JP6507074B2 - タイヤ騒音低減用の架橋発泡体、ならびに空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ質量を増大させることなく、タイヤ騒音のひとつである、タイヤの空気室内の気柱共鳴(空洞共鳴)に伴う騒音を低減することができるタイヤ吸音材に用いる、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む架橋発泡体に関するものである。
タイヤ騒音の一つとして、約50〜400Hzの周波数を持つロードノイズがある。このロードノイズは、タイヤの空気室( 以下、「タイヤ空気室」という。) 内で生じる気柱共鳴(空洞共鳴)が主な原因である。気柱共鳴とは、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がタイヤ空気室内の空気を振動させ、その結果、タイヤ空気室の気柱共鳴周波数付近で共鳴現象が起こり、共鳴音が発生する現象である。
この問題に対して、下記特許文献1では、タイヤとリムとの組立て体に用いるスポンジ材として、比重が0.06を超え且つ0.25以下のスポンジ材を提案しているが、使用するスポンジ材の比重が大きいので、タイヤ重量が増す課題が残る。
下記特許文献2では、比重0.005〜0.060のウレタンフォーム等からなるスポンジ材を提案している。タイヤを単体で保管している場合、雨水や結露水などがタイヤの内部の空洞内部に留まる場合があり、この場合、空洞内部に装着された前記スポンジ材の内部に水分が溜まることがある。タイヤの空洞部およびスポンジ材の内部に水分が溜まると、その水分を排出したり、または乾燥させるのが容易ではない。
下記特許文献3では、比重0.005〜0.060のウレタンフォーム等からなるスポンジ材に、吸水を防止しうる吸水防止用の樹脂膜を設置することを提案しているが、樹脂膜は粘着テープまたは接着剤を用いてスポンジ材に固定する必要があり、この案では製造工数が増すので、コスト高とならざるを得ない。
また、耐久性や耐水性に優れるEPDMを用いたタイヤ騒音低減用の吸音材の例として、下記特許文献4では、独泡率25%以下となる連続気泡を多く含む発泡ゴムを提示しているが、吸水率の記載は無く、また、吸音率測定時の試験片の比重や厚みの記述が無く、タイヤ騒音低減用の吸音材としては、依然として改良の余地がある。

特許5078907号公報 特開2005−254924号公報 特開2005−262921号公報 特開平9−86114号公報
本発明の目的は、優れた耐久性と吸音性とを合わせ持ち、かつ低コストで製造可能であり、タイヤ質量を増大させることのないタイヤ用吸音材を提供することにある。
本発明は、特定の配合組成を採用し、さらに発泡体の密度および吸水率を制御することにより、低コストで製造可能なタイヤ静音化用の架橋発泡体を得ることができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1]空気入りタイヤのタイヤトレッド内面またはリム部分に取り付けられるタイヤ騒音低減用発泡成形体であって、
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と、該(A)共重合体100質量部に対し、(B)充填材100〜300質量部、および(C)軟化材20〜100質量部とを含み、かつ(B)充填材と(C)軟化材との含有量の和が前記(A)共重合体100質量部に対し200質量部以上であり、
見かけ密度が60kg/m以下であり、
以下の吸水率測定法で求めた吸水率が200%未満である
ことを特徴とするタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
(吸水率測定法: 前記タイヤ騒音低減用架橋発泡体からなる試験片を水面下50mm の位置で−635mmHgまで減圧し、3分間保持した後、大気圧に戻し3分間経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の式から試験片の吸水率を算出する。
(吸水率)[%]={(W2−W1)/W1}×100
W1:浸せき前の試験片の重量(g)
W2:浸せき後の試験片の重量(g))
[2]前記(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、下記の式[a]で表される歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)100質量部〜1質量部と、前記歪み硬化度SHが0.8未満であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)0質量部〜99質量部(但し共重合体(A−1)及び共重合体(A−2)の合計100質量部を基準とする)とからなる前記[1]に記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
SH=dlnλ/dε ‥ [a]
(ただし、λ=ηE(t,εH)/ηE(t,εL)であり、ηE(t,εH)は伸長速度εHで測定した時間tにおける非線形領域での伸長粘度を、ηE(t,εL)はεHより低い伸長速度εLで測定した時間tにおける線形領域での伸長粘度を表わし、εは伸長速度εH、時間tにおけるHencky歪みを表す。)
[3] 前記(B)充填材が、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、シリカおよびマイカのうちのいずれか1種、または2種以上の組み合わせである前記[1]または[2]に記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
[4] 前記(C)軟化材が、パラフィンオイルである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
[5] 厚みが2〜30mmである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体をタイヤトレッド内面またはリムに取り付けてなる空気入りタイヤ。
[7] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体を含んでなる空気入りタイヤであって、タイヤトレッド内面と架橋発泡体との間、またはリムと架橋発泡体との間に5〜40mmの隙間を有する空気入りタイヤ。
本発明のタイヤ騒音低減用の架橋発泡体は、特定の配合組成、発泡体の密度および吸水率を有することにより、低コストで製造でき、かつ軽量化が可能であり、さらに、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むことから、耐候性、耐湿熱性を期待することができる。
図1は、実施例および比較例における、背後空気層0mmの場合の、1/3オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示すグラフである。 図2は、実施例1における、背後空気層0、20、40mmの場合の、1/3オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示すグラフである。 図3は、比較例3における、背後空気層0、20、40mmの場合の、1/オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示すグラフである。 図4は、比較例4における、背後空気層0、20、40mmの場合の、1/3オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示すグラフである。 図5は、比較例5における、背後空気層0、20、40mmの場合の、1/3オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示すグラフである。
本発明の空気入りタイヤのタイヤトレッド内面またはリム部分に取り付けられるタイヤ騒音低減用の架橋発泡体は、
(1) (A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と、該(A)共重合体100質量部に対し、(B)充填材100〜300質量部、および(C)軟化材20〜100質量部とを含み、かつ(B)充填材と(C)軟化材との含有量の和が前記(A)共重合体100質量部に対し200質量部以上であり、
(2) 見かけ密度が60kg/m以下であり、
(3) 以下の吸水率測定法で求めた吸水率が200%未満である
ことを特徴とする。
まず、前記架橋発泡体を構成する組成物について説明する
[架橋発泡体を構成する組成物]
前記架橋発泡体を構成する組成物は、前述の(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、(B)充填材および(C)軟化材を含有する。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体におけるα−オレフィンについては、炭素数3〜20のα−オレフィンを挙げることができる。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、たとえば、プロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1、9−メチル−デセン−1、11−メチル−ドデセン−1、12−エチル−テトラデセン−1などが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体における非共役ポリエンとしては、たとえば、炭素原子数が5〜20、好ましくは5〜10の非共役ポリエンが挙げられ、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、柔軟性の観点から、エチレンから導かれる構成単位の含有量は好ましくは40〜72質量%、より好ましくは41〜70質量%、さらに好ましくは42〜65質量%である。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、発泡体成形時の加工安定性と加硫速度とのバランスから非共役ポリエンから導かれる構成単位の含有量は好ましくは4〜16質量%、より好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは6〜14質量%である。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、発泡体成形時の加工性と発泡性とのバランスから、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、好ましくは8〜80、より好ましくは20〜70、さらに好ましくは25〜60である。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体においては、前述のα−オレフィンのうち炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましい。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体においては、前述の非共役ポリエンのうち好ましい非共役ポリエンとしては、ジシクロペンタジエン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
また、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、下記の式[a]で表される歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)を100質量部〜1質量部含むと、見かけ密度の低い発泡体を安定して得ることができる。すなわち、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)100質量部〜1質量部と、歪み硬化度SHが0.8未満であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)0質量部〜99質量部とからなることが好ましい。さらに、(A)共重合体は、共重合体(A−1)100質量部〜50質量部と共重合体(A−2)0質量部〜50質量部とからなること、さらには共重合体(A−1)100質量部〜80質量部と共重合体(A−2)0質量部〜20質量部とからなることが好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)は、歪み硬化度SHが好ましくは0.8〜1.0、より好ましくは0.8〜0.9である。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)は、歪み硬化度SHが好ましくは0.8未満0.1以上である。
SH=dlnλ/dε ‥ [a]
(ただし、λ=ηE(t,εH)/ηE(t,εL)であり、ηE(t,εH)は伸長速度εHで測定した時間tにおける非線形領域での伸長粘度を、ηE(t,εL)はεHより低い伸長速度εLで測定した時間tにおける線形領域での伸長粘度を表し、εは伸長速度εH、時間tにおけるHencky歪みを表す。)
この歪み硬化度SHは、例えば「日本レオロジー学会誌、Vol.31、No.(5)、P321-327」に記載のように、伸長粘度の歪み硬化性の程度を示す値である。本発明においては、後述する実施例に記載の通り、温度140℃、歪み速度γ0.01および0.1(1/s)の2条件で一軸伸長粘度を測定し、歪み硬化度SHを求めた。
歪み硬化度SHが0.8未満であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)は、従来公知の方法により製造してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、「三井EPT3045」(商品名;三井化学社製)、「三井EPT3092M」(商品名;三井化学社製)、「Nordel IP4640」(商品名;ダウケミカル社製)、「Vistalon7500」(商品名;エクソンモービルケミカル社製)および「ビスタロンV8600」(商品名;エクソンモービルケミカル社製)などが挙げられる。
(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の歪み硬化度SHは、特開2013−234289号公報に記載された方法により、0.8以上または0.8未満に調整することが可能である。
(B)充填材
(B)充填材としては、具体的には、市販されているカーボンブラック、シランカップリング剤等で表面処理されたカーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、シリカ、マイカ等を単独でも2種以上混合しても用いることができる。これらの充填剤のうち、カーボンブラックとしては「旭#55G」、「旭#50HG」、「旭#15G」、「旭#60G」(商品名、旭カーボン株式会社製)等、炭酸カルシウムとしては「ホワイトンSB」(商品名、白石カルシウム株式会社)等、水酸化アルミニウムとしては「ハイジライトH−42M」(商品名、昭和電工株式会社)等が望ましい。
(B)充填材の含有量は、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して100〜300質量部、好ましくは120〜280質量部、より好ましくは140〜260質量部である。
(C)軟化材
(C)軟化材としては、パラフィンオイル等のプロセスオイル(例えば、「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名:出光興産株式会社製)など)、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、およびワセリン等の石油系軟化材;コールタール、およびコールタールピッチ等のコールタール系軟化材;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、およびヤシ油等の脂肪油系軟化材;蜜ロウ、カルナウバロウ、およびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、およびラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、およびロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、およびクマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、およびジオクチルセバケート等のエステル系軟化材;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、およびサブ(ファクチス)などが挙げられる。なかでも、石油系軟化材が好ましく、特にプロセスオイル、その中でもパラフィンオイルが好ましい。前述の軟化材は、単独でも2種以上混合しても用いることができる。
(C)軟化材の含有量は、(A)共重合体100質量部に対して20〜100質量部、好ましくは25〜90質量部、より好ましくは30〜80質量部である。
また、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して(B)充填材と(C)軟化材との含有量の和が200質量部よりも小さいと製造コストが上がるので、前記配合量の和は(A)共重合体100質量部に対して200以上であることが好ましい。また(B)充填材と(C)軟化材の配合量の和が(A)共重合体100質量部に対して300部よりも大きくなると発泡体の伸びならびに引裂き強度が低下することから、前記配合量の和は(A)共重合体100質量部に対して300以下であることが好ましい。このため、(B)充填材と(C)軟化材の含有量の和は(A)共重合体100質量部に対して200〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは210〜290質量部、さらに好ましくは220〜280質量部である。
前記組成物のその他の成分
本組成物から発泡体を得るために、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、(B)充填材および(C)軟化材に加えて、発泡剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤を組成物に添加することができる。
発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド等のアジド化合物などの有機発泡剤が挙げられる。
発泡剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して20〜50質量部、好ましくは25〜45質量部、より好ましくは30〜40質量部である。発泡剤としては、例えば市販されている、ビニホールAC#3M(商品名、永和化成工業株式会社 アゾジカルボンアミド(略号ADCA))、ビニホールAC#3C−K2(商品名、永和化成工業株式会社 アゾジカルボンアミド(略号ADCA))、ビニホールAC#LQ(商品名、永和化成工業株式会社 アゾジカルボンアミド(略号ADCA))、セルマイクC−2(商品名、三協化成株式会社 アゾジカルボンアミド(略号ADCA))、セルラー#D(商品名、永和化成工業株式会社 N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(略号DPT))、セルラーCK#54(商品名、永和化成工業株式会社 N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(略号DPT))、セルマイク#A(商品名、三協化成株式会社 N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(略号DPT))、ネオセルボンN#1000SW(商品名、永和化成工業株式会社 4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(略号OBSH))、ネオセルボンN#1000M(商品名、永和化成工業株式会社 4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(略号OBSH))等を用いることができる。
また、発泡剤とともに発泡助剤を含有してもよい。発泡助剤としては、たとえば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸、クエン酸などの有機酸やその塩、尿素またはその誘導体等が挙げられる。 発泡助剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜4質量部である。発泡助剤としては、例えば市販されている、セルペーストK5(商品名、永和化成工業株式会社 尿素)、セルペースト101W(商品名、永和化成工業株式会社 尿素)、FE−507(商品名、永和化成工業株式会社 重曹)等を用いることができる。
加硫剤(架橋剤)としては、イオウ系化合物、有機過酸化物、フェノール樹脂、オキシム化合物等を用いることができる。
イオウ系化合物としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等を例示できる。イオウ系化合物としては、イオウ、テトラメチルチウラムジスルフィドが好ましく、共重合体(A)100質量部に対して、通常0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部、さらに好ましくは0.7〜4.0質量部配合することができる。
上記有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジエチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ジブチルヒドロペルオキシド等を例示できる。これらのうち、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。 有機過酸化物の配合量は、共重合体(A)100gに対して、通常0.001〜0.05モル、好ましくは0.002〜0.02モル、さらに好ましくは0.005〜0.015モルである。
加硫剤としてイオウ系化合物を使用する場合には、加硫促進剤の併用が好ましい。加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(例えば、「サンセラーM」(商品名、三新化学工業株式会社製)など)、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、「ノクセラーMDB−P」(商品名、三新化学工業株式会社製)など)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、アルデヒドアミン系;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、「サンセラーPZ」(商品名、三新化学工業株式会社製)、「サンセラーBZ」(商品名、三新化学工業株式会社製)など)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;エチレンチオ尿素(例えば、「サンセラーBUR」(商品名、三新化学工業株式会社製)、「サンセラー22−C」(商品名、三新化学工業株式会社製)など)、N,N’−ジエチルチオ尿素等のチオウレア系;2−メルカプトベンゾチアゾール(例えば、「サンセラーM」(商品名、三新化学工業株式会社製)など)チアゾール系加硫促進剤;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系等が挙げられる。
これらの加硫促進剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。
加硫剤とともに、さらに加硫助剤を用いることができる。加硫助剤は、用途により適宜選択でき、単独でも2種以上混合して用いることができる。加硫助剤の具体的例としては、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名、井上石灰工業株式会社製)などの酸化亜鉛)などが挙げられる。その配合量は、通常、共重合体(A)100質量部に対して、1〜20質量部である。加硫助剤としては、さらにp−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系;その他マレイミド系;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記組成物は、前記成分の他に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、加工助剤、活性剤、吸湿剤、老化防止剤等を含有してもよい。
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。加工助剤は、共重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは8.0質量部以下、さらに好ましくは5.0質量部以下の量で適宜配合することができる。
活性剤は、用途により適宜選択でき、単独でも2種以上混合して用いることができる。活性剤の具体的な例としては、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン、「アクチングB」(商品名、吉冨製薬株式会社製)、「アクチングSL」(商品名、吉冨製薬株式会社製)などのアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、「PEG#4000」(ライオン株式会社製))、レシチン、トリアリレートメリテート、脂肪族および芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(例えば、「Struktolactivator 73」、「StruktolIB 531」および「StruktolFA541」(商品名、Schill &Seilacher社製))などの活性剤;「ZEONET ZP」(商品名、日本ゼオン株式会社製)などの過酸化亜鉛調整物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物(例えば、「アーカード2HT−F」(商品名、ライオン・アクゾ株式会社製))などが挙げられる。これらのうち、ポリエチレングリコール(例えば、「PEG#4000」(ライオン株式会社製))、「アーカード2HT−F」が好ましい。活性剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、さらに好ましくは0.5〜4質量部である。
吸湿剤は、用途により適宜選択でき、単独でも2種以上混合して用いることができる。吸湿剤の具体的な例としては、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボン等が挙げられる。これらのうち、酸化カルシウムが好ましい。吸湿剤の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、0.5〜15質量部、好ましくは1.0〜12質量部、さらに好ましくは1.0〜10質量部である。
前記組成物の調製方法
前記組成物は、(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、(B)充填材および(C)軟化材、ならびに必要に応じて前記その他の成分を混合することにより調製することができる。
[架橋発泡体]
本発明の架橋発泡体は、前記組成物を架橋発泡することにより得ることができる。架橋発泡の一例としては、前記組成物を、シート状ダイスに装着した押出機を用いて押出し、シート状に成形する方法が挙げられる。得られた成形体を加硫槽内に導入し、たとえば100〜250℃で5〜60分間加熱することで、架橋および発泡を行い、シート状の架橋発泡体(スポンジ)を得ることができる。
本発明の架橋発泡体における(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に対する(B)充填材および(C)軟化材の含有量は、前記組成物について示したこれらの含有量と同じである。
[見かけ密度]
本発明の架橋発泡体の見かけ密度は、60kg/mを超えると重量が重くなるため、60kg/m以下が望ましい。密度の下限については特に限定は無いが、20kg/mを下回ると架橋発泡体の安定した製造が難しく、また、伸びや強度が低下するため、20kg/m以上が望ましいと言える。見かけ密度60kg/m以下の架橋発泡体は、例えば、架橋剤ならびに発泡剤を含む前記組成物を、架橋発泡させることにより得られ、特に、(A)共重合体として、前述の歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)を使用し、かつ共重合体(A−1)100質量部〜1質量部と、前記歪み硬化度SHが0.8未満であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)0質量部〜99質量部(但し共重合体(A−1)及び共重合体(A−2)の合計100質量部を基準とする)に対して発泡剤を20〜50質量部使用することにより製造することができる。
[吸水率]
本発明の架橋発泡体の吸水率は、後述する実施例に記載の方法で測定した際に、200%未満であることが望ましく、好ましくは150%未満、さらに好ましくは10%未満である。本測定方法による吸水率が200%以下であれば、タイヤが単体で保管されている場合であっても、架橋発泡体が雨水や結露水を吸収することが無く、タイヤ空気室に水が留まることが無い。
架橋発泡体の吸水率は、A)共重合体として、前述の歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)を使用すると、架橋発泡中に生成するガスが発泡体に含まれやすく、独立気泡の割合が増えるため、200%以下に調整することができる。
本発明の架橋発泡体は、低密度、吸水率を損なわない範囲で、架橋発泡後に一対の回転ロール間でゴム発泡体を挟圧する方法(ロールクラッシュ法)、ゴム発泡体を真空下に設置して圧縮させる方法(真空クラッシュ法)、ニードルパンチなどを用いて無数の針でパンチングする方法(ニードルパンチ法)等、従来公知の方法を用いて、破泡処理を実施しても良い。
[タイヤトレッドおよびリムへの架橋発泡体の取り付け]
本発明の架橋発泡体は、タイヤトレッド内面またはリム部分に本発明の架橋発泡体を取り付けることにより、タイヤ騒音低減用の吸音材としてきわめて優れた効果を発現する。
タイヤトレッド内面またはリム部分に本発明の架橋発泡体を取り付ける方法については、特に限定されず、従来公知の方法が使用できる。たとえば、タイヤトレッド内面またはリム部分に本発明の架橋発泡体を合成ゴム系接着剤やアクリル系接着剤で接着する方法が挙げられる。
本発明の架橋発泡体をタイヤ騒音低減用の吸音材として使用する際、架橋発泡体の形状や厚みは特に限定されるものではなく、平板、長方形、台形、正弦波形状等が例示できる。製造コストの観点からはシンプルな平板形状が望ましく、その厚みは5mmよりも薄い場合は十分な吸音効果を得られず、30mmよりも厚い場合は重量が重くなるので、2〜30mmが望ましく、好ましくは8〜25mm、より好ましくは10〜20mmである。
また後述する実施例に記載の吸音率測定より明らかなように、本発明の架橋発泡体は、その取り付け部分の背後に隙間(背後空気層)があると、他の吸音材と比較して吸音周波数帯が低周波数側に大きくシフトし、タイヤ空気室内の気柱共鳴を大きく改善できるため、タイヤトレッド内面と架橋発泡体との間、またはリムと架橋発泡体との間に、5〜40mmの隙間を有することができる。
背後空気層は、リムと架橋発泡体、または、タイヤトレッド内面と架橋発泡体との間に一部の隙間があれば良く、たとえば、接着剤を使用する際に意図的に接着剤を塗布しない部分を設け、その部分に本発明の架橋発泡体を撓ませて設置することにより、背後空気層を作ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の記載において「部」は「質量部」を示す。
[(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
(A)共重合体として、下記EPDM(A−1)およびEPDM(A−2)のエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を使用した。これらの物性値を表1にまとめた。
EPDM(A−1):
国際公開WO2010/064574号の実施例1と同様の方法(モル比の違いはフィード量で調整した)で製造したエチレン・プロピレン・非共役ポリエンランダム共重合体(エチレンから導かれる構造単位含有量:46質量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位含有量:9.0質量%、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)から導かれる構造単位含有量:0.38質量%、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]:33、SH:0.9)
EPDM(A−2):
国際公開WO2009/072553号の製造例と同様の方法で製造したエチレン・プロピレン・非共役ポリエンランダム共重合体(エチレンから導かれる構造単位含有量:56質量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位含有量:4.7質量%、ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]:39、SH:0.2)
[歪み硬化度SHの具体的な測定方法]
一軸伸長粘度を、MCR301(Anton Paar社製)を用い測定した。試験片は、EPDMのみを用いて190℃の条件下で10分間の熱プレス成形を実施し、厚み1mmのシートを作成した後、幅10mmの短冊状に打ち抜いて作製し、これを測定に用いた。測定は、温度140℃、歪み速度γ0.01および0.1(1/s)の2条件で実施した。得られた伸長粘度から歪み硬化度SHを下記式[a]に従い算出した。
SH=dlnλ/dε0.1 ‥ [a]
ここで、λ=ηE(t,0.1)/ηE(t,0.01)であり、
ηE(t,0.1):伸長速度0.1(1/s)で測定した時間t(s)における伸長粘度
ηE(t,0.01):伸長速度0.01(1/s)で測定した時間t(s)における伸長粘度
ε0.1:伸長速度0.1(1/s)、時間t(s)におけるHencky歪み
である。
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、EPDM(A−1)を100部、加硫助剤として「META−Z102」(商品名;井上石灰工業社製)を8部、加工助剤としてステアリン酸を1部、活性剤として「PEG#4000」(商品名;ポリエチレングリコール、ライオン社製)を1部、充填剤として「ハイジライトH−42M」(商品名;昭和電工社製)を45部および「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム社製)を150部および軟化剤として「ダイアナプロセスオイルPS−430」(商品名;出光興産社製)を50部混練した。混練条件は、ローター回転数が50rpm、フローティングウェイト圧力が3kg/cm、充填率70%、混練時間が5分間で行い、混練排出温度は145℃とした。
次いで、上記配合物が温度40℃となったことを確認した後、14インチ二本ロール混練機を用いて、上記配合物に加硫促進剤「サンセラーM」(商品名;三新化学工業社製)を1.5部、加硫促進剤として「サンセラーBZ」(商品名;三新化学工業社製)を1.5部、加硫促進剤として「サンセラーPZ」(商品名;三新化学工業社製)を1.5部、加硫促進剤として「サンセラーBUR」(商品名;三新化学工業社製)を1.5部、加硫剤としてイオウを1.5部、発泡剤として「ビニホールAC#LQ」(商品名;永和化成工業社製)を40部および発泡助剤として「セルペーストK5」(商品名;永和化成工業社製)を1部混練した。混練条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=80℃/80℃、ロール周速を前ロール/後ロール=13rpm/11.5rpm、ロール間隙を5mmとして、混練時間15分間で分出しした。
得られた混練物を直径50mmのゴム用押出機((株)三葉製作所製)にて、押出成形を行い、シート状の組成物を作製した。押出機の温度条件は、HD/C2/C1/SC=80/70/60/50℃とした。この組成物を熱風加硫槽(ミクロ電子(株)製)にて、180℃で8分間架橋発泡させて、架橋発泡体を得た。使用した配合は表2に示した。各種測定は、成形した架橋発泡体を72時間以上、室温環境で保管した後、実施した。
[見かけ密度の測定方法]
架橋発泡体のスキン層も含め、架橋発泡体を、スライサーを用いて厚み10mmの平板状架橋発泡体に整えた後、直径100mmの打ち抜き刃を用いて打ち抜き、円盤状の試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K 7222を参照とし、見かけ密度を測定した。結果を表4に示した。
[吸水率の測定方法]
前記厚み10mmの平板状架橋発泡体から、20mm × 20mmの試験片を打ち抜き、この試験片の表面の汚れをアルコールでふき取った。この試験片を水面下50mm の位置で−635mmHgまで減圧し、3分間保持した。続いて大気圧に戻し3分間経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の式から試験片の吸水率を算出し、表4にまとめた。
(吸水率)[%]={(W2−W1)/W1}×100
W1:浸せき前の試験片の重量(g)
W2:浸せき後の試験片の重量(g)
[吸音率測定]
上記厚み10mmの平板状架橋発泡体に対して、ISO 10534−2:1998のAcoustics Determination of sound absorption coefficient and impedance in impedance tubes Part 2: Transfer-function methodに準拠し、4206−T型音響管(Bruel&Kjaer製)の内径100mmφの太管、および測定用ソフト(PULSE Material Testing Type7758、Bruel&Kjaer製)を用いて、1/3オクターブバンドごとの垂直入射吸音率を、背後空気層の長さを調整して測定した。垂直入射吸音率の数値が大きい程、吸音性が良好であることを示す。なお、背後空気層とは、発泡架橋体の背面と背面剛壁との隙間を意味する。表4に、背後空気層0mmの場合の測定データのうち、200、250、315および400Hzにおける吸音率ならびにその平均値を示し、平均値0.07以上を○、0.05〜0.06を△、0.05以下を×と判定した。ここで、見かけ密度が60kg/m以下、吸水率が200%未満であり、かつ、吸音率判定が○であるという3つの基準を満たす発泡架橋体を総合判定として○とし、ひとつでも基準に満たない項目がある発泡架橋体は総合判定として×とした。図1に、背後空気層0mmの場合の、1/3オクターブバンド中心周波数と垂直入射吸音率との関係を示す。また、背後空気層を20、40mmとした場合の垂直入射吸音率を同様に測定し、その結果を表5に、さらに背後空気層0mmの場合の結果と併せて図2に示した。
[実施例2]
MIXTRON BB MIXERによる混練において、ハイジライトH−42Mに替えて、旭#50Gを30部配合したこと以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。使用した配合は表2に示した。実施例1と同様に背後空気層0mmの場合の測定結果を表4および図1に示した。
[比較例1]
MIXTRON BB MIXERによる混練において、共重合体(A−1)に替えて、共重合体(A−2)100部を配合したこと以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。使用した配合は表2に示した。実施例1と同様に背後空気層0mmの場合の測定結果を表4および図1に示した。
[比較例2]
14インチ二本ロール混練機を用いた混練において、発泡剤を20部に減らしたこと以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。使用した配合は表2に示した。実施例1と同様に背後空気層0mmの場合の測定結果を表4および図1に示した。
[比較例3〜5]
以下の原料を用いて、軟質ポリウレタンフォームを作製し、各種物性を測定した。
(軟質ポリウレタンフォームの原料)
(I)ポリオキシプロピレントリオール「アクトコール T−4000」(商品名;三井化学社製、数平均分子量4,000)
(II)ポリマー分散ポリオール「アクトコール POP−45」(商品名;三井化学社製、水酸基価:33、ポリマー含量:約40%)
(III)トリメチロールプロパン「TMP」(商品名;三菱ガス化学社製)
(IV)発泡剤「水」(イオン交換水)
(V)アミン系触媒「ダブコ 33LV」(商品名;エアプロダクツ アンドケミカルズ社製)
(VI)オクチル酸スズ触媒「ダブコ T−9」(商品名;エアプロダクツアンドケミカルズ社製)
(VII)シリコン系整泡剤「SRX−294A」(商品名;東レ・ダウコーニング株式会社製))
(VIII)トルエンジイソシアネート「TDI−80」(商品名;三井化学株式会社製)
(ウレタンフォームの製造)
下記の表3に示した成分のうちダブコ33LV、ダブコT−9とTDI−80以外の各成分をハンドミキサーで攪拌した後、ダブコ33LV、ダブコT−9を添加し5秒間攪拌後、ただちにTDI−80を添加混合し混合物を発泡箱に投入して、室温にて発泡して硬化させた。得られたウレタンフォームをさらに室温で1日静置後、物性測定に供した。実施例1と同様に背後空気層0mmの場合の測定結果を表4および図1に示した。また、実施例1と同様に、背後空気層を20、40mmとした場合の垂直入射吸音率を同様に測定し、その結果を表5に、さらに背後空気層0mmの場合の結果と併せて図3〜5に示した。
[結果]
表4から分かるように、実施例1〜2に記載の架橋発泡体は、密度が小さく、吸水率も低く、良好な吸音特性を示すことから、タイヤ騒音低減用の吸音材として好適である。一方、比較例1では、使用したEPDMのSH値が低いため、発泡と架橋のバランスが悪く、架橋発泡体の密度が高く、吸音率が低い。同様に比較例2では、発泡剤の量を少なくしたので、発泡が不十分となり、密度が高く、吸音率が低い。
またタイヤ騒音低減用に軟質ポリウレタンフォーム系のスポンジ材を用いた比較例3〜5では、いずれの密度の材料であっても吸水率が非常に大きい。また、密度が高い比較例3では、200〜400Hzで良好な吸音率を示すが、低密度の比較例4、5では、200〜400Hzの吸音率が低い。
表5ならびに図2〜5に、架橋発泡体の裏面に隙間となる背後空気層を設定した場合の吸音率を示す。これらの測定結果から分かるように、いずれの吸音材も、背後空気層が大きくなると九音特性が低周波帯にシフトすることが分かるが、中でも実施例1および2の架橋発泡体は、タイヤ空気室内で生じる気柱共鳴の周波数体と吸音の周波数帯がよく合致するので、本発明の架橋発泡体は気柱共鳴を大きく低減できると考えられる。
Figure 0006507074
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Claims (7)

  1. 空気入りタイヤのタイヤトレッド内面またはリム部分に取り付けられるタイヤ騒音低減用架橋発泡体であって、
    (A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と、該(A)共重合体100質量部に対し、(B)充填材100〜300質量部、および(C)軟化材20〜100質量部とを含み、かつ(B)充填材と(C)軟化材との含有量の和が前記(A)共重合体100質量部に対し200質量部以上であり、
    見かけ密度が60kg/m以下であり、
    以下の吸水率測定法で求めた吸水率が200%未満である
    ことを特徴とするタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
    (吸水率測定法: 前記タイヤ騒音低減用架橋発泡体からなる試験片を水面下50mm の位置で−635mmHgまで減圧し、3分間保持した後、大気圧に戻し3分間経過後、吸水した試験片の重量を測定し、以下の式から試験片の吸水率を算出する。
    (吸水率)[%]={(W2−W1)/W1}×100
    W1:浸せき前の試験片の重量(g)
    W2:浸せき後の試験片の重量(g))
  2. 前記(A)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、下記の式[a]で表される歪み硬化度SHが0.8以上であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−1)100質量部〜1質量部と、前記歪み硬化度SHが0.8未満であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A−2)0質量部〜99質量部(但し共重合体(A−1)及び共重合体(A−2)の合計を100質量部とする)とからなる請求項1に記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
    SH=dlnλ/dε ‥ [a]
    (ただし、λ=ηE(t,εH)/ηE(t,εL)であり、ηE(t,εH)は伸長速度εHで測定した時間tにおける非線形領域での伸長粘度を、ηE(t,εL)はεHより低い伸長速度εLで測定した時間tにおける線形領域での伸長粘度を表わし、εは伸長速度εH、時間tにおけるHencky歪みを表す。)
  3. 前記(B)充填材が、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、シリカおよびマイカのうちのいずれか1種、または2種以上の組み合わせである請求項1または2に記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
  4. 前記(C)軟化材が、パラフィンオイルである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
  5. 厚みが2〜30mmである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体をタイヤトレッド内面またはリムに取り付けてなる空気入りタイヤ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ騒音低減用架橋発泡体を含んでなる空気入りタイヤであって、タイヤトレッド内面と前記架橋発泡体との間、またはリムと前記架橋発泡体との間に5〜40mmの隙間を有する空気入りタイヤ。
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