JP6496114B2 - 底面付き袋体 - Google Patents
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Description
これに対して、特許文献1や2にあっては、ボトムラインを、前記襠折り目線と前記サイドラインとの交点よりも下方の位置に到達させている。特に、特許文献1では、底面シートがサイドシールに接合されている箇所から袋体が破れたり避けたりすることを防止することを目的として、サイドシールに袋体の内側から凹部を設け、この凹部に向けてボトムラインが伸びるように構成した破袋し難い袋体を提案している。
しかも、特許文献1や2にあっては、ボトムラインは、サイドシールもしくはその延長線よりも内側の領域では、特定の比較的急峻な勾配で直線状や弧状に傾斜しているに止まる。そのため、正面側シート及び背面側シートと、底面シートとの間で、上下の位置関係が設計値よりもずれた場合には、ボトムラインが比較的急峻な勾配のボトムシールが、サイドシールに接続されることになってしまう。その結果、袋体の耐破袋性能にばらつきが生じ易いという課題を有する。
また、本発明は、袋体の耐破袋性能のばらつきを抑制した袋体の提供を課題とする。
前記正規縁部は、その延長線と前記サイドラインとの交点である上方仮想点が、前記襠折り目線と前記サイドシールとの交点である襠交点上もしくは前記襠交点よりも上方に位置するように、規定されていることが望ましい。
また、前記底面シートに位置する前記サイドシールは、前記正面側シートと前記背面側シートとの少なくとも2枚のシートをシールした前後接合部を備え、前記前後接合部の少なくとも一部が前記ポケット部と同じ高さに位置することも、破袋を防止する観点から望ましい。
さらに、本発明は、前記正面側シートと前記背面側シートなどの胴部シートの構成については種々変更し得るものである。例えば、開口部の形状については特に限定はなく、前記正面側シートと前記背面側シートと双方に開閉用のファスナを備えものに適用することができる他、一方にのみ開閉用のファスナを備えものにも適用できるし、ファスナを設けない袋体にも適用することができる。
また、本発明は、袋体の耐破袋性能のばらつきを抑制した袋体を提供することができたものである。
図1は、本発明の実施の形態に係る袋体31を示すものであり、この袋体31は、2枚の胴部シート(正面側シート32と背面側シート33)の周囲を熱溶着などで接着した袋体である。
正面側シート32と背面側シート33とは、サイドシール61を左右両辺に備え、これによって両辺が接合されているが、袋体31の形状は種々変更して実施することができる。例えば、左右に襠部を有するものであってもよく、さらに、一部が剛性の高い成形品で構成されたものであってもよい。正面側シート32は背面側シート33とは、別体のシート体から構成してもよく、或いは、1枚のシートを左右2辺で折り曲げて中央でシールする背貼り型のものであってもよい。
この実施の形態に係る袋体31にあっては、その一つの面を構成する同一面シートのうち、正面側シート32と背面側シート33との少なくとも何れか一方(この例では正面側シート32)には、開封部34が形成されている。この開封部34を挟んで、上下両側に、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが、それぞれ熱溶着などで正面側シート32に接着されている。この第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とは、雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23とが着脱可能に嵌合して、開閉可能なファスナ10を構成する。
まず、第2ファスナ半部21から説明する。第2ファスナ半部21は、通常の合成樹脂製のファスナに用いられるものと同様のもので、基部22と、基部22の背面側に設けられた雌雄嵌合部23とを備える。雌雄嵌合部23の正面側の全面あるいは幅方向の一部が固定部24を構成し、固定部24と正面側シート32の背面側とが熱溶着などの接着によって固定されている。
この例では、第2ファスナ半部21は開封部34の下方に配置されているが、上方に配置することもできる。
次に、第1ファスナ半部11は、第2ファスナ半部21と嵌合する合成樹脂製のファスナ半部であり、基部12と、基部12の正面側に設けられた雌雄嵌合部13とを備える。この雌雄嵌合部13は、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と着脱可能に嵌合するものであり、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23と上下方向において略同一位置に設けられたものであり、開封部34の下方に配置されている。なお、第2ファスナ半部21が開封部34の上方に配置された場合には、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13も上方に配置される。図1の例では、第2ファスナ半部21の雌雄嵌合部23が突条の雄嵌合部、第1ファスナ半部11の雌雄嵌合部13が雌嵌合部として実施されているが、図2(A)に示すように、雌雄は逆にして実施することもでき、複数条の突条と凹溝とが互い嵌合する形状など、ファスナの雌雄嵌合部は種々変更して実施することができる。またいわゆるダブルチャックと呼ばれるように、複数の雌雄嵌合部同士を嵌合させるようにしてもよい。
開封部34は、正面側シート32に形成されたもので、上下方向において、第1ファスナ半部11の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24との間に挟まれた位置に形成されている。開封部34は、横方向に伸びる未開封部35と、その適宜位置(この例では中央)に形成された開封済み部36とを備える。この例では、未開封部35は正面側シート32に形成されたミシン目であり、開封済み部36は正面側シート32に形成された切り目部分である。この切り目部分は、指先が入る程度の大きさで、7mm以上、好ましくは10〜40mm程度の左右長さを有するものとして実施することが適当である。切り目部分は、線状にカットされていればよく、その上下方向の幅は0mmで足りるが、数mm〜10mm程度の上下幅として実施することもできる。
開封に際しては、まず、開封済み部36から指fを押し込み空間39内に差し込む。この例では、開封済み部36は、予めカットされた切り目部分であり、また中間部16が前述のように凹部となっているため、無理なく指fを背面側に押し込むことができる。そして、差し込んだ指fを左右に動かすことで、ミシン目の未開封部35を容易に破っていくことができる。勿論、開封済み部36に差し込んだ指で正面側シート32を摘むなどして、上下方向に引っ張る要領で未開封部35を破るようにしてもよい。いずれにしても、開封済み部36を押し込み空間39に押し込むことで、開封済み部36からの開封を極めて容易に行うことができる。
この袋体31の製造は、極めて容易になすことができる。従来、この種のファスナ10は、ウエブ状に連続して送られる正面側シート32に対して、第1ファスナ半部11と第2ファスナ半部21とを嵌合させた状態で、第1ファスナ半部11の固定部14及び第2ファスナ半部21の固定部24が、熱溶着などで接着固定される。本発明の実施の形態では、この接着固定に先立って、正面側シート32に開封部34(未開封部35及び開封済み部36)を押し切り装置などで形成するだけで足りる。このように、予め形成された開封部34の上下両側に第1ファスナ半部11の固定部14と第2ファスナ半部21の固定部24とが位置するように、位置合わせして接着を行うだけで足りるため、製造工程の数を多大にすることもなく、低コストで、製造することができる。
図3(A)に、他の実施の形態を示す。先の実施の形態にあっては、開封部34の未開封部35をミシン目としたものであったが、この例では、未開封部35をシートの性質を利用したストレートカット性のあるものとしている点が相違するものであり、他の点については、先の実施の形態に関する説明を適用できる。
このように、未開封部35は、ファスナ10の長手方向に沿う方向に、容易に切り裂くことができる種々の手段に変更して実施することができる。
図3(B)に、開封部34の変更例を示す。先の2つの実施の形態にあっては、切り目部分による開封済み部36を設けたが、この例では、開封済み部36を設けないようにしたものであり、他の点については、先の何れの実施の形態に関する説明を適用できる。この図3(B)の例では、未開封部35についてミシン目としているが、このミシン目よりも小さな力で開封できる最弱開封部分37を開封済み部36の代わりに設けたものである。
このように、未開封部35と、開封済み部36又は最弱開封部37とを、ファスナ10の長手方向に連続して設けることで、開封の容易性と正面側シート32の無用な開封を防止する点で好ましい。但し、指fで破ることができることを条件に、開封済み部36や最弱開封部37を設けずに、未開封部35のみで構成する(例えば、全体を均一なミシン目で構成する)ことも可能である(図3(C)参照)。その場合には、開封部34の何れの箇所からも開封することができるが、使用者が迷わないように、矢印などで開封位置を示しておくこともできる。このような開封位置の表示は、他の例にあっても設けておくことが望ましい。
このように、開封部34の構成については、その構造や数や大きさなど種々変更して実施することができ、種々の組み合わせで実施することができる。
第1ファスナ半部11の凸部15については、前述したように、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みに略等しい高さに、突出させて、その先端の固定部14と、第2ファスナ半部21の固定部24とが略同じ高さとなるようにすることが最も望ましいが、図2(B)に示すように、両者の高さに若干の相違を設けて実施することもできる。図2(B)の例では、凸部15の高さを、嵌合状態の雌雄嵌合部13と雌雄嵌合部23との厚みの約2分の1としているが、3分の1以上程度でもよい。また、凸部15を全く設けずに固定部14と中間部16とを同じ高さとして実施することも不可能ではないが、開封部34の押し込みを良好になす観点や、正面側シート32に対する熱溶着などの接着を良好になす観点からは、凸部15を設けて実施することが望ましい。
また、前述までの実施の形態では、両ファスナ半部11、21の基部12、22の図示下端の下方への長さを略同じ長さとしていたが、両者の長さを異なるようにしてもよい。特に、図2(C)に示すように、第1ファスナ半部11の基部12を、第2ファスナ半部21の基部22よりも下方に長く伸ばすことも好ましい。このように、ファスナ10の幅方向(図2の上下方向)において、第1ファスナ半部11の基部12の端部に延長部17を設けて、この延長部17を、第2ファスナ半部21の基部22よりも幅方向に突出するようにしておく。これによって、両ファスナ半部11、21の基部12、22を、固定部14、12において正面側シート32に熱溶着する際に、延長部17も正面側シート32に対して、軽く熱溶着され、仮接合部18が形成される。なお、図では、仮接合部18の厚みが大きく描かれているが、実際は正面側シート32や延長部17等が厚み方向に自然と曲がるため、仮接合部18が厚み自体は、他の固定部14、24と同じでよい。但し、延長部17の厚みを他の固定部14、24と異なるように(例えば厚みを厚くして仮接合が確実に行なわれるように、もしくは、厚みを薄くして仮接合の強度を調整するように)してもよい。
本発明に係る袋体31を工業的に量産する場合、袋の連続製造の常法に従い、図4に示す連続シート51の形態を採るものを製造して、この連続シート51に対して収納物を収納しながら又は収納せずに各袋体31を製造することができる。この連続シート51は、袋体31を構成できる正面側シート32(又は必要に応じて正面側シート32の背面に背面側シートを配置して左右のサイドシールを施し筒状となった2枚のシート体でもよい)を、複数枚分長手方向(図4の上下方向)に連続して配置したものである。この例では、図1の袋体31を連続生産できるものを示すが、他の実施の形態に係る袋体31であってもよい。この連続シート51には、各袋体31毎に、等間隔で前述の開閉用のファスナが配置され、固定部14、24で固定されている。そして、固定部14、24の間に、開封部34(未開封部35及び開封済み部36や、図示はしないが最弱開封部37)が正面側シート32に等間隔で形成されている。この連続シート51は、通常ロール状に巻回されて保管移送され、袋体31の完成工程にて、袋体31と袋体31との間の境界部分91に、袋の天部のシールと底部のシールとが施されると共に切断され、一つずつの袋体31が完成させられる。なお、連続した状態の連続シート51の境界部分91には、袋の天部のシールと底部のシールとを予め施しておかないことが一般的であるが、底部シールのみを施したり、両シールを施しておくようにしたり、種々変更して実施し得るものである。
図5は開封動作の一例を示すものである。この図5にあっては、凸部15を設けていない場合であっても、容易に開封部34からの開封が可能な例を示したものである。
また、両ファスナ半部11、21の固定部14、24同士の位置を近づけておくことも望ましく、具体的には6mm以下程度が望ましい。
図6〜図11は、上述の種々の構成を整理したものであり、以下、その種類毎に順次説明する。
図6(A)〜(E)は、それぞれ開封部34を図示したものである。
このように、開封部34は、未開封部35と開封済み部36のうち、同一種類のみで全体を構成することもできるし、前述のように、未開封部35と開封済み部36とを組み合わせて連続して開封されるように構成することもできる。
図7及び図8は、開封部34を未開封部35や開封済み部36などを混在させと構成する場合のパターンを示したものである。
図8(A)は、半円形に打ち抜くなどした開口部41を、未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。図8(B)は、半円形に湾曲した開封済み部36(切り目)を、未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。図8(C)は、半円形に湾曲した未開封部35(ミシン目)を、直線状の未開封部35(ミシン目)に対して連続して設けたものである。この場合、湾曲した未開封部35(ミシン目)を前述の最弱開封部37として実施することもできる。
直線上の未開封部35(又は開封済み部36)に対して、開口部41、未開封部35、開封済み部36を設ける際、これらは種々の形状のものとして実施することができるものであり、その例を図9〜図11に。図9(A)は円形、図9(B)(C)は半円形、図9(D)はバツ印、図9(E)は長方形、図9(F)(G)は台形の例である。図10(A)は6角形などの多角形、図10(B)は鼓形状、図10(C)(D)は平行四辺形の例である。図11(A)(B)(C)はそれぞれ3角形の例であり、図11(D)は矢印形の例である。
図12は仮接合部18を設ける位置を示すものである。
図12(A)は、図2(C)と同様、基部12の下端に仮接合部18が設けたものであり、開封部34と、雌雄嵌合部13、23と、仮接合部18との順で、袋体の収納部奥の方に近づくように並べられている。この例では、開封部34を開封した後、雌雄嵌合部13、雌雄嵌合部23の嵌合を外すことで、仮接合部18を袋の前後に大きく開いて引っ張ることができるため、仮接合部18の仮接着が強い場合でも、開封が容易になるという利点がある。
次に本発明の最も重要なポイントである底面シート51の接合構造について説明する。
この底面シート51は、サイドシール61によって正面側シート32及び背面側シート33に接合されている。サイドシール61は、底面シート51の存在しない袋体の上部では正面側シート32と背面側シート33との2枚を接合する胴部サイドシール62とされ、袋体の下部では、底面シート51を他のシートと接合する底部サイドシール63とされている。より詳しくは、底部サイドシール63は、正面側シート32と前底分53とを接合し、これとは別に背面側シート33と後底分54とを接合する。
本発明は、前後接合部65の有無に関わらず実施することができるものであり、以下の説明では、特記しないかぎり、いずれの形態の場合も含むものとする。
ボトムシール71は、底面シート51を所定の形態に規定するために設けられたもので、底部サイドシール63と同様、正面側シート32と前底分53とを接合し、これとは別に背面側シート33と後底分54とを接合する。一般的には、左右方向においてサイドシール61に近づくに従って、全体として略斜め上方に傾斜して伸びる。左右の傾斜した部分は、袋体31の略中央で互いに直接接続されるものでもよく、略中央に設けられる水平部分を介して接続されるものであってもよい。
ボトムシール71は、直線状に傾斜するものであってもよく、弧状に傾斜するものであってもよい。
本発明においては、底面シート51とサイドシール61とボトムシール71との関係が重要である。以下、サイドシール61の内側の縁を規定する線をサイドライン64とし、ボトムシール71の内側の縁を規定する線をボトムライン72として説明する。サイドライン64は、通常は直線であるが、直線の一部に小さな凹部が設けられている場合、サイドシール61の大部分を占める直線の延長線をサイドライン64とする。
本発明に係るボトムライン72は、図14(A)に最も良く示されているように、直線の正規縁部74と、正規縁部74の前記直線に対して曲がっている調整縁部75とを備える。正規縁部74はサイドシール61の主たる形状を特定するもので、横方向にて、サイドシール61から遠い領域に正規縁部74が形成され、サイドシール61に近い領域に調整縁部75が形成される。言い換えると、調整縁部75は、正規縁部74がサイドシール61に接続される角度を整えるものであり、正規縁部74は調整縁部75を介してサイドライン64に接続される。正規縁部74は、袋底部の形状を整える点を主眼に設定されるため、30度〜60度程度の比較的急峻な勾配を持つ場合が多い。この急峻な正規縁部74が直接サイドライン64と交わると、その交差点に応力が集中し易い。そのため、調整縁部75を正規縁部74よりも勾配の角度が小さなものとして、応力の集中を緩和するものである。この勾配の角度は種々変更して実施することができるが、襠折り目線52を水平線として、この水平線に対する調整縁部75の勾配の角度が±24度の範囲内とすることが好ましい。
図14に示すように、調整縁部75の勾配の角度が負の値(具体的には10度で図示している)を示す。言い換えれば、ボトムライン72は正規縁部74と調整縁部75との間に頂部分73を備え、この頂部分73はボトムライン72のうちで最も上方に位置する。よって、襠折り目線52を水平線として、サイドライン64に向かって、正規縁部74は登り勾配となり、調整縁部75は下り勾配となっている。
ここで、襠折り目線52の襠折り目線52と、サイドシール61と、ボトムシール71との関係を示すために、3つの点を規定する。
第2に、サイドシール61のサイドライン64に対して、正規縁部74の延長線が交わる点を上方仮想点76とする。
第3に、サイドシール61のサイドライン64に対して、調整縁部75が交わる点を下方接続点77とする。
この条件下で、襠交点55の位置を検討すると、図15の(A)〜(E)に示す5つの態様に大別し得る。
(B)は、襠交点55が、下方接続点77と同じ位置にある態様である。
(C)は、襠交点55が、上方仮想点76と下方接続点77との間に位置する態様である。
(E)は、襠交点55が、上方仮想点76と同じ位置にある態様である。
(F)は、襠交点55が、上方仮想点76及び下方接続点77よりも上方に位置する態様である。
(A)では、ポケット部81が形成されず、底面シート51の襠折り目線52とボトムライン72との交点に力が集中するため、破袋が生じやすい。
(B)では、ポケット部81が形成されず、底面シート51の襠折り目線52と下方接続点77とが一致しており、この点に力が集中するため、破袋が生じやすい。
(C)では、ポケット部81が形成されるため、破袋を抑制することができる。
(E)では、ポケット部81が形成されるため、破袋を抑制することができる。
(F)では、ポケット部81が形成されるが、ポケット部81よりも、襠交点55が上方に位置するため、この襠交点55に力が集中する結果、破袋が生じやすい。
調整縁部75の勾配は、襠折り目線52を水平線として、サイドライン64に近づくに従って登り勾配(勾配の角度が正)となる場合と、水平(勾配の角度0度)となる場合と、下り勾配(勾配の角度が負)となる場合とを想定し得る。この何れの態様にあっても、上述の3点の関係に従って力が分散し得るものではある。ところが、底面シート51の正面側シート32及び背面側シート33に対する上下の位置関係は、その製法の如何に関わらず、安定しない場合が多い。他方、各シールを行うための融着用の金型は一定の形状に作成されていたり、微調整が可能であってもこれを変更するには一々製造ラインを止める必要がある。
この点を考慮すると、上方仮想点76と下方接続点77との間の間隔は大きい方が好ましいが、この間隔を大きくするために、極端に正規縁部74の角度を急峻にしたり、調整縁部75の長さを長くすることは、底面シート51の開き具合に悪影響を及ぼすなどの弊害が生じる。
先に述べたとおり、一般のスタンディングパウチなどの立ちやすさを実現するために、前後接合部65を形成して実施される場合が多い。この目的による前後接合部65は、袋の底端付近に設けられるのが一般的であるが、本発明者は、この前後接合部65を開き止めのために用いるのではなく、前後接合部65の形成位置によって、破袋防止効果を向上させ得ることも知見した。具体的には、底部サイドシール63に設けられる前後接合部65の少なくとも一部を、ポケット部81と同じ高さにする。この前後接合部65は、底面シート51の上部付近に設けられることになり、袋の底端から比較的遠い位置にあるため、スタンディングパウチなどの立ちやすさを実現するためには大きな役割を果たすものではないが、ポケット部81の形態を安定させるのに効果があり、その結果、破袋防止効果が向上すると考えられる。
袋体の基本形態は、全体が正面視で縦×横=29cm×22cmの長方形状をなし、底部に底面シート(縦×横=10cm×22cm)を二つ折りにして配置し、天部から4cmの位置に開閉用のファスナを設けた袋体である。
実施例1は、ボトムシール71を先に説明した図15(C)と同じ形態としたものであり、襠折り目線52を水平線としてこれに対する正規縁部74の傾斜角度を45度、調整縁部75の傾斜角度を0度(水平)とし、正規縁部74と調整縁部75との交点にはわずかなアールを付けたものである。サイドライン64における襠折り目線52の位置よりも4mm下方の位置に、調整縁部75の下方接続点77が位置するようにした。前後接合部65は、常法に従い袋体の底部付近に4mm幅で設けると共に、その上方に、ポケット部81と同じ上下位置にも同幅で設けた。
実施例1と同じ形態であるが、前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近に設けるに止まり、その上方のポケット部81と同じ上下位置には設けなかった。
比較例1は、最も一般的なスタンディングパウチに採用されるボトムシール71と略同じもので、襠折り目線52を水平線としてこれに対する傾斜角度を45度とした正規縁部74のみを設けた。正規縁部74は襠折り目線52とサイドライン64との交点に交わるものとした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
比較例2は、先に提示した特許文献1と同じもので、サイドライン64よりも外側に凹んだ半径3mmの略半円形をなす凹部101を形成したものである。襠折り目線52を水平線としてこれに対する傾斜角度を45度とした正規縁部74を形成し、その先端が凹部101内に到達してサイドシール61に接続されたものとした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
比較例3は、ボトムシール71を先に説明した図15(B)と同じ形態としたものであり、襠折り目線52を水平線としてこれに対する正規縁部74の傾斜角度を45度、調整縁部75の傾斜角度を0度(水平)とし、正規縁部74と調整縁部75との交点にはわずかなアールを付けたものである。サイドライン64における襠折り目線52の位置と同じ位置に、調整縁部75の下方接続点77が位置するようにした。前後接合部65は常法に従い袋体の底部付近にのみ設けた。
各実施例及び比較例の袋をそれぞれ4袋用意し、それぞれの内部に米粒2.0Kgを収納してファスナを閉じた状態で、底面を下側にして、1.7mの高さからコンクリート床に自然落下させた。
実施例1及び2は、比較例1〜3に比して優秀な耐破袋性能が確認され、実施例1と2との比較では、実施例1と2とでは、前後接合部65をポケット部81と同じ上下位置にも設ける方が、より有利な結果を得ることが確認された。比較例2では、ボトムシール71からの破袋ではなく、凹部101の上角102からの破袋が生じていることが確認された。
11 第1ファスナ半部
21 第2ファスナ半部
13、23 雌雄嵌合部
31 袋体
32 正面側シート
33 背面側シート
34 開封部
35 未開封部
36 開封済み部
37 最弱開封部
51 底面シート
52 襠折り目線
53 前底分
54 後底分
55 襠交点
61 サイドシール
62 胴部サイドシール
63 底部サイドシール
64 サイドライン
65 前後接合部
66 切除部
71 ボトムシール
72 ボトムライン
73 頂部分
74 正規縁部
75 調整縁部
76 上方仮想点
77 下方接続点
81 ポケット部
82 底辺
83 側辺
Claims (6)
- 袋の胴部シートとして正面側シートと背面側シートとを備えると共に、前記正面側シートと前記背面側シートとの間に配置された底面シートを有しており、
前記底面シートは、襠折り目線にて二つ折りにされることにより、前底部と後底部とに区分され、
サイドシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされ、
前記サイドシールに向けて全体として略斜め上方に伸びるボトムシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされた袋体において、
前記ボトムシールの内側を規定するボトムラインは、横方向にて、直線状の前記サイドシールから遠い領域にある直線の正規縁部と、直線状の前記サイドシールに近い領域にある調整縁部とを備え、
前記調整縁部は、前記正規縁部の前記直線に対して曲がった部分を含むことで、直線状の前記サイドシールに対する前記ボトムラインの角度を整えるものであり、
前記正規縁部と前記調整縁部とは、直線状の前記サイドシールの内側を規定する直線状のサイドラインよりも袋体の内側に位置し、
前記調整縁部は、前記正規縁部よりも勾配の角度が小さく、且つ、前記襠折り目線よりも下方に間隔を隔てた下方接続点にて、直線状の前記サイドシールと接続され、
前記襠折り目線を挟んで、前後にポケット部が形成されるものであり、前記前後のポケット部は、前記正面側シートと前記前底部との間に直線状の前記サイドシールに沿って形成された隙間、及び、前記背面側シートと前記後底部との間に直線状の前記サイドシールに沿って形成された隙間であり、前後の前記ポケット部の底辺は前記調整縁部によって規定され、前後の前記ポケット部の側辺は直線状の前記サイドラインにより規定され、
前記正規縁部は、その前記直線の延長線と直線状の前記サイドラインとの交点である上方仮想点が、前記襠折り目線と直線状の前記サイドシールとの交点である襠交点上もしくは前記襠交点よりも上方に位置するように、規定されており、
前記底面シートに位置する直線状の前記サイドシールは、前記正面側シートと前記背面側シートとの少なくとも2枚のシートをシールした前後接合部を備え、前記前後接合部の少なくとも一部が前記ポケット部と同じ高さに位置することを特徴とする底面付き袋体。 - 袋の胴部シートとして正面側シートと背面側シートとを備えると共に、前記正面側シートと前記背面側シートとの間に配置された底面シートを有しており、
前記底面シートは、襠折り目線にて二つ折りにされることにより、前底部と後底部とに区分され、
サイドシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされ、
前記サイドシールに向けて全体として略斜め上方に伸びるボトムシールによって、前記正面側シートと前記前底部とがシールされると共に前記背面側シートと前記後底部とがシールされた袋体において、
前記ボトムシールの内側を規定するボトムラインは、前記サイドシールの内側を規定する直線状の前記サイドラインの手前で終わる直線の正規縁部と、前記正規縁部と直線状の前記サイドシールとの間に形成された調整縁部と、前記ボトムラインのうちで最も上方に位置する頂部分とを備え、
前記調整縁部は、前記正規縁部の前記直線に対して曲がった部分を含むことで、直線状の前記サイドシールに対する前記ボトムラインの角度を整えるものであり、
前記調整縁部は、前記正規縁部よりも勾配の角度が小さいものであり、
前記頂部分は、横方向にて直線状の前記サイドラインよりも袋体の内側に位置し、縦方向にて前記襠折り目線よりも下方に位置し、
前記正規縁部は、その前記直線の延長線と直線状の前記サイドラインとの交点である上方仮想点が、前記襠折り目線と直線状の前記サイドシールとの交点である襠交点上もしくは前記襠交点よりも上方に位置するように、規定されており、
前記襠折り目線を挟んで、前後にポケット部が形成されるものであり、前記前後のポケット部は、前記正面側シートと前記前底部との間に直線状の前記サイドシールに沿って形成された隙間、及び、前記背面側シートと前記後底部との間に直線状の前記サイドシールに沿って形成された隙間であり、
前後の前記ポケット部の底辺は前記調整縁部によって規定され、前後の前記ポケット部の側辺は直線状の前記サイドラインにより規定されたことを特徴とする底面き袋体。 - 前記襠折り目線を水平線として、前記サイドラインに向かって、前記正規縁部は登り勾配であり、前記調整縁部は下り勾配であることを特徴とする請求項1又は2に記載の底面付き袋体。
- 前記襠折り目線を水平線として、前記調整縁部は、前記水平線に対する勾配の角度が±24度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の底面付き袋体。
- 前記サイドシールは、前記底面シートよりも上方では前記正面側シートと前記背面側シートとを直接シールしていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の底面付き袋体。
- 正面側シートと背面側シートとの何れか一方に開閉用のファスナを備え、
前記ファスナは、開閉可能な一方と他方のファスナ半部を備え、
前記両ファスナ半部は、互いに着脱可能に嵌合する雌雄嵌合部と、前記シートに対する固定部とを備え、
前記雌雄嵌合部と前記固定部とは、共に前記ファスナの長手方向に沿って形成されたものであり、
前記一方のファスナ半部は下方側の固定部を備え、前記他方のファスナ半部は前記下方側の固定部より上方に位置する上方側の固定部を備え、
両ファスナ半部は、前記袋体の分離されていない同一面シートに対して、それぞれの前記固定部によって固定されたものであり、
前記同一面シートにおける前記両ファスナ半部の前記両固定部の間に開封部が設けられ、前記開封部が開かれることで、前記袋体の開封がなされるものであり、
前記一方のファスナ半部は、正面に前記下方側の固定部を有する基部と、前記基部の背面に設けられた前記雌雄嵌合部とを備え、
前記他方のファスナ半部は、正面に前記上方側の固定部を有する基部と、前記基部の正面に設けられた前記雌雄嵌合部とを備え、
前記他方のファスナ半部の前記基部は、中間部を備え、
前記中間部は、前記他方のファスナ半部の前記雌雄嵌合部と前記上方側の固定部とが上下方向に距離を隔てて配置されることにより、前記雌雄嵌合部と前記固定部との間に設けられた部分であり、
前記両ファスナ半部は、前記一方のファスナ半部の前記背面と前記他方のファスナ半部の前記正面とが向き合うように、それぞれの前記固定部によって前記同一面シートに対して固定され、
上下方向において、前記中間部と同じ位置を含む部分に、前記開封部が配置され、
前記開封部を開くと共に前記両ファスナ半部の前記雌雄嵌合部同士の嵌合を開いて、前記袋体の開封がなされるようにしたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の底面付き袋体。
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