JP6499754B2 - イオンミリング装置、及びイオンミリング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンミリング装置、及びイオンミリング方法に関する。
走査電子顕微鏡での解析を目的とした試料の断面作製手法の1つとして、イオンミリング法が知られている。
イオンミリング法を行うイオンミリング装置は、試料室、イオンガン、試料ステージ、真空引き機構等を含んで構成される。
イオンミリング装置に適用可能なイオンガンとして、例えば、ペニング放電方式のイオンガンが挙げられる。特許文献1において、アノードに堆積するスパッタ粒子の量を軽減することを目的としたイオンガンである、第1室と、前記第1室でガスをイオン化してイオンを生成するイオン生成部と、を有し、前記イオン生成部は、前記第1室に設けられたアノードと、前記第1室に面して設けられ、電子を放出する第1カソードと、前記第1室にガスを供給するガス供給部と、前記第1室に磁場を発生させる磁場発生部と、を含み、前記第1カソードにより放出された電子を、前記磁場発生部が発生した磁場により旋回させて、前記ガス供給部により供給されたガスに衝突させることで、前記第1室でイオンを生成するものであり、前記第1カソードの表面のうち前記第1室に面した第1領域に、凹凸が形成されている、イオン源が開示されている。
特開2014‐235948
本願発明者は、イオンガンの構成部品に付着する堆積物に着目して鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
特許文献1で開示されるペニング放電方式のイオンガンは、イオン化室で発生したイオンがカソードや加速電極等のイオンガンの構成部品にも照射される。このため、イオンガンの構成部品からもスパッタ粒子が放出されて、他の構成部品に付着する現象(以下、適宜リデポジションと記載)がイオンガンの内部で起こる。
そして、リデポジションによりイオンガンの構成部品に付着した堆積物は、異常放電や短絡によるイオンガンの放電不安定や放電停止の原因となる。
特許文献1に記載の発明は、イオン源としてのイオンガンの内部で異常放電が発生することなく、長時間にわたって正常に動作させることができる。
しかし、特許文献1に記載の発明は、堆積物の処理について考慮していない。
そこで、本発明は、イオンガン付着した堆積物の処理が可能なイオンミリング装置、及びイオンガン付着した堆積物の処理が可能なイオンミリング方法を提供することを課題とする。
本発明のイオンミリング装置は、イオンビームを発生するイオンガンと、前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と、を備えるとともに、前記イオンガンの内部に向けてガスを噴射するガス噴射手段を前記試料室内に備えることを特徴とする。
本発明によれば、イオンガン付着した堆積物の処理が可能なイオンミリング装置、及びイオンガン付着した堆積物の処理が可能なイオンミリング方法を提供することができる。前記した以外の課題、構成及び効果は、明細書中において説明する。
本発明の第1実施形態におけるイオンミリング装置の構成を示す概略模式図である。 本発明の第1実施形態におけるイオンミリング装置のイオンガン周囲の構成を示す概略模式図である。 本発明の第1実施形態におけるイオンミリング装置のイオンガンからイオンビームを射出する状態を示す概略模式図である。 本発明の第1実施形態におけるイオンミリング装置のアノードの表面に堆積物が付着した状態を示す模式図である。 本発明の第1実施形態におけるイオンミリング装置のアノードの表面に付着した堆積物がアノードとカソードを短絡した状態を示す模式図である。 本発明の第1実施形態におけるノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板を示す概略模式図である。 本発明の第1実施形態におけるノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板によるビーム電流検出、及び、ガス噴射ノズルの支持状態を示す概略模式図である。 本発明の第1実施形態におけるビーム電流検出板に設けたノズル挿入機構によりガス噴射ノズルをイオンガンに挿入した状態を示す模式図である。 本発明の第1実施形態における電源投入時の堆積物処理の手順を表したフローチャートである。 本発明の第1実施形態における堆積物処理の手順を表したフローチャートである。 本発明の第2実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口をカソードに設けたイオンガンのカソードを示す概略模式図である。 本発明の第2実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口をカソードに設けたイオンガンの断面模式図である。 本発明の第3実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口を磁石に設けたイオンガンの断面模式図である。 本発明の第4実施形態における磁石に排出口を設けたイオンガンを示す概略模式図である。 本発明の第4実施形態におけるイオンガンの磁石を示す概略模式図である。 本発明の第5実施形態における導電性ターゲット及びノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板を示す概略模式図である。 本発明の第5実施形態における導電性ターゲット及びノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板によるビーム電流検出を示す概略模式図である。 本発明の第5実施形態における導電性ターゲット及びビーム電流検出板に設けたノズル挿入機構によりイオンビームを拡散させてスパッタリングをする状態を示す模式図である。 本発明の第6実施形態におけるイオンミリング装置の構成を示す概略模式図である。 本発明の第7実施形態における加工種類と加工条件の設定順を表したフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態におけるイオンミリング装置100の構成を示す概略図である。
本実施形態におけるイオンミリング装置100は、イオンガン1と、ガス噴射ノズル2と、試料保持系3と、試料室5と、制御系6と、真空引き系7と、電源系8(図2参照)と、ビーム電流検出板21と、試料保持部材駆動部44と、試料ステージ51と、を有する。イオンガン1、及び、ガス噴射ノズル2は、試料室5の側方、即ち、紙面の手前側に存在してもよい。
イオンガン1は、イオンガン1の内部でイオンを生成し、生成したイオンを試料保持系3に保持された試料Sに向けて射出するイオン源である。イオンガン1の内部にイオンを発生させるのに必要な構成要素が配置される。試料Sは、イオンガン1から射出されたイオンからなるイオンビームB(図3参照)に照射されて、加工される(図3参照)。
試料保持系3は、試料保持部材31、試料保持部材設置部41、及び、試料保持部材駆動部44を含んで構成される。
試料保持部材31は、任意の手段により試料Sを保持する部材である。試料保持部材設置部41は、試料保持部材31が設置され、試料室5が大気圧に開放されたときに試料室5の外へ引き出すことができる様に構成されている。試料保持部材駆動部44は、試料保持部材31が所定の方法により駆動可能に構成されている。即ち、試料保持系3は、試料室5の内部で試料Sを保持する。
制御系6は、制御部61と、操作部62と、表示部63と、を含んで構成される。
制御部61は、試料保持系3の位置や向きを制御することにより、イオンビームB(図3参照)の照射位置や範囲を制御する。制御部61は、電源系8(図2参照)の放電電源81と加速電源82とに電気的につながっており、放電電圧と加速電圧とを制御して、イオンビームB(図3参照)の電流密度を制御する。制御部61は、真空引き系7の粗引きポンプと高真空ポンプとに電気的につながっており、試料室5内の真空度を制御する。
操作部62は、例えば、開始/停止、真空/大気圧等の操作スイッチ、放電/加速電圧可変つまみ、アルゴンガス流量設定つまみ、ステージモード設定ボタン、堆積物処理開始ボタン等から構成される。
表示部63は、試料室5内の圧力、放電電流値、イオンビーム電流値、アルゴンガス流量、操作モード、噴射ガスの流量、噴射ガスの噴射回数、放電不安定の警告、短絡の警告等を表示する。表示部63は、例えば、発光ダイオード、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル等を含んで構成される。
試料室5は、その内部に試料Sが配置されて気密が保たれる空間(真空チャンバ)であり、試料Sをミリング、即ち、試料Sを加工する空間である。試料室5の形状は、真空雰囲気を形成するための空間を形成する箱型形状、又は、それに準ずる形状である。試料室5の内部の圧力は、大気圧、又は、真空引き系7により真空(10−4〜10−3Pa)に維持される。加工の様子を観察する観察窓が設けられていてもよい。
真空引き系7は、試料室5の内部を排気して真空にするための粗引きポンプと、高真空ポンプとを含んで構成される。
粗引きポンプは、高真空ポンプが運転可能な圧力まで真空引き可能なポンプである。粗引きポンプとしては、例えば、135/162L/min(単相100V50/60Hz)の排気容量である真空ポンプが挙げられる。高真空ポンプとしては、例えば、ターボ分子ポンプが挙げられる。
電源系8(図2参照)は、アノード11とカソード12との間に印加する電圧を発生させる放電電源81と、カソード13と加速電極14との間に印加する電圧を発生させる加速電源82とを含んで構成される。放電電源81は、例えば、印加電圧0〜1.5kVを発生する。加速電源82は、例えば、印加電圧0〜6kVを発生する。
本実施形態について、適宜図面を参照しながら、さらに詳しく説明する。
図2は、本実施形態におけるイオンミリング装置100のイオンガン1、及び、イオンガン1に関連する部品の構成を示す概略図である。
イオンガン1は、アノード11と、アノード11を挟み込む様に配置された一対のカソード12、13と、加速電極14と、磁石15と、ガス導入口16と、を含んで構成される。
アノード11は、筒状部、及び、底部を含み、イオンビームの射出方向に延びる円筒状に形成されている。アノード11は、例えば、アルミニウム等の非磁性導電体からなる。
アノード11は、インシュレータ(図示省略)の内側に嵌め込まれている。筒状部の外周面は、インシュレータの内周面に接触しており、筒状部の内周面は、イオン化室17の内部に面している。底部は、カソード12と反対側に形成されており、底部の中央部には、開口11h(アノード孔)が設けられている。アノード11の形状に制限はなく、例えば、筒状に形成されていてもよい。
又、アノード11は、インシュレータ(図示省略)により、カソード12、カソード13、及び、磁石15に対して電気的に絶縁されている。
加速電極14と同じ側に配置されるカソード13は、例えば、純鉄等の磁性導電体からなる。このカソード13は、中央部に開口13hが設けられている。この開口13hは、イオンを通過させると共に、後記するガス導入口16から所定のガスが供給されるイオンガン1のイオン化室17内の空間と、試料室5の空間との間で適切なガス分圧を保つのに必要な大きさに形成されている。加速電極14と同じ側に配置されるカソード13は、アノード11側の雰囲気と、加速電極14側の雰囲気との間で適切なガス分圧を保つとともに、イオンを発生させるための電極として作用する。
アノード11を挟んで加速電極14とは反対側に配置されるカソード12は、例えば、純鉄等の磁性導電体からなる。このカソード12は、例えば、後記するガスボンベ等から供給される放電ガスGが流通するガス導入口16が設けられていてもよい。このカソード12の形状に制限はなく、例えば、円盤状に形成されている。
加速電極14は、カソード13の開口部13hを挟んでイオン化室17の内部と反対側に設けられている。加速電極14は、カソード13と反対側に形成されている。加速電極14は、例えば、ステンレス等の導電性を有する非磁性材料からなる。加速電極14の中央部には、開口14h(イオンビーム通過孔)が設けられている。加速電極14は、接地電位に保たれている。又、加速電極14は、筒状に形成されていても、円筒状に形成されていてもよい。
磁石15は、例えばネオジム磁石等、強磁性金属を含めた導電性を有する強磁性材料からなり、かつ、イオンビーム射出方向に延びる円筒状に形成されている。カソード12は、磁石15の一方の端部に、例えば磁力により吸着されている。磁石15の一端は、カソード12に繋がっている。又、カソード13は、磁石15の他方の端部に、例えば磁力により吸着されている。カソード13は、磁石15の他端に繋がっている。そして、カソード12、カソード13及び磁石15は、互いに電気的に接続されるので、カソード12、カソード13及び磁石15は、互いに等電位に保たれる。
磁石15、カソード12及びカソード13により、イオン化室17が区画されており、開口13hは、イオン化室17に形成された孔部でもある。このとき、磁石15は、イオン化室17の内部に磁場を発生させる。又、カソード12及びカソード13は、磁路を形成しているので、カソード12及びカソード13により、イオン化室17の内部に発生する磁場を強めることができる。
なお、磁石15に代え、電磁石等を用いることもできる。又、磁石15の形状は、円筒状に限定されない。従って、磁石15は、筒状に形成されていてもよい。
インシュレータ(図示省略)は、イオンビームの射出方向に延びる円筒状に形成されている。インシュレータは、磁石15の内側に配置されており、インシュレータの外周面は、磁石15の内周面に接触している。インシュレータは、例えば、セラミックス等の電気絶縁性を有する非磁性材料で形成されている。
本実施形態で使用するペニング式のイオンガンは、三電極方式であることで、開口13h(カソード孔)、開口14h(イオンビーム通過孔)に当たるイオンのエネルギを抑えることができる。このため、ペニング式のイオンガンは、カソード13の開口13h及び加速電極14の開口14hの変形や汚染を低減し、安定したイオン電流を得ることができる。
なお、三電極方式であることにより、カソード13の開口13h及び加速電極14の開口14hの変形を低減することができるが、イオンが当たる限り開口13h、開口14hの拡大を避けることはできない。加速電極14と同じ側に配置されるカソード13は、イオンガン1内の適切なガス分圧を保つためのオリフィスとしての役割を有している。即ち、開口13hが消耗することによって変形(主に拡大)すると、適切なガス分圧が保てず放電が不安定になる。このため、カソードの定期的な交換とガス流量の毎使用時の調整が好ましい。
カソード等の電極部材は、導電性とイオン耐性を併せ持った材質が好ましい。カソード等の電極部材は、例えば、チタン、モリブデン、タングステン等の硬い金属材料で形成されるのが好ましい。
ガス導入口16は、イオンガン1内においてイオン化させる放電ガスをイオンガン1内に供給する供給口である。ガス導入口16は、例えば、加速電極14とは反対側に配置されたカソード12に設けられる。ガス導入口16から電極間の放電開始に影響を与えない程度の低流量の放電ガスが、イオンガン1のイオン化室17内に導入される。
イオンガン1に導入される放電ガス(イオン化ガス)は、例えば、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の希ガスが挙げられる。
放電電源81の一方の端子は、カソード12、及び、カソード13と電気的に接続されている。放電電源81の他方の端子は、アノード11と電気的に接続されている。カソード12、及び、カソード13と、アノード11との間には、放電電源81により放電電圧が印加される。
加速電源82の一方の端子は、カソード12、及び、カソード13と電気的に接続されている。加速電源82の他方の端子は、加速電極14と電気的に接続されている。カソード12、及び、カソード13と、加速電極14との間には、加速電源82により加速電圧が印加される。
図3は、本実施形態におけるイオンミリング装置100のイオンガン1からイオンビームBを射出する状態を示す概略図である。
イオンビームBの射出原理は、以下の様に説明される。
イオンガン1のイオン化室17内のアノード11に囲まれた空間にガス導入口16により放電ガスGを導入する。イオンガン1のイオン化室17内のアノード11に囲まれた空間において、適切ガス分圧を保った状態で、放電電源81によりアノード11とカソード12、13間に数kV程度の電圧を印加する。アノード11は、カソード12及びカソード13に対して正の電圧が印加される。カソード12、13は、アノード11に対して負の電圧が印加され、表面から電子を放出する。
この時、イオン化室17の周囲には磁石15が存在してイオン化室17に磁場が形成されている。又、アノード11の両側にはカソード12、13が存在する。このため、放出された電子は、イオン化室17に形成された磁場により軌道が曲げられて旋回運動を行う。イオン化室17内で旋回運動を行う電子が導入された放電ガスGに衝突すると、衝突された放電ガスGは、イオン化する。
そして、カソード12、13と加速電極14の間に0〜6kV程度の直流の負の電圧を印加すると、イオン化室17内のプラズマ(イオン化した)ガスの一部は、カソード13に設けられた開口13hを通過し、イオン化室17内から引き出される。引き出されたイオンは、加速電極14で加速されて、イオンビームBとして射出される。
図4Aは、本実施形態におけるイオンミリング装置100のアノード11の表面に堆積物Dが付着した状態を示す模式図である。図4Bは、本実施形態におけるイオンミリング装置100のアノード11の表面に付着した堆積物Dがアノード11とカソード12を短絡した状態を示す模式図である。
直流放電型プラズマ放電イオンガンは、加速電極14等のイオンガンの構成部品や試料台等にもイオンビームを照射する。特にペニング式のイオンガン1では、加速電極14だけでなくカソード13にもイオンビームBを照射する。このため、イオンガン1の構成部品からもスパッタ粒子が放出されて、他の構成部品に付着する現象(リデポジション)が試料室5内やイオンガン1の内部で起こる(図4A参照)。
リデポジションによりアノード11に付着したスパッタ粒子は、加工(放電)時間と共に層状に堆積していき、ある程度の厚さに達すると針状に剥離する。ペニング放電方式のイオンガン1は、カソード12、13がアノード11を両側から挟み込む構造を有して、アノード11とカソード12、13間に電圧が印加されている。そして、剥離した物質Deは導電性を有するため、アノード11とカソード12、13に接触して短絡させてしまう場合がある(図4B参照)。よって、イオンミリング装置100では、イオンガン1(アノード11)の定期的な清掃や整備が必要となる。
従来のイオンミリング装置では、カソードの材質や使用状況にもよるが、アノードの整備周期は、約100時間となることが多い。1回の使用時間を8時間、1日に2回使用と仮定すると、毎週イオンガンを整備することになる。
イオンガン1内で発生するリデポジションにより、電極間で短絡が発生する可能性があるが、その他にも電極の導電性が低下する可能性がある。チタン、モリブデン等の金属製のカソード由来の堆積物Dは、酸化しやすいため、アノード11に堆積した堆積物Dの酸化がアノード11の導電性の低下を引き起こす。アノード11の導電性が低下すると、アノード11が帯電して放電が不安定になるという不具合も発生する。
よって、イオンガン1の定期的な整備は、電極間の短絡を防止するだけでなく、アノード11の帯電を防止するためにも行うことが好ましい。
図5Aは、本実施形態におけるノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板21を示す概略模式図である。図5Bは、本実施形態におけるノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板21によるビーム電流検出を示す概略模式図である。図5Cは、本実施形態におけるガス噴射ノズル2をイオンガン1へ挿入する状態を示した概略模式図である。
本実施形態におけるイオンミリング装置100には、イオンビームBの遮断、イオンビームBの電流測定を目的としたビーム電流検出板21(シャッタ)が、イオンガン1の正面にイオンガン1の開口に対向して配置される。
例えば、図5Aに示す様に、本実施形態におけるビーム電流検出板21は、イオンガン1の対向面にビーム電流検出領域22、ビーム電流遮断領域26、ガスノズル口23をこの順に備え、試料S側(反対側)にノズル挿入口25、ノズル固定冶具24を備える。
例えば、図5B、図5Cに示す様に、ビーム電流検出板21は、ガスノズル口23とノズル挿入口25とが連通し、ガス噴射ノズル2がビーム電流検出板21内部を通過可能な構造となっている。ノズル挿入口25からガスノズル口23までの経路は、断面が円形であり、イオンガン1の開口に向けて断面視円弧状に配置されており、ガス噴射ノズル2の潰れ等による閉塞を防止している。
ガス噴射ノズル2は、噴射ガスの圧力、噴射量、噴射時間等を調整可能なガス供給弁、噴射ガスを一時貯蔵するガスホルダを含んで構成される噴射ガス供給機構に接続されてもよい(図示省略)。噴射ガス供給機構には、ガスボンベ等の気体供給源から噴射ガスが供給される。
例えば、図5Cに示す様に、ガス噴射ノズル2は、ビーム電流検出板21の背面のノズル固定冶具24に挿入されて固定され、背面からノズル挿入口25に挿入される。挿入されたガス噴射ノズル2は、ノズル挿入口25からガスノズル口23までの経路により支持される。又、ガス噴射ノズル2は、ガスノズル口23で支持されて、ガスノズル口23から飛び出す(図5C参照)。
ガス噴射ノズル2は、本実施形態ではノズル挿入口25からガスノズル口23まで挿通可能な適度な弾性を備えた外部応力によって変形する材質で形成されることが好ましい。又、ガス噴射ノズル2は、自重や噴射ガスの噴射により変形し難い材質で形成されてもよい。ガス噴射ノズル2を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
ガス噴射ノズル2の先端のガス噴射口の形状は、任意の形状で構わない。ガス噴射ノズル2の先端のガス噴射口の形状を、例えば、長円とすることにより、広い範囲の堆積物Dの処理が一度に可能となる。ガス噴射口の形状を、例えば、小径の円とすることにより、噴射ガスの圧力が高まり堆積物Dの処理が確実になる。
ガス噴射ノズル2の外径は、イオンガン1の開口を経てイオンガン1の内部に挿入可能である外径に適宜構成すればよい。ガス噴射ノズル2の内径は、イオンガン1の開口部、及び、イオンガン1の内部に噴射ガスを噴射可能である内径に適宜構成すればよい。ガス噴射ノズル2の長さは、イオンガン1の開口を経てイオンガン1の内部に挿入可能となる長さに適宜構成すればよい。
ビーム電流検出板21は、例えば、上部にネジが切ってある支持部を備え、このネジと噛み合い対をなす歯車の回転により、少なくとも鉛直方向の1軸上を移動可能(上下動可能)に構成される(図示省略)。
ガス噴射ノズル2は、例えば、ネジが切ってある部分を有し、このネジ部分と噛み合い対をなす歯車の回転により、少なくとも鉛直方向の1軸上を移動可能(上下動可能)に構成される。これらネジ部分は、例えば、外周にネジが切ってある円筒形の別体の部材(歯車)をガス噴射ノズル2に挿通することで構成されてもよい。
ビーム電流検出板21を駆動する歯車と、ガス噴射ノズル2を駆動する歯車とを同一にして、1の歯車によりビーム電流検出板21とガス噴射ノズル2を駆動する様に構成してもよい。
駆動する歯車が1つであっても、歯車のネジ山の数に対するビーム電流検出板21のネジ山の数と、歯車のネジ山の数に対するガス噴射ノズル2のネジ山の数とを変えることにより(ギア比を変えることにより)、ビーム電流検出板21の移動量と、ガス噴射ノズル2の移動量を変えることができる。つまり、ビーム電流検出板21のネジ山の数をガス噴射ノズル2のネジ山の数よりも多くして、1の歯車の回転におけるビーム電流検出板の移動量よりもガス噴射ノズル2の移動量を大きくすることができる。
これにより、ガス噴射ノズル2がガスノズル口23から突出したり、引っ込んだりする。そして、堆積物処理位置(図5C)では、ガス噴射ノズル2がイオンガン1の開口から内部に挿入可能となる様に構成されてもよい。
堆積物Dを処理(除去、移動)するために噴射される噴射ガスは、試料室5やイオンガン1の内部に残留した場合であっても、イオンビームBの射出や加工に影響しにくい気体が好ましい。噴射ガスは、イオンガン1内の放電ガスGと同じ種類のガスがより好ましい。
次に、本実施形態におけるイオンミリング装置100の試料保持系3について説明する。
本実施形態における試料保持部材設置部41は、例えば、X方向移動ステージ、Y方向移動ステージ、及び、Z方向移動ステージを含んで構成されている。
又、本実施形態における試料保持部材設置部41は、XYZ方向への3次元的な移動、XY平面に垂直な軸周りの回転、チルトが可能な公知の5軸制御が可能なステージであってもよい。
本実施形態における試料保持系3は、設置された試料保持部材31を回転させる試料回転ステージ、イオンビームBの中心線に対して試料回転ステージの回転中心軸の傾斜角度を任意に調整できる角度調整機構、及び、試料回転ステージの回転軸とイオンビームBの中心線との位置関係を偏心調整できる試料位置調整機構を含み構成されてもよい。試料回転ステージは、例えば、ギア機構を含み、試料保持部材駆動部44により駆動し、設置された試料保持部材31が回転する。
本実施形態における制御系6について詳しく説明する。
前記のとおり、制御系6は、制御部61と、操作部62と、表示部63と、を含んで構成される。制御部61は、演算処理部、記憶部、入力部、及び、出力部を含んで構成される。
演算処理部は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。演算処理部は、記憶部に格納されたプログラムを読み出して、イオンミリング装置100の制御に必要な演算を行う。演算処理部は、入力部、出力部等と接続されて各種情報信号を受け取り、演算結果をイオンミリング装置100の制御に必要な信号として送信する。
記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を含んで構成される。記憶部には、イオンミリング作業の自動化プログラム、堆積物処理(短絡解消、放電安定化等)の自動化プログラム、イオンガン1の制御プログラム、真空引き系7の制御プログラム、電源系8の制御プログラム等が格納される。又、アノードカソード間、カソード加速電極間の印加電圧、ビーム電流値等の装置の加工時の各種状態のデータが記憶されてもよい。使用者が設定したイオンミリングの加工条件、以前行ったイオンミリングの加工条件等が記憶されてもよい。
制御部61を構成する演算処理部と、記憶部は、これら機能を有するマイクロコンピュータ(以下、適宜マイコンと記載する)として構成されてもよい。又、制御部61を構成する演算処理部と、記憶部は、これら機能を実現可能なパソコンとして構成されてもよい。
入力部は、カソードを流れる電流を測定するセンサ、アノードカソード間の印加電圧、カソード加速電極間の印加電圧を測定するセンサ、ビーム電流の電流値を測定するセンサ等の検出測定手段を含んで構成される。操作部62における操作指示を受信する受信手段を含んでもよい。
出力部は、加工終了を知らせる音、自動制御時の異常を知らせる警報音、演算処理部の演算結果、自動制御の制御モードを通知する表示データを作成する手段を含んで構成される。
次に、本実施形態におけるイオンミリング装置100の操作方法について説明する。
操作部62(操作パネル)では、例えば、数値入力が必要な設定部については、セレクトキー(Select)により、入力窓の選択を可能とすると共に、“Up”,“Down”ボタンによって、数値の選択を可能としている。更にエンターキー(Enter)によって、選択された数値の登録を行う。
操作部62(操作パネル)には、ガス噴射ノズル2から噴射ガスのガス噴射によるイオンガン1の整備について条件を設定するガス噴射条件設定部(図示省略)が設けられている。
本実施形態におけるイオンビームによる試料Sのイオンミリング(加工)方法について説明する。
本実施形態におけるイオンミリング方法は、イオンガン1の内部に噴射ガスを噴射するガス噴射ノズル2を挿入し、アノード11、カソード12間に噴射ガスを噴射することで、短絡要因、又は、放電不安定要因となっている堆積物Dを処理する(吹き飛ばす)ことを特徴とする。
操作部62における操作信号(選択情報)は、制御系6を構成する入力部を介して、演算処理部に伝達される。演算処理部では、伝達された入力信号について読み出したプログラムに基づいて演算を行い、その演算結果を試料保持部材駆動部44や出力部に伝達する。試料保持部材駆動部44では、受信した制御信号に基づいて、操作部62において選択した条件の駆動を実行する。
図6は、本実施形態における加工開始前の動作手順を表したフローチャートである。
まず、イオンミリング方法の使用者により、加工対象の試料Sは、試料室5内に配置される。使用者は、試料Sの配置完了後、操作部62に配置された真空引き開始ボタンを押下する(排気開始)。
真空引き開始ボタンの押下の信号は、制御部61の入力部を介して演算処理部に送信される。真空引き開始ボタンの押下の信号を受信した演算処理部は、記憶部から噴射ガスを噴射して行う加工前のイオンガン1の整備プログラムを読み込み、又は、予め読み込んだ整備プログラムに基づいてイオンガン1の整備を行う。具体的には次のとおりである。
制御部61は、真空引き系7(図1参照)の真空ポンプが全て停止していることを確認する(S1)。真空ポンプが全て停止していない場合、制御部61は、真空ポンプを全て停止する。この操作により、真空引き系7(図1参照)が稼働している状態で試料室5内が大気に開放されることによる真空引き系7の破損を防止する。
制御部61は、イオンガン1内を整備中である旨を表示する信号を出力部に伝達し、出力部の表示等により使用者に知らせてもよい。
次に、制御部61は、入力部を構成する圧力センサによって、試料室5内が大気に開放していることを確認する(S2)。試料室5内が大気に開放していない場合、制御部61は、例えば、真空引き系7に信号を送信し、ポンプを停止等して試料室5内を大気に開放する。
制御部61は、出力部を介してガス噴射ノズル2を備えたビーム電流検出板21を動かして、イオンガン1の開口(射出口)にガス噴射ノズル2(の開口)を対向させる(S3)。
制御部61は、ビーム電流検出板21の移動に合わせて、ガス噴射ノズル2を繰り出して、イオンガン1の開口に近付けてもよい。
制御部61は、イオンガン1の開口にガス噴射ノズル2が対向した状態で、イオンガン1の内部(開口)に向けてガス噴射ノズル2から噴射ガスを噴射する(S4)。
ここで、噴射ガスの噴射圧力は、0.01MPa以上が好ましい。噴射ガスの噴射時間は、合計1秒以上が好ましい。噴射ガスの噴射の際に、イオンガン1の開口にガス噴射ノズル2が対向した状態を保持したままガス噴射ノズル2を備えたビーム電流検出板21を動かして、噴射ガスの噴射範囲を広げてもよい。噴射ガスの噴射中に噴射ガスの噴射圧力を変化させてもよい。噴射ガスの噴射は、断続的であってもよい。試料室5内及びイオンガン1の内部は、大気に開放されているため噴射ガスの減速を考慮すると、噴射ガスの噴射圧力は高いほうが好ましい。
噴射された噴射ガスは、イオンガン1の開口の周囲に配置された加速電極14に付着した堆積物D、埃等の付着物を吹き飛ばす。この操作により、試料加工中における堆積物Dによる加速電極14とカソード13との短絡、アノード11とカソード12、13との短絡等の試料加工中断事由の発生を防止、又は抑制することが可能となる。
又、堆積物Dを完全に吹き飛ばす必要はなく、堆積物Dが多少でも動いてアノード11とカソード12、13との接触(短絡)、加速電極14とカソード13との接触(短絡)等が解消されればよい。
制御部61は、続けて、ガス噴射ノズル2を送り出して、イオンガン1の開口(射出口)にガス噴射ノズル2を挿入する(図5C参照)(S5)。
制御部61は、イオンガン1の開口にガス噴射ノズル2を挿入した状態で、イオンガン1の内部に向けてガス噴射ノズル2から噴射ガスを噴射する(S6)。噴射ガスの噴射圧力は、0.01MPa以上が好ましい。噴射ガスの噴射時間は、合計1秒以上が好ましい。噴射ガスの噴射の際に、ガス噴射ノズル2を動かして、噴射ガスの噴射範囲を広げてもよい。噴射ガスの噴射中に噴射ガスの噴射圧力を変化させてもよい。噴射ガスの噴射は、断続的であってもよい。
噴射された噴射ガスは、イオンガン1の射出口の周囲に配置された加速電極14に付着した堆積物D、埃等の付着物を吹き飛ばす。又、噴射された噴射ガスは、イオンガン1の内部に配置されたアノード11、カソード12、13等に付着した堆積物D、埃等の付着物を吹き飛ばす。この操作により、試料加工中における堆積物Dによるアノード11とカソード12、13との短絡、加速電極14とカソード13との短絡等の試料加工中断事由の発生を防止、又は抑制することが可能となる。更に、イオンガン1の分解を伴う整備の回数を減少させることが可能となる。
又、堆積物Dを完全に吹き飛ばす必要はなく、堆積物Dが多少でも動いてアノード11とカソード12、13との接触(短絡)、加速電極14とカソード13との接触(短絡)等が解消されればよい。
堆積物Dのイオンガン1からの排出については、後記する実施形態4で説明する。
これら噴射ガスJを噴射して行う加工前のイオンガン1の整備(S3〜S6)は、試料加工中断事由の発生を予防する目的で行うものであるから、同一箇所について合計15秒以下行うことが好ましい。これにより、必要以上に噴射ガスが噴射されることを防止して、加工効率を向上させること、噴射ガスの節約を図ることが可能となる。
噴射ガスを噴射して行う加工前のイオンガン1の整備が終了すると、制御部61は、ガス噴射ノズル2(イオン電流検出板21)をイオンビームBの照射の障害とならない位置に移動する(S7)。併せて、制御部61は、イオン電流検出板21のシャッタ位置がイオンガン1に対向する様に移動させる。
制御部61は、例えば、真空引き系7に信号を送信して大気開放弁を閉じて、真空引き系7による真空引きの準備を行う。
制御部61は、真空引き系7に信号を送信して真空引き系7のポンプによりイオンビームBが射出可能な圧力まで試料室5内及びイオンガン1内を真空引きする(S8)。高真空引き用のポンプの作動は、試料室5内の状態が安定した後でもよい。
制御部61は、入力部を構成する圧力センサによって、試料室5内が真空引きされていることを確認する。
制御部61は、試料室5内の真空引きが終了したことを知らせる表示や音を発生させる信号を出力部に伝達し、出力部の表示等により使用者に知らせてもよい。併せて、制御部61は、加工条件の入力等の操作可能であることを使用者に知らせて、操作を促してもよい。
この様な工程により、噴射ガスを噴射して行う加工前のイオンガン1の整備が終了する。
そして、制御部61は、加工条件の入力、加工開始ボタンの押下等使用者による操作を待つ(待機)。
なお、試料室内への試料設置後から加工終了後の試料室の大気解放までを制御プログラムに基づいて制御する場合、制御部61は、試料室5内の真空引きが完了したことや加工条件の入力が可能であることを知らせることなく、続けて試料Sの加工を開始してもよい。
そして、イオンガン1に通電して放電を行うことにより、イオンガン1の内部にリデポジションによる堆積物Dが溜まって、イオンビームBの開口の周囲の加速電極14やカソード13にも堆積物Dが付着していく。
ここでは、試料加工中における堆積物Dの検知、及び、堆積物Dの処理について説明する。
本実施形態におけるイオンミリング方法は、制御部61において放電中のイオンガン1の状態、及び、試料加工中のイオンガン1の状態を常時確認する。電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定を検知した場合に、制御部61は、試料Sの加工を一時中断して、イオンガン1に向けて噴射ガスを噴射する。
電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定の検知は、例えば、以下の様にして行う(電極間の短絡や放電の不安定の判断基準)。
制御部61は、入力部に接続されるビーム電流検出板21のビーム電流検出領域22において、ビームBの電流をモニタリングする。イオンガン1に放電電圧を印加しているにもかかわらずビーム電流検出領域22の検出器を流れる電流がビームBの検出限界以下であれば、制御部61は、イオンガン1の放電が停止したと判定し、電極間の短絡が生じたと判定する。
入力部を構成するセンサによりカソード12と放電電源81に流れる電流を検出して、電流値が所定の電流値よりも大きくなった場合に、制御部61は、アノード11とカソード12間に短絡が生じたと判定してもよい。アノード11と放電電源81との間を流れる電流を測定して、電流が所定の値よりも大きくなった場合、制御部61は、アノード11とカソード12間に短絡が生じたと判定してもよい。
同様に、制御部61は、入力部に接続されるビーム電流検出板21のビーム電流検出領域22において、ビームBの電流をモニタリングする。所定時間(例えば、5分間)におけるビーム電流検出領域22の検出器を流れる電流の変動が所定値よりも大きくなった場合(例えば、5%以上)、制御部61は、イオンガン1の放電が不安定であると判定する。
カソード12と放電電源81との間を流れる電流を測定して、所定時間(例えば、5分間)における電流変動が大きくなった場合(例えば、5%以上)、制御部61は、イオンガン1の放電が不安定であると判定してもよい。アノード11と放電電源81との間を流れる電流を測定して、所定時間(例えば、5分間)における電流変動が大きくなった場合(例えば、5%以上)、制御部61は、イオンガン1の放電が不安定であると判定してもよい。
加速電極14と加速電源82に流れる電流を測定して、電流が所定の値よりも大きくなった場合は、カソード13と加速電極14間に短絡が生じたと判定してもよい。
加速電極14と加速電源82に流れる電流を測定して、所定時間(例えば、5分間)における電流変動が大きくなった場合(例えば、5%以上)は、イオンガン1の放電が不安定であると判定してもよい。
なお、イオンガン1の状態の確認は、試料Sの加工と並行して1分ごと、3分ごと等適宜時間間隔を空けて行ってもよい。
制御部61において電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定を検知した場合、制御部61は、噴射ガスを噴射する準備に入る。
図7は、本実施形態における試料加工中にイオンミリング装置100の堆積物Dを処理(除去)するための動作手順を表したフローチャートである。
堆積物Dの処理(除去)を目的として噴射ガスを噴射する場合、制御部61は、真空引き系7を構成する、例えば、ターボ分子ポンプ等の高真空引き用のポンプを停止して(S11)、高真空引き用のポンプの停止を確認する。この操作により、噴射ガスの噴射に伴う試料室5内の急激な真空度変化による真空引き系7の高真空引き用のポンプの故障が回避される。
又、真空引き系7を構成するロータリーポンプ等の粗引き用ポンプによる試料室5内の排気が継続されることが好ましい。これにより、試料室5内及びイオンガン1内を真空状態又は大気圧よりも低い減圧状態に保つことができる。
なお、イオンガン1のガス供給口から供給される放電ガスは極微量であるため、ガス噴射ノズル2からの噴射ガスの噴射に際し、影響を与えない。従って、噴射ガスの噴射の前に放電ガスの供給は、続けられてもよいし、止められてもよい。
次に、制御部61は、試料室5内及びイオンガン1内を真空状態又は大気圧よりも低い減圧状態に保ったまま、ビーム電流検出板21を下方へ移動させて、イオンガン1の開口(射出口)とガスノズル口23を向い合せにする(S12)。
加速電極14やカソード13等のイオンガン1の開口部に堆積物Dが付着した場合、制御部61は、ガス噴射ノズル2をイオンガン1の開口に向けて繰り出す(S13)。
なお、ビーム電流検出板21の移動(S12)と、ガス噴射ノズル2の繰り出し(S13)は、同時に行ってもよい。
この状態で、制御部61は、噴射ガス供給機構からガス噴射ノズル2に噴射ガスを供給して、ガス噴射ノズル2から加速電極14やカソード13に向けて噴射ガスを噴射する(S14)。この操作により、加速電極14、イオンガン1の(カソード13の)開口に付着した放電不安定の原因である堆積物D(付着物)を吹き飛ばして処理(除去)する。噴射ガスの噴射回数の制限はない。噴射ガスの噴射は、1回だけではなく、複数回行ってもよい。
又、堆積物Dを完全に吹き飛ばす必要はなく、堆積物Dが多少動くだけでもよい。即ち、堆積物Dによるアノード11とカソード12との接触(短絡)、加速電極14とカソード13との接触(短絡)等が解消されればよい。
堆積物Dのイオンガン1からの排出については、後記する実施形態4で説明する。
試料室5内及びイオンガン1内は真空状態又は大気圧よりも低い減圧状態であることから、噴射された噴射ガスは減速しにくい。したがって、噴射ガスの噴射圧力は、試料加工前(S4)における噴射ガスの噴射圧力よりも小さくしても、試料加工前と同等の効果が得られる。噴射ガスの噴射圧力を小さくすることで、噴射ガスを節約することが可能である。
アノード11とカソード12間に堆積物Dが付着している場合、制御部61は、ガス噴射ノズル2を更に繰り出してイオンガン1の開口(開口14h、開口13h)から内部に挿入する(図5B参照)(S15)。
なお、ビーム電流検出板21の移動と、ガス噴射ノズル2の繰り出しは、同時に行ってもよい。
この状態で、制御部61は、噴射ガス供給機構からガス噴射ノズル2に噴射ガスを供給して、ガス噴射ノズル2からアノード11やカソード12、13に向けて噴射ガスを噴射する(S16)。この操作により、アノード11やカソード12、13に堆積(付着)した短絡の原因である堆積物D(付着物)を吹き飛ばして処理(除去)する。噴射ガスの噴射回数の制限はない。噴射ガスの噴射は、1回だけではなく、複数回行ってもよい。
噴射ガスを噴射して堆積物Dを処理(除去)した後、制御部61は、ガス噴射ノズル2をイオンビームBの照射の障害とならない位置に移動する(S17)。制御部61は、イオンガン1がビーム電流検出領域22に対向する様に移動させる。
制御部61は、再度、高真空引き用のポンプを作動させる(S18)。これにより、制御部61は、イオンビームBを射出可能な圧力まで試料室5内及びイオンガン1内を減圧させる。再度の高真空引き用のポンプの作動は、試料室5内のガスの状態が安定した後でもよい。
試料室5内及びイオンガン1内がイオンビームBを射出可能な真空状態に達した後、制御部61は、一時中断した試料Sの加工を再開する。
又は、制御部61は、イオンガン1に放電電圧を印加して電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定がない(前記電極間の短絡や放電の不安定の判断基準に該当しない)ことを確認してから、一時中断した試料Sの加工を再開してもよい。
噴射ガスの噴射による堆積物Dの処理(除去)が不十分であった場合は、イオンガン1への放電電圧の再印加中や試料加工再開後に、制御部61は、電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定として再度検知することになる。従って、制御部61は、電極間の短絡やイオンガン1の放電の不安定を再度検知した場合に再度噴射ガスの噴射を行い、堆積物Dの処理(除去)を試みてもよい。
又、所定時間内(例えば、15分間)における堆積物Dの処理(除去)を行った(試みた)回数が所定回数(例えば、5回)を超えた場合、制御部61(演算処理部)は、堆積物Dによるアノード11とカソード12、13間の短絡、又は、放電不安定が著しいためイオンガン1の整備を勧める旨を表示部63に表示してもよい。
更に、制御部61は、試料Sの加工の失敗を防止するため、安全のため、試料Sの加工を中断すると共に、その旨を表示部63に表示してもよい。
本実施形態におけるイオンミリング装置100は、試料室5内にガス噴射ノズル2を配置する構成としたことにより、試料室5内を真空に保った状態のまま、噴射ガスを噴射して堆積物Dを処理(除去)することが可能となる。
本実施形態におけるイオンミリング方法によって、試料加工中に短絡した場合においても、試料室5を大気に開放することなく短絡状態からの復帰が可能となる。試料加工中に放電が不安定になった場合においても、試料室5を大気に開放することなく放電を安定化することが可能となる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属等(金属Li等)に代表される水や酸素を遮断した環境下での試料Sの加工中に短絡等が生じた場合であっても、噴射ガスにいわゆる不活性ガス(アルゴン等)を使用することによって、試料劣化(大気曝露)を起こさずに短絡状態等からの復帰が可能となる。雰囲気遮断を要する試料加工中に短絡等が生じた場合であっても、いわゆる不活性ガス(アルゴン等)を使用することで、試料劣化(大気曝露)を起こさずに短絡状態からの復帰が可能となる。又、試料劣化(大気曝露)を起こさずに放電を安定化することが可能となる。
従来、イオンミリング処理中にイオンガンの電極の短絡が発生した場合は、アノードの表面上の堆積物やアノードとカソード間を短絡させている堆積物を処理(除去)するためには、イオンガンを分解して整備をする必要があった。又、イオンミリング処理を中止して、高電圧印加に伴い温度が上昇したイオンガンの電極構成部品の温度が手で触れられる程度まで低下するまで待機する必要があった。そして、イオンガンを分解するには、試料室を大気に開放する必要があった。
断面イオンミリング加工では、液体窒素等を用いて間接的に試料を冷却しながら行うことがある。イオンミリング装置が冷却された状態のまま試料室を大気に開放すると、霜が装置に付着する。霜の付着により、装置の性能が劣化する。このため、冷却加工時に短絡した場合等においては、試料非冷却時の操作に加えて、試料室の大気開放時における試料への霜付着を回避するために、冷却を中止して試料の温度が室温まで上昇するまで真空を保持した状態で長時間待機して装置を室温まで戻していた。その後、装置を大気に開放して、堆積物D等の処理(除去)を行って短絡等の不具合を解消していた。
本実施形態では、試料室5内にビーム電流検出板21に支持されたガス噴射ノズル2を備えた構成とした。これにより、試料室5を大気に開放することなく、試料室5内を霜の付着を防止可能な真空度に維持しつつ、噴射ガスの噴射が可能である。霜の付着を防止しつつ、試料室5を大気に開放することなく、堆積物Dの処理(除去)が可能であり、短絡の解消も、放電の安定化も可能である。
つまり、冷却状態から室温状態までの待機時間を不要として短絡の解消、放電の安定化が可能であり、室温状態から冷却状態までの待機時間を不要として安定した加工が再開可能である。
ガス噴射ノズル2から噴射ガスを噴射して堆積物Dを処理(除去)するため、イオンガン1を分解することなく、短絡状態等からの復帰が可能となる。又、噴射ガスを噴射して堆積物Dを処理(除去)するため、加工に伴い上昇したイオンガン1の構成部品の温度低下を待たずに短絡状態等からの復帰が可能となる。
又、試料台32の位置を保持したまま、噴射ガスの噴射が可能であることから、短絡状態等を解消した後に加工を継続しても、イオンビームBの照射位置(加工位置)の再現性が高く、不都合が生じにくい。
堆積物Dの処理や加工において、いわゆる不活性ガス(アルゴン等)を使用することにより、加工対象である試料Sが堆積物Dの処理等に使用した噴射ガスと反応することはない。
以下、第1実施形態とは異なる実施形態及び変形例について説明する。第1実施形態と同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。又、第1実施形態と同様の効果についても重複する説明は省略する。
(第2実施形態)
本実施形態は、ガス噴射ノズルの挿入位置を第1実施形態から変更した形態であり、イオンガンの開口とは反対側に位置するカソード12aにガス噴射ノズルの挿入口18aを設けて、イオンガン1aの内部にガス噴射ノズル2aを挿入する形態である。
図8Aは、本実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口18aをカソード12aに設けたイオンガン1aのカソード12aを示す概略模式図である。図8Bは、本実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口18aをカソード12aに設けたイオンガン1aの断面模式図である。
ガス噴射ノズル2aの挿入口18aを設ける位置は、ガスのイオン化(プラズマ化)に影響がない位置が好ましく、放電領域20以外の場所が好ましい。(図8A参照)挿入口17は、最低1つ設ければよい。
イオンガン1の開口とは反対側に位置するカソード12aにガス噴射ノズル2の挿入口18aを設けることで、アノード11とカソード12aの近傍に噴射ガスJを噴射しやすくなり、噴射ガスJの噴射圧力を低くすることが可能となる(図8B参照)。噴射ガスJの噴射圧を低くすることで、アルゴン等の噴射ガスJの使用量を削減できる。アノード11とカソード12aを短絡する堆積物(図示省略)がガス噴射ノズル2aによるガス噴射により処理(除去)されやすくなる。
又、ガス噴射ノズル2aのガス噴射口をアノード11表面に平行となる位置に設けることにより、アノード11表面に堆積した堆積物(図示省略)をアノード11表面から剥離する様に処理(除去)することが可能となる。
そして、試料保持系3の位置を保持したまま、噴射ガスJを噴射することが可能となり、試料Sの加工精度が維持可能となる。
本実施形態でもガス噴射ノズル2aを形成する材料に制限はない。しかし、ガス噴射ノズル2aは、挿入口18aからイオンガン1a内部に挿通可能な適度な弾性を備えた外部応力、自重、噴射ガスJの噴射等によって変形しにくい材質で形成されることが好ましい。ガス噴射ノズル2aを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
ガス噴射ノズル2aの形状は、任意の形状で構わない。ガス噴射ノズル2aのガス噴射口を、例えば、ノズル先端を閉じてノズル先端部の側面に設けることで、アノード11とカソード12、13を短絡する堆積物にガスを直接噴射することも可能となる。又、ノズル先端でアノード11表面に堆積した堆積物(図示省略)をアノード11表面から剥離する様に処理(除去)することも可能となる。
本実施形態においては、挿入口18aに気密シールを設けることが好ましい。これにより、イオンガン1aの内部、及び、試料室5内を真空状態に保ったままガス噴射ノズル2aを挿入して堆積物(図示省略)の処理(除去)が可能となる。
ガス噴射ノズルの挿入機構(図示省略)は、任意の構造とすることができ、例えば、第1実施形態と同様に歯車を使用した機構とすることができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、ガス噴射ノズルの挿入位置を第1実施形態から変更した形態であり、イオンガン1bの磁石15bにガス噴射ノズル2bの挿入口18bを設けてイオンガン1bの内部にガス噴射ノズル2bを挿入する形態である。
図9は、本実施形態におけるガス噴射ノズル挿入口18bを磁石15bに設けたイオンガン1bの断面模式図である。
ガス噴射ノズル2bの挿入口18bを設ける位置は、磁石15bが形成する磁場に影響がない位置が好ましい。挿入口18bは、最低1つ設ければよく、磁場への影響を抑えるため、複数設けてもよい。挿入口を複数設ける場合、磁場への影響を抑えるため、挿入口18bが磁石15bの中心軸(イオンビーム軸)に対して対称に設けられることが好ましい。
アノード11とカソード12の間に挿入口18bを設けることで、アノード11とカソード12の近傍に噴射ガスを噴射しやすくなり、噴射ガスの噴射圧力を低くすることが可能となる。噴射ガスの噴射圧力を低くすることで、アルゴン等の噴射ガスの使用量を削減できる。アノード11とカソード12を短絡する堆積物(図示省略)をガス噴射ノズル2bによるガス噴射により処理(除去)しやすくなる。
試料保持系3(図1参照)の位置を保持したまま、噴射ガスを噴射することが可能となり、試料Sの加工精度が維持可能となる。
本実施形態でもガス噴射ノズル2bを形成する材料に制限はない。しかし、ガス噴射ノズル2bは、挿入口18bからイオンガン1b内部に挿通可能な適度な弾性を備えた外部応力、自重、噴射ガスの噴射等によって変形し難い材質で形成されることが好ましい。ガス噴射ノズル2bを形成する材料としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
ガス噴射ノズル2bの形状は、任意の形状で構わない。ガス噴射ノズル2bのガス噴射口を、例えばノズル先端を閉じてノズル先端部の側面に設けることで、アノード11表面に堆積した堆積物(図示省略)をアノード12表面から剥離する様に処理(除去)することが可能となる。又、ノズル先端が閉じていることにより、ノズル先端でアノードとカソードを短絡する堆積物(図示省略)を直接移動させることも可能となる。
本実施形態においては、挿入口18bに気密シールを設けることが好ましい。これにより、イオンガン1bの内部、及び、試料室内を真空状態に保ったままガス噴射ノズル2bを挿入して堆積物の処理(除去)が可能となる。
ガス噴射ノズル2bの挿入機構(図示省略)は、任意の構造とすることができ、例えば、第1実施形態と同様に歯車を使用した機構とすることができる。
(第4実施形態)
本実施形態は、イオンガンに堆積物の排出口を設けた形態であり、イオンガンの磁石に排出口(排気口)を設けた形態である。
図10Aは、本実施形態における磁石15cに排出口を設けたイオンガン1cを示す概略模式図である。図10Bは、本実施形態におけるにおけるイオンガン1cの磁石15cを示す概略模式図である。
イオンガン1cの磁石15cに堆積物(図示省略)の排出口19を設けることで、例えば噴射ガスJによってアノード11の表面から除去した堆積物Dをイオンガン1cから排出することが可能となる。これにより、イオンガン1cを分解することなく、イオンミリング装置を長時間使用することができる。
排出口19を設ける位置は、ガスのイオン化(プラズマ化)に影響がない位置が好ましい。排出口19は、磁場への影響を抑えるため、複数設けてもよい。排出口を複数設ける場合、磁場への影響を抑えるため、排出口19が磁石15cの中心軸(イオンビーム軸)に対して対称に設けられることが好ましい(図10B参照)。
排出口19は、イオンガン1cの開口の反対側に位置するカソード12とアノード11の間に設けると、イオンガン1cの開口から噴射ガスを噴射してアノード11とカソード12を短絡していた堆積物Dを排出しやすくなる。又、イオンガン1cの開口側に位置するカソード13とアノード11の間に排出口19を設けることで、加速電極14に付着していた堆積物Dを排出しやすくなる。排出口19は、最低1つ設ければよい。
本実施形態においては、排出口19に開閉可能な気密シールを設けることが好ましい。これにより、堆積物Dの排出時以外はイオンガン1bの内部、及び、試料室17内を真空状態に保つことが可能となる。
又、排出口19に吸引手段を接触させることによって、堆積物Dを排出口19から吸引して排出してもよい。
なお、堆積物Dの排出口19は、本発明の必須の構成要件ではない。
(第5実施形態)
本実施形態は、ビーム電流検出板にコーティング用のターゲットを備えた形態である。
図11Aは、本実施形態における導電性ターゲット及びノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板21dを示す概略模式図である。図11Bは、本実施形態における導電性ターゲット27及びノズル挿入機構を設けたビーム電流検出板21dによるビーム電流検出を示す概略模式図である。
本実施形態のビーム電流検出板21dは、第1実施形態のビーム電流検出板21の下部(先端部)に、カーボン等の導電性のターゲット27が備えられている(図11A参照)。イオンビームBの検出方法は、第1実施形態と同様である(図11B参照)。
走査電子顕微鏡(SEM)で非導電性試料を観察する場合、試料表面の帯電(チャージアップ)が原因となり観察が困難になることが多い。この様な場合、コーティング装置を用いて、試料表面を導電性コーティングすることが一般的となっている。
従来のビーム電流検出板では、導電性やイオンビームに対する強度が必要であることから、スパッタされにくい金属材料を用いることが一般的である。又、ビーム電流検出板を導電性ターゲットと同じ材料で形成すると、コーティングに伴い消耗した場合は、ビーム電流検出板全体を交換する必要が生じる。本実施形態の様に構成することで、イオンミリング装置の整備が行いやすくなるとともに、試料に合わせてターゲットを交換することも可能となる。
試料Sをコーティングする場合は、ターゲット27がイオンガン1の開口(射出口)の正面に位置する様にビーム電流検出板21dを移動させる。イオンビームBをターゲット27に照射することで、ターゲット27を構成する材料がスパッタされる(図11C参照)。スパッタされた粒子が試料Sの表面に均一に付着する。
イオンビームBを照射する(スパッタする)時間を調整することで、試料Sの表面に任意の膜厚の導電性コーティング膜Cを形成することができる。イオンビームBのスパッタによるコーティングは、加熱を伴わないため、従来の抵抗加熱法によるコーティングと比べ、試料Sへの熱ダメージを軽減することができる。
又、ターゲット27をイオンビームBに対して、70°前後に配置することが好ましい。この様に配置することで、スパッタ効率が高まる。イオンビームBに対するターゲット27の角度は、ターゲット27の形状を加工する、ビーム電流検出板21d自体を傾斜させることで調整してもよい。
ターゲット27を金、白金、金パラジウム、白金パラジウム、タングステン等に変更することで、粒子径の異なるコーティングが可能となる。
コーティングは、試料台を回転しながら、又は、角度を連続的に変えながら行ってもよい。これにより、凹凸の激しい試料に対しても均一にコーティングすることが可能となる。
(第6実施形態)
本実施形態は、1台のイオンミリング装置で2種類の異なるミリング加工を可能とする形態である。本実施形態における試料保持系3は、断面ミリング加工と平面ミリング加工の両方を行うことができる。
図12は、本実施形態におけるイオンミリング装置100eの試料室5を中心とする概略模式図である。イオンガン1(図示省略)、及び、ガス噴射ノズル2(図示省略)は、試料室5の側方、即ち、紙面の手前側に存在する。
本実施形態におけるイオンミリング装置100eの試料保持系3について詳しく説明する。
試料保持部材31は、試料Sを固定する試料台32と、試料台32に固定された試料Sの一部を遮蔽する遮蔽部33と、を含んで構成される。試料台32と、遮蔽部33は一体に構成されてもよい。図12では、試料台32と、遮蔽部33が一体に構成された状態を示す。
試料保持部材31は、更に、試料台32を回転する試料台駆動部(図示省略)及び遮蔽部33と試料Sとの遮蔽位置関係を調整する遮蔽部位置調整部(図示省略)から構成される試料遮蔽ユニット34と、イオンビームBと垂直に試料遮蔽ユニット34を駆動できる試料遮蔽ユニット微動機構35と、を含んで構成されてもよい。
試料保持部材設置部41には、試料保持部材31(試料遮蔽ユニット微動機構35を含む試料Sを保持する部材)を搭載可能な回転体42が設けられている。回転体42は、試料保持部材31を支持する支持台として機能する。試料保持部材設置部41は、例えば、回転体42と歯車(図示省略)とベアリング(図示省略)を含んで構成されている。試料遮蔽ユニット微動機構35は、試料遮蔽ユニット微動機構35の後面に遮蔽ユニット固定部43を設置している。
試料保持部材設置部41への試料遮蔽ユニット微動機構35の搭載方法は、試料遮蔽ユニット微動機構35の固定面(後面)と試料保持部材設置部41の回転体42上面を接触させて、遮蔽ユニット固定部43によりねじ固定される。試料保持部材設置部41全体は回転傾斜されず、試料保持部材設置部41に搭載されている回転体42により、試料室5側面方向より照射されるイオンビームBの光軸に対して任意の角度に回転傾斜できる様に構成されている。回転傾斜させる方向と傾斜角度は、試料保持部材駆動部(図示省略)により制御される。
試料保持部材駆動部による回転体42を回転傾斜させる方法は、任意の方法とすることができる。例えば、試料保持部材設置部41の下部に設けた試料保持部材駆動部によって、試料保持部材設置部41の回転体42を回転傾斜させることにより、試料遮蔽ユニット微動機構35上に設置する試料SをイオンビームBの光軸に対して所定の角度に設定することができる。
更に、試料保持部材設置部41の回転体42の回転軸と試料上面(遮蔽部33下面)の位置を一致させて、効率良い平滑な加工面を作製している。又、試料遮蔽ユニット微動機構35は、イオンビームBの光軸に対して垂直方向の前後左右、すなわち、X方向とY方向に移動できる様に構成される。
試料保持部材設置部41は、試料室5の壁の一部を兼ねるフランジ52に配置されている。フランジ52は、リニアガイド53に沿って引き出される様に構成されている。つまり、試料保持部材設置部41は、リニアガイド53に沿って試料室5から引き出される。
試料遮蔽ユニット34を備えた試料遮蔽ユニット微動機構35は、試料保持部材設置部41に着脱自在に固定される構成を有する。試料遮蔽ユニット34を備えた試料遮蔽ユニット微動機構35は、試料保持部材設置部41を試料室5から引き出して試料保持部材設置部41に搭載される。試料保持部材設置部41に搭載された試料遮蔽ユニット34を備えた試料遮蔽ユニット微動機構35が試料室5の外部に引き出されると、試料遮蔽ユニット34を備えた試料遮蔽ユニット微動機構35は、試料保持部材設置部41から着脱可能状態とされる。
この着脱は、人手によって、若しくは適当な器具によって行う。
試料遮蔽ユニット34本体の構成を説明する。本実施形態では、少なくとも試料台32と試料台の回転機構(図示省略)、及び、遮蔽部33と、遮蔽部と試料との遮蔽位置関係を微調整する遮蔽部位置調整部(図示省略)とを一体に構成したものを試料遮蔽ユニット34(本体)と称する。
試料台の回転機構(図示省略)は、試料台回転リングと試料台回転ネジが備えられており、イオンビームBの光軸に対して垂直に試料台32を回転できる様に構成されている。試料台回転リングは、試料台回転ネジを回すことによって回転する様に構成されており、逆回転は弾性体の弾性力で戻る様に構成されている。
試料遮蔽ユニット34は、遮蔽部33の位置と回転角とを微調整できる機構を備え、試料遮蔽ユニット微動機構35に取り付け、取り外しができる。本実施形態では試料遮蔽ユニット34と試料遮蔽ユニット微動機構35とは、2部品で構成されているが、1部品で構成されてもよい。
遮蔽部33は、遮蔽部保持部(図示省略)に遮蔽部固定ネジ(図示省略)により固定される。遮蔽部保持部は、遮蔽部微調整機構(即ち、遮蔽位置調整部)を操作することによってリニアガイド53に沿って移動する。これにより試料Sと遮蔽部33の位置が微調整される。試料台32は、下部側より試料台回転リング(図示省略)に挿入され固定される。試料Sは試料台32に接着固定される。試料台位置制御機構(図示省略)により試料台32の高さ方向の位置を調整し、試料台32を遮蔽部33に密着させる。
試料Sの断面と遮蔽部33とを平行にする方法を説明する。試料台回転ネジ(図示省略)を回して位置調整を行い、試料Sの断面と遮蔽部33の稜線とが平行になる様にして顕微鏡下で微調整する。この時、試料Sの断面が遮蔽部33より僅かに突出、例えば50μm程度突出する様に遮蔽部微調整機構(図示省略)を回して設定する。
本実施形態に係るイオンミリング装置100eは、試料保持部材設置部41に回転機能(回転体42)が設けられ、かつ、イオンビームBの中心軸に対して垂直方向の傾斜軸を持つ傾斜機構が設けられている。更に、本実施形態に係るイオンミリング装置100eは、傾斜角を90度とした際のイオンビームBの中心軸と試料遮蔽ユニット微動機構35の回転軸をずらす偏心機構が設けられる。
試料Sの回転機能を有し、イオンビームBの入射角、偏心量を任意に決めることにより、断面ミリング(マスクを介して、試料Sをミリングし平滑な面を作成する装置)でありながら、平面ミリング(イオンビーム軸に対し垂直な面(試料台保持部の傾斜角度90度時)を平滑に加工する)が可能になる。
但し、断面ミリングと平面ミリングは、イオンガン1の性能によってイオンガン1と試料S間の距離を変更する必要がある。このため、イオンビームB(図3参照)の中心軸の方向にイオンガン1又は試料台32の可動機構(図示省略)を設けている。従って、イオンガン1により断面ミリングと平面ミリングを行う際のイオンガン1と試料S間距離が決定するので、試料Sを搭載している試料台32の位置又はイオンガン1の位置により断面ミリング又は平面ミリングを認識し、断面ミリング又は平面ミリングモード(例えば、回転傾斜又は回転)を切り替える機能を有している。
本実施形態のイオンミリング装置100eは、イオンビームBの中心軸に対して垂直な面内に存在する第1の回転軸を有する試料保持部材設置部41上において、イオンビームBの中心軸及び第1の回転軸のそれぞれに対して垂直である第2の回転軸を回転、傾斜中心とした回転、又は往復傾斜駆動を行い得る。即ち、本実施形態の試料保持系3は、断面ミリングのときの往復傾斜駆動と、平面ミリングのときの試料Sの回転又は往復傾斜駆動を、試料保持部材設置部41(回転機構)にて行うことを特徴としている。
図12に示す本実施形態のイオンミリング装置100eにおいて、イオンガン1(図示省略)は試料室5の側方(紙面手前側)に設置されている。この様な構成とする理由は、試料保持部材設置部41(ステージ51)の非傾斜時(例えば、断面ミリング時)に、試料保持部材設置部41を安定した状態とすることできるからである。試料保持部材設置部41の非傾斜状態で、断面加工を行うためには、イオンビームBを側方から照射する必要があり、そのためにイオンガン1が試料室5の側方に設置されている。
又、それに伴って加工断面を確認するための加工観察窓54を試料室5の上方(重力のある環境で、重力場の向かう方向と反対の方向)に設置した。この様な構成によれば、断面ミリング時の加工断面の確認と、平面ミリング時の加工面の確認を1つの加工観察窓54で行うことが可能となる。
加工観察窓54と試料Sの間にシャッタ55が設けられている。このシャッタ55は、スパッタされた粒子が加工観察窓54に堆積することを防ぐために設置される。
なお、本実施形態におけるイオンミリング装置100eは、真空封止が可能な加工観察窓54以外に、遮蔽部33と試料Sとの遮蔽位置関係を観察する光学顕微鏡や電子顕微鏡を備えていてもよい。これらは、試料室5に設けられた開口(加工観察窓54)に交換可能に備えられていてもよい。
次に、本実施形態におけるイオンミリング装置100eの操作方法について説明する。
操作部62には、加工モード設定部、試料台動作条件設定部、回転機構動作条件設定部、ガス噴射条件設定部が備わる。
操作部62(操作パネル)に備わる加工モード設定部には、平面ミリング(Flat)か、断面ミリング(Cross-section)かを選択するボタンが配置されており、どちらか一方の択一的な選択が可能となっている。又、試料台動作条件設定部には、傾斜(tilt)か、往復傾斜(swing)かを選択するボタンが配置されており、どちらか一方の択一的な選択が可能となっている。試料台動作条件設定部には更に、傾斜角度、或いは往復傾斜の角度範囲(Angle)と、往復傾斜の場合の周期速度(Speed)を設定する設定部が設けられている。更に、回転機構動作条件設定部(図示省略)には、回転機構による往復傾斜角度(Angle)と、往復傾斜の周期速度(Speed)を設定する設定部が設けられている。
ここでの試料台とは、試料保持系3の試料保持部材駆動部のことであり、回転機構とは、試料保持系3の試料保持部材設置部41を構成する回転体42のことである。
そして、ガス噴射条件設定部は、第1実施形態と同様、ガス噴射ノズル2から噴射ガスのガス噴射によるイオンガン1の整備について条件を設定する。
断面ミリング加工には、回転体(回転機構)42の往復傾斜駆動を要する反面、試料保持部材設置部41の往復傾斜駆動を必要としない。よって、断面ミリング加工を選択(Cross-Sectionのボタンを選択)したとき、試料台動作条件設定部における設定を禁止、或いは無効とする様にイオンミリング装置100eの制御系6を構成しておくと良い。又、断面ミリング時に試料台32を傾斜してしまうと、加工対象とは関係のない部分にイオンビームBを照射したり、試料Sの断面を斜めに加工してしまうことになる。このため、断面ミリング加工を選択したとき、試料台32が傾斜した状態にある場合に、イオンビームBの照射を行わない様な制御を行ったり、警告を発することで、使用者に注意を促す様にしても良い。又、試料台32の傾斜角度をゼロにする様に制御を行っても良い。
又、平面ミリング加工には、試料台32の傾斜と、回転体42の回転又は往復傾斜と、の双方を用いるため、試料台動作条件設定部(図示省略)と、回転機構動作条件設定部(図示省略)の双方の入力を有効にする必要がある。
本実施形態のイオンミリング装置100eでは、回転体42に、断面ミリング時の往復傾斜駆動と、平面ミリング時の回転駆動の両方を行わせることによって、1台のイオンミリング装置100eで2種類の異なるミリング加工が可能である。
本実施形態では、操作部62に備えられた切替スイッチによる加工種類の選択によって、断面ミリング加工を行うか、平面ミリング加工を行うかの選択を行う。しかし、これに限ることはなく、例えば、試料保持部材31の形状を認識するセンサを備えて、認識結果の信号を演算処理部に送信して使用者の操作によらずに制御部61が加工種類を選択する様にしても良い。
又、操作部62における加工種類選択と、装置状態とを比較して、当該選択、又は装置状態が適切ではない場合に、演算処理部は、警告の信号を出力部に伝達し、使用者へ警報を発生する様にしてもよい。これにより、使用者が、誤った条件に基づく加工を回避することができる。
又、断面ミリングと平面ミリングはイオンガン(イオン源)の性能によって、イオンガンと試料間の距離を変更する必要があるため、試料台の位置の設定に応じて、使用者の操作によらずに制御部61が加工種類を切り替える様にしても良い。更に、試料台の位置設定と、加工種類の選択が矛盾する様な場合に、制御部61が所定の信号を発して、警告を発する様にしても良い。この場合も後記する図12に例示する様な段階を経て、設定を行うことによって、誤った設定を抑制することが可能となる。又、加工種類の選択によって、演算処理部が試料台位置を制御しても良い。
(第7実施形態)
本実施形態は、第6実施形態におけるイオンミリング方法において、制御部61で加工の種類に対応した適切な試料保持部材31であるか確認を行う実施形態である。
図13は、本実施形態におけるイオンミリング方法の加工種類とイオンミリング装置の状態を比較して、正確な装置設定を操作者に促す表示をするためのフローチャートである。
本実施形態におけるイオンミリング方法の使用者は、加工対象の試料Sを試料室5内に配置した後、操作部62にて加工の種類を入力する(S21)。
ここで、制御部61は、いずれの加工が選択されたか判断し(S22)、選択された加工に見合った試料保持部材31が試料保持部材設置部41に設置されているかを判断する(S23、又は、S26)。
所定の試料保持部材31が設置されているか否かの判断は、両者の違い、及び試料保持部材31の設置の有無を判断するためのセンサを試料室5内に備えることにより行う。このセンサが、試料保持部材31自体が設置されていない、又は設定された加工種類に不適な試料保持部材31が設置されている旨の信号を発した場合、制御部61は、出力部を介して所定の信号を表示部63に伝達し、警告を発する(S30)。警告は、例えば、表示部63上に“Err”の様な表示を行ってもよいし、他の表示手段、又は警報発生機を用いてもよい。
次に、制御部61は、使用者が断面ミリングを選択した場合(S22)、試料保持部材31が設置されているか判定した後(S23)、試料ステージ51(試料保持部材設置部41)の傾斜角がゼロになっているかを判定し(S24)、ゼロでない場合に出力部を介して所定の信号を表示部63に伝達し、警告を発する。この様な警告の発生によって、断面ミリングに適さない試料保持部材31の状態となっていることを把握することが可能となり、誤った加工を行う事態を抑制することができる。
制御部61は、試料台32の傾斜角が適正に設定されていることを確認した上で、回転体42の往復傾斜駆動の条件の入力を可能とする状態に移行する(S25)。
使用者が平面ミリングを選択した場合は(S22)、傾斜ステージ51と回転体42(回転機構)の双方を駆動することになるため、両者の条件設定を可能とする状態に移行する(S27)。
更に、制御部61は、他に設定すべき条件(イオンビーム電流、加工時間等)が設定されていることを判定し(S28)、加工を開始する(S29)。
この様な段階を経由することにより、2種類の加工を行い得る装置において、誤った選択を行うことがなくなり、容易に加工条件設定を行うことが可能となる。
又、試料保持部材設置部41(ステージ51)が傾斜していた場合(傾斜角0°以外の場合)、非傾斜状態となる様に、制御部61は、試料保持部材設置部41(試料保持部材駆動部)を制御する様にしても良い。
以上の様に、制御部61は、加工種類の設定情報と、装着された試料保持部材31の種類、及び装置の状態を認識すると共に、これらの情報を比較することによって、現在の設定状態が適切なものか否かを容易に判断することができる。よって、誤った設定に基づく加工を未然に防ぐことが可能となる。
(変形例1)
本変形例は、ガス噴射ノズルの挿入に利用するビーム電流検出板を第1実施形態から変更した変形例であり、ビーム電流検出板にノズル挿入口、ガスノズル口を設けることなく、ガス噴射ノズルを配置する形態である。
第1実施形態においては、ビーム電流検出板21に設けたガスノズル口23を利用してガス噴射ノズル2をイオンガン1の内部に挿入している。
しかし、本変形例では、ビーム電流検出板の側面に沿って管状の部材を設け、管状の部材の端部をガスノズル口とした構成とする。この構成の場合、ビーム電流検出板は、鉛直方向を上下動するだけではなく、水平方向を左右動する。
ビーム電流検出板は、横長の形状であり、ビーム電流検出板の側面に沿って管状の部材を設け、端部をガスノズル口とした構成としてもよい。この構成の場合、ビーム電流検出板は、少なくとも水平方向の1軸上を左右動する。
又、ビーム電流検出板は裏面に沿って管状の部材を設け、ビーム電流検出板の下端に管状の部材の端部を配置し、端部をガスノズル口として構成してもよい。この構成の場合、ビーム電流検出板は、少なくとも水平方向の1軸上を左右動する。
ビーム電流検出板は、同様に、横長の形状であり裏面に沿って管状の部材を設け、下端に管状の部材の端部を配置し、端部をガスノズル口として構成してもよい。この構成の場合、ビーム電流検出板は、鉛直方向を上下動するだけではなく、水平方向を左右動してもよい。
そして、ビーム電流検出板は、上部にビーム電流検出板とは別体の管状の部材の端部を配置してガスノズル口として構成してもよい。ガス噴射ノズル2は、管状の部材を挿通してガスノズル口に配置する。
いずれの場合であっても、噴射ガスを噴射して堆積物を処理(除去)する効果に第1実施形態との差異はない。
(変形例2)
第1実施形態においては、ガス噴射の際に試料保持系を移動させていないが、試料保持系を加工位置から退避させて、ガス噴射ノズルをイオンガンの開口(射出口)に直接挿入してもよい。又、ガス噴射ノズルをイオンガンの開口からイオンガンの内部まで挿入してもよい。
本変形例では、ガス噴射ノズル2は、イオンガンの開口からイオンガン内部に挿通可能な適度な弾性を備えた外部応力によって変形し難い材質で形成されることが好ましい。又、ガス噴射ノズル2は、自重や噴射ガスの噴射により変形しにくい材質で形成されてもよい。ガス噴射ノズル2を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
この様に構成することで、ガス噴射ノズル2の変形等による挿入位置の位置ずれが発生しにくくなり、ガス噴射ノズル2の挿入精度が高まる。そして、ガス噴射位置の制御もしやすくなり、より堆積物Dの処理(除去)が行いやすくなる。
(変形例3)
本変形例は、第1実施形態における加速電極に向けてガスを噴射するステップ(S14)と、ガス噴射ノズルをイオンガン内に挿入するステップ(S15)の間に、電極の短絡及び放電不安定が解消したか否か確認するステップを設けた形態である。
制御部61は、入力部に接続されるビーム電流検出板21のビーム電流検出領域22の検出器において、ビームBの電流をモニタリングする。イオンガン1に放電電圧を印加した状態でビーム電流検出領域22の検出器を流れる電流が所定の値以上であれば、イオンガン1の電極間の短絡が解消したと判定する。
入力部を構成するセンサにより加速電極14と加速電源82に流れる電流を測定して、電流値が所定の電流値よりも小さくなり、かつ、カソード13と加速電源82に流れる電流を測定して、電流値が所定の電流値よりも小さくなった場合は、ソード13と加速電極14間に短絡が解消したと判定する。
同様に、制御部61は、入力部に接続されるビーム電流検出板21のビーム電流検出領域22の検出器において、ビームBの電流をモニタリングする。所定時間(例えば、5分間)におけるビーム電流検出領域22の検出器を流れる電流の変動幅が所定値未満である場合(例えば、5%未満)、制御部61は、イオンガン1の放電が安定であると判定する。
入力部を構成するセンサにより加速電極14と加速電源82に流れる電流を測定して、所定時間(例えば、5分間)における電流の変動幅が小さくなり(例えば、5%以下)、かつ、カソード13と加速電源82に流れる電流を測定して、所定時間(例えば、5分間)における電流の変動幅が小さくなった場合(例えば、5%以上)は、イオンガン1の放電が安定であると判定する。
制御部61は、短絡及び放電不安定が解消したと判定した場合、一時中断していた加工を再開する。
この様な構成により、カソードや加速電極における堆積物の付着等が原因であって、カソードや加速電極に向けて噴射ガスを噴射することにより堆積物の処理(除去)が可能である場合に、整備時間の短縮が可能となる。そして、イオンミリング装置の稼働効率が向上する。
(変形例4)
第1実施形態においては、試料Sのイオンミリング(イオンビーム加工)前に噴射ガスを噴射してイオンガンの整備を行っている。しかし、イオンミリング装置の電源投入時に同様の手順で噴射ガスをイオンガン内部に噴射して、イオンガンの整備を行ってもよい。イオンビーム加工終了後に同様の手順で噴射ガスを噴射して、イオンガンに堆積した堆積物を処理(除去)してもよい。
(変形例5)
第1実施形態においては、ビーム電流検出板21を利用してガス噴射ノズル2をイオンガン1の内部に挿入している。しかし、ビーム電流検出板21を利用することなく、例えば、ロボットアームを利用してガス噴射ノズル2をイオンガン1の内部に挿入してもよい。この構成であっても、発明の効果に差異はない。
(変形例6)
第1実施形態においては、噴射ガスの噴射による堆積物の処理を制御系6の制御により行う場合について説明したが、使用者が必要に応じて堆積物の処理を行う様に構成してもよい。この場合、操作部62に手動開始用のスイッチを設ける。この構成であっても、発明の効果に差異はない。
(変形例7)
本変形例は、第1実施形態におけるイオンガンを冷陰極型直流放電(グロー放電)方式のイオンガンに変更した変形例である。
本変形例において使用するイオンガンは、アノードと、カソードと、アノードとカソードとを絶縁する絶縁体と、イオン化室を含んで構成される。
本変形例において使用するイオンガンは、例えば、有底円筒形状のイオン化室を有する。このイオン化室は、イオンビーム射出口となる開口部の中心部に(イオンビーム射出方向の中心軸上に)アノードを備える。又、イオンガンは、中心部にイオンビーム取出口となる開口部を設けたカソードをイオンビーム射出方向の中心軸上に備える。アノードとカソードは、絶縁体で絶縁されている。
イオン化室は、アノードと、カソードと、絶縁体とを支持し、希ガス等の放電ガス(不活性ガス)の導入口を備える。アノードとカソードは、電源系に接続される。
イオンビーム射出は、次の様に行う。
イオン化室内の絶縁体で絶縁されたアノードとカソードの両電極間に高電圧を印加する。イオン化室内に放電に適した圧力となる様に不活性ガスを導入する。これにより、両電極間でグロー放電を起こす。このグロー放電により発生した不活性ガスのイオンの一部が、陰極であるカソードに設けた開口部からイオンビームとして射出される。
本変形例においても、第1実施形態と同様にガス噴射ノズルを使用して、イオンガンの電極に堆積した堆積物を処理することが可能であり、同様の効果が得られる。
(変形例8)
本変形例は、第1実施形態におけるイオンガンを熱陰極型直流放電(アーク放電)方式のイオンガンに変更した変形例である。
本変形例において使用するイオンガンは、プラズマ生成室と、アノードと、カソードと、ソレノイドコイル、引出電極を含んで構成される。
プラズマ生成室は、形状に制限はなく、例えば、有底円筒形状である。プラズマ生成室は、不活性ガスを導入する導入口を備える。このプラズマ生成室は、底部の中心部に(イオンビーム射出方向の中心軸上に)カソードを備える。又、プラズマ生成室は、円筒内面にアノードを備える。
カソードは、例えば、フィラメント等熱電子を放出する電極が好ましい。カソードは、複数のフィラメント等から構成されていてもよい。引出電極は、イオンビームを取り出す開口部を有する。この開口部の数も制限はない。
カソードは、外側(プラズマ生成室の内壁に近い側)にマイナス端子が位置する様に電極電源に接続され、所定の電圧が印加される。アノードは、アーク電源の正極側が接続され、負極側は電極電源の正極側に接続されて、アーク電圧が印加される。
イオンビーム射出は、次の様に行う。
カソードに電極電源から電流を流して、熱電子を発生させた状態において、プラズマ生成室内に放電に適した圧力となる様に不活性ガスを導入する。アーク電圧を印加して、プラズマ生成室内のアノードとカソードの両電極間でアーク放電を起こす。このアーク放電により不活性ガス分子が、熱電子と激しく衝突して電離し、イオン化する。プラズマ生成室内では、不活性ガスイオン、電子、不活性ガスが混在して、全体として電荷が中性のプラズマが存在する。発生した不活性ガスのイオンの一部が、プラズマ生成室の開口に設けた引出電極により引き寄せられて、引出電極の開口部からイオンビームとして射出される。
プラズマ生成室の周囲に配置されたソレノイドコイルによって、プラズマ生成室の内壁近傍にカスプ磁界が形成されている。このカスプ磁界が電子の飛行距離を延ばして、イオン化率を増加させる。
プラズマ生成室内全域でプラズマを生成することは、カソードからの電子(フィラメントから放出する熱電子)がアノードに到達する迄の飛行距離が長くなり、プラズマ生成室内の不活性ガス分子と衝突する確率が高くなり、高密度プラズマを生成する上で有利となる。
引出電極(加速電極)は、多数のアパチャ(孔)をほぼ全面にわたって均一に設けたものでもよい。更に、減速電極が、加速電極と所定の間隔をあけて対向配置されており、両電極のアパチャ(孔)を一致させてもよい。
又、加速電極と減速電極は、中央部がいずれも、中央部が試料室側に膨出する様に若干量湾曲していてもよい。
又、ヒータが、加速電極及び減速電極のほぼ全周にわたるリング状に構成され、各電極の両面に取り付けられていてもよい。これらヒータの間に加速電極及び減速電極の周縁部を挟み込む様に構成されていてもよい。
本変形例においても、第1実施形態と同様にガス噴射ノズルを使用して、イオンガンの電極に堆積した堆積物を処理することが可能であり、同様の効果が得られる。
(変形例9)
本変形例は、第1実施形態におけるイオンガンを高周波放電方式のイオンガンに変更した変形例である。
本変形例において使用されるイオンガンは、プラズマ生成室と、プラズマ拡張室と、高周波コイル、引出電極を含んで構成される。
プラズマ生成室は、形状に制限はなく、例えば、有底円筒形状であり、石英からなる。プラズマ生成室は、高周波コイルが巻かれて形成されている。プラズマ生成室は、放電ガスである不活性ガスを導入する導入口を備える。
プラズマ生成室は、プラズマ拡張室が連結されている。プラズマ拡張室は、プラズマ生成室よりも大きな径をもって形成されている。プラズマ拡張室は、外周に多極の永久磁石が配置されている。永久磁石は、反対の極が隣り合う様に配置されている。
プラズマ拡張室と試料室との間には、引出電極が配置されている。引出電極は、導電性の材料で円板状に形成されている。引出電極は、モリブデン、タングステン等の高融点材料で形成されるのが好ましい。
引出電極は、加速電極、減速電極から構成されている。加速電極と減速電極は、プラズマ拡張室から試料室に向けてこの順に間隔を開けて対向配置されている。加速電極と減速電極の間隔は、例えば、1.5mm〜2.0mm程度である。
加速電極と減速電極には、イオンビームが通過する多数の引出穴が形成されていてもよい。加速電極と減速電極の引出穴は、ほぼ同一の径であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。加速電極と減速電極の引出穴は、平面視で重なる様に配置されており、イオンビームが損失なく試料室に引き出される様に配置されている。
プラズマ生成室、プラズマ拡張室、試料室が排気手段により排気される。排気した後、放電ガス(不活性ガス)がプラズマ生成室に供給される。
高周波コイルは、高周波電源が接続されて、高周波電力が供給される。高周波電力が印加されると、放電ガスがプラズマ化する。生成したプラズマは、プラズマ拡張室に拡張する。
永久磁石は、磁場によりプラズマをプラズマ拡張室に封じ込めるとともに、放電領域に磁場をかけてイオンの飛距離を長くしてイオン化率を向上させる。
加速電極は、加速電源に接続されて、例えば、500V〜2000Vの電圧が印加される。減速電極は、減速電源に接続されて−100V〜−500Vの電圧が印加される。
又、引出電極として、接地電極が試料側に設けられてもよい。接地電極は、接地、又は接地に対して−100V未満の電圧が印加される。これにより、イオンビームが安定的に引き出される。
プラズマ拡張室に拡張したプラズマからイオンが加速電極の引出穴に引き寄せられる。引き寄せられたイオンは、加速電極、減速電極の引出穴を経てイオンビームとして放出される。
本変形例においても、第1実施形態と同様にガス噴射ノズルを使用して、イオンガンの電極に堆積した堆積物を処理することが可能であり、同様の効果が得られる。
(変形例10)
本変形例は、第1実施形態におけるイオンガンをマイクロ波放電型イオンガンに変更した変形例である。
本変形例において使用するイオンガンは、プラズマ生成室と、プラズマ拡張室と、ソレノイドコイル、磁石、加速手段とを含んで構成される。
プラズマ生成室は、形状に制限はなく、例えば、円筒形状である。プラズマ生成室は、不活性ガスを導入する導入口を備える。プラズマ生成室の一端には、マイクロ波透過窓が設けられている。マイクロ波発生装置で発生したマイクロ波は、例えば、導波管を介してプラズマ生成室に導入される。プラズマ生成室の壁面は、例えば、ステンレスで構成されている。
プラズマ生成室の他端には、気密を保ってプラズマ拡張室が連結されている。プラズマ生成室内の空間は、プラズマ拡張室内の空間と連通している。又、プラズマ生成室の周囲には、ソレノイドコイルが配置されている。このコイルは、プラズマ生成室内に、透過窓から導入されるマイクロ波の伝搬方向に平行な磁界を発生させる。
プラズマ拡張室は、形状に制限はなく、例えば、円筒形状である。プラズマ拡張室の周囲には、磁極が交互になる様多数の磁石が配置されている。又、プラズマ拡張室と処理室とが連通する部分には、イオン引き出し電極が設けられている。
試料室を真空引きし、ソレノイドコイルに通電して、プラズマ生成室のイオンビーム射出方向の磁界が0.1Tになる様にする。アルゴンガスをプラズマ生成室に導入しながら、2.45GHzのマイクロ波を導入すると、マイクロ波と磁界の相互作用により、アルゴンガスのプラズマが発生する。
プラズマ生成室で発生したアルゴンガスのプラズマは、プラズマを拡張させるプラズマ拡張室を通り、プラズマ拡張室内のプラズマ中のイオンを加速する引出電極によりイオンビームとして引き出される。
本変形例においても、第1実施形態と同様にガス噴射ノズルを使用して、イオンガンの電極に堆積した堆積物を処理することが可能であり、同様の効果が得られる。
(変形例11)
第1〜7実施形態におけるイオンガンは、分解整備のために交換可能に構成されていてもよい。又、イオンガンは、1つに限られず複数備えられていてもよい。この構成であっても、発明の効果に差異はない。
(変形例12)
イオンガンの放電を起こす方式によらず、アノード、カソード、加速電極、引出電極等、少なくとも電極を一つ備え、イオンビームが照射されることによりいずれかの電極において堆積物が付着する可能性を有するイオンガンであれば、本願発明の効果が得られる。
以上、本発明に係るイオンミリング装置について最良の実施の形態を示して詳細に説明した。なお、本発明の内容は、前記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 イオンガン
2 ガス噴射ノズル
3 試料保持系
5 試料室
6 制御系
7 真空引き系
8 電源系
11 アノード
12 カソード
13 カソード
14 加速電極
15 磁石
16 ガス導入口
17 イオン化室
18 ノズル挿入口
19 排出口
20 放電領域
21 ビーム電流検出板(シャッタ)
22 ビーム電流検出領域
23 ガスノズル口
24 ノズル固定冶具
25 ノズル挿入口
26 ビーム電流遮断領域
27 ターゲット
31 試料保持部材
32 試料台
33 遮蔽部
34 試料遮蔽ユニット
35 試料遮蔽ユニット微動機構
41 試料保持部材設置部
42 回転体
43 遮蔽ユニット固定部
44 試料保持部材駆動部
51 試料ステージ
52 フランジ
53 リニアガイド
54 加工観察窓
55 シャッタ
61 制御部
62 操作部
63 表示部
81 放電電源
82 加速電源
100 イオンミリング装置
B ビーム
C 導電性コーティング膜
D 堆積物
G 放電ガス
J 噴射ガス
S 試料

Claims (18)

  1. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と、を備えるとともに、
    前記イオンガンの内部に向けてガスを噴射するガス噴射手段を前記試料室内に備える
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  2. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と
    前記イオンガンの内部に向けてガスを噴射するガス噴射手段と、
    前記ガス噴射手段を保持するガス噴射手段保持機構を有するイオンビーム電流検出板と、を備える
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  3. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と
    前記イオンガンの内部に向けてガスを噴射するガス噴射手段と、
    コーティング用のターゲットを有するイオンビーム電流検出板と、を備える
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  4. 前記ガス噴射手段は、前記イオンガンに付着した付着物にガスを噴射して前記付着物を移動させることにより、イオンビームの照射を再開させる、又は、イオンビームの照射を安定させる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のイオンミリング装置。
  5. 前記イオンガンは、前記ガス噴射手段を内部に挿入するガス噴射手段挿入口を備える
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のイオンミリング装置。
  6. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と、を備え、
    前記イオンガンは、内部に配置されて正電圧が印加されるアノード、前記アノードとの間に電位差を発生させることによってイオンを発生させるカソード、前記イオンガンの内部に磁場を形成する磁石、及び、前記イオンガンの内部にガスを供給するガス供給口、を含んで構成され
    前記ガス供給口とは異なる手段であるガスを噴射するガス噴射手段を前記試料室内に備え、
    前記ガス噴射手段は、前記イオンガンに付着した付着物にガスを噴射して前記付着物を移動させることにより、イオンビームの照射を再開させる、又は、イオンビームの照射を安定させる
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  7. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と、を備え、
    前記イオンガンは、内部に配置されて正電圧が印加されるアノード、前記アノードとの間に電位差を発生させることによってイオンを発生させるカソード、前記イオンガンの内部に磁場を形成する磁石、及び、前記イオンガンの内部にガスを供給するガス供給口、を含んで構成され
    前記ガス供給口とは異なる手段であるガスを噴射するガス噴射手段と、前記ガス噴射手段を保持するガス噴射手段保持機構を有するイオンビーム電流検出板と、を備え、
    前記ガス噴射手段は、前記イオンガンに付着した付着物にガスを噴射して前記付着物を移動させることにより、イオンビームの照射を再開させる、又は、イオンビームの照射を安定させる
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  8. イオンビームを発生するイオンガンと、
    前記イオンガンにより発生させたイオンビームによる照射加工が行われる真空状態を維持可能である試料室と、を備え、
    前記イオンガンは、内部に配置されて正電圧が印加されるアノード、前記アノードとの間に電位差を発生させることによってイオンを発生させるカソード、前記イオンガンの内部に磁場を形成する磁石、及び、前記イオンガンの内部にガスを供給するガス供給口、を含んで構成され
    前記ガス供給口とは異なる手段であるガスを噴射するガス噴射手段と、コーティング用のターゲットを有するイオンビーム電流検出板と、を備え、
    前記ガス噴射手段は、前記イオンガンに付着した付着物にガスを噴射して前記付着物を移動させることにより、イオンビームの照射を再開させる、又は、イオンビームの照射を安定させる
    ことを特徴とするイオンミリング装置。
  9. 前記イオンガンは、前記ガス噴射手段を挿入するガス噴射手段挿入口を前記磁石に備える
    ことを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載のイオンミリング装置。
  10. 前記イオンガンは、前記ガス噴射手段を挿入するガス噴射手段挿入口を前記カソードに備える
    ことを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載のイオンミリング装置。
  11. イオンミリング装置が備えるガス噴射手段によりイオンガンに向けてガスを噴射して、前記イオンガンに付着した付着物を移動させるに際し、
    前記イオンミリング装置は、前記ガス噴射手段を保持するガス噴射手段保持機構を有するイオンビーム電流検出板を備え、
    前記ガス噴射手段は、前記ガス噴射手段保持機構により保持されて、ガスを噴射する
    ことを特徴とするイオンミリング方法。
  12. 前記イオンガンの放電が停止した場合に、前記ガス噴射手段によりガスを噴射して、前記イオンガンに付着した付着物を移動させる
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  13. 前記イオンガンの放電終了後、又は、放電開始前に、前記ガス噴射手段によりガスを噴射して、前記イオンガンに付着した付着物を移動させる
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  14. 前記ガス噴射手段は、前記イオンガンの内部にガスを供給するガス供給口とは異なる手段である
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  15. 前記ガス噴射手段は、前記イオンガンに備わるガス噴射手段挿入口から前記イオンガンの内部に挿入されて、ガスを噴射する
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  16. 試料室、及び、前記イオンガンの排気を行う高真空排気手段を停止した後、前記ガス噴射手段によるガスの噴射を行う
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  17. 前記イオンガンは、
    前記イオンガンの内部に配置されて正電圧が印加されるアノード、
    前記アノードとの間に電位差を発生させることによってイオンを発生させるカソード、
    前記イオンガンの内部に磁場を形成する磁石、及び、
    前記イオンガンの内部にガスを供給するガス供給口、を含んで構成される
    ことを特徴とする請求項11に記載のイオンミリング方法。
  18. イオンミリング装置が備えるガス噴射手段によりイオンガンに向けてガスを噴射して、前記イオンガンに付着した付着物を移動させるに際し、
    前記イオンミリング装置は、コーティング用のターゲットを備えるイオンビーム電流検出板を備え、
    コーティング用のターゲットにイオンビームを照射して試料をコーティングする
    ことを特徴とするイオンミリング方法。
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