JP6504442B2 - 立体造形用粉末材料、立体造形用材料セット、及び立体造形物製造方法 - Google Patents

立体造形用粉末材料、立体造形用材料セット、及び立体造形物製造方法 Download PDF

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本発明は、立体造形物を製造可能な立体造形用粉末材料、立体造形セット、それらを用いた立体造形物製造装置、及び立体造形物製造方法に関する。
近年、複雑な形状をした立体造形物を製造するニーズが高まっている。従来の型を利用して立体造形物を製造する方法は、複雑で微細な造形物の製造には限界があり、型が高額で、低ロット生産には適用できないなど、多くの問題を抱えていた。これに対し、形状データを用いて、各種材料を積層しながら立体造形物を直接製造する積層造形(付加造形とも称する)は、これらの問題を解決できる有効な方法として注目されている。
これらの方法の一例としては、バインダー樹脂をコーティングした粉末粒子を積層し、溶剤等を含む造形液を吐出して造形する方式が提案されている。例えば、特許文献1(特表2006−521264号公報)には、金属やセラミックス等の粒子に、活性可能な接着剤及び細粒材料がコーティングされてなる粉末材料が開示されている。
また、特許文献2(特開2005−297325号公報)には、基体を樹脂で被覆した粉末材料を堆積させ、該被覆樹脂を溶解し、その後固化させる溶剤を供給して粉末材料を結合させる立体造形方法が開示されている。このように基材表面に樹脂をコーティングした粉末材料を用いる方法は、造形速度が速い上に、樹脂を比較的均等に配置させることができ、さらにインクジェットノズルの目詰まりが発生しにくいため、立体造形物の強度や寸法精度の向上に対しても有効な方法である。
しかし、このように樹脂で被覆した粉末材料を用いることにより、インクジェットノズルの目詰まりを低減できても、立体造形物の強度や寸法精度は、実用上十分とは言えなかった。
そこで、本発明は、立体造形物を高強度かつ高精度に製造する立体造形用粉末材料を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、積層した粉末層の間に層間剥離が発生する場合があり、この層間剥離は、層間の接着性を大きく低下させるため、焼結させる前の立体造形物のみならず、立体造形物を脱脂し、さらに焼結することによって得られる立体焼結物の強度をも低下させる原因になっていることを見出した。
さらに、層間剥離が発生すると、立体造形物の内部にそれだけ空隙を含むことになるため、その分、寸法精度も低下することになる。そのため、複雑な形状を維持でき、高強度で、かつ高い寸法精度を有する立体造形物並びに立体焼結物を得るためには、立体造形物の層間剥離を低減させる必要があった。
前記課題を解決するための本発明は以下に記載する通りの立体造形用粉末材料に係るものである。
基材粒子を樹脂で被覆してなる被覆粒子を含む立体造形用粉末材料であって、前記樹脂が側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコールを含むことを特徴とする立体造形用粉末材料。
本発明の立体造形物製造プロセスの一例を示す概略図である。 本発明の立体造形物製造プロセスの他の一例を示す概略図である。 本発明の立体造形物製造装置の粉末貯蔵槽の一例を示す概略図である。
以下、本発明における実施の形態の一例について説明する。
<立体造形用粉末材料>
本発明における立体造形用粉末材料とは、立体的、あるいは三次元的な造形物を製造する場合に用いられる粉末材料であり、少なくとも以下で説明する基材粒子及び該基材粒子を被覆する樹脂を含む。樹脂は基材の表面の一部または全部を被覆していること好ましい。これにより、粉末粒子同士の接着力が高まり、高い強度を有する立体造形物を得ることが可能になる。
−基材−
本発明に用いられる前記基材としては、粉末乃至粒子の形態を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記基材の材質としては、例えば、金属、セラミックス、ガラス、カーボン、ポリマー、木材、生体親和材料、砂などが挙げられるが、極めて高強度の立体焼結物が得られる観点から、最終的に焼結処理が可能な金属、セラミックスなどがより好ましい。
前記金属としては、材質として金属を含むものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、さらにこれらの合金が挙げられる。これらの中でも、ステンレス(SUS)鋼、鉄、銅、銀、チタン、ジルコニウム、あるいはこれらの合金などが好適に用いられる。ステンレス(SUS)鋼としては、例えば、SUS304、SUS316、SUS317、SUS329、SUS410、SUS430、SUS440、SUS630などが挙げられる。
一方、前記セラミックスとしては、例えば、酸化物、炭化物、窒化物、水酸化物などが挙げられる。酸化物としては、例えばシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)などが挙げられる。但し、これらは一例であって、これらに限定されるものではない。これらの材料は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの基材としては、市販されているものを使用することができる。市販品の一例としては、ステンレス鋼は山陽特殊鋼製のPSS316L、シリカはトクヤマ製のエクセリカSE−15、アルミナは大明化学工業製のタイミクロンTM−5D、ジルコニアは東ソー製のTZ−B53などを例示することができる。
前記基材は、表面処理を行うことも可能であり、樹脂との接着性の向上やコーティング性の向上に有効な場合がある。表面処理剤は、従来公知のものを使用することが可能である。
前記基材の平均粒子径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。例えば、0.5〜500μmのものが好ましく、5〜150μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましい。前記平均粒子径がこれよりも小さいと、凝集の影響が増加し、基材への樹脂コーティングが困難になったり、歩留りの低下や立体造形物の製造効率の低下、基材の取扱性やハンドリング性の低下を招いたりすることがある。一方、前記平均粒子径がこれよりも大きいと、粒子同士の接点の減少や空隙の増加により、立体造形物、さらには立体焼結物の強度が低下する場合がある。
前記基材の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布はよりシャープである方が好ましい。前記基材の平均粒子径は、公知の粒径測定装置を用いて測定することが可能であり、一例としては粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などが挙げられる。
前記基材の形状や円形度については、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができるが、形状は球形が、円形度が高い(1.0に近い)方がより好ましい。これにより、基材が最密充填され、得られる立体造形物並びに立体焼結物の空隙を低減することができ、強度アップに有効な場合がある。円形度の測定は、公知の円形度測定装置を用いて測定することが可能であり、一例としてはフロー式粒子像分析装置FPIA−3000(マルバーンインストゥルメンツ製)などが挙げられる。
前記基材は、従来公知の方法を用いて製造することができる。粉末乃至粒子状の基材を製造する方法としては、例えば固体に圧縮、衝撃、摩擦等を加えて細分化する粉砕法、溶湯を噴霧させて急冷粉体を得るアトマイズ法、液体に溶解した成分を沈殿させる析出法、気化させて晶出させる気相反応法等が挙げられる。本発明に用いられる基材としては、製造方法に制限されないが、より好ましい方法としては球状の形状が得られ、粒径のバラツキが少ないアトマイズ法が挙げられる。アトマイズ法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法、プラズマアトマイズ法などが挙げられるが、いずれも好適に用いられる。
−樹脂−
本発明の立体造形用粉末材料は基材表面に樹脂が被覆されてなり、前記樹脂が側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコールを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記1,2−グリコール結合とは、隣接する2つの炭素原子にヒドロキシ基が1つずつ置換した構造単位を表す。本発明においては、下記一般式(1)で示される1,2−グリコール構造単位を含有することが好ましい。
上記一般式(1)において、R、R、Rはそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
該アルキル基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。かかるアルキル基は必要に応じて、ハロゲン基、ヒドロキシ基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
前記側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコールを得る方法としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系モノマー(A)と下記一般式(2)で示されるビニルエチレンカーボネート(B)との共重合体(A−B)をケン化及び脱炭酸する方法、ビニルエステル系モノマー(A)と下記一般式(3)で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン(C)との共重合体(A−C)をケン化及び脱ケタール化する方法、ビニルエステル系モノマー(A)とグリセリンモノアリルエーテル(D)との共重合体(A−D)をケン化する方法が好ましく用いられる。
但し、R、R、Rはそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
但し、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。
これらの側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコールは、例えば特開2002−284818号公報を参考にして合成することができる。
本発明の立体造形用粉末材料に用いられるポリビニルアルコールの1,2−グリコール結合の変性度は低い方が好ましい。なお、本発明における1,2−グリコール結合の変性度とは、ポリビニルアルコールに含まれる1,2−グリコールの構造単位の含有量のことを示す。1,2−グリコール結合の変性度の具体例として、好ましくは4.0モル%以下、より好ましくは3.0%以下である。1,2−グリコール結合の変性度がこれよりも高いと、立体造形物の強度が幾分低下する場合がある。また、基材同士が緩凝集を引き起こしやすくなり、基材へのコーティング性がやや低下する場合がある。
一方、1,2−グリコール結合を含まないと、立体造形物あるいは立体焼結物の層間剥離の影響が顕著に高まり、強度や寸法精度の著しい低下が見られる。また、インクに対する溶解性が低下し、強度を得るためにインク量を増やす必要が生じ、それが更なる寸法精度の低下を招くことがある。
1,2−グリコール結合の変性度が4.0モル%以下、好ましくは3.0モル%以下のポリビニルアルコールを用いることにより、樹脂コーティングが容易になるだけでなく、層間剥離を抑制することが可能になり、得られる立体造形物、さらには立体焼結物の強度を高めることができる。また、立体造形物あるいは立体焼結物の空隙率を低減させることができるため、強度だけではなく、寸法精度も一層向上させることができる。さらに、立体造形用粉末材料の保存経時において、凝集などの不具合を防止でき、保存安定性を向上できる効果も得られ、立体造形用粉末材料の被覆樹脂として使用する上で大きなメリットを有している。
1,2−グリコール結合の変性度の測定は、NMRスペクトルの解析から求めることができる。その一例としては、測定しようとするビニルアルコールを、DMSO−d6 に溶解し、さらにトリフルオロ酢酸を数滴加えて調製したものを測定用試料とし、500MHzのプロトンNMRを用いて50℃で測定する。ビニルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2〜4.0ppm(積分値A)、1,2−グリコール結合の1つのメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B)に帰属され、次式から1,2−グリコール結合の変性度を算出できる。
1,2−グリコール結合の変性度(モル%)=(B/A)×100
1,2−グリコール結合の変性度の測定に関する具体的な方法は、特開2002−284818号公報、特開2004−75866号公報、国際公開番号WO2008/093615A1などを参考にして算出することができる。
側鎖に1,2−グリコール結合を有するこれらのポリビニルアルコールは、ニチゴーGポリマーシリーズ(日本合成化学工業製)としてラインアップされており、メーカー品として入手することも可能である。一例としては、AZF8035W、OKS−6026、OKS−1011、OKS−8049、OKS−1028、OKS−1027、OKS−1109、OKS−1081、OKS−1083、OKS−8041、OKS−8105、OKS−8089、OKS−8096、OKS−1080などが挙げられる。
本発明においては、1,2−グリコール結合の変性度が異なるポリビニルアルコールを混合して用いることも可能である。用いる造形液に対し、最適な変性度を有するポリビニルアルコールが入手できなかった場合、異なる変性度を有するポリビニルアルコールを混合して用いることで、最適化できる場合があり有効である。また、ポリビニルアルコールを混合して用いる場合、一方のポリビニルアルコールが1,2−グリコールの構造単位を有していれば、他方のポリビニルアルコールについては1,2−グリコールの構造単位を有していなくても効果を得ることが可能であり、本発明の範疇に含まれる。
一般に、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルモノマーを重合し、得られたポリ酢酸ビニルの酢酸基を水酸基にケン化することによって製造される。そのため、重合度及びケン化度は、ポリビニルアルコールの性質を決める重要な特性である。
ポリビニルアルコールの重合度は、前記重合工程において、酢酸ビニルの分子鎖長である。本発明に用いられるポリビニルアルコールの重合度には特に限定はなく、成形方法、使用目的等により適宜選択できる。重合度は、好ましくは300〜1700、より好ましくは400〜1200である。重合度が300以上であることにより、得られる立体造形物の強度向上の効果を十分に得ることができ、1700以下であることにより、コーティング液の増粘によるコーティング不良や粉末材料の凝集、さらに溶解性の低下による立体造形物の強度低下等を低減することが可能になる。なお、ポリビニルアルコールの重合度は、水溶液粘度測定法(JIS K 6726)を用いて測定することができる。例えば、ケン化されていない残存酢酸基を予め水酸化ナトリウムを用いて完全にケン化し、粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度から計算によって平均重合度を算出する。
また、本発明においては、重合度が異なるポリビニルアルコールを混合して用いることも可能である。例えば、基材にポリビニルアルコールをコーティングして、前記立体造形用粉末材料を製造する際に用いられる粉末材料用コーティング液に対し、最適な重合度を有するポリビニルアルコールが入手できなかった場合、異なる重合度を有するポリビニルアルコールを混合して用いることで、最適化できる場合があり有効である。
ポリビニルアルコールのケン化度は、ビニルエステル系モノマーのエステル部分、コモノマーのアシルオキシ部、カーボネート部、アセタール部等の総量に対する水酸基の変化率(モル%)で表される。本発明に用いられるポリビニルアルコールのケン化度は、特に制限されず、成形方法、使用目的、溶解性、耐湿性などに応じて適宜選択されるが、部分ケン化型よりも完全ケン化型の方がより好ましい。具体的には、80モル%以上が好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95%以上が特に好ましい。ケン化度が80モル%以上であると、得られる立体造形物の強度の低下、立体造形用粉末材料の凝集による寸法精度の低下、立体造形用粉末材料の保存性や基材へのポリビニルアルコールのコーティング性の低下を抑制することが可能になる。
なお、ポリビニルアルコールのケン化度は、滴定法(JIS K 6726)を用いて測定することができる。例えば、水酸化ナトリウムでポリビニルアルコールの残存酢酸基(モル%)を定量し、100から差し引くことにより、ケン化度(モル%)を求めることができる。
また、本発明においては、ケン化度が異なるポリビニルアルコールを混合して用いることも可能である。例えば、完全ケン化型を用いて、造形液に対する溶解性が低下した際には、ケン化度の異なるポリビニルアルコールを混合することで改善できる場合があり有効である。
基材に形成されたポリビニルアルコールの平均膜厚は、特に限定なく、成形方法、使用目的等により適宜選択できるが、好ましくは1nm〜1000nm、より好ましくは10〜500nm、更に好ましくは50〜400nm、特に好ましくは100〜300nmである。前記ポリビニルアルコールの平均膜厚が1nm以上であることにより、前記立体造形用粉末材料に造形液を供与することにより接着効果が得られ、立体造形物の複雑な形状が維持する上で高い効果を得ることができる。一方、前記平均膜厚が1000nm以下であることにより、凝集体の増加や収縮率の増大を低減でき、寸法精度の低下、コーティング性や粉末保存性の低下を防ぐことが可能になる。
前記平均膜厚の測定は、例えば、前記立体造形用粉末材料をアクリル樹脂等に包埋した後、エッチング等を行って前記基材の表面を露出させた後、走査型トンネル顕微鏡STM、原子間力顕微鏡AFM、走査型電子顕微鏡SEMなどを用いることにより、測定することができる。
前記基材に形成されるポリビニルアルコールの被覆率(面積率)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、15%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。皮膜率が低くても、基材表面にポリビニルアルコールが形成されていれば、本発明の効果を得ることは可能であるが、被覆率が高い方が立体造形物の強度が向上でき、かつ強度の異方性が低減できることから、より有効である。
前記被覆率は、例えば、前記立体造形用粉末材料の光学顕微鏡、マイクロスコープ、あるいはSEM等による観察写真から、前記立体造形用粉末材料の表面積に対する前記ポリビニルアルコールによる被覆された領域の面積を求め、それらの割合(%)の平均値から算出することができる。また、ポリビニルアルコールで被覆された部分をSEM−EDS等のエネルギー分散型X線分光法を用いた元素マッピングを行うことによっても測定することができる。
−その他の成分−
本発明の前記立体造形用粉末材料は、その他如何なる成分を加えることも可能であり、有効な場合がある。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フィラー、レベリング剤、焼結助剤などが挙げられる。前記フィラーは、主に立体造形用粉末材料の表面に付着させたり、粉末材料間の空隙に充填させたりするのに有効な材料である。効果としては、例えば、立体造形用粉末材料の流動性の向上や、粉末材料同士の接点が増え、空隙を低減できることから、立体造形物の強度や寸法精度を高める効果が得られる場合があり有効である。
前記レベリング剤は、主に立体造形用粉末材料の表面の濡れ性を制御するのに有効な材料である。効果としては、例えば、立体造形用粉末材料層への造形液の浸透性が高まり、立体造形物の強度アップやその速度を高めることができ、形状を安定に維持させる上で有効な場合がある。前記焼結助剤は、得られた立体造形物を焼結させる際、焼結効率を高める上で有効な材料である。効果としては、例えば、立体造形物の強度を向上でき、焼結温度を低温化できたり、焼結時間を短縮できたりする場合がある。
−立体造形用粉末材料の製造方法−
本発明の立体造形用粉末材料は、基材と樹脂として前記ポリビニルアルコールを含み、具体的には基材の表面に前記樹脂が被覆されてなる。基材への前記ポリビニルアルコールの被覆方法としては特に制限はなく、公知の被覆方法に従って被覆することが可能である。例えば、転動流動法、スプレー法、浸漬法、撹拌混合法、スプレードライ法、ニーダーコート法等が例示できる。これらの中でも、樹脂の被覆率が高く、膜厚の均一性に優れることから、転動流動法が好ましく用いられる。
転動流動法は、下から熱風を送り込み、粉末を空中に巻き上げて流動層を形成し、それにバインダー樹脂を含む液体を噴霧することによって粒子にコーティングする方法である。コーティングは、市販されている転動流動コーティング装置を用いて行うことができる。但し、前記バインダー樹脂として用いられる前記ポリビニルアルコールの熱融着性や溶解性が顕著に高い場合は、前記流動層が不安定になり、過度の凝集を引き起こし、最悪の場合コーティングを継続できなくなることもある。
本発明においては、1,2−グリコール結合の変性度が高くなると、その影響がやや増加する場合があり、その場合は温度を低めに設定するなど、コーティング条件が制約されることがある。1,2−グリコール結合の変性度が4モル%以下、特に3モル%以下では、これらの影響は殆ど認められず、非常に安定にコーティングすることが可能になる。
−立体造形用粉末材料−
上記のようにして得られた前記立体造形用粉末材料の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜500μmが好ましく、5.0〜150μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましい。
前記平均粒子径が0.5μm以上であることにより、立体造形物の層間剥離の影響を低減することができ、立体造形物の歩留りや製造効率の向上、あるいは粉末材料の取扱性やハンドリング性の向上に対しても有効である。
一方、前記平均粒子径が500μm以下であることにより、前記立体造形物の空隙の増加を防ぐことができ、立体造形物さらには立体焼結物の強度向上に有効である。
前記立体造形用粉末材料の粒度分布としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、粒度分布はよりシャープである方が好ましい。前記立体造形用粉末材料の平均粒子径は、公知の粒径測定装置を用いて測定することが可能であり、例えば、前述の粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIシリーズ(マイクロトラックベル製)などを用いて測定することができる。
前記立体造形用粉末材料の形状や円形度については、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができるが、形状は球形が、円形度が高い(1.0に近い)方がより好ましい。これにより、立体造形用粉末材料が最密充填され、得られる立体造形物並びに立体焼結物の空隙を低減することができ、強度アップに有効な場合がある。円形度の測定は、公知の円形度測定装置を用いて測定することが可能であり、一例としてはフロー式粒子像分析装置FPIA−3000(マルバーンインストゥルメンツ製)などが挙げられる。
また、前記立体造形用粉末材料の流動性については、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。立体造形用粉末材料の流動性は、従来公知の方法を用いて測定することが可能であり、例えば、安息角、圧縮度、流出速度、せん断セル試験といった方法が挙げられる。安息角は、一定の高さから粉体を落下させ、自発的に崩れることなく安定を保つ時の粉体の山の斜面と水平面との角度で表され、一般的に広く用いられている。一例としては、粉体特性測定装置(パウダテスタPT−N型、ホソカワミクロン製)などを用いて測定することができる。
本発明の立体造形用粉末材料の安息角としては、55°以下が好ましく、40°以下がより好ましく、35°以下が特に好ましい。前記安息角が、これを超えると前記立体造形用粉末材料の層を形成する際、層の表面の凹凸が大きくなったり、緩凝集体を形成しやすくなったりし、得られる立体造形物の寸法精度が低下する場合がある。前記安息角は、主に粒子径、粒子の形状、含水量、湿度などが影響することが知られている。本発明の前記立体造形用粉末材料は、粒子径や形状以外に、被覆したポリビニルアルコールの変性度にも影響され、1,2−グリコール結合の変性度が低い方が、立体造形用粉末材料の流動性が高くなる場合があり、有効である。
<立体造形材料セット>
本発明の立体造形材料セットは、前記立体造形用粉末材料と、造形液からなる。前記造形液は、前記立体造形用粉末材料に含有される前記ポリビニルアルコールを溶解あるいは膨潤させることが可能な液状の材料であれば、如何なる成分を含んでいても良い。
本発明は、例えば、前記立体造形用粉末材料の層を形成し、その上に前記造形液を供与し、前記造形液に含有される液体成分が、前記立体造形用粉末材料の表面に形成されたポリビニルアルコールを溶解あるいは膨潤させ、これにより隣接する前記立体造形用粉末材料同士が接着する。これらの操作を繰り返し、乾燥することにより、立体造形物を得ることができる。この時使用される、前記立体造形用粉末材料及び前記造形液を、本発明において立体造形材料セットと称する。また、本発明の立体造形材料セットは、例えば、単に前記立体造形用粉末材料と前記造形液を所望の比率で混合し、得られたスラリーを型に注入したり、立体的に形づくることによっても立体造形物を得ることができ、これらのスラリーも立体造形材料セットに含まれる。すなわち、本発明の立体造形材料セットは、立体造形物を製造する方法に限らず、前記立体造形用粉末材料と前記造形液との組み合わせがすべて含まれる。
<造形液>
本発明の前記立体造形セットに含まれる前記造形液は、前述の通り前記立体造形用粉末材料に含有される前記ポリビニルアルコールを溶解あるいは膨潤させることが可能な液体成分を含み、必要に応じてその他の成分を含んでいても良い。
−液体成分−
前記造形液は、常温において液状であることから液体成分が含まれる。前記液体成分としては、前記立体造形用粉末材料に含有される前記ポリビニルアルコールを溶解あるいは膨潤させることが可能であれば、如何なる液体を用いることもできるが、水や水溶性溶剤が好適に用いられ、特に水が主成分として用いられる。これにより、前記ポリビニルアルコールの溶解性が高まり、高強度の立体造形物を製造することが可能になる。造形液全体に占める水の割合は、40質量%以上85質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。水の割合がこれを下回ると、立体造形用粉末材料の前記ポリビニルアルコールの溶解性が低下し、立体造形物の強度が低下する場合がある。また、水の割合がこれを上回ると、待機時にインクジェットノズルが乾燥し、液詰まりやノズル抜けが発生する場合がある。
前記水溶性溶剤は、特にインクジェットノズルを用いて前記造形液を吐出させる際、水分保持力や吐出安定性を高める上で有効である。これらが低下すると、ノズルが乾燥して、吐出が不安定になったり、液詰まりが発生し、立体造形物の強度や寸法精度の低下を引き起こしたりする場合がある。これらの水溶性溶剤は、水よりも粘度や沸点が高いものが多く、これらは特に造形液の湿潤剤や乾燥防止剤、粘度調整剤としても機能させることができ、有効である。
前記水溶性溶剤としては、水溶性を示す液体材料であれば、如何なるものでも使用することが可能である。例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。具体的には、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを用いることができる。但し、これは一例であって、これらに限定されるものではない。
本発明の造形液全体に占める前記水溶性溶剤の割合は、5質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましく、15質量%〜40質量%がさらに好ましい。前記水溶性溶剤がこれよりも少ないと、造形液の水分保持力が低下し、待機時にインクジェットヘッドの乾燥が進み、吐出不良を引き起こす場合がある。また、事前に行うチェック時と実際の吐出時の吐出量が異なり、所望の強度や形状を有する立体造形物の製造に支障を来す場合がある。一方、水溶性溶剤がこれよりも多いと、造形液の粘度が高くなり、吐出安定性が低下したり、立体造形用粉末材料に含有されるポリビニルアルコールの溶解性が低下し、得られる立体造形物の強度が低下する場合がある。また、立体造形物の乾燥に時間がかかり、製造効率の低下や立体造形物の変形を招く場合がある。
−その他の成分−
本発明の造形液は、その他の成分として、例えば、湿潤剤、乾燥防止剤、粘度調整剤、界面活性剤、浸透剤、架橋剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、着色剤、保存剤、安定化剤など、従来公知の材料を制限なく添加することができる。
前記界面活性剤は、主に前記造形液の前記立体造形用粉末材料への濡れ性や浸透性、表面張力を制御する目的で使用される。本発明において用いられる界面活性剤は、従来公知の材料を使用することが可能であるが、特に下記のものが好適に使用される。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
具体例としては、以下に挙げるものが好適に使用されるが、これらに限定されるわけではない。例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成(株)などの界面活性剤メーカーより入手することができる。
また、アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーおよびこの硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルが挙げられる。
このようなフッ素系界面活性剤として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム社製)、FT−110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN N、FSN−100、FS−300、FSK(Dupont社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などがあり、メーカーより入手することができる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では造形液の中で容易に溶解しない場合であっても、混合することで可溶化され、安定した液体材料が得られる場合がある。
前記造形液に対する界面活性剤の含有量は、界面活性剤総量として、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜3質量%がさらに好ましい。界面活性剤の総量がこれよりも少ないと、造形液の立体造形用粉末材料への浸透性が低下し、立体造形物の強度が低下する場合がある。一方、界面活性剤の総量がこれよりも多いと造形液の浸透性を適切に制御できなくなり、造形液が所望の領域を超えて染みわたり、得られる立体造形物の寸法精度が低下する場合がある。
前記架橋剤は、前記立体造形用粉末材料の表面にコーティングした樹脂と架橋させることで、得られる立体造形物の強度をより一層高めることが可能になるため有効である。架橋剤としては、前記ポリビニルアルコールと架橋するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、金属塩、金属錯体、有機ジルコニウム系化合物や有機チタン系化合物などの多価金属化合物、水溶性有機架橋剤、キレート剤、ブロックイソシアネート、メラミン化合物などが挙げられる。
金属塩としては、2価以上の陽イオン金属を水中で電離するものが好適に用いられ、具体例としては、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(4価)、水酸化アルミニウム(3価)、水酸化マグネシウム(2価)、チタンラクテートアンモニウム塩(4価)、塩基性酢酸アルミニウム(3価)、炭酸酸化ジルコニウムアンモニウム塩(4価)、チタントリエタノールアミネート(4価)、などが好適に用いられる。
有機ジルコニウム系化合物や有機チタン系化合物としては、主にアルコキシド、キレート、アシレートなどが好適に用いられ、前者としては、例えば、酸塩化ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、乳酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニウム、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩などが、有機チタン系化合物としては、例えば、チタンアシレート、チタンアルコキシド、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタントリエタノールアミネートなどが挙げられる。また、水溶性有機架橋剤としては、例えば、カルボジイミド基含有化合物、ビスビニルスルホン酸化合物などが、メラミン化合物としては、例えば、メチロール化メラミンなどが挙げられる。なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記陽イオン金属の配位子としては、特に制限はなく、従来公知のものを使用することが可能であるが、本発明においては、前造形液の吐出安定性や経時保存性に優れることから乳酸イオンが好ましく用いられる。前記陽イオン金属の配位子が炭酸イオンの架橋剤、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウムは、水溶液中で自己重合反応を生じるため、架橋剤の性質が変化しやすい。したがって、前記造形液の吐出安定性の観点では、前記陽イオンの配位子が乳酸イオンの架橋剤を用いる方が好ましい。また、グルコン酸やトリエタノールアミン等のキレート剤を添加することにより、炭酸ジルコニウムアンモニウムの水溶液中での自己重合反応を抑制することができ、前記造形液の吐出安定性を向上させることができる。
これらは市販品を使用することができ、該市販品としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム八水和物(第一稀元素化学工業株式会社製、酸塩化ジルコニウム)、水酸化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、水酸化マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)、チタンラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスTC−300、TC−310)、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスZC−300)、塩基性酢酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製)、ビスビニルスルホン化合物(富士ファインケミカル株式会社製、VS−B(K−FJC))、炭酸酸化ジルコニウムアンモニウム塩(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールAC−7、AC−20)、チタントリエタノールアミネート(マツモトファインケミカル株式会社製、オルガチックスTC−400)、オキシ塩化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールZC−20)、オキシ硝酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、ジルコゾールZN)、グリオキシル酸塩(Safelink SPM−01、日本合成化学工業株式会社製)、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学株式会社製)などが挙げられる。特に、金属の価数が2以上の金属塩は、架橋強度を向上させることができ、得られる立体造形物の強度を高める上で好ましい。
前記造形液における前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記立体造形用粉末材料に含有される前記ポリビニルアルコールに対する前記架橋剤の好ましい添加量は、0.1質量%〜50質量%、より好ましくは0.5質量%〜30質量%、さらに好ましくは1質量%〜10質量%である。前記架橋剤の含有量がこれより少ないと、立体造形物の強度が不足する場合がある。一方、架橋剤の含有量がこれより多いと、造形液が増粘したり、あるいはゲル化したりし、液保存性や粘度安定性が低下する場合がある。
前記消泡剤は、前記造形液の泡立ちを防止することを主目的として使用される。消泡剤としては、一般的に利用されている消泡剤を使用することが可能である。例えば、シリコーン消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤などが挙げられ、1種と併用しても、2種以上と併用してもよい。前記消泡剤としては、市販品を使用してもよく、例えば信越化学工業(株)製のシリコーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM85等)、東レ・ダウ・コーニング(株)製のシリコーン消泡剤(Q2−3183A、SH5510等)、日本ユニカー(株)製のシリコーン消泡剤(SAG30等)、旭電化工業(株)製の消泡剤(アデカネートシリーズ等)、などが挙げられる。
消泡剤の造形液に対する好ましい含有量としては、3質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。消泡剤の添加量がこれより多いと、溶解性が低下し、分離析出する場合がある。
pH調整剤は、前記造形液を所望のpHに調整することを主目的として使用される。pH調整剤としては、前記造形液のpHを制御できるものであれば、如何なる材料をも使用することができる。
本発明においては、立体造形物製造装置の造形液供給手段にインクジェット方式を用いる場合、ノズルヘッド部分の腐食や目詰り防止の観点から、pH5(弱酸性)〜12(塩基性)が好ましく、pH8〜10(弱塩基性)がより好ましい。前記pH調整剤の添加により、前記造形液のpHを任意に調整することができる。なお、前記架橋剤の中には、pH調整剤としても機能し得るものもある。
pH調整剤の一例としては、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。また、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸および硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウなどの一価の弱カチオンと形成する塩、酢酸、蓚酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アルギニン酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、カルボラン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体などの有機酸が挙げられる。これらのpH調整剤は、上記の化合物に限定されるものではない。
これらは前記造形液のpH変動に応じた特性に合わせて、最適の一時解離定数pKaのものを適時利用し、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても、Buffer剤を併用しても構わない。
防腐防黴剤は、造形液の防腐防黴を主目的として使用される。造形液を保存しておくと、微生物が増殖し、pHの低下や成分の沈降などが発生する場合があり、防腐防黴剤はそれを防止することが可能である。防腐防黴剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビタン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、チアベンダゾール、ベンズイミダゾール、2−ピリジンチオール1−オキサイドナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
−造形液の調製方法−
前記造形液の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記水や水溶性溶剤などの液体成分に必要に応じて前記その他の成分を添加し、混合撹拌する方法が挙げられる。
<立体造形物の製造方法>
本発明の立体造形物の製造方法は、従来公知の方法を用いることが可能であるが、例えば以下の方法を用いることが好ましい。すなわち、前記立体造形用粉末材料層形成工程により、前記立体造形用粉末材料の層を形成し、その層に前記造形液供給工程により、前記造形液を供給し、これらの工程を繰り返し、更に必要に応じて乾燥工程により乾燥することによって立体造形物を製造する製造方法である。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の前記立体造形材料セットを用いて立体造形物を製造することができれば、如何なる方法を用いて製造することも可能であり、従来公知の方法も有効に使用することができる。
図1に、本発明の立体造形材料セットを用いて、立体造形物を製造するためのプロセス概略図の一例を示す。図1に示される立体造形物製造装置は、造形用粉末貯蔵槽1と供給用粉末貯蔵槽2とを有し、これらの粉末貯蔵槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ3上に本発明の立体造形用粉末材料を載置し、前記立体造形用粉末材料からなる層を形成する。造形用粉末貯蔵槽1の上には、前記粉末貯蔵槽内の立体造形用粉末材料に向けて造形液6を吐出する造形液供給手段5を有し、更に、供給用粉末貯蔵槽2から造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料を供給すると共に、造形用粉末貯蔵槽1の立体造形用粉末材料(層)表面を均すことが可能な立体造形用粉末材料層形成手段4(以下、リコーターとも称する)を有する。
図1(a)及び(b)は、供給用粉末貯蔵槽2から造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料を供給するとともに、平滑な表面を有する立体造形用粉末材料層を形成する工程を示す。造形用粉末貯蔵槽1及び供給用粉末貯蔵槽2の各ステージ3を制御し、所望の層厚になるようにギャップを調整し、前記立体造形用粉末材料層形成手段4を供給用粉末貯蔵槽2から造形用粉末貯蔵槽1に移動させることにより、造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料層が形成される。
図1(c)は、造形用粉末貯蔵槽1の立体造形用粉末材料層上に前記造形液供給手段5を用いて、造形液6を滴下する工程を示す。この時、立体造形用粉末材料層上に造形液6を滴下する位置は、立体造形物を幾層もの平面にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
図1(d)及び(e)は、供給用粉末貯蔵槽2のステージ3を上昇させ、造形用粉末貯蔵槽1のステージ3を降下させ、所望の層厚になるようにギャップを制御し、再び前記立体造形用粉末材料層形成手段4を供給用粉末貯蔵槽2から造形用粉末貯蔵槽1に移動させることにより、造形用粉末貯蔵槽1に新たに立体造形用粉末材料層が形成される。
図1(f)は、再び造形用粉末貯蔵槽1の立体造形用粉末材料層上に前記造形液供給手段5を用いて、造形液6を滴下する工程である。
これらの一連の工程を繰り返し、必要に応じて乾燥させ、造形液が付着していない立体造形用粉末材料を除去することによって、立体造形物を得ることができる。
図2は、本発明の立体造形物製造装置の他の一例を示す。図2の立体造形物製造装置は、原理的には図1と同じものであるが、立体造形用粉末材料の供給機構が異なる。
図2(a)及び(b)は、供給用粉末貯蔵槽2から造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料を供給するとともに、平滑な表面を有する立体造形用粉末材料層を形成する工程を示す。造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料が供給された後、所望の層厚になるようにギャップを調整し、立体造形用粉末材料層形成手段4を移動させることにより、造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料層が形成される。
図2(c)は、造形用粉末貯蔵槽1の立体造形用粉末材料層上に前記造形液供給手段5を用いて、造形液6を滴下する工程を示す。この時、立体造形用粉末材料層上に造形液46を滴下する位置は、立体造形物を幾層もの平面にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
図2(d)及び(e)は、造形用粉末貯蔵槽1のステージ3を降下させ、再び供給用粉末貯蔵槽2より造形用粉末貯蔵槽1に立体造形用粉末材料を供給し、所望の層厚になるようにギャップを制御し、再び前記立体造形用粉末材料層形成手段4を移動させることにより、造形用粉末貯蔵槽1に新たに立体造形用粉末材料層が形成される。
図2(f)は、再び造形用粉末貯蔵槽1の立体造形用粉末材料層上に前記造形液供給手段5を用いて、造形液6を滴下する工程である。
これらの一連の工程を繰り返し、必要に応じて乾燥させ、造形液が付着していない立体造形用粉末材料を除去することによって、立体造形物を得ることができる。図2に示す構成の立体造形物製造装置は、よりコンパクトにできるメリットを有する。なお、これらは立体造形物を製造するプロセスを示す一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
<立体造形物の製造装置>
本発明の立体造形物の製造装置は、従来公知の装置を用いることが可能であるが、例えば以下の装置を用いることが好ましい。すなわち、前記立体造形用粉末材料の層を形成する粉末材料層形成手段と、前記立体造形用粉末材料の層に前記造形液を供給する液体材料供給手段とを有し、更に必要に応じて粉末材料収容部、液体材料収容部、乾燥手段等を有していてもよい。
−立体造形用粉末材料層形成手段−
前記立体造形用粉末材料層形成手段は、支持体上、あるいは立体造形用粉末材料の上に、前記立体造形用粉末材料を用いて所定の厚みの立体造形用粉末材料層を形成する手段である。
前記支持体は、立体造形用粉末材料を載置させるベースプレートであり、従来公知のものを使用することができる。前記支持体の表面は、平滑であってもよいし、粗面であってもよく、また平面であってもよいし、曲面であってもよいが、表面の離形性に優れる方が好ましい。
前記立体造形用粉末材料を前記支持体上に載置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。従来公知の方法も使用することができ、例えば、特許第3607300号公報に記載されているカウンタ回転機構(カウンターローラー)を用いる方法や、前記立体造形用粉末材料をブラシやローラ、あるいはブレード等の部材を用いて層を形成する方法、前記立体造形用粉末材料の表面を押圧部材を用いて押圧して層を形成する方法などが好適に用いられる。
上記の方法によって形成される前記立体造形用粉末材料の層は、表面が平滑でかつ高密度に充填されることが好ましい。これにより、層間剥離を低減でき、得られる立体造形物の強度や寸法精度を向上させることができる場合がある。そのような観点から見ると、上記の粉末材料層形成手段の中でも、ローラやブレードが好ましく用いられる。
前記立体造形用粉末材料層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、20〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。前記立体造形用粉末材料層の厚みがこれより薄いと、造形液が所望の領域を超えて染みわたり、寸法精度が低下することがある。また、多くの造形時間が必要になり、立体造形物の製造効率が低下する。
一方、前記立体造形用粉末材料層の厚みがこれより厚いと、得られる立体造形物の層間剥離が増加し、寸法精度や強度が低下することがある。これは、立体造形物を焼結することによって得られる立体焼結物の空隙を増加させ、強度低下を引き起こすことに繋がる。なお、前記立体造形用粉末材料層の平均厚みは、公知の方法に従って測定することができ、例えば立体造形物の断面を走査型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡等を用いて観察する方法が挙げられる。
−造形液供給手段−
前記造形液供給手段は、前記立体造形用粉末材料層に、前記造形液を供給する工程である。
前記造形液の前記立体造形用粉末材料への供給手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、従来公知の方法も有効に使用することができる。例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
前記ディスペンサ方式は、液体を精度よく定量供給することが可能な装置の総称である。液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭く、立体造形物のサイズが制約される場合がある。前記スプレー方式は、圧縮した空気や高圧ガス等を用いて液体を微小液滴化して噴霧する装置を言う。塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が低く、スプレー流による粉末の飛散が発生するため、得られる立体造形物の寸法精度が低下する場合がある。前記インクジェット方式は、圧電素子やヒーターを用いて非常に微細な液滴を吐出することが可能な装置である。微量な液滴を吐出でき、しかもその定量性が高く、複雑な立体形状を有する立体造形物を高精度にかつ高効率に製造することが可能である。以上のことから、本発明における造形液供給手段としては、インクジェット方式が特に好ましく用いられる。
本発明においては、バインダー樹脂が立体造形用粉末材料に被覆されているため、造形液に必ずしも含有させる必要はない。そのため、造形液は粘度を低く保つことができ、乾燥して皮膜化することによるノズル詰まりの発生を抑制することが可能であるため、インクジェットヘッドを有効に使用することができる。また、前記立体造形用粉末材料層に吐出された際、造形液が効率よく浸透可能であるため、立体造形物の製造効率に優れ、強度や寸法精度の高い立体造形物を製造する上で有利である。
−その他の手段−
その他の手段としては、必要に応じて例えば粉末材料収容部、液体材料収容部、乾燥手段等を有していてもよい。
前記粉末材料収容部は、前記立体造形用粉末材料を収容することが可能な部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、貯蔵槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
前記液体材料収容部は、前記造形液を収容することが可能な部材であり、その大きさ、形状、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、貯蔵槽、袋、カートリッジ、タンクなどが挙げられる。
前記乾燥手段は、立体造形物に含まれる造形液を蒸発させ、立体造形物を乾燥させる手段であり、立体造形物の製造装置に一体化されていても良いし、別体としても良い。また、立体造形用粉末材料層をすべて積層させてから乾燥しても良いし、一層毎積層させる過程でその都度乾燥させても良い。乾燥手段を設けることにより、早期に立体造形物の強度を高めることができるため、立体造形物が型崩れしたり、変形したりするリスクを低減することができる。また、造形液に架橋剤を含有させる場合には、乾燥手段を設けることにより、立体造形物の強度を早期に高めることが可能になる場合があり、有効である。一方、乾燥を過剰に行うと、造形液が付着していない立体造形用粉末材料までもが熱融着し、立体造形物の寸法精度が低下する場合がある。
−立体造形物の製造装置−
本発明の立体造形物製造装置は、供給用粉末貯蔵槽(以下供給槽とも称する)及び造形用粉末貯蔵槽(以下造形槽とも称する)と、ローラと粉末除去板からなる立体造形用粉末材料層形成手段と、ヘッド及びヘッドクリーニング機構からなる造形液供給手段を備えている。その他、粉末材料収容部等を備える。
粉末貯蔵槽は、供給用・造形用を備えたタンク状または箱型を成しており、その底面部のステージが鉛直方向に昇降自在となっている。また、供給槽と造形槽は隣接して設けられており、造形槽のステージ上で立体造形物が形成される。
供給槽のステージを上げ、充填されている粉末材料を、平坦化ローラからなる立体造形用粉末材料層形成手段を利用して供給槽のステージ上に粉末材料を供給する。立体造形用粉末材料層形成手段は、供給槽と造形槽のステージ上に積載された粉末材料の上面を平坦化し、粉末材料層を形成する。
ヘッドを用いた造形液供給手段を利用して、ステージ上に形成された立体造形用粉末材料層に造形液を吐出する。ヘッドクリーニング機構は、ヘッドに密着して造形液を吸引し、吐出口をワイプする。
以下、各構成について説明する。
図3に粉末貯蔵槽の概略図を示す。粉末貯蔵槽10は、箱型形状を成し、供給槽2と造形槽1の2つの上面が開放された槽を備えている。供給槽2と造形槽1のそれぞれの内側には、ステージが昇降可能に保持される。ステージの側面はそれぞれの槽の枠に接するようにして配置され、ステージの上面は水平に保たれている。これらの粉末貯蔵槽の周りには上面が開放された凹形状である粉末落下口7が設けられている。粉末落下口7には、粉末層を形成する際に平坦化ローラによって集積された余剰粉末が落下する。粉末落下口7に落下した余剰粉末は、必要に応じて作業者もしくは吸引機構などによって、造形槽1の上方に位置する粉末供給部内に戻される。
粉末材料収容部は、タンク状を成しており、供給槽2の上方に配置されている。造形の初期動作時や供給槽の粉末量が減少した場合、タンク内の粉末を供給槽に供給する。粉末供給のための粉末搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。
平坦化ローラは、粉末を供給槽2から造形槽1へと搬送させ、所定の厚み(例えば厚さ(Δt1−Δt2))の粉末層を形成する機能を有している。平坦化ローラは、図示するように、造形槽1及び供給槽2の内寸(即ち、「粉末が供される部分又は仕込まれている部分」の幅)よりも長い棒材であり、両端が往復動装置に支持されている。平坦化ローラは、回転しながら供給槽2の外側から供給槽2及び造形槽1の上方を通過するようにして水平移動し、これにより粉末を造形槽1上へと供給できる。具体的には、供給槽2のステージを上昇、造形槽1のステージを下降させる。この際、造形槽1の最上粉末材料層と平坦化ローラの下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるようにステージの下降距離を設定することが好ましい。
本実施形態では、Δt1が50〜300μm程度であることが好ましく、例えば約150μmである。次いで、供給槽2の上面レベルよりも上方に位置する粉末を、平坦化ローラを回転・移動することで造形槽1へと供給し、造形槽1のステージ上に所定の厚さΔt1の粉末層を形成する。ここで、平坦化ローラは、造形槽1及び供給槽2の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。 一定に保って移動できる結果、平坦化ローラで粉末を造形槽1の上へと搬送させつつ、造形槽1上、又は既に形成された造形層の上に均一厚さの粉末層を形成できる。
平坦化ローラは、粉末材料の搬送のためには、水平移動する方向に対してカウンタ方向(逆回転)に回転することが望ましいが、粉末材料の密度向上のためにカウンタ方向とは反対方向(順回転)に回転することも可能である。また、一度ローラを逆回転しながら水平移動した後、造形槽1のステージをΔt2上昇させ、ローラを順回転しながら水平移動することで、粉末の搬送と密度向上効果を得ることもできる。本実施形態では、Δt2が50〜100μm程度であることが好ましく、例えば約50μmである。この(Δt1−Δt2)が造形層の厚み、つまり積層ピッチに相当する。
また、平坦化ローラには付着した粉末を除去するための粉末除去板を設けることが好ましい。粉末除去板は、平坦化した領域にローラに付着した粉末の飛散を防止するために、粉末未平坦化領域でかつ、ローラ回転中心以下の位置でローラに接するように設けるのが望ましい。なお、平坦化部材はローラだけではなく、角材のブレードでも可能である。粉末材料の特性(例えば粒子の凝縮度合いや流動性など)や、粉末材料の保存状態(例えば高湿度環境での保存)に応じて、平坦化部材の選定や駆動条件を変更できる。また、高密度化条件も同様に駆動条件を変更できる。
ヘッドは、シアンヘッド、マゼンタヘッド、イエローヘッド、ブラックヘッド、およびクリアヘッドを備えている。立体造形物製造装置の内部には、シアン造形液体材料、マゼンタ造形液体材料、イエロー造形液体材料、ブラック造形液体材料、およびクリア造形液体材料の各々を収容した複数のタンクが装着されている。ヘッドが備える各色のヘッドの各々は、可撓性を有するチューブ(図示せず)によって、対応する色の液体材料を収容したタンクに接続されている。ヘッドは制御によって、各色の液体材料を粉末材料層に吐出する。なお、ヘッド数や吐出する液体材料の種類は変更できる。 例えば、造形物に色づけが不要である場合は、クリアヘッドのみをセットし、クリア造形液体材料のみを吐出してもよい。
ヘッドは、ガイドレールを利用してY軸、Z軸方向に移動することができる。そして、平坦化ローラによって供給槽・造形槽の表面を平坦化、高密度化している場合、ヘッドは干渉しない位置に退避することができる。ヘッドによって吐出された液体材料が粉末材料と混合されると、粉末材料に含まれる樹脂が溶解し、隣接する粉末材料同士が結合する。その結果、厚さ(Δt1−Δt2)の造形層が形成される。
次いで、上述した粉末供給・平坦化工程、高密度化工程、ヘッドによる液体材料吐出工程を繰り返して新たな造形層を形成する。この際、新たな造形層とその下層の造形層とは一体化して立体造形物の一部を構成する。以後、粉末材料の供給・平坦化工程、高密度化工程、ヘッドによる液体材料吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、立体造形物を完成させる。
ヘッドクリーニング機構は、主にキャップとワイパーブレードで構成されている。キャップをヘッド下方のノズル面に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。ノズルに詰まった粉末材料の排出や高粘度化した液体材料を排出するためである。その後、ノズルのメニスカス形成(ノズル内は負圧状態である)のため、ノズル面をワイプ(拭き取り)する。また、ヘッドクリーニング機構は、液体材料の吐出が行われない場合にヘッドのノズル面を覆い、粉末材料がノズルに混入することや液体材料が乾燥することを防止する。
なお、使用する粉末材料の材質や粒径、要求される精度に応じて、粉末材料層の厚みや平坦化手段の駆動条件や、高密度化駆動条件は適宜変更してよい。
<立体造形物の脱脂及び焼結>
得られた立体造形物は、必要に応じて脱脂、並びに焼結される。
脱脂とは、樹脂分を除去する処理のことを示す。脱脂処理において、樹脂分を十分に除去しておかなければ、その後の焼結処理において、立体焼結物に変形や亀裂が生じる場合がある。脱脂する方法としては、昇華法、溶剤抽出法、自然乾燥法、加熱法などが挙げられるが、中でも加熱法が好ましい。
前記加熱法は、得られた立体造形物を脱脂が可能な温度で熱処理する方法である。大気雰囲気で行うほか、必要に応じて、真空または減圧雰囲気、非酸化性雰囲気、加圧雰囲気、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス雰囲気で熱処理する方法も用いられる。脱脂処理の温度や時間は、基材や樹脂によって適宜設定することが可能であるが、本発明の立体造形用粉末材料は、樹脂に前記ポリビニルアルコールを使用しているため、比較的脱脂処理温度が低く、時間を短縮することが可能であり、立体焼結物の製造効率が高まる点で有効である。
また、このような熱処理による脱脂は、複数の工程に分けて行うことも可能であり、有効である。例えば、前半と後半で熱処理温度を変えたり、低温と高温を繰り返し行ったりすることも可能である。なお、樹脂は脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
一方、焼結とは、粉末を高温で固結する方法を言う。前述の脱脂処理によって得られた脱脂物を焼結炉で焼結させることにより、立体焼結物を得ることができる。焼結することにより、立体造形用粉末材料の基材は拡散並びに粒成長し、全体として緻密で空隙の少ない高強度の立体焼結物を得ることができる。
焼結時の温度や時間、雰囲気、昇温速度などの条件は、基材の組成や立体造形物の脱脂状態、サイズや形状等により適宜設定される。但し、焼結温度が低すぎると、焼結が十分に進行せず、立体焼結物の強度や密度が低下する場合がある。一方、焼結温度が高すぎると、立体焼結物の寸法精度が低下する場合がある。焼結雰囲気は、特に限定されないが、大気雰囲気の他、真空または減圧雰囲気、非酸化性雰囲気、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気で行うことも可能である。また、焼結は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼結条件の異なる1次焼結と2次焼結とを行ったり、1次焼結と2次焼結の焼結温度や時間、焼結雰囲気を変更したりすることも可能である。
以上のようにして得られる立体焼結物の密度は、用途等によって異なるが、例えば、90%以上、好ましくは94%以上であることが立体焼結物の強度面から好ましい。本発明の立体造形用粉末材料は、基材に樹脂を含有させているため、樹脂量が少なく、脱脂及び焼結の前後における造形物の変形や収縮等が生じにくく、緻密で高強度の立体焼結物を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<立体造形用粉末材料1の作製>
−樹脂水溶液1の作製−
水100質量部に、撹拌しながら1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1028、重合度600、ケン化度98〜99モル%)5質量部を混合し、ウォーターバス中で80℃に加熱しながら撹拌し、[樹脂水溶液1]を得た。
−ポリビニルアルコールの変性度の測定−
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、特許文献6(国際公開番号WO2008/093615A1)を参考にして、以下の方法によって測定を行った。
ポリビニルアルコール50mgを0.6mlのDMSO−d6に溶解し、H−NMR(ECX−500、日本電子製)によって測定した。一試料につき、3回秤量し、それぞれについて5回(全部で15回)測定を行い、その平均値を採用した。また、測定温度は50℃及び80℃でそれぞれ測定した。
なお、特許文献6においては、1,2−グリコールを示すピークは、A(4.2〜4.3ppm)、B(3.4〜3.6ppm)、C(1.7〜1.9ppm)であり、主鎖に直接結合する水酸基を示すピークは、a1(4.6ppm)、a2(4.4ppm)、a3(4.2ppm)であり、主鎖のメチレンを示すピークは、b1(1.0〜1.7ppm)であり、変性度は特許文献6の段落[0050]に記載の式1〜式3よりα、β、γを求め、更にその平均値を採用している。しかし、測定した結果、Bは定量性に良好であったが、Aは水酸基のピークに隠れ、定量化が困難であり、Cは部分ケン化型と完全ケン化型で大きく変化し、1.9〜2.0ppmの残存アセテートに大きく影響されている可能性が示唆された。以上のことから、本発明における1,2−グリコール結合の変性度は、下記式(1)(特許文献6に記載の[式2])を用いたβを採用した。
上記方法により前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度を測定した結果、50℃では2.5モル%、80℃では2.4モル%で、これらの平均値は2.5モル%であった。
−立体造形用粉末材料1の作製−
基材として、ステンレス鋼(SUS316L)粉末(PSS316L、体積平均粒径43μm、山陽特殊製鋼株式会社製)、コーティング液として[樹脂水溶液1]を用い、転動流動コーティング装置(MP−01、パウレック製)により、下記条件下で基材に樹脂コーティングを行い、[立体造形用粉末材料1]を作製した。[立体造形用粉末材料1]の樹脂付着量は、1.0質量%狙いとした。樹脂付着量の測定は、熱重量分析装置(TGA−50、島津製作所製)を用い、400℃まで昇温し、重量減少率により求めた。得られた立体造形用粉末材料1の体積平均粒径は、粒度分布測定装置(マイクロトラックMT3000II、マイクロトラック・ベル製)を用いて測定したところ、45μmであった。
(コーティング条件)
・基材粒子投入量:1000g
・スプレー条件
ノズル型式 : 970
ノズル口径 : 1.2mm
コート液吐出圧力 : 4.7Pa・s
コート液吐出速度 : 3g/min
アトマイズ空気量 : 50NL/min、
・ローター条件
ローター型式 : M−1
回転速度 : 60rpm
回転数 : 400%、
・気流条件
給気温度 : 75℃
給気風量 : 0.8m/min
バグフィルター払落し圧 : 0.2MPa
バグフィルター払落し時間 : 0.3秒間
バグフィルターインターバル: 5秒
<造形液1の作製>
水60質量部と、湿潤剤として1,2−ブタンジオール(東京化成工業製)40質量部を混合撹拌し、[造形液1]を作製した。
<立体造形物1の作製>
立体造形用粉末材料層形成手段にカウンターローラーを用い、造形液供給手段にインクジェットヘッドを用いた図1に示される立体造形物製造装置により、以下の方法に従って[立体造形物1]を作製した。前記立体造形物製造装置の粉末材料収容部に、前記[立体造形用粉末材料1]を、同様の液体材料収容部に前記[造形液1]を入れ、3Dデータを入力し、図1に示すプロセスを繰り返して、短冊形状を有する[立体造形物1]を作製した。なお、立体造形用粉末材料層の一層の平均厚みは、約100μmになるように調整し、合計30層積層した。
次いで、約2時間風乾した後、乾燥器に入れ、70℃で3時間乾燥を行った。その後、造形液が付着していない立体造形用粉末材料を刷毛等で取り除き、再び乾燥器に入れ、100℃で12時間乾燥を行い、そのまま室温まで放冷し、[立体造形物1]を作製した。
<立体造形物1の曲げ応力試験>
得られた[立体造形物1]は、精密万能試験機(オートグラフAGS−J、島津製作所製)を用いて曲げ応力試験を行った。測定には、3点曲げ試験治具及び1kN用ロードセルを用い、支点間距離を24mmに設定し、破断した時の応力を最大応力とした。得られた測定結果は、下記基準によって分類した。結果を表1に示す。
−評価基準−
◎:9.0MPa以上
○:6.0MPa以上9.0MPa未満
△:3.0MPa以上6.0MPa未満
×:3.0MPa未満
<立体造形物1の寸法精度評価>
得られた[立体造形物1]は、目視観察により寸法精度を評価した。その結果を下記基準によって分類した。結果を表1に示す。
−評価基準−
◎:立体造形物の表面が滑らかで凹凸が少なく、反りも生じていないレベル
○:立体造形物の表面に若干凹凸が見られ、僅かな反りが観察されるレベル
△:立体造形物の表面に明らかな凹凸や反りが認められるレベル
×:立体造形物の表面が丸みを帯び、狙いの形状とは大きく異なるレベル
<立体造形物1の層間剥離評価>
前記曲げ応力試験を実施済みの[立体造形物1]の破断面について、走査型電子顕微鏡及びレーザー顕微鏡を用いて観察を行い、層間剥離について評価を行った。その結果を下記基準によって分類した。結果を表1に示す。
◎:粉末層間に空隙が殆どなく、層間剥離が認められないレベル
○:粉末層間に僅かに空隙が見られるが、層としては強固に接着されているレベル
△:粉末層間に層状の空隙が見られ、所々が接着しているレベル
×:顕微鏡ではなく、目視でも明らかに層状に剥離している様子が観察されるレベル
<立体造形物1の脱脂及び焼結>
得られた[立体造形物1]を乾燥機に入れ、窒素雰囲気下、400℃まで昇温させて脱脂工程を行った。得られた脱脂物を、焼結炉内に移し、真空条件下1300℃で焼結処理を行い、[立体焼結物1]を作製した。
[実施例2]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料2]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料2]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物2]を作製した。得られた[立体造形物2]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1080、重合度600、ケン化度98〜99モル%):5質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では3.9モル%、80℃では3.7モル%で、これらの平均値は3.8モル%であった。
[実施例3]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料3]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料3]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物3]を作製した。得られた[立体造形物3]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−8049、重合度450、ケン化度98〜99モル%):7質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では3.7モル%、80℃では3.6モル%で、これらの平均値は3.7モル%であった。
[実施例4]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料4]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料4]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物4]を作製した。得られた[立体造形物4]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1027、重合度1200、ケン化度98〜99モル%):2.5質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では2.1モル%、80℃では2.0モル%で、これらの平均値は2.1モル%であった。
[実施例5]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料5]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料5]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物5]を作製した。得られた[立体造形物5]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1109、重合度1200、ケン化度98〜99モル%):2.5質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では3.4モル%、80℃では3.3モル%で、これらの平均値は3.4モル%であった。
[実施例6]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料6]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料6]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物6]を作製した。得られた[立体造形物6]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−8039、重合度600、ケン化度98〜99モル%):5質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では4.7モル%、80℃では4.6モル%で、これらの平均値は4.7モル%であった。
[実施例7]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料7]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料7]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物7]を作製した。得られた[立体造形物7]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−8089、重合度600、ケン化度88モル%):5質量部
前記ポリビニルアルコールの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では4.5モル%、80℃では4.5モル%で、これらの平均値は4.5モル%であった。
[実施例8]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のポリビニルアルコールAとBの混合物に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料8]を作製した。
得られた[立体造形用粉末材料8]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物8]を作製した。得られた[立体造形物8]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
A:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1027、重合度1200、ケン化度98〜99モル%):1質量部
B:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1028、重合度600、ケン化度98〜99モル%):3質量部
前記ポリビニルアルコールA及びBの変性度の平均値は、各々の平均値を混合比で換算すると2.4であった。
[実施例9]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のポリビニルアルコールAとBの混合物に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料9]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料9]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物9]を作製した。得られた[立体造形物9]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
A:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1027、重合度1200、ケン化度98〜99モル%):1質量部
B:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−8041、重合度300、ケン化度89モル%):6質量部
前記ポリビニルアルコールBの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では3.4モル%、80℃では3.2モル%で、これらの平均値は3.3モル%であった。また、前記ポリビニルアルコールA及びBの変性度の平均値は、各々の平均値を混合比で換算すると3.1であった。
[実施例10]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のポリビニルアルコールAとBの混合物に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料10]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料10]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物10]を作製した。得られた[立体造形物10]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
A:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーOKS−1080、重合度600、ケン化度98〜99モル%):2質量部
B:1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ニチゴーGポリマーAZF−8035W、重合度300、ケン化度98〜99モル%):6質量部
前記ポリビニルアルコールBの1,2−グリコールの変性度は、実施例1と同様にして測定した結果、50℃では3.4モル%、80℃では3.2モル%で、これらの平均値は3.3モル%であった。前記ポリビニルアルコールA及びBの変性度の平均値は、各々の平均値を混合比で換算すると4.6であった。
[比較例1]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料11]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料11]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物11]を作製した。得られた[立体造形物11]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
無変性ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA−105、重合度500、ケン化度98〜99モル%):5質量部
[比較例2]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料12]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料12]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物12]を作製した。得られた[立体造形物12]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
特殊ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール製、JMR−30M、重合度100−400、ケン化度65モル%):5質量部
[比較例3]
実施例1の前記[立体造形用粉末材料1]において、ポリビニルアルコールを下記のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、[立体造形用粉末材料13]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料13]を用い、実施例1と同様にして、[立体造形物13]を作製した。得られた[立体造形物13]を用い、実施例1と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
アニオン変性ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール製、AP−10、重合度1000、ケン化度89モル%):3質量部
[実施例11]
実施例2において、基材をシリカ粒子(エクセリカSE−15K、株式会社トクヤマ製、体積平均粒径24μm)に変更した以外は、すべて実施例2と同様にして、[立体造形用粉末材料14]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料14]を用い、実施例2と同様にして、[立体造形物14]を作製した。得られた[立体造形物14]を用い、実施例2と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例4において、基材を球状アルミナ粒子(電気化学工業製、DAM−45、d50:41.2μm)に変更した以外は、すべて実施例4と同様にして、[立体造形用粉末材料15]を作製した。得られた[立体造形用粉末材料15]を用い、実施例4と同様にして、[立体造形物15]を作製した。得られた[立体造形物15]を用い、実施例4と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例2の前記[造形液1]において、下記の架橋剤を追加した以外は、すべて実施例2と同様にして、[造形液2]を作製した。得られた[造形液2]を用い、実施例2と同様にして、[立体造形物16]を作製した。得られた[立体造形物16]を用い、実施例2と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
ジルコニウム化合物(第一稀元素化学工業製、ジルコゾールAC−20):3質量部
[実施例14]
実施例3の前記[造形液1]において、下記の架橋剤を追加した以外は、すべて実施例3と同様にして、[造形液3]を作製した。得られた[造形液3]を用い、実施例3と同様にして、[立体造形物17]を作製した。得られた[立体造形物17]を用い、実施例3と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
チタン化合物(マツモトファインケミカル製、オルガチックスTC−310):7質量部
[実施例15]
実施例7の前記[造形液1]において、下記の架橋剤を追加した以外は、すべて実施例7と同様にして、[造形液4]を作製した。得られた[造形液4]を用い、実施例7と同様にして、[立体造形物17]を作製した。得られた[立体造形物17]を用い、実施例7と同様にして、曲げ応力試験、寸法精度評価及び層間剥離評価を行った。結果を表1に示す。
ジルコニウム化合物(第一稀元素化学工業製、ジルコゾールAC−7):5質量部
本発明の立体造形用粉末材料は、側鎖に1,2−グリコール結合を有するポリビニルアルコールが被覆されていることにより、造形液を用いて得られた立体造形物は、高い強度並びに高い寸法精度が得られ、複雑な形状でも変形することなく、所望の形状を有する立体造形物を得ることができた。また、これらの立体造形物を脱脂処理し、更に焼結を行って得られた立体焼結物は、複雑な形状を維持し、硬くて丈夫な構造物であることが確認できた。しかし、比較例の立体造形物を焼結させると、反りや表面の凹凸が目立ち、形状も一部変形し、かつ衝撃を与えると破損してしまい、強度が低いことが確認された。
1 造形用粉末貯蔵槽(造形槽)
2 供給用粉末貯蔵槽(供給槽)
3 ステージ
4 立体造形用粉末材料層形成手段
5 造形液供給手段(インクジェットヘッド)
6 造形液
特表2006−521264号公報 特開2005−297325号公報 特開2011−230422号公報

Claims (12)

  1. 基材粒子を樹脂で被覆してなる被覆粒子を含む立体造形用粉末材料であって、前記樹脂が側鎖に1,2−グリコール結合を含有するポリビニルアルコールを含むことを特徴とする立体造形用粉末材料。
  2. 前記ポリビニルアルコールに含有される1,2−グリコール結合の変性度が、4.0モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体造形用粉末材料。
  3. 前記ポリビニルアルコールが、1,2−グリコール結合の変性度の異なる2種以上のポリビニルアルコールの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形用粉末材料。
  4. 前記ポリビニルアルコールが、重合度の異なる2種以上のポリビニルアルコールの混合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。
  5. 前記ポリビニルアルコールの重合度が、400〜1200であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。
  6. 前記ポリビニルアルコールのケン化度が、97%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。
  7. 前記基材が、金属またはセラミックからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の立体造形用粉末材料。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の立体造形用粉末材料と、該粉末材料に含有される前記ポリビニルアルコールを溶解可能な造形液と、を含むことを特徴とする立体造形材料セット。
  9. 前記造形液が、水及び水溶性溶剤を含有することを特徴とする請求項8に記載の立体造形材料セット。
  10. 前記造形液が、架橋剤を含有することを特徴とする請求項8又は9に記載の立体造形材料セット。
  11. 請求項8〜10のいずれかの立体造形材料セットを用い、前記立体造形用粉末材料の層に、前記造形液を供給することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  12. 前記立体造形用粉末材料の層に、前記造形液を供給する方法が、インクジェット方式であることを特徴とする請求項11に記載の立体造形物の製造方法。
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