以下に、本発明に係る車両用表示装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
[第一実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る車両用表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
第一実施形態に係る車両用表示装置1は、自動車等の車両に搭載される所謂メーターであり、車両の運転に供される種々の情報を表示するものである。車両用表示装置1は、車両の運転者が運転席に着座したときに、運転席側から表示領域を視認できる位置に設置されるものであり、例えば、車両の運転席前方のインストルメントパネルに設置される。なお、図1に示す車両用表示装置1の「幅方向」とは、典型的には、この車両用表示装置1が適用される車両の車幅方向に相当する。第一実施形態では、車両用表示装置1の前面に向かって右側を幅方向の右側と表記し、その反対側を幅方向の左側と表記する。また、図1に示す車両用表示装置1の「奥行き方向」とは、典型的には、この車両用表示装置1が適用される車両の前後方向に相当する。この奥行き方向の前面側(運転席側)とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、奥行き方向の背面側とは、前面側の反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。
車両用表示装置1は、筐体2と、ディスプレイ3aと、ディスプレイ3b(情報表示部、第2ディスプレイ)と、文字板4と、導光板5(記号表示部)と、見返し6と、制御装置7(制御部)と、を備える。そして、車両用表示装置1は、図1に示すように、奥行き方向背面側から前面側にむかって、筐体2、ディスプレイ3a,3b、文字板4、導光板5、見返し6の順で積層された構造となっている。
筐体2は、車両用表示装置1の他の構成要素を組み付けて支持する。筐体2は、車両用表示装置1が一体的に組み立てられたときに、奥行き方向背面側を被覆する裏カバーとしても機能する。筐体2には、例えばLED等の警告灯用光源8が複数個設けられている。警告灯用光源8は、後述する文字板4が筐体2に取り付けられるときに、文字板4上の各種警告灯9の背面側に配置されるよう構成されている。この警告灯用光源8を点灯・消灯することで、警告灯9を表示・非表示とすることができる。警告灯用光源8は、制御装置7に電気的に接続されており、制御装置7からの指令に応じて点灯・消灯を切り替えることができる。
ディスプレイ3a,3bは、車両情報を画面に表示する。車両情報とは、例えば車速やエンジン回転数などの車両の運転状態に関する各種の文字情報及び画像情報を含む。ディスプレイ3a,3bは、制御装置7に電気的に接続されており、制御装置7からの指令に応じて表示内容を調整することができる。2つのディスプレイ3a,3bは、幅方向の略中央部分に、幅方向に沿って並んで配置される。第一実施形態では、一方のディスプレイ3aが運転席側に配置され、他方のディスプレイ3bが助手席側に配置されている。ディスプレイ3a,3bは、例えば、薄型の液晶ディスプレイであるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を適用してもよい。
文字板4は、各種の警告灯9が設けられる板状の部材である。警告灯9は、車両内の各種装置の状態や異常発生を運転者に報知する記号であり、図1に示すブレーキ警告灯、ECU異常警告灯、シフト位置表示灯の他にも任意の周知の種類のものを含む。各種の警告灯9の背面側には、上述のように警告灯用光源8が配置されている。文字板4は、各種の警告灯9が描かれている部分に透過性を持たせており、これにより、警告灯用光源8を点灯・消灯することで、警告灯9を表示・非表示とすることができる。
導光板5は、透光性材料で形成される板状の部材である。導光板5には、例えばLEDなどの導光板用光源10(光源)が設けられている。導光板用光源10は、その光軸方向が導光板5の端面と直交し、かつ、照射された光が端面から入射するように設けられている。導光板用光源10は、制御装置7に電気的に接続されており、制御装置7からの指令に応じて点灯・消灯を切り替えることができる。導光板5は、この導光板用光源10から照射される光が端面から入射されることで、主面全体を発光する。
特に第一実施形態では、この導光板5の主面上の幅方向の略中央部分に、車両を上方から視た形状を模式的に表した車体記号11(記号)が設けられている。車体記号11は、例えばレーザー加工等の手法による彫り込みによって、導光板5の主面上(好ましくは背面側の主面上)に転写される。言い換えると、車体記号11は、線画で描かれており、その描画線が導光板5上に彫り込まれて、凹形状によって形成されている。
このように導光板5の主面上に車体記号11を設けることで、導光板用光源10が点灯されて導光板5内に光が入射されたときに、車体記号の彫り込み部分に光が反射することで、導光板5上に車体記号11が表示される。つまり、導光板用光源10の点灯・消灯に応じて、車体記号11を表示・非表示とすることができる。この車体記号11は、車両用表示装置1を運転者が前面側(運転席側)から視たときに、幅方向において、2つのディスプレイ3a,3bの間のデッドスペースに重畳し、かつ、2つのディスプレイ3a,3bの間を跨るようにオーバーラップさせて配置されている。言い換えると、車体記号11は、2つのディスプレイ3a,3bの上に少なくとも一部を重畳するよう配置される。このように第一実施形態では、導光板5が、運転席側から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの間に車体記号11を表示する記号表示部として機能するものである。
見返し6は、文字板4及び導光板5の外周を囲って配置される枠状の部材である。なお、文字板4及び導光板5は、前面側(運転席側)から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの全表示領域を覆うよう設けられる。
制御装置7は、車両内の各種センサ類の情報に基づいて、車両用表示装置1の動作を制御する。制御装置7は、車両内の各種車両情報を検出するセンサ類と電気的に接続されており、これらのセンサ類から車両情報が入力される。また、制御装置7は、警告灯用光源8、ディスプレイ3a,3b、及び導光板用光源10に電気的に接続されており、これらの要素を利用して車両情報を運転者に提示する。特に本実施形態では、制御装置7は、運転者に提示する車両情報の種類に応じて、警告灯9またはディスプレイ3a,3bを個別に用いる「通常表示(図2参照)」と、車体記号11とディスプレイ3a,3bに表示する情報とを一体的に組み合わせて用いる「強調表示(図3〜6参照)」との2種類の情報表示手法を使い分けることができる。
ここで、制御装置7は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースなどを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。上述した制御装置7の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで車両内の各種装置を動作させると共に、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行なうことで実現される。制御装置7は、車両用表示装置1の内部に収容される構成でもよいし、車両用表示装置1の外部である車両内に搭載されて車両用表示装置1と電気的に接続される構成でもよい。制御装置7が車両用表示装置1の外部に搭載される構成の場合、車両の各部の駆動を制御するECU(電子制御ユニット)の一部として制御装置7の機能を実装してもよい。
次に、図2,3を参照して、第一実施形態の車両用表示装置1の動作について説明する。図2は、第一実施形態の車両用表示装置の通常表示を示す模式図である。図3は、第一実施形態の車両用表示装置の強調表示による車両情報の一例である半ドア警告表示を示す模式図である。
第一実施形態の車両用表示装置1は、車両始動後または車両走行中に、運転者に提示する車両情報の種類に応じて、図2に示す「通常表示」と、図3に示す「強調表示」との2種類の情報表示手法を使い分けるよう構成されている。
「通常表示」とは、車両の走行上の問題が特に発生していない通常走行中に運転者に提示される、運転に必要な最小限の車両情報の表示である。図2に示すように、通常表示では、例えば車速、積算走行距離、冷却水音、燃料残量、シフト位置などの情報が、ディスプレイ3a,3bまたは警告灯9を個別に利用して運転者に提示される。
一方、「強調表示」とは、車両が特定の条件下にあるときに運転者に一時的に提示される、この条件下で必要となる車両情報の表示である。特定の条件下とは、例えば車両の走行上の問題が発生したときや、発進や車庫入れなど特定の運転タスクを行うときなど、運転者に対して何らかの突発的な情報提示が必要なものを含む。図3に示すように、この強調表示では、制御装置7によって導光板5上に表示される車体記号11と、同じく制御装置7によってディスプレイ3a,3bに表示される各種情報との組み合わせによって作成される車両情報が運転者に提示される。つまり、強調表示では、ディスプレイ3a,3bの階層と、導光板5の階層の二層を利用して一体的な車両情報が作成される。
図3では、この強調表示による車両情報の一例として、車両のドア(図3の例では後部座席運転席側のドア)を開けたまま走行した場合に半ドア状態であることを運転者に提示するための半ドア警告表示14が例示されている。図3に示すように、半ドア警告表示14は、上述の導光板5上に表示される車体記号11と、ディスプレイ3a,3bに表示される情報であるドア記号12及びコメント記号13とを含む。車体記号11は、上述のように、前方側から視たときに、2つのディスプレイ3a,3bの上に一部を重畳するように配置されている。ドア記号12は、開いているドアを模式的に表すもので、前方側から視たときに、その回転軸側端部が、車体記号11の運転席側後部ドアの回転軸の位置に重畳するように描画されている。コメント記号13は、半ドア状態の詳細な説明に関する文字表示である。したがって、ディスプレイ3a上のドア記号12及びコメント記号13と、その前方側に配置される導光板5上の車体記号11とを前方側から重ねて視ると、車両のドアが開いている様子と、その警告文とを一体的に表示する半ドア警告表示14として運転者に提示される。これにより、突発的に必要となる情報を、単一のディスプレイの表示領域より大きい領域に表示することができるので、運転者に必要な情報を見やすくかつ気づきやすく提供することができる。
また、この半ドア警告表示14において、ドアが開閉している様子を示すアニメーション表示をドア記号12として用いてもよい。これにより、車両状態をより一層分かりやすく運転者に提示できる。
なお、図3の例では、後部座席運転席側のドアが開いていることを示すために、幅方向の右側のディスプレイ3aのみにドア記号12等が表示されているが、これとは逆に、助手席側のドアが開いている状況を警告する場合には、助手席側のディスプレイ3bにドア記号12等が表示される。つまり、強調表示では、2つのディスプレイ3a,3bと、車体記号11と、を併用することで、大きな一体型ディスプレイであるかのように表示することができる。
次に、図4〜6を参照して、車両用表示装置1の強調表示による車両情報の他の例について説明する。図4は、第一実施形態の車両用表示装置の強調表示による車両情報の一例であるシートベルト警告表示を示す模式図である。シートベルト警告表示16は、シートベルト(図4の例では助手席のシートベルト)を装着しないまま走行した場合に運転者に提示するものである。シートベルト警告表示16は、上述の導光板5上に表示される車体記号11と、ディスプレイ3a,3bに表示される情報であるシートベルト記号15とを含む。シートベルト記号15は、シートベルトが装着されていない座席位置を表すものである。したがって、ディスプレイ3b上のシートベルト記号15と、その前方側に配置される導光板5上の車体記号11とを前方側から重ねて視ると、車両のシートベルトが外れている座席位置を一体的に表示するシートベルト警告表示16として運転者に提示される。
図5は、第一実施形態の車両用表示装置の強調表示による車両情報の一例であるタイヤ舵角表示を示す模式図である。タイヤ舵角表示18は、例えば車両発進時や車庫入れ時に車両の転舵輪(図5の例では前輪)の舵角を運転者に提示するものである。タイヤ舵角表示18は、上述の導光板5上に表示される車体記号11と、ディスプレイ3a,3bに表示される情報である舵角記号17と、を含む。舵角記号17は、転舵輪の舵角を表すものであり、前方側から視たときに、車体記号11の転舵輪(図5では前輪)の位置に重畳するように描画されている。舵角記号17は、例えば車両の実際の舵角に応じて、車体記号11に対する角度を変更して表示させることができる。したがって、ディスプレイ3a,3b上の舵角記号17と、その前方側に配置される導光板5上の車体記号11とを前方側から重ねて視ると、車体に対するタイヤの舵角を一体的に表示するタイヤ舵角表示18として運転者に提示される。
図6は、第一実施形態の車両用表示装置の強調表示による車両情報の一例であるタイヤ空気圧警告表示を示す模式図である。タイヤ空気圧警告表示21は、車両のタイヤの空気圧が低減していることを運転者に提示するものである。タイヤ空気圧警告表示21は、上述の導光板5上に表示される車体記号11と、ディスプレイ3a,3bに表示される情報である正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20と、を含む。正常タイヤ記号19は、空気圧が正常な状態のタイヤを示すものである。警告タイヤ記号20は、空気圧が低減している状態のタイヤを示すものであり、正常タイヤ記号19と区別できるように、色等が変更されて描画される。正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20は、前方側から視たときに、車体記号11の各タイヤの位置に重畳するように描画されている。したがって、ディスプレイ3a,3b上の正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20と、その前方側に配置される導光板5上の車体記号11とを前方側から重ねて視ると、タイヤを有する車体と、空気圧が低減しているタイヤとを一体的に表示するタイヤ空気圧警告表示21として運転者に提示される。図6の例では、運転席側後輪の空気圧が低減していることが表示されている。
このように、第一実施形態の車両用表示装置1は、導光板5上に表示される車体記号11を共用する一方で、ディスプレイ3a,3bに表示する情報(例えば、上述のドア記号12、コメント記号13、シートベルト記号15、舵角記号17、正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20)を変化させることによって、これらの情報と車体記号11とを組み合わせて作成される車両情報を適宜変更することができる。
次に、第一実施形態に係る車両用表示装置1の効果について説明する。
第一実施形態の車両用表示装置1は、車両の運転席側から視認できる位置に並列配置される2つのディスプレイ3a,3bと、運転席側から視るとき、これらの2つのディスプレイ3a,3bの間に車体記号11を表示する記号表示部としての導光板5と、2つのディスプレイ3a,3bに表示する情報を制御する制御装置7と、を備える。制御装置7は、車体記号11と、2つのディスプレイ3a,3bの少なくとも一方に表示する情報(例えば、上述のドア記号12、コメント記号13、シートベルト記号15、舵角記号17、正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20)との組み合わせによって、強調表示により運転者に提示する車両情報を作成する。
この構成により、並列配置される2つのディスプレイ3a,3bと、このディスプレイ3a,3bの間に表示される車体記号11と、を組み合わせることで、ディスプレイ3a,3bとその間の非表示領域とを含む領域全体を用いて車両情報を作成し、強調表示により運転者に提示することが可能となる。つまり、複数の小型ディスプレイが大きな一体型ディスプレイであるかのように車両情報を提示することができる。この結果、一体感のある表示が可能となり、車両の運転者に車両用表示装置1による表示に一体感やシームレス感を認識させることができる。
また、第一実施形態の車両用表示装置1において、記号表示部としての導光板5は、2つのディスプレイ3a,3bより運転席側(前面側)に配置される。車体記号11は、運転席側から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの少なくとも一方の上に少なくとも一部を重畳するよう導光板5上に配置される。
この構成により、ディスプレイ3a,3bの階層と、導光板5の階層との二層構造によって、運転者に提示する車両情報を作成することが可能となるので、ディスプレイ3a,3bの間隔が狭い場合でも車体記号11を好適に表示できる。つまり、車体記号11のサイズに依存せずにディスプレイ3a,3bの間隔を任意に縮小でき、省スペース化を図ることができる。さらに、車体記号11をディスプレイ3a,3b上に重畳配置することができるので、導光板5上の車体記号11と、ディスプレイ3a,3b上の情報とをより一層連携させることが可能となり、より一体感のある表示が可能となる。
また、第一実施形態の車両用表示装置1において、導光板5は、導光板5へ光を入射する導光板用光源10を有し、車体記号11は、導光板5上に凹形状によって形成されている。制御装置7は、車両情報を作成する際に導光板用光源10を点灯させ、車両情報を作成しないときには導光板用光源10を消灯させるよう、導光板用光源10の動作を切り替える。
この構成により、導光板5の主面において、車体記号11の表面形状と、他の領域の表面形状とが異なるため、導光板用光源10の点灯時には、車体記号11の発光状態と、その他の領域の発光状態とが異なるものとなり、導光板5上に車体記号11が表示される。この状態で、ディスプレイ3a,3bと連動させることで、一体感のある表示が可能となる。一方、導光板用光源10の消灯時には、導光板5上には車体記号11が非表示となるので、車体記号11を用いる情報とは別の種類の情報を提示することができる。つまり、導光板用光源10の点灯・消灯に応じて、車体記号11の表示・非表示を切り替えることが可能となるので、例えば上述した通常表示と強調表示のように、多種の情報を使い分けて表示することが可能となり、運転者に提示する情報量を増加できる。
また、第一実施形態の車両用表示装置1において、記号表示部としての導光板5は、運転席側から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの全表示領域を覆うよう設けられる。この構成により、ディスプレイ3a,3bに対する車体記号11の配置の自由度を向上できる。また、運転者がディスプレイ3a,3bを視たときに、導光板5の外周より内側にディスプレイ3a,3bの全表示領域が配置されるので、運転者に提示する車両情報の視認性を向上できる。
また、第一実施形態の車両用表示装置1において、制御装置7は、2つのディスプレイ3a,3bの少なくとも一方に表示する情報(例えば、上述のドア記号12、コメント記号13、シートベルト記号15、舵角記号17、正常タイヤ記号19及び警告タイヤ記号20)を変化させることで、これらの情報と、導光板5に表示される車体記号11とを組み合わせて作成する車両情報を変更する。この構成により、強調表示においても多種の情報を使い分けて運転者に提示することが可能となるので、運転者に提示する情報量をさらに増加できる。
なお、上記の第一実施形態では、導光板用光源10の消灯時には、導光板5上の車体記号11が非表示となる構成を例示したが、必ずしも完全に透明になる必要はなく、導光板用光源10の点灯時の表示状態と比較して相対的に見えにくくなればよい。このような状態でも、例えば導光板5の透過率を調整することによって、導光板用光源10の消灯時に車体記号11を運転者に視認できないように構成することが可能である。
上記の第一実施形態では、車体記号11は、レーザー加工の彫り込みによって導光板5上に凹形状によって形成される構成を例示したが、これに限らず他の手法で形成してもよい。例えば、導光板5上に複数のドットで点描する手法や、樹脂成形など、導光板5上に凸形状によって形成する構成としてもよい。また、インクジェットスクリーンや、ナノインプリントなどの印刷手法によって導光板5上に転写する手法を適用してもよい。また、シール添付等により導光板5上に線描してもよい。さらに言えば、上記の第一実施形態では、車体記号11は、線画により導光板5上に描かれる構成を例示したが、車体記号11の形状は、凹形状または凸形状の立体形状としてもよい。
上記の第一実施形態では、車体記号11は、前面側から視たときにディスプレイ3a,3bと一部重畳してするよう配置される構成を例示したが、車体記号11とディスプレイ3a,3bとの情報とにより一体的に車両情報を形成できればよく、ディスプレイ3a,3bと重畳せずに、ディスプレイ3a,3bの間隙の非表示領域内に配置される構成でもよい。
また、上記の第一実施形態では、導光板5に車体記号11を設ける構成を例示したが、車体記号11はディスプレイ3a,3bと別階層に設けられればよく、例えば導光板5の代わりに透過性を有する媒体を配置し、この媒体上に車体記号11を形成してもよい。
また、上記の第一実施形態では、車体記号11が設けられる導光板5は、運転席側から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの全表示領域を覆うよう設けられていたが、車体記号11を表示する記号表示部として機能すればよく、例えば2つのディスプレイ3a,3bの間の非表示領域に収まるサイズなど、その外周形状がディスプレイ3a,3bの全表示領域より小さくなるように形成してもよい。
また、上記の第一実施形態では、車両用表示装置1が「通常表示」と「強調表示」をと使い分け、さらに、強調表示において提示する複数の車両情報(半ドア警告表示14、シートベルト警告表示16、タイヤ舵角表示18、タイヤ空気圧警告表示21)を使い分ける構成を例示したが、強調表示において単一の車両情報のみを提示する構成でもよい。また、強調表示において提示する車両情報としては、図3〜6を参照して説明した上記の各車両情報以外のものを適用してもよい。
[第一実施形態の変形例]
次に、図7を参照して上記の第一実施形態の変形例について説明する。ディスプレイ3a,3bの情報と組み合わせて一体的な車両情報を作成するための車体記号11は、上記の第一実施形態のように導光板5ではなく、文字板4上に作成してもよい。図7に示す第一実施形態の変形例に係る車両用表示装置1aでは、ディスプレイ3a,3bの間隙となる文字板4上の非表示領域4aに、車体記号11aが設けられている。文字板4は、警告灯9と同様に、車体記号11aが描かれている部分にも透過性を持たせており、車体記号11aの背面側に配置される警告灯用光源8を点灯・消灯させることで、車体記号11aを表示・非表示とすることができる。つまり、本変形例では、文字板4が、運転席側から視るとき、2つのディスプレイ3a,3bの間に車体記号11aを表示する記号表示部として機能するものである。
このような変形例の構成の場合、強調表示を提示する際には、文字板4上の車体記号11aを表示状態とすると共に、ディスプレイ3a,3bの情報を車体記号11aと連動させるよう変更する。図7は、変形例の車両用表示装置の強調表示の一例である車線逸脱警報表示を示す模式図である。図7の例では、文字板4上に表示される車体記号11aとして、自車両記号23、前方車両記号24及び車間距離記号25を含んで構成されている。車線逸脱警報表示26は、自車両が現在走行中の車線から逸脱する虞があることを運転者に提示するものである。車線逸脱警報表示26は、文字板4上に表示される自車両記号23と、ディスプレイ3aに表示される情報である右車線記号22aと、ディスプレイ3bに表示される情報である左車線記号22bと、を含む。右車線記号22aは、車両が走行車線を右寄りに走行し、走行車線から右側の車線へ逸脱する可能性がある場合に、ディスプレイ3aに表示される。同様に、左車線記号22bは、車両が走行車線を左寄りに走行し、走行車線から左側の車線へ逸脱する可能性がある場合に、ディスプレイ3bに表示される。なお、右車線記号22a及び左車線記号22bの両方を表示して、逸脱する可能性のある方の表示色を変更する構成でも良い。したがって、ディスプレイ3a,3b上の右車線記号22aまたは左車線記号22bと、その前方側に配置される文字板4上の自車両記号23とを前方側から重ねて視ると、一体的な車線逸脱警報表示26として運転者に提示され、運転者に車線逸脱防止を促すことができる。
また、図7に示す変形例では、文字板4上に表示される車体記号11a(自車両記号23、前方車両記号24、車間距離記号25)によって、オートクルージング機能表示27も表示可能である。オートクルージング機能とは、アクセルペダルを踏まなくとも先行者との距離を一定に保って走行する機能であり、オートクルージング機能表示27は、このオートクルージング機能に関する情報を運転者に提示するものである。車間距離記号25は、例えば自車両記号23と前方車両記号24との間にて、現在設定されている前方車両との車間距離を「長い、中間、短い」の3段階で表示する3つの目盛で構成され、設定されている車間距離に応じて点灯する目盛の数を変更して表示させることができる。したがって、文字板4上の車体記号11a(自車両記号23、前方車両記号24、車間距離記号25)を前方側から視ると、一体的なオートクルージング機能表示27として運転者に提示される。
なお、上記の第一実施形態及び変形例では、ディスプレイ3a,3bに表示する情報と組み合わせて用いる対象として、車体形状を模式的に表す車体記号11,11aを適用する構成を例示したが、ディスプレイ3a,3bに表示する情報と一体的な車両情報を作成できればよく、車体記号11とは異なる形状、模様、文字、モチーフなどの各種記号を用いてもよい。
[第二実施形態]
次に、図8,9を参照して第二実施形態を説明する。図8は、本発明の第二実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示す正面図であり、第二実施形態の車両用表示装置による表示パターンの一例を示す模式図である。図9は、第二実施形態の車両用表示装置による他の表示パターンの一例を示す模式図である。
第二実施形態に係る車両用表示装置101は、第一実施形態の車両用表示装置1と同様に、自動車等の車両に搭載される所謂メーターであり、車両の運転に供される種々の情報を表示するものである。車両用表示装置101は、車両の運転者が運転席に着座したときに、運転席側から表示領域を視認できる位置に設置されるものであり、例えば、車両の運転席前方のインストルメントパネルに設置される。なお、図8,9に示す車両用表示装置101の「幅方向」と、以下で用いる「奥行き方向」は、第一実施形態のものと同様である。また、図8,9に示す車両用表示装置101の「高さ方向」とは、上記の幅方向に直交する方向であり、典型的には鉛直方向である。
車両用表示装置101は、図8に示すように、筐体102と、ディスプレイ103と、文字板104と、導光板105(記号表示部)と、制御装置107と、を備える。車両用表示装置101は、第一実施形態の車両用表示装置1と同様に、奥行き方向の背面側から前面側に向かって、筐体102、ディスプレイ103、文字板104、導光板105の順で積層された構造となっている。
筐体102は、車両用表示装置101の他の構成要素を組み付けて支持するものであり、第一実施形態の筐体2及び見返し6に相当する。
ディスプレイ103は、車両情報を画面に表示するものであり、第一実施形態のディスプレイ3a,3bに相当するが、第一実施形態とは異なり単一の表示装置である。ディスプレイ103は、制御装置107に電気的に接続されており、制御装置107からの指令に応じて表示内容を調整することができる。ディスプレイ103は、図8,9に示すように、奥行き方向の前面側(図8,9の紙面手前側)から視たときに、車両用表示装置101の幅方向及び高さ方向の略中央部分に配置されている。ディスプレイ103は、例えば、薄型の液晶ディスプレイであるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を適用してもよい。
文字板104は、各種の表示灯109(情報表示部)が設けられる板状の部材である。表示灯109は、車両の運転状態や車両内の各種装置の状態や異常発生を運転者に報知する記号である。文字板104は、奥行き方向の前面側から視たときに、ディスプレイ103の表示領域の周辺に表示灯109が配置されるよう構成されている。本実施形態では、図8,9に示すように、文字板104上の表示灯109の一例として、一対の方向指示用109A、回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dが図示されている。図8,9の例では、文字板104は、幅方向及び高さ方向の略中央部分にディスプレイ103の表示領域が開口されており、この表示領域の幅方向両側に一対の方向指示灯109Aが設けられている。また、文字板104は、ディスプレイ103の表示領域から幅方向の左側に回転計指示用セグメント109Bが設けられ、幅方向の右側に水温計指示用セグメント109C及び燃料計指示用セグメント109Dが高さ方向に沿って並設されている。本実施形態では、これらの回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dが、表示灯109(情報表示部)に表示される情報であり、車両情報を作成するための情報として機能する。
文字板104の各種の表示灯109の背面側には、第一実施形態の警告灯用光源8と同様の光源(図示せず)が配置されている。文字板104は、各種の表示灯109が描かれている部分に透過性を持たせており、これにより、制御装置107からの指令に応じて光源を点灯・消灯させることで、当該光源が光を照射する位置の表示灯109を表示・非表示とすることができる。より詳細には、回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dのそれぞれは、個別に表示・非表示の切り替えが可能な複数のバー表示部を有しており、回転計、水温計、及び燃料計の表示値に応じて、表示状態とするバー表示部の個数を適宜変更可能となっている。
導光板105は、透光性材料で形成される板状の部材であり、第一実施形態の導光板5に相当する。導光板105には、例えばLEDなどの導光板用光源110が設けられている。導光板用光源110は、その光軸方向が導光板105の端面と直交し、かつ、照射された光が端面から入射するように設けられている。本実施形態では、導光板用光源110は、導光板105の高さ方向の両側に設けられている。導光板用光源110は、制御装置107に電気的に接続されており、制御装置107からの指令に応じて点灯・消灯を切り替えることができる。導光板105は、この導光板用光源110から照射される光が端面から入射されることで、主面全体を発光する。
特に第二実施形態では、導光板105は、速度計用導光板105A、回転計用導光板105B、及び、水温・燃料計用導光板105Cを有する構成をとる。導光板105は、図8,9に示すように、幅方向の左側から右側に向かって、回転計用導光板105B、速度計用導光板105A、水温・燃料計用導光板105Cの順で並んで配置されている。
速度計用導光板105Aは、車両用表示装置101の幅方向の略中央部分にて、ディスプレイ103及び文字板104より奥行き方向の前面側に重畳して配置されている。言い換えると、速度計用導光板105Aは、ディスプレイ103の表示領域の幅方向の略中央部分に配置され、かつ、文字板104の高さ方向の両端部間に延在するよう設けられている。
回転計用導光板105Bは、速度計用導光板105Aから幅方向左側に離間した位置にて、ディスプレイ103及び文字板104の奥行き方向の前面側に重畳して配置されている。言い換えると、回転計用導光板105Bは、奥行き方向の前面側から視たときに、ディスプレイ103の表示領域の幅方向左側の端部と、文字板104上の回転計指示用セグメント109Bとの間にて、ディスプレイ103及び回転計指示用セグメント109Bのそれぞれの一部分の上に重畳配置されている。また、回転計用導光板105Bは、文字板104の高さ方向の両端部間に延在するよう設けられている。
水温・燃料計用導光板105Cは、速度計用導光板105Aから幅方向右側に離間した位置にて、ディスプレイ103及び文字板104の奥行き方向の前面側に重畳して配置されている。言い換えると、水温・燃料計用導光板105Cは、奥行き方向の前面側から視たときに、ディスプレイ103の表示領域の幅方向右側の端部と、文字板104上の水温計指示用セグメント109C及び燃料計指示用セグメント109Dとの間にて、ディスプレイ103、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dのそれぞれの一部分の上に重畳配置されている。また、水温・燃料計用導光板105Cは、文字板104の高さ方向の両端部間に延在するよう設けられている。
第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、導光板105上には車両情報の一部である各種の記号111が設けられている。記号111は、導光板105の主面上(好ましくは背面側の主面上)に微細な溝によって形成されている。このように記号111を設けることで、導光板105の高さ方向の両端面に配置された導光板用光源110から照射される光が、記号111を形成する微細な溝によって反射されて、当該記号111が導光板105上に発光表示される。つまり、導光板用光源110の点灯・消灯に応じて、導光板105上の記号111を表示・非表示状態を切り替えることができる。
記号111は、導光板105を構成する速度計用導光板105A、回転計用導光板105B、及び、水温・燃料計用導光板105Cに個別に設けられている。
速度計用導光板105Aの主面上の幅方向の略中央部分に、速度計用のリング・大目盛・数字記号111Aが設けられている。リング・大目盛・数字記号111Aは、速度計の円形状の外形リングと、この外形リング上に略等間隔に配置される複数の大目盛と、これらの複数の大目盛に対応して大目盛の内周側に配置される複数の速度値の意匠を含んで構成されている。リング・大目盛・数字記号111Aは、奥行き方向の前面側から視たときに、ディスプレイ103に重畳し、かつ、ディスプレイ103の高さ方向の両端部から外側にはみ出るように配置されている。つまり、リング・大目盛・数字記号111Aの高さ方向の寸法は、ディスプレイ103の高さ方向寸法より大きく形成されている。リング・大目盛・数字記号111Aは、速度計用導光板105Aに設置されている導光板用光源110Aの点灯・消灯を制御装置107により制御することによって、速度計用導光板105A上の表示・非表示状態を切り替えることができる。
回転計用導光板105Bには、回転計用の目盛・数字記号111Bが設けられている。目盛・数字記号111Bは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の回転計指示用セグメント109Bの各バー表示部に対応する位置にそれぞれ配置される複数の目盛と、これらの複数の目盛に対応して配置される複数の回転数値の意匠を含んで構成されている。また、目盛・数字記号111Bは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の回転計指示用セグメント109Bの幅方向右側の一部分と、ディスプレイ103の幅方向左側の端部と重畳するよう配置されている。言い換えると、目盛・数字記号111Bは、奥行き方向の前面側から視たときに、幅方向において、文字板104上のディスプレイ103の表示領域と回転計指示用セグメント109Bとの間のデッドスペースに重畳し、かつ、ディスプレイ103の表示領域と回転計指示用セグメント109Bとの間を跨るようにオーバーラップさせて配置されている。目盛・数字記号111Bは、回転計用導光板105Bに設置されている導光板用光源110Bの点灯・消灯を制御装置107により制御することによって、回転計用導光板105B上の表示・非表示状態を切り替えることができる。
水温・燃料計用導光板105Cには、水温計用の目盛・文字記号111Cと、燃料計用の目盛・文字記号111Dとが設けられている。目盛・文字記号111Cは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の水温計指示用セグメント109Cの各バー表示部に対応する位置にそれぞれ配置される複数の目盛と、これらの複数の目盛に対応して配置される文字(図8,9では最上部の「H」と最下部の「C」)の意匠を含んで構成されている。また、目盛・文字記号111Cは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の水温計指示用セグメント109Cの幅方向左側の一部分と、ディスプレイ103の幅方向右側の端部と重畳するよう配置されている。言い換えると、目盛・文字記号111Cは、奥行き方向の前面側から視たときに、幅方向において、文字板104上のディスプレイ103の表示領域と水温計指示用セグメント109Cとの間のデッドスペースに重畳し、かつ、ディスプレイ103の表示領域と水温計指示用セグメント109Cとの間を跨るようにオーバーラップさせて配置されている。
同様に、目盛・文字記号111Dは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の燃料計指示用セグメント109Dの各バー表示部に対応する位置にそれぞれ配置される複数の目盛と、これらの複数の目盛に対応して配置される文字(図8,9では最上部の「F」と最下部の「E」)の意匠を含んで構成されている。また、目盛・文字記号111Dは、奥行き方向の前面側から視たときに、文字板104上の燃料計指示用セグメント109Dの幅方向左側の一部分と、ディスプレイ103の幅方向右側の端部と重畳するよう配置されている。言い換えると、目盛・文字記号111Cは、奥行き方向の前面側から視たときに、幅方向において、文字板104上のディスプレイ103の表示領域と燃料計指示用セグメント109Dとの間のデッドスペースに重畳し、かつ、ディスプレイ103の表示領域と燃料計指示用セグメント109Dとの間を跨るようにオーバーラップさせて配置されている。
目盛・文字記号111C,111Dは、水温・燃料計用導光板105Cに設置されている導光板用光源110Cの点灯・消灯を制御装置107により制御することによって、水温・燃料計用導光板105C上の表示・非表示状態を切り替えることができる。
制御装置107は、第一実施形態の車両用表示装置1における制御装置7と同様の構成をとるものである。制御装置107は、表示灯109用の光源、ディスプレイ103、及び導光板用光源110に電気的に接続されており、これらの要素を利用して車両情報を運転者に提示する。
このような第二実施形態の車両用表示装置101は、運転者に提示する車両情報の種類に応じて、複数の情報表示手法を使い分けることができるよう構成されている。具体的には、導光板105の速度計用導光板105A、回転計用導光板105B、及び、水温・燃料計用導光板105Cにそれぞれ設置されている導光板用光源110A,110B,110Cの点灯・消灯を制御して、リング・大目盛・数字記号111A、目盛・数字記号111B、及び、目盛・文字記号111C,111Dの表示・非表示を個別に制御すると共に、ディスプレイ103に表示する情報の制御、または、文字板104上の回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dの表示・非表示の制御を適宜行う。これにより、リング・大目盛・数字記号111A、目盛・数字記号111B、目盛・文字記号111C,111D、ディスプレイ103の表示情報、回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dを組み合わせて表現される多種のパターンの車両情報を運転者に提示することができる。
このような第二実施形態の車両用表示装置101による情報表示手法の一例を図8に示す。図8の表示例では、導光板用光源110A,110B,110Cがすべて点灯されており、リング・大目盛・数字記号111A、目盛・数字記号111B、及び、目盛・文字記号111C,111Dが速度計用導光板105A、回転計用導光板105B、及び、水温・燃料計用導光板105C上に表示されている。また、文字板104上の回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、及び燃料計指示用セグメント109Dが、回転計、水温計、及び燃料計の表示値に合せて適宜表示されている。さらに、ディスプレイ103には、速度計用の指針記号112と、小目盛記号113とが表示されている。指針記号112は速度計の指針の意匠を含んで構成される。小目盛記号113は、速度計の中心部側に配置される円形状の小径リングと、この小径リング上に略等間隔で設けられる複数の小目盛の意匠を含んで構成されている。
図8では、車両情報の一例として速度計表示115が例示されている。速度計表示115は、上述の速度計用導光板105A上に表示されるリング・大目盛・数字記号111Aと、ディスプレイ103に表示されている情報である指針記号112及び小目盛記号113とが組み合わされ、相互に連携して構成されている。指針記号112及び小目盛記号113は、奥行き方向の前面側から視たときに、リング・大目盛・数字記号111Aの中心側に配置され、かつ、リング・大目盛・数字記号111Aと同心円状に配置されるように、ディスプレイ103上に表示されている。したがって、ディスプレイ103上の指針記号112及び小目盛記号113と、その前面側に重畳配置される速度計用導光板105A上のリング・大目盛・数字記号111Aとを前面側から重ねて視ると、一体的に車両の速度計を表示する速度計表示115として運転者に提示され、一体感のある表示が可能となる。また、ディスプレイ103の表示領域より大きい領域に速度計を表示することができるので、運転者にとって見やすくかつ気づきやすいように情報を提供することができる。また、ディスプレイ103の指針記号112及び小目盛記号113と、その前面側に配置される速度計用導光板105Aのリング・大目盛・数字記号111Aとを組み合わせて速度計表示115を作成するので、この結果運転者に提示される速度計表示115に立体感を持たせることができる。
また、図8では、車両情報の一例として回転計表示116が例示されている。回転計表示116は、回転計用導光板105B上に表示される目盛・数字記号111Bと、文字板104上に表示される回転計指示用セグメント109Bとが組み合わされ、相互に連携して構成されている。上述のように、目盛・数字記号111Bは、回転計指示用セグメント109Bの幅方向右側の一部分と重畳するよう、回転計指示用セグメント109Bより前面側に配置されている。したがって、文字板104上の回転計指示用セグメント109Bと、その前面側に一部重畳配置される回転計用導光板105B上の目盛・数字記号111Bとを前面側から重ねて視ると、一体的に車両の回転計を表示する回転計表示116として運転者に提示され、一体感のある表示が可能となる。また、文字板104上の回転計指示用セグメント109Bと、その前面側に配置される回転計用導光板105B上の目盛・数字記号111Bとを組み合わせて回転計表示116を作成するので、この結果運転者に提示される回転計表示116に立体感を持たせることができる。
また、図8では、車両情報の一例として水温計表示117が例示されている。水温計表示117は、水温・燃料計用導光板105C上に表示される目盛・文字記号111Cと、文字板104上に表示される水温計指示用セグメント109Cとが組み合わされ、相互に連携して構成されている。上述のように、目盛・文字記号111Cは、水温計指示用セグメント109Cの幅方向左側の一部分と重畳するよう、水温計指示用セグメント109Cより前面側に配置されている。したがって、文字板104上の水温計指示用セグメント109Cと、その前面側に一部重畳配置される水温・燃料計用導光板105C上の目盛・文字記号111Cとを前面側から重ねて視ると、一体的に車両の水温計を表示する水温計表示117として運転者に提示され、一体感のある表示が可能となる。また、文字板104上の水温計指示用セグメント109Cと、その前面側に配置される水温・燃料計用導光板105C上の目盛・文字記号111Cとを組み合わせて水温計表示117を作成するので、この結果運転者に提示される水温計表示117に立体感を持たせることができる。
また、図8では、車両情報の一例として燃料計表示118が例示されている。燃料計表示118は、水温・燃料計用導光板105C上に表示される目盛・文字記号111Dと、文字板104上に表示される燃料計指示用セグメント109Dとが組み合わされ、相互に連携して構成されている。上述のように、目盛・文字記号111Dは、燃料計指示用セグメント109Dの幅方向左側の一部分と重畳するよう、燃料計指示用セグメント109Dより前面側に配置されている。したがって、文字板104上の燃料計指示用セグメント109Dと、その前面側に一部重畳配置される水温・燃料計用導光板105C上の目盛・文字記号111Dとを前面側から重ねて視ると、一体的に車両の燃料計を表示する燃料計表示118として運転者に提示され、一体感のある表示が可能となる。また、文字板104上の燃料計指示用セグメント109Dと、その前面側に配置される水温・燃料計用導光板105C上の目盛・文字記号111Dとを組み合わせて燃料計表示118を作成するので、この結果運転者に提示される燃料計表示118に立体感を持たせることができる。
第二実施形態の車両用表示装置101による情報表示手法の他の例を図9に示す。図9の表示例は、導光板用光源110のうち導光板用光源110Aが消灯している点で図8の表示例と異なっている。導光板用光源110Aが消灯することで、速度計用導光板105A上にリング・大目盛・数字記号111Aが非表示状態となっており、これによりディスプレイ103の表示領域の全域に各種情報を表示し、運転者に視認させることが可能となっている。このとき、ディスプレイ103に表示される情報は、例えば図9に示すように走行経路を示すナビゲーション画像114の他、地図情報や車両情報などの各種情報を含むことができる。このように、第二実施形態の車両用表示装置101は、図8,9に示したように、導光板105上の各種記号111または文字板104上の表示灯109の表示・非表示の切り替えと、ディスプレイ103に表示する情報の制御とを適宜実行することによって、限られた領域の中で車両情報の多様なパターン表現が可能となり、多種の情報を使い分けて運転者に提示することが可能となるので、運転者に提示する情報量を増加できる。
なお、上記の第二実施形態では、ディスプレイ103と、文字板104上の表示灯109との間に配置される導光板105上の記号111(回転計用の目盛・数字記号111B、水温計用の目盛・文字記号111C、燃料計用の目盛・文字記号111D)が、文字板104上の表示灯109(回転計指示用セグメント109B、水温計指示用セグメント109C、燃料計指示用セグメント109D)と連携して車両情報を生成する構成を例示したが、この代わりにディスプレイ103上に表示される情報と連携して車両情報を生成する構成とすることもできる。また、導光板105上の記号111を、文字板104上の表示灯109及びディスプレイ103上の表示情報の両方と組み合わせることで車両情報を生成する構成でもよい。
ここで、第二実施形態の車両用表示装置101において、車両情報を生成するために用いる三種類の情報、すなわち、導光板105上の記号111による情報、文字板104上の表示灯109による情報、及び、ディスプレイ103上に表示される情報のそれぞれは、個々の情報を組み合わせることで車両情報という意味のある情報を生成するものであり、かつ、個々の情報だけでは車両情報としては意味をなさないものの、車両情報を生成するためにはいずれの情報も必要不可欠なものである。
また、上記の第二実施形態では、ディスプレイ103と、文字板104上の表示灯109との間に導光板105上の記号111(回転計用の目盛・数字記号111B、水温計用の目盛・文字記号111C、燃料計用の目盛・文字記号111D)が配置される構成を例示したが、文字板104上の表示灯109の代わりに、例えばアナログ計器などの他の情報表示部に置き換える構成とすることもできる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。