以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10(液体消費装置の一例)は、記録ヘッド21(液体消費部の一例)と、インク供給装置100と、記録ヘッド21及びインク供給装置100を接続するインクチューブ20とを備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110(装着部の一例)が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30(カートリッジの一例)が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を通じてカートリッジ装着部110に挿入向き56に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から脱抜向き55に抜き出される。
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(液体の一例)が貯留されている。カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とは、インクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。具体的には、記録ヘッド21に設けられたヘッド制御基板21Aから各ノズル29に対応して設けられたピエゾ素子29A(アクチュエータの一例)に選択的に駆動電圧が印加される。これにより、ノズル29から選択的にインクが吐出される。
プリンタ10は、以下のような記録用紙搬送機構を備えている。すなわち、給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対27によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
[インク供給装置100]
インク供給装置100は、図1に示されるように、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21にインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。カートリッジ装着部110は、ケース101と、インクニードル
102(液体抽出管或いは閉塞解除部材の一例)と、センサ103(検出部の一例)と、装着センサ107(装着検出部の一例)とを備えている。
なお、図1においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了した状態が示されている。カートリッジ装着部110には、図2に示されるように、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。また、インクニードル102、センサ103、及び装着センサ107は、4つのインクカートリッジ30それぞれに対応して、4つずつ設けられている。
[インクニードル102]
ケース101には、開口112が形成されている。また、ケース101は、開口112とは反対側に位置する奥面を備えている。インクニードル102は、図1及び図2に示されるように、ケース101の奥面から脱抜向き55に突出している。インクニードル102は、ケース101の奥面において、インクカートリッジ30のインク供給部60(液体供給部の一例)に対面し得る位置に配置されている。インクニードル102は、内部に液体流路が形成された管状の樹脂針であって、その突出端側に開口が設けられており、基端側にインクチューブ20が接続されている。インクカートリッジ30の第1インク室35内のインクは、インク供給部60に進入したインクニードル102を通じてインクチューブ20に流出される。
プリンタ10は、カートリッジ装着部110の開口112を被覆或いは露出させる不図示のカバーを備えている。当該カバーは、ケース101によって開閉可能に支持されている、若しくはプリンタ10の筐体(不図示)によって開閉可能に支持されている。カバーが開いている場合の開口112は、プリンタ10の外部に対して露出されている。この状態において、ユーザは、開口112を通じてカートリッジ装着部110にインクカートリッジ30を挿入することが可能、或いはカートリッジ装着部110からインクカートリッジ30を抜き出すことが可能となる。一方、カバーが閉じている場合の開口112は、プリンタ10の外部に対して覆われている。この状態においては、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に対して挿抜することができない。
なお、本明細書中において、「カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30」とは、少なくとも一部がカートリッジ装着部110内(より具体的には、ケース101内)に位置しているインクカートリッジ30を意味する。したがって、カートリッジ装着部110に挿入される過程のインクカートリッジ30も、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30である。
一方、本明細書中において、「カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了」した状態とは、少なくともインクカートリッジ30から記録ヘッド21にインクを供給可能な状態であって、例えば、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30が移動しないようにロックされている状態や、開口112に対して開閉するカバーが閉じられている状態のカートリッジ装着部110内にインクカートリッジ30が位置している状態等、プリンタ10による画像記録が可能となるインクカートリッジ30の状態を意味する。
[センサ103]
センサ103は、図1及び図2に示されるように、インクニードル102より鉛直方向の上方において、ケース101の奥面から脱抜向き55に突出している。センサ103は、幅方向51に対向して配置された発光部104及び受光部105を備える。カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30は、発光部104及び受光部105の間に配置される。換言すれば、発光部104及び受光部105は、カートリッジ
装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30を挟んで対向配置されている。
インクカートリッジ30の内部空間のうち、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了したときに発光部104及び受光部105を結ぶ仮想線と重なる位置を、検出位置と定義する。すなわち、検出位置とは、発光部104から受光部105に至る光路と重なる位置となる。換言すれば、センサ103は、検出位置に対面して設けられていることとなる。なお、本実施形態において、発光部104から出力される光の光路は、幅方向51に一致する。
なお、本実施形態におけるセンサ103は、カートリッジ装着部110への装着が完了したインクカートリッジ30に対面する位置に配置されている。しかしながら、センサ103の位置はこれに限定されない。例えば、センサ103は、カートリッジ装着部110に装着される過程のインクカートリッジ30に対面する位置に配置されていてもよい。すなわち、センサ103は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30に対面する位置に配置されていればよい。
センサ103は、発光部104から出力された光が受光部105で受光されたか否かに応じて異なる信号を出力する。例えば、センサ103は、発光部104から出力された光が受光部105で受光できない(すなわち、受光強度が所定の強度未満である)ことを条件として、ローレベル信号(検出信号の一例であって、「信号レベルが閾値レベル未満の信号」を指す。)を制御部130(図4参照)出力する。一方、センサ103は、発光部104から出力された光が受光部105で受光できた(すなわち、受光強度が所定の強度以上である)ことを条件として、ハイレベル信号(非検出信号の他の例であって、「信号レベルが閾値レベル以上の信号」を指す。)を制御部130に出力する。なお、本実施形態における発光部104は、例えば、インクカートリッジ30の壁(すなわち、後述するフレーム31)及びインクを透過し、且つ被検出部93(図3(B)参照)を透過しない光(例えば、赤外光)を出力する。
[装着センサ107]
装着センサ107は、図1及び図2に示されるように、インクニードル102より鉛直方向の上方において、ケース101の奥面に設けられている。装着センサ107は、カートリッジ装着部110内におけるインクカートリッジ30の挿入経路上の装着検出位置に配置されている。装着センサ107は、例えば接触式のセンサであって、装着検出位置におけるインクカートリッジ30の有無に応じた信号を制御部130に出力する。本実施形態においては、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了したときのインクカートリッジ30が装着検出位置に位置するように、装着センサ107が配置されている。
具体的には、装着センサ107は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30の前壁40に押圧されていないことを条件として、ローレベル信号を制御部130に出力する。一方、装着センサ107は、前壁40に押圧されたことを条件として、ハイレベル信号(装着信号の一例)を制御部130に出力する。なお、本実施形態における装着センサ107は、インクカートリッジ30の前壁40に押圧されるか否かによって異なる信号を出力する機械式のセンサであるが、装着センサ107の具体例はこれに限定されず、光学式センサ等であってもよい。
[インクカートリッジ30]
インクカートリッジ30は、図3に示されるように、第1インク室35(第1貯留室の一例)及び第2インク室36(第2貯留室の一例)を区画するフレーム31を有する。このインクカートリッジ30は、第1インク室35に貯留されたインクをインク供給部60
を通じて外部に供給する。インクカートリッジ30は、図3に示された起立姿勢(装着姿勢の一例)、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して挿入及び取出方向50(着脱方向の一例)に沿って挿抜される。本実施形態では、挿入及び取出方向50は水平方向である。また、起立姿勢におけるインクカートリッジ30の幅方向51及び奥行き方向53もそれぞれ水平方向である。また、起立姿勢におけるインクカートリッジ30の高さ方向52は重力方向(鉛直方向)である。脱抜向き55及び挿入向き56は、各々が挿入及び取出方向50に沿う向きであり、且つ互いに反対の向きである。また、挿入及び取出方向50は、奥行き方向53に一致する。
フレーム31は、図3(A)に示されるように、外形が概ね直方体であり、幅方向(左右方向)51に細く、高さ方向(上下方向)52及び奥行き方向(前後方向)53の寸法が幅方向51の寸法よりも大きい扁平形状である。フレーム31は、図3(B)に示されるように、奥行き方向53から平面視したときに少なくとも部分的に重なり合う前壁40及び後壁41と、高さ方向52から平面視したときに少なくとも部分的に重なり合う上壁39及び下壁42と、幅方向51の一方側(図3(B)の例では、前壁40側からフレーム31を平面視したときに右側)に配置された右壁38とで構成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる(換言すれば、挿入向き56を向く)のが前壁40であり、後方側となる(換言すれば、脱抜向き55を向く)のが後壁41である。上記の各壁は、センサ103の発光部104から出力される光を透過させる。
前壁40は、図3(B)に示されるように、第1壁40A、第2壁40B、及び接続壁40Cで構成されている。第1壁40A及び第2壁40Bは、奥行き方向53から平面視した時に、後壁41と少なくとも部分的に重なり合う。第1壁40Aは、高さ方向52において第2壁40Bより上方で、且つ奥行き方向53において第2壁40Bより前方に位置している。換言すれば、第2壁40Bは、高さ方向52において第1壁40Aより下方で、且つ奥行き方向53において第1壁40Aより後方に位置している。接続壁40Cは、第1壁40A及び第2壁40Bと交差(図3(B)の例では、上壁39及び下壁42と平行)し、且つ第1壁40Aの下端と第2壁40Bの上端とを接続する。なお、本実施形態の接続壁40Cは、図6に示されるように、検出位置の直下に配置されている。
フレーム31の幅方向51の他方側(図3(B)の例では、前壁40側からフレーム31を平面視したときに左側)は、開放されている。フレーム31の開放された面は、フィルム44によって封止される。フィルム44の外形は、幅方向51から平面視した場合のフレーム31の外形と概ね一致する。フィルム44は、フレーム31の幅方向51の他方側(左側)に配置されて、幅方向51における第1インク室35及び第2インク室36の左壁37を構成する。フィルム44は、上壁39、前壁40、後壁41、下壁42、及び後述する隔壁43の左端面に熱溶着される。フィルム44は、センサ103の発光部104から出力される光を透過させる。また、フィルム44は、外側から不図示のカバーによって覆われていてもよい。カバーは、センサ103の発光部104から出力される光を透過させる。
[第1インク室35、第2インク室36]
フレーム31の内部空間は、隔壁43によって第1インク室35と第2インク室36とに区画されている。隔壁43は、奥行き方向53において前壁40と後壁41との間に設けられている。また、隔壁43は、左壁37、右壁38、上壁39、及び下壁42の内面に接続されている。そして、隔壁43は、フレーム31の内部空間を、奥行き方向53の後方側の第1インク室35(左壁37、右壁38、上壁39、後壁41、及び下壁42の内面と、隔壁43の後面と、インク供給部60の外壁の外面とで囲まれる空間)と、奥行
き方向53の前方側の第2インク室36(左壁37、右壁38、上壁39、前壁40、及び下壁42の内面と、隔壁43の前面と、インク供給部60の外壁の外面とで囲まれる空間)とに区画する。すなわち、本実施形態における第1インク室35及び第2インク室36は、奥行き方向53において隣接している。隔壁43よりも後方に位置するインク供給部60の外壁及び下壁42は、第1インク室35の底壁となる。隔壁43よりも前方に位置するインク供給部60の外壁及び下壁42は、第2インク室36の底壁となる。
本実施形態では、未使用状態のインクカートリッジ30において、第1インク室35にはインクが貯留されており、第2インク室36にはインクが貯留されていない。また、第2インク室36は、インク供給部60を通じて第1インク室35からインクが流入可能となっている。すなわち、第1インク室35と第2インク室36とは、インク供給室61を通じて連通され得る。但し、未使用状態のインクカートリッジ30において、第1インク室35と第2インク室36との間の連通は、遮断されている。また、未使用状態のインクカートリッジ30において、第2インク室36にインクが貯留されていてもよい。
上壁39には、図3に示されるように、貫通孔39A、39B(大気連通孔の一例)が設けられている。貫通孔39Aは、第1インク室35とインクカートリッジ30の外部とを連通させる。貫通孔39Bは、第2インク室36とインクカートリッジ30の外部とを連通させる。すなわち、第1インク室35及び第2インク室36は、貫通孔39A、39Bを通じて大気に連通される。なお、貫通孔39A、39Bの位置は上壁39に限定されず、起立姿勢のインクカートリッジ30における第1インク室35及び第2インク室36内のインクの液面より上方であればよい。
貫通孔39A、39Bは、半透膜45によって封止されている。半透膜45は、インクの通過を遮断し且つ気体の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂からなる。
[センサアーム90]
第2インク室36の内部には、図3(B)に示されるように、センサアーム90が設けられている。センサアーム90は、第2インク室36の内部において幅方向51に延びる回動軸94周りに回動可能なアーム91と、アーム91の一端(図3(B)の例では、後端)に設けられたフロート92と、アーム91の他端(図3(B)の例では、前端)に設けられた被検出部93とで構成されている。フロート92は、第1インク室35に貯留されたインクより比重が小さく、且つ被検出部93より重い。被検出部93は、センサ103の発光部104から出力される光を遮光する。フロート92及び被検出部93は、互いに連動して第2インク室36内を移動可能に構成されている。
上記構成のセンサアーム90は、第2インク室36内に貯留されたインクの量に応じて、回動軸94を中心として回動する。例えば、第2インク室36内のインクの液面が上昇すると、フロート92が上昇し且つ被検出部93が降下する向き(第1向きの一例であって、図5の時計回り)にアーム91が回動する。一方、第2インク室36内のインクの液面が降下すると、フロート92が降下し且つ被検出部93が上昇する向き(第2向きの一例であって、図5の反時計回り)にアーム91が回動する。そして、例えば図5に示されるように、第2インク室36内にインクが貯留されていない場合において、フロート92は、第2インク室36の底壁(すなわち、インク供給部60の外壁)に当接する。その結果、被検出部93は、検出位置と異なる位置に配置される。一方、図7に示されるように、第2インク室36内のインクの液面が検出位置より上方に位置する場合において、被検
出部93は、接続壁40Cの上面に当接されて、検出位置に配置される。
[インク供給部60]
インク供給部60は、図3(A)及び図5に示されるように、外形が概ね円筒形状であって、その内部空間にインク供給室61が形成されている。インク供給部60には、インク供給室61とインク供給部60の外部とを連通させる開口62、63、64、65が設けられている。開口62は、奥行き方向53の一方側(図3(A)の例では、前方側)の端面に設けられている。開口63は、奥行き方向53の他方側(図3(A)の例では、後方側)の端面に設けられている。開口64、65は、インク供給部60の外周面において、奥行き方向53に離間して設けられている。本実施形態における開口64は、開口65より後方側に設けられている。
インク供給部60は、図3(B)に示されるように、前壁40(より具体的には、第2壁40B)及び隔壁43の下部に設けられた貫通孔40D、43Aに対して奥行き方向53に挿入されることによって、フレーム31に固定される。すなわち、貫通孔40D、43Aは、幅方向51及び高さ方向52に対応する位置において、第2壁40B及び隔壁43を厚み方向(すなわち、奥行き方向53)に貫通している。一例として、貫通孔40D、43Aの位置において、インク供給部60の外壁と第2壁40B及び隔壁43との間の隙間には接着材が充填されている。他の例として、貫通孔40D、43Aの位置において、インク供給部60の外壁と第2壁40B及び隔壁43との間に隙間が生じないように、インク供給部60の外壁と第2壁40B及び隔壁43とは互いに溶着されている。
また、本実施形態におけるインク供給部60の外壁は、フレーム31に取り付けられた状態において、第1インク室35及び第2インク室36の底壁の少なくとも一部を構成する。換言すれば、インクカートリッジ30の装着姿勢において、第1インク室35及び第2インク室36とインク供給室61とは、インク供給部60の外壁(換言すれば、第1インク室35及び第2インク室36の底壁)を挟んで互いに隣接している。
また、インク供給部60がフレーム31に取り付けられた状態において、開口62はインクカートリッジ30の外部に露出されており、開口63、64は第1インク室35に露出されており、開口65は第2インク室36に露出されている。換言すれば、開口62はインクカートリッジ30の外部に露出されたインク供給部60の外壁に設けられており、開口63、64は第1インク室35を画定するインク供給部60外壁に設けられており、開口65は第2インク室36を画定するインク供給部60の外壁に設けられている。これにより、開口62は、インク供給室61とインクカートリッジ30の外部とを連通させる。開口63、64は、インク供給室61と第1インク室35とを連通させる。開口65は、インク供給室61と第2インク室36とを連通させる。
また、インク供給部60の先端には、図5に示されるように、シール部材70と、キャップ72とが取り付けられている。さらに、インク供給室61には、弁体76と、第1封止部材80及び第2封止部材81と、コイルバネ82とが収容されている。弁体76、第1封止部材80、及び第2封止部材81は閉塞部材の一例であり、コイルバネ82は付勢部材の一例である。
シール部材70は、図5に示されるように、外径寸法がインク供給部60の外径寸法と概ね一致する円板形状である。シール部材70は、開口62が形成されたインク供給部60の前端に液密的に密着される。また、シール部材70には、中央部を厚み方向(すなわち、奥行き方向53)に貫通する貫通孔71が形成されている。この貫通孔71は、インク供給部60の内外を連通させる。なお、貫通孔71の直径は、インクニードル102の外径寸法より僅かに小さい。シール部材70は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成
されている。
キャップ72は、図5に示されるように、円板形状の蓋部73と、蓋部73の厚み方向(すなわち、奥行き方向53)の一方側の壁面から突出する円筒形状の円筒部74とで構成される。また、蓋部73には、中央部を厚み方向に貫通する貫通孔75が形成されている。貫通孔75の直径は、貫通孔71より大きい。円筒部74は、貫通孔75を囲む位置に設けられている。蓋部73は、奥行き方向53においてインク供給部60と反対側からシール部材70に当接する。すなわち、シール部材70は、奥行き方向53においてインク供給部60の前端と蓋部73とに挟まれている。円筒部74は、シール部材70の外周面及びインク供給部60の外周面の一部を覆う。キャップ72は、シール部材70をインク供給部60の前端に保持する。キャップ72は、例えば、樹脂材料によって形成されている。
弁体76は、図5に示されるように、外形が概ね円筒形状である。また、弁体76の奥行き方向53の一端には、当接面77が設けられている。また、弁体76の奥行き方向53の他端には、開口78が設けられている。さらに、当接面77の近傍において、弁体76の側面には、開口79が設けられている。開口78、79は、弁体76の内部空間と弁体76の外部とを連通させる。弁体76の外径寸法は、インク供給部60の内径寸法(すなわち、インク供給室61の直径)より小さい。弁体76は、当接面77をシール部材70に対面させ、開口78を開口63に対面させた状態で、奥行き方向53に移動可能にインク供給室61内に配置されている。弁体76は、第1封止部材80及び第2封止部材81より剛性の高い材料(例えば、樹脂材料)によって形成されている。
第1封止部材80及び第2封止部材81は、図5に示されるように、弁体76の外周面から径方向外向きに突出し且つ周方向に連続している。第1封止部材80及び第2封止部材81は、例えば、弁体76に外嵌されたOリングである。第1封止部材80及び第2封止部材81は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されている。第1封止部材80及び第2封止部材81は、奥行き方向53に離間して設けられている。具体的には、第1封止部材80は、第2封止部材81より開口63側(以下、「後方側」とも表記する。)に配置されている。換言すれば、第2封止部材81は、第1封止部材80より開口62側(以下、「前方側」とも表記する)に配置されている。また、第2封止部材81は、開口79より後方側に配置されている。
第1封止部材80及び第2封止部材81は、インク供給部60の内面に液密的に密着する。第1封止部材80及び第2封止部材81が取り付けられた弁体76がインク供給室61に挿入されていない状態において、第1封止部材80及び第2封止部材81の外径寸法は、インク供給部60の内径寸法より大きい。すなわち、インク供給部60の内面に密着した第1封止部材80及び第2封止部材81は、外径寸法を減じる向きに弾性変形する。そして、第1封止部材80及び第2封止部材81は、弁体76と共にインク供給室61内を奥行き方向53に移動する。第1封止部材80及び第2封止部材81は、弁体76が移動することによって、インク供給部60の内面に対して摺動する。
すなわち、第1封止部材80より後方側におけるインク供給室61の第1空間と、第2封止部材81より前方側におけるインク供給室61の第2空間とは、弁体76の外側において遮断されている。一方、第1空間と第2空間とは、開口78、79及び弁体76の内部空間を通じて連通されている。連通された開口63、第1空間、開口78、弁体76の内部空間、開口79、及び第2空間は、第1インク室35とインクカートリッジ30の外部とを連通させる液体供給路の一例である。
コイルバネ82は、開口63と弁体76との間に配置される。具体的には、コイルバネ
82は、一端が開口63の周縁部に当接され、他端が弁体76の開口78の周縁部或いは第1封止部材80に当接されている。このコイルバネ82は、弁体76を前方側へ向けて奥行き方向53に付勢する。但し、コイルバネ82に代えて、板バネ等の他の付勢部材を用いてもよい。
[制御部130]
プリンタ10は、さらに制御部130を備える。制御部130は、図4に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。なお、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135は、その一部又は全部が1つのICチップで構成されていてもよいし、複数のICチップに分かれて構成されていてもよい。
制御部130は、不図示のモータを駆動させることによって、給紙ローラ23、搬送ローラ対25、及び排出ローラ対27を回転させる。また、制御部130は、記録ヘッド21を制御することによって、ノズル29にインクを吐出させる。具体的には、制御部130は、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧の大きさを示す制御信号をヘッド制御基板21Aに出力する。ヘッド制御基板21Aは、制御部130から取得した制御信号に示される大きさの駆動電圧を、各ノズル29に設けられたピエゾ素子29A(アクチュエータの一例)に印加することによって、当該ノズル29にインクを吐出させる。さらに、制御部130は、プリンタ10やインクカートリッジ30に関する情報や各種メッセージを表示部109に表示させる。
さらに、制御部130は、センサ103、装着センサ107、温度センサ106(温度検出部の一例)、及びカバーセンサ108から出力された信号を取得する。温度センサ106は、温度に応じた信号を出力するものである。温度センサ106による温度の測定位置は特に限定されないが、例えば、カートリッジ装着部110の内部であってもよいし、プリンタ10の表面であってもよい。カバーセンサ108は、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが開いているときと、閉まっているときとで異なる信号を出力するものである。
次に、図5〜図8を参照して、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着する過程における弁体76及びセンサアーム90の動きと、センサ103及び装着センサ107から出力される信号の変化とを説明する。図5は、カートリッジ装着部110に挿入されたインクカートリッジ30と装着センサ107とが離間している状態を示す。図5に示されるインクカートリッジ30において、弁体76は第1位置に位置している。また、被検出部93は検出位置と異なる位置に位置し、インクカートリッジ30は装着検出位置に到達していないので、センサ103はハイレベル信号を制御部130に出力し、装着センサ107はローレベル信号を制御部130に出力する。
第1位置の弁体76は、コイルバネ82によって前方側に押圧されている。その結果、弁体76の当接面77は、貫通孔71の周縁部においてシール部材70に液密的に密着する。これにより、貫通孔71が閉塞される。また、第1封止部材80は、開口64より前方側で且つ開口65より後方側において、インク供給部60の内面に液密的に密着する。これにより、開口64、65の間の連通が遮断される。さらに、第2封止部材81は、開口62、71、75、79より後方側で且つ開口65より前方側において、インク供給部
60の内面に液密的に密着する。これにより、開口62、71、75、79と開口65との間の連通が遮断される。
次に、図6は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された(インクカートリッジ30からインクが流出可能となった)直後の状態を示す。カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着される過程において、弁体76は、貫通孔75、71を通じてインク供給室61に進入したインクニードル102に押圧されることによって、コイルバネ82の付勢力に抗して第1位置より後方側の第2位置に移動する。
第2位置の弁体76の当接面77は、シール部材70から離間している。また、インクニードル102が貫通孔71に圧入されている。すなわち、インクニードル102は、貫通孔71を画定するシール部材70の周壁面に接触して、当該周壁面を径方向に弾性変形させると共に、その先端がインク供給室61内に位置している。その結果、第1インク室35内のインクの一部は、開口63、前述の第1空間、開口78、弁体76の内部空間、開口79、及び前述の第2空間(すなわち、液体供給路)を通じて、インクニードル102の内部空間に流出可能となる。
また、第1封止部材80は、開口63より前方側で且つ開口64より後方側において、インク供給部60の内面に液密的に密着する。これにより、開口63、64の間の連通が遮断され且つ開口64、65が連通される。さらに、第2封止部材81は、開口62、71、75、79より後方側で且つ開口65より前方側において、インク供給部60の内面に液密的に密着する。これにより、開口62、71、75、79と開口65との間の連通が遮断される。
その結果、第1インク室35内のインクの一部は、開口64を通じてインク供給室61(より具体的には、第1封止部材80及び第2封止部81の間におけるインク供給室61の内面と弁体76の外周面との間の閉鎖空間)に流出し、さらに開口65を通じて第2インク室36に流入する。連通された開口64、インク供給室61、及び開口65は、第1インク室35と第2インク室36とを連通させる連通路の一例である。
一方、図6は連通路が連通された直後の状態を図示しており、第2インク室36には未だインクが流入していない。その結果、被検出部93が検出位置と異なる位置に配置されている。その結果、受光部105は、発光部104から出力された光を受光して、ハイレベル信号を制御部130に出力する。一方、インクカートリッジ30が装着検出位置に到達(装着センサ107に接触)したので、装着センサ107は、ハイレベル信号を制御部130に出力する。
次に、図7は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された時点(すなわち、図6の状態)から所定の時間が経過した後の状態を示す。すなわち、弁体76、第1封止部材80、及び第2封止部材81の位置と、装着センサ107から出力される信号は、図6の状態と同じである。
一方、第2インク室36には、前述の連通路を通じて第1インク室35内のインクが流入する。そして、当該連通路が連通されてから所定の時間が経過すると、第1インク室35内のインクの液面と、第2インク室36内のインクの液面とは、同一の高さとなる。また、第2インク室36内のインク液面の上昇に伴って、被検出部93が接続壁40Cに当接する位置までセンサアーム90が第1向きに回動する。その結果、検出位置に到達した被検出部93によって発光部104から出力された光が遮光されるので、受光部105は、当該光を受光することができずに、ローレベル信号を制御部130に出力する。
次に、図8は、センサ103から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化した時点(すなわち、図7の状態)からさらに所定の時間が経過した後の状態を示す。すなわち、弁体76、第1封止部材80、及び第2封止部材81の位置と、装着センサ107から出力される信号は、図6及び図7の状態と同じである。
一方、記録ヘッド21からインクが吐出されるのに応じて、第1インク室35内のインクは、前述の液体供給路を通じてインクカートリッジ30の外部に流出される。また、第2インク室36内のインクは、水頭差によって前述の連通路を逆流して第1インク室35内に流出する。そして、第2インク室36内のインクの液面の降下に伴って、フロート92が第2インク室36の底壁に当接する位置までセンサアーム90が第2向きに回動する。その結果、被検出部93が検出位置と異なる位置に移動されるので、受光部105は、発光部104から出力された光を受光して、ハイレベル信号を制御部130に出力する。
カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了したと判断した(すなわち、インクカートリッジ30を図6の状態にした)ユーザは、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーを閉じる。なお、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に完全に装着されていなかったとしても、閉じられたカバーがインクカートリッジ30に当接し、当該インクカートリッジ30を挿入向き56に移動させる。これにより、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。
[制御部130の動作]
制御部130は、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが開いていることを示す信号をカバーセンサ108から取得し、且つ装着センサ107からローレベル信号を取得したことを条件として、図9に示される処理を開始する。すなわち、図9に示される処理は、カートリッジ装着部110のカバーが開放されて、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜き出されたタイミングで実行される。また、カートリッジ装着部110のカバーが開放される前にカートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されていなかった場合は、図9に示される処理は、カバーが開放されたタイミングで実行される。
制御部130は、図9に示されるように、装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号(図中「Low」と表記する。)からハイレベル信号(図中「High」と表記する。)に切り替わったことを条件として(S1:Yes)、経過時間の計測を開始する(S2)。一方、装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わらない場合(S1:No)、制御部130は、後述するステップS10の処理を実行する。なお、装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号からハイレベル信号に切り替わらない場合(S1:No)とは、例えば、新しいインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されていない場合である。
次に、制御部130は、経過時間の計測を開始してから現在までの時間が予め定められた最大時間を上回ったか否かを判断する(S3)。既に最大時間が経過している場合(S3:Yes)、制御部130は、後述するステップS5の処理を実行する。センサ103から出力される検出信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わる(S3:Yes)前に最大時間が経過する場合とは、連通路を通じて第1インク室35から第2インク室36へ移動するインクの移動速度が極めて遅い(或いは、移動していない)場合である。インクの移動速度が遅くなる原因としては、例えば、インクカートリッジ30内のインクの粘度が高すぎる場合が考えられる。
一方、未だ最大時間が経過していない場合(S3:No)、制御部130は、センサ103から出力される検出信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わった否かを判断する(S4)。センサ103から出力される検出信号が切り替わってないと判断した場合(S4:No)、制御部130は、ステップS3の処理を再び実行する。一方、センサ103から出力される検出信号が切り替わったと判断した場合(S4:Yes)、制御部130は、経過時間を決定する(S5)。一方、最大時間が経過していると判断された場合(S3:Yes)、制御部130は、最大時間を経過時間とする。ステップS5の処理を行う制御部130は、計測手段の一例である。
経過時間は、装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号からハイレベルに切り替わってから(S1:Yes)、センサ103から出力される検出信号がハイレベル信号からローレベル信号に切り替わるまでに要した時間である。換言すれば、経過時間とは、第1インク室35と第2インク室36とが連通路を通じて連通されてから被検出部93が検出位置に到達するのに要する時間である。
なお、厳密に言うと、装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号からハイレベルに切り替わるタイミングは、第1インク室35と第2インク室36とが連通されるタイミングと同時ではないこともある。しかしながら、前者のタイミングと後者のタイミングとは時間的に近いので、後者のタイミングを前者のタイミングで擬制できる。そこで、制御部130は、装着センサ107からハイレベル信号を取得してから、センサ103からローレベル信号を取得するまでの時間を、経過時間として計測する。
次に、制御部130は、異常フラグをリセット(すなわち、”OFF”を設定)する(S6)。異常フラグは、後述する経過時間の判断(S8)の結果、経過時間が閾値範囲内でなかった場合(S8:No)に”ON”が設定される。すなわち、異常フラグは、インクカートリッジ30毎に設定される値である。制御部130は、異常フラグをEEPROM134に記憶する。
次に、制御部130は、温度センサ106から出力される信号に基づいて、閾値範囲を決定する(S7)。閾値範囲は、第1インク室35及び第2インク室36に貯留されているインクの粘度を推定するために、ステップS5で計測された経過時間と比較されるものである。そして、制御部130は、温度センサ106から出力される信号によって特定される温度が高いほど、閾値範囲の上限値及び下限値の少なくとも一方を小さくする。換言すれば、制御部130は、温度センサ106から出力される信号によって特定される温度が低いほど、閾値範囲の上限値及び下限値の少なくとも一方を大きくする。ステップS7の処理を実行する制御部130は、決定手段の一例である。
次に、制御部130は、ステップS5で測定された経過時間が、ステップS7で決定された閾値範囲に含まれるか否かを判断する(S8)。経過時間が閾値範囲の下限値を下回った場合、インクの粘度が低すぎると推定される。一方、経過時間が閾値範囲の上限値を上回った場合、インクの粘度が高すぎると推定される。そして、制御部130は、経過時間が閾値範囲を外れたことを条件として(S8:No)、異常フラグに”ON”を設定する(S9)。一方、制御部130は、経過時間が閾値範囲に含まれることを条件として(S8:Yes)、ステップS9の処理をスキップする。ステップS8の処理を行う制御部130は、判断手段の一例である。
次に、制御部130は、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが閉まっていることを示す信号がカバーセンサ108から出力されているか否かを判断する(S10)。カバーが開いていると判断した場合(S10:No)、制御部130は、ステップS1以降の処理を再び実行する。一方、カバーが閉まっていると判断した場合
(S10:Yes)、制御部130は、ステップS10でカバーが閉まっていると判断してから所定の時間が経過したか否かを判断する(S11)。
既に所定の時間が経過したと判断した場合(S11:Yes)、制御部130は、図9の処理を終了する。一方、未だ所定の時間が経過していないと判断した場合(S11:No)、制御部130は、ステップS1以降の処理を再び実行する。なお、ステップS1以降の処理を繰り返す過程でカバーが開いていると判断した場合(S10:No)、制御部130は、カバーが閉まっていると判断(S10:Yes)した時点で開始した時間の計測を終了する。
制御部130は、図9に示される処理を終了した後、カートリッジ装着部110の開口112に対して開閉するカバーが閉まっていることを示す信号がカバーセンサ108から出力されていることを条件として、図10に示される処理を所定の時間間隔で繰り返し実行する。
まず、制御部130は、装着センサ107から出力される検出信号がハイレベル信号であるか否かを判断する(S21)。装着センサ107から出力される検出信号がローレベル信号である場合(S21:No)、制御部130は、インクカートリッジ30が未装着であることを報知(S27)し、図10の処理を終了する。報知の具体的な方法は特に限定されないが、例えば、プリンタ10に搭載された表示部109にメッセージを表示してもよいし、スピーカ(不図示)からガイド音声を出力してもよい。
一方、装着センサ107から出力される検出信号がハイレベル信号である場合(S21:Yes)、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S22)。異常フラグに”ON”が設定されている場合(S22:Yes)、制御部130は、インクカートリッジ30に関する情報を報知(S28)し、図10の処理を終了する。報知の具体的な内容は特に限定されないが、例えば、第1インク室35及び第2インク室36内のインクが劣化していること、或いはインクカートリッジ30の交換を推奨すること等を報知すればよい。報知の具体的な方法は、ステップS27の方法と同じであってよい。ステップS27、S28の処理を実行する制御部130は、報知手段の一例である。
一方、異常フラグに”OFF”が設定されている場合(S22:No)、制御部130は、残量判定処理を実行する(S23)。残量判定処理は、インクカートリッジ30内に残っているインクの残量を判定する処理である。図11を参照して、残量判定処理を詳しく説明する。
まず、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S31)。ニアエンプティフラグ及び後述するエンプティフラグは、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30毎に設けられる。また、各フラグは、例えば、対応するインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜去されたタイミング(すなわち、装着センサ107から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化したタイミング)で”OFF”が設定される。
ニアエンプティフラグに”OFF”が設定されている場合(S31:No)、制御部130は、センサ103からハイレベル信号が出力されているか否かを判断する(S32)。センサ103からハイレベル信号が出力されている場合(S32:Yes)、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”を設定する(S33)。また、制御部130は、インクカートリッジ30内のインクが残り少なくなったこと(すなわち、ニアエンプティ状態)をユーザに報知(S34)して、図11の処理を終了する。報知の具体的な方法
は、ステップS27の方法と同じであってよい。
なお、ステップS32においてセンサ103からハイレベル信号が出力されている場合とは、例えば図8に示されるように、第2インク室36内のインクの液面が降下して被検出部93が検出位置から外れた場合が考えられる。すなわち、センサ103からのハイレベル信号を最初に取得した場合(すなわち、ニアエンプティフラグに”OFF”が設定された状態でセンサ103からハイレベル信号を取得した場合)、制御部130は、第2インク室36には未だインクが残っているが、残り少ないと判断する。また、第1インク室35及び第2インク室36内のインクの液面は同一なので、制御部130は、インクカートリッジ30内のインクの量が閾値を下回った状態(すなわち、ニアエンプティ状態)と判断する。
また、制御部130は、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されていることを条件として(すなわち、ステップS33を実行した後)、記録ヘッド21にインクを吐出させる際に、当該インクの吐出量(或いは、吐出回数)をインクカートリッジ30毎にカウントして、吐出量情報としてEEPROM134等に記憶させておく。当該処理を実行する制御部130は、カウント手段の一例である。また、制御部130は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜去されたタイミングで、EEPROM134等に記憶された吐出量情報をリセットする。
一方、センサ103からローレベル信号が出力されている場合(S32:No)、制御部130は、ステップS33、S34の処理をスキップして、図11の処理を終了する。ステップS32においてセンサ103からローレベル信号が出力されている場合とは、例えば図7に示されるように、第2インク室36内にインクが十分に残っているために、被検出部93が検出位置に位置している場合が考えられる。
また、ニアエンプティフラグに”ON”が設定されている場合(S31:Yes)、制御部130は、EEPROM134に記憶された吐出量情報で示される吐出量(或いは、吐出回数)と、予め定められた閾値とを比較する(S35)。なお、ここでの閾値は、例えば、図8に示されるインクカートリッジ30内のインク残量に相当する値(より具体的には、当該インク残量より僅かに小さい値)であってもよい。
そして、吐出量(或いは、吐出回数)が閾値未満の場合(S35:Yes)、制御部130は、ステップS34の処理を実行して、図11の処理を終了する。一方、吐出量(或いは、吐出回数)が閾値以上の場合(S35:No)、制御部130は、エンプティフラグに”ON”を設定する(S36)。また、制御部130は、インクカートリッジ30内のインクがなくなったこと(すなわち、エンプティ状態)をユーザに報知(S37)して、図11の処理を終了する。報知の具体的な方法は、ステップS27の方法と同じであってよい。
図10に戻って、制御部130は、エンプティフラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S24)。エンプティフラグに”ON”が設定されている場合(S24:Yes)、制御部130は、図10の処理を終了する。一方、エンプティフラグに”OFF”が設定されている場合(S24:No)、制御部130は、画像記録指示を取得したか否かを判断する(S25)。
画像記録指示を取得していない場合(S25:No)、制御部130は、ステップS26の処理をスキップして、図10の処理を終了する。一方、画像記録指示を取得した場合(S25:Yes)、制御部130は、記録ヘッド21、給紙ローラ23、搬送ローラ対25、排出ローラ対27等を直接的及び間接的に制御することによって記録用紙に画像を
記録(S26)して、図10の処理を終了する。なお、ステップS26の処理は、記録用紙1枚に対する画像記録処理が終了する時点までを一つの処理として終了してもよいし、取得した全ての画像データに対応する画像記録処理が終了した時点までを一つの処理として終了してもよい。
上記のように、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されている場合(S22:Yes)、ステップS26の画像記録処理を実施しない。すなわち、制御部130は、ステップS26の処理をスキップする。すなわち、制御部130は、記録ヘッド21にインクを吐出させない。ステップS26の処理をスキップする制御部130は、規制手段の一例である。
なお、図9に示される処理に従うと、十分な量のインクがまだ第1インク室35及び第2インク室36内に残っているインクカートリッジ30が、何らかの事情でカートリッジ装着部110から取り外され、再びカートリッジ装着部110に装着されたとしても、異常フラグに”ON”が設定される。そして、この状態で図10の処理が実行されると、ステップS26がスキップされて、画像記録処理が行われない。これは、インクカートリッジ30が再びカートリッジ装着部110に装着されたとしても、第1インク室35から第2インク室36へのインクの移動がもはや起こらないためである。
したがって、制御部130は、図10に示される処理において、ユーザがインクカートリッジ30を交換したか否かを確認するメッセージを報知する処理を行ってもよい。報知の具体的な方法は、ステップS27、S28の方法と同じであってよい。また、制御部130は、ユーザによりプリンタ10の入力部(不図示)から、インクカートリッジ30を交換した、もしくは、交換していないことを示す入力がなされるのを待つ。そして、制御部130は、インクカートリッジ30を交換していないことを示す入力がなされたことを条件として、ステップS28の処理は行わず、且つステップS26の処理を実行してもよい。なお、その際の制御部130の制御フローは、図9及び図10に示したものとは異なるが、その詳細な説明は割愛する。
[実施形態の作用効果]
第1インク室35から第2インク室36へ移動するインクの速度は、当該インクの粘度によって大きく変動する。そこで、上記の実施形態のように、第2インク室36に流入したインクによって被検出部93が検出位置に到達するのに要する時間(すなわち、経過時間)を計測することにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された時点における第1インク室35及び第2インク室36内のインクの粘度を推定することができる。これにより、例えば、カートリッジ装着部110に装着されることなく長期間放置されていたインクカートリッジ30内のインクの劣化の度合いを推定したり、異なる粘度のインクが貯留された複数種類のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着可能である場合において、装着されたインクカートリッジ30の種類を特定することができる。
また、上記の実施形態では、開口63と閉鎖空間との間の連通は第1封止部材80によって遮断されており、開口62、71、75、79と閉鎖空間との間の連通は第2封止部材81によって遮断されている。これにより、開口64を通じてのみインクが閉鎖空間に流入し、開口65を通じてのみ閉鎖空間から流出する。その結果、インクカートリッジ30の状態(例えば、インクカートリッジ30の姿勢)等によって、第1インク室35から第2インク室36に流入するインク量の変動を抑制できるので、さらに正確に経過時間を計測することができる。
また、上記の実施形態では、カートリッジ装着部110に装着完了される前のインクカ
ートリッジ30において、第2インク室36にインクが貯留されていないので、第2インク室36における気泡の発生が防止できる。これにより、フロート92或いは被検出部93に気泡が付着することによって、センサアーム90の移動が阻害されるのを抑制することができる。
また、第1インク室35内で発生した気泡は第1インク室35の上部に集まるので、開口64を第1インク室35の下部に設けたことにより、より具体的には、開口64を第1インク室35の底壁に設けたことにより、第1インク室35で発生した気泡が第2インク室36に移動するのを抑制することができる。さらに、開口65を第2インク室36の底壁に設けたことにより、第2インク室36に流入したインクが第2インク室36の内壁に衝突して気泡を生じるのを抑制することができる。但し、開口64、65の位置は第1インク室35及び第2インク室36の底壁に限定されない。例えば、第1インク室35と第2インク室36とを連通させる貫通孔(連通路の一例)を、隔壁43の下部(例えば、貫通孔43Aの直上)に設けてもよい。
また、上記の実施形態では、第1インク室35内のインクをインクニードル102を通じてインクカートリッジ30の外部に流出させる液体供給路と、第1インク室35内のインクを第2インク室36に流入させる連通路とが、インク供給部60内に共通して設けられている。また、液体供給路及び連通路の閉塞及び開放を、弁体76の移動によって実現している。これにより、部品点数の少ないシンプルな構成のインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110を実現することができる。但し、液体供給路及び連通路の構成は上記の実施形態に限定されず、各々が独立していてもよい。また、液体供給路及び連通路を閉塞及び開放させる構成は、弁体76の移動に限定されない。
また、インクニードル102が抜去された後に、コイルバネ82の付勢力によって弁体76が第2位置から第1位置へ移動される。すなわち、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110から抜去することにより、液体供給路及び連通路が再び閉塞される。その結果、カートリッジ装着部110から取り外されたインクカートリッジ30からインクが漏洩するのを抑制することができる。
また、上記の実施形態では、経過時間が閾値範囲を外れたことを条件として(S8:No)、記録ヘッド21の動作が規制される、すなわち、ステップS26がスキップされる。これにより、粘度が大きく変化したインクを吐出することによる記録ヘッド21のトラブルを防止することができる。但し、ステップS26をスキップする処理は必須ではない。すなわち、制御部130はインク粘度の異常を報知する処理(S28)のみを実行し、記録ヘッド21を動作させるか否かはユーザの判断に委ねてもよい。なお、その際の制御部130の制御フローは、図9及び図10に示したものとは異なるが、その詳細な説明は割愛する。
または、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されていると判断した場合(S22:Yes)に、ステップS23〜S26の処理をスキップせずに、ステップS26における画像記録処理において、各ノズル29のピエゾ素子に印加する駆動電圧の大きさが調整されるようにヘッド制御基板21Aを制御してもよい。この処理を行う制御部130は、駆動制御手段の一例である。
具体的には、制御部130は、経過時間が閾値範囲に含まれる場合と、経過時間が閾値範囲からはずれた場合とで、ノズル29から吐出されるインク量が略同一となるように、ピエゾ素子29Aに印加すべき駆動電圧の大きさを調整するように、ヘッド制御基板21Aに出力する制御信号を変更すればよい。すなわち、経過時間が閾値範囲の下限値を下回る(すなわち、インクの粘度が低すぎる)場合、制御部130は、経過時間が閾値範囲内
の場合より、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧を小さくすればよい。一方、経過時間が閾値範囲の上限値を上回る(すなわち、インクの粘度が高すぎる)場合、制御部130は、経過時間が閾値範囲内の場合より、ピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧を大きくすればよい。
上記構成によれば、異なる粘度のインクが貯留された複数種類のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着可能である場合において、インクの種類に応じた適切な駆動電圧でピエゾ素子29Aを駆動させることができる。なお、上記の実施形態においては、アクチュエータの例としてピエゾ素子29Aが用いられているが、アクチュエータの具体例はこれに限定されず、例えば、熱によりインク中に気泡を発生させてノズル29からインクを吐出させるサーマル式のアクチュエータであってもよい。
また、画像記録処理(S26)において、各ノズル29のピエゾ素子29Aに印加する駆動電圧の大きさが調整されるようにヘッド制御基板21Aを制御することに加えて、制御部130は、記録ヘッド21から強制的にインクを流出させるパージ処理を制御してもよい。例えば、制御部130は、異常フラグに”ON”が設定されていると判断した場合(S22:Yes)のパージ処理において、異常フラグに”OFF”が設定されていると判断した場合(S22:No)よりも強い圧力にてインクを流出させてもよい。例えば、吸引ポンプにて記録ヘッド21から強制的にインクを流出させる場合、制御部130は、より強い吸引圧力にてインクの吸引が行われるようポンプを制御してもよい。これにより、インクの粘度が高い場合でも、記録ヘッド21内部の気泡や固化したインクをパージ処理によってより確実に排出でき、また、インクをインクチューブ20から記録ヘッド21へ確実に導入できる。
また、インクの粘度は、周辺の温度の影響を受けて変化する。具体的には、温度が高いほど粘度が低くなり、温度が低いほど粘度が高くなる傾向がある。そこで、上記の実施形態では、温度に応じた適切な閾値範囲を用いることにより、インクの粘度をより正確に推定することができる。閾値範囲の決定方法は特に限定されないが、ROM132等に予め記憶された複数の閾値範囲のうちから温度に対応する閾値範囲を選択してもよいし、温度を入力パラメータとする関数を用いて閾値範囲の上限値或いは下限値を算出してもよい。また、固定の閾値範囲を用いてもよい。
また、上記の実施形態における制御部130は、異常フラグをEEPROM134に記憶していたが、インクカートリッジ30に搭載されたICチップの中のメモリに記憶してもよい。また、上記の実施形態における制御部130は、CPU131とASIC135とを備えていたが、制御部130の構成はこれに限定されない。例えば、制御部130はASIC135を有しておらず、図9及び図10に示される処理は、全てCPU131がROM132からプログラムを読み出すことによって実行されてもよい。逆に、制御部130がCPU131を有しておらず、ASIC135やFPGA等のハードウエアのみで構成されていてもよい。また、制御部130は複数のCPU131や複数のASIC135等を備えていてもよい。
さらに、上記の実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液を液体としてもよい。
また、上記の実施形態では、インクカートリッジ30がユーザにより手動でカートリッジ装着部110に挿入及び装着される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタ10は、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着完了させる自動装着機構を備えてもよい。この自動装着機構は、インクカートリッジ30がカ
ートリッジ装着部110の所定の位置までユーザによって挿入されると、当該インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着完了させる。これにより、例えば、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の挿入が不十分だったこと等に起因して、すなわち、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了されなかったこと等に起因して、第2インク室36にインクが流入したにもかかわらず、被検出部93の移動をセンサ103で検出できないような事態を抑制することができる。
なお、上記の実施形態では、第2インク室36内のインクの液面の変化に応じて回動するセンサアーム90の一端にフロート92が取り付けられ、他端に被検出部93が取り付けられた例を説明したが、フロート92及び被検出部93の構成はこれに限定されない。例えば図12を参照して、変形例1に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の構成を説明する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の参照番号を付して詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[変形例1]
変形例1に係るカートリッジ装着部110は、図12に示されるように、センサ103及び装着センサ107に代えて、高さ方向52に離間した位置に第1センサ121及び第2センサ122を有する。第1センサ121及び第2センサ122は、カートリッジ装着部110の奥面に設けられている。第1センサ121及び第2センサ122の構成は、センサ103と共通であってもよい。また、変形例1に係るインクカートリッジ30は、センサアーム90に代えて、第2インク室36内に隔壁46と被検出部95とを有する。
隔壁46は、例えば右壁38の内面において、幅方向51に立設され且つ高さ方向52に延設されている。隔壁46は、奥行き方向53において第1壁40Aと対面する位置に配置されている。より具体的には、隔壁46は、第1壁40Aと概ね平行に配置されている。すなわち、隔壁46は、接続壁40Cより上方に位置している。また、隔壁46と接続壁40Cとの間は離間している。被検出部95は、第1インク室35に貯留されたインクより比重が小さく、且つ第1センサ121及び第2センサ122の発光部から出力される光を遮光する。すなわち、変形例1に係る被検出部95は、上記の実施形態におけるフロート92及び被検出部93双方の機能を併せ持っている。また、被検出部95は、第1壁40A及び隔壁46の間に配置されている。
図12(A)に示されるように、第2インク室36内のインクが少ない状態において、被検出部95は、第1センサ121に対面する位置(第1検出位置の一例)に位置している。すなわち、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了された時点で、第1センサ121はローレベル信号を制御部130に出力し、第2センサ122はハイレベル信号を制御部130に出力する。そして、制御部130は、第1センサ121から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化したことを条件として、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着されたと判断する。
次に、図12(B)に示されるように、第2インク室36内のインクの液面の上昇に伴って、被検出部95は、第1壁40A及び隔壁46の間を、高さ方向52の上方へ移動する。被検出部95が第1検出位置から外れたことによって、第1センサ121はハイレベル信号を制御部130に出力する。また、被検出部95が第2センサ122に対面する位置(第2検出位置の一例)に到達したことによって、第2センサ122はローレベル信号を制御部130に出力する。
そして、制御部130は、第1センサ121から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化してから(S2)、第2センサ122から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化するまでの時間(S5)を、経過時間として計測する
。または、制御部130は、第1センサ121から出力される信号がローレベル信号からハイレベル信号に変化してから(S2)、第2センサ122から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化するまでの時間(S5)を、経過時間として計測してもよい。後者の方法によれば、弁体76が第1位置から第2位置へスムーズに移動できなかったとしても、適切な経過時間を計測することができる。
さらに、第2インク室36内のインクの液面の降下(すなわち、インクカートリッジ30からのインクの流出)に伴って、被検出部95は、第1壁40A及び隔壁46の間を、高さ方向52の下方へ移動する。被検出部95が第2検出位置から外れたことによって、第2センサ122はハイレベル信号を制御部130に出力する。また、被検出部95が第1検出位置に到達したことによって、第1センサ121はローレベル信号を制御部130に出力する。そして、制御部130は、経過時間が閾値範囲内に含まれると判断した(S8:Yes)後において、第1センサ121から出力される信号がハイレベル信号からローレベル信号に変化したことを条件として、ニアエンプティフラグに”ON”を設定(S33)し、ニアエンプティ状態を報知する(S34)。
なお、変形例1において、経過時間を計測する際の第1センサ121は実施形態の装着センサ107として機能し、第2センサ122はセンサ103として機能する。一方、インクカートリッジ30内のインク残量を判定する際の第1センサ121は実施形態のセンサ103として機能する。なお、第1センサ121からローレベル信号が出力されたことによってニアエンプティ状態を検出する変形例1は、センサ103からハイレベル信号が出力されたことによってニアエンプティ状態を検出する上記の実施形態と相違する。すなわち、本発明の制御部130は、センサ103或いは第1センサ121から出力される信号がローレベル信号(検出信号の一例)からハイレベル信号(非検出信号の一例)の一方から他方に変化したことを条件として、インクカートリッジ30内のインクの量が閾値量を下回ったと判断すればよい。
また、上記の実施形態及び変形例1では、センサアーム90及び被検出部95を、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着される際にインク粘度の推定に用い、インクカートリッジ30内のインクが消費される過程でインクカートリッジ30内のインク残量の検出に用いている。このように、インクカートリッジ30の状態を適切に把握して動作可能なプリンタ10を、少ない部品点数で実現することができる。但し、センサアーム90及び被検出部95を用いて検出するのは、インクカートリッジ30内のインク残量に限定されない。図13〜図15を参照して、変形例2に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の構成を説明する。なお、上記の実施形態と共通する構成要素には同一の参照番号を付して詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[変形例2]
変形例2に係るインクカートリッジ30は、図13に示されるように、第2インク室36の容積が第1インク室35より小さく設定されている。そのため、図13(B)に示されるように、連通された第1インク室35及び第2インク室36のインクの液面の位置は、上記の実施形態及び変形例1より高くなる。また、これに伴って、変形例2に係るセンサアーム90は、上記の実施形態と比較して、第2インク室36の上部に配置されている。同様に、変形例2に係るセンサ103は、上記の実施形態と比較して、カートリッジ装着部110の上部に配置されている。
図13(A)に示されるように、第2インク室36内のインクが少ない状態において、センサアーム90は、上壁39の内面に設けられた係止部39Cに被検出部93が係止される位置まで第2向きに回動されている。また、この状態における被検出部93は、検出位置から外れた位置に配置されている。すなわち、カートリッジ装着部110にインクカ
ートリッジ30が装着完了された状態において、センサ103は、ハイレベル信号を制御部130に出力する。
次に、図13(B)に示されるように、第2インク室36内のインクの液面の上昇に伴って、被検出部93は、センサアーム90が第1向きに回動することによって、検出位置に到達する。その結果、センサ103は、ローレベル信号を制御部130に出力する。さらに、第2インク室36内のインクの液面の降下(すなわち、インクカートリッジ30からのインクの流出)に伴って、被検出部95は、センサアーム90が再び第1向きに回動することによって、検出位置から外れる。その結果、センサ103は、ハイレベル信号を制御部130に出力する。
変形例2に係る制御部130は、センサ103及び装着センサ107から出力される信号に基づいて、図9の処理を実行する。一方、変形例2に係る制御部130は、図10及び図11の処理に代えて、図14及び図15の処理を実行する。なお、図10と図14とで共通する処理には同一の参照番号を付して詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。図10及び図14の処理の開始タイミングは、共通する。
まず、変形例2に係る制御部130は、図10のステップS23、S24に代えて、図14のステップS41〜S43の処理を実行する。なお、変形例2に係る制御部130は、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着完了された後において、記録ヘッド21から吐出されたインク量をインクカートリッジ30毎にカウントする。具体的な処理内容は、上記の実施形態における吐出量のカウント処理と共通する。但し、上記の実施形態と変形例2とでは、吐出量のカウントを開始するタイミングが異なる。すなわち、上記の実施形態はステップS33が実行された後にカウントを開始するのに対して、変形例2はカートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着完了された時点からカウントを開始する。
まず、制御部130は、異常フラグに”OFF”が設定されていることを条件として(S22:No)、異常判定完了フラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S41)。異常判定完了フラグ及び後述する第2異常フラグは、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30毎に設けられる。また、各フラグは、例えば、対応するインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜去されたタイミングで”OFF”が設定される。そして、異常判定完了フラグに”OFF”が設定されている場合(S41:No)、制御部130は、異常判定処理を実行する(S42)。異常判定処理は、記録ヘッド21から吐出されるインクの吐出量が適正範囲に含まれるか否かを判定する処理である。図15を参照して、異常判定処理を詳しく説明する。
制御部130は、センサ103からハイレベル信号が出力されているか否かを判断する(S61)。センサ103からハイレベル信号が出力されている場合(S61:Yes)、制御部130は、吐出量情報で示される吐出量と、予め定められた適正範囲とを比較する(S62)。なお、適正範囲とは、例えば、図13(B)に示される被検出部93が検出位置から外れるまでにインクカートリッジ30から流出されるインク量を含む所定の範囲である。そして、吐出量が適正範囲を外れている場合(S62:No)、制御部130は、第2異常フラグに”ON”を設定(S63)し、異常判定完了フラグに”ON”を設定(S64)して、図15の処理を終了する。
一方、吐出量が適正範囲内である場合(S62:Yes)、制御部130は、ステップS63の処理をスキップし、異常判定完了フラグに”ON”を設定(S64)して、図15の処理を終了する。また、センサ103からローレベル信号が出力されている場合(S61:No)、制御部130は、ステップS62〜S64の処理をスキップして、図15
の処理を終了する。
図14に戻って、制御部130は、第2異常フラグに”ON”が設定されているか否かを判断する(S43)。そして、第2異常フラグに”ON”が設定されている場合(S43:Yes)、制御部130は、ステップS28の処理を実行する。一方、第2異常フラグに”OFF”が設定されている場合(S43:No)、制御部130は、ステップS25の処理を実行する。
変形例2によれば、制御部130によってカウント(換言すれば、推定)された吐出量と、インクカートリッジ30内におけるインクの実際の減少量とが大きく異なる場合に、当該インクの異常をユーザに認識させることができる。例えば、吐出量が適正範囲を上回る場合、当該インクの粘度が高すぎる、或いはインクカートリッジ30から記録ヘッド21に至る流路の流路抵抗が高いこと等が考えられる。一方、吐出量が適正範囲を下回る場合、当該インクの粘度が低すぎる、或いは上記流路においてインクが漏洩していること等が考えられる。また、センサアーム90及びセンサ103を上記の実施形態より上方に設けたことにより、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了された後の比較的早いタイミングで、ステップS61においてセンサ103からハイレベル信号が取得される。その結果、前述の問題を早期に発見してユーザに報知することができるので、プリンタ10に致命的なダメージが生じるのを抑制することができる。
本発明は、以下のように定義することも可能である。
液体が貯留された第1貯留室と、
連通路を通じて上記第1貯留室から液体が流入可能な第2貯留室と、
上記第1貯留室又は上記第2貯留室から液体を流出させる液体供給部と、
上記連通路を閉塞する閉塞部材と、
上記第1貯留室に貯留された液体より比重が小さく且つ上記第2貯留室内を移動可能なフロートと、
上記フロートと連動して上記第2貯留室内を移動可能な被検出部を備えたカートリッジ。本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記連通路は、上記第1貯留室の下部に連通されている。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記連通路は、該カートリッジの装着姿勢における上記第1貯留室の底壁を貫通する。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記連通路は、該カートリッジの装着姿勢における上記第2貯留室の底壁を貫通する。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記閉塞部材は、上記連通路を閉塞する第1位置から、上記連通路を開放する第2位置へ移動可能に構成されている。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記第2位置側から上記第1位置側へ上記閉塞部材を付勢する付勢部材を備える。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記液体供給部は、その内部に上記連通路と、上記第1貯留室又は上記第2貯留室と該カートリッジの外部とを連通させる液体供給路とが設けられており、且つ該カートリッジの装着姿勢における上記第1貯留室の底壁を挟んで当該第1貯留室と隣接している。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記閉塞部材は、上記液体供給部の内部において、上記
連通路及び上記液体供給路を閉塞する第1位置から、上記連通路及び上記液体供給路を開放する第2位置へ移動可能に構成されている。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記液体供給部の内部において、上記第2位置側から上記第1位置側へ上記閉塞部材を付勢する付勢部材を備える。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記フロートと上記被検出部とに接続されており、上記第2貯留室に回動可能に支持されたアームを備える。
本発明は、さらに以下のように定義することも可能である。
上記のカートリッジであって、上記フロートが被検出部である
以上の構成によると、閉塞部材による連通路の閉塞が解除されると、第1貯留室から第2貯留室へ液体が移動する。液体の移動速度は、液体の粘度によって大きく変動する。そこで、液体の移動速度を計測することにより、液体の粘度をより直接的に推定することができる。