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン20.0g(96.6mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(1)で表される中間体Aが3.5g(収率13%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):278(M+H)
(2)色材A−1の合成
クロロベンゼン15g中に、前記中間体A 3.0g(10.8mmol)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン4.8g(14.8mmol)、オキシ塩化リン2.4g(15.7mmol)を加えて、40−45℃で2時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(2)で表される色材A−1が2.2g(収率33%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):584(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (79.27%、8.09%、6.83%);理論値(79.39%、8.12%、6.77%)
また当該色材A−1は、波長600nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、92600 L/(mol・cm)であった。
なお、モル吸光係数は、日立ハイテクノロジー社製 U−4100分光光度計を用い、サンプリング間隔:0.5nm、1cm石英セルを用いて測定を行い、下記式にて算出した。
モル吸光係数(ε)= 極大波長における吸光度/モル濃度
(3)色材A−2の合成
関東化学製12タングストリン酸・n水和物1.84g(0.52mmol)をメタノール40mL、水40mLの混合液に加熱溶解させ、前記色材A−1 1.0g(1.6mmol)を加え、1時間攪拌した。沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られた沈殿物を減圧乾燥して下記化学式(3)で表される色材A−2を2.4g(収率96%)を得た。
得られた化合物(色材A−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
31P NMR(d−dmso、ppm)δ15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M)、2879(M
・元素分析値:CHN実測値 (31.85%、8.10%、6.93%);理論値(31.90%、3.26%、2.72%)
・蛍光X線分析:Mo/W実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
なお、色材中のモリブデンとタングステンとのモル比は、蛍光X線分析装置(XRF:X−ray Fluorescence Analysis) (RIX−3100:理学電気工業社製)を用いて、下記の測定条件により元素分析を行ない、検出された元素のうちMo、Wの検出結果から実測比を得た。
XRFの測定条件として、上記色材の測定径を30mmφ、測定雰囲気を13Paの真空状態、測定元素は、B(ボロン)から原子番号順にU(ウラン)までの元素を対象とした。
<合成例2:色材B−1、色材B−2の合成>
(1)中間体Bの合成
キシレン32mL中にt−ブトキシナトリウム8.2g(85.3mmol)、1−アダマンタンメチルアミン9.6g(58.1mmol)、トリフェニルホスフィン0.32g(1.22mmol)、酢酸パラジウム0.14g(0.62mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン12.6g(60.8mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(4)で表される中間体Bが2.5g(収率14%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):292(M+H)
(2)色材B−1の合成
クロロベンゼン11.0g中に、中間体B 2.2g(7.5mmol)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン3.6g(11.1mmol)、オキシ塩化リン1.8g(11.7mmol)を加えて、40−45℃で2時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(5)で表される色材B−1が1.3g(収率25%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):598(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (79.71%、8.18%、6.76%);理論値(79.52%、8.26%、6.62%)
また当該色材B−1は、波長586nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、83600 L/(mol・cm)であった。
(3)色材B−2の合成
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材B−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(6)で表される色材B−2を得た(収率97%)。
得られた化合物(色材B−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):598(M+)、2879(MH2−)
・元素分析値:CHN実測値 (32.45%、3.42%、2.65%);理論値(32.38%、3.36%、2.70%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
<合成例3:色材C−1、色材C−2の合成>
(1)中間体Cの合成
キシレン62mL中にt−ブトキシナトリウム16.2g(168.6mmol)、シクロヘキシルアミン11.4g(115.0mmol)、トリフェニルホスフィン0.63g(2.40mmol)、酢酸パラジウム0.27g(1.20mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン25.0g(120.7mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(7)で表される中間体Cが5.9g(収率22%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):226(M+H)
(2)色材C−1の合成
クロロベンゼン25g中に、前記中間体C 5.0g(22.2mmol)、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン9.9g(30.5mmol)、オキシ塩化リン4.9g(32.0mmol)を加えて、40−45℃で3時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(8)で表される色材C−1が4.3g(収率34%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):532(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.94%、7.27%);理論値(78.21%、8.16%、7.39%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
また当該色材C−1は、波長588nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、80900 L/(mol・cm)であった。
(3)色材C−2の合成
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材C−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(9)で表される色材C−2を得た(収率96%)。
得られた化合物(色材C−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):598(M+)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (29.84%、3.21%、2.90%);理論値(29.79%、3.11%、2.82%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
<合成例4:色材D−2の合成>
前記合成例1の(3)において、関東化学製12タングストリン酸・n水和物9.19g(2.7mmol)の代わりに、関東化学製12タングストリン酸・n水和物9.01g(2.6mmol)および関東化学製12モリブドリン酸・n水和物0.01g(0.054mmol)を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(10)で表されるモリブデンとタングステンとのモル比が2.0:98.0の色材D−2を得た(収率96%)。
得られた化合物(色材D−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−4.02、−15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M+)、1824(M2−)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (32.15%、3.40%、2.60%);理論値(32.04%、3.28%、2.73%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (2.0%、97.9%);理論値(2.00%、98.0)
<比較合成例1:色材E−2の合成>
前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに東京化成製Basic Blue 7を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(11)で表される色材E−2を得た(収率95%)。
得られた化合物(色材E−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):478(M+)、2879(MH2−)
・元素分析値:CHN実測値 (27.65%、2.75%、2.86%);理論値(27.57%、2.80%、2.92%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
なお、Basic Blue 7は、波長593nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、70600 L/(mol・cm)であった。
<比較合成例2:色材F−1、色材F−2の合成>
(1)中間体Fの合成
キシレン62mL中にt−ブトキシナトリウム16.2g(168.6mmol)、n−ヘキシルアミン11.6g(114.6mmol)、トリフェニルホスフィン0.63g(2.40mmol)、酢酸パラジウム0.27g(1.20mmol)を加え、110−115℃に昇温した。同温で1−ブロモナフタレン25.0g(120.7mmol)を滴下した。滴下終了後、同温で20時間反応させ、反応液に水を加え有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒トルエン/n−ヘキサン)で精製し、下記一般式(12)で表される中間体Fが11.0g(収率40%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):228(M+H)
(2)色材F−1の合成
クロロベンゼン25g中に、前記中間体F 5.0g(22.0mmol)、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン9.9g(30.5mmol)、オキシ塩化リン4.9g(32.0mmol)を加えて、40−45℃で3時間反応させた。反応液をクロロホルムで抽出し、水で有機層を洗浄、濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒クロロホルム/メタノール)で精製し、下記化学式(13)で表される色材F−1が9.6g(収率77%)得られた。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):534(M+)
・元素分析値:CHN実測値 (77.75%、8.62%、7.19%);理論値(77.93%、8.48%、7.37%)
また当該色材F−1は、波長591nmに吸収極大を有し、当該極大波長におけるモル吸光係数は、83200 L/(mol・cm)であった。
(3)色材F−2の合成
次いで、前記合成例1の(3)において、色材A−1の代わりに色材F−1を用いた以外は、前記合成例1の(3)と同様にして、下記化学式(14)で表される色材色材F−2を得た(収率92%)。
得られた化合物(色材F−2)は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・31P NMR(d−dmso、ppm)δ−15.15
・MS(MALDI) (m/z):584(M+)、2879(M2−)
・元素分析値:CHN実測値 (29.78%、3.19%、2.91%);理論値(29.75%、3.24%、2.81%)
・蛍光X線分析:MoW実測比 (0%、100%);理論値(0%、100)
(調製例1:塩型ブロックポリマー分散剤A溶液の調製)
反応器に、PGMEA60.74質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60重量%)35.64質量部(有効固形分21.38質量部)をそれぞれ溶解させ、PPAを3.62質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで塩型ブロックポリマー分散剤A溶液(固形分25%)を調製した。
(調製例2:バインダー組成物Aの調製)
(1)バインダー樹脂Aの合成
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてAIBN 2.0質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aは、質量平均分子量(Mw)8500、数平均分子量(Mn)4200、分子量分布(Mw/Mn)は2.02、酸価85mgKOH/gであった。
(2) PGMEA19.82質量部、上記バインダー樹脂A(固形分44質量%)18.18質量部、5〜6官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM403、東亞合成社製)8.00質量部、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)3.00質量部、2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬社製)1.00質量部を混合することでバインダー組成物A(固形分40質量%)を調製した。
(実施例1:色材分散液A、及び着色樹脂組成物Aの調製)
(1)合成例1の色材A−2 13.0質量部と、調製例1で調製した塩型ブロックポリマー分散剤A溶液を20.80質量部(有効固形分5.20質量部)、調製例2のバインダー樹脂A 11.82質量部(有効固形分5.20質量部)、PGMEA54.38質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで6時間分散し、色材分散液Aを得た。
(2)上記(1)で得られた色材分散液A 28.57質量部、調製例2で得られたバインダー組成物A 28.29質量部、PGMEA 43.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC社製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン社製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、着色樹脂組成物Aを得た。
(実施例2〜4:色材分散液B〜D、及び着色樹脂組成物B〜Dの調製)
実施例1において色材A−2の代わりに色材B−2〜D−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液B〜D、及び着色樹脂組成物B〜Dを得た。
(比較例1〜2:色材分散液E〜F、及び着色樹脂組成物E〜Fの調製)
実施例1において色材Aの代わりに色材E−2〜F−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、色材分散液E〜F、及び着色樹脂組成物E〜Fを得た。
[評価]
<光学性能評価、耐熱性評価>
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度y=0.082になるようにし、得られた着色基板の色度(x、y)、輝度(Y)、L、a、b(L、a、b)をオリンパス社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。上記の着色膜が形成された基板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベーク処理し、得られた着色膜の色度(x、y)、輝度(Y)及びL、a、b(L、a,b)を測定した。測定した値から、加熱後の色度(x)、輝度(Y)の値、230℃での加熱前後の色差(ΔEab)を算出した。表1に結果を示す。
<評価:コントラスト>
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、それぞれガラス基板上にスピンコートし、80℃のホットプレート上で3分間乾燥した。
この基板をウシオ(株)製UI−501C超高圧水銀灯で、空気中、ギャップ150μmで露光した。露光量はウシオ(株)製積算光量計UIT−102、受光器UVD−365PDで測定して50mJ/cmとした。得られた塗膜を230℃で30分間放置し、作製したガラス基板のコントラスト値を壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用いて測定した。コントラスト値が大きいほど光の散乱度合いが少なく、液晶表示装置のカラーフィルターとして使用した場合の漏れ光が少なくなり、液晶パネルの明暗をはっきりさせることができる。コントラストを大きくするためには、塗膜が均一であることが求められる。結晶の析出や相分離などが生じた不均一な塗膜ではコントラスト値が小さくなる。測定結果を表1に示した。
[結果のまとめ]
表1に示される通り、一般式(I)で表される色材である、色材A−2〜D−2を含有する着色樹脂組成物を用いて得られた着色層は、ポストベーク後の色差が小さく、輝度及びコントラストに優れていることが明らかとなった。これは、一般式(I)で表される色材の凝集体において、炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を有するトリアリールメタン骨格を有するカチオンとポリ酸アニオンの塩形成によって、トリアリールメタン骨格のスタッキングが生じにくく、ある程度の間隔をもって配置されているところ、トリアリールメタン骨格に置換基として導入されている前記脂環式炭化水素基が、色材の凝集体中の空間に均一に配置され、かつ固定化されているため、色材凝集体中の空間が減少し、高密度化した結果、耐熱性が向上したためだと考えられる。中でも、アダマンチル基を有する色材A−2、B−2又はD−2を含有する実施例1、2及び4は、実施例3と比較しても更に耐熱性に優れていることが明らかとなった。これは、アダマンチル基に対応するアダマンタンの融点が270℃と、シクロヘキサンの融点6〜7℃と比較しても高いため、高温加熱時においても色材中で安定していることが耐熱性向上に寄与するものと推定される。一方、鎖状炭化水素基であるエチル基やヘキシル基を含む色材を含有する比較例1、2は耐熱性が低かった。鎖状炭化水素基に対応する鎖増炭化水素の融点が低いため、また、当該鎖状炭化水素基は熱による運動の活性が高く、色材凝集体中の空間において安定に存在できず、耐熱性向上効果が低かったためだと考えられる。また、エチル基に対応するエタン(融点−89℃)よりもヘキシル基に対応するヘキサン(融点−95℃)の方がより融点が低いため、比較例1よりも比較例2の方がより耐熱性が低い結果となったと考えられる。これはアルキル鎖長が延びることによる融点の低下が化合物の不安定化につながったと考えられた。なお色材が熱により劣化した結果、比較例2の見かけのコントラスト値は高くなっている。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルター
21 透明電極膜
22 電極基板
23 透明基板
25 液晶層
30 対向基板
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 発光体
100 有機発光表示装置

Claims (8)

  1. (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、色材分散液。
    (一般式(I)中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。
    aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
    〜R及びArが複数ある場合、当該複数あるR〜R及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基に対応する脂環式炭化水素の融点が、80〜300℃である、請求項1に記載の色材分散液。
  3. 前記一般式(I)におけるXa−が、タングステン及びモリブデンより選択される1種以上の原子を含むa価のポリ酸である、請求項1又は2に記載の色材分散液。
  4. 前記一般式(I)で表される色材(1)が有する前記ポリ酸が、少なくともタングステンを含み、モリブデンの前記タングステンに対するモル比が2/98以下である、請求項に記載の色材分散液。
  5. (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
    (一般式(I)中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。
    aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
    〜R及びArが複数ある場合、当該複数あるR〜R及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、前記着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材(1)を含む、カラーフィルター。
    (一般式(I)中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、R〜Rは各々独立に水素原子、置換基として芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、及び水酸基の少なくとも1種を有していてもよい脂肪族炭化水素基、又は、置換基としてハロゲン原子、及び脂肪族炭化水素基の少なくとも1種を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、RとR、RとR、RとRのそれぞれが結合して環構造を形成してもよい。但し、R〜Rのうち少なくとも1個は炭素原子数が6以上の脂環式炭化水素基を含む。
    aは2以上の数を表し、Xa−はa価の無機アニオンを表し、当該無機アニオンは、無機のオキソ酸およびその脱水縮合物からなる群から選択される1種以上である。
    〜R及びArが複数ある場合、当該複数あるR〜R及びArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  7. 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、液晶層と、対向基板とを有する、液晶表示装置。
  8. 前記請求項6に記載のカラーフィルターと、発光体とを有する、発光表示装置。
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