JP2007294084A - 磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法 Download PDF

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稔生 多田
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Abstract

【課題】薄層磁性層を有する磁気記録媒体であって、高感度AMRヘッド、GMRヘッド等の高感度MRヘッドによる再生時のSNRが良好な磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体。磁性層厚さδは10〜80nmであり、磁性層の残留磁化Mrと磁性層の厚さδの積であるMrδは1mA以上5mA未満であり、かつ磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)は0.8〜2.0の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関し、詳しくは、高感度な異方性磁気抵抗効果型(AMR)ヘッド、巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッド等の高感度MRヘッドにおける電磁変換特性が良好で、超高密度デジタル記録に適した磁気記録媒体、特に、GMRヘッドにおける再生に適した磁気記録媒体に関する。更に、本発明は、前記磁気記録媒体を使用する磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法に関する。
近年、テラバイト級の情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となる一方、それらを記録、再生および保存するための高度な技術が要求されるようになってきた。記録、再生媒体としては、フレキシブルディスク、磁気ドラム、ハードディスクおよび磁気テープが挙げられるが、特に、磁気テープは1巻あたりの記録容量が大きく、データバックアップ用をはじめとしてその役割を担うところが大きい。
また、近年の磁気テープは、高密度化と共にトラック幅が狭く、記録波長が短くなる傾向にある。このため、磁気記録再生システムにおいて再生ヘッドとして広く用いられていたインダクティブヘッドより高感度な磁気抵抗効果型ヘッド(以下「MRヘッド」という)を用いて再生することが提案され、実用化されている。
MRヘッドでは、磁性層の単位面積あたりの残留磁化が大きすぎるとヘッドの飽和を引き起こす。そのため、MRヘッド用媒体には、従来のインダクティブヘッド用媒体と異なった特性が要求される。更に、MRヘッドは高感度なので、媒体ノイズを減らすために微粒子の磁性粉末を使い磁性面を平滑にすることも求められる。これらに対応するために、例えば磁性層厚みを0.01〜0.3μm、磁性層の単位面積あたりの残留磁化を5〜50mAにしてMRヘッドの飽和を防ぎ、かつ特定の空間周波数の粗さを規定し変調ノイズの低減を図ること(特許文献1参照)、磁性層厚みと最短ビット長との比を制御するとともに、磁性層中に非磁性粉末を添加して磁性層に対して体積充填度15〜35%としてMRヘッド飽和を防ぎつつ低ノイズ化を図ること(特許文献2参照)、磁性層の単位面積あたりの残留磁化と磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比とを制御することによりMRヘッドにおける電磁変換特性向上を図ること(特許文献3参照)が提案されている。また、磁性粒子の連鎖凝集・ループ状凝集に起因する媒体ノイズに関する多くの解析的な研究も行われている(非特許文献1および2参照)。
特開2001−256633号公報 特開2002−92846号公報 特開2004−103186号公報 法橋滋郎著、"微粒子型記録媒体のノイズ理論とノイズ源の分離・推定法"、日本応用磁気学会誌、1997年、Vol.21、No.4−1、p.149−159 P.ロー(Luo)、H.N.ベルトラム(Bertram)著、"テープ・ミディアム・ノイズ・メジャメンツ・アンド・アナリシス(Tape Medium NoiseMeasurements and Analysis)"、IEEE トランスアクションズ・オン・マグネティクス(Transactions on Magnetics)(米国)、2001年、Vol.37、No.4、p.1620−1623
特許文献1に記載の技術によれば、表面粗さに起因するノイズは低減することができる。また特許文献2に記載の技術によれば、磁性体の体積充填度を小さくして静磁気相互作用を低減することはできる。しかし、上記技術では、非磁性粉末・磁性粉末が凝集しやすいという課題があり、ノイズ低減のために求められる磁性層中の磁性粒子の分布均一化の点では必ずしも十分なものではなかった。
また、非特許文献1および2では、数学的な計算に基づく推定がなされているのみであり、具体的な媒体のパラメーターとその制御方法の提案はない。
上記技術をはじめとして分散性の改善のために多くの提案がなされているが、磁性層の微細構造を改善するには至っていない。
ところで、現在、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスクシステムやバックアップテープシステムにおいて一般的に使用されているMRヘッドは、異方性磁気抵抗効果型ヘッド(AMRヘッド)である。特許文献3では、MRヘッドにおいて良好な電磁変換特性を得るために、磁性層の単位面積あたりの残留磁化の下限を、AMRヘッドにおいて十分な再生出力を得ることができる5mAに規定した上で、分散性を改善することにより磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)が0.8〜2.0とすることが提案されている。
これに対し、近年、巨大磁気抵抗効果を利用した巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)が開発された。GMRヘッドは、ハードディスクドライブでは既に実用化されており、フレキシブルディスクシステムやバックアップテープシステムへの適用も検討されている。GMRヘッドによれば、AMRヘッド使用時と比較して読み出し感度を、例えば3倍以上向上することが可能である。また、特許文献3出願当時と比べてAMRヘッドは更に高感度化されている。このような高感度なMRヘッドでは、単位体積あたりの残留磁化Mrに磁性層厚みδをかけた値として求められる磁性層の単位面積あたりの残留磁化(Mrδ)を5mA未満としても十分な再生出力を確保することができる。
一方、高密度記録時には、上記Mrδの値は再生出力を確保し得る範囲で小さくすることがSNR向上に有効であることが、本発明者らの検討の結果、新たに見出された。これは、Mrδの値を大きくすると(例えば5mA以上とすると)、孤立波形の半値幅が広くなり、高密度記録時、例えば100kfciを超えた高い線記録密度での波形干渉が大きくなり出力が低下しノイズが増加することに起因すると考えられる。そのため高密度記録時に高SNRを達成するためにはMrδは小さくすることが求められる。また、ヘッドの飽和による出力低下およびノイズ増大を抑制するためにもMrδは低減することが好ましい。
そこで本発明者らは、高密度記録領域において高SNRを達成するために、Mrδを低減することを考えた。磁性層の単位面積あたりの残留磁化が、単位体積あたりの残留磁化Mrに磁性層厚みδをかけた値(Mrδ)として求められることからわかるように、Mrδを小さくする手段の1つとして磁性層を薄層化することが挙げられる。更なる高密度化のためには磁性層をより薄層化することが有利であるため、本発明者らは、磁性層を薄層化しMrδを低減した磁気記録媒体において、特許文献3に記載の技術を適用することを検討した。
特許文献3には、塗布配向後に強い剪断を与えることにより、配向によって再凝集したクラスターを破壊することが有効であると開示がある。しかしながら、本発明者らの検討により、この技術を用いても磁性層を薄層化しMrδを下げたときにはノイズを低減(SNRを改善)することは困難な場合があることが判明した。
そこで、本発明の目的は、薄層磁性層を有する磁気記録媒体であって、高感度AMRヘッド、GMRヘッド等の高感度MRヘッドによる再生時のSNRが良好な磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、磁性層を薄層化しMrδを5mA未満とした磁気記録媒体において、磁性層の分散性を高めて上記Sdc/Sacの値を0.8〜2.0の範囲とすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
磁性層厚さδは10〜80nmであり、
磁性層の残留磁化Mrと磁性層の厚さδの積であるMrδは1mA以上5mA未満であり、かつ
磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)は0.8〜2.0の範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
[2]強磁性粉末は六方晶フェライト粉末である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]六方晶フェライト粉末は、平均板径が10〜45nmの範囲であり、かつ平均板比が1.5〜4.5の範囲である[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]強磁性粉末は、窒化鉄粉末である[1]に記載の磁気記録媒体。
[5]窒化鉄粉末は、平均粒径が5〜30nmの範囲である[4]に記載の磁気記録媒体。
[6]再生ヘッドとして巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドを使用する磁気信号再生システムにおいて使用される[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システム。
[8]再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである[7]に記載の磁気信号再生システム。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法。
[10]再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである[9]に記載の磁気信号再生方法。
本発明によれば、高感度AMRヘッド、GMRヘッド等の高感度MRヘッドにおける電磁変換特性が良好で、高密度デジタル記録に適し、十分にノイズが低減され、満足できるSNRを得ることができる磁気記録媒体を提供することができる。
[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、磁性層厚さδは10〜80nmであり、磁性層の残留磁化Mrと磁性層の厚さδの積であるMrδは1mA以上5mA未満であり、かつ磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)は0.8〜2.0の範囲であるものである。
本発明の磁気記録媒体について、以下詳細に説明するにあたり、先ず、「磁気クラスター面積比」について以下に説明する。
微粒子の磁性粒子を高充填すると低ノイズ化することは理論的にも周知である。しかし、特に微粒子の磁性粒子を用いると、磁性体粒子が凝集し、あたかも1つの大きな磁性体として振舞う部分が生じ、S/N比の低減を引き起こすという問題がある。本発明者らは、磁気力顕微鏡(MFM)を用いて測定した磁気的な塊(以下「磁気クラスター」という)が、媒体ノイズと相関し、磁性粒子の凝集・静磁気結合によって変化することを見出した。以下に、この点について更に説明する。
磁気力顕微鏡(MFM)によれば、微小空間での漏洩磁場を数十nmの分解能で観察することができる。即ち、磁気力顕微鏡(MFM)は、磁気記録媒体の磁化状態をサブミクロンオーダーで測定できる特長を有している。一般に、試料に交流の磁場を印加しながら、段々その磁場を弱めて試料の磁化を消す方法を交流(AC)消磁と呼ぶ。交流(AC)消磁状態では、一般に個々の磁性体は、ランダムな方向を向き、磁化の総和がゼロ付近になり、各磁性粒子はほぼ一次粒子の状態で存在する。従って、交流(AC)消磁状態の磁気クラスターは、磁性粒子媒体の場合、磁性体の種類(磁性体の一次粒子の大きさ、磁性体の飽和磁化σs)に依存し、分散状態によらずほぼ一定のサイズを示す。
一方、直流の磁場を印加後、磁場をゼロにする方法を直流(DC)消磁と呼ぶ。直流(DC)消磁状態では、試料に残留する磁場が、印加されていた磁場と同じ向きの磁化の集合になる。従って、直流(DC)消磁状態の磁気クラスターは、磁性粒子の媒体内での配置状態、つまり分散状態によりサイズが異なる。凝集体があった場合、その凝集体が見掛け上1つの大きな磁性粒子として振舞うと考えられ、直流(DC)消磁状態での磁気クラスターのサイズは、この見かけ上1つの大きな磁性粒子として振舞う凝集体のサイズに相当する。
理想的分散状態の場合、DC消磁状態でも凝集体は存在しなくなるためAC消磁状態、DC消磁状態のいずれにおいても磁気クラスターは同サイズとなる。一方、AC消磁状態の磁気クラスターサイズに対してDC消磁状態の磁気クラスターサイズが大きいほど磁性層中で磁性粒子が凝集していることを表す。つまり、Sdc/Sacの値は、磁性層中の磁性粒子の凝集状態を表す指標となる。
なお、DC磁化状態の磁気クラスターサイズのみからも磁性層の凝集状態(分散性)の情報を得ることはできる。ただし、例えば、AC消磁状態の磁気クラスターの平均面積がAであり、DC消磁状態の磁気クラスター平均面積がBである媒体(試料α)、AC消磁状態の磁気クラスターの平均面積が2A(=試料αの2倍)であるが試料αより分散性を高めたことにより凝集が抑制されDC消磁状態の磁気クラスター平均面積が試料αと同様にBとなった媒体(試料β)、について、DC消磁状態の磁気クラスター平均面積Sdcのみを比較すれば両者は同じ値となる。しかし、実際は試料βの方が分散状態は良好である。つまり、DC消磁状態の磁気クラスター面積は、磁性体サイズなどの磁性体の種類に因って変化し得る。
これに対し、試料αにおけるSdc/Sacは「B/A」、試料βにおけるSdc/Sacは「B/2A」となり、試料βのSdc/Sacは試料αの1/2となる。
このように、分散状態は異なるがSdcは同じ値となる試料同士であっても、Sdc/Sacの比をとれば分散性の違いに起因する差異が生じる。つまり、Sdc/Sacの比をとることにより、磁性体の種類に因らないように規格化された凝集状態(分散性)の指標を得ることができる。
本発明者らは上記知見に基づき、DC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)とS/N比との相関について鋭意検討を重ねた結果、Sdc/Sacが、0.8〜2.0の範囲で良好なS/N比が得られることを見出した。よって、本発明において、Sdc/Sacは0.8〜2.0の範囲とする。2.0より大きくなると、ノイズが大きくなり良好なS/N比を得ることができない。一方、理想的分散状態の場合、SacとSdcは一致しSdc/Sacは1となる。このためSdc/Sacが1に近いほど凝集がない状態を表す。ただし磁気クラスターサイズは磁気力顕微鏡(MFM)によって測定され多少の測定誤差があるため、測定誤差を考慮すると実質的に0.8が下限となる。上記比は、好ましくは0.8〜1.7、より好ましくは0.8〜1.5である。
本発明の磁気記録媒体は、厚さ10〜80nmの磁性層を有する。磁性層の厚さが10nm未満では、1mA以上5mA未満の範囲の必要な残留磁化量(Mrδ)を確保することが困難になる。また、磁性層の均一な塗布が困難となり磁性層のムラが発生する、磁性層の下層に位置する非磁性支持体または非磁性層の表面性の影響により磁性層表面が粗面化し電磁変換特性が劣化する傾向がある。また、一般に記録深さは、磁気記録信号の深さを半円と仮定すると、記録波長の1/4程度となる。しかし実際にはスペーシングロスの影響もあるため、記録可能な深さは浅くなり、記録波長の1/6〜1/8程度となる。このため、磁性層の厚さが80nmを超えると、高密度記録時、例えば100kfci(λ=500nm)を超える高い線記録密度では、記録深さの深さ方向に記録されない部分が多くなりノイズが高くなる。そのため、本発明の磁気記録媒体では磁性層の厚さを80nm以下とする。磁性層の厚さは、好ましくは30〜80nmの範囲である。
更に、本発明の磁気記録媒体において、磁性層の残留磁化Mrと磁性層厚δの積であるMrδは1mA以上5mA未満である。上記Mrδは、磁性層の単位面積あたりの残留磁化を示す値であり、例えば東英工業製振動試料型磁束計を用いて測定することができる。磁性層のMrδが1mA未満では、高感度MRヘッドによる再生において磁化不足により十分な再生出力を得ることは困難である。Mrδが5mA以上では、孤立波形の半値幅が広くなり、高密度記録時、例えば100kfciを超えた高い線記録密度での波形干渉が大きくなり出力が低下しノイズが増加する。またヘッドの磁気抵抗素子の飽和を引き起こす。この結果、波形が歪むために出力は飽和し、ノイズが上昇する。また場合によっては、磁気抵抗素子を破壊するおそれがある。Mrδは、好ましくは1〜4.8mA、より好ましくは2〜4mAの範囲である。
Mrδは、磁性層厚みと角型比によって制御することができる。具体的には、磁性層の厚みを10〜80nmの範囲内で制御し、角形比を0.3〜0.9の範囲に制御することによって1mA以上5mA未満のMrδを実現できる。所望の角形比を達成するためには配向磁場の強度と乾燥条件を制御し、かつ塗布液の分散レベルを制御する等の手法が挙げられる。
前述のように、AC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacは磁性粒子の一次粒子径によって定まるものであり、DC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacは、基本的に磁性粒子の分散と分散安定性に依存する。SdcおよよびSacは、いずれも3000〜50000nm2の範囲であることが好ましく、より好ましくは3000〜35000nm2、更に好ましくは3000〜20000nm2の範囲である。Sdc、Sacがそれぞれ3000nm2以上であれば、熱揺らぎにより磁化が不安定になることがなく、50000nm2以下であれば、磁化反転単位が小さく、高密度記録時に高分解能を得ることができる。
Sdcは磁性層の分散性によって変わり得るため、所望のSdc/Sacを得るためには磁性層の分散性によりSdcの値を制御すればよい。しかし、厚さ10〜80nmの薄層磁性層では、例えば特開2004−103186号公報記載の技術のみでは、Sdc/Sacが0.8〜2.0の範囲となるほど磁性層の分散性を高めることは困難な場合があった。これは薄い磁性層では、例えば特開2004−103186号公報に記載されているように配向後に剪断を与えるだけでは乾燥時の再凝集を防止できない場合があることに起因することが、本発明者らの検討の結果、明らかとなった。それに対し、本発明では、磁性粒子を高度に分散し、かつ安定化させること、および塗布過程でその分散安定状態を保持するか、または塗布過程で生じた再凝集を破壊することにより、上記範囲のSdc/Sacを得ることができる。以下に、その具体的方法について説明する。
磁性粒子を高度に分散し、かつ安定化させるためには、分散性の良好なバインダーを微粒子磁性体に吸着させることが好ましい。上記バインダーとしては、溶媒との親和性が高いバインダーを用いることが好ましく、例えば、シクロヘキサノン中の慣性半径が5〜25nmであるポリウレタンを含有するバインダーを用いることが好ましい。その詳細は、特開平9−27115号公報に記載されている。前記バインダーは少量で分散安定化できるので、分散性向上と同時に体積充填率を向上させることが可能である。
塗布工程で生じた再凝集を破壊するためには、特開2004−103186号公報に記載されているように、塗布配向後に強い剪断を与えることによって配向によって再凝集したクラスターを破壊することが有効である。配向後の剪断には、例えば、スムーザーを用いることができる。ここで、スムーザーとは、表面が平滑な剛体(板状、ロッド状)を湿潤状態にある磁性層表面に接触させ、強い剪断力を与えるものである。用いる剛体は、表面粗さがRaで2nm以下になるように鏡面研磨したものであることが好ましい。剪断力は、塗布液の粘度、塗布速度、塗布厚の関数であり、目的に応じて最適化することができる。
また、本発明を重層構成の磁気記録媒体に適用する場合、凝集を抑制しSdcを下げるためには、非磁性層を乾燥してから磁性層を塗布する方法(wet on dry)を用いることが好ましい。また、磁性層、非磁性層の両層が湿潤状態にあるうちに重層塗布する場合(wet on wet)は、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。
ただし、厚さ10〜80nmの磁性層において凝集を抑制するためには、以下の課題があった。
磁性層厚δを10〜80nmにするには、(1)塗布時の塗り付け量を少なくするか、(2)液濃度を下げるかのどちらかが一般的である。特に上記Wet on dryの場合、磁性層厚が10〜80nmの範囲においては、(1)では乾燥時に急乾になり磁性体が凝集しやすく、(2)では溶剤を多くして液濃度を下げると、液そのものが不安定であり、また乾燥時間が長くなり、磁性体が凝集しやすい。これはスムーザーにより配向後剪断を掛けて凝集物を破壊したとしても、活性面が出ており乾燥時に再凝集してしまうことに起因すると考えられる。このように、磁性層厚を小さくすると乾燥時の再凝集の問題が生じるため、前記範囲のSdc/Sacとなるように薄層磁性層において凝集を抑制することは困難な場合があった。
それに対し、本発明者らの検討の結果、磁性層中の磁性粒子の粒度分布を制御することにより、乾燥時の再凝集を抑制できることが明らかとなった。これは、磁性粒子中に比較的粒径の大きなものが多数含まれると、それらが再凝集の核となるからと考えられる。そこで、塗布前の塗布液において磁性粒子の粒度分布を均一化するための処理を行い、乾燥後の再凝集の核となる粒子を除去することが好ましい。六方晶フェライトの場合、磁性層に含まれる六方晶フェライト粉末が、累積体積の95%となる粒子径(以下、D95と呼ぶ)が70nm以下(更に好ましくは65nm以下、より一層好ましくは10〜60nmの範囲)となる粒度分布を有するように磁性粒子の粒度分布を制御することが好ましい。また、窒化鉄粉末の場合、磁性層に含まれる窒化鉄粉末が、D95が80nm以下(更に好ましくは75nm以下、より一層好ましくは5〜70nmの範囲)となる粒度分布を有するように磁性粒子の粒度分布を制御することが好ましい。即ち、本発明の磁気記録媒体における磁性層は、上記範囲の粒度分布を有する磁性層塗布液を非磁性支持体上または非磁性層上に塗布および乾燥させることにより形成された層であることが好ましい。
粒度分布を制御するためには、磁性層塗布液をオープンニーダーで混練した後、ジルコニアビーズを用いたサンドミルで分散させ、分級処理することが有効である。分級処理は遠心分離機で行うことができる。
以下、本発明の磁気記録媒体について、さらに詳細に説明する。
非磁性支持体
非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。また本発明の支持体としてアルミまたはガラス基板を適用することも可能である。
中でもポリエステル支持体(以下、単にポリエステルという)が好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどジカルボン酸およびジオールからなるポリエステルであることが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。特に好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルである。
なお、ポリエステルとしては、二軸延伸されているものでもよく、2層以上の積層体であってもよい。
また、ポリエステルは、さらに他の共重合成分が共重合されていてもよく、他のポリエステルが混合されていてもよい。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げることができる。
ポリエステルには、フィルム時におけるデラミネーションを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオールなどを共重合してもよい。
中でもポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物またはそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体およびこれらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重合される割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
また、耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好ましい。
上記ポリエステルは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、または耐熱安定剤を添加することができる。
また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料、反応停止剤などの各種添加剤の1種または2種以上を添加させてもよい。
また、支持体にはフィラーが添加されてもよい。フィラーの種類としては、球形シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機フィラー等が挙げられる。
また、支持体を高剛性化するために、これらの材料を高延伸したり、表面に金属や半金属または、これらの酸化物の層を設けることもできる。
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また支持体表面の中心面平均粗さ(Ra)は、好ましくは6nm以下、より好ましくは4nm以下である。このRaは、WYKO社製HD2000で測定される値である。
また、非磁性支持体の長手方向および幅方向のヤング率は、6.0GPa以上が好ましく、7.0GPa以上がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、前記の非磁性支持体の少なくとも一方の面に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層を有するものであり、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層(下層)を有することが好ましい。
磁性層
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、強磁性金属粉末、六方晶フェライト粉末、窒化鉄粉末等を挙げることができる。DC消磁状態の磁気クラスターサイズの平均面積Sdcに影響する強磁性粉末の凝集のしやすさは、強磁性粉末の特性上、特に飽和磁化σsおよび形状に依存する。σsは、低いほど静磁気相互作用が低く凝集しにくい、または凝集を破壊しやすい。そのため強磁性金属粉末に対して低σsを容易に達成し得る六方晶フェライト粉末が好ましい。また形状については、針状磁性体において長軸長と短軸長の比、つまり軸比が低いほうが凝集を破壊しやすい(磁性体同士が絡みやすく、かつほぐしやすい)。この観点からは、球状が好ましく、形状異方向ではなく結晶異方性で球状磁性体を作りやすい窒化鉄が好ましい。
(i)六方晶フェライト粉末
六方晶フェライト粉末としては、その体積が1000〜20000nm3のものが好ましく、2000〜8000nm3のものが更に好ましい。この範囲とすることにより、熱揺らぎにより磁気特性の低下を有効に抑えることができると共に低ノイズを維持したまま良好なC/N(S/N)を得ることができる。
上記体積は、六方晶フェライト粉末形状を6角柱と想定して板径、軸長(板厚)から求められる値である。
なお、強磁性粉末の平均サイズは、以下の方法によって求めることができる。
磁性層を適当量剥ぎ取る。剥ぎ取った磁性層30〜70mgにn−ブチルアミンを加え、ガラス管中に封かんし熱分解装置にセットして140℃で約1日加熱する。冷却後にガラス管から内容物を取り出し、遠心分離し、液と固形分を分離する。分離した固形分をアセトンで洗浄し、透過型電子顕微鏡(TEM)用の粉末試料を得る。この試料を日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザ−で粉体の輪郭をトレースしカ−ルツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。500個の粒子のサイズを測定し、測定値を平均して平均サイズとする。
六方晶フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのCo等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
六方晶フェライト粉末の粒子サイズは、平均板径が10〜45nmであることが好ましく、上述の体積を満足するサイズであることが更に好ましい。平均板径が10nm以上であれば、粒子サイズ分布を考慮しても熱揺らぎにより記録に関与する磁性体量を容易に確保できる。平均板径が40nm以下であれば、高い線記録密度での高出力、低ノイズを確保できる。六方晶フェライト粉末の平均板径は、より好ましくは10〜40nm、更に好ましくは15〜40nm、より一層好ましくは20〜30nmである。
平均板比{(板径/板厚)の平均}は1.5〜4.5の範囲であることが好ましく、2〜3の範囲であることが更に好ましい。平均板比が1.5〜4.5であれば、磁性層で高充填性を保持しながら充分な配向性が得られ、粒子間のスタッキングによるノイズ増大を抑えることができ、かつ、優れた耐久性を有する磁気記録媒体を得ることができる。また、上記粒子サイズの範囲内におけるBET法による比表面積(SBET)は、40m2/g以上が好ましく、40〜200m2/gであることがさらに好ましく、60〜100m2/gであることが最も好ましい。
六方晶フェライト粉末の粒子板径・板厚の分布は、通常狭いほど好ましい。粒子板径・板厚を数値化することは、粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定することで比較できる。粒子板径・板厚の分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すと、σ/平均サイズ=0.1〜1.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには、粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
一般に、抗磁力(Hc)143.3〜318.5kA/m(1800〜4000Oe)の六方晶フェライト粉末は作製可能である。六方晶フェライト粉末の抗磁力(Hc)は、好ましくは159.2〜238.9kA/m(2000〜3000Oe)、更に好ましくは191.0〜214.9kA/m(2200〜2800Oe)である。抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)は30〜80A・m2/kg(emu/g)
であることが好ましい。飽和磁化(σs)は高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。飽和磁化(σs)の改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合することや、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物および有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体の質量に対して、一般に0.1〜10質量%である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度とすることが好ましい。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
六方晶フェライト粉末の製法としては、(1)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。六方晶フェライト粉末は、必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は六方晶フェライト粉末に対し0.1〜10質量%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。六方晶フェライト粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
(ii)窒化鉄粉末
本発明における窒化鉄粉末とは、少なくともFe162相を含む磁性粉末を意味するが、Fe162相以外の窒化鉄の相を含まないことが好ましい。これは、窒化鉄(Fe4NやFe3N相)の結晶磁気異方性は1×105erg/cc(1×10-2J/cc)程度であるのに対し、Fe162相は2×106〜7×106erg/cc(2×10-1〜7×10-1J/cc)の高い結晶磁気異方性を有するからである。これにより、微粒子化した際にも高い保磁力を維持することができる。この高い結晶磁気異方性は、Fe162相の結晶構造に起因する。結晶構造は、N原子がFeの八面体格子間位置に規則的に入った体心正方晶であり、N原子が格子に入る際の歪が、高い結晶磁気異方性の発生原因と考えられる。Fe162相の磁化容易軸は窒化により伸びたC軸である。
Fe162相を含む粒子の形状は粒状ないし楕円状であることが好ましい。さらに好ましくは球状である。これは、立方晶であるα−Feの等価な3方向のうち一方向が窒化により選ばれc軸(磁化容易軸)となるため、粒子形状が針状であれば、磁化容易軸が短軸方向、長軸方向にある粒子が混在することになり好ましくないからである。従って、長軸長/短軸長の軸比の平均値は好ましくは、2以下(例えば、1〜2)であり、より好ましくは1.5以下(例えば、1〜1.5)である。
一般に粒径は窒化する前の鉄粒子の粒径で決まり、単分散であることが好ましい。これは一般的には、単分散の方が、媒体ノイズが下がるためである。そして、Fe162を主相とする窒化鉄系磁性粉末の粒径は、通常、鉄粒子の粒径で決まり、鉄粒子の粒径分布は単分散であることが好ましい。これは粒子サイズの大きい粒子と小さい粒子で窒化の度合いが異なり、磁気特性が異なるためである。この意味からも窒化鉄系磁性粉末の粒径分布は単分散であることが好ましい。
窒化鉄の平均粒径は、5〜30nmであることが好ましく、5〜25nmであることがより好ましく、8〜15nmであることがより一層好ましく、9〜11nmであることがさらに好ましい。これは、粒径が小さくなると熱揺らぎの影響が大きくなり、超常磁性化し、磁気記録媒体に適さなくなるからである。また、磁気粘性のためヘッドで高速記録する際の保磁力が高くなり、記録しづらくなるからである。一方、粒径が大きいと、飽和磁化を小さくすることが出来ないため、記録時の保磁力が高くなりすぎ、記録をすることが困難となるからである。また、粒子サイズが大きいと、磁気記録媒体としたときの粒子性のノイズが高くなるからである。なお、本発明における窒化鉄の平均粒径は、Fe162相の平均粒径をいい、Fe162粒子の表面に層が形成されている場合は、当該層を含まないFe162粒子そのものについての平均サイズをいうものとする。なお、Fe162粒子は、その表面に酸化防止層等の層を任意に有することができる。
また、窒化鉄の粒径分布は、単分散であることが好ましくい。これは一般的には、単分散の方が、媒体ノイズが下がるためである。粒径の変動係数は15%以下(好ましくは2〜15%)であり、さらに好ましくは、10%以下(好ましくは2〜10%)である。 粒径および粒径の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定される算術平均粒径から算出することができる。
Fe162相を含む粒子において、鉄に対する窒素の含有量は、1.0〜20.0原子%が好ましく、さらに好ましくは5.0〜18.0原子%、より好ましくは8.0〜15.0原子%である。これは、窒素が少なすぎると、Fe162相の形成量が少なくなるからであり、保磁力増加は窒化による歪に起因しており、窒素が少なくなると保磁力が低くなるからである。窒素が多すぎると、Fe162相は準安定相であるため、分解して安定相である他の窒化物となり、この結果、飽和磁化が過度に低下するからである。
なお、本発明において「粒径の変動係数」とは、円相当径での粒径分布の標準偏差を求め、これを平均粒径で除したものを意味する。また、「組成の変動係数」とは、粒径の変動係数と同様に、合金ナノ粒子の組成分布の標準偏差を求め、これを平均組成で除したものを意味する。本発明においては、このような値を100倍して%表示とする。
平均粒径および粒径の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定される算術平均粒径から算出することができる。
Fe162を主相とする窒化鉄粉末は、その表面が酸化皮膜で覆われていることが好ましい。これは、微粒子Fe162は酸化しやすく、窒素雰囲気でのハンドリングを要するからである。
酸化皮膜は、希土類元素および/またはシリコン、アルミニウムから選ばれる元素を含んでいることが好ましい。これにより、従来の鉄、Coを主成分とするいわゆるメタル粒子と同様の粒子表面を有することとなり、メタル粒子を取り扱っていた工程との親和性が高くなるからである。希土類元素は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Gdが好ましく用いられ、特にYが分散性の観点から好ましく用いられる。
また、シリコンおよびアルミニウム以外に、必要に応じて、ホウ素やリンを含有させてもよい。さらに、炭素、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウムなども有効な元素として含有させてもよい。これらの他の元素と希土類元素および/またはシリコン、アルミニウムとを併用することにより、より高い形状維持性と分散性能を得ることができる。
表面化合物層の組成については、鉄に対する希土類元素あるいはホウ素、シリコン、アルミニウム、リンの総含有量が0.1〜40.0原子%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜30.0原子%、より好ましくは3.0〜25.0原子%である。これらの元素が少なすぎると、表面化合物層の形成が困難となり、磁性粉末の磁気異方性が減少するだけでなく、酸化安定性に劣る傾向がある。またこれらの元素が多すぎると、飽和磁化の過度な低下が起こりやすい。
酸化皮膜の厚みは1〜5nmが好ましく、2〜3nmがより好ましい。この範囲より薄いと酸化安定性が低くなりやすく、厚いと実質的に粒子サイズが小さくなりにくくなることがあるからである。
Fe162を主相とする窒化鉄粉末の磁気特性としては、その保磁力(Hc)が、79.6〜318.4kA/m(1,000〜4,000Oe)であることが好ましく、159.2〜278.6kA/m(2000〜3500Oe)であることがより好ましい。さらに好ましくは、197.5〜237kA/m(2500〜3000Oe)である。これは、Hcが低いと、例えば面内記録の場合、隣の記録ビットの影響を受けやすくなり、高記録密度に適さなくなることがあるからであり、高すぎると記録されづらくなることがあるからである。
窒化鉄粉末の「Ms・V」は、5.2×10-16〜6.5×10-16であることが好ましい。なお、「Ms・V」における飽和磁化Msは、例えば、振動式磁気測定器(VSM)を用い測定することができる。また、体積Vは透過型電子顕微鏡(TEM)を用い粒子観察を行い、Fe162相の粒径を求め、体積換算することにより求めることができる。
窒化鉄粉末の飽和磁化は80〜160Am2/kg(80〜160emu/g)が好ましく、80〜120Am2/kg(80〜120emu/g)がより好ましい。これは低すぎると、信号が弱くなることがあり、高すぎると例えば面内記録の場合、隣の記録ビットに影響を及ぼしやすくなり、高記録密度に適さなくなるためである。角型比としては、0.6〜0.9が好ましい。
また、窒化鉄粉末は、BET比表面積が40〜100m2/gであることが好ましい。これは、BET比表面積が小さすぎると、粒子サイズが大きくなり、磁気記録媒体に適用すると粒子性ノイズが高くなり、また磁性層の表面平滑性が低下して、再生出力が低下しやすいからである。また、BET比表面積が大きすぎると、Fe162相を含む粒子が凝集しやすくなり均一な分散物を得ることが難しく、平滑な表面を得ることが難しくなるからである。
本発明において使用可能な窒化鉄は、公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。本発明において使用可能な窒化鉄の詳細については、例えば特開2007−36183号公報等を参照することができる。
結合剤
磁気記録媒体の磁性層および非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層、非磁性層の公知技術が適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
前述のように分散性向上のため、磁性層に特開平9−27115号公報記載の結合剤を使用することが好ましい。更に、結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものが挙げられる。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知の構造を有するものが使用できる。
ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM,−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2 、−O−P=O(OM)2 (以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+3 (Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入することが好ましい。このような極性基の量は、好ましくは10-1〜10-8モル/gであり、より好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
これらの結合剤の具体的な例としては、ユニオンカーバイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310、F210などが挙げられる。
非磁性層、磁性層に用いられる結合剤は非磁性粉末または磁性粉末に対し、例えば5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネ−トは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものが好ましい。
本発明に用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を挙げることができるこれらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。これら添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、またはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。
上記潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオン社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清オイリオ社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独または組み合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合、強磁性粉末の質量に対して0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明で使用されるこれらのカーボンブラックは、磁性層および非磁性層でその種類、量、組み合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を基に目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明において使用可能なカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
研磨剤
研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料を単独または組合せて使用することができる。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−55、HIT−60、HIT−70、HIT−80、HIT−100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
有機溶剤としては公知のものが使用できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を任意の比率で使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなくてもよく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は磁性層と非磁性層で変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが好ましい。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、通常、分散剤は極性基で吸着または結合する性質を有しており、磁性層では主に強磁性金属粉末の表面に、また非磁性層では主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着または結合し、例えば、一度吸着した有機リン化合物は、金属または金属化合物等の表面から脱着し難いと推察される。したがって、強磁性金属粉末表面または非磁性粉末表面は、分散剤のアルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になる。これにより、強磁性金属粉末または非磁性粉末の結合剤樹脂成分に対する親和性が向上し、さらに強磁性金属粉末または非磁性粉末の分散安定性を改善することができる。また、潤滑剤は、通常、遊離した状態で存在するため、非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い、表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有することができる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。好ましい非磁性粉末は、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜500nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜500nmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜500nmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。5nm〜500nmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さの非磁性層が得られるため好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、好ましくは1〜150m2/gであり、より好ましくは20〜120m2/gであり、さらに好ましくは50〜100m2/gである。比表面積が1〜150m2/gの範囲内にあれば、好適な表面粗さの非磁性層が得られ、かつ、所望の結合剤量で非磁性粉末を分散できるため好ましい。非磁性粉末のジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は、例えば5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、さらに好ましくは20〜60ml/100gである。比重は、例えば1〜12、好ましくは3〜6である。タップ密度は、例えば0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。タップ密度が0.05〜2g/mlの範囲であれば、飛散する粒子が少なく操作が容易であり、また装置にも固着しにくくなる傾向がある。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間が特に好ましい。pHが2〜11の範囲にあれば、高温、高湿下または脂肪酸の遊離により摩擦係数が大きくなることはない。非磁性粉末の含水率は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。含水量が0.1〜5質量%の範囲であれば、分散も良好で、分散後の塗料粘度も安定するため好ましい。強熱減量は、20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
また、非磁性粉末が無機粉体である場合には、モース硬度は4〜10のものが好ましい。モース硬度が4〜10の範囲であれば耐久性を確保することができる。非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、好ましくは1〜20μmol/m2であり、さらに好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、200〜600erg/cm2(200〜600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは、3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理が施されることによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいものはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、例えば、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、T−600B、T−100F、T−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOPおよびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合することにより表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2(245〜588MPa)、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度計(日本電気製HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。詳細は「薄膜の力学的特性評価技術」リアライズ社を参考にできる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は、例えば100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は、例えば20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、例えば5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
非磁性層に用いることができるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
また、カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合せで使用することができる。非磁性層で使用できるカーボンブラックについては、例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、例えば特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されている。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
また、本発明の磁気記録媒体には、下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層または非磁性層との接着力を向上させることができる。下塗り層としては、例えば溶剤への可溶性のポリエステル樹脂を使用することができる。
層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが前述のように、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に下塗り層を設けた場合、下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。
磁性層の厚みについては前述の通りである。また、磁性層の厚み変動率は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±30%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バック層
本発明の磁気記録媒体には、非磁性支持体の他方の面にバック層を設けることが好ましい。バック層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用されることができる。バック層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造方法
本発明の磁気記録媒体の製造方法としては、例えば、非磁性支持体の少なくとも一方の面に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層塗布液を塗布し、塗布原反を得る工程と、前記塗布原反を巻き取りロールに巻き取る工程と、前記巻き取りロールに巻き取られた塗布原反を巻き出し、カレンダー処理する工程とを有する方法を挙げることができる。
磁性層塗布液および非磁性層塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を分散させるためには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁性層塗布液の製造工程では、分散条件(分散に使用するビーズ種、ビーズ量、周速、分散時間)によって分散を強化することが好ましい。さらに前述のように、乾燥時の再凝集を効果的に抑制するために、乾燥時の再凝集の核となる粗大粒子を破壊するために塗布前の磁性層塗布液を分級処理を施すことが好ましい。分級処理には、液濃度および時間により粒度分布を制御する自然沈降、液濃度、遠心分離機の回転数、処理時間により粒度分布を制御する遠心沈降法等があり、本発明ではいずれの方法を用いてもよい。
磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして磁性層を塗布して形成する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。前述のように所望のSdc/Sacを実現するためには、非磁性層塗布液と磁性層塗布液を逐次重層塗布(Wet on dry)することが好ましい。
磁性層塗布液または非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
本発明の磁気記録媒体は、ビデオテープ、コンピュータテープ等の磁気テープであることもでき、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスクであることもできる。磁気テープの場合、磁性層塗布液を塗布して形成される塗布層は、塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて磁場配向処理してもかまわない。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用いて円周配向することもできる。また、前述のように特開2004−103186号公報に記載されているように塗布配向後に強い剪断を与えることによって配向により凝集した磁気クラスターを破壊することが有効である。
乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御することが好ましい。塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
このようにして得られた塗布原反は、通常、一旦巻き取りロールにより巻き取られ、しかる後、この巻き取りロールから巻き出され、カレンダー処理に施される。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理する工程は、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行うことが好ましい。
塗布原反は、概ね、巻き取りロールの芯側から外側に向かって光沢値が低下し、長手方向において品質にばらつきがあることがある。なお光沢値は、表面粗さRaと相関(比例関係)があることが知られている。したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させず一定に保持すると、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違について何ら対策が講じられていないことになり、最終製品も長手方向に品質のばらつきが生じる傾向がある。
したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させ、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違を相殺することが好ましい。具体的には、巻き取りロールから巻き出された塗布原反の芯側から外側に向かってカレンダーロールの圧力を低下させていくことが好ましい。本発明者らの検討によれば、カレンダーロールの圧力を下げると光沢値は低下する(平滑性が低下する)ことが見出されている。これにより、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違が相殺され、長手方向において品質にばらつきのない最終製品を得ることができる。
なお、前記では表面平滑性制御のためにカレンダーロールの圧力を変化させる例について説明したが、これ以外にも、カレンダーロール温度、カレンダーロール速度、カレンダーロールテンションによって表面平滑性を制御することができる。塗布型媒体の特性を考慮すると、カレンダーロール圧力、カレンダーロール温度によって表面平滑性を制御することが好ましい。一般に、カレンダーロール圧力を低くする、あるいはカレンダーロール温度を低くすることにより、最終製品の表面平滑性は低下する。逆に、カレンダーロール圧力を高くする、あるいはカレンダーロール温度を高くすることにより、最終製品の表面平滑性は高まる。
これとは別に、カレンダー処理工程後に得られた磁気記録媒体を、サーモ処理して熱硬化を進行させることもできる。このようなサーモ処理は、磁性層塗布液の配合処方により適宜決定すればよい。サーモ処理温度は、例えば35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。またサーモ処理時間は、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
カレンダーロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することが好ましい。また金属ロールで処理することもできる。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層表面の中心面平均粗さが、(カットオフ値0.25mmにおいて)0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有することが好ましい。そのために採用されるカレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度は、好ましくは60〜100℃の範囲、より好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は、好ましくは100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、より好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲である。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。裁断機としては、特に制限はないが、回転する上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の組が複数設けられたものが好ましく、適宜、スリット速度、噛み合い深さ、上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の周速比(上刃周速/下刃周速)、スリット刃の連続使用時間等が選定される。
物理特性
本発明の磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は100〜400mTが好ましい。また磁性層の抗磁力(Hc)は、143.2〜318.3kA/m(1800〜4000Oe)が好ましく、159.2〜278.5kA/m(2000〜3500Oe)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.3以下である。また、表面固有抵抗は、磁性面104〜108Ω/sqが好ましく、帯電位は−500V〜+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜19.6GPa(100〜2000kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70kg/mm2)、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜14.7GPa(100〜1500kg/mm2)、残留のびは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失正接の極大点)は50〜180℃が好ましく、非磁性層のそれは0〜180℃が好ましい。損失弾性率は1×107〜8×108Pa(1×108〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
本発明の磁気記録媒体が非磁性層と磁性層を有する場合、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くすることができる。
本発明の磁気記録媒体は、再生ヘッドとして、従来のMRヘッドより感度の高いMRヘッド、具体的には高感度AMRヘッドまたは巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドを使用する磁気記録再生システムに好適であり、再生ヘッドとしてGMRヘッドを使用する磁気記録再生システムに特に好適である。GMRヘッドは、薄膜磁気ヘッドへの磁束の大きさに応答する磁気抵抗効果を利用するものであり、誘導型ヘッドでは得られない高い再生出力が得られるという利点を有する。これは主として、GMRヘッドの再生出力が、磁気抵抗の変化に基づくものであるため、ディスクとヘッドとの相対速度に依存せず、また誘導型磁気ヘッドと比較して、高出力が得られるためである。従来のAMRヘッドと比較して読み出し感度がほぼ3倍高い。このようなGMRヘッドを再生ヘッドとして用いることで、高周波領域で優れた再生特性を得ることができる。
本発明の磁気記録媒体がテープ状磁気記録媒体の場合、再生ヘッドとしてGMRヘッドを用いることで、従来に比べ高周波領域で記録した信号であっても高いSNRでの再生が可能である。従って、本発明の磁気記録媒体は、より高密度記録用のコンピュータデータ記録用の磁気テープやディスク状の磁気記録媒体として最適である。
[磁気信号再生システム、磁気信号再生方法]
更に、本発明は、本発明の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システム、ならびに、本発明の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法に関する。
本発明の磁気記録媒体は、媒体に起因する出力低下およびノイズ増大を抑制することにより、高密度記録時に高いSNRを得ることを可能とするものである。通常、線記録密度を表す単位としては、一般にfciとbpiの2種類が使用されている。fciは1inchあたりのビット反転数で媒体上に物理的に記録した密度を表す。一方、bpiは、信号処理も含めた1inchあたりのbit数でシステムに依存する。このため媒体の純粋な性能評価としては、通常fciを使用する。本発明の磁気記録媒体に信号を記録する際の好ましい線記録密度の範囲は、100〜400kfciである。さらには175kfci〜400kfciである。実際に使用されるシステムにおいては信号処理に依存するため一義的に決定されないが、目安としてbpiの0.5〜1倍のfciでの性能が反映される。このため200kbpi〜800kbpi、さらに350kbpi〜800kbpiの範囲が特に好ましい。
前記再生ヘッドは、GMRヘッドであることが好ましい。GMRヘッドによれば高密度記録された信号を再生するために、例えば再生トラック幅を3μm以下(好ましくは0.1〜3μm)とした場合にも高感度再生することが可能である。そして、本発明の磁気記録媒体によれば、GMRヘッドによる再生時に良好なSNRを達成することができる。即ち、本発明の磁気信号再生システムおよび磁気記録再生方法では、本発明の磁気記録媒体およびGMRヘッドを使用することにより、高密度記録された信号を良好なSNRで再生することができる。
また、前記再生ヘッドとして、高感度AMRヘッドを用いることもできる。ヘッドの感度の指標としては、一般に磁気抵抗係数が用いられる。通常使用される磁気抵抗素子は、厚み200〜300nmで磁気抵抗係数が2%程度であるのに対し、高感度AMRヘッドは、2〜5%程度である。高感度AMRヘッドを使用する場合にも、本発明の磁気記録媒体に記録された信号を高感度再生することができ、高いSNRを得ることができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお実施例中の「部」の表示は「質量部」を示す。
(実施例1−1〜1−13)
磁性層塗布液1(強磁性粉末:六法晶フェライト粉末)の調製
強磁性板状六方晶フェライト粉末 100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:15.9kA/m(2000Oe)
板径、板状比:表1参照
BET比表面積:65m2/g
σs:49A・m2/kg(49emu/g)
ポリウレタン樹脂 15部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=400eq/ton
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 4部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 0.5部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:60nm) 0.5部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
非磁性層塗布液の調製
非磁性無機質粉体 85部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2
長軸径:0.15μm
タップ密度:0.8
針状比:7
BET比表面積:52m2/g
pH8
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 15部
DBP吸油量:120ml/100g
pH:8
BET比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 22部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=200eq/ton
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
バックコ−ト層塗布液の調製
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4.05部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 100部
トルエン 100部
メチルエチルケトン 100部
上記の磁性層塗布液、非磁性層塗布液、バックコート層塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで240分間混練した後、ビ−ズミルで分散した(磁性層塗布液は1440分、非磁性層塗布液は720分、バックコート層塗布液は720時間)。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製 コロネート3041)をそれぞれ4部加え、更に20分間撹拌混合したあと、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過した。その後、磁性層塗布液に対して、日立ハイテク製 冷却遠心分離機 himac CR−21Dで回転数10000rpnmとして表1記載の時間、遠心分離処理を行い、凝集物を除去する分級処理を行った。
得られた非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、厚さ5μmのPEN支持体(WYKO社製HD2000で測定した平均表面粗さRa=1.5nm)上に塗布した後、100℃で乾燥させた。また非磁性層を塗布した支持体原反に70℃24時間の熱処理を施した後、上記分級処理後の磁性層塗布液を、乾燥後に表1記載の厚さとなるように非磁性層上にウェットオンドライ塗布した、その後、100℃で乾燥した後、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧350kg/cm、温度100℃で表面平滑化処理を行った。その後、1/2インチ幅にスリットして磁気テ−プを作製した。
(比較例1−1)
磁性層厚さを100nmに変更した以外は実施例1−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例1−2)
磁性層厚を50nmに変更した以外は特開2004−103186号公報の実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
(比較例1−3)
磁性層厚さを10nmに変更し、磁性層塗布液中のポリウレタン樹脂量を30部に変更した以外は実施例1−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例1−4)
磁性層厚を10nmに変更した以外は実施例1−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例1−5)
磁性層厚を80nmに変更した以外は実施例1−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例1−6)
特開2004−103186号公報の実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
(比較例1−7)
磁性層厚を45nmに変更した以外は特開2004−103186号公報の実施例5と同様の方法で磁気テープを作製した。
(実施例2−1)
磁性層塗布液を下記磁性層塗布液2に変更した以外は実施例1−1と同様の方法で磁気テープを作製した。

磁性層塗布液2(強磁性粉末:窒化鉄粉末)
窒化鉄系磁性粉末(平均粒径:表2参照) 100部
Hc:15.9kA/m(2000Oe)
BET比表面積:63m2/g
σs:100A・m2/kg(100emu/g)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 8部
(含有−SO3Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリウレタン樹脂 25部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=400eq/ton
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 5部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 1部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm) 1部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製コロネートL) 4部
シクロヘキサノン 133部
トルエン 33部
(実施例2−2〜2−9)
磁性層塗布液に対する遠心分離処理時間、使用する窒化鉄粉末の平均粒径、磁性層厚を表2に示す通りとし、実施例2−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例2−1)
磁性層厚を100nmとした点以外は実施例2−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例2−2)
磁性層塗布液に対する遠心分離処理を行わなかった点以外は実施例2−2と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例2−3)
磁性層厚を10nmに変更した点以外は実施例2−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例2−4)
磁性層塗布液に対する遠心分離処理時間を表2に示す時間とした点以外は実施例2−3と同様の方法により磁気テープを作製した。
(比較例2−5)
磁性層塗布液に対する遠心分離処理時間を表2に示す時間とした点以外は実施例2−1と同様の方法により磁気テープを作製した。
〔評価方法〕
1.平均粒子サイズ(六方晶フェライト粉末の板径、板比、窒化鉄粉末の平均粒径)
カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した磁性粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−400)で測定される算術平均粒径から算出した。
2.D95
HORIBA製レーザー散乱粒度測定機LB500を用いて、磁性層塗布液の分級処理後の液0.5mgをメチルエチルケトン49.5mgで希釈して液で粒度分布を測定した。粒子径毎の存在比率分布を求めた時の累積体積の95%となる粒子径を求めた。
3.Mrδ
振動試料型磁束計(東英工業製)を用い、Hm796kA/m(10kOe)で測定した。
4.磁気クラスター
交流磁場中で消磁したサンプルと、振動試料型磁束計(東英工業製)を用いて外部磁場796kA/m(10kOe)で直流消磁したサンプルをデジタルインスツルメンツ社製ナノスコープIIIのMFMモードを使って、5×5μmの範囲をリフトハイト40nmで測定し、磁気力像を得た。磁気力分布の標準偏差(rms)値の70%を閾値に設定し、画像を2値化して70%以上の磁気力を有する部分のみを表示させた。この画像を画像解析装置(カールツァイス製KS−400)に導入し、ノイズ除去、穴埋め処理を行った後、平均面積を算出した。10箇所測定をしてその平均値を求めた。
5.電磁変換特性(SNR)
ドラムテスター(相対速度5m/sec)を用いて、電磁変換特性の測定を行った。Bs=1.6T Gap長0.2μmのライトヘッドを用い、線記録密度XkFCIの信号を記録し、GMRヘッド(Tw幅 3μm、sh−sh=0.18μm)で再生した。XkFCIの出力と0〜2×XkFCIの積分ノイズの比を測定した(Xは100、200、300、400)。
(実施例1−14)
実施例1−2の磁気テープについて、AMRヘッド(Tw幅 2μm、Sh−Sh=0.2μm、磁気抵抗係数4%)を用いて上記5の電磁変換特性の評価を行った。
(比較例1−8)
比較例1−1の磁気テープについて、AMRヘッド(Tw幅 2μm、Sh−Sh=0.2μm、磁気抵抗係数4%)を用いて上記5の電磁変換特性の評価を行った。
Figure 2007294084
Figure 2007294084
評価結果
上記電磁変換特性の評価では、100kFCI、200kFCI、300kFCI、400kFCIの線記録密度において評価を行った。かかる線記録密度で記録された信号は、例えば電磁変換特性の評価で使用したAMRヘッドやGMRヘッドのような高感度MRヘッドによれば、高感度に再生することが可能である。そのため磁気テープに起因する出力低下およびノイズ増大を抑制することができれば、高密度記録時に高いSNRを得ることが可能となる。
そこで先に説明したように、本発明では、媒体に起因する出力低下およびノイズ増大を抑制するために、磁気記録媒体における磁性層厚を10〜80nmの範囲とし、Sdc/Sacを0.8〜2.0の範囲とし、Mrδを1mA以上5mA未満とする。表1および2に示すように、上記範囲の磁性層厚、Sdc/SacおよびMrδを有する実施例の磁気テープはいずれも比較例の磁気テープと比べて良好な電磁変換特性を示した。
次に、上記範囲の磁性層厚およびSdc/Sacを満たす磁気記録媒体において、Mrδを1mA以上5mA未満とすることにより、特に、高密度記録領域において優れた電磁変換特性が得られることを、図1〜3に基づき説明する。
図1〜3は、実施例1−1〜1−3(Mrδ 1.2〜4.8mA)と比較例1−1(Mrδ=6mA9、比較例1−3(Mrδ=0.6mAについて、100kFCI、200kFCI、300kFCI、400kFCIの線記録密度での電磁変換特性の評価結果とMrδとの関係をプロットした図である。
図1から、Mrδと出力は、100kFCIの線記録密度ではMrδ5〜6mAにピークを持つが、100kFCIを超えるとMrδ5mA未満にピークを持つことがわかる。図2から、Mrδ減少とともにノイズが減少することがわかる。その結果として、図3に示すように、Mrδが1mA以上5mA未満で高SNRを確保することができた。
以上の結果から、線記録密度が高くなるほどMrδの値を5mA未満に抑えることがSNR向上に有効であることがわかる。
本発明の磁気記録媒体は、高感度MRヘッドで信号を再生する磁気記録再生システムにおいて好適に使用することができる。
100kFCI、200kFCI、300kFCI、400kFCIの線記録密度におけるMrδと出力との関係を示す。 100kFCI、200kFCI、300kFCI、400kFCIの線記録密度におけるMrδとノイズとの関係を示す。 100kFCI、200kFCI、300kFCI、400kFCIの線記録密度におけるMrδとSNRとの関係を示す。

Claims (10)

  1. 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体であって、
    磁性層厚さδは10〜80nmであり、
    磁性層の残留磁化Mrと磁性層の厚さδの積であるMrδは1mA以上5mA未満であり、かつ
    磁気力顕微鏡(MFM)で測定したDC消磁状態の磁気クラスターの平均面積SdcとAC消磁状態の磁気クラスターの平均面積Sacとの比(Sdc/Sac)は0.8〜2.0の範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 強磁性粉末は六方晶フェライト粉末である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 六方晶フェライト粉末は、平均板径が10〜45nmの範囲であり、かつ平均板比が1.5〜4.5の範囲である請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 強磁性粉末は、窒化鉄粉末である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 窒化鉄粉末は、平均粒径が5〜30nmの範囲である請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 再生ヘッドとして巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドを使用する磁気信号再生システムにおいて使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システム。
  8. 再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである請求項7に記載の磁気信号再生システム。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法。
  10. 再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである請求項9に記載の磁気信号再生方法。
JP2007095525A 2006-03-31 2007-03-30 磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法 Pending JP2007294084A (ja)

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