JP6492906B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
この油圧式の押圧装置を備えた従来のトロイダル型無段変速機では、ピストン部と入力側ディスクとの当接面でのフレッチング摩耗が問題となっており、フレッチング摩耗が大きくなると、当該当接面で焼き付きが発生する場合もある。
トロイダル型無段変速機では、図5に示すように入力側ディスク2から出力側ディスク3に動力伝達をするために、1つのキャビティーに対して複数個(通常2個または3個)のパワーローラ11を用いる。また、ディスク2,3とパワーローラ11との接触面においてトラクションドライブするためには入力側ディスク2の背面から押圧力を発生させる必要がある。このとき、位相によりパワーローラ11の有無があるため、つまり、入力側ディスク2にはパワーローラ11が当接している部分と当接していない部分があるため、入力側ディスク2は軸に対して非対称に変形する。つまり、入力側ディスク2は、パワーローラ11から受ける力に基づいて、入力側ディスク2の外径寄り部分がその軸側に近付く方向に倒れるように繰り返し弾性変形する。
このように、入力側ディスク2と押圧力発生のため入力側ディスク2を押圧するピストン部の突き当て部(当接部)とは、位相により接触状態が異なり、入力側ディスク2の外径寄り部分が繰り返し弾性変形するため、押圧力が大きく入力側ディスク2の変形が大きい場合や高回転で運転する場合などにおいて突き当て部(当接部)にフレッチング摩耗が発生する。
特許文献1に記載のトロイダル型無段変速機では、油圧式の押圧装置のピストン部と入力側ディスクとの突き当て部(当接部)に転がり軸受けを配置し、転がり化することでフレッチング摩耗を抑制している。
また、特許文献2に記載のトロイダル型無段変速機では、油圧式の押圧装置のピストン部と、入力側ディスクの突き当て部(当接部)に磨耗防止のシムを配置することでフレッチング摩耗を抑制している。
また、特許文献2に記載のトロイダル型無段変速機では、シム追加による部品点数の増加およびコスト増が問題となる。
前記押圧装置は、前記油圧室を構成するシリンダ部と、このシリンダ部に設けられて、前記一方のディスクに当接するピストン部とを有し、
前記一方のディスクと前記ピストン部との当接面が、前記シリンダ部側から前記一方のディスク側に向かうほど、当該一方のディスクの軸側に向けて傾斜していることを特徴とする。
また、一方のディスクとピストン部との当接面を傾斜させているだけあるので、部品点数の増加およびコスト増を招くこともなく、ディスクおよびピストン部の径方向および軸方向に寸法を増加させることもない。
ここで、クラウニングとは、当接面の少なくとも一部の面形状を中高(なかだか)に加工することをいう。
本実施形態のトロイダル型無段変速機の特徴は、押圧装置の構成にあり、その他の構成および作用は上述した従来の構成および作用と略同様であるため、以下においては、本実施の形態の特徴部分について説明する。
図1(a)に示すように、入力軸1の入力側に位置する入力側ディスク2の背面2d側には、入力側ディスク2を軸方向へ押圧する油圧式の押圧装置80が設けられている。
この押圧装置80は、入力軸1の基端部(図1(a)において左端部)1eに結合される第1のシリンダ部81と、入力側ディスク2に設けられた第2のシリンダ部82と、環状の第1のピストン部(油圧ピストン)83と、環状の第2のピストン部(油圧ピストン)84とを備えている。
また、第2のシリンダ部82の内周面と、第2のピストン部84と、入力側ディスク2の背面2dと、入力軸1の外周面の一部とによって囲まれた空間は、第2の油圧室(油室)90を構成している。この第2の油圧室90は、複数のシール部材91,92によって流体密に保たれている。
すなわち、入力側ディスク2のシリンダ部82の先端面82aは、ピストン部83が当接する当接面82aとされており、この当接面82aは図1(b)おいて左側から右側に向かうほど下方(軸側)に向けて傾斜した傾斜面となっている。
また、環状のピストン部83の入力側ディスク2側を向く側面の外周部には、前記当接面82aに当接する当接面83aが設けられ、この当接面83aは図1(b)おいて左側から右側に向かうほど下方(軸側)に向けて傾斜した傾斜面となっている。
また、当接面82a,83aの傾斜角度(入力軸1に対する傾斜角度)は等しくなっており、また、当接面82a,83aの傾斜方向の長さはほぼ等しくなっている。
第1の油圧室85に圧油が送り込まれると、第1ピストン部83が図1(a)中右側(入力側ディスク2側)に押圧され、これによって、入力側ディスク2の背面に一体に形成された第2のシリンダ部82を介して当該入力側ディスク2が右側に押圧される。つまり、第1ピストン部83の当接面83aが、第2のシリンダ部82の当接面82aに当接して、当該当接面82aを図1(a)において右側に押圧することによって、入力側ディスク2が右側に押圧される。
このように両油圧室85,90で発生した力は、何れも、入力側ディスク2を図示しない出力側ディスク側(右側)に向け押圧するとともに、入力軸1を基端側(図1(a)の左側)に引っ張り、他方の図示しない入力側ディスクを図示しない出力側ディスクに押圧する方向の力として加わる。
一方、入力側ディスク2は、パワーローラ(図示略)から受ける力Fcに基づいて、入力側ディスク2の外径寄り部分が、矢印Aで示すように、その軸側に近付く方向に倒れるように繰り返し弾性変形する。
したがって、入力側ディスク2の径方向外側に向く力Frが、入力側ディスク2に、その外径寄り部分をその軸側に近付く方向に倒れるように作用する力に抗する。このため、フレッチング摩耗の原因と考えられる入力側ディスク2の倒れを抑制できるので、入力ディスク2とピストン部83との当接面82a,83aでのフレッチング摩耗を抑えることができる。
また、入力側ディスク2とピストン部83との当接面82a,83aを傾斜させているだけあるので、部品点数の増加およびコスト増を招くこともなく、入力側ディスク2およびピストン部83の径方向および軸方向に寸法を増加させることもない。
例えば図2(a)に示すように、ピストン部83の当接面83aの径方向内側の部分にクラウニング面83bを形成してもよいし、図2(b)に示すように、ピストン部83の当接面83aの径方向外側の部分にクラウニング面83cを形成してもよい。
また、図2(c)に示すように、入力側ディスク2のシリンダ部82の当接面82aの径方向内側の部分にクラウニング面82bを形成してもよいし、シリンダ部82の当接面82aの径方向外側の部分にクラウニング面82cを形成してもよい。
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
80 押圧装置
81 シリンダ部
82 シリンダ部
83 ピストン部
82a,83a 当接面
82b,82c,83b,83c クラウニング面
85 油圧室
Claims (2)
- それぞれの内側面どうしを互いに対向させた状態で互いに同心的にかつ回転自在に設けられた入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これら両ディスク間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとのうちの一方のディスクの背面側に油圧室を有し、前記両ディスクおよび前記パワーローラに押し付け力を付与する油圧式の押圧装置とを備えるトロイダル型無段変速機において、
前記押圧装置は、前記油圧室を構成するシリンダ部と、このシリンダ部に設けられて、前記一方のディスクに当接するピストン部とを有し、
前記一方のディスクと前記ピストン部との当接面が、前記シリンダ部側から前記一方のディスク側に向かうほど、当該一方のディスクの軸側に向けて傾斜していることを特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 前記一方のディスクと前記ピストン部との少なくともいずれか一方の当接面の少なくとも一部にクラウニングが施されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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Family Applications (1)
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