JP6508386B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

本技術は、磁気記録媒体に関する。詳しくは、磁性粉末を含む磁性層を備える磁気記録媒体に関する。
従来、磁気記録媒体としては、磁性粉末、結着剤および有機溶媒を含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、乾燥することで、磁性層が形成される塗布型の磁気記録媒体が知られている。このような塗布型の磁気記録媒体は、バックアップ用データカートリッジなどの高記録密度の記録媒体として広く利用されている。
近年、高記録密度の記録媒体に対応すべく、高感度な磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MR(magneto resistive)ヘッド)などの超高感度再生ヘッドを用いる高容量磁気記録再生システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2010−170639号公報
上述の超高感度再生ヘッドを用いる高容量磁気記録再生システムにおいて、高い信号雑音比(CNR)を得ることができる磁気記録媒体が望まれている。
したがって、本技術の目的は、超高感度再生ヘッドを用いる高容量磁気記録再生システムにおいて、高い信号雑音比を得ることができる磁気記録媒体を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本技術は、
非磁性支持体と、
磁性粉末を含む磁性層と
を備え、
磁性粉末は、ε−Fe23結晶(Feサイトの一部が金属元素Mで置換されたもの
を含む)を含み、
垂直方向に測定した磁性層の残留磁化と厚さとの積が、0.5mA以上6.0mA以下であり、
磁性層の厚みが、30nm以上100nm以下である磁気記録媒体である。
以上説明したように、本技術によれば、超高感度再生ヘッドを用いる高容量磁気記録再生システムにおいて、高い信号雑音比を得ることができる。
図1は、本技術の一実施形態に係る磁気記録媒体の構成の一例を示す概略断面図である。
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1 磁気記録媒体の構成
2 磁気記録媒体の製造方法
[1 磁気記録媒体の構成]
図1に示すように、本技術の一実施形態に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体1と、非磁性支持体1の一方の主面に設けられた非磁性層2と、非磁性層2上に設けられた磁性層3とを備える。磁気記録媒体が、必要に応じて、非磁性支持体1の他方の主面に設けられたバックコート層4をさらに備えるようにしてもよい。本技術の一実施形態に係る磁気記録媒体は、例えば、記録再生システムの再生ヘッドとしてトンネル型磁気抵抗効果型(Tunneling Magneto-Resistance:TMR)ヘッドが用いられる垂直磁気記録媒体である。
(非磁性支持体)
非磁性支持体1は、例えば、可撓性を有する長尺状のフィルムである。非磁性支持体1の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルロースブチレートなどのセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのプラスチック、アルミニウム合金、チタン合金などの軽金属、アルミナガラスなどのセラミックなどを用いることができる。さらには、機械的強度を高めるために、AlまたはCuの酸化物を含む薄膜を、ビニル系樹脂などを含む非磁性支持体1の主面のうち少なくとも一方に成膜したものを用いてもよい。
(磁性層)
磁性層3は、例えば、磁性粉末、結着剤および導電性粒子を含んでいる。磁性層3が、必要に応じて、潤滑剤、研磨剤、防錆剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
垂直方向に測定した磁性層3の残留磁化と厚さとの積(Mr・t)が、0.5mA以上6.0mA以下、好ましくは2.0mA以上4.0mA以下である。また、磁性層3の長手方向に測定した角形比(Mr/Ms)が、0.3以下、好ましくは0.22以下である。Mr・tが0.5mA未満であると、メディアノイズ支配率の低下が見られ、すなわちシステムノイズの影響を多分に受けC/N比の大幅な悪化を招いてしまう。一方、Mr・tが6.0mAを超えると再生波形の潰れが観察され始め、記録再生システムには適さなくなってしまう。また、長手方向に測定した角形比(Mr/Ms)が0.3を超えることは、非磁性支持体1に対して垂直方向の磁性粉配向度合が悪化することを示唆しており、C/Nの劣化につながる。
磁性層3の平均厚さは、好ましくは30nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上70nm以下である。磁性層3の平均厚さが30nm未満であると、均一な厚みの磁性層3を塗布により形成することが非常に難しくなってしまう。一方、磁性層3の平均厚さが100nmを超えると高密度磁気記録媒体として必要な、波長が短い領域の出力がインコヒーレントな磁化反転などの原因により劣化してしまう。
磁性層3の保磁力Hcが、好ましくは2000Oe以上4500Oe以下、より好ましくは3500Oe以上4000Oe以下である。保磁力Hcが2000Oe未満であると、高密度磁気記録媒体として必要な、波長が短い領域の出力が低下してしまい、良好なC/Nが得られなくなってしまう。一方、保磁力Hcが4500Oeを超えてしまうと、信号書き込み時に飽和記録が難しくなってしまい、結果として良好なC/Nが得られなくなってしまう。
(磁性粉末)
磁性粉末は、ε−Fe23結晶(Feサイトの一部が金属元素Mで置換されたものを含む)を主相とする鉄酸化物の粒子からなる。金属元素Mは、例えば、Al、GaおよびInからなる群より選ばれる1種以上である。但し、鉄酸化物におけるMとFeのモル比をM:Fe=x:(2−x)と表すとき、0≦x<1である。
本技術において、ε−Fe23結晶には、特に断らない限り、Feサイトが他の元素で置換されていない純粋なε−Fe23結晶の他、Feサイトの一部が3価の金属元素Mで置換されており、純粋なε−Fe23結晶と空間群が同じである(すなわち空間群がPna21である)結晶が含まれる。
磁性粉末の自発磁化量σsが、好ましくは5emu/g以上25emu/g以下、より好ましくは20emu/g以上25emu/g以下である。自発磁化量σsが5emu/g未満であると磁気エネルギーの低下により超常磁性的な振る舞いを見せる粒子が混在してしまう可能性があり、また出力不足により良好なC/Nが得られなくなる。一方、自発磁化量σsが25emu/gを超えると、再生ヘッドの出力飽和が観察されはじめ良好なC/Nが得られなくなる。また出力飽和を回避するためには磁性層3中の磁性粉末の充填率を下げなければならず、結果とて良好なC/Nが得られなくなってしまう。磁性粉末の物理体積(粒子サイズ)が、好ましくは800nm3以上4000nm3以下、より好ましくは1000nm3以上1500nm3以下である。粒子サイズが800nm3未満であると、粒子を分散させることが非常に難しくなり、C/Nが悪化してしまう。一方、粒子サイズが4000nm3を超えると、分散は容易ではあるが、粒子性ノイズが増加し良好なC/Nが得られなくなってしまう。磁性粉末の充填率が、好ましくは30%以上、より好ましくは30%以上50%以下、さらに好ましくは40%以上48.5%以下である。磁性粉末の充填率が30%未満であると、ノイズが増加し良好なC/Nが得られなくなってしまう。
(結着剤)
結着剤としては、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などに架橋反応を付与した構造の樹脂が好ましい。しかしながら結着剤はこれらに限定されるものではなく、磁気記録媒体に対して要求される物性などに応じて、その他の樹脂を適宜配合してもよい。配合する樹脂としては、通常、塗布型の磁気記録媒体において一般的に用いられる樹脂であれば、特に限定されない。
例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデン−アルリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴムなどが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂、または反応型樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
また、上述した各結着剤には、磁性粉末の分散性を向上させる目的で、−SO3M、−OSO3M、−COOM、P=O(OM)2などの極性官能基が導入されていてもよい。ここで、式中Mは、水素原子、あるいはリチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属である。
更に、極性官能基としては、−NR1R2、−NR1R2R3+X−の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1R2+X−の主鎖型のものが挙げられる。ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子、あるいは炭化水素基であり、X−は弗素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。また、極性官能基としては、−OH、−SH、−CN、エポキシ基なども挙げられる。
(導電性粒子)
導電性粒子としては、炭素を主成分とする微粒子、例えば、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン社の旭#15、#15HSなどを用いることができる。また、シリカ粒子表面にカーボンを付着させたハイブリッドカーボンを用いてもよい。
(非磁性補強粒子)
磁性層3は、非磁性補強粒子として、酸化アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、酸化珪素、ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)などをさらに含有していてもよい。
(非磁性層)
非磁性層2は、非磁性粉末および結着剤を主成分として含んでいる。非磁性層2が、必要に応じて、導電性粒子、潤滑剤などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
(非磁性粉末)
非磁性粉末としては、針状、球状、板状など、各種形状の微粒子を適宜使用することができる。
(結着剤)
結着剤としては、上述した磁性層3において適用可能なものをいずれも使用することができる。また、非磁性層2においては、樹脂にポリイソシアネートを併用して、これを架橋硬化させるようにしてもよい。ポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、およびこれらの付加体、アルキレンジイソシアネート、およびこれらの付加体などが挙げられる。
(導電性粒子)
非磁性層2の導電性粒子としては、上述した磁性層3の導電性粒子と同様に、例えば、カーボンブラック、シリカ粒子表面にカーボンを付着させたハイブリッドカーボンなどを用いることができる。
(潤滑剤)
磁性層3および非磁性層2に含有させる潤滑剤としては、例えば、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜12の1価〜6価アルコールのいずれかとのエステル、これらの混合エステル、またはジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステルを適宜用いることができる。潤滑剤の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチルなどが挙げられる。
[2 磁気記録媒体の製造方法]
次に、上述の構成を有する磁気記録媒体の製造方法の一例について説明する。
まず、非磁性粉末、導電性粒子および結着剤などを溶剤に混練、分散させることにより、非磁性層形成用塗料を調製する。次に、磁性粉末、導電性粒子および結着剤などを溶剤に混練、分散させることにより、磁性層形成用塗料を調製する。磁性層形成用塗料および非磁性層形成用塗料の調製には、同様の溶剤、分散装置および混練装置を適用することができる。
上述の塗料調製に用いられる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテートなどのエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、適宜混合して用いてもよい。
上述の塗料調製に用いられる混練装置としては、例えば、連続二軸混練機、多段階で希釈可能な連続二軸混練機、ニーダー、加圧ニーダー、ロールニーダーなどの混練装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。また、上述の塗料調製に用いられる分散装置としては、例えば、ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、スパイクミル、ピンミル、タワーミル、DCP、ホモジナイザー、超音波分散機などの分散装置を用いることができるが、特にこれらの装置に限定されるものではない。
次に、非磁性層形成用塗料を非磁性支持体1の一方の主面に塗布して乾燥させることにより、非磁性層2を形成する。次に、この非磁性層2上に磁性層形成用塗料を塗布して乾燥させることにより、磁性層3を非磁性層2上に形成する。次に、バックコート層形成用塗料を非磁性支持体1の他方の主面に塗布して乾燥させることにより、バックコート層4を形成する。
次に、非磁性層2、磁性層3、およびバックコート層4が形成された非磁性支持体1を大径コアに巻き直し、硬化処理を行う。次に、非磁性層2、磁性層3、およびバックコート層4が形成された非磁性支持体1に対してカレンダー処理を行った後、所定の幅に裁断する。このようにして、所定の幅に裁断されたパンケーキを得ることができる。なお、バックコート層4を形成する工程は、カレンダー処理後であってもよい。
非性層2および磁性層3の形成工程は、上述の例に限定されるものではない。例えば、非磁性層形成用塗料を非磁性支持体1の一方の主面に塗布して塗膜を形成し、この湿潤状態にある塗膜上に磁性層形成用塗料を重ねて塗布して塗膜を形成した後、両塗膜を乾燥させることにより、非性層2および磁性層3を非磁性支持体1の一主面上に形成するようにしてもよい。
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(自発磁化量σs、保持力Hc)
磁性層の自発磁化量σsおよび保持力Hcは、以下のようにして求めた。まず、振動試料磁力計(Vibrating Sample Magnetometer:VSM)を用いて、磁性粉末のM−Hループを得た。次に、得られたM−Hループから、自発磁化量σsおよび保持力Hcを求めた。
(物理体積)
ε−Fe23結晶磁性粉末の物理体積(平均粒子サイズ)は、以下のようにして求めた。まず、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて、磁性粉末を撮影した。次に、撮影したTEM写真から500個の粒子を無作為に選び出し、それらの粒子の粒子径をそれぞれ測定した。ここで、粒子径は、粒子の最大の差し渡し長さ(すなわち最大粒子径)を意味する。次に、測定した500個の粒子の粒子径を単純に平均(算術平均)して、平均粒子径Rを求めた。次に、粒子の形状を球形状と見なして、上述のようにして求めた平均粒子径Rを用いて物理体積Vを以下の式から求めた。
V=(4π(R/2)3/3)[nm3
(充填率)
磁性層の充填率は、以下のようにして求めた。まず、磁性層中に磁性粒子しか含まれない場合の飽和磁化量Mp(emu/cm3)を、磁性粒子の比重S(g/cm3)および自発磁化量σs(emu/g)の積により計算した(Mp=S×σs(emu/cm3))。次に、磁気テープを任意の位置で一定の面積を切り出し、そのサンプルの飽和磁化量mtape(emu)をVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて測定した。測定方向は、磁気テープの長手方向とした。この時、飽和磁化量mtapeを測定する印可磁界は測定サンプルが磁気的に十分飽和する磁界とし、MH曲線が飽和している領域を直線近似し、非磁性層や支持体等の磁性層以外のバックグラウンドノイズ因子を補正した。また、以後に記載している方法で、測定サンプルの磁性層の平均厚さを測定した。これら磁性層の平均厚さ、飽和磁化量mtapeを測定するサンプル面積、ならびに飽和磁化量mtapeの値から、飽和磁化量Mtape(emu/cm3)を算出した。以上により求めたMpならびにMtapeを用いて下式により充填率を求めた。
充填率(%)=(Mtape/Mp)×100
(Mr・t)
リールにまかれている磁気テープを任意の位置で一定の面積を切り出し、磁気テープの垂直方向にMH曲線を測定した。測定磁界は磁気テープのMH曲線が十分に飽和する磁界とした。得られたMH曲線は非磁性層や支持体等の磁性層以外のバックグラウンドノイズが含まれているため、MH曲線が飽和している領域を直線近似し、MH曲線から差し引きを行うことにより磁性層のみのMH曲線を得ることができる。得られたMH曲線の磁界0 Oeにおける磁化量(emu)の絶対値を平均することにより、残留磁化量Mr(emu)を算出した。得られた残留磁化量Mr(emu)と測定サンプルのサイズからMr・t(mA)を算出した。
(Mr/Ms)
上記の手順で長手方向に測定したMH曲線のうち、十分に磁界を掛け磁化量が飽和している部分の磁化量Ms(emu)を算出した。上記で求めたMr(emu)をMs(emu)で除することによりMH曲線の角形比Mr/Msを計算した。
(非磁性層、および磁性層の平均厚さ)
非磁性層、および磁性層の平均厚さは、以下のようにして求めた。まず、磁気テープをその主面に対して垂直に切り出し、その断面をTEMにより6万倍で撮影した。次に、撮影したTEM写真から無作為に10点を選び出し、それらの各点において非磁性層、および磁性層の厚さを測定した。次に、これらの測定値をそれぞれ単純に平均(算術平均)して非磁性層、および磁性層の平均厚さを求めた。
(実施例1〜16)
下記配合の第一組成物をエクストルーダで混練した。その後、ディスパーを備えた攪拌タンクに、第一組成物と、下記配合の第二組成物を加えて予備混合を行った。その後、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、磁性層形成用塗料を調製した。
(第一組成物)
ε−Fe23結晶磁性粉末:100質量部
(表1に示すように、自発磁化量σs=5〜25emu/g、物理体積=800〜4000nm3、充填率=30%以上、保持力Hc=2000〜4500Oeの範囲とした。)
塩化ビニル系樹脂(シクロヘキサノン溶液30質量%):55.6質量部
(重合度300、Mn=10000、極性基としてOSO3K=0.07mmol/g、2級OH=0.3mmol/gを含有する。)
酸化アルミニウム粉末:5質量部
(α−Al23、平均粒径0.2μm)
カーボンブラック:2質量部
(東海カーボン社製、商品名:シーストTA)
(第二組成物)
塩化ビニル系樹脂:27.8質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
n−ブチルステアレート:2質量部
メチルエチルケトン:121.3質量部
トルエン:121.3質量部
シクロヘキサノン:60.7質量部
次に、下記配合の第三組成物をエクストルーダで混練した。その後、ディスパーを備えた攪拌タンクに、第三組成物と、下記配合の第四組成物を加えて予備混合を行った。その後、さらにサンドミル混合を行い、フィルター処理を行い、非磁性層形成用塗料を調製した。
(第三組成物)
針状酸化鉄粉末:100質量部
(α−Fe23、平均長軸長0.15μm)
塩化ビニル系樹脂:55.6質量部
(樹脂溶液:樹脂分30質量%、シクロヘキサノン70質量%)
カーボンブラック:10質量部
(平均粒径20nm)
(第四組成物)
ポリウレタン系樹脂UR8200(東洋紡績製):18.5質量部
n−ブチルステアレート:2質量部
メチルエチルケトン:108.2質量部
トルエン:108.2質量部
シクロヘキサノン:18.5質量部
次に、上述のようにして作製した磁性層形成用塗料、および非磁性層形成用塗料のそれぞれに、硬化剤として、ポリイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を4質量部と、ミリスチン酸を2質量部添加した。
次に、これらの塗料を用いて、非磁性支持体であるポリエチレンナフタレートフィルム(PENフィルム)上に非磁性層、および磁性層を以下のようにして形成した。まず、非磁性支持体である厚さ6.2μmのPENフィルム上に、非磁性層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、PENフィルム上に非磁性層を形成した。次に、非磁性層上に、磁性層形成用塗料を塗布、乾燥させることにより、非磁性層上に磁性層を形成した。次に、非磁性層、および磁性層が形成されたPENフィルムに対してカレンダー処理を行い、磁性層表面を平滑化した。なお、カレンダー処理後の非磁性層の平均厚さは1100nm、磁性層の平均厚さは30〜100nmの範囲であった。
次に、バックコート層として、磁性層とは反対側の面に、下記の組成の塗料を膜厚0.6μmに塗布し乾燥処理を行った。
カーボンブラック(旭社製、商品名:#80):100質量部
ポリエステルポリウレタン:100質量部
(日本ポリウレタン社製、商品名:N−2304)
メチルエチルケトン:500質量部
トルエン:400質量部
シクロヘキサノン:100質量部
次に、上述のようにして非磁性層、磁性層、およびバックコート層が形成されたPENフィルムを1/2インチ(12.65mm)幅に裁断し、磁気テープを得た。
(比較例1〜6、8〜14)
磁性層形成用塗料の第一組成物に含まれるε−Fe23結晶磁性粉末として、表2に示す自発磁化量σs、物理体積、充填率および保持力Hcを有するものを用いた。また、磁性層の平均厚さを表2に示す厚さに設定した。これ以外のことは、実施例1〜16と同様にして磁気テープを得た。
(比較例7、15)
磁性層形成用塗料の第一組成物に含まれるε−Fe23結晶磁性粉末に代えて、表2に示す自発磁化量σs、物理体積、充填率および保持力Hcを有するバリウムフェライト(BaFe1219)磁性粉末を用いた。また、磁性層の平均厚さを表2に示す厚さに設定した。これ以外のことは、実施例1〜16と同様にして磁気テープを得た。
以下の各種特性の測定にはMicro Physics社製のループテスターを用い、テープスピード2m/secにて電磁変換特性の測定を行った。
(メディアノイズ支配率)
メディアノイズ支配率は以下のような方法を用いて算出した。AC消磁された磁気テープを再生ヘッドで再生することで得られる再生ノイズ(トータルノイズ)NtotalとシステムノイズNsystemの各ノイズスペクトラムを、スペクトラムアナライザーを用いて計測を行った。各ノイズは周波数0〜20MHzの積算値を用いて定量化を行い、これらのノイズ値を用いて、以下の式に従い、メディアノイズNmedia、及び、メディアノイズ支配率を求めた。
media=√((Ntotal2−(Nsystem2
メディアノイズ支配率=(Nmedia/Ntotal)×100[%]
前記トータルノイズに対するメディアノイズの割合をメディアノイズ支配率と定義した。
(ヘッド出力飽和)
記録周波数0.5MHz(記録波長4μm)の記録再生を行った時の(孤立)再生波形をオシロスコープ上で波形観察を行い、波形ピーク近傍の波形の潰れ度合で、テープからの漏れ磁束による再生ヘッドの磁気飽和状態を推測した。表中では、波形の潰れが観察されたものを“×”、波形の潰れが観察されなかったものを“○”と表記した。出力飽和、すなわち再生波形の潰れが観察されるということは、本来得られるべき出力が得られていないということであり、一つの記録再生システムの中で考えたときに、その記録媒体を使用することは適していないものと考えられ、また波形の潰れが悪化するとノイズ発生原因にもなり得る。
(出力変動)
記録周波数を10MHz(記録波長0.2μm)とし、最適記録電流で記録再生を行い、Lecroy社製デジタルオシロスコープを用いて、再生出力の変動量を計測した。出力変動量に関しては以下のように定義した。
出力変動量=(σ/TAA)×100[%]
ここで、TAAはTrack Averaged Amplitude(トラック平均出力)とし、σはその標準偏差を用いた。
表中では、この出力変動量が10%以下であるサンプルを“○”と表記し、10%を超えるサンプルを“×”と表記した。出力変動がおおきくなるということは、磁性層の厚みのバラつきが大きくなっていることや、再生波形が欠けてしまうドロップアウトが発生していることを示唆している。このうち10%を超えるものについては、例え良好なC/Nが局所的に得られていてもビットエラーレートの悪化などが見られるため、高密度磁気記録媒体としては適さない。
(C/N)
記録周波数を10MHz(記録波長0.2μm)とし、最適記録電流で記録再生を行い、スペクトラムアナライザーを用いて、10MHzの再生出力値と、10MHz±1MHzのノイズの平均値を計測し、それらの差をC/N値と定義した。表中では、比較例15のC/N値を0dBとして、その相対差で表記している。
表1は、実施例1〜16の磁気テープの構成および評価結果を示す。
Figure 0006508386
表2は、比較例1〜15の磁気テープの構成および評価結果を示す。
Figure 0006508386
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
非磁性支持体と、
磁性粉末を含む磁性層と
を備え、
上記磁性粉末は、ε−Fe23結晶(Feサイトの一部が金属元素Mで置換されたものを含む)を含み、
上記磁性層の残留磁化と厚さとの積が、0.5mA以上6.0mA以下であり、
上記磁性層の長手方向に測定した角形比が、0.3以下である磁気記録媒体。
(2)
上記磁性層の厚みが、30nm以上100nm以下である(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)
上記磁性粉末の自発磁化量が、5emu/g以上25emu/g以下である(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)
上記磁性層の保持力が、2000Oe以上4500Oe以下である(1)から(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5)
上記磁性粉末の物理体積が、800nm3以上4000nm3以下である(1)から(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(6)
上記磁性粉末の充填率が、30%以上である(1)から(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(7)
再生ヘッドとしてトンネル型磁気抵抗効果型ヘッドが用いられる(1)から(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
1 非磁性支持体
2 非磁性層
3 磁性層
4 バックコート層

Claims (15)

  1. 非磁性支持体と、
    磁性粉末を含む磁性層と
    を備え、
    上記磁性粉末は、ε−Fe23結晶(Feサイトの一部が金属元素Mで置換されたものを含む)を含み、
    垂直方向に測定した上記磁性層の残留磁化と厚さとの積が、0.5mA以上6.0mA以下であり、
    上記磁性層の厚みが、30nm以上100nm以下である磁気記録媒体。
  2. 上記垂直方向に測定した上記磁性層の残留磁化と厚さとの積が、2.0mA以上4.0mA以下である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 上記磁性粉末の自発磁化量が、5emu/g以上25emu/g以下である請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 上記磁性粉末の自発磁化量が、20emu/g以上25emu/g以下である請求項1から3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 上記磁性層の保磁力が、2000Oe以上4500Oe以下である請求項1から4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 上記磁性層の保磁力が、3500Oe以上4000Oe以下である請求項1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 上記磁性粉末の物理体積が、800nm3以上4000nm3以下である請求項1から6のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  8. 上記磁性粉末の物理体積が、1000nm 3 以上1500nm 3 以下である請求項1から7のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  9. 上記磁性粉末の充填率が、30%以上である請求項1から8のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  10. 上記磁性粉末の充填率が、30%以上50%以下である請求項1から9のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  11. 再生ヘッドとしてトンネル型磁気抵抗効果型ヘッドが用いられる請求項1から10のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  12. 上記磁性層の長手方向に測定した角形比が、0.22以下である請求項1から11のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  13. 上記磁性層の厚みが、50nm以上70nm以下である請求項1から12のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  14. 上記磁性粉末の金属元素Mが、Al、GaおよびInからなる群より選ばれる1種以上であり、
    鉄酸化物におけるMとFeのモル比をM:Fe=x:(2−x)と表すとき、0≦x<1である請求項1から13のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  15. 上記磁性層は、垂直磁気記録層である請求項1から14のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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