JP6511838B2 - 冊子状印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、商品カタログ、パンフレット等を冊子の状態で郵送、宅配、あるいは手渡し等することができ、受け取った顧客が容易に開封できる冊子状印刷物に関する。
従来、商品または役務の内容を記載した冊子(カタログ、パンフレット等)は、種々の分野で広く利用されている。例えば、特定の顧客向けサービスとしてデパートなどが行うギフト商品の紹介、旅行会社が行う旅行案内、あるいは、通販会社等で、過去に注文を受けた顧客等に対して、ダイレクトメール等が近年盛んに採り入れられている。ダイレクトメールで多くの商品、役務等の情報を顧客に届ける場合、通常は封筒の中にカタログ等の冊子や案内状、返信用申込葉書等を同封して郵送、あるいは、宅配することが一般的に行われている。そのために、デパートや旅行会社、通販会社といった送り手側では一度に多くの情報を顧客に提供することができ、結果として顧客側への宣伝効果の高いものとなっている。
ダイレクトメールが送付されてきた際に封筒を開封後、封筒内の内容物(同封物)の取り忘れなどがあるが、顧客等に見てもらうことなく廃棄されてしまい、ダイレクトメールの効果が薄れてしまう場合がある。近年、このような問題を解決した冊子状印刷物も開発されている(特許文献1参照)。
特開2010−269448号公報
ダイレクトメールの最も重要なポイントとして内容物を顧客に見てもらうことがある。通常、顧客が内容を確認するためにはまず封筒を開封し、内容物を取り出す作業が必要となるが、開封はしても内容物を取り出さずに廃棄してしまう場合もある。
そこで、本発明は、開封と同時に内容物を取り出すことが可能な冊子状印刷物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の冊子状印刷物は、一対の矩形状(正方形を含む)の外側基材(表紙11、裏表紙13)の1辺の端部に綴じ部が設けられ、当該綴じ部を除く3周辺に接着部が設けられ、前記綴じ部および前記接着部において周囲4辺が接着され、前記外側基材より小さい寸法である内部基材(冊子中紙片12)が前記一対の外側基材の間に挿入され前記綴じ部で前記内部基材と前記外側基材が綴じられ一体化された冊子状印刷物であって、前記一対の外側基材のうち、第1の外側基材(表紙11)には、前記綴じ部以外の対向する2辺を結ぶ方向に所定の間隔で切込みを有する開封部が設けられ、前記一対の外側基材のうち、第2の外側基材(裏表紙13)には、切取予定部が設けられており、前記切取予定部は、前記3周辺にそれぞれ沿った直線状部分を含み、当該切取予定部の両端部が前記第1の外側基材において形成された開封部に対応する位置に設けられていることを特徴とする。直線状部分とは、直線である場合と、概観として、全体が直線状になっている場合の双方を含む。
本発明の冊子状印刷物によれば、一対の矩形状の外側基材の1辺の端部に綴じ部が設けられ、綴じ部を除く3周辺に接着部が設けられ、綴じ部および接着部において周囲4辺が接着され、外側基材より小さい寸法である内部基材が一対の外側基材の間に挿入され綴じ部で内部基材と外側基材が綴じられ一体化された冊子状印刷物であって、一対の外側基材のうち、第1の外側基材には、綴じ部以外の対向する2辺を結ぶ方向に所定の間隔で切込みを有する開封部が設けられ、一対の外側基材のうち、第2の外側基材には、切取予定部が設けられており、切取予定部は、3周辺にそれぞれ沿った直線部分を含み、切取予定部の両端部が第1の外側基材において形成された開封部に対応する位置に設けられているため、切取予定部により開封を行うと同時に一対の外側基材を内部基材と分離し、内容物である内部基材を取り出すことが可能となる。
また、本発明の冊子状印刷物は、前記冊子状印刷物において、前記開封部は、前記切込みが前記綴じ部側の辺と対向する辺を結ぶ方向に所定の間隔を隔てて2列形成されており、前記切取予定部の前記両端部は、前記第1の外側基材において開封部として形成された2列の切込みに挟まれる位置に、設けられていることを特徴とする。
本発明の冊子状印刷物によれば、第1の外側基材における開封部が、切込みが綴じ部側の辺と対向する辺を結ぶ方向に所定の間隔を隔てて2列形成されており、第2の外側基材における切取予定部の両端部が、第1の外側基材において形成された2列の切込みに挟まれる位置に設けられているので、2列の切込みの間が除去されて第1の外側基材の一部が大きく開き、第2の外側基材における切取予定部による切り取りを容易に行うことが可能となる。
本発明によれば、開封と同時に内容物を取り出すことが可能な冊子状印刷物を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る冊子状印刷物を構成する各基材を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る冊子状印刷物の重ね合わせの様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る冊子状印刷物の断面図である。 冊子状印刷物に形成された開封部の一部拡大図である。 本実施形態に係る冊子状印刷物の使用方法を説明するための図である。 本実施形態に係る冊子状印刷物の使用方法を説明するための図である。 冊子状印刷物の変形例1を示す平面図である。 冊子状印刷物の変形例2を示す平面図である。 冊子状印刷物の変形例3における切取予定部を示す図である。
<1.構成>
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る冊子状印刷物を構成する各基材を示す平面図である。このうち、図1(a)は表紙、図1(b)は冊子中紙片、図1(c)は裏表紙を示している。表紙および裏表紙は外側基材の一例であり、冊子中止片は内部基材の一例である。また、本来、冊子状印刷物の形態自体には表裏の区別はないが、本明細書では、図1(a)に示した宛名等が記載される表紙の表示面を表面、他方を裏面として説明していく。図1においては、各基材はいずれも表面側から見た状態を示している。実際には、各基材の表面、裏面には、様々な情報を印刷しておくことができるが、図面が繁雑になるのを避けるため、ここでは、これらの図示を省略している。
図1(a)に示す表紙11は、裏表紙13とともに封筒を構成し、冊子状印刷物の表面側に位置するものである。表紙11は、矩形状であり、図1(a)の例では、横長となっている。もちろん、矩形状であれば、正方形であってもよい。図1(a)に示すように、表紙11には、宛名などを印字する情報表示部や、料金別納表示が印刷されている。図1(a)では、省略しているが、広告情報を表示する広告表示部や差出人を表示する差出人表示部が印刷等により形成されていてもよい。また、冊子中紙片12を綴じる綴じ部が形成される側である左端部から所定の距離だけ離れた位置に、開封部Zが天地方向(図面上下方向)に渡って形成されている。所定の距離だけ離れた位置としては、特に限定はないが、好ましくは、左端から10mm〜50mmの範囲である。また、表紙11左右長にも寄るが、左端部から表紙11左右長の1/5以内となる位置であることが好ましい。
図1(b)に示す冊子中紙片12は、封緘された封筒内部の紙片である。図1(b)に示すように、冊子中紙片12には、左端である左辺の端部に、左端と平行な方向に沿って接着剤が塗布され、接着剤塗布部Taを形成している。接着剤塗布部Taは、いわゆるライングルーと呼ばれる線状糊の形態で形成される。接着剤が塗布される端部とは、左辺の完全な端部だけでなく、左端部からわずかな距離だけ離れた位置を含む意味である。すなわち、わずかな隙間を隔てて接着剤が塗布された場合も、端部に塗布されることを意味する。これは、わずかな間隔を隔てて形成された場合であっても、表紙11全体から見て実質的に端部であるためである。この接着剤塗布部Taにより、表紙11と接着することができ、接着部分が綴じ部となる。また、冊子中紙片12は、表紙11よりも縦横の長さが短くなるように形成されている。これは、表紙11と裏表紙13により形成される封筒に完全に包まれるようにするためである。冊子状印刷物に含まれる冊子中紙片12は、1枚に限定されず、必要に応じて複数枚含めるようにしてもよい。
図1(c)に示す裏表紙13は、表紙11とともに封筒を構成し、冊子状印刷物の裏面側に位置するものである。裏表紙13には、連続する1本の線状に切取りミシンMが形成されている。切取りミシンMはミシン目状の線であるため、穴が開いた部分であるカット部と穴が開いていないアンカット部が交互に配置されたものである。ここで、「切取りミシンM」が「連続する1本の線」とはアンカット部が特に長くなることなく、所定の範囲の長さでカット部と交互に配置されることを意味する。
綴じ部が形成される側である左端から所定の距離だけ離れた位置に、切取りミシンMの両端部が上辺、下辺とそれぞれ接するように形成されている。所定の距離だけ離れた位置とは、表紙11と重ね合わせた際に、開封部Zの左右方向の幅に含まれる位置である。したがって、開封部Zが表紙11において上述のように形成されている場合、左端から10mm〜50mmの範囲であって、左端から左右長の1/5以内のとなる。切取りミシンMは、3つの直線部分M1、M2、M3を含んでおり、直線部分M1、M2、M3は、それぞれ裏表紙13の上辺、下辺、右辺と平行に形成されている。直線部分M1、M2、M3は、それぞれ裏表紙13の上辺、下辺、右辺に沿って形成されていれば、必ずしも平行でなくてもよい。直線部分M1と直線部分M3の間、直線部分M2と直線部分M3の間は、それぞれ円弧状の曲線で結ばれている。また、切取りミシンMの上辺側の端部と直線部分M1の間、切取りミシンMの下辺側の端部と直線部分M2の間も、それぞれ円弧状の曲線で結ばれている。なお、切取りミシンMの上辺側の端部と直線部分M1の間、切取りミシンMの下辺側の端部と直線部分M2の間を結ぶのは、必ずしも円弧状の曲線でなくてもよい。
切取りミシンMは、切取り用のミシン目線であり、切り取り予定部の一例である。切り取り予定部としては、切り取りを容易にする切り取り予定部としての役割を果たすものであれば、ミシン目線以外の形態であってもよい。切取りミシンMは、カット部とアンカット部が交互に位置する一般的なミシン目線であるが、カット部とアンカット部の長さや比率は適宜設定することができる。
また、図1(c)に示すように、裏表紙13表面の左端付近に、左端と平行な方向に渡って接着剤が塗布され、接着剤塗布部Tdが形成されている。接着剤塗布部Tdは、いわゆるライングルーと呼ばれる線状糊の形態で形成される。左端付近とは、上述のように、完全な左端位置と、左端からわずかな距離だけ離れた位置を含む意味である。したがって、当然ながら、切取りミシンMの端部より左端寄りの位置となる。この接着剤塗布部Tdにより、冊子中紙片12と接着することができ、接着部分が綴じ部となる。裏表紙13の縦方向の長さ、横方向の長さは、ともに表紙11と同一となるように形成されている。すなわち、表紙11と同じ寸法となるように形成されている。
図1(c)に示すように、裏表紙13表面の上下右の3辺に沿うようにして、裏表紙13の端部に、接着剤が塗布され、接着剤塗布部S1〜S3を形成している。接着剤塗布部S1〜S3は、いわゆるパターングルーと呼ばれる形態で所定形状の領域に形成される。接着剤が塗布される裏表紙13の端部とは、各辺の完全な端部だけでなく、端部からわずかな距離だけ離れた位置を含む意味である。すなわち、わずかな隙間を隔てて接着剤が塗布された場合も、端部に塗布されることを意味する。この接着剤塗布部S1〜S3により、表紙11と接着することができ、接着部分が接着部となる。上下右の3辺における接着剤塗布部S1〜S3の幅はともに3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。また、接着剤塗布部S1〜S3と切取りミシンMが最接近する箇所は、3mm以上離れていることが好ましく、5mm以上離れていることがより好ましい。切取りミシンMによる切り取りに影響を与えないようにするためである。図1(c)の例では、切取りミシンMの直線部分M1、直線部分M2、直線部分M3が、それぞれ接着剤塗布部S1、S2、S3と平行になるように形成されている。また、図1(c)の例では、接着剤塗布部S1とS3、S2とS3は連続しておらず、間に接着剤が塗布されていない領域が存在するが、連続して接着剤を塗布し、接着剤塗布部S1〜S3がいわゆるコの字状に形成されるようにしてもよい。
図1に示した各基材を重ね合わせて、接着剤により貼り合わせることにより、本実施形態の冊子状印刷物が形成される。具体的な製造方法は、以下の通りである。まず、表紙11、1枚以上の冊子中紙片12、裏表紙13を順に重ねていき、それぞれ接着剤塗布部Ta、Tdに塗布された接着剤により隣接する基材同士を接着する。最後に、裏表紙13を重ね、裏表紙13表面の接着剤塗布部S1〜S3に塗布された接着剤により表紙11と裏表紙13を接着する。
図2は、本実施形態に係る冊子状印刷物の重ね合わせの様子を示す図である。図2においては、図面手前が表面側(上層)、図面奥が裏面側(下層)となっている。図2の例では、冊子中紙片12として冊子中紙片12a、12b、12cの3枚を備えた構成となっている。3枚の冊子中紙片12a〜12cは、縦(図面上下方向)、横(図面左右方向)ともに同じ長さとなっている。1番表側の表紙11と裏表紙13は、上述のように縦横ともに同じ長さの矩形状であるので、図2に示すように、その四隅を合わせて重ね合わせる。この際、裏表紙13の表面3辺に形成された接着剤塗布部S1〜S3により表紙11と裏表紙13が貼り合わされて封筒が形成される。なお、矩形状とは、正方形である場合を含む。
また、3枚の冊子中紙片12a〜12cは、内部基材として封筒内部に挟み込まれる。詳細には、表紙11に隣接する冊子中紙片12aは、冊子中紙片12aの表面に形成された接着剤塗布部Taにより、表紙11の裏面に接着される。また、冊子中紙片12bは、冊子中紙片12bの表面に形成された接着剤塗布部Tbにより、冊子中紙片12aの裏面に接着される。また、冊子中紙片12cは、冊子中紙片12cの表面に形成された接着剤塗布部Tcにより、冊子中紙片12bの裏面に接着される。また、裏表紙13は、裏表紙13の表面に形成された接着剤塗布部Tdにより、冊子中紙片12cの裏面に接着される。
3枚の冊子中紙片12a〜12cは縦、横ともに同じ長さの矩形状であるため、その四隅を合わせて重ね合わせる。また、冊子中紙片12の左端が、表紙11と裏表紙13の左端と一致するように重ね合わせられる。天地方向(図面上下方向)については、接着剤塗布部S1〜S3による接着を阻害しないように、冊子中紙片12の天地方向の中心位置が、表紙11と裏表紙13の天地方向の中心位置と一致するように貼り合せられる。
重ね合わせ後の冊子状印刷物を図3に示す。図3(a)は、図2におけるA−Aに対応する断面図、図3(b)は図2におけるB−Bに対応する断面図である。本実施形態の冊子状印刷物では、縦方向、横方向ともに、表紙11が最大であるため、冊子状印刷物を表面から見ると、図1(a)に示すように、表紙11だけが見えることになる。
図3(a)に示すように、冊子状印刷物は、表面側(図面上側)から表紙11、冊子中紙片12a、冊子中紙片12b、冊子中紙片12c、裏表紙13の順に積層されている。図2を用いて説明した重ね合わせ工程により、表紙11と冊子中紙片12a、冊子中紙片12aと冊子中紙片12b、冊子中紙片12bと冊子中紙片12c、冊子中紙片12cと裏表紙13は、それぞれ左端部において接着剤塗布部Ta〜Tdにより接着されている。また、表紙11と裏表紙13は、右端部において接着剤塗布部S3により接着されている。また、図3(b)に示すように、表紙11と裏表紙13は、上下(図3(b)においては左右)の平行な2辺の端部において接着剤塗布部S1、S2により接着されている。
次に、表紙11に形成された開封部について説明する。図1(a)に示したように、表紙11の表面左部分には、開封部Zが形成されている。図4(a)は、図1(a)の左下部分の拡大図である。図4(a)に示すように、開封部Zは、つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcにより形成されている。つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcは、左右の2つで一対となっている。そのため、開封部Zは、綴じ部が形成される左辺以外の対向する2辺である上辺と下辺を結ぶ方向に2列の切目線として形成される。切目線とは、複数の切込みにより形成される線である。この切目線が、つまみ部、斜行部、直行部に分かれている。
つまみ部Zaは、天地方向(図面上下方向)の平行な2本の直線状の切込みが、表紙11の下端部を起点として形成されたものである。直行部Zbと斜行部Zcは、互いの端部が連結されることにより、屈曲した切込みが形成される。直行部Zbと斜行部Zcのなす角の角度は適宜設定することができるが、例えば、135°である。つまみ部Zaは、表紙11の下端部に、左右1箇所ずつ形成されるのみであるが、直行部Zbと斜行部Zcは、天地方向(図面上下方向)に渡って所定の間隔で形成される。つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcは、天地方向(図面上下方向)に渡る仮想的な1本の直線に対して左右対称に形成される。
つまみ部Zaの切込みの長さをda、直行部Zbの切込みの長さをdb、斜行部Zcの切込みの長さをdcとすると、長さda、db、dcは適宜設定することができるが、da=db=dcであることが好ましい。具体的な長さとしては、da=db=dc=10mmとすることができる。また、つまみ部Zaの2本の平行な切込みの間隔をdd、2本の平行な直行部Zb同士の左右方向の間隔をde、2本の斜行部Zc同士の左右方向の最接近部の間隔をdfとすると、間隔dd、de、dfは適宜設定することができるが、df<dd<deである必要がある。隣接する上方の斜行部Zcの下端は、隣接する下方の直行部Zbの上端よりも最大1mm程度上下してもよいが、本実施形態では、隣接する上方の斜行部Zcの下端と、隣接する下方の直行部Zbの上端の上下方向の間隔を0mmとしている。すなわち、隣接する上方の斜行部Zcの下端同士を結ぶ直線と、隣接する下方の直行部Zbの上端同士を結ぶ直線が一致する。
図1(c)に示したように、裏表紙13には、連続する1本の線状に切取りミシンMが形成されている。切取りミシンMの両端部は、綴じ部が形成される側である左端から所定の距離の位置に、おいて上辺、下辺とそれぞれ接するように形成されている。左端から所定の距離の位置としては、表紙11と重ねた際に、左右の2本の直行部Zbに挟まれる範囲とする。切取りミシンMの両端部を左右の2本の直行部Zbに挟まれる範囲となる位置に形成しておくことにより、開封部Zにより、除去部を除去した後、切取りミシンMによる切り取りを容易にすることができる。切取りミシンMの両端部の形成位置は、好ましくは、左右の2本のつまみ部Zaに挟まれる範囲、より好ましくは、左右の2本の斜行部Zcの最接近部に挟まれる範囲である。本実施形態では、図4(b)に示すように、2本のつまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcのちょうど中間としている。
冊子状印刷物を構成する各基材としては、充分な強度及び搬送適性を有するものであれば使用できる。プリンタによる印字を行う場合は、その印字適性も備えることが好ましい。各基材としては、例えば、上質紙、クラフト紙、複写用紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムによりラミネートされた紙等の紙が好適に用いられるが、セロファン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルムであっても良い。各基材の厚さは20μm〜200μm程度が好ましい。
接着剤塗布部Ta〜Td、接着剤塗布部S1〜S3に塗布される接着剤としては、基材を破損せずに剥離困難に接着する公知の接着剤を用いることができる。基材が上質紙、コート紙等の場合、水系アクリルエマルション接着剤を使用することができる。
内容物(同封物)となる冊子中紙片12は、様々な印刷が施されることにより、隠蔽ラベルが一体化された返信用はがき、返信用封筒、申込書、振込票として機能させることができる。開封部を構成するつまみ部、直行部、斜行部の切込みは、ピナクル(登録商標)刃やビク刃を用いて機械加工することにより形成される。
<2.使用方法>
本実施形態に係る冊子状印刷物の使用方法について説明する。図5は、本実施形態に係る冊子状印刷物の使用方法を説明するための図である。図1(a)に示したような状態で、冊子状印刷物が顧客の元に届けられると、顧客は、表紙11の下端のつまみ部Zaを摘んで上方に引っ張り、斜行部Zcおよび直行部Zbの切込みから切り取り、除去部を除去する。この結果、冊子状印刷物は、図5(a)のような状態となる。図5(a)に示すように、除去部が除去された部分においては、下層側に、冊子中紙片12および切取りミシンMの両端部が確認できる。この状態で、裏表紙13の切取りミシンMを切り取って、表紙11と裏表紙13からなる封筒部Fを、冊子中紙片12の束から分離する。このときの状態を図5(b)に示す。これにより、開封と同時に、封筒Fから、内容物である冊子中紙片12を取り出すことができる。このため、内容物を取り忘れることがなくなる。図5(b)を反対側の面から見た状態を図6に示す。図6に示すように、裏表紙13は2つに分かれる。裏表紙13の大部分は、内容物である冊子中紙片12の側に移り、裏表紙13の3周辺に近い部分は、封筒の一部として、表紙11とともに分離される。
<3.変形例>
次に、変形例について説明する。図7は、変形例1における冊子用印刷物の表面側平面図である。変形例1では、表紙11´に形成された開封部Z´のみが、上記実施形態と異なっており、それ以外は、上記実施形態と同じである。変形例では、開封部Z´が1本のミシン目線で形成されている。開封部Z´であるミシン目線の具体的な形態は、どのようなものであってもよいが、切取りミシンMと同一形態、すなわち、カット部とアンカット部の長さや比率が同一な形態であれば、加工を効率的に行うことができる。開封部Z´がミシン目線の場合、表紙11´と裏表紙13を重ね合わせた際に、切取りミシンMの両端部と開封部Z´の両端部が略重なる位置に形成することが好ましい。
また、別の変形例として、裏表紙に、切取りミシンMに代えて開封部Zと同形状、すなわち、図4(a)に示したような、つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcにより形成された切取予定部を設けるようにしてもよい。図8は、このような変形例2における冊子用印刷物の表面側平面図である。変形例2では、裏表紙13´に形成された切取予定部Nのみが、上記実施形態と異なっており、それ以外は、上記実施形態と同じである。この場合、図1(c)に切取りミシンMとして示した破線を中心として、この中心線を挟むように切取予定部Nを設ける。したがって、切取予定部Nは、図8に示したような形態となる。切取予定部Nは、直線状に配置された3つの部分N1、N2、N3を含んでおり、直線状部分N1、N2、N3は、それぞれ裏表紙13の上辺、下辺、右辺と平行に形成されている。直線状部分N1、N2、N3は、それぞれ裏表紙13の上辺、下辺、右辺に沿って形成されていれば、必ずしも平行でなくてもよい。直線状部分N1と直線状部分N3の間、直線状部分N2と直線状部分N3の間は、つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcの組が、円弧状の曲線に沿うように配置されて結ばれている。また、切取予定部Nの上辺側の端部と直線状部分N1の間、切取予定部Nの下辺側の端部と直線状部分N2の間も、つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcの組が、円弧状の曲線に沿うように配置されて結ばれている。なお、切取予定部Nの上辺側の端部と直線状部分N1の間、切取予定部Nの下辺側の端部と直線状部分N2の間の、つまみ部Za、直行部Zb、斜行部Zcの組の配置は、必ずしも円弧状の曲線に沿ったものでなくてもよい。裏表紙に開封部Zと同形状の切取予定部を設けた場合、表紙の開封部として、開封部Zの形態、開封部Z´の形態のいずれを形成するようにしてもよい。すなわち、変形例1と変形例2を組み合わせたような形態としてもよい。
図9は、変形例3における冊子用印刷物の裏表紙における切取予定部Pを示す図である。変形例3においては、図8に示した変形例2の切取予定部Nに代えて切取予定部Pを設ける。切取予定部Pは、直線状に配置された3つの部分P1、P2、P3を含んでおり、直線状部分P1、P2、P3は、それぞれ裏表紙13の上辺、下辺、右辺と平行に形成されている。直線状部分とは、概観した場合に直線状となっていることを示している。実際には、直線状部分P1、P3は、完全な直線上にあるのではなく、図9に示すように、上辺、下辺、右辺と平行な切込みと、所定の角度(図9の例では135度)で配置された切込みにより形成される。
11、11´・・・表紙(第1の外側基材)
12、12a、12b、12c・・・冊子中紙片(内部基材)
13、13´・・・裏表紙(第2の外側基材)
F・・・封筒部
M・・・切取りミシン(切取予定部)
N、P・・・切取予定部
M1、M2、M3・・・直線部分
N1、N2、N3、P1、P2、P3・・・直線状部分
S1、S2、S3・・・接着剤塗布部
Ta、Tb、Tc、Td・・・接着剤塗布部
Z、Z´・・・開封部
Za・・・つまみ部
Zb・・・直行部
Zc・・・斜行部

Claims (1)

  1. 一対の矩形状の外側基材の1辺の端部に綴じ部が設けられ、当該綴じ部を除く3周辺に接着部が設けられ、前記綴じ部および前記接着部において周囲4辺が接着され、前記外側基材より小さい寸法である内部基材が前記一対の外側基材の間に挿入され前記綴じ部で前記内部基材と前記外側基材が綴じられ一体化された冊子状印刷物であって、
    前記一対の外側基材のうち、第1の外側基材には、前記綴じ部以外の対向する2辺を結ぶ方向に所定の間隔で切込みを有する開封部が設けられ、前記一対の外側基材のうち、第2の外側基材には、切取予定部が設けられており、
    前記開封部は、前記切込みが前記綴じ部側の辺と対向する辺を結ぶ方向に所定の間隔を隔てて2列形成されており、
    前記切取予定部は、前記3周辺にそれぞれ沿った直線状部分を含み、当該切取予定部の両端部が前記第1の外側基材において開封部として形成された2列の切込みに挟まれる位置に設けられていることを特徴とする冊子状印刷物。
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