[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、図1では図示を省略した。
また、この実施形態の自動運転車1は、自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら進路変更をする走行モードである。
通常時は、自動運転車1の運転者は、例えばタッチパネルを通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。ただし、この実施形態の自動運転車1は、後述するように、強制的に手動運転モードから自動運転モードに切り替えられたときには、後述する所定の条件を満たした後でないと、上記の手動運転モードに戻る操作をしても、その操作は無効とされて、自動運転モードでの走行を維持するように制御される。
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、手動運転操作検知部105、レーダー106、カメラ群107、各種センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、運転者所作解析検出部114、強制自動運転モード切替決定部115、着信通知検出部116、時計部117、音声出力部118、のそれぞれが接続されている。
モータ駆動制御部102には、モータ駆動部121が接続されている。ステアリング駆動制御部103には、ステアリング駆動部122が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース123が接続されている。そして、着信通知検出部116には、マイクロホン124が接続され、音声出力部118には、スピーカ125が接続されている。
モータ駆動制御部102は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部121への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御、走行停止などを制御するようにする。
ステアリング駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部122への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
手動/自動運転モード切替制御部104は、タッチパネル112を通じた選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードと、後述する強制自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。
手動運転操作検知部105は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部104に供給する。
手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が手動運転モードのときには、この手動運転操作検知部105からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部121、ステアリング駆動部122を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作に応じて制御する。
また、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が自動運転モード(強制自動運転モードを含む)のときには、後述するようにして、レーダー106、カメラ群107、各種センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部121、ステアリング駆動部122を、自動運転操作情報により駆動制御する。なお、自動運転モード(強制自動運転モードを含む)においては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
そして、この実施形態では、手動/自動運転モード切替制御部104は、後述する強制自動運転モード切替決定部115での決定結果を受けて、運転者の意思に反して―すなわち、運転者による運転モードの選択設定に反して―手動運転モードから、強制的に自動運転モードに自動的に切り替える制御も行う。
利用者がタッチパネル112等を通じて選択設定する通常の自動運転モードと区別するために、この強制的に切り替えられた後の自動運転モードを、この明細書では、特に、強制自動運転モードと称する。
強制自動運転モードではない通常の自動運転モードにおいては、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作をすると、その手動運転操作の検知情報に基づいて、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1の運転モードを自動的に手動運転モードに戻すようにモード切替制御を行う。
しかし、自動運転車1の運転モードが強制自動運転モードであるときには、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作またはステアリング操作をしても、手動/自動運転モード切替制御部104は、その手動運転操作情報を無効として、強制自動運転モードを維持するようにする。
レーダー106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する物との距離を測るためのもので、レーザー・レーダーやミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1〜複数個のカメラと、自動運転車1の車外の周囲を撮影する1〜複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラーまたはフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラなどを含む。
各種センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサなどの他、自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。
周囲移動体把握部109は、レーダー106や、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、各種センサ群108に含まれる1〜複数個のセンサ及びレーダー106、カメラ群107の撮像画像などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
自動運転車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー106、カメラ群107、各種センサ群108、GPS電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース123に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部102を通じてモータ駆動部121を制御すると共に、ステアリング駆動制御部103を通じてステアリング駆動部122を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
運転者所作解析検出部114は、カメラ群107の内の運転者を撮影するカメラからの撮影画像情報を解析し、この例では、特に、携帯機器、この例では、携帯電話端末を手に取った所作をしたか否かを検出するようにする。そして、その運転者の所作の検出結果は、強制自動運転モード切替決定部115に供給するようにする。
強制自動運転モード切替決定部115は、この実施形態では、着信通知検出部116からの、自動運転車1の車内に持ち込まれた携帯電話端末(図1の携帯電話端末2)が報知する着信通知の検出出力と、運転者所作解析検出部114からの運転者の所作の検出結果とから、自動運転車1を強制自動運転モードに切り替えるか否かを決定すると共に、強制自動運転モードを解除するか否かの決定も行うようにする。
着信通知検出部116に接続されているマイクロホン124は、車内の音(音声や振動)を収音するためのものである。着信通知検出部116は、マイクロホン124で収音した音声信号から、携帯電話端末2が報知する着信通知、例えば着信音、着信メロディー、バイブレーションの振動などを検知し、その検知結果を制御部101に通知する。
時計部117は、年月日時分秒の時刻情報を提供すると共に、時間計測をするタイマーの役割もする。
音声出力部118は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD−A変換器を内蔵している。そして、音声出力部118は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ125に供給して、音声として外部に放音するようにする。なお、記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「自動運転モードに切り替えました。」、「手動運転モードに切り替えました。」などの運転モードの切り替え通知メッセージや、自動運転モードに切り替えた際の目的地設定を促す通知メッセージなどが用意されている。
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成されるが、図1に示した各ブロックのうち、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、運転者所作解析検出部114、強制自動運転モード切替決定部115、着信通知検出部116、音声出力部118、の各処理機能は、制御部101が、ソフトウエア処理として実現することができる。
[第1の実施形態の自動運転車1での運転モードの切り替え処理動作の例]
以上のような電子制御回路部10を備える自動運転車1においては、手動運転モードで走行中に、車内に持ち込まれた携帯機器を運転者が利用するような状況になった時には、強制的に手動運転モードから強制自動運転モードに自動的切り替えるようにする。
手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えられる状況の幾つかの例と、その際におけるこの実施形態の自動運転車の電子制御回路部10での処理動作について、以下に説明する。
<第1の例;携帯機器が携帯電話端末で、電話の着信通知があった時>
図2(A)は、運転者3が携帯電話端末2(例えば携帯電話機、スマートフォン)を自動運転者1の車内に持ち込んで、例えばダッシュボード4の上に載置した状態で、手動運転モードで自動運転車1を運転している状況を示している。この図2(A)において、5はステアリングホイールであり、また、107aはカメラ群107のうち、運転者の所作を撮影するために、フロントウインドウの上部において、バックミラー6の側方に設置されたカメラを示している。
この図2(A)の状態で、携帯電話端末2に電話(テレビ電話を含む)の着信があると、この例では、その着信音が放音されて、運転者3に着信通知がなされる。すると、この例では、自動運転車1は、即座に手動運転モードから強制自動運転モードに切り替わり、その旨が運転者に報知される。そこで、運転者3は、安心して、図2(B)に示すように、ダッシュボード4の上の携帯電話端末2を手に取り、ステアリングホイール5から両手を離して、着信に応答する操作をして、通話をすることができる。
次に、この時の電子制御回路部10における処理動作の流れの例について説明する。図3は、この実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10において、携帯電話端末2から着信通知がなされた時の処理動作の流れの一例を説明するためのフローチャートである。なお、この図3のフローチャートにおける各ステップにおける処理は、以下の説明においては、制御部101が、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、運転者所作解析検出部114、強制自動運転モード切替決定部115、着信通知検出部116、音声出力部118、の各処理機能をソフトウエア処理として実現している場合として説明する。以下の他の例を説明するためのフローチャートの説明においても同様である。
先ず、制御部101は、マイクロホン124で収音された音声情報を監視して、携帯電話端末2からの着信通知を検知したか否か判別する(ステップS1)。この場合、携帯電話端末2からの着信通知の検知は、前述したように、着信音、着信メロディー、着信のバイブレーション(振動)などを検知することによりなされる。着信音や、着信メロディーは、予め電子制御回路部10に登録しておき、制御部101の着信通知検出部116の機能部により、登録してある音声データと、マイクロホン124で収音した音声データとの一致検出により行うことができる。また、同様に、着信のバイブレーション(振動)も登録しておき、同様に一致検出をすることにより、検知することができる。
このステップS1で、着信通知を検知してはいないと判別したときには、制御部101は、その他の処理を実行し(ステップS2)、その処理の実行後、ステップS1に処理を戻す。
また、ステップS1で、着信通知を検知したと判別したときには、制御部101は、自動運転車1の運転モードは、手動運転モードであるか否か判別する(ステップS3)。このステップS3で、運転モードは、手動運転モードではなく自動運転モードであると判別したときには、着信に対して応答して安全に通話が可能であるので、制御部101は、処理をステップS1に戻す。
ステップS3で、運転モードが手動運転モードであると判別したときには、制御部101は、運転モードを強制自動運転モードに切り替えて、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者に通知する(ステップS4)。
次に、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が携帯電話端末2を手に取り、着信に応答する所作をしたか否か判別する(ステップS5)。
このステップS5で、運転者が着信に応答する所作はしていないと判別したときには、制御部101は、携帯電話端末2からの着信通知が消滅したか否か判別し(ステップS6)、着信通知が消滅してはいないと判別したときには、処理をステップS5に戻す。
ステップS6で着信通知が消滅したと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードから通常の自動運転モードに切り替え(ステップS7)、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングなどの手動運転操作を検知するのを待ち(ステップS8)、ステップS8で手動運転操作を検知したら、自動運転モードから手動運転モードに切り替え、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者に通知する(ステップS9)。このステップS9の次には、制御部101は、処理をステップS1に戻し、このステップS1以降の処理を繰り返す。
ステップS5で、運転者が着信に応答する所作をしたと判別したときには、制御部101は、カーナビ機能の開始処理を実行して、行先(目的地)の設定をして、カーナビ機能を開始させる(ステップS10)。このステップS10のカーナビ機能の開始処理の詳細については後述する。
次に、制御部101は、手動運転操作を検知しても、強制自動運転モードを維持するように制御する(ステップS11)。そして、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が携帯電話端末2を用いて通話を終了して、当該携帯電話端末2を何処かに置き、ステアリングホイールに手を置く所作をして、手動運転可能状態になったか否か判別する(ステップS12)。
このステップS12での判別処理は、運転者による携帯機器の機能の利用終了の事象を検出する終了検出手段の一例である。ステップS12での判別において、運転者がステアリングホイールに手を置く所作の判別以外に、運転者が携帯電話端末2を用いて通話を終了して、当該携帯電話端末2を何処かに置く操作を判別するものであってもよい。
このステップS12で、手動運転可能状態になっていないと判別したときには、このステップS12を継続して実行し、手動運転可能状態になるのを待つ。そして、このステップS12で、手動運転可能状態になったと判別したときには、制御部101は、処理をステップS7に移行させ、このステップS7以降の処理を実行し、手動運転モードに戻すようにする。
次に、図3のフローチャートのステップS10のカーナビ機能開始処理の流れの例について、図4を参照して説明する。
制御部101は、表示部111の表示画面に、自動運転モードにおける行先(目的地)の設定用画面を表示すると共に、スピーカ125から、行先の設定を促す音声メッセージを放音する(ステップS21)。この時、表示部111の表示画面には、自動運転モードにおける行先が事前に設定されているときには、その旨とその行先で良いかどうかの問い合わせメッセージが表示されており、運転者は、その行先で良いかどうかを、タッチパネル112を通じて入力する。行先が事前に設定されていないときには、運転者は、タッチパネル112を通じて、表示画面に表示される地図上で、行先を指定したり、行先の場所名を指定する入力をしたりして、行先の設定を行う。
制御部101は、この行先の設定がなされるのを待ち(ステップS22)、行先の設定がなされたと判別したときには、表示画面に、現在位置から設定された行先までの経路(ルート)候補を表示する(ステップS23)。次に、制御部101は、タッチパネル112の操作入力を監視して、表示画面に表示された行先までの経路候補の中から、利用する経路の選択が完了したか否か判別する(ステップS24)。そして、ステップS24で、利用する経路の選択が完了したと判別したときには、制御部101は、自動運転モードにおける経路案内のナビゲーションを開始する(ステップS25)。
以上のようにして、この実施形態によれば、図2に示したように、運転者3が携帯電話端末2を持って自動運転車1に乗り込んで、手動運転モードで運転を行っているときに、携帯電話端末2に着信があった時、自動的に、自動運転車1は、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えられ、自動運転車1は、強制自動運転モードで安全に走行する状態となる。したがって、運転者は、安心して、ステアリングホイール5から手を離し、携帯電話端末2を手に取って着信応答操作をして、通話をすることができる。
また、上述の実施形態においては、運転者が着信通知に対して応答する所作をせずに、着信通知が終了したときには、手動運転操作を検知することにより、手動運転モードに戻すようにする。したがって、運転者は、着信に対する通話をしないときには、手動運転操作をすることにより、容易に、手動運転モードに戻すことができる。
また、上述の実施形態においては、強制自動運転モードに切り替えられたときには、自動的にカーナビ機能における行先の設定を促す画面を表示して行先の設定を受け付け、カーナビ機能を開始するようにしているので、運転者が携帯電話端末2の着信に応答して通話をしても、自動運転車1は、運転者が希望する行先に確実に移動する。
<第2の例;携帯機器が携帯電話端末で、電話の発信(発呼)をするとき>
図2(A)に示したように、運転者3が携帯電話端末2を自動運転者1の車内に持ち込んで、例えばダッシュボード4の上に載置した状態で、手動運転モードで自動運転車1を運転している状況から、運転者3が、携帯電話端末2を用いて発信(発呼)を行おうとする場合にも、この実施形態の自動運転車1は、安全に発信に基づく通話ができるように構成されている。
すなわち、この実施形態では、運転者3が、図2(B)に示すように、ダッシュボード4の上の携帯電話端末2を手に取り、ステアリングホイール5から両手を離して、発信のための操作をしようとしたときには、カメラ107aによる運転者3の撮影画像情報を解析することで、そのような操作を検出し、その検出結果に基づいて、自動運転車1は、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替わり、その旨が運転者3に報知される。そこで、運転者3は、安心して、図2(B)に示すように、ダッシュボード4の上の携帯電話端末2を手に取り、ステアリングホイール5から両手を離して、発信(発呼)の操作をして、通話をすることができる。
この時の電子制御回路部10における処理動作の例の流れを、図5のフローチャートを参照して説明する。
先ず、制御部101は、自動運転車1の運転モードは、手動運転モードであるか否か判別する(ステップS31)。このステップS31で、運転モードは、手動運転モードではなく自動運転モードであると判別したときには、自動運転モード時の処理ルーチンに移行する(ステップS32)。
ステップS31で、運転モードが手動運転モードであると判別したときには、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者3が、発信(発呼)をするために携帯電話端末2を手に取る所作をしたか否か判別する(ステップS33)。
このステップS33で、運転者3が携帯電話端末2を手に取る所作はしていないと判別したときには、制御部101は、その他の処理を実行し(ステップS34)、その処理が終了したら、処理をステップS33に戻す。
ステップS33で、運転者3が携帯電話端末2を手に取る所作をしたと判別したときには、制御部101は、運転モードを強制自動運転モードに切り替えて、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者3に通知する(ステップS35)。
次に、制御部101は、カーナビ機能の開始処理を実行して、行先(目的地)の設定をして、カーナビ機能を開始させる(ステップS36)。このステップS36のカーナビ機能の開始処理は、図4を用いて説明した処理と同様である。
次に、制御部101は、手動運転操作を検知しても、強制自動運転モードを維持するように制御する(ステップS37)。そして、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者3が携帯電話端末2を用いて通話を終了して、当該携帯電話端末2を何処かに置き、ステアリングホイール5に手を置く所作をして、手動運転可能状態になったか否か判別する(ステップS38)。このステップS38で、手動運転可能状態になっていないと判別したときには、このステップS38を継続して実行し、手動運転可能状態になるのを待つ。
そして、このステップS38で、手動運転可能状態になったと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードから通常の自動運転モードに切り替え(ステップS39)、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングなどの手動運転操作を検知するのを待ち(ステップS40)、このステップS40で手動運転操作を検知したら、自動運転モードから手動運転モードに切り替え、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者3に通知する(ステップS41)。このステップS41の次には、制御部101は、処理をステップS33に戻し、このステップS33以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、この実施形態によれば、運転者3が携帯電話端末2を持って自動運転車1に乗り込んで、手動運転モードで運転を行っているときに、携帯電話端末2を用いて発信(発呼)をすることが必要になった時には、運転者3が発信(発呼)のために携帯電話端末2を手に取る所作をしたときには、自動的に、自動運転車1は、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えられ、自動運転車1は、強制自動運転モードで、車内での携帯機器の取り扱いに関する交通法規に則り安全に走行する状態となる。したがって、運転者3は、安心して、ステアリングホイール5から手を離し、携帯電話端末2を手に取って発信(発呼)操作をして、通話をすることができる。
なお、第1の実施形態では、着信時のバイブレーションはマイクロホンで検知したが、マイクロホンに限らず、振動センサや圧力センサで検知してもよい。
<第1の実施形態の変形例>
<第1の例の変形例>
上述した第1の例においては、携帯電話端末の着信通知を検出すると、運転者がその着信に応答することを想定すると共に、運転者が携帯電話端末を取り上げる操作を安全に行えるようにすることを考慮して、自動運転車1の運転モードを、即座に強制自動運転モードに切り替えるようにした。すなわち、第1の例では、着信通知が、携帯機器の機能の利用開始のトリガーとなる事象であり、これを検出することで、強制自動運転モードに切り替えるようにしている。
そのため、着信に対して運転者が応答しない場合にも、一時的に強制自動運転モードになり、着信通知が消滅するまでは、運転者の手動運転操作が無効とされてしまう。そのため、稀ではあるが、携帯電話端末の着信通知が行われている間に運転者が右左折や斜線変更のために、アクセルペダル操作、ブレーキペダル操作、ステアリング操作などの手動運転操作をしても、それらの手動運転操作が無効とされて、かえって危険な状態になる場合がある。
以下に説明する第1の例の変形例は、着信通知に加えて、以下の例では携帯機器を運転者が手に取る所作をしたことを、携帯機器の機能の利用開始のトリガーとなる事象とすることにより、上記の問題を回避するようにする。
図6は、この第1の例の変形例における処理動作の流れを説明するためのフローチャートの一例である。
すなわち、この図6の例においては、まず、制御部101は、前述の第1の例と同様にして、マイクロホン124で収音された音声情報を監視して、携帯電話端末2からの着信通知を検知したか否か判別する(ステップS51)。
このステップS51で、着信通知を検知してはいないと判別したときには、制御部101は、その他の処理を実行し(ステップS52)、その処理の実行後、ステップS51に処理を戻す。
また、ステップS51で、着信通知を検知したと判別したときには、制御部101は、自動運転車1の運転モードは、手動運転モードであるか否か判別する(ステップS53)。このステップS53で、運転モードは、手動運転モードではなく自動運転モードであると判別したときには、着信に対して応答して安全に通話が可能であるので、制御部101は、処理をステップS51に戻す。
ステップS53で、運転モードが手動運転モードであると判別したときには、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が携帯電話端末2を手に取り、着信に応答するために携帯電話端末2を手に取る所作をしたか否か判別する(ステップS54)。
このステップS54で、運転者が着信に応答するために携帯電話端末2を手に取る所作はしていないと判別したときには、制御部101は、携帯電話端末2からの着信通知が消滅したか否か判別し(ステップS55)、着信通知が消滅してはいないと判別したときには、処理をステップS54に戻す。ステップS55で着信通知が消滅したと判別したときには、制御部101は、処理をステップS51に戻す。
そして、ステップS54で、運転者が着信に応答するために携帯電話端末2を手に取る所作をしたと判別したときには、制御部101は、運転モードを強制自動運転モードに切り替えて、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者に通知する(ステップS56)。
次に、制御部101は、図4を用いて説明したカーナビ機能の開始処理を実行して、行先(目的地)の設定をして、カーナビ機能を開始させる(ステップS57)。次に、制御部101は、手動運転操作を検知しても、強制自動運転モードを維持するように制御する(ステップS58)。
そして、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が携帯電話端末2を用いて通話を終了して、当該携帯電話端末2を何処かに置き、ステアリングホイールに手を置く所作をして、手動運転可能状態になったか否か判別する(ステップS59)。このステップS59で、手動運転可能状態になっていないと判別したときには、このステップS59を継続して実行し、手動運転可能状態になるのを待つ。
そして、このステップS59で、手動運転可能状態になったと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードから通常の自動運転モードに切り替え(ステップS60)、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングなどの手動運転操作を検知するのを待ち(ステップS61)、このステップS61で手動運転操作を検知したら、自動運転モードから手動運転モードに切り替え、その旨のメッセージを例えばスピーカ125を通じて放音して、運転者に通知する(ステップS62)。このステップS62の次には、制御部101は、処理をステップS51に戻し、このステップS51以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、この第1の例の変形例によれば、着信通知を検知しただけではなく、運転者による、着信に応答するために携帯電話端末を手に取る所作を確認した後に、強制自動運転モードに切り替えるようにするので、着信通知中であっても運転者の手動運転操作が無効とされることはない。したがって、携帯電話端末の着信通知が行われている間に運転者が右左折や斜線変更のために手動運転操作をすれば、それが有効とされる。そして、運転者は、必要な手動運転操作をした後に、着信に応答するために携帯電話端末を手に取る所作をすると、運転モードが強制自動運転モードに切り替えられるので、安心して、着信応答操作をして通話をすることができる。
<第1の例のその他の変形例>
上述の第1の例及び変形例においては、携帯機器は携帯電話端末で、機能は電話通信の着信の場合について説明した。しかし、電話通信の着信の場合に限らず、携帯電話端末が備える電子メール(ショートメールやメッセージの受信機能を含む)の着信(受信)の場合にも適用できる。さらには、携帯電話端末などの携帯機器が備える他の通信の機能、例えばインターネット電話、Twitter(登録商標)などのミニブログ(マイクロブログ)、LINEなどのインスタントメッセンジャー、SNS(Social Networking Service)、電子掲示板、などのインターネットを通じた通信サービスによる情報の着信(受信)の場合にも、この発明は適用可能である。また、携帯機器は、携帯電話端末に限られる訳ではない。なお、電子メールやその他の通信サービスについては、自動運転車1は、着信通知に対応する受信通知を検出するものである。
<第2の例の変形例>
上述の第2の例においては、携帯機器は携帯電話端末で、機能は電話通信の発信(発呼)の場合について説明した。しかし、電話通信の発信(発呼)の場合に限らず、携帯電話端末が備える電子メール(ショートメール送信機能を含む)の発信(送信)の場合にも適用できる。さらには、携帯電話端末などの携帯機器が備える他の通信の機能、例えばインターネット電話、Twitter(登録商標)などのミニブログ(マイクロブログ)、LINEなどのインスタントメッセンジャー、SNS、電子掲示板、などのインターネットを通じた通信サービスによる情報の発信(送信)の場合にも、この発明は適用可能である。また、電子メールやメッセージ通信の場合は、着信(受信)、発信(送信)のみならず、表示画面を注視したり、考え込んだりなど、注意が散漫になり危険運転となる恐れのある、メール作成時やメッセージ作成時などの入力操作中にも、この発明は適用可能である。もちろん、メールチェック時やメッセージチェック時などの閲覧操作中にも、この発明は適用可能である。さらに、携帯機器は、携帯電話端末に限られる訳ではない。
さらに、この第2の例の場合には、携帯機器は、通信機能を備えないが、運転者が入力操作や視聴のために注視してしまう恐れのある表示画面を備える、例えばゲーム機、電子書籍(電子ブックリーダー、ビューアー)、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤやメモリプレーヤなどのビデオプレーヤ、携帯テレビなどであってもよい。また、携帯機器は、表示画面を備えるタブレット、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコンなどであってもよい。その場合でも、運転者が携帯機器に手に取る所作は、それらの携帯機器が備える機能の利用開始のトリガーとなるので、図6に示した処理の流れを、そのまま適用することができる。
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、携帯機器の例としての携帯電話端末2は、自動運転車1の電子制御回路部10とは、電気的な接続関係はなく、携帯電話端末2の機能は、携帯電話端末2を利用者(運転者)が、携帯電話端末2に対して行うことで実行するようにしていた。
第2の実施形態の自動運転車1Aは、その電子制御回路部10Aが、車内に持ち込まれた携帯電話端末2と電気的に接続する携帯電話インターフェース部を備える。そして、携帯電話端末2の電話通信の機能を、電子制御回路部10Aの表示部111の表示画面での表示及びタッチパネル112を通じた操作の受付機能により実現する。
図7は、この第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aの構成例を示すブロック図であり、前述した第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図1と図7とを比較することで明白なように、第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは、第1の実施形態の電子制御回路部10の着信通知検出部116は備えない。その代わりに、携帯電話インターフェース部116Aを備える。また、電子制御回路部10Aは、第1の実施形態の電子制御回路部10の音声出力部118は備えず、その代わりに、音声インターフェース部118Aを備える。第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aのその他の構成は、第1の実施形態の電子制御回路部10と同様とされている。
図8(A)に示すように、第2の実施形態の自動運転車1Aのダッシュボード4には、運転者の手が届く所定の部位に、携帯電話端末2を収納する収納ポケット116Apが設けられている。運転者は、車内に持ち込んだ携帯電話端末2を、収納ポケット116Apに挿入することで固定することができる。
そして、この例では、携帯電話端末2と電子制御回路部10Aの携帯電話インターフェース部116Aとの電気的な接続は、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線規格などによる無線接続とされる。なお、無線接続ではなく、携帯電話端末2が備えるUSB(Universal Serial Bus)端子と携帯電話インターフェース部116Aに設けるUSB端子とを、USBケーブルを用いて接続することにより、携帯電話端末2と電子制御回路部10Aとを電気的に接続する構成であっても勿論よい。
そして、この第2の実施形態の電子制御回路部10Aは、携帯電話インターフェース部116Aと制御部101とにより、携帯電話端末2から制御信号を受け取って、着信時の処理を行ったり、発信(発呼)時の処理を行ったりすることができるように構成されている。
すなわち、電子制御回路部10Aは、携帯電話端末2から制御信号を受け取って、着信を検出する着信検出回路の機能を備え、その着信検出結果に基づいて、図8(B)に示すように、表示部111の表示画面111Dに着信を表示(着信通知)したり、音声インターフェース部118Aを通じて着信音をスピーカ125Aに供給して放音することにより着信通知をしたりする機能を備える。
そして、制御部101は、図8(B)に示すように、着信通知の表示画面111Dにおいては、着信応答のためのソフトウエアボタン112aや、通話終了のためのソフトウエアボタン112bを表示し、利用者(運転者等)がそれらのボタン112a,112bをタッチ操作すると、タッチパネル112を通じてその操作を検出し、操作されたボタン112aまたは112bに応じた処理を行う。
利用者(運転者等)が着信応答のボタン112aを操作したときには、制御部101は、携帯電話端末2を通じて着信をしてきた相手方との通話路を生成して、音声インターフェース部118Aに接続されるマイクロホン124Aを送話器として用い、音声インターフェース部118Aに接続されるスピーカ125Aを受話器として用いるハンズフリー通話を行えるように構成されている。また、利用者(運転者等)が終了のボタン112bを操作したときには、制御部101は、通話路を切断して、終話するように携帯電話端末2を制御する。
また、図8(C)に示すように、着信通知の状態ではない待ち受け時の状態では、制御部101は、表示画面111Dには、発信(発呼)のソフトウエアボタン112cや、インターネットを通じて所定のサイトにアクセスするためのソフトウエアボタン112dを表示する。利用者(運転者等)がこれらのボタン112c、112dをタッチ操作すると、タッチパネル112でその操作が検出され、制御部101に通知される。この通知を受けた制御部101は、操作されたボタン112cまたは112dに応じた処理を行う。
利用者(運転者等)が発信(発呼)のボタン112cを操作したときには、制御部101は、表示画面111Dに発信用の画面を表示して、利用者による相手先の指定を受け付け、携帯電話端末2を、指定された相手先に発信(発呼)を行うように制御する。そして、相手側の応答を確認した、相手方との通話路を生成して、音声インターフェース部118Aに接続されるマイクロホン124Aと、スピーカ125Aとを用いるハンズフリー通話を行えるように構成されている。
また、利用者(運転者等)が終了のボタン112cを操作したときには、制御部101は、携帯電話端末2を通じてインターネットの所定のサイトにアクセスし、そのサイトのサービスを受けることができるように、表示画面111Dには、ブラウザ画面を表示するように制御する。
この第2の実施形態においては、携帯電話の通話は、ハンズフリーで行えるため、道路交通法上は許可されているものの、通話時には、運転者の注意が若干散漫になること、電話の発信(発呼)時、電子メールの発信(送信)時やインターネットへのアクセス時には、表示画面111Dを見ながら、タッチパネル112を通じて操作をする必要が生じることから、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えて、より安全性を高めるようにしている。
この第2の実施形態においては、運転者による携帯機器の機能の利用開始のトリガーとなる事象の検出は、表示部111の表示画面111Dに表示されているソフトウエアボタン112a〜112dを、運転者がタッチ操作したか否かとされている。すなわち、この第2の実施形態では、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を解析することで、運転者が表示画面111Dに表示されているソフトウエアボタン112a〜112dなどをタッチする所作をしたか否かを判別すると共に、タッチパネル112を通じて、それらのソフトウエアボタン112a〜112dのいずれかが実際にタッチされたか否かを判別する。そして、制御部101は、運転者が表示画面111Dに表示されているソフトウエアボタン112a〜112dなどをタッチする所作をし、かつ、ソフトウエアボタン112a〜112dのいずれかが実際にタッチされたと判別したときに、手動運転モードから強制自動運転モードに自動的に切り替えるようにする。
なお、運転者による携帯機器の機能の利用開始のトリガーとなる事象の検出を、ソフトウエアボタン112a〜112dのいずれかのタッチ操作のみの検出とせずに、運転者の所作をも検出するようにしたのは、例えば助手席の同乗者が、それらのボタン操作をして、携帯電話端末2の機能を使用しても、運転者の手動運転にはそれほど影響を及ぼさないと考えられるからである。
[第2の実施形態の自動運転車1Aでの運転モードの切り替え処理動作の例]
第2の実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aにおける処理動作の流れの例を、図9のフローチャートを参照して説明する。
先ず、制御部101は、自動運転車1の運転モードは、手動運転モードであるか否か判別する(ステップS71)。このステップS71で、運転モードは、手動運転モードではなく自動運転モードであると判別したときには、自動運転モード時の処理ルーチンに移行する(ステップS72)。
ステップS71で、運転モードが手動運転モードであると判別したときには、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が、発信(発呼)をするためにソフトウエアボタン112cまたは112dをタッチしようとする所作をしたか否か、かつ、タッチパネル112を通じてソフトウエアボタン112cまたは112dのいずれかのタッチ操作を検出したか否か判別する(ステップS73)。
このステップS73で、運転者が発信(発呼)をするためにソフトウエアボタン112cまたは112dをタッチする所作をしており、かつ、タッチパネル112を通じてソフトウエアボタン112cまたは112dのいずれかがタッチ操作をされたことを検出したときには、制御部101は、運転モードを強制自動運転モードに切り替えて、その旨のメッセージを例えばスピーカ125Aを通じて放音して、運転者に通知する(ステップS74)。
次に、制御部101は、カーナビ機能の開始処理を実行して、行先(目的地)の設定をして、カーナビ機能を開始させる(ステップS75)。このステップS75のカーナビ機能の開始処理は、図4を用いて説明した処理と同様である。
次に、制御部101は、手動運転操作を検知しても、強制自動運転モードを維持するように制御する(ステップS76)。そして、制御部101は、運転者が、タッチパネル112を通じて、表示画面111Dにおいて発信した機能(通話や電子メール、インターネット接続など)の終了をする操作をしたことを検出すると共に、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が、そのような終了操作をし、その後、ステアリングホイールに手を置く所作をして、手動運転可能状態になったか否か判別する(ステップS77)。このステップS77で、手動運転可能状態になっていないと判別したときには、このステップS77を継続して実行し、手動運転可能状態になるのを待つ。
そして、このステップS77で、手動運転可能状態になったと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードから通常の自動運転モードに切り替え(ステップS78)、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングなどの手動運転操作を検知するのを待ち(ステップS79)、このステップS79で手動運転操作を検知したら、自動運転モードから手動運転モードに切り替え、その旨のメッセージを例えばスピーカ125Aを通じて放音して、運転者に通知する(ステップS80)。このステップS80の次には、制御部101は、処理をステップS73に戻し、このステップS73以降の処理を繰り返す。
ステップS73で、運転者が発信(発呼)をするためにソフトウエアボタン112cまたは112dをタッチする所作をしていない、あるいは、ソフトウエアボタン112cまたは112dのいずれかがタッチ操作をされたことを検出していないと判別したときには、制御部101は、着信を検出したか否か判別し(ステップS81)、着信を検出してはいないと判別したときには、処理をステップS73に戻す。
そして、ステップS81で、着信を検出したと判別したときには、制御部101は、カメラ107aの撮影画像情報を監視し、当該撮影画像情報を解析して、運転者が、着信応答をするためにソフトウエアボタン112aをタッチしようとする所作をしたか否か、かつ、タッチパネル112を通じてソフトウエアボタン112aのタッチ操作を検出したか否か判別する(ステップS82)。
このステップS82で、運転者が、着信応答をするためにソフトウエアボタン112aをタッチしようとする所作をし、かつ、タッチパネル112を通じてソフトウエアボタン112aのタッチ操作を検出したと判別したときには、制御部101は、処理をステップS74に移行し、このステップS74以降の処理を繰り返す。
また、ステップS82で、運転者が、着信応答をするためにソフトウエアボタン112aをタッチしようとする所作をしていない、あるいは、タッチパネル112を通じてソフトウエアボタン112aのタッチ操作を検出していないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS73に戻し、このステップS73以降の処理を繰り返す。
以上のようにして、この実施形態によれば、手動運転モードで運転を行っているときに、運転者が、通話や電子メール、インターネットのサイトへの発信のために所作をしたときや、電話や電子メールの着信に対して、応答するための所作をしたときには、自動運転車1Aは、自動的に、手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えられ、自動運転車1Aは、強制自動運転モードで、安全に走行する状態となる。したがって、運転者は、安心して、ステアリングホイールから手を離して、通話や、電子メールの受信操作や発信操作、さらには、表示画面に注視して、インターネットを通じた種々のサービスの提供を受けることが可能となる。
[第2の実施形態の変形例]
なお、この第2の実施形態における運転者による携帯機器の機能の利用開始のトリガーとなる事象の検知は、運転者による表示画面111Dのソフトウエアボタン112a〜112dの操作の検知とだけするのではなく、運転者のステアリングホイールから手が離れているかどうかを併せて検知するようにしてもよい。例えば、運転者が表示画面111Dのソフトウエアボタン112a〜112dの操作をするとともに、ステアリングホイールから両手を離したときには、強制自動運転モードに切り替え、ソフトウエアボタン112a〜112dの操作をしても、運転者が少なくとも片手をステアリングホイールから離さないときには、手動運転モードを維持して、強制自動運転モードに切り替えないようにしてもよい。
[第3の実施形態]
この第3の実施形態は、自動運転車の電子制御回路部自身が携帯電話端末の機能を備える場合である。すなわち、この第3の実施形態の自動運転車1Bは、携帯電話の機能を、電子制御回路部10Bが自身の機能として備えている場合である。
図10は、この第3の実施形態の自動運転車1Bの電子制御回路部10Bの構成例を示すブロック図であり、前述した第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図1と図10とを比較することで明白なように、第3の実施形態の自動運転車1Bの電子制御回路部10Bは、第1の実施形態の電子制御回路部10の着信通知検出部116は備えず、その代わりに、携帯電話機能部116Bを備える。そして、携帯電話機能部116Bに対して、ハンズフリー通話のためのマイクロホン124Bとスピーカ125Bとが接続されている。第3の実施形態の自動運転車1Bの電子制御回路部10Bのその他の構成は、第1の実施形態の電子制御回路部10と同様とされている。
携帯電話機能部116Bは、携帯電話端末2の機能を備えるものである。この第3の実施形態は、携帯電話端末2の機能が、電子制御回路部10B内に備えられている点が異なるのみで、前述した第2の実施形態と全く同様の動作をし、同様の作用効果を得ることができる。
また、第2の実施形態の変形例と同様にして第3の実施形態の変形例を構成することができ、同様の作用効果を得ることができる。
なお、携帯電話は自動車電話であってもよい。
[その他の実施形態又は変形例]
なお、上述の実施形態においては、強制自動運転モードから通常自動運転モードに切り替えた後、手動運転モードに切り替えるようにしたが、運転者による携帯機器の機能の利用が終了したら、強制自動運転モードから、直接的に手動運転モードに切り替えるように構成してもよい。
この発明は、普通自動車、軽自動車のみならず、トラック、バス、タクシー、トラクター、ダンプカー、ショベルカー、フォークリフト、また、一人用自動車、自動二輪車などであっても適用できる。
また、上述の実施形態の自動運転車は、電気自動車の場合としたが、ガソリン車、ハイブリッド車、その他の駆動方式の自動車であっても、この発明は適用可能である。