JP6491030B2 - 斜ケーブルの定着構造 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている斜ケーブルの定着構造は、橋軸方向の双方から斜ケーブルが定着される箱状の鋼部材を備え、この鋼部材によって橋軸方向の双方に張架された斜ケーブルの引張力を相互間で伝達するものである。
また、特許文献2に記載されている斜ケーブルの定着構造では、斜ケーブルがコンクリート部材に定着され、2つの鋼側板の外側面に設けられたスタッドジベルを介してコンクリート部材から鋼側板に引張力が伝達されるものとなっている。このため、スタッドジベルと設けるための加工に多くの労力が必要になる。また、コンクリート部材の寸法が大きくなり、コンクリート部材を補強するために多くの鉄筋を配置する必要がある。
また、斜ケーブルの引張力は、鋼殻の湾曲した形状によって伝達されるので、鋼殻の湾曲部鋼板とコンクリートブロックとの間に設けるずれ止めが不要又は低減することが可能となり、加工のための労力が低減される。
また、鋼殻が密着する外側コンクリート部によって覆われ、鋼殻の腐食が防止されるとともに、外側コンクリート部によって斜ケーブルの引張力の鉛直方向成分が主塔下部及び橋脚に伝達される。
図1は、本発明の定着構造を好適に採用することができるエクストラドーズド形式の斜張橋を示す概略側面図である。
この斜張橋は、橋台1及び橋脚2の上に架け渡された橋桁3と、橋脚2上に立ち上げられた主塔4と、この主塔4の上部から橋桁3の軸線方向における双方の斜下方に張架され、橋桁3を斜め方向に吊り支持する複数の斜ケーブル5,6とを有するものである。
エクストラドーズド形式の斜張橋は橋桁3の曲げ剛性を比較的大きくするとともに、主塔4の高さを小さく抑えたものであり、斜ケーブル5,6の傾斜角は小さくなっている。
なお、上記橋桁3はプレストレストコンクリートからなる箱型断面となっているが、橋桁3の構造はこのような構造に限定されるものではなく、コンクリートと鋼との合成構造となっているもの、ウエブにプレキャスト板を用いたもの、トラス構造となったもの等、他の形態の橋桁であってもよい。また、鋼によって形成された箱桁等であってもよい。
この主塔4は、橋脚2と一体となった橋桁3から連続して立ち上げられた脚部7と、この脚部上に設けられたケーブル定着部8とを備え、ケーブル定着部8は、斜ケーブル5,6が定着される第1のコンクリートブロック11及び第2のコンクリートブロック12と、これらのコンクリートブロックを囲むように設けられた鋼殻13と、この鋼殻13の周囲を覆うように形成された外側コンクリート部14と、を有するものとなっている。
鋼殻13及びコンクリートブロック11,12は、上記脚部7の上に支持され、鋼殻13はアンカーボルト15によって脚部7に固定されている。
上記湾曲部鋼板13a及び連結部鋼板13bの厚さは、斜ケーブル5,6に作用する引張力、斜ケーブルを張架する角度、斜ケーブルの本数等によって適宜に設定することができ、例えば厚さが22mm程度の鋼板を用いることができる。
なお、コンクリートブロック11,12内には鉄筋を配置し、斜ケーブル5,6から作用する支圧力等に対してひび割れが生じないようにするのが望ましい。
なお、分割部分のそれぞれを所定の位置に配置した後、上段の分割部分の下端縁と下段の分割部分の上端縁とを溶接等によって接合してもよい。
また、鋼殻13の外周面に設ける上記ずれ止め部材22は、例えば、棒状の鋼部材を溶接等によって取り付けたスタッドジベルとすることができる。また、鋼プレートを溶接によって接合するものであってもよい。この鋼プレートには鉄筋挿通孔を設けておき、鋼殻13の外側に配置した鉄筋を、上記鋼プレートに設けられた鉄筋挿通孔に挿通して配置することもできる。
一方、斜ケーブル5,6から伝達される引張力の鉛直方向の成分は、上下方向に連続するコンクリートブロック11,12及び外側コンクリート部によって下方に伝達され、主塔の脚部7から橋桁3を介して橋脚2に支持される。
ただし、外側コンクリート部を設けないので、鋼殻13の外側にはずれ止め部材は設けることなく、防錆等の処理を行う必要がある。
この斜ケーブルの定着構造は、図2及び図3に示す定着構造と同じ鋼殻33、コンクリートブロック31,32及び外側コンクリート部34を有するものであり、斜ケーブル5,6は鋼殻34に設けられた挿通孔を貫通して第1のコンクリートブロック31又は第2のコンクリートブロック32に定着されている。そして、この斜ケーブルの定着構造では、外側コンクリート部34に、橋軸方向と直角で水平となるように複数の横締め緊張材41が配置されている。横締め緊張材41は鋼殻33の外側であって、橋軸方向における鋼殻33の両端と近接するように配置され、主塔上部から斜め下方に張架される複数の斜ケーブル5,6の間、最も上位にある斜ケーブルの上側、最も下位にある斜ケーブルの下側にそれぞれ配置されている。そして、この横締め緊張材41に導入される緊張力によって、橋軸方向における鋼殻33の両端部付近で外側コンクリート部34に橋軸直角方向の圧縮力が予め導入されている。
この斜ケーブルの定着構造は、図2及び図3に示す定着構造と同じ鋼殻53、コンクリートブロック51,52及び外側コンクリート部54を有するものであり、斜ケーブル5,6は第1のコンクリートブロック51又は第2のコンクリートブロック52に定着されている。この斜ケーブルの定着構造では、複数の横締め緊張材61が橋軸方向と直角で水平となるように配置され、外側コンクリート部54から鋼殻53及びコンクリートブロック51,52を貫通するものとなっている。これらの横締め緊張材61は、鋼殻53の湾曲部鋼板53aを貫通する位置に配置されており、鋼殻の湾曲部鋼板53aに設けられた開口に挿通されて両端部は外側コンクリート部54に定着されている。
これらの横締め緊張材61は、定着部から斜め下方に張架される複数の斜ケーブル5,6の間、最も上位にある斜ケーブルの上側、最も下位にある斜ケーブルの下側にそれぞれ配置されている。
また、コンクリートブロック51,52と鋼殻53とが圧接されていることにより、斜ケーブル5,6からコンクリートブロック51,52に伝達された力は上記圧接部分から鋼殻53に伝えられ、湾曲部鋼板53aの橋軸方向に突き出した部分の引張応力度が低減される。
なお、図9に示すように配置する横締め緊張材62は、図8に示すように横締め緊張材61が配置された定着構造に併せて配置することもできる。
鉄筋は、鋼殻の内側のコンクリートブロック内と外側コンクリート部内とに分離して配置することもできるが、図10に示すように鋼殻53を貫通してコンクリートブロック51,52と外側コンクリート部54とに連続するように鉄筋を配置することができる。
コンクリートブロック51,52及び外側コンクリート部54には上下方向及び水平方向に鉄筋が配置され、コンクリートブロック51,52から外側コンクリート部54に連続するように配置される鉄筋63は、鋼殻53に設けられた鉄筋挿通孔を貫通し、橋軸方向及び橋軸と直角方向へほぼ水平に配置されるものとなっている。そして、これらの鉄筋と交差するように上下方向の鉄筋64が配置されている。このように鉄筋が配置されることによって鋼殻53の内側のコンクリートブロック51,52と鋼殻53の外側の外側コンクリート部54との一体性を高くすることができる。
例えば、本実施の形態では、エクストラドーズド形式の斜張橋に適用したが、エクストラドーズド形式の斜張橋に限定されるものではなく、高い主塔と剛性の小さい橋桁を有する斜張橋に適用することもできる。また、斜ケーブルの本数、配置する角度等は適宜に決定することができ、これに対応して主塔の形状及び寸法は適宜に設計することができる。
11:第1のコンクリートブロック、 12:第2のコンク7リートブロック、 13:鋼殻、 13a:鋼殻の湾曲部鋼板、 13b:鋼殻の連結部鋼板、 14:外側コンクリート部、 15:アンカーボルト、 16:2つのコンクリートブロックと鋼殻とで囲まれた空間、 17:鋼板型枠、 19:管部材、 20:斜ケーブルの定着具、 21:鋼殻の分割線、 22:ずれ止め部材、
31:第1のコンクリートブロック、 32:第2のコンクリートブロック、 33:鋼殻、 33a:鋼殻の湾曲部鋼板、 33b:鋼殻の連結部鋼板、 34:外側コンクリート部、 35:アンカーボルト、 37:ずれ止め部材、
41:横締め緊張材、
51:第1のコンクリートブロック、 52:第2のコンクリートブロック、 53:鋼殻、 53a:鋼殻の湾曲部鋼板、 53b:鋼殻の連結部鋼板、 54:外側コンクリート部、 55:アンカーボルト、 57:ずれ止め部材、
61,62:横締め緊張材、 63:鋼殻を貫通して配置された鉄筋、 64:上下方向の鉄筋、 65:鋼殻を周方向に囲むように配置された鉄筋、 66:外側コンクリート部の表面に沿って配置された鉄筋
Claims (5)
- 斜張橋の主塔上部から橋桁の軸線方向(以下、橋軸方向)における一方側及び他方側の斜め下方に張架されて前記橋桁を吊り支持する複数の斜ケーブルを、前記主塔上部に定着する斜ケーブルの定着構造であって、
板面が橋軸方向となるように配置され、前記橋桁の軸線と直角方向(以下、橋軸直角方向)に間隔を開けて互いに対向するように配置された2つの連結部鋼板と、これらの連結部鋼板の橋軸方向における端縁を連結するように接合され、なめらかに湾曲した曲面を形成する湾曲部鋼板とを備え、平断面が閉じた形状となった鋼殻と、
該鋼殻の内側の橋軸方向における一方側の端部付近及び他方側の端部付近でそれぞれが該鋼殻の湾曲部鋼板と密着するように形成された第1のコンクリートブロック及び第2のコンクリートブロックと、を有し、
前記斜ケーブルの上端部は、前記湾曲部鋼板に設けられた挿通孔を貫通し、
前記主塔上部から橋軸方向における前記一方側に張架されて前記橋桁を吊り支持する斜ケーブルの上端部が前記第1のコンクリートブロックに定着され、
前記主塔上部から橋軸方向における前記他方側に張架されて前記橋桁を吊り支持する斜ケーブルの上端部が前記第2のコンクリートブロックに定着されていることを特徴とする斜ケーブルの定着構造。 - 前記鋼殻の外側に密着する外側コンクリート部と、
橋軸方向における前記鋼殻の両端付近で橋軸直角方向へほぼ水平に配置され、緊張力が導入された状態で両端部が前記外側コンクリート部に定着される横締め緊張材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の斜ケーブルの定着構造。 - 前記鋼殻の外側に密着する外側コンクリート部と、
橋軸直角方向へほぼ水平に配置され、緊張力が導入された状態で、両端部が前記外側コンクリート部に定着される横締め緊張材と、を有し、
前記横締め緊張材は、前記鋼殻に設けられた開口に挿通され、該鋼殻の内側にある第1のコンクリートブロック又は第2のコンクリートブロック内を貫通するものであることを特徴とする請求項1に記載の斜ケーブルの定着構造。 - 前記第1のコンクリートブロック又は第2のコンクリートブロックから前記鋼殻に設けられた鉄筋挿通孔を経て前記外側コンクリート部に連続する鉄筋が配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の斜ケーブルの定着構造。
- 前記外側コンクリート部には、前記鋼殻の外側で該鋼殻の外周面と間隔を開け、該鋼殻の外側を囲むように周方向の鉄筋が配置されていることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の斜ケーブルの定着構造。
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