JP6498112B2 - 電力変換装置および電力連系システム - Google Patents
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Description
電力変換装置の単独運転を検出する従来の手法には、以下に示すものが開示されている。
系統に分散配置される電源と、その出力電流を所望の値に制御するインバータと、その出力電流指令値に対し一定周期の位相変動を与える電流位相変動指令回路と、系統との連系点に発生する上記と同一周期の周波数変動を監視する周波数変動検出回路とを設けて単独運転を検出する。そして、単独運転検出に当たり、比較器にて周波数変動を検出した後の一定時間をモノステーブル回路により確保し、その間は切換回路により電流位相変動指令を固定して比較器にて検出される連系点電圧の周波数変動がある値以下の時、単独運転と判断する(例えば、特許文献1参照)。
配電線に搬送された同期信号を同期信号発生回路それぞれで受信し、この同期信号に変動信号発生器が出力する周期的微小信号の位相を同期させ、系統連系用インバータを運転すると共に、周波数検出器と周波数監視回路とにより系統の周波数を監視して単独運転状態を検出する(例えば、特許文献2参照)。
さらに、FRT機能を考慮して単独運転を検出する従来の別例による手法では、系統電圧が瞬時電圧低下(以下、瞬低と称す)になると、単独運転検出判定を実施しないことが記載される(例えば、特許文献3参照)。
このような連系点の電圧低下は、系統電圧の瞬低と誤認識される。単独運転検出機能とFRT機能との双方を有する上記特許文献3に記載される電力変換装置では、単独運転状態を瞬低と誤認識すると、FRT機能により運転を継続するため、単独運転状態を解消できない。また、上記特許文献1、2に記載される単独運転検出の手法においても、瞬低時に電力変換装置が運転を継続する場合は、単独運転状態を解消できないという問題点があった。
また、瞬低時の運転継続による負荷消費電力の低下により逆潮流が生じ、逆潮流が禁止されている電力変換装置では、この逆潮流の発生を速やかに抑制するのが困難であった。さらに電力系統の復電時に、電力変換装置の逆潮流抑制制御に起因して電力変換装置の出力復帰が遅れるという問題点があった。
また、複数台の電力変換装置が電力系統に連系された電力連系システムにおいて、各電力変換装置が単独運転状態を信頼性良く検出して速やかに運転停止することを目的とする。
さらに、逆潮流が禁止されている電力変換装置において、系統電圧の瞬低時における逆潮流を速やかに抑制して運転継続し、かつ系統復電時に電力変換装置の出力を速やかに復帰させることを目的とする。
またこの発明に係る第3の電力変換装置は、上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を、各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備えて、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を上記系統電圧の変動に応じて調整し、上記系統電圧が瞬低の期間に上記リミッタの上記制限値を拡げる方向に調整するものである。
またこの発明に係る第4の電力変換装置は、上記逆潮流制御部は、上記系統電圧が瞬低の期間に上記制御器のゲインを大きく調整するものである。
またこの発明に係る第5の電力変換装置は、上記逆潮流制御部は、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を調整する際に生じる遅延時間を、上記逆潮流の検出に要する整定時間以下に設定するものである。
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置を図に基づいて以下に説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。図に示すように、電力変換装置1は、直流側端子1aと交流側端子1bとを有して、直流側端子1aを介して外部の分散電源110と接続され、連系点となる交流側端子1bを介して電力系統112と接続されて、分散電源110を電力系統112に連系する。
この電力変換装置1は、分散電源110の直流電力を所望の電圧の交流電力に変換するスイッチング部2と、フィルタリアクトル3と、フィルタコンデンサ4と、遮断器5とを、直流側端子1aと交流側端子1bとの間に備える。また、遮断器5と交流側端子1bとの間の接続点1cを介して外部の負荷111と接続される。なお、負荷111は回転機負荷、非線形負荷、線形負荷などである。
さらに、電力変換装置1は、制御信号であるゲート信号を生成してスイッチング部2を制御すると共に、遮断器5の遮断制御を行う制御部20を備える。
制御部20は、系統電圧Vsの周波数変化から電力変換装置1の単独運転を検出する単独運転検出部21と、電力変換装置1の出力電力を負荷111に給電する際に、余剰電力が電力系統112に逆潮流として流出するのを抑制する逆潮流制御部30と、リアクトル電流ILを制御する電流制御部31と、信号生成部としてのPWM信号生成部32と、系統電圧Vsの基準位相θを検出するPLL回路33とを備える。
スイッチング部2は、例えばIGBTやMOSFET等の複数のスイッチング素子を有して構成される。スイッチング部2の具体的な構成として、ここでは、複数のスイッチング素子を直並列接続した単相のフルブリッジ回路構成として説明するが、ハーフブリッジ回路構成、三相回路構成にも適用できる。
各スイッチング素子は、制御部20のPWM信号生成部32から出力される制御信号としてのPWM信号S1、S2に応じてON/OFFされる。それにより、分散電源110が出力する直流電圧をパルス状に変形する。パルス電圧は、フィルタリアクトル3と、フィルタコンデンサ4とを介することで、正弦波状に成形される。
スイッチング部2の電力系統側の入出力を遮断する遮断器5は、制御部20の単独運転検出部21から出力される検出信号Soにより開放されて、スイッチング部2の入出力を遮断する。
図2は逆潮流制御部30の構成を示す図である。図に示すように、逆潮流制御部30は、逆潮流演算器40、逆潮流指令器41、減算器42、リミッタとしての入力リミッタ43、制御器としての逆潮流制御器44、出力リミッタ45、実効値演算器46、瞬低検出閾値47、入力リミッタ調整器48、およびゲイン調整器49で構成される。
逆潮流演算器40は、電流検出部7で検出される電流Isと、系統電圧検出部8で検出される系統電圧Vsとから、逆潮流Prを演算する。具体的な逆潮流Prの演算方法としては、電流Isと系統電圧Vsとの積をフィルタ処理することで逆潮流Prを演算する方法、あるいは、電流Isと系統電圧Vsとの積を系統電圧のゼロクロス点を基準とする1周期で平均する方法がある。
出力リミッタ45には、逆潮流制御器44からの電流指令が入力される。この出力リミッタ45においても、売電電力(売電電流)を増大させる方向と、買電電力(買電電流)を増大させる方向との各電力伝送方向でそれぞれ制限値を設定して、入力される電流指令を制限し、電流指令Irc*を出力する。この場合、基本的に逆潮流Prを抑制すればよいので、逆潮流方向である売電電力(売電電流)を増大させる方向の制限値は0Aとする。また、買電電力(買電電流)を増加させる方向の制限値は、逆潮流指令Pr*を電流換算した逆潮電流指令Ir*を、基準電流指令I*に加算して得られる程度に設定すればよい。逆潮流指令Pr*を逆潮電流指令Ir*に換算する際は、逆潮流指令Pr*を電力変換装置1の定格電圧で除算、または系統電圧Vsの実効値で除算して換算しても良い。
出力リミッタ45の出力である電流指令Irc*は、逆潮流制御部30から第1電流指令として出力される。
入力リミッタ調整器48は、系統電圧実効値Vsrmsと瞬低検出閾値47とから系統電圧Vsが正常か瞬低かを判断する。そして、瞬低が発生している場合は入力リミッタ43の買電電力方向、売電電力方向の各制限値を系統電圧実効値Vsrmsに応じて調整する。具体的には、系統電圧実効値Vsrmsが瞬低検出閾値47より低下した低下量をフィルタ処理し、入力リミッタ43の買電電力方向および売電電力方向の各制限値が、それぞれ買電電力方向、売電電力方向に大きくなるように上記フィルタ処理後の絶対値分だけずらす。即ち、系統電圧Vsが正常時における各制限値を拡げる方向に変化させて制限が緩和されるように調整する。逆潮流制御器44での逆潮流Prを抑制する応答が十分に早い場合は、入力リミッタ43の買電電力方向の制限値のみ買電電力方向に拡げるように調整しても良い。なお、系統電圧実効値Vsrmsが瞬低検出閾値47より低下した低下量は、系統電圧実効値Vsrmsが瞬低検出閾値47より大きい場合は0とする。
また、フィルタ処理により入力リミッタ43の変化に遅延時間が生じる場合があるが、その場合、フィルタ処理による遅延時間を逆潮流検出の整定時間以下に設定すればよい。この場合、逆潮流検出は、上述したように電流Isと系統電圧Vsとの検出結果から逆潮流Prを演算することで為される。
また、フィルタ処理により制御ゲインの変化に遅延時間が生じる場合があるが、その場合、フィルタ処理による遅延時間を逆潮流検出の整定時間以下に設定すればよい。
しかし、電力系統112の瞬低時にも負荷111の消費電力が低下して逆潮流が生じる場合がある。特にFRT機能では、系統連系の要求から、最大1秒間の瞬低時に電力変換装置1の運転継続が必要で、復電時は数百ミリ秒以内に電力変換装置1の瞬低前出力電力の80%以上に電力変換装置1の出力電力を復帰させる必要がある。そのため、瞬低時の逆潮流Prの抑制と、復電時に電力変換装置1の出力電力の速やかな復帰が重要になる。なお、電力変換装置1の出力電力を復帰させるのは、逆潮流を抑制する買電電流指令である電流指令Irc*を、売電電流指令方向に戻すことで制御される。
正弦波生成器60は、PLL回路33から出力される基準位相θに応じた正弦波sinθを生成する。余弦波生成器61は、PLL回路33から出力される基準位相θに応じた余弦波cosθを生成する。乗算器62は、外部から与えられる基準電流指令I*である有効電流指令(振幅値)に正弦波sinθを乗算することで基準位相θに応じた瞬時基準電流指令を出力する。
なお、基準電流指令I*は皮相電流指令(有効電流指令と無効電流指令との指令)でもよい。その場合は、有効電流指令に正弦波sinθを乗算した電流指令と、無効電流指令に余弦波cosθを乗算した電流指令とをそれぞれ生成して加算したものを瞬時基準電流指令とすればよい。
また、皮相電流指令を極座標指令(振幅指令と位相指令)として与える場合は、基準位相θを位相指令だけ補正し、補正後の位相θaから正弦波sinθaを生成し、振幅指令に正弦波sinθaを乗算したものを瞬時基準電流指令とすればよい。
なお、基準電流指令I*は、瞬時電流指令に換算するための振幅値の情報が電力変換装置1に与えられるものとしたが、これに限るものではない。基準電流指令I*として実効値の情報が与えられる場合は、実効値から振幅値への換算演算(例えば2の平方根を乗算)を実施すればよい。
また、電力指令を外部から電力変換装置1に与えても良く、その場合は、電力指令を系統電圧Vsの実効値で除算して基準電流指令I*を生成して用いる。
なお、単独運転検出部21から出力される電流指令を無効電流指令としたが、単独運転検出部21が有効電流指令を出力する場合は、正弦波sinθを乗算した瞬時電流指令を生成する。
また、電流指令に高調波電流指令を用いる場合は、基準位相θを高調波次数に応じた周波数の位相θiに換算する演算(例えば高調波次数を乗算)を行い、演算した位相θiから正弦波sinθiを生成し、高調波電流指令の振幅を乗算したものを瞬時電流指令とすればよい。
減算器66は、リアクトル電流指令IL*からリアクトル電流検出部6で検出されたリアクトル電流ILを減算した偏差を出力する。電流制御器67は、減算器66からの偏差に応じてPWM信号S1、S2のデューティ指令D*を生成する。
電流制御器67の出力であるデューティ指令D*は、電流制御部31から出力指令として出力される。
図4に示すように、PWM信号生成部32は、スイッチング部2内の複数の半導体スイッチング素子へのゲート信号であるPWM信号S1、S2を生成する。ここでは、PWM信号生成部32は、キャリア信号発生器70、コンパレータ71、反転器72、およびゲートブロック器73、74で構成される。
また、この実施の形態1では、スイッチング部2がスイッチングレグ2組で構成されるバイポーラ変調によるPWM方式とするが、この構成に限るものではない。例えば、複数レグを組み合わせた構成(3レベル構成、三相構成など)、PWM方式(ユニポーラ変調方式、ダイポーラ変調方式など)、あるいはPAM(パルス振幅変調)方式でも良い。
なお、ここでは簡略化のため、一般的に設定するスイッチングレグの短絡防止時間(デッドタイム)は考慮しないものとして説明する。
キャリア信号発生器70は、キャリア周期に応じたキャリア信号Scrである三角波を生成する。ここでは、キャリア信号を三角波としたが、鋸波などでもよい。
図5に示すように、コンパレータ71は、デューティ指令D*とキャリア信号Scrとを比較し、デューティ指令D*がキャリア信号Scr以上の場合はON信号を出力し、デューティ指令D*がキャリア信号Scrより小さい場合はOFF信号を出力する。コンパレータ71の出力信号がPWM信号S1となる。反転器72は、入力されたPWM信号S1のON信号とOFF信号を反転して出力する。反転器72の出力信号がPWM信号S2となる。
系統電圧検出部8で検出される系統電圧Vsは、周波数検出器80および瞬低判定器85に入力される。
なお、瞬低の判定に用いる系統電圧Vsの実効値に代わって、系統電圧Vsの大きさを所定期間で移動積算した値などを用いても良い。
また、電力系統112が瞬低から復電する時は、電力系統112に連系している負荷111の影響で、系統電圧Vsが不安定になる場合がある。そのため、電力系統112が復電してから一定時間、例えば系統復電時の負荷111による系統電圧Vsの過渡変化が十分収束するまでの時間は、単独運転検出のマスク信号SimをHiからLoに変化させなくても良い。
また、周波数を検出できる機能を有すればよいため、ループフィルタを用いて系統周波数fgを検出してもよい。さらに、系統周波数fgの検出精度を向上するために、系統電圧検出部8とは異なる単独運転検出用の系統電圧検出部を設けても良い。なお、異常系統周波数による動作を防止するため、周波数検出器80に上下限のリミッタを設定しても良い。例としては上限リミッタとしてはOFR(周波数上昇リレー)が遮断動作する基準値以上、下限リミッタとしてはUFR(周波数低下リレー)が遮断動作する基準値以下に設定すればよい。なお、OFRおよびUFRは、通常、分散電源110が備える。
なお、周波数変化量dfgの演算方法は、これに限るものではなく、ある期間の過去の系統周波数の平均値と、複数のある期間における最新の系統周波数の平均値との差分から演算する方法でも良い。また、ある期間の複数の系統周波数から周波数変化を直線近似した傾きを周波数変化量dfgとする方法でも良い。さらにまた、系統周波数の変化を、その変化に要した時間で除算して単位時間当たりの周波数変化量を用いても良い。
なお、単独運転の判定方法は、上述したものに限らない。一定期間に系統電圧Vsの周波数変化量dfgが単独運転の判定基準を複数回超過すると判定する方法でも良い。また、ある期間の複数の周波数変化量dfgに重みづけを行い、その複合値(例えば平均値)が単独運転の判定基準を超過すると単独運転と判定する方法でも良い。さらに、複数の期間毎に判定条件を設定し、各判定結果を用いて単独運転を判定しても良い。
さらにまた、単独運転判定器82は、系統電圧Vsの変動、電力変換装置1の出力電流変動、電力系統112への電流Isの変動のいずれか1あるいは複数を考慮して単独運転を判定しても良い。
無効電流指令生成器84は、周波数変化演算器81からの周波数変化量dfgが入力され、無効電流指令Iiso*を生成して出力する。この無効電流指令Iiso*は、系統電圧Vsの周波数変化に応じて無効電流を変化させて電力変換装置1の単独運転の検出をより容易にするための電流指令である。
遅延時間設定器83からの検出信号Soと、無効電流指令生成器84からの無効電流指令Iiso*とは、単独運転検出部21から出力される。そして、遅延時間設定器83からの検出信号Soは、遮断器5とPWM信号生成部32内のゲートブロック器73、74に入力される。そして検出信号Soに応じて遮断器5を遮断させると共に、PWM信号生成部32は、上述したようにスイッチング部2を運転停止させる。無効電流指令生成器84からの無効電流指令Iiso*は、上述したように電流制御部31内で、リアクトル電流指令IL*の生成に用いられる。
なお、検出信号Soが入力される遮断器5およびPWM信号生成部32は、ハンチング動作を防止するため、検出信号Soを受信すると動作をラッチする機能を有しても良い。
ところで、複数台の電力変換装置1が電力系統112に連系して運転する電力連系システムにおいて、停電などで電力系統が解列した際に、各電力変換装置1は単独運転状態となる。そして、負荷111に各電力変換装置1の出力電流が流れることで連系点(交流側端子1b)に電圧が生じる。このとき、各電力変換装置1の単独運転検出タイミングにずれが生じることがある。即ち、各電力変換装置1内の単独運転検出部21において、判定信号Soaが発生する(Hiになる)タイミングが異なり、同様に検出信号Soが発生する(Hiになる)タイミングが異なることがある。
この実施の形態では、単独運転検出部21に遅延時間設定器83を設けて、単独運転の判定信号Soaを遅延させた検出信号Soにより電力変換装置1を停止するため、複数台の電力変換装置1が連系していても、確実に単独運転状態を解消できる。
また、遅延時間の下限は、複数台の電力変換装置1が並列運転する場合に、各電力変換装置1間の単独運転を検出する時間差となる、以下の時間Aと時間Bとを合算したA+Bに設定すればよい。
時間Aは、各電力変換装置1の系統電圧検出部8の特性の差異による系統周波数fgの検出時間の差である。また時間Bは、系統電圧Vsの検出から単独運転を検出するまでの各電力変換装置1間の演算タイミングの不一致による演算時間の差である。この場合、系統電圧検出部8で系統電圧Vsを検出してから単独運転判定器82までの各演算タイミングの不一致による演算時間の差である。
このため、時間Aは、系統電圧検出部8に用いるセンサ毎の製造時の周波数特性の差異、センサを使用する環境の温度範囲に基づく周波数特性の差異から、各電力変換装置1間が単独運転を検出するのに要する時間差を算出し、その最大時間を設定すれば良い。
電力変換装置Aと電力変換装置Bとが同一電力系統に連系運転している際に、電力系統が解列して電力変換装置A、Bが共に単独運転状態となっている。ここでは、電力変換装置Bは電力変換装置Aより系統電圧Vsの検出が遅延しており、電力変換装置Aと電力変換装置Bとの単独運転検出の演算タイミングは同期していない。
その後、電力変換装置Aの判定信号Soaより時間t遅れて、電力変換装置Bの単独運転の判定信号SoaがHiとなり、電力変換装置A、Bは共に単独運転が判定される。その後、電力変換装置Aの検出信号Soが、判定信号Soaより遅延時間T(>t)遅れてHiとなる。そして、遮断器5の遮断とスイッチング部2の運転停止とにより電力変換装置Aの出力電流が0Aとなり、電力変換装置Aの出力電流と負荷の電圧降下の分だけ系統電圧Vsが低下する。この系統電圧Vsの低下により、電力変換装置A、Bの単独運転検出のマスク信号SimがHiとなる。電力変換装置Bは、既に判定信号SoaがHiであるため、マスク信号Simに拘わらず、判定信号Soaより遅延時間T遅れて検出信号SoがHiとなる。これにより、電力変換装置A、Bの双方は運転停止して単独運転状態を解消する。
電力変換装置Bは、マスク信号Simにより単独運転検出がマスクされ、単独運転状態を検出できず運転を継続してしまう。
図において、Vsrmsは系統電圧実効値、Pinvは電力変換装置1の出力電力、Ploadは負荷消費電力、Prは逆潮流、P80%は電力変換装置1の瞬低前出力電力の80%の電力、Trは電力系統112の復電時にPinvがP80%以上となるまでの時間、PrdetはPrの検出閾値である。
なお、逆潮流Prが逆潮流検出閾値Prdetを所定の時間(例えば数百ミリ秒程度)以上経過すると逆潮流検出判定となり運転停止するものとする。また、電力系統112の復電時の電力変換装置1の出力復帰目標としては、復電時から所定の時間(数百ミリ秒程度)以内に電力変換装置1の出力電力PinvがP80%以上になる事とする。
この逆潮流Prを抑制するため、系統電圧Vsに応じて逆潮流制御器44の制御ゲイン、および入力リミッタ43の制限値が調整されるため、所定の時間内に逆潮流Prを抑制できる。また、電力系統112の復電時にも、逆潮流制御器44の制御ゲイン、および入力リミッタ43の制限値が、系統電圧Vsに応じて調整されるため、所定の時間内に電力変換装置の出力電力PinvをP80%以上に復帰できる。
また、図10(b)に示す比較例では、逆潮流制御器44の制御ゲイン、および入力リミッタ43の制限値が充分な値に設定されているため、所定の時間内に逆潮流Prを抑制できる。しかし、電力系統112の復電時に、電力変換装置1の出力電力Pinvの復帰が遅く、電力変換装置1の出力電力PinvがP80%以上となるのに所定の時間を超過する。この原因としては、瞬低時に電力変換装置1の出力電力Pinvを低下させるよう逆潮流制御部30が電流指令Irc*を生成するが、復電時にIrc*の戻り、即ち、電力変換装置1が負荷111および電力系統112に放電することを抑制する買電方向の電流指令を減少させるのが遅れるためである。そのため、復電時の電力変換装置1の出力復帰目標を満たさない。
単独運転検出部21は、入力リミッタ調整器48およびゲイン調整器49のない逆潮流制御部を用いた電力変換装置にも適用できる。その場合も、単独運転検出部21が、単独運転の判定から遅延時間を設けて検出信号Soを出力することにより、複数台の電力変換装置1が連系していても、確実に単独運転状態を解消できる。
さらに、単独運転検出部21は、逆潮流が認められる電力変換装置にも適用でき、同様の効果が得られる。なお、その場合、制御部は逆潮流制御部を備えない。
Claims (11)
- 分散電源と電力系統との間に接続されて上記分散電源を上記電力系統に連系させる電力変換装置において、
複数の半導体スイッチング素子を有するスイッチング部と、該スイッチング部の上記電力系統側の入出力を遮断する遮断器と、制御部と、上記電力系統への電流を検出する第1電流検出部と、上記スイッチング部の出力電流を検出する第2電流検出部と、電力系統との連系点の電圧である系統電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
上記制御部は、
上記系統電圧の周波数変化から上記電力変換装置の単独運転を判定する判定部、および該判定部からの判定信号を遅延させて検出信号として出力する遅延回路を有する単独運転検出部と、上記出力電流を制御する出力指令を生成する電流制御部と、該電流制御部からの上記出力指令に基づいて制御信号を生成する信号生成部とを備えて、
上記制御信号を用いて上記スイッチング部を制御し、上記単独運転検出部からの上記検出信号を用いて上記遮断器を遮断すると共に、上記スイッチング部を運転停止させ、
上記単独運転検出部の上記判定部は、上記単独運転を一旦判定すると上記判定信号を固定し、上記系統電圧が瞬低時には上記単独運転を判定せず、上記系統電圧が復電時には、該系統電圧の過渡変化収束のための時間が経過後に上記単独運転を判定することを特徴とする電力変換装置。 - 上記制御部は、上記電力系統へ流出する逆潮流を抑制する第1電流指令を生成する逆潮流制御部をさらに備え、上記電流制御部は、基本電流指令と上記第1電流指令とに基づいて第2電流指令を生成して上記出力電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を、各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備え、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を上記系統電圧の変動に応じて調整することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
- 分散電源と電力系統との間に接続されて上記分散電源を上記電力系統に連系させる電力変換装置において、
複数の半導体スイッチング素子を有するスイッチング部と、該スイッチング部の上記電力系統側の入出力を遮断する遮断器と、制御部と、上記電力系統への電流を検出する第1電流検出部と、上記スイッチング部の出力電流を検出する第2電流検出部と、電力系統との連系点の電圧である系統電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
上記制御部は、
上記系統電圧の周波数変化から上記電力変換装置の単独運転を検出して検出信号を出力する単独運転検出部と、上記電力系統へ流出する逆潮流を抑制する第1電流指令を生成する逆潮流制御部と、基本電流指令と上記第1電流指令とに基づいて第2電流指令を生成して上記出力電流を制御する電流制御部と、該電流制御部の出力に基づいて制御信号を生成する信号生成部とを備えて、
上記制御信号を用いて上記スイッチング部を制御し、上記単独運転検出部からの上記検出信号を用いて上記遮断器を遮断すると共に、上記スイッチング部を運転停止させ、
上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備えて、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を、上記系統電圧の瞬低時に調整し、該系統電圧の復電後に徐々に戻すことを特徴とする電力変換装置。 - 分散電源と電力系統との間に接続されて上記分散電源を上記電力系統に連系させる電力変換装置において、
複数の半導体スイッチング素子を有するスイッチング部と、該スイッチング部の上記電力系統側の入出力を遮断する遮断器と、制御部と、上記電力系統への電流を検出する第1電流検出部と、上記スイッチング部の出力電流を検出する第2電流検出部と、電力系統との連系点の電圧である系統電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
上記制御部は、
上記系統電圧の周波数変化から上記電力変換装置の単独運転を検出して検出信号を出力する単独運転検出部と、上記電力系統へ流出する逆潮流を抑制する第1電流指令を生成する逆潮流制御部と、基本電流指令と上記第1電流指令とに基づいて第2電流指令を生成して上記出力電流を制御する電流制御部と、該電流制御部の出力に基づいて制御信号を生成する信号生成部とを備えて、
上記制御信号を用いて上記スイッチング部を制御し、上記単独運転検出部からの上記検出信号を用いて上記遮断器を遮断すると共に、上記スイッチング部を運転停止させ、
上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を、各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備えて、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を上記系統電圧の変動に応じて調整し、上記系統電圧が瞬低の期間に上記リミッタの上記制限値を拡げる方向に調整することを特徴とする電力変換装置。 - 分散電源と電力系統との間に接続されて上記分散電源を上記電力系統に連系させる電力変換装置において、
複数の半導体スイッチング素子を有するスイッチング部と、該スイッチング部の上記電力系統側の入出力を遮断する遮断器と、制御部と、上記電力系統への電流を検出する第1電流検出部と、上記スイッチング部の出力電流を検出する第2電流検出部と、電力系統との連系点の電圧である系統電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
上記制御部は、
上記系統電圧の周波数変化から上記電力変換装置の単独運転を検出して検出信号を出力する単独運転検出部と、上記電力系統へ流出する逆潮流を抑制する第1電流指令を生成する逆潮流制御部と、基本電流指令と上記第1電流指令とに基づいて第2電流指令を生成して上記出力電流を制御する電流制御部と、該電流制御部の出力に基づいて制御信号を生成する信号生成部とを備えて、
上記制御信号を用いて上記スイッチング部を制御し、上記単独運転検出部からの上記検出信号を用いて上記遮断器を遮断すると共に、上記スイッチング部を運転停止させ、
上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を、各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備えて、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を上記系統電圧の変動に応じて調整し、上記系統電圧が瞬低の期間に上記制御器のゲインを大きく調整することを特徴とする電力変換装置。 - 分散電源と電力系統との間に接続されて上記分散電源を上記電力系統に連系させる電力変換装置において、
複数の半導体スイッチング素子を有するスイッチング部と、該スイッチング部の上記電力系統側の入出力を遮断する遮断器と、制御部と、上記電力系統への電流を検出する第1電流検出部と、上記スイッチング部の出力電流を検出する第2電流検出部と、電力系統との連系点の電圧である系統電圧を検出する系統電圧検出部とを備え、
上記制御部は、
上記系統電圧の周波数変化から上記電力変換装置の単独運転を検出して検出信号を出力する単独運転検出部と、上記電力系統へ流出する逆潮流を抑制する第1電流指令を生成する逆潮流制御部と、基本電流指令と上記第1電流指令とに基づいて第2電流指令を生成して上記出力電流を制御する電流制御部と、該電流制御部の出力に基づいて制御信号を生成する信号生成部とを備えて、
上記制御信号を用いて上記スイッチング部を制御し、上記単独運転検出部からの上記検出信号を用いて上記遮断器を遮断すると共に、上記スイッチング部を運転停止させ、
上記逆潮流制御部は、制御器と、該制御器の入力を、各電力伝送方向の制限値で制限するリミッタとを備えて、上記リミッタの上記制限値、および上記制御器のゲインのいずれか一方あるいは双方を上記系統電圧の変動に応じて調整し、調整する際に生じる遅延時間を、上記逆潮流の検出に要する整定時間以下に設定することを特徴とする電力変換装置。 - 上記単独運転検出部は、上記単独運転を一旦検出すると上記検出信号を固定し、上記系統電圧が瞬低時には、上記単独運転を検出しないことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 上記系統電圧が瞬低時に連系運転を継続し、上記系統電圧が復電後から所定時間内に、瞬低前出力電力の80%以上の出力電力に復帰することを特徴とする請求項1から請求項3、請求項8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置を複数台備えて、上記電力系統に連系する電力連系システムにおいて、
上記各単独運転検出部の上記遅延回路は、上記複数の電力変換装置の単独運転を判定するのに要する時間差に基づいて遅延時間を設定することを特徴とする電力連系システム。 - 上記時間差は、上記単独運転を判定する演算のタイミングずれ、および上記各系統電圧検出部の周波数特性の差異の一方あるいは双方に基づくもので、
上記遅延回路は、上記時間差以上に長く上記遅延時間を設定することを特徴とする請求項10に記載の電力連系システム。
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