JP6511109B2 - 導電性ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ペーストに関する。特には、積層セラミック電子部品の内部電極層の形成に好適な導電性ペーストに関する。
積層セラミックコンデンサ(Multi-Layer Ceramic Capacitor:MLCC)等の電子部品の製造では、基材上に導電性ペーストを付与して導体膜を形成し、これを焼成することによって電極層を形成する手法が広く用いられている。
MLCCの製造方法の一例では、まず、セラミック粉末とバインダとを含む未焼成のセラミックグリーンシートを複数枚用意する。次に、複数枚のセラミックグリーンシートの上にそれぞれ導電性ペーストを付与して乾燥することにより、導体膜を形成する。次に、複数枚の導体膜付きセラミックグリーンシートを積層して圧着する。次に、これを焼成して一体焼結させる。そして、焼成後の複合体の両端面に外部電極を形成する。以上のようにして、セラミックからなる誘電体層と、導電性ペーストの焼成体からなる内部電極層とが交互に多数積層された構造を有するMLCCが製造される。例えば特許文献1には、このようなMLCCの内部電極層の形成に使用し得る導電性ペーストが開示されている。
特開2016−33900号公報
ところで近年、各種電子機器の更なる小型化や高性能化に伴って、電子機器に実装される電子部品にも一層の小型化や薄型化、高密度化が求められている。かかる要求に応えるべく、例えばチップタイプのMLCCでは、誘電体層および内部電極層の一層分の厚みがサブミクロン〜ミクロンレベルにまで薄層化され、積層数も1000層を超えるようになってきている。このようなMLCCでは、導体膜の表面のわずかな凹凸が積層構造の歪みにつながり、ショート不良等の不具合の原因になり得る。そのため、このような積層セラミック電子部品の製造では、表面平滑性の高い導体膜を形成することが要求される。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面平滑性の優れた導体膜を形成することができる導電性ペーストを提供することにある。
本発明者は、表面平滑性の異なる複数の導体膜について様々な角度から検討を行った。その結果、新たに、表面平滑性の不足している導体膜では、無機成分と有機成分とが相分離していることがわかった。そこで、本発明者は、導電性ペースト中の有機成分の酸価と無機成分の性状とを調整することで無機成分と有機成分との親和性を高め、導体膜中での相分離を抑制することを考えた。そして、更なる鋭意検討の末に、本発明を完成させた。
本発明により、無機成分と有機成分とを含み、導体膜の形成に用いられる導電性ペーストであって、上記無機成分は、導電性粉末と、誘電体粉末と、を含み、上記有機成分は、分散剤と、ビヒクルと、を含み、上記分散剤は、酸価を有する分散剤を含み、上記導電性ペーストの単位質量あたりの上記有機成分の全酸価をX(mgKOH)とし、上記導電性ペーストの単位質量あたりの上記無機成分の総比表面積をY(m)としたときに、次の式:5.0×10−2≦(X/Y)≦6.0×10−1;を満たす、導電性ペーストが提供される。
上記構成によれば、有機成分の酸性基の部分が無機成分の粒子の表面に作用して、無機成分と有機成分との親和性が好適に高められる。その結果、導電性ペースト全体の安定性や一体性を向上することができる。また、上記構成によれば、導電性ペーストの粘度が高くなり過ぎることを抑えて、良好なセルフレベリング性を発揮することができる。以上の効果により、この導電性ペーストを用いてなる導体膜では相分離が改善されて、高い表面平滑性を実現することができる。
なお、「酸価」とは、単位試料(1g)中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の含量(mg)である。単位は、mgKOH/gである。
また、「有機成分の全酸価X(mgKOH)」は、導電性ペーストの単位質量(100g)あたりについて、次の式(1):X(mgKOH)=Σ〔各有機成分の酸価(mgKOH/g)×導電性ペースト全体を基準とした各有機成分の含有割合(質量%)〕;で計算することができる。上記各有機成分の酸価としては、JIS K0070:1992に準じて電位差滴定法で測定された値を採用することができる。
また、「無機成分の総比表面積Y(m)」は、導電性ペーストの単位質量(100g)あたりについて、次の式(2):Y(m)=Σ〔各無機成分の比表面積(m/g)×導電性ペースト全体を基準とした各無機成分の含有割合(質量%)〕;で計算することができる。上記各無機成分の比表面積としては、窒素ガス吸着法で測定され、BET法で解析されたBET比表面積を採用することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記無機成分は、いずれも、電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径が0.3μm以下である。これにより、導体膜の算術平均粗さRaが5nm以下(0.005μm以下)と非常に優れた表面平滑性を有する導体膜を好適に実現することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、上記分散剤が3質量%以下である。分散剤の割合を低く抑えることで、焼成時に分散剤が燃え抜けやすくなる。これにより、分散剤が焼成後の電極層中に残存しにくくなり、電気伝導性に優れた電極層を好適に実現することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、上記導電性粉末が、ニッケル、白金、パラジウム、銀および銅のうちの少なくとも1つである。これにより、電気伝導性に優れた電極層を好適に実現することができる。
ここで開示される好ましい一態様では、積層セラミック電子部品の内部電極層を形成するために用いられる。積層セラミック電子部品では、導体膜のわずかな凹凸が致命的となり、ショート不良等の不具合が発生する。そのため、積層セラミック電子部品の内部電極層の形成には、上記導電性ペーストを好適に使用することができる。
一実施形態に係る積層セラミックコンデンサを模式的に示す断面図である。 X/Y値とRa値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、導電性ペーストの組成)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、導電性ペーストの調製方法や導体膜の形成方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の説明では、導電性ペーストを基材上に付与して、導電性ペーストに含まれる分散剤の沸点以下の温度で(例えば100℃以下で)乾燥した焼成前の膜状体を、導体膜という。また、本明細書において範囲を示す「A〜B」の表記は、A以上B以下を意味する。
≪導電性ペースト≫
ここで開示される導電性ペースト(以下、単に「ペースト」ということがある。)は、導体膜の形成に用いられる。ここで開示される導電性ペーストの成分は、無機成分と有機成分とに大別される。上記無機成分は、少なくとも導電性粉末(A)と誘電体粉末(B)とを含んでいる。上記有機成分は、少なくとも分散剤(C)とビヒクル(D)とを含んでいる。なお、本明細書において「ペースト」とは、インクやスラリーを包含する用語である。以下、各成分について順に説明する。
<(A)導電性粉末>
ペーストに含まれる導電性粉末(A)は、電極層に電気伝導性を付与する成分である。導電性粉末(A)の種類等については特に限定されず、一般的に使用される各種の導電性粉末の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる。
導電性粉末(A)の一好適例として、導電性金属粉末が挙げられる。具体的には、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、アルミニウム(Al)等の金属の単体、およびこれらの混合物や合金等が例示される。
特に限定されるものではないが、例えば積層セラミック電子部品の内部電極層を形成する用途では、導電性粉末(A)の溶融温度が、誘電体層に含まれるセラミック粉末の焼結温度よりも十分に高い金属種の使用が好ましい。そのような金属種の一例として、ニッケル、白金、パラジウム、銀、銅が挙げられる。なかでも、安価で、導電性とコストとのバランスに優れることから、ニッケルやニッケル合金が好ましい。
導電性粉末(A)を構成する粒子の性状、例えば粒子のサイズや形状等は、電極層の断面における最小寸法(典型的には、電極層の厚みおよび/または幅)に収まる限りにおいて、特に限定されない。
導電性粉末(A)の平均粒子径(電子顕微鏡観察に基づく個数基準の粒度分布において、粒径の小さい方から累積50%に相当する粒径。以下同じ。)は、例えばペーストの用途や電極層の寸法(微細度)等に応じて適宜選択することができる。通常は、導電性粉末(A)の平均粒子径が、概ね数nm〜数十μm程度、例えば10nm〜10μmであるとよい。
一例として、超小型MLCCの内部電極層を形成する用途では、導電性粉末(A)の平均粒子径が、内部電極層の厚み(積層方向の長さ)よりも小さく、典型的には0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下、例えば0.2μm以下であるとよい。平均粒子径が所定値以下であると、薄膜状の導体膜を安定的に形成することができる。また、導体膜の算術平均粗さRaを顕著に小さく、例えば5nm以下のレベルにまで好適に抑えることができる。
導電性粉末(A)の平均粒子径は、概ね0.01μm以上、典型的には0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、例えば0.12μm以上であるとよい。平均粒子径が所定値以上であると、粒子の表面エネルギーが抑えられて、ペースト中での凝集が抑制される。そのため、セルフレベリング性をより良く向上することができる。また、導体膜の密度を高めて、電気伝導性や緻密性の高い電極層を好適に実現することができる。
導電性粉末(A)の比表面積は特に限定されないが、概ね10m/g以下、好ましくは1〜8m/g、例えば2〜6m/gであるとよい。これにより、ペースト中での凝集が好適に抑えられ、ペーストの均質性や分散性、保存安定性をより良く向上することができる。また、電気伝導性に優れた電極層をより安定して実現することができる。
導電性粉末(A)の形状は特に限定されないが、真球状または略球状であるとよい。言い換えれば、導電性粉末(A)の平均アスペクト比(電子顕微鏡観察に基づいて算出される粒子の長径に対する短径の比の平均値。)は、典型的には1〜2、好ましくは1〜1.5であるとよい。これにより、ペーストの粘度を低めに維持して、ペーストのハンドリング性や、成膜時の作業性を向上することができる。また、ペーストの均質性をも向上することができる。
導電性粉末(A)の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね30質量%以上、典型的には40〜95質量%、例えば45〜60質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、電気伝導性や緻密性の高い電極層を好適に実現することができる。また、ペーストのハンドリング性や、成膜時の作業性を向上することができる。
<(B)誘電体粉末>
ペーストに含まれる誘電体粉末(B)は、導体膜の焼成時に導電性粉末(A)の熱収縮を緩和する成分である。誘電体粉末(B)の種類等については特に限定されず、一般的に使用される各種の無機材料粉末の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる。
誘電体粉末(B)の一好適例として、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ジルコニウム、チタン酸亜鉛等の、ABOで表されるペロブスカイト構造を有するセラミックや、酸化チタン、二酸化チタン等が挙げられる。例えばMLCCの内部電極層を形成する用途では、誘電体層に含まれるセラミック粉末と同種の材料、典型的にはチタン酸バリウム(BaTiO)の使用が好ましい。これにより、誘電体層と内部電極層との一体性が高められる。
誘電体粉末(B)の比誘電率は、典型的には100以上であり、好ましくは1000以上、例えば1000〜20000程度であるとよい。
誘電体粉末(B)を構成する粒子の性状、例えば粒子のサイズや形状等は、電極層の断面における最小寸法(典型的には、電極層の厚みおよび/または幅)に収まる限りにおいて、特に限定されない。
誘電体粉末(B)の平均粒子径は、例えばペーストの用途や電極層の寸法(微細度)等に応じて適宜選択することができる。通常は、誘電体粉末(B)の平均粒子径が、概ね数nm〜数十μm程度、例えば10nm〜10μm、好ましくは0.3μm以下であるとよい。電極層の電気伝導性や均質性、緻密性を高める観点からは、誘電体粉末(B)の平均粒子径が、導電性粉末(A)の平均粒子径よりも小さいことが好ましく、導電性粉末(A)の平均粒子径の1/20〜1/2程度であることがより好ましい。
一例として、超小型MLCCの内部電極層を形成する用途では、誘電体粉末(B)の平均粒子径が、概ね数nm〜数百nm程度、例えば10〜100nmであるとよい。平均粒子径が所定値以下であると、導体膜の算術平均粗さRaを顕著に小さく抑えることができる。また、平均粒子径が所定値以上であると、粒子の表面エネルギーが抑えられて、ペースト中での凝集が抑制される。そのため、セルフレベリング性をより良く向上することができる。
誘電体粉末(B)の比表面積は特に限定されないが、典型的には導電性粉末(A)の比表面積よりも大きく、概ね100m/g以下、好ましくは5〜80m/g、例えば10〜70m/gであるとよい。これにより、粒子の凝集が好適に抑制されて、ペーストの均質性や分散性、保存安定性をより良く向上することができる。また、電気伝導性に優れた電極層をより安定して実現することができる。
誘電体粉末(B)の含有割合は特に限定されないが、例えばMLCCの内部電極層を形成する用途等では、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね1〜20質量%、例えば2〜15質量%であるとよい。また、導電性粉末(A)100質量部に対する誘電体粉末(B)の含有比率は特に限定されないが、概ね3〜30質量部、例えば5〜25質量部であるとよい。上記範囲を満たすことで、誘電体粉末(B)の効果が好適に発揮されて、導電性粉末(A)の熱収縮をより良く緩和することができる。また、電気伝導性に優れた電極層を好適に実現することができる。
<(C)分散剤>
ペーストに含まれる分散剤(C)は、無機成分(典型的には、導電性粉末(A)および誘電体粉末(B))をビヒクル(D)中に分散させて、無機成分の粒子の凝集を好適に抑制する成分である。なお、本明細書において「分散剤」とは、親水性部位と親油性部位とを有する両親媒性を有する化合物全般をいい、界面活性剤、湿潤分散剤、乳化剤をも包含する用語である。
分散剤(C)の種類等については特に限定されず、一般的に使用される各種の分散剤の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる(ただし、後述する(D1)バインダの好適例は除くものとする)。分散剤(C)は、導体膜の焼成時に(典型的には、酸化雰囲気中において250℃以上の温度での加熱処理で)燃え抜けることが好ましい。言い換えれば、分散剤(C)は、沸点が導体膜の焼成温度よりも低いことが好ましい。
分散剤(C)は、酸価を有する(酸価が検出下限を超える)分散剤を含んでいる。なお、以下の説明では、酸価を有する分散剤を「有酸価分散剤」ということがある。
有酸価分散剤は、典型的には、親水性基として1つまたは2つ以上の酸性基を有している。有酸価分散剤の一例として、1つまたは2つ以上のカルボキシル基(COO基)を有するカルボン酸系の分散剤、1つまたは2つ以上のホスホン酸基(PO 基、PO 2−基)を有するリン酸系の分散剤、1つまたは2つ以上のスルホン酸基(SO 基、SO 2−基)を有するスルホン酸系の分散剤等が挙げられる。なかでも、カルボン酸系の分散剤は、概して酸価が高いため、比較的少ない使用量で、ここに開示される技術の効果を安定的に発揮することができる。カルボン酸系の分散剤としては、例えば、モノカルボン酸系の分散剤、ジカルボン酸系の分散剤、ポリカルボン酸系の分散剤、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系の分散剤等が挙げられる。
有酸価分散剤は、有機成分の全酸価Xを調整するための成分である。有酸価分散剤の酸価は、概ね10mgKOH/g以上、好ましくは30mgKOH/g以上、例えば50mgKOH/g以上であるとよい。これにより、少ない添加量で本願発明の効果を好適に実現することができる。
有酸価分散剤の酸価の上限は特に限定されないが、概ね300mgKOH/g以下、好ましくは200mgKOH/g以下、例えば180mgKOH/g以下であるとよい。これにより、有機成分の全酸価Xを微調整し易くなる。また、ペースト中の無機成分との親和性が過度に高まり過ぎることを抑制できる。したがって、ペーストの粘度上昇を抑えてペーストのハンドリング性や成膜時の作業性を向上することができる。さらに、ペーストのセルフレベリング性を高めて、より滑らかな表面の導体膜を実現することができる。
分散剤(C)は、酸価を有しない無酸価分散剤を含んでいてもよい。無酸価分散剤とは、酸価が検出下限値以下(測定精度にもよるが、概ね0.1mgKOH/g以下)の分散剤をいう。無酸価分散剤の一例として、1つまたは2つ以上のアミノ基を親水性基として有するアミン系の分散剤が挙げられる。
分散剤(C)の重量平均分子量Mw(ゲルクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した重量基準の平均分子量。以下同じ。)は、概ね2万未満、例えば50〜15000程度であるとよい。分子量が所定値以上であると、無機成分の粒子間の斥力が増して、凝集を抑制する効果がより良く発揮される。また、分子量が所定値以下であると、ペーストのセルフレベリング性を向上することができ、より滑らかな表面の導体膜を実現することができる。
分散剤(C)の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね0.01質量%以上、典型的には0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、例えば0.12質量%以上であるとよい。分散剤の割合を所定値以上とすることで、分散剤(C)添加の効果をより良く発揮することができる。
また、分散剤(C)の含有割合の上限は特に限定されないが、概ね5質量%以下、好ましくは3質量%以下、例えば2質量%以下であるとよい。分散剤の割合を所定値以下に抑えることで、焼成時に分散剤が燃え抜けやすくなる。これにより、分散剤が電極層中に残存しにくくなる。そのため、電気伝導性に優れた電極層を好適に実現することができる。また、例えば薄膜状の導体膜を形成する場合においても、焼成後の電極層にポアや亀裂等の不具合が生じることを抑制することができる。
無機成分(例えば導電性粉末(A)と誘電体粉末(B)との合計)100質量部に対する分散剤(C)の含有比率は特に限定されないが、例えば超小型MLCCの内部電極層を形成する用途等では、概ね0.1〜10質量部、例えば0.3〜6質量部であるとよい。これにより、例えば平均粒子径が0.3μm以下のような微細な無機成分を含む場合にも、分散剤(C)の使用量を抑えつつ、ペーストの均質性や分散性、保存安定性を好適に向上することができる。
<(D)ビヒクル>
ビヒクル(D)は、無機成分、典型的には上記した導電性粉末(A)および誘電体粉末(B)を分散させる成分である。また、ペーストに適度な粘性や流動性を付与して、ペーストの取扱性や成膜時の作業性を向上する成分でもある。ビヒクル(D)は、酸価を有していても良く、酸価を有していなくても良い。ビヒクル(D)は、典型的には、有機のバインダ(D1)と有機溶剤(D2)とを含んでいる。
<(D1)バインダ>
バインダ(D1)は、焼成前の導体膜に粘着性を付与して、無機成分同士および無機成分と導体膜を支持する基材とを密着させる成分である。バインダ(D1)は、導体膜の焼成時に(典型的には、酸化雰囲気中において250℃の温度での加熱処理で)燃え抜けることが好ましい。言い換えれば、バインダ(D1)は、沸点が導体膜の焼成温度よりも低いことが好ましい。バインダ(D1)の種類等については特に限定されず、一般的に使用される各種の有機重合体(ポリマー)の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる。
バインダ(D1)の一好適例として、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、ロジン系樹脂、エチレン系樹脂等の有機高分子化合物が挙げられる。バインダ(D1)は、典型的には繰り返し構成単位を有する。なかでも、焼成時の燃焼分解性に優れる点や環境配慮の点等から、セルロース系樹脂が好ましい。
セルロース系樹脂としては、例えば、繰り返し構成単位としてのセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアリル基、メチロール基、エチロール基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等で置換されたセルロース有機酸エステル(セルロース誘導体)が挙げられる。具体例としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。
ブチラール系樹脂としては、例えば、酢酸ビニルの単独重合体(ホモポリマー)や、酢酸ビニルを主モノマー(単量体全体の50質量%以上を占める成分。以下同じ。)として当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体(コポリマー)が挙げられる。単独重合体としては、ポリビニルブチラールが挙げられる。共重合体の具体例としては、主鎖骨格に、繰り返し構成単位として、ビニルブチラール(ブチラール基)と、酢酸ビニル(アセチル基)と、ビニルアルコール(水酸基)と、を含むポリビニルブチラール(PVB)等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体や、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体が挙げられる。単独重合体の具体例としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。共重合体の具体例としては、例えば、構成単位としてメタクリル酸エステルの重合体ブロックとアクリル酸エステルの重合体ブロックとを含むブロック共重合体等が挙げられる。なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する用語である。
バインダ(D1)の重量平均分子量Mwは、概ね2万以上、典型的には2万〜100万、例えば5万〜50万程度であるとよい。分子量が所定値以上であると、バインダ(D1)の粘着性が高まり、少ない添加量で粘着効果を発揮することができる。また、分子量が所定値以下であると、ペーストの粘度を低めに維持して、ペーストのハンドリング性やセルフレベリング性を向上することができる。そのため、導体膜の表面の凹凸をより小さく抑えることができる。
バインダ(D1)の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね0.1〜10質量%、典型的には0.5〜5質量%、例えば1〜3質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、ペーストのハンドリング性や成膜時の作業性を向上して、デラミネーションの発生を高度に抑制することができる。また、セルフレベリング性を高めて、より滑らかな表面の導体膜を実現することができる。
無機成分(例えば導電性粉末(A)と誘電体粉末(B)との合計)100質量部に対するバインダ(D1)の含有比率は特に限定されないが、例えば超小型MLCCの内部電極層を形成する用途では、概ね1〜10質量部、例えば2〜5質量部であるとよい。これにより、例えば平均粒子径が0.3μm以下のような微細な無機成分を含む場合にも、使用量を抑えつつ、バインダ(D1)の粘着効果を好適に発揮することができる。
<(D2)有機溶剤>
有機溶剤(D2)の種類等については特に限定されず、一般的に使用される各種の有機溶剤の中から用途等に応じて1種または2種以上を適宜用いることができる。成膜時の作業性や保存安定性等の観点からは、沸点が概ね200℃以上、例えば200〜300℃の高沸点有機溶剤を主成分(50体積%以上を占める成分。)とするとよい。
有機溶剤(D2)の一好適例として、ターピネオール、テキサノール、ジヒドロターピネオール、ベンジルアルコール等の、−OH基を有するアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール等の、グリコール系溶剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)等の、グリコールエーテル系溶剤;イソボルニルアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート)等の、エステル結合基(R−C(=O)−O−R’)を有するエステル系溶剤;トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;ミネラルスピリット等が挙げられる。なかでも、アルコール系溶剤を好ましく用いることができる。
有機溶剤(D2)の含有割合は特に限定されないが、導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、概ね70質量%以下、典型的には5〜60質量%、例えば30〜50質量%であるとよい。上記範囲を満たすことで、ペーストに適度な流動性を付与することができ、成膜時の作業性を向上することができる。また、ペーストのセルフレベリング性を高めて、より滑らかな表面の導体膜を実現することができる。
<(E)その他の成分>
ここで開示されるペーストは、上記(A)〜(D)の成分のみで構成されていてもよく、上記(A)〜(D)の成分に加えて、必要に応じて種々の添加成分を含んでいてもよい。添加成分としては、ここに開示される技術の効果を著しく損なわない限りにおいて、一般的な導電性ペーストに使用し得ることが知られているものを適宜用いることができる。
添加成分は、無機添加剤(E1)と有機添加剤(E2)とに大別される。
無機添加剤(E1)の一例としては、焼結助剤や無機フィラー等が挙げられる。無機添加剤(E1)は、平均粒子径が、概ね10nm〜10μm程度であり、導体膜の算術平均粗さRaを小さく抑える観点からは、例えば0.3μm以下であることが好ましい。
また、有機添加剤(E2)の一例としては、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、pH調整剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料等)等が挙げられる。なお、有機添加剤(E2)は、酸価を有していても良く、酸価を有していなくても良い。
ここで開示されるペーストは、ペーストの単位質量あたりの有機成分の全酸価をXとし、ペーストの単位質量あたりの無機成分の総比表面積をYとしたときに、無機成分の総比表面積に対する有機成分の全酸価の比(X/Y)が、次の式:5.0×10−2≦(X/Y)≦6.0×10−1;を満たしていることで特徴づけられる。上記比(X/Y)を満たすことにより、導電性ペーストとしての安定性や一体性が高められ、良好なセルフレベリング性を発揮することができる。なお、上記Xの値は、上記した式(1)で求められる。すなわち、有機成分ごとに酸価(mgKOH/g)×含有割合(質量%)から酸価量を求め、それを合算してXとする。また、上記Yの値は、上記した式(2)で求められる。すなわち、無機成分ごとに比表面積(m/g)×含有割合(質量%)から比表面積量を求め、それを合算してYとする。
上記比(X/Y)は、概ね5.2×10−2以上、一例では6.5×10−2以上、例えば1.0×10−1以上であってもよい。上記比(X/Y)は、概ね5.9×10−1以下、一例では5.1×10−1以下、例えば4.5×10−1以下、例えば3.5×10−1以下であってもよい。上記比(X/Y)の範囲によれば、導体膜の算術平均粗さRaをより一層小さく抑えることができ、例えば算術平均粗さRaが2.5nm以下の導体膜をも安定的に実現することができる。
上記Xの値は特に限定されないが、例えば、ペースト100gあたりについて、概ね10mgKOH以上、一例では20mgKOH以上、例えば30mgKOH以上であって、概ね500mgKOH以下、一例では300mgKOH以下、例えば200mgKOH以下であってもよい。また、上記Yの値も特に限定されないが、例えば、ペースト100gあたりについて、概ね100m以上、一例では200m以上、例えば250m以上であって、概ね700m以下、一例では500m以下、例えば400m以下であってもよい。
このようなペーストは、上述した材料を所定の含有割合(質量比率)となるよう秤量し、均質に撹拌混合することで調製し得る。材料の撹拌混合は、従来公知の種々の攪拌混合装置、例えばロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー等を用いて行うことができる。また、基材へのペーストの付与は、例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等の印刷法やスプレー塗布法等を用いて行うことができる。特に積層セラミック電子部品の内部電極層を形成する用途では、高速印刷が可能なグラビア印刷法が好適である。
ここに開示される導電性ペーストによれば、基材上に表面平滑性の高い導体膜を形成することができる。例えば、算術平均粗さRaが10nm以下、好ましくは5nm以下、さらには2.5nm以下にまで低減された、略フラットな表面の導体膜を好適に形成することができる。また、ここに開示されるペーストによれば、導体膜の密度を従来よりも向上することができる。例えば、導体膜密度が5.0g/cm以上、好ましくは5.3g/cm以上、例えば5.0〜6.0g/cmにまで緻密化された導体膜を好適に形成することができる。したがって、この導体膜を焼成してなる電極層は、優れた電気伝導性を発揮することができる。
<ペーストの用途>
ここで開示されるペーストは、導体膜の表面平滑性が要求される用途で好ましく用いることができる。代表的な使用用途として、積層セラミック電子部品における内部電極層の形成が挙げられる。ここで開示されるペーストは、例えば、各辺が5mm以下、例えば1mm以下の超小型MLCCの内部電極層の形成に好適に用いることができる。
なお、本明細書において、「セラミック電子部品」とは、非晶質のセラミック基材(ガラスセラミック基材)あるいは結晶質(すなわち非ガラス)のセラミック基材を有する電子部品一般を指す用語である。例えば、セラミック製の基材を有するチップインダクタ、高周波フィルター、セラミックコンデンサ、低温焼成積層セラミック基材(Low Temperature Co-fired Ceramics Substrate:LTCC基材)、高温焼成積層セラミック基材(High Temperature Co-fired Ceramics Substrate:HTCC基材)等は、ここでいう「セラミック電子部品」に包含される典型例である。
セラミック基材を構成するセラミック材料としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化セリウム(セリア:CeO)、酸化イットリウム(イットリア:Y)等の酸化物系材料;コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、ステアタイト(MgO・SiO)、サイアロン(Si−AlN−Al)、ジルコン(ZrO・SiO)、フェライト(MO・Fe)等の複合酸化物系材料;窒化ケイ素(シリコンナイトライド:Si)、窒化アルミニウム(アルミナイトライド:AlN)等の窒化物系材料;炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)等の炭化物系材料;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系材料;炭素(C)、ケイ素(Si)等の元素系材料;もしくはこれらを2種以上含む無機複合材料;等が挙げられる。
図1は、積層セラミックコンデンサ(MLCC)10を模式的に示す断面図である。MLCC10は、誘電体層20と内部電極層30とが交互に多数積層されて構成されたセラミックコンデンサである。誘電体層20は、例えばセラミックで構成されている。内部電極層30は、ここに開示される導電性ペーストの焼成体で構成されている。MLCC10は、例えば、以下の手順で製造される。
すなわち、まず、基材としてのセラミックグリーンシートを用意する。一例では、誘電体材料としてのセラミック材料と、バインダと、有機溶剤等とを撹拌混合して、誘電体層形成用のペーストを調製する。次に、調製したペーストをドクターブレード法等でキャリアシート上に延ばし、未焼成のセラミックグリーンシートを複数枚成形する。このセラミックグリーンシートは、焼成後に誘電体層となる部分である。
次に、ここに開示される導電性ペーストを用意する。具体的には、少なくとも導電性粉末(A)と誘電体粉末(B)と分散剤(C)とビヒクル(D)とを準備し、これらが上記比(X/Y)を満たすように撹拌混合して、導電性ペーストを調製する。次に、調製したペーストを上記成形した複数枚のセラミックグリーンシートの上に、所定のパターンで所望の厚み(例えばサブミクロン〜ミクロンレベル)になるように付与して、それぞれ導体膜を形成する。この導体膜は、焼成後に内部電極層となる部分である。
このようにして未焼成の導体膜付きのセラミックグリーンシートを複数枚(例えば、数百〜数千枚)作成した後、これらを積層し、圧着する。これにより、未焼成の積層チップを作製する。
次に、上記作製した未焼成の積層チップを、適当な加熱条件(例えば、1000〜1300℃程度の温度)で焼成する。これにより、積層チップを同時焼成(焼き付け)し、一体焼結させる。以上のようにして、誘電体層20と内部電極層30とが交互に多数積層された複合体を得ることができる。そして最後に、焼成後の複合体の断面に電極材料を塗布して焼き付け、外部電極40を形成する。以上のようにして、MLCC10を製造することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を係る実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
まず、表1に示すように、導電性粒子と誘電体粒子と分散剤とビヒクルとを混合して、導電性ペースト(例1〜11、比較例1〜5)を調製した。ここに開示される導電性ペーストにおいて、無機成分は、導電性粉末と誘電体粉末である。有機成分は、分散剤とバインダと有機溶剤である。
なお、カルボン酸系の分散剤Aの重量平均分子量Mwは500、アミン系の分散剤Bの重量平均分子量Mwは400、ジカルボン酸系の分散剤Cの重量平均分子量Mwは14000である。また、バインダ(エチルセルロース)は、重量平均分子量Mwが異なる複数種の混合物であり、最も重量平均分子量Mwの低いものは8万、質量基準で最も多くの割合を占めるもの(主バインダ)は重量平均分子量Mwが18万である。
また、表1において「Ni粉」とはニッケル粉末を指す。ニッケル粉末としては、平均粒子径(メーカーの公称値。電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径。)が0.1〜0.3μmにあるものを使用した。また、表1において「BT粉」とはチタン酸バリウム粉末を指す。チタン酸バリウム粉末としては、平均粒子径(メーカーの公称値。電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径。)が10〜100nmにあるものを使用した。
次に、上記した式(1),(2)を用いて、(a)上記比(X/Y)を算出した。
また、上記導電性ペーストを、アプリケーター等を用いてガラス基板上に塗工し、100℃・10分間乾燥することで、約1μmの厚みの導体膜を形成し、(b)表面粗さの評価と、(c)導体膜密度の評価を行った。
(a)比(X/Y)の算出
・X値
まず、各有機成分、すなわち、分散剤A〜Cとバインダと有機溶剤との酸価を、それぞれ、JIS K0070:1992に準じて電位差滴定法で測定した。結果は表1に併記した。なお、測定結果が測定下限値以下の場合は、「酸価無し」と記載した。そして、各例につき、各成分の酸価(mgKOH/g)×含有割合(質量%)から酸価量を求め、それを合算してペースト100g中の有機成分の全酸価Xを算出した。結果を表1に示す。なお、ここでは、バインダと有機溶剤とが酸価を有しないため、分散剤の酸価量が、ペースト100g中の有機成分の全酸価Xと同じである。
・Y値
まず、各無機成分、すなわち、Ni粉A〜EとBT粉A〜Eとの比表面積を、それぞれ、窒素ガス吸着法(定容量方式)で測定し、BET法で解析した。結果は表1に併記した。次に、各例につき、Ni粉の比表面積(m/g)×Ni粉の含有割合(質量%)から、ペースト100g中のNi粉の比表面積量(total面積)を求めた。同様に、BT粉の比表面積(m/g)×BT粉の含有割合(質量%)から、ペースト100g中のBT粉の比表面積量(total面積)を求めた。そして、ペースト100g中のNi粉の比表面積量とBT粉の比表面積量とを合算して、ペースト100g中の無機成分の総比表面積Yを算出した。結果を表1に示す。
・X/Y値
ペースト100g中の有機成分の全酸価Xを、ペースト100g中の無機成分の総比表面積Yで除して、比(X/Y)を算出した。結果を表1に示す。
(b)表面粗さの評価
光干渉顕微鏡を用いて、以下の条件で導体膜の表面平滑性(算術平均粗さRa)を算出した。結果を表1に示す。
装置:超分解能非接触三次元表面形状計測システム BW-A501(株式会社ニコン製)
光学顕微鏡 LV-150(株式会社ニコン製)
倍率:100倍、操作幅:±5μm、測定範囲:50μm×1000μm
(c)導体膜密度の評価
導体膜の重量と膜厚とを測定して、次の式(3):導体膜密度(g/cm)= 導体膜の重量(g)/ 導体膜の見かけの体積(c m);から、導体膜密度を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006511109
図2は、X/Y値とRa値との関係を示すグラフである。表1および図2に示すように、比較例1〜4は、算術平均粗さRaが16nm以上であり、導体膜の表面の凹凸が大きかった。この理由は定かではないが、無機成分の総比表面積Yに対して有機成分の全酸価Xが過剰になり過ぎたために、セルフレベリング性が低下したことが考えられる。
また、比較例5も、算術平均粗さRaが15.6nmであり、導体膜の表面の凹凸が大きかった。この理由は定かではないが、無機成分の総比表面積Yに対して有機成分の全酸価Xが不足したために、無機成分と有機成分との親和性が低くなり、導体膜中で相分離を生じたことが考えられる。
これら比較例に対して、上記比(X/Y)が、5.0×10−2〜6.0×10−1を満たす例1〜11では、導体膜の算術平均粗さRaが小さく抑えられ、ここではRa≦5nmが実現されていた。なかでも、例3,4,5〜8、10では、導体膜の算術平均粗さRaが顕著に小さく抑えられ、Ra≦2.5nmが実現されていた。以上のことから、ここに開示される導電性ペーストによれば、表面平滑性の高い(例えば、算術平均粗さRaが5nm以下の)導体膜を形成することができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
10 積層セラミックコンデンサ
20 セラミックグリーンシート
30 内部電極層
40 外部電極

Claims (5)

  1. 無機成分と有機成分とを含み、導体膜の形成に用いられる導電性ペーストであって、
    前記無機成分は、導電性粉末と、誘電体粉末と、を含み、
    前記有機成分は、分散剤と、ビヒクルと、を含み、
    前記分散剤は、酸価を有する分散剤を含み、
    前記導電性ペーストの単位質量あたりの前記有機成分の全酸価をX(mgKOH)とし、前記導電性ペーストの単位質量あたりの前記無機成分の総比表面積をY(m)としたときに、次の式:5.0×10−2≦(X/Y)≦6.0×10−1;を満たし、
    前記導電性ペーストを基材上に付与して、100℃で10分間乾燥した前記導体膜において、5.0g/cm を超える導体膜密度を実現する、導電性ペースト。
  2. 前記無機成分は、いずれも、電子顕微鏡観察に基づく個数基準の平均粒子径が0.3μm以下である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、前記分散剤が3質量%以下である、請求項1または2に記載の導電性ペースト。
  4. 前記導電性粉末が、ニッケル、白金、パラジウム、銀および銅のうちの少なくとも1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
  5. 積層セラミック電子部品の内部電極層を形成するために用いられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の導電性ペースト。
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