JP6497181B2 - レベル計及びレベル計測方法 - Google Patents

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本発明は、レベル計及びレベル計測方法に関する。
転炉製鋼プロセスにおいて生産性を向上させるためには、送酸速度を上げて吹錬に要する時間を短縮することが重要となる。しかしながら、送酸速度を上げるとスロッピングやスピッティングが発生して歩留まりの低下を招くだけでなく、炉口やフード等に地金やスラグが付着して操業が阻害される等の問題が生じる可能性がある。
従って、生産性の向上を図るためには、転炉の内容物のレベルを測定し、スロッピングの予兆となるスラグのフォーミング挙動等を正確にリアルタイムで把握することが重要となる。そのため、従来、転炉に装入された溶融物の浴面レベルを測定する方法が考案されており、例えば、以下の特許文献1〜3に示すような、マイクロ波を用いたレーダ方式のレベル計が提案されている。
特開平3−281716号公報 特開平3−281717号公報 特開2012−107304号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、サブランス孔を通じてマイクロ波の送受信器を炉内に挿入する必要があるため、サブランスを使用する吹錬後半のレベル計測が行えず、吹錬後半でのスラグフォーミング挙動の測定やスロッピングの予兆検知が行えない。また、距離計を実装した状態で大掛かりな水冷機構あるいはパージ機構や挿入駆動機構を設ける必要があり、空間的・コスト的に問題がある。また、転炉内では溶銑やスラグが多量に飛散しており送受信器(アンテナ)前面にスラグや地鉄が付着するため、メンテナンスの頻度を高くする必要があり、スラグや地鉄の飛散が激しい場合には、1チャージの間のレベルを連続的に計測することが困難な場合も生じうる。
また、上記特許文献3に記載の方法は、マイクロ波の送受信器をサブランス孔上部に設置するため、サブランスを使用する吹錬後半のレベル計測が行えず、吹錬後半でのスラグフォーミング挙動の測定やスロッピングの予兆検知が行えない。また、転炉操業を数チャージ続けた場合、付着した地金によって炉口が狭くなっていくが、マイクロ波の送受信器を鉛直下方に向けて設置するために、送受信器からマイクロ波を送信すると炉口からの不要な反射波が発生し、スラグの表面からの反射信号のみを正確に計測することが困難となる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、吹錬中の転炉内におけるスラグの絶対レベルを、リアルタイムで、かつ、炉口に付着し付着量が変動する地金からの不要な反射波によるノイズを低減して計測することが可能な、レベル計及びレベル計測方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、マイクロ波を用いて転炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計であって、発振されるマイクロ波の周波数を制御する周波数掃引部と、前記周波数掃引部の制御のもとで、周波数を掃引してマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、前記転炉の炉口の上方に配設されており、計測対象物に向けて前記マイクロ波の送信波を照射するとともに、前記計測対象物で反射した前記送信波を受信波として受信するアンテナ部と、前記送信波と前記受信波とに基づく差周波信号を検出する検出部と、前記アンテナ部の配設角度を調整するアンテナ駆動機構と、前記差周波信号に基づいて前記計測対象物の位置を算出する演算処理部と、を備え、前記計測対象物が、前記スラグ面である場合に、前記アンテナ駆動機構は、前記スラグ面の計測に先立って、前記配設角度を変化させ、前記アンテナ部は、前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施し、前記演算処理部は、前記転炉の炉口の位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行い、前記演算処理部は、前記検出部で検出された前記差周波信号に対して周波数フィルタリング処理を施し、当該周波数フィルタリング処理後の前記差周波信号をフーリエ変換して周波数に関するスペクトルを生成し、前記アンテナ部と前記スラグ面との距離に関する波形を算出し、当該波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とし、前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号の周波数よりも高い周波数を通過させるハイパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理であるレベル計が提供される。
前記アンテナ駆動機構は、前記スラグ面の計測に先立って、前記転炉の内部に溶融物が存在しない状態で、前記配設角度変化させながら前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施し、前記演算処理部は、前記転炉の炉底の位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行ってもよい。ここで、前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉底の位置に相当する差周波信号の周波数よりも低い周波数を通過させる処理を行うバンドパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理であってもよい
前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、(前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号のピーク周波数+当該ピーク周波数の半値全幅)で表わされる周波数であることが好ましい。
前記バンドパスフィルタの通過帯域は、(前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号のピーク周波数+当該炉口のピーク周波数の半値全幅)以上、(前記転炉の炉底の位置に相当する差周波信号のピーク周波数−当該炉底のピーク周波数の半値全幅)以下で規定される周波数帯域であることが好ましい。
前記演算処理部は、前記周波数フィルタリング処理に用いられるフィルタの周波数特性を、前記差周波信号での前記転炉の所定位置に対応するピークの検出に応じて動的に変化させてもよい。
前記転炉の内部に溶融物が存在する状態で、前記アンテナ部は、転炉の内部に向けて照射される前記マイクロ波の照射方向を示す軸線が前記転炉に挿入されるランスの側壁又は前記転炉の炉壁に対して傾斜し、かつ、前記マイクロ波が前記スラグ面と、前記ランスの側壁又は転炉の炉壁との双方に照射されるように、前記アンテナ駆動機構によって前記配設角度が制御されることが好ましい。
前記アンテナ部は、前記マイクロ波の前記スラグ面における照射中心から前記ランスの側壁又は転炉の炉壁までの距離dを、前記マイクロ波の照射半径rで除した値(d/r)が、所定の範囲となるように制御されることが好ましい。
前記アンテナ部は、前記マイクロ波の一部が前記ランスの側壁で更に反射するように前記配設角度が制御され、前記(d/r)の値が、−0.66超過0.66未満であってもよい。
前記アンテナ部は、前記マイクロ波の一部が前記転炉の炉壁で更に反射するように前記配設角度が制御され、前記(d/r)の値が、−1.7超過1.7未満であってもよい。
前記アンテナ部は、前記転炉の内部に向けて照射される前記マイクロ波のパワーのうち20〜70%が前記ランスの側壁又は転炉の炉壁に供給されるように、前記配設角度が制御されることが好ましい。
前記演算処理部は、算出した前記波形を前記距離に沿って空間的に平均化した後に、平均化後の前記波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とすることが好ましい。
前記演算処理部は、決定した前記スラグ面の位置に関する情報を時間的に平均化した上で、前記スラグ面の位置と、前記転炉における処理の経過時間と、を関連付けたトレンドチャートを生成してもよい。
計測の応答速度は、30ミリ秒以下であることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、マイクロ波を用いて転炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、発振されるマイクロ波の周波数を制御する周波数掃引部と、前記周波数掃引部の制御のもとで、周波数を掃引してマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、前記転炉の炉口の上方に配設されており、計測対象物に向けて前記マイクロ波の送信波を照射するとともに、前記計測対象物で反射した前記送信波を受信波として受信するアンテナ部と、前記送信波と前記受信波とに基づく差周波信号を検出する検出部と、前記アンテナ部の配設角度を調整するアンテナ駆動機構と、前記差周波信号に基づいて、前記計測対象物の位置を算出する演算処理部と、を備えたレベル計を用い、前記計測対象物が前記スラグ面である場合に、前記アンテナ駆動機構を用いて、前記スラグ面の計測に先立って、前記転炉の内部に溶融物が存在しない状態で、前記配設角度を変化させるステップと、前記アンテナ部を用いて、前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施するステップと、前記演算処理部を用いて、前記転炉の炉口位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行うステップと、前記演算処理部を用いて、前記検出部で検出された前記差周波信号に対して周波数フィルタリング処理を施し、当該周波数フィルタリング処理後の前記差周波信号をフーリエ変換して周波数に関するスペクトルを生成し、前記アンテナ部と前記スラグ面との間の距離に関する波形を算出し、当該波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とするステップとを有し、前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号の周波数よりも高い周波数のみを通過させるハイパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理であるレベル計測方法が提供される。

以上説明したように本発明によれば、吹錬中の転炉内におけるスラグの絶対レベルをリアルタイムで、かつ、炉口からの不要な反射波によるノイズを低減して計測することが可能となる。
本発明の実施形態に係るレベル計の構成を模式的に示した説明図である。 マイクロ波を利用したレベル計の原理を説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットの設置方法について説明するための説明図である。 マイクロ波の照射領域の大きさについて説明するための説明図である。 マイクロ波の照射領域の大きさについて説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。 同実施形態に係るレベル計が備える演算処理ユニットの構成の一例を示したブロック図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理ユニットにおける演算処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係るレベル計測方法の流れの一例を示した流れ図である。 本発明の実施形態に係る演算処理ユニットのハードウェア構成の一例を示したブロック図である。 実験例1の結果を示したグラフ図である。 実験例1の結果を示したグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(レベル計の構成について)
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るレベル計の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るレベル計の構成の一例を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係るレベル計10は、転炉に存在する溶融物(溶銑や溶鋼やスラグ)のうちスラグを計測対象物Sとし、かかるスラグの表面(スラグ面ともいう。)の位置を、マイクロ波により計測する装置である。ここで、スラグ面の位置を、スラグ面のレベル(:図1における離隔距離D。以下、スラグレベルともいう。)と呼ぶ。このレベル計10は、図1に示したように、マイクロ波照射ユニット100と、アンテナ駆動機構150と、演算処理ユニット200と、を備える。
マイクロ波照射ユニット100は、計測対象物Sに対して周波数を掃引してマイクロ波を照射するとともに、計測対象物Sからのマイクロ波の反射波を検出するユニットである。このマイクロ波照射ユニット100の詳細な構成については、以下で詳述する。
アンテナ駆動機構150は、マイクロ波照射ユニット100が有するアンテナの配設角度を少なくとも調整する駆動機構である。かかるアンテナ駆動機構150が動作することで、マイクロ波照射ユニット100におけるアンテナの配設角度が変化し、所望の方向へマイクロ波を照射することが可能となる。かかるアンテナ駆動機構150は、例えばアクチュエータ等の公知の駆動機構を利用することが可能である。
また、アンテナ駆動機構150は、マイクロ波照射ユニット100が有するアンテナの配設角度以外にも、アンテナの配置状態を変化させるために、様々な設置条件を調整することが可能である。
なお、アンテナ駆動機構150の配設位置については、特に限定されるものではなく、マイクロ波照射ユニット100が有するアンテナに対して作用を及ぼすことが可能な位置であれば、任意の位置に設置することが可能である。
演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100により検出されたマイクロ波に関する信号データを利用して、計測対象物Sであるスラグの絶対レベルを算出するユニットである。この演算処理ユニット200の詳細についても、以下で詳述する。
<マイクロ波照射ユニットの構成について>
続いて、図1を参照しながら、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100の構成を詳細に説明する。
本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100は、例えば、周波数変調連続波(Frequency Modulated−Continuous Wave:FM−CW)方式を採用したユニットとして実現される。このマイクロ波照射ユニット100は、図1に示したように、マイクロ波射出部の一例である周波数掃引器101及び発振器103と、方向性結合器105と、アンテナ部として機能するアンテナ107と、ミキサ109と、検出部として機能する検出器111と、を備える。
周波数掃引器101は、後述する発振器103から発振されるマイクロ波の周波数を制御して、連続的かつ直線的に周波数を変化させる機器である。周波数変調の幅と、変調の周期については、事前に調整を行い、マイクロ波が所望の精度で射出・検出できるように設定しておけばよい。また、用いる周波数掃引器101についても特に限定されるものではなく、公知のものを利用すればよい。
発振器103は、周波数掃引器101による制御のもとで、周波数掃引器101により指定された周波数のマイクロ波を発振する機器である。かかる発振器103により発振される周波数(中心周波数)については、以下で詳述する。また、発振されるマイクロ波の強度については、特に限定されるものではないが、計測対象物までの大まかな離隔距離の大きさに応じて、適切な強度を選択すればよい。発振器103から発振された周波数を掃引して射出するマイクロ波は、後述する方向性結合器105に出力されるとともに、一部が後述するミキサ109に出力される。なお、用いる発振器103については、公知のものを利用可能であるが、スラグレベルのリアルタイム計測を実現するためには、周波数掃引器101による周波数掃引に容易に追随できる程の応答速度を有する機器を用いることが好ましい。
方向性結合器105は、発振器103から発振されたマイクロ波を後述するアンテナ107へと導波するとともに、アンテナ107が受信したマイクロ波(すなわち、計測対象物Sからの反射マイクロ波)を、後述するミキサ109へと導波する機器である。方向性結合器105についても、特に限定されるものではなく、公知のものを利用することが可能である。
アンテナ107は、マイクロ波の送受信器として機能するものであり、発振器103から射出されるマイクロ波を計測対象物Sに向けて照射するとともに、計測対象物Sからの反射波を受信する。本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100では、アンテナ107は、後述するように、転炉の炉口の上方に存在する開口部に設置される。従って、アンテナ107の大きさは、かかる開口部に適合可能なような大きさとすることが好ましい。アンテナ107の形状については特に限定されるものではないが、例えば、カセグレン型やホーン型のアンテナを利用することが好ましい。また、アンテナ107から放射されたマイクロ波の指向性を向上させるために、テフロン等の誘電体でできたレンズをアンテナ107の先端等に取り付けてもよい。
また、かかるアンテナ107は、アンテナ駆動機構150によって開口部への配設角度が制御されており、任意の方向にマイクロ波を照射し、計測対象物Sの様々な部位からの反射波を受信することが可能となる。
ミキサ109は、発振器103から射出されるマイクロ波(すなわち、送信波)と、方向性結合器105から導波された、計測対象物Sからの反射マイクロ波(すなわち、受信波)と、を混合して、後段の検出器111へと出力する。
検出器111は、ミキサ109によって送信波と受信波とが混合されることで生成した信号と、周波数変調との同期信号を検出する機器である。検出器111によるこのような検出処理により、アンテナ107が受信した反射マイクロ波が検出されることとなる。この検出器111によって検出された検出信号が、演算処理ユニット200へと出力される。かかる検出器111については、計測対象物Sからの反射波の大きさ等を事前に検証しておき、所望の精度・応答速度で信号を検出可能なものを利用することが好ましい。
[マイクロ波距離計の原理]
このような構成を有するマイクロ波照射ユニット100は、いわゆるマイクロ波距離計として機能するものであるが、以下では、図2を参照しながら、FM−CW方式のマイクロ波距離計の原理を簡単に説明する。
いま、図2の最上段に示したように、周波数掃引器101によって制御される発振器103の周波数変調の幅がF[Hz]に設定され、変調の周期がT[秒]に設定されたものとする。図2の最上段に示したように、送信波の周波数は、時間の経過とともに連続的かつ直線的に変化する。
一方、計測対象物Sにより反射されてアンテナ107で受信された受信波は、計測対象物Sまでの離隔距離Dに比例した遅れΔt[秒]を生じることとなる。その結果、ある同時刻における送信波と受信波との間には、離隔距離Dに対応した周波数の差Δf[Hz]が生じる。このような送信波及び受信波がミキサ109によって混合されると、Δfに相当する周波数成分を有する差周波信号(ビート波)となる。
いま、送信波と受信波との時間的遅れΔtは、マイクロ波が、アンテナ107と計測対象物Sとの間を往復するために要する時間に相当する。また、マイクロ波の伝播速度は光速cであるため、時間的遅れΔtは、以下の式101で表すことができる。一方、ビート波の周波数Δfと時間的遅れΔtとの間には、以下の式102で表される関係が成立する。従って、式101と式102とを用いることで、離隔距離Dは、以下の式103により算出することができることがわかる。式103から明らかなように、離隔距離Dを算出するという処理は、図2に示したビート波の周波数を算出することと等価である。
Figure 0006497181
ここで、現実の計測環境においては、ミキサ109により生成されるビート波が図2に示したような正弦波となる場合はまれであり、いくつもの周波数成分が混じり合った複合波となる場合が多い。従って、このような複数の周波数成分からなるビート波の周波数を求める場合には、後述する演算処理ユニット200によってデジタル信号処理を行うこととなる。
具体的には、複数の周波数成分からなるビート波をフーリエ変換して、横軸を周波数[Hz]としたスペクトルを生成した上で、更に上記式103によって横軸を距離[m]に変換し、縦軸を強度とした、図2下段に示したような波形(以下では、「距離波形」ともいう。)を生成する。この距離波形において、メインピークを与える横軸の位置が、求めたい離隔距離Dとなる。
[アンテナ107の設置方法について]
さて、以上のような原理に基づくマイクロ波照射ユニット100の計測対象物Sへの設置方法(より詳細には、アンテナ107の設置方法)について、図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットの設置方法について説明するための説明図である。
本実施形態に係るレベル計10の計測対象物Sは、図3左側の図に示したように、製鋼プロセスで用いられる転炉の内部に存在するスラグ表面である。転炉製鋼プロセスでは、図3に示したような転炉の内部に溶銑を装入し、かかる溶銑に対してメインランスから酸素を吹き込むことによって、溶銑の成分調整を行って溶鋼を生成する。かかる溶融物の表面には、処理の進行に伴ってスラグが生成される。
また、転炉で行われる処理では、蒸気やダストなどが発生するため、発生するダスト等を外部環境に出さないためのフードが、転炉の炉口付近に設けられている。このフードには、メインランスを転炉内に挿入するための開口部や、サブランスを転炉内に挿入するための開口部(すなわち、サブランス孔)が設けられている。
本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100のアンテナ107は、図3右側の図に示したように、転炉の炉口側に位置するサブランス孔のような開口部に設置される。また、先だって説明したように、アンテナ107の近傍には、アンテナ駆動機構150が配設されており、アンテナ駆動機構150が稼働することでアンテナ107の配設角度を変更できるようになっている。
本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100では、転炉の内部に鉄の溶融物が存在しており、スラグ表面の計測を行う場合に、図3に示したように、転炉の内部に向けて照射されるマイクロ波の照射方向を示す軸線(アンテナの中心とスラグ表面における照射領域の中心とを結ぶ軸線)が、転炉に挿入されるランスの側壁に対して傾斜して、マイクロ波がスラグの表面とランスの側壁との双方に対して照射されるように、アンテナ107の配設角度が制御されていてもよい。また、アンテナ107は、マイクロ波の照射方向を示す軸線が、ランスの側壁ではなく転炉の炉壁に対して傾斜して、マイクロ波がスラグの表面と転炉の炉壁との双方に対して照射されるように、配設角度が制御されていてもよい。
なお、本実施形態において、スラグ表面の計測を行う場合のアンテナ107の配設角度は、スラグの表面とランスの側壁の双方、又は、スラグの表面と転炉の炉壁の双方に対してマイクロ波が照射される方向に限定されるわけではなく、スラグの表面のみにマイクロ波が照射される方向に、アンテナ107の配設角度が制御されていてもよい。
また、本実施形態において、アンテナ107の設置箇所は、サブランス孔に限定されるわけではなく、転炉の内部(スラグ表面)を臨むことが可能なフードの位置に新たに専用の開口部を設け、かかる新たな開口部にアンテナ107を設置してもよい。
次に、図4A及び図4Bを参照しながら、アンテナ107の特性について、簡単に説明する。図4A及び図4Bは、マイクロ波の照射領域の大きさについて説明するための説明図である。
図4Aに模式的に示したように、アンテナ107から照射されるマイクロ波は、アンテナ107の特性の一つである拡散角αで規定される範囲に拡散しながら、計測対象物Sに対して照射される。ここで、アンテナ107の直径(アンテナ径)をφ1とし、一般的な転炉において、スラグ表面までの一般的な距離である8〜22mを離隔距離Dとした場合に、最大の離隔距離であるD=22mの位置でのマイクロ波の照射領域の大きさ(照射領域の径)φ2の大きさがどのように変化するかを考える。
アンテナから照射されるマイクロ波の最小拡散角は、アンテナの径φ1とマイクロ波の周波数とで規定される。ここで、本実施形態に係るアンテナ107は、開口部という大きさの限られた場所に設置されているため、アンテナ径φ1は制限されることとなる。例えば、ダスト等が外部に漏出することを防止するためにフードに大きな開口を設けることができないという制約上、開口部の大きさは、せいぜい300〜400mm程度に制限される。従って、アンテナ107の径も、開口部の大きさが300mmの場合は例えば250〜275mm程度となる。
この場合に、照射されるマイクロ波の周波数が10GHzであり、アンテナ径φ1が250mmであった場合、図4Bに示したように、最大の離隔距離であるD=22mの位置での照射領域の径φ2は、3m程度の大きさとなる。照射領域の径φ2は、用いるマイクロ波の周波数を大きくするほど小さな値となり、24GHzのマイクロ波を用いた場合で1.5m程度となり、39GHzのマイクロ波を用いた場合で0.9mとなり、48GHzのマイクロ波を用いた場合で0.7mとなり、94GHzのマイクロ波を用いた場合で0.3mとなる。
ここで、照射領域の径φ2が大きくなりすぎると、アンテナ107から照射されるマイクロ波の強度も分散することとなり、十分な反射波の強度が得られないこととなる。また、マイクロ波が広く拡散する(換言すれば、拡散角αが大きい)場合には、アンテナ107から7m程度に位置する炉口やフードなどからの反射波がノイズ成分となって計測感度を著しく低下させる上、ノイズ成分の増加に伴って転炉内に侵入するマイクロ波の強度も低下してしまう。また、転炉の使用回数が増加すると、炉口に地金やスラグ等が付着して炉口の径が狭くなり、拡散角αが大きい場合には、マイクロ波の一部が炉口で遮蔽されてしまうということも生じうる。以上のような理由から、照射領域に供給されるマイクロ波の強度を好ましい範囲に維持するためには、照射領域の径φ2の大きさを1.5mより小さくできる、24GHz以上の周波数を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100を、転炉の内部に鉄の溶融物が存在しない状態で使用することで、転炉の様々な部位までの距離を計測することも可能である。以下では、図5を参照しながら、転炉の内部に鉄の溶融物が存在しない状態で実施される、アンテナの設置状態の制御について、具体的に説明する。図5は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。
図5左図に模式的に示したように、吹錬の前後等のスラグ表面の計測に先立って、アンテナ駆動機構150を稼働させて、マイクロ波が炉口に向かって照射されるようにアンテナ107の配設角度を制御することで、炉口又は炉口に付着した地金やスラグまでの離隔距離を計測することが可能となる。また、図5右図に模式的に示したように、転炉の内部に鉄の溶融物が存在しない状態で、アンテナ駆動機構150を稼働させて、マイクロ波が炉底に向かって照射されるようにアンテナ107の配設角度を制御することで、炉底までの離隔距離を計測することが可能となる。
かかる炉口や炉底までの離隔距離の計測は、アンテナ駆動機構150を連続的に稼働させて、アンテナ107の設置角度をある角度範囲で連続的に変化させることで、実施することが可能である。
なお、炉口又は炉口に付着した地金までの離隔距離の計測は、転炉のチャージ毎に、上記のように吹錬の前後等に行うことが可能であるが、転炉の内部に鉄の溶融物が存在する状態で実施しても良いことは言うまでもない。また、炉口に付着する地金の付着量は、時々刻々変化するので、頻繁に行うことが好ましい。
このように、アンテナ駆動機構150を稼働させて、アンテナ107の配設角度を制御することで、任意の方向に向かってマイクロ波を照射し、計測対象物Sの様々な部位からの反射波を受信することが可能となる。
なお、このようにして得られた、炉口や炉底までの離隔距離の計測結果の利用方法については、以下で改めて詳細に説明する。
続いて、図6〜図8を参照しながら、スラグ表面までの離隔距離を計測する際に、マイクロ波照射ユニット100のアンテナ107を傾斜させるように制御する理由について、具体的に説明する。図6〜図8は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。
図6の左側の図に示したように、マイクロ波を鉛直方向下方に向かって照射することで、スラグ表面の位置を計測できる。ここで、吹錬処理中はメインランスから酸素ガスが激しく供給されるため、スラグ表面は、メインランス付近を中心にして窪んだ状態となり、かつ、表面が激しく変動することとなる。従って、図6の左側の図に示したようにマイクロ波を鉛直方向下向きに照射した場合には、マイクロ波の反射波の進行方向は絶えず変化し、マイクロ波の反射波がアンテナ107へと戻ってくる割合が低下する場合がある。
また、単にアンテナ107を傾斜させただけの状態とした場合、例えばメインランス付近は統計的に水平レベルの表面が多くなるものの、集波することなくマイクロ波をスラグ表面に照射した場合には、マイクロ波の反射波がアンテナ107へと戻ってくる割合が低下する場合がある。
一方、本発明者らは、図6の右側の図に示したように、アンテナ107から斜め方向に、一部がランスの側壁に照射されるようにマイクロ波をスラグ表面に照射すると、アンテナ107に戻ってくる反射波の割合が著しく増加することに想到した。本発明者らは、その理由について検討を行った結果、図7Aに示したように、スラグ表面とランス側壁とで、いわゆるコーナーキューブミラーが擬似的に実現されるためであるとの結論に至った。
コーナーキューブミラーとは、2次元の場合を考えると、図7Bに示したように2枚のミラー(鏡)を直角に組み合わせたものである。いま、図7Bに示したように、P1方向から進行してきたマイクロ波が、入射角θで下部のミラーのP2に入射したものとする。その場合、マイクロ波は、反射角θでP2からP3に向かって反射する。ここで、2つのミラーは直角に組み合わされているため、P2での反射波は、入射角(90−θ)でもう一方のミラーにP3で入射し、反射角(90−θ)で反射する。図7Bに示した幾何学的な位置関係から明らかなように、直線P1−P2と、直線P3−P4とは、互いに平行となるため、結局、P1から進行してきた入射波は、P4から入射方向に向かって戻っていくこととなる。
同様に、P4方向から進行してきたマイクロ波が、入射角(90−θ)で側方のミラーのP3に入射したものとする。その場合、マイクロ波は、反射角(90−θ)でP3からP2に向かって反射する。ここで、2つのミラーは直角に組み合わされているため、P3での反射波は、入射角θでもう一方のミラーにP2で入射し、反射角θで反射する。その結果、P4から進行してきた入射波は、P1から入射方向に向かって戻っていくこととなる。
このとき、入射波と反射波とは、図7Bに示したように、大きさDoffだけ位置ズレが生じることとなる。
なお、幾何学的な位置関係から明らかなように、上記のような入射波−反射波の関係は、いずれの方向から波が入射した場合であっても同様であり、入射角θには依存しない。
従って、図7Aに示したように、マイクロ波をスラグ表面とランス側壁の双方に照射されるように、斜め方向に向かって照射することで、スラグ表面に入射したマイクロ波はコーナーキューブミラーによってランス側壁で反射してアンテナ107の方向(すなわち、開口部方向)に戻り、ランス側壁に入射したマイクロ波はスラグ表面で反射してアンテナ107の方向に戻ることとなる。
なお、図7Bに示したようなコーナーキューブミラーは、2つのミラーを直角に組み合わせることで実現可能である。従って、図8に示したように、スラグ表面と転炉の炉壁とを利用することでも、コーナーキューブミラーは実現できる。そのため、アンテナ107の設置位置に対して転炉の炉口が大きく、マイクロ波の照射方向を比較的自由に変更することが可能である場合、図8に示したように、転炉の炉壁とスラグ表面との双方にマイクロ波を照射することで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
ここで、マイクロ波をスラグ表面とランス側壁との双方に照射する場合には、メインランス近傍におけるスラグの位置を、転炉全体におけるスラグ位置とみなすことに対応する。また、マイクロ波をスラグ表面と転炉の炉壁との双方に照射する場合には、転炉の炉壁近傍におけるスラグの位置を、転炉全体におけるスラグ位置とみなすことに対応する。
さて、図7Bに示したように、P1−P2で表される波の進行方向と、P3−P4で表される波の進行方向とは、大きさDoffだけ位置ズレが生じている。従って、このオフセット分Doffが存在したとしても、アンテナ107でオフセット分を含めて受信できるように、アンテナ107の傾き度合いを決めることが好ましい。
そこで、以下では、図9A〜図10を参照しながら、アンテナ107の傾き度合いと反射波の受信度合いとの関係について、詳細に説明する。図9A〜図10は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。
アンテナ107の傾き度合いと反射波の受信度合いとの関係は、実機を利用して実際に測定することで検証することも可能であるし、公知の有限要素法による電磁場解析等のシミュレーションを利用して理論的に求めることも可能である。シミュレーションを利用して上記の関係を求める場合、アンテナ107からガウスビーム形状の入射波がスラグ表面に向かって拡散しながら進行していくものとし、アンテナ107に戻ってくる反射波の強度を算出すればよい。
この場合に、マイクロ波を反射させる反射体(すなわち、ランス側壁や炉壁)が存在しないと仮定した場合には、図7Bに示したようなコーナーキューブミラーが実現せず、入射波は、スラグ表面の正反射方向へと進行していき、アンテナ107に戻ってくる反射波の強度が小さくなる。また、ランス側壁や炉壁等のような反射体が存在すると仮定した場合には、図7Bに示したようなコーナーキューブミラーが実現し、入射波は、アンテナ107の方向へと戻っていくこととなる。更に、アンテナ107に対応する位置を固定し、かつ、反射体の存在を仮定した上で、入射波のスラグ表面への入射位置を変化させることで、入射角θに応じた反射波の受信強度の変化を把握できる。反射波の受信強度が小さい場合には、マイクロ波照射ユニット100の検出器111で検出されるビート波の強度は小さくなり、計測が正常に終了する割合が低下する。
ここで、本発明者らは、入射角θに応じた反射波の受信強度の変化を把握するために、図9A〜図9Cに示したような、スラグ表面におけるマイクロ波の照射領域の大きさ(半径r)と、マイクロ波の照射量記の中心から反射体までの離隔距離dと、の関係に着目し、離隔距離dを照射半径rで除した(d/r)というパラメータを考えた。ここで、離隔距離dは、照射領域の中心をゼロとし、図9A及び図9B中右方向を正の値とする。すなわち、図9A及び図9Bに示したように、照射マイクロ波の半分以上がスラグに照射される場合は、d≧0となり、図9Cにおいて、照射領域の中心が反射体よりも右側に位置し、照射マイクロ波の半分超がランス側壁又は炉壁に照射される場合は、d<0となる。
ここで、図9A及び図9Cに示したように、離隔距離dの絶対値が照射半径rよりも小さくなる場合も考えられるし、図9Bに示したように、離隔距離dの絶対値が照射半径rよりも大きくなる場合も考えられる。
アンテナ107を設置する開口部の位置は固定されているため、この(d/r)の値が変化することでマイクロ波の進行方向は変化し、アンテナ107に戻ってくる反射波(戻り波)の位置がシフトすることとなる。従って、アンテナ107の特性に応じて、アンテナ107が受信できる範囲に戻ったマイクロ波の強度を、実測したり、シミュレートしたりすればよい。
いま、実際の転炉を用い、サブランス孔の近傍に設けた開口部に250mmのアンテナ径のカセグレン型アンテナ(拡散角α=1度)を設置し、中心周波数45GHz(変調幅±1GHz、変調周期50Hz)のマイクロ波(発振出力100mW以上のある一定値に固定)を用いて、上記d/rの値を変化させながらビート波の信号強度を測定する実験を行った。ここで、評価基準として、50Hzの測定レートにおいて、ビート波が正常に測定された割合を測定率と称することとし、測定率の変化を検証した。なお、本検証で導入した測定率とは、以下の式110に示したように、1秒あたり1回以上ビート波が正常に測定できた時間を、全測定時間で除することで得られる割合である。
測定率[%]
=(1回/秒以上正常に測定できた時間:[秒]/全測定時間[秒])×100
・・・(式110)
得られた結果を、図10に示した。図10において、横軸が(d/r)の値であり、縦軸が上記式110に基づき算出した測定率である。図10から明らかなように、−0.66<d/r<0.66の範囲において、測定率90%以上という優れた計測結果が得られたことがわかる。また、この(d/r)の範囲においてアンテナ107に戻ってくる反射波の強度を、上記のようなシミュレーション(有限要素法による電磁場解析)で算出した。なお、上記(d/r)の範囲では、ランス側壁に対して、アンテナから照射したマイクロ波の照射面積の20〜70%が照射されていることが明らかとなった。この数値範囲は、擬似的に構成されたコーナーキューブミラーが効果を発揮する範囲である。例えば、ランス径を0.4mとしたときに本条件が満足されるには、(ランスの断面積/マイクロ波の照射面積)≧20%となる照射面積であることが求められ、かかる場合(0.2/0.45)が凡そ0.2となることから、マイクロ波の周波数を照射エリアの直径が0.9mとなる39GHz以上とすることが好ましいことが分かった。なお、上限値が70%と対称性を有していないのは、ランスが円筒形であり、擬似的に凸面ミラーとして作用することに起因する。
また、(d/r)の値を変化させながら炉壁に向かってマイクロ波を照射する実機での実験は行うことが出来なかったため、炉壁に対してマイクロ波を照射した場合についての検証は、以下のようなシミュレーションにて行うこととした。ここで、上記のランス側壁への照射実験で得られた反射波の強度と測定率との関係は、炉壁に対してマイクロ波を照射した場合でも同様であると考え、測定率が90%以上となる反射波の強度を与える(d/r)の範囲を、シミュレーションにより算出した。その結果、炉壁とスラグ表面との双方に対してマイクロ波を照射する場合には、−1.7<d/r<1.7とすることで、測定率が90%以上となることが明らかとなった。
また、上記の(d/r)の値に関する範囲は、マイクロ波の周波数を変えた場合においても、同様の数値範囲となった。
なお、炉壁に向けてマイクロ波を照射する場合と、ランス側壁に向けてマイクロ波を照射する場合とで、(d/r)の値の範囲が異なる理由については、炉壁が平面ミラーあるいは凹面ミラーとしてみなすことができるのに対し、ランスはその形状により凸面ミラーとして機能すると考えられるためであると考えられる。
以上、図3〜図10を参照しながら、マイクロ波照射ユニット100におけるアンテナ107の設置方法について、詳細に説明した。
なお、転炉製鋼プロセスにおいて、吹錬前は底吹きのみの状態であることから、計測対象物であるスラグ表面は比較的穏やかであるが、吹錬が開始されるとメインランスから大量の酸素が噴射されるため、表面は激しく変動する上、スラグの酸化反応によって激しく気泡が発生する状態となる。かかる状態では、スラグ表面からのマイクロ波の反射率が小さくなり、吹錬前の溶銑レベル計測に比べて高い測定感度が求められることとなる。従って、吹錬中であってもより精度よくスラグ表面の位置の計測を行うために、マイクロ波照射ユニット100全体として、電力比が40dB以上であることが好ましい。
また、吹錬中のスラグ表面は、上述のように激しく上下動を繰り返しており、0.5秒で±1m程度変動する場合もある。そのため、平均的な表面レベルを計測するためには、時定数を短くして瞬時値を計測してから、得られた計測結果を平均化することが重要である。この際、精度50mm以下でスラグ表面のレベルを計測するためには、30ミリ秒程度以下の応答速度を有することが好ましい。これ以上の計測時間では、表面の変動分が検出信号のピーク強度の低下及び幅の増大につながり、感度を低下させる可能性がある。なお、上記応答速度の下限は特に限定するものではなく、応答速度が早ければ早いほど、実際のスラグの表面レベルの変化に追随した計測結果を得ることが可能となる。
以上、図1〜図10を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10が備えるマイクロ波照射ユニット100の構成について、詳細に説明した。
<演算処理ユニットの構成について>
続いて、図11を参照しながら、本実施形態に係る演算処理ユニット200の構成を詳細に説明する。図11は、演算処理ユニット200の構成の一例を示したブロック図である。
本実施形態に係るレベル計10が備える演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100の発振器103にて射出されるマイクロ波と、検出部111にて検出された反射マイクロ波とに基づいて、スラグのレベルを算出する処理ユニットである。より詳細には、演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100によって検出されたビート波の検出信号に対してデジタル信号処理を施し、スラグ表面の位置を算出するユニットである。この演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100に設けられた演算処理用のチップとして実装されていてもよく、マイクロ波照射ユニット100の外部に設けられ、マイクロ波照射ユニット100からデータの取得が可能な、各種コンピュータやサーバ等の情報処理装置として実現されていてもよい。
この演算処理ユニット200は、図11に示したように、計測制御部201と、演算処理部203と、表示制御部205と、記憶部207と、を主に備える。
計測制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。計測制御部201は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100による計測対象物Sの計測処理、及び、アンテナ駆動機構150によるアンテナ107の調整処理を、それぞれ統括して制御する。
より詳細には、計測制御部201は、マイクロ波照射ユニット100によって計測対象物Sのレベル位置の計測を開始する場合に、マイクロ波照射ユニット100の動作を開始させるための制御信号を出力する。
また、計測制御部201は、ユーザ操作等に応じて、マイクロ波照射ユニット100のアンテナ107の配設角度(例えば、図3右側の図における紙面に平行な面内での配設角度や、紙面に垂直な面内での配設角度)を調整するために、アンテナ107の近傍に設けられたアンテナ駆動機構150に対して、配設角度を変化させるための制御信号を出力することも可能である。これにより、本実施形態に係るレベル計10の使用者は、マイクロ波照射ユニット100で計測されるビート波の出力の具合(例えば、信号強度やS/N比等)を実際に見ながら、炉口や炉底までの離隔距離を計測したり、着目している操業における最も適したアンテナ107の配設角度(換言すれば、d/rの値)を調整したりすることが可能となる。
演算処理部203は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波の検出信号を利用してデジタル信号処理を行うことにより、転炉内におけるスラグ表面の位置を算出する演算処理を実施する。また、演算処理部203は、算出したスラグ表面の位置を、転炉における吹錬処理の経過時間毎に記録したトレンドチャートを生成することも可能である。
演算処理部203は、算出したスラグ表面の位置やトレンドチャートといった、マイクロ波照射ユニット100による計測結果を表す各種の情報を算出すると、得られた結果を表す情報を、表示制御部205に出力する。また、演算処理部203は、得られた結果を表す情報を、プリンタ等の出力装置を介して、例えば帳票のようなかたちで出力したり、転炉による操業を管理する操業管理コンピュータ等などに、得られた結果を表すデータそのものを出力したりすることも可能である。
かかる演算処理部203における演算処理の詳細については、以下で改めて説明する。
表示制御部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部205は、演算処理部203から伝送された、計測対象物Sである転炉内のスラグ表面の位置に関する計測結果を、演算処理ユニット200が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理ユニット200の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、レベル計10の利用者は、転炉内のスラグ表面の位置に関する計測結果を、その場で把握することが可能となる。
記憶部207は、例えば本実施形態に係る演算処理ユニット200が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部207には、本実施形態に係る演算処理ユニット200が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部207は、計測制御部201、演算処理部203、表示制御部205等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
[演算処理部における演算処理について]
次に、図12〜図16を参照しながら、演算処理ユニット200が備える演算処理部203における演算処理について、詳細に説明する。図12〜図16は、本実施形態に係る演算処理部における演算処理を説明するための説明図である。
○実施される演算処理の大まかな流れについて
本実施形態に係る演算処理部203では、マイクロ波照射ユニット100から、図12の最上段に示したようなビート波の検出結果を示す信号が出力されると、まず、得られた信号をA/D変換して、デジタルデータとする。その上で、演算処理部203は、得られたビート波のデジタルデータをフーリエ変換(より詳細には、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT))し、図12の2段目に示したようなスペクトルを生成する。より詳細には、演算処理部203は、高速フーリエ変換によって得られたデジタルデータ(図12の2段目に示した、横軸がビート周波数であるスペクトル)に対して、マイクロ波照射ユニット100の設定値に基づいて決定される距離係数(上記式103の最右辺において、(cT/2F)で表される係数)を乗じ、図12の3段目に示したような距離波形を生成する。かかるフーリエ変換によって得られるスペクトルの横軸を距離に変換した距離波形は、横軸が、アンテナ107とスラグ表面の位置との間の距離に対応し、縦軸が信号強度に対応する。
ここで、マイクロ波照射ユニット100により検出されるビート波は、スラグの表面変動に由来する多くの凹凸が存在するため、図12の最上段に示したように、微小なピークの集合体として観測される。従って、演算処理部203は、距離方向の所定の長さの移動平均処理を行って、得られた距離波形を空間的に平均化する。これにより、平均化前の距離波形における局所的なピークが平坦化されて、有意なピークが強調されることとなる。図12に示した例では、図12の3段目に示したような距離波形が空間的に平均化されて、図12の最下段に示したような、平均化後の距離波形が算出される。
なお、移動平均処理を実施する距離方向の長さについては、特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を解析するなどして適宜設定すればよいが、例えば、300〜500mm程度とすることができる。
その後、演算処理部203は、空間的に平均した後の距離波形において、予め設定した閾値以上の強度を有するピークのうち最大強度を与える距離を、スラグ表面までの距離として決定する。ここで、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を、スラグ表面の絶対レベルとしてもよいし、例えば、転炉の炉底からの高さなどのように、他の基準へと変換してもよい。なお、かかる処理に用いられる閾値についても特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を解析するなどして適宜設定すればよい。
また、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を利用し、スラグ表面の位置と転炉における吹錬処理の経過時間とを関連付けた、いわゆるトレンドチャートを生成してもよい。かかるトレンドチャートは、例えば横軸に吹錬処理の経過時間をとり、縦軸に得られたスラグ表面のレベルをとったような、時系列経過を示したグラフ図となる。
この際、計測レベルの表面変動に起因する変動に対応するために、演算処理部203は、ピークの経時変化を一定時間幅で時間的に移動平均処理し、大局的なレベルの推移を表すトレンドチャートとすることが可能である。かかる時間的な移動平均処理の大きさについても特に限定されるものではないが、例えば、200ミリ秒程度に設定することが可能である。
更に、演算処理部203は、得られたトレンドチャート等に基づいて、スラグ表面の平均的な高さや、スラグ表面の高さの最大値や、スラグ表面の高さの最小値などといった各種の統計量を算出して、吹錬処理を特徴づける特徴量としてもよい。
○フィルタリング処理について
ところで、実際の操業においては、吹錬によって生じる炉内の飛散物によって、炉口に地金が付着していき、徐々に大きくなっていく。その結果、炉口の大きさ、高さ、形状等が変化して、マイクロ波による計測範囲が狭くなり、図13に模式的に示したように、スラグ表面からの反射波以外にも、地金の付着した炉口からの余分な反射波が検出されてしまう。その結果、演算処理部203によって生成される距離波形には、スラグ表面に関するピークに加えて、炉口からの反射波に伴うピークが重畳してしまう。炉口からの反射波に伴うピークが重畳している距離波形を用いて上記のような演算処理を行うと、計測誤差を生む原因となってしまう。
また、転炉の炉底に設置されている耐火レンガが溶損することにより、炉内に同じ量の溶融物を装入したとしても、アンテナ107からの離隔距離が変化することになる。従って、かかる状態のまま演算処理が行われると、スラグ表面の位置が低下したような結果が得られてしまう。
そこで、本実施形態に係る演算処理部203では、アンテナ107から炉口までの離隔距離や、アンテナ107から炉底までの離隔距離に関する情報を利用して、炉口からの反射波による計測精度の低下や、炉底位置の変化に伴う計測精度の低下を防止する。
ここで、上記式103に示したように、離隔距離Dは、照射したマイクロ波とマイクロ波の反射波との差周波信号(すなわち、ビート波)の周波数Δfと等価な関係にある。従って、本実施形態に係る演算処理部203では、アンテナ107から炉口までの離隔距離Dに相当するビート波の周波数Δfと、アンテナ107から炉底までの離隔距離Dに相当するビート波の周波数Δfと、を利用して、計測精度の低下を防止する処理を実施する。
すなわち、アンテナ107からスラグ表面までの離隔距離Dは、炉口までの離隔距離Dよりも大きく、炉底までの離隔距離Dよりも小さいはずである。従って、上記式103によれば、スラグ表面の位置に相当するビート波の周波数Δfは、図14に模式的に示したように、炉口までの離隔距離Dに相当する周波数Δfよりも大きく、炉底までの離隔距離Dに相当する周波数Δfよりも小さくなる。
そこで、本実施形態に係る演算処理部203では、図15に模式的に示したように、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波の検出結果を取得すると、かかるビート波に対してフーリエ変換を実施するに先立って、上記のような周波数に基づくフィルタリング処理を実施する。その後、演算処理部203は、フィルタリング処理後のビート波を利用して、フーリエ変換及びスラグ表面のレベル特定という処理を実施していく。
ここで、離隔距離Dに相当するビート波の周波数Δfは、先だって説明したように、アンテナ駆動機構150を稼働させて吹錬前に炉口までの離隔距離Dを計測することで、特定することができる。また、離隔距離Dに相当するビート波の周波数Δfは、アンテナ駆動機構150を稼働させて、転炉内に溶融物が装入されていない状態で炉底までの離隔距離Dを計測することで、特定することができる。離隔距離DとDは、時々刻々と変化するため、機会のある毎に測定しておくことが好ましい。なるべく精確な離隔距離DとDを求めておくことにより、適切なフィルタリング処理を行うことが可能となる。
演算処理部203は、上記のようにして予め特定しておいたビート波の周波数ΔfやΔfを利用して、図14及び図15に示したようなフィルタリング処理を実施する。
具体的には、演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波に対して、Δfよりも高い周波数成分のみを通過させるハイパスフィルタを作用させることで、Δf以下の低い周波数をもつ余分な反射波の影響を、低減することができる。
また、演算処理部203は、上記のようなハイパスフィルタに代えて、Δfよりも高い周波数を通過させ、かつ、Δfよりも低い周波数を通過させるバンドパスフィルタをビート波に対して作用させてもよい。これにより、Δf以下の低い周波数をもつ余分な反射波の影響だけでなく、吹錬前に発生していた炉底の耐火レンガの溶損に伴う影響を、ビート波から取り除くことができる。
ところで、上記ビート波のような周波数スペクトル上に、図16に示したような互いに近接する2つのピークA、ピークBが存在する場合を考える。この際に、ピークAとピークBとを分離できるか否かは、ピークA及びピークBのピーク周波数と、ピークAの半値全幅(Full Width at Half Maximum:FWHM)とがどのような関係となっているかに基づいて判断することができる。すなわち、図16に模式的に示したように、ピークAのピーク周波数をf、ピークAの半値全幅をFWHM、ピークBのピーク周波数をfと表わした場合に、f≧f+FWHMという関係を満たしていれば、ピークAとピークBとを分離することが可能となる。そこで、本実施形態に係るフィルタリング処理で利用されるハイパスフィルタやバンドパスフィルタにおいても、上記のようなスペクトル分解能に着目して、ハイパスフィルタのカットオフ周波数や、バンドパスフィルタの通過帯域を決定することが好ましい。
すなわち、本実施形態に係るハイパスフィルタのカットオフ周波数は、上記のようなスペクトル分解能に基づき、(転炉の炉口の位置Dに相当する差周波信号のピーク周波数Δf+ピーク周波数Δfの半値全幅)で表わされる周波数とすることが好ましい。また、本実施形態に係るバンドパスフィルタの通過帯域は、(転炉の炉口の位置Dに相当する差周波信号のピーク周波数Δf+炉口のピーク周波数Δfの半値全幅)以上、(転炉の炉底の位置Dに相当する差周波信号のピーク周波数Δf−炉底のピーク周波数Δfの半値全幅)以下で規定される周波数帯域とすることが好ましい。
また、本実施形態に係る演算処理部203では、上記のようなフィルタリング処理におけるフィルタの周波数特性を、1チャージ又は数チャージの間の吹錬処理において静的なものとして扱っても良いし、吹錬中に動的に変化させてもよい。
すなわち、本実施形態に係る演算処理部203では、吹錬中のある時点から上記差周波数Δf又はΔfに対応するピークが検出されるようになった場合には、炉口での地金の付着や、炉底での耐火レンガの溶損が顕著になったと判断し、フィルタの周波数特性を動的に変更してもよい。ただし、差周波数Δf又はΔfに対応するピークが突発的なノイズとして検出される場合も考えられる。そこで、演算処理部203は、上記のような周波数を有するピークがある瞬間から連続的に検出されるようになった場合には、炉口での地金の付着や、炉底での耐火レンガの溶損が顕著になったと判断し、フィルタの周波数特性を、炉口や炉底に相当する差周波数を通過させないように変更すればよい。一方、上記のような周波数を有するピークがある瞬間のみ検出され、その後は検出されなかった場合には、ノイズが重畳したと判断し、フィルタの周波数特性を変更しないようにすればよい。
以上、図12〜図16を参照しながら、演算処理部203における演算処理について説明した。
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット200の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
このように、本実施形態に係るレベル計10は、吹錬中のスラグ面の計測処理において、従来、サブランス孔から鉛直下方に向けて照射していたマイクロ波を、レベル測定用の孔から照射する。また、アンテナ駆動機構150によりアンテナ107を任意の角度に調整し、かつ、炉口から炉底までの離隔位置に対応するビート波のみをフィルタリング処理により抽出する。本実施形態に係るレベル計10では、これらの処理を実施することにより、吹錬全般にわたって、炉口形状の変化や炉口上への飛散物の影響を低減しつつ、スラグ面のレベルを計測することが可能となる。その結果、適切なタイミングで鎮静剤を投入し、かつ、投入した鎮静剤の効果を把握することが可能となり、スロッピングを効果的に予防できるようになる。また、本実施形態に係るレベル計10を用いることで、フォーミング状態を一定高さに制御することができ、歩留まりを向上させることも可能となる。また、本実施形態に係るレベル計10では、マイクロ波照射ユニット100は転炉の内部へと挿入されず、転炉の炉口上方に設けられた開口部にアンテナが設置されるものであるため、メンテナンスも極めて容易である。
以上、図1〜図16を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10について、詳細に説明した。
(レベル計測方法について)
続いて、図17を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10で実施されるレベルの計測方法の流れについて、簡単に説明する。図17は、本実施形態に係るレベル計測方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係るレベル計10では、まず、マイクロ波照射ユニット100及びアンテナ駆動機構150が稼働されて、炉口・炉底へマイクロ波が照射される(ステップS101)。これにより、炉口からのマイクロ波の反射波と照射したマイクロ波との差周波信号(すなわち、ビート波)や、炉底からのマイクロ波の反射波と照射したマイクロ波との差周波信号(ビート波)が検出される(ステップS103)。マイクロ波照射ユニット100は、得られたビート波に対応する信号を、演算処理ユニット200に出力する。
演算処理ユニット200の演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波に対応する信号に対して、A/D変換を実施し(ステップS105)、ビート波のデジタルデータを生成する。その後、演算処理部203は、ビート波のデジタルデータをフーリエ変換し、炉口・炉底に相当するピークを与える差周波数Δf,Δfをそれぞれ特定する(ステップS107)。
次に、マイクロ波照射ユニット100及びアンテナ駆動機構150が稼働されて、転炉内部へマイクロ波が照射され(ステップS109)、計測対象物であるスラグ表面からのマイクロ波の反射波と、照射したマイクロ波との差周波信号(ビート波)が検出される(ステップS111)。マイクロ波照射ユニット100は、得られたビート波に対応する信号を、演算処理ユニット200に出力する。
演算処理ユニット200の演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波に対応する信号に対して、先だって特定した差周波数ΔfやΔfに基づくフィルタリング処理を実施する(ステップS113)。その後、演算処理部203は、フィルタリング処理後のビート波に対して、A/D変換を実施し(ステップS115)、ビート波のデジタルデータを生成する。続いて、演算処理部203は、ビート波のデジタルデータをフーリエ変換して周波数に関するスペクトルを生成し、得られた変換結果に距離係数を乗じることで距離波形を算出する(ステップS117)。
続いて、演算処理部203は、得られた距離波形を空間的に平均化した後(ステップS119)、所定の閾値以上の強度を有するピークのうち、最大ピークを与える距離を、スラグ表面までの距離として特定する(ステップS121)。
また、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を一定時間幅で移動平均処理することで時間平均化した後(ステップS123)、トレンドチャートを生成する(ステップS125)。次に、演算処理部203は、得られたトレンドチャート等を利用して、スラグ表面の平均レベル、最大レベル、最小レベル等といった各種の特徴量を算出する(ステップS127)。その後、演算処理部203は、得られた結果を出力する(ステップS129)。
以上、図17を参照しながら、本実施形態に係るレベル計測方法の流れの一例を簡単に説明した。
(ハードウェア構成について)
次に、図18を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成について、詳細に説明する。図18は、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理ユニット200は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理ユニット200は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理ユニット200内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理ユニット200の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理ユニット200のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理ユニット200に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理ユニット200の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理ユニット200に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理ユニット200に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理ユニット200は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法について、具体的に説明する。なお、以下で示す実施例は、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法が、以下に示す例に限定されるものではない。
本実施例では、マイクロ波照射ユニット100として、中心周波数45GHz、変調幅±1GHz以上のマイクロ波を用いた、FM−CW方式のユニットを利用し、転炉にて実施された実際の操業の様子を計測した。なお、アンテナ107は、250mmφのアンテナ径を有するカセグレン型又はホーン型のものを利用した。かかるアンテナ107において、拡散角は1度以下である。また、発振器103は、7.5GHzの周波数を持つ発振回路を6逓倍したものを利用した。かかるマイクロ波照射ユニット100から照射されるマイクロ波の発振出力は100mW以上であり、変調周期は50Hzである。
吹錬前に、アンテナ駆動機構150として設けたアクチュエータを稼働させて、炉口と炉底に対してマイクロ波を照射した。
発振したマイクロ波は、方向性結合器(又は分配器)105によって検出器111側に一部分配され、残りは、アンテナ107から大気中に放射された。計測対象で反射されたマイクロ波のうち、マイクロ波照射ユニット100に向かう方向の成分のみがアンテナ107で集波され、方向性結合器105を通った後、ミキサ109により分岐波とミキシングされ、検出器111で検波された。混合された信号の差周波成分(ビート信号)と周波数変調との同期信号を、マイクロ波照射ユニット100の外部に設けられたコンピュータのA/D変換ボードに入力し、デジタルデータとしてコンピュータに取り込ませた。
コンピュータに入力されたビート信号に対してFFT処理を施して、炉口や炉底の位置に相当する差周波数ΔfやΔfを特定した。得られた差周波数に基づいて、差周波数ΔfとΔfとの間の周波数をもつ成分のみを通過させるバンドパスフィルタのフィルタ特性を決定した。
その後、吹錬が開始されると同時にアンテナ駆動機構150として設けたアクチュエータを稼働させて、転炉の内部へマイクロ波を照射した。
発振したマイクロ波は、上記と同様にして、方向性結合器(又は分配器)105によって検出器111側に一部分配され、残りは、アンテナ107から大気中に放射された。計測対象で反射されたマイクロ波のうち、マイクロ波照射ユニット100に向かう方向の成分のみがアンテナ107で集波され、方向性結合器105を通った後、ミキサ109により分岐波とミキシングされ、検出器111で検波された。混合された信号の差周波成分(ビート信号)と周波数変調との同期信号に対し、特定した上記周波数に基づく周波数フィルタリング処理(より詳細には、バンドパスフィルタを用いたフィルタリング処理)を行った。その後、得られたフィルタリング処理後の同期信号を、マイクロ波照射ユニット100の外部に設けられたコンピュータのA/D変換ボードに入力し、デジタルデータとしてコンピュータに取り込ませた。
コンピュータに入力されたビート信号は、FFT処理を施されて周波数スペクトルが生成され、上記の距離係数が乗じられた上で、横軸が距離である波形に変換され、距離波形が得られた。この際、距離方向に300〜500mm程度の移動平均処理を行って、局所的なピークを平坦化し、予め設定した閾値以上のピークのうち最大強度のものをスラグの表面レベルとして検出した。その上で、ピークの継時変化を200ミリ秒程度の時間幅で移動平均処理し、図19Aに示したトレンドチャートを得た。また、比較のため、周波数フィルタリング処理を行わない場合のトレンドチャートを生成させて、図19Bに示した。なお、図19A及び図19Bにおいて、黒線は、移動平均処理を行っていない距離波形のピーク位置を表わしており、白線は、移動平均処理後の距離波形のピーク位置を表わしている。
図19Aから明らかなように、得られたトレンドチャートでは、転炉内におけるスラグレベルの推移がリアルタイムで把握可能である。かかるトレンドチャートを利用することで、吹錬操業において、吹錬初期では送酸量を増やしてフォーミングを促進し、レベルが一定値になると鎮静剤を投入するアクションを取ることが可能となった。また、かかるトレンドチャートを利用することで、短時間の表面変動も含めてリアルタイムにスラグの表面レベルを把握できるため、ランス高さや送酸量のきめ細かな制御ができ、スピッティングを抑制することによる歩留まり向上やスロッピング予防が可能になった。
一方、フィルタリング処理を行っていない図19Bでは、炉口に付着した地金の影響で、炉口からの反射波を多く検出してしまい、計測値が大きく変動していることがわかる。図19Aにおいて、吹錬開始から280秒程度経過後にスラグレベルが9m程度まで上昇しているが、図19Bにおいて、吹錬開始から280秒程度経過後のスラグレベルは10m程度となっており、約1m程度の計測誤差が生じていることがわかる。
図19Aと図19Bとの比較から明らかなように、検出されたビート波に対して適切なフィルタリング処理を実施することによって、計測誤差を低減したスラグ表面のレベル計測が可能となることがわかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 レベル計
100 マイクロ波照射ユニット
101 周波数掃引器
103 発振器
105 方向性結合器
107 アンテナ
109 ミキサ
111 検出器
150 アンテナ駆動機構
200 演算処理ユニット
201 計測制御部
203 演算処理部
205 表示制御部
207 記憶部

Claims (14)

  1. マイクロ波を用いて転炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計であって、
    発振されるマイクロ波の周波数を制御する周波数掃引部と、
    前記周波数掃引部の制御のもとで、周波数を掃引してマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、
    前記転炉の炉口の上方に配設されており、計測対象物に向けて前記マイクロ波の送信波を照射するとともに、前記計測対象物で反射した前記送信波を受信波として受信するアンテナ部と、
    前記送信波と前記受信波とに基づく差周波信号を検出する検出部と、
    前記アンテナ部の配設角度を調整するアンテナ駆動機構と、
    前記差周波信号に基づいて前記計測対象物の位置を算出する演算処理部と、
    を備え、
    前記計測対象物が、前記スラグ面である場合に、
    前記アンテナ駆動機構は、前記スラグ面の計測に先立って、前記配設角度を変化させ、
    前記アンテナ部は、前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施し、
    前記演算処理部は、前記転炉の炉口の位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行い、
    前記演算処理部は、前記検出部で検出された前記差周波信号に対して周波数フィルタリング処理を施し、当該周波数フィルタリング処理後の前記差周波信号をフーリエ変換して周波数に関するスペクトルを生成し、前記アンテナ部と前記スラグ面との距離に関する波形を算出し、当該波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とし、
    前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号の周波数よりも高い周波数を通過させるハイパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理である、レベル計。
  2. 前記アンテナ駆動機構は、前記スラグ面の計測に先立って、前記転炉の内部に溶融物が存在しない状態で、前記配設角度変化させながら前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施し、
    前記演算処理部は、前記転炉の炉底の位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行い、
    前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉底の位置に相当する差周波信号の周波数よりも低い周波数を通過させる処理を行うバンドパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理である、請求項1に記載のレベル計。
  3. 前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、(前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号のピーク周波数+当該ピーク周波数の半値全幅)で表わされる周波数である、請求項1又は2に記載のレベル計。
  4. 前記バンドパスフィルタの通過帯域は、(前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号のピーク周波数+当該炉口のピーク周波数の半値全幅)以上、(前記転炉の炉底の位置に相当する差周波信号のピーク周波数−当該炉底のピーク周波数の半値全幅)以下で規定される周波数帯域である、請求項に記載のレベル計。
  5. 前記演算処理部は、前記周波数フィルタリング処理に用いられるフィルタの周波数特性を、前記差周波信号での前記転炉の所定位置に対応するピークの検出に応じて動的に変化させる、請求項1〜4の何れか1項に記載のレベル計。
  6. 前記転炉の内部に溶融物が存在する状態で、
    前記アンテナ部は、転炉の内部に向けて照射される前記マイクロ波の照射方向を示す軸線が前記転炉に挿入されるランスの側壁又は前記転炉の炉壁に対して傾斜し、かつ、前記マイクロ波が前記スラグ面と、前記ランスの側壁又は転炉の炉壁との双方に照射されるように、前記アンテナ駆動機構によって前記配設角度が制御される、請求項1〜5の何れか1項に記載のレベル計。
  7. 前記アンテナ部は、前記マイクロ波の前記スラグ面における照射中心から前記ランスの側壁又は転炉の炉壁までの距離dを、前記マイクロ波の照射半径rで除した値(d/r)が、所定の範囲となるように制御される、請求項6に記載のレベル計。
  8. 前記アンテナ部は、前記マイクロ波の一部が前記ランスの側壁で更に反射するように前記配設角度が制御され、前記(d/r)の値が、−0.66超過0.66未満である、請求項7に記載のレベル計。
  9. 前記アンテナ部は、前記マイクロ波の一部が前記転炉の炉壁で更に反射するように前記配設角度が制御され、前記(d/r)の値が、−1.7超過1.7未満である、請求項7に記載のレベル計。
  10. 前記アンテナ部は、前記転炉の内部に向けて照射される前記マイクロ波のパワーのうち20〜70%が前記ランスの側壁又は転炉の炉壁に供給されるように、前記配設角度が制御される、請求項6〜9の何れか1項に記載のレベル計。
  11. 前記演算処理部は、
    算出した前記波形を前記距離に沿って空間的に平均化した後に、平均化後の前記波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とする、請求項1〜10の何れか1項に記載のレベル計。
  12. 前記演算処理部は、決定した前記スラグ面の位置に関する情報を時間的に平均化した上で、前記スラグ面の位置と、前記転炉における処理の経過時間と、を関連付けたトレンドチャートを生成する、請求項11に記載のレベル計。
  13. 計測の応答速度が、30ミリ秒以下である、請求項1〜12の何れか1項に記載のレベル計。
  14. マイクロ波を用いて転炉内のスラグ面のレベルを計測するレベル計測方法であって、
    発振されるマイクロ波の周波数を制御する周波数掃引部と、
    前記周波数掃引部の制御のもとで、周波数を掃引してマイクロ波を発振するマイクロ波発振部と、
    前記転炉の炉口の上方に配設されており、計測対象物に向けて前記マイクロ波の送信波を照射するとともに、前記計測対象物で反射した前記送信波を受信波として受信するアンテナ部と、
    前記送信波と前記受信波とに基づく差周波信号を検出する検出部と、
    前記アンテナ部の配設角度を調整するアンテナ駆動機構と、
    前記差周波信号に基づいて、前記計測対象物の位置を算出する演算処理部と、
    を備えたレベル計を用い、
    前記計測対象物が前記スラグ面である場合に、
    前記アンテナ駆動機構を用いて、前記スラグ面の計測に先立って、前記転炉の内部に溶融物が存在しない状態で、前記配設角度を変化させるステップと、
    前記アンテナ部を用いて、前記送信波の照射と前記受信波の受信を実施するステップと、
    前記演算処理部を用いて、前記転炉の炉口位置に相当する前記差周波信号の周波数の特定を行うステップと、
    前記演算処理部を用いて、前記検出部で検出された前記差周波信号に対して周波数フィルタリング処理を施し、当該周波数フィルタリング処理後の前記差周波信号をフーリエ変換して周波数に関するスペクトルを生成し、前記アンテナ部と前記スラグ面との間の距離に関する波形を算出し、当該波形におけるピーク位置を前記スラグ面の位置とするステップと
    を有し、
    前記周波数フィルタリング処理は、前記転炉の炉口の位置に相当する差周波信号の周波数よりも高い周波数のみを通過させるハイパスフィルタを、前記差周波信号に対して作用させる処理である、レベル計測方法。
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