以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、エアバッグ20と、インフレーター14と、取付ブラケット11,16と、エアバッグカバー9と、を備えて構成されている。エアバッグ20は、図1に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。
エアバッグカバー9は、図1,8,9に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁から、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ(車体)1側のインナパネル2における車内側Iに、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ20の車内側を覆って、展開膨張時のエアバッグ20を車内側下方へ突出可能とするために、エアバッグ20に押されて車内側Iに開き可能に、構成されている(図8,9参照)。
インフレーター14は、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ20の後述する接続口部26に挿入させ、接続口部26の外周側に配置されるクランプ15を用いて、エアバッグ20に対して連結されている。また、インフレーター14は、インフレーター14を保持する取付ブラケット16と、取付ブラケット16をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト17と、を利用して、インナパネル2において窓W2の上方となる位置に、取り付けられている(図1参照)。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両Vの図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が、車両Vの側面衝突や斜突、ロールオーバーを検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
各取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、エアバッグ20の後述する各取付片部54(一般取付片部55,端側取付片部56)や取付部60を、表裏から挟むようにして、各取付片部54,取付部60に取り付けられ、ボルト12を利用して、各取付片部54,取付部60を、ボディ1側のインナパネル2に取付固定している(図8,9参照)。
エアバッグ20は、図2〜6に示すように、バッグ本体21と、バッグ本体21の上縁21a側をボディ1側のインナパネル2に固定させる取付片部54と、バッグ本体21の前後方向の一端側(実施形態の場合、前端21c側)から延びて先端58b側をボディ1側のインナパネル2に固定されるテンションクロス58と、を備えている。
バッグ本体21は、図1の二点鎖線及び図7に示すように、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2や、センターピラー部CP及びリヤピラー部RPのピラーガーニッシュ6,7の車内側Iを覆うように構成されるもので、外形形状を、膨張完了時に、窓W1からセンターピラー部CP,窓W2を経て、リヤピラー部RPの前側にかけての車内側を覆い可能に、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされている(図2,6参照)。また、バッグ本体21は、図2,7に示すように、膨張完了時の下縁21bを、窓W1,W2の下縁から構成されるベルトラインBLより下方に位置させるように、上下の幅寸法を設定されている。
実施形態の場合、バッグ本体21は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって、製造されている。バッグ本体21は、図2,4〜6に示すように、膨張完了時に車内側Iに位置する車内側壁部22aと車外側Oに位置する車外側壁部22bとを離隔させるように内部に膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部22と、膨張用ガスを流入させない非流入部42と、を有している。
ガス流入部22は、実施形態の場合、インフレーター14から吐出される膨張用ガスを流入させて膨張する主膨張部24(一次膨張部)と、主膨張部24と連通されて主膨張部24の膨張完了後に膨張を完了させる前側副膨張部30,中央側副膨張部31,後側副膨張部32(二次膨張部)と、主膨張部24と前側副膨張部30,中央側副膨張部31,後側副膨張部32とを連通させる連通部33,34,35,36と、を備えている。そして、実施形態の場合、バッグ本体21は、図2,6に示すように、主膨張部24,前側副膨張部30,中央側副膨張部31,後側副膨張部32を区画する後述する端側区画部44,一般区画部45,46や厚さ規制部48,49,50,51,52の僅かな領域を除いて、略全面にわたって内部に膨張用ガスを流入させて膨張するように、構成されている。
主膨張部24は、ガス案内流路25、接続口部26、前席用保護部27、及び、後席用保護部28を、備えている。
ガス案内流路25は、バッグ本体21の上縁21a側において、前後方向に略沿って延びるように、主膨張部24の領域の前後の略全域にわたって配設されるもので、インフレーター14から吐出される膨張用ガスGを、ガス案内流路25の下方に配置される前席用保護部27及び後席用保護部28に、案内するように構成されている。実施形態の場合、ガス案内流路25の前後の中央よりやや前方にずれた位置(バッグ本体21の前後の略中央となる位置)には、インフレーター14と接続される接続口部26が、ガス案内流路25と連通されて、ガス案内流路25から上方に突出するように、配設されている。実施形態の場合、接続口部26は、ガス案内流路25に対して後上がりに傾斜して形成されて、後端26a側を、インフレーター14を挿入可能に開口させている。そして、接続口部26は、内部にインフレーター14を挿入させた状態で、外周側にクランプ15を嵌めることにより、インフレーター14に連結されることとなる。なお、実施形態のエアバッグ20では、接続口部26からガス案内流路25における接続口部26の直下にかけての部位に、耐熱性を高めるための別体のインナチューブ(図符号省略)が、配設されている(図2,6参照)。
前席用保護部27は、膨張完了時に前席の側方に配置されるもので、側面衝突時においてエアバッグ20が膨張を完了させた際に、前席に着座した乗員の頭部を保護するための部位である。後席用保護部28は、膨張完了時に後席の側方に配置されるもので、側面衝突時においてエアバッグ20が膨張を完了させた際に、後席に着座した乗員の頭部を保護するための部位である。
前側副膨張部30は、主膨張部24(前席用保護部27)の前側に隣接するように、バッグ本体21の前端21c側に配置されるもので、実施形態のバッグ本体21では、前端21c側に配置されるこの前側副膨張部30が、端側膨張部38を構成している。前側副膨張部30は、実施形態の場合、膨張完了形状を、上下方向に略沿った略棒状とされるもので、端側区画部44によって、後側に隣接される前席用保護部27と区画されている。実施形態の場合、前側副膨張部30は、膨張完了時に、ベルトラインBLよりも下方に延びて、下端38b側を、前席用保護部27よりも下方に位置させるように、構成されている。また、この前側副膨張部30は、後上端側に開口される連通部33と、後下端側に開口される連通部34と、により前席用保護部27と連通されている。これらの連通部33,34は、開口幅寸法を小さく設定されて、前側副膨張部30内への膨張用ガスの流入開始を、前席用保護部27よりも遅らせるように、構成されている。
中央側副膨張部31は、実施形態の場合、主膨張部24における前席用保護部27の後側であって、ガス案内流路25の下側の領域に配置されるように、主膨張部24における前席用保護部27に隣接して配置されている。中央側副膨張部31は、実施形態の場合、前席用保護部27の後端側に開口される連通部35により、前席用保護部27と連通されている。この連通部35も、開口幅寸法を小さく設定されており、中央側副膨張部31内への膨張用ガスの流入開始を、前席用保護部27よりも遅らせるように、構成されている。後側副膨張部32は、実施形態の場合、中央側副膨張部31と後席用保護部28との間となるガス案内流路25の下側の領域を埋めるように配置されるもので、主膨張部24における後席用保護部28に隣接して配置されている。後側副膨張部32は、実施形態の場合、後席用保護部28の前端側に開口される連通部36により、後席用保護部28と連通されている。この連通部36も、開口幅寸法を小さく設定されており、後側副膨張部32内への膨張用ガスの流入開始を、後席用保護部28よりも遅らせるように、構成されている。
実施形態のバッグ本体21では、前側副膨張部30が、バッグ本体21の前端21c側に配置される端側膨張部38を構成し、ガス流入部22においてこの端側膨張部38以外の部位が、一般膨張部39を構成している。端側膨張部38は、端側区画部44により、一般膨張部39を構成する前席用保護部27と区画されている。詳細には、端側区画部44は、実施形態の場合、上下方向に略沿って形成されるもので、後述するごとく、周縁部43から分離して、上下方向に略沿うような棒状として構成されており、端側膨張部38は、上端38a側と下端38b側とを連通部33,34を介して前席用保護部27と連通されている。また、この端側膨張部38は、バッグ本体21を平らに展開した状態において、上端38aを、一般膨張部39の上縁と略一致させるように、構成されて、膨張完了時に、上端38a側を、窓W1の前縁側において上下方向に対して後上がりで傾斜して配置されるフロントピラー部FPの車内側に配置させるように、構成されている。具体的には、端側膨張部38は、エアバッグ20の膨張完了時に、上端38a側の部位によって、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ4の後端側の領域の車内側Iを覆うように、配置されることとなる。また、エアバッグ20の膨張完了時には、端側膨張部38は、下端38b側を、ベルトラインBLより下方に突出させて、配置されることとなる(図7,9参照)。
非流入部42は、ガス流入部22の外周縁を構成する周縁部43と、ガス流入部22の領域内に配置される端側区画部44,一般区画部45,46,厚さ規制部48,49,50,51,52と、を備えて構成されている。
周縁部43は、接続口部26の後端26a側を除いて、ガス流入部22の周囲を全周にわたって囲むように、配置されている。
端側区画部44は、前側副膨張部30と前席用保護部27と(端側膨張部38と一般膨張部39と)を区画するように、上下両端側を、周縁部43から分離させて上下方向に略沿って延びるような略棒状として、構成されている。また、端側区画部44は、上端44aを、後述する一般区画部46よりも上方に突出させるように、形成されている。
一般区画部45,46は、一般膨張部39の領域内に配置されて、一般膨張部39を、ガス案内流路25と前席用保護部27と後席用保護部28と中央側副膨張部31と後側副膨張部32と、に区画している。一般区画部45は、中央側副膨張部31と後側副膨張部32とを区画するように、周縁部43の下縁側の部位から上方に延びるような略棒状として配置されている。一般区画部46は、ガス案内流路25の下縁側を構成し、かつ、中央側副膨張部31と後側副膨張部32とを、ガス案内流路25と区画するように、一般区画部45の上端から前後に延びるように、形成されている。一般区画部46の前端側には、前席用保護部27と中央側副膨張部31とを区画して、この領域の厚さを規制するように、下方に向かって湾曲しつつ屈曲される湾曲区画部46aが、配置されている。
厚さ規制部48は、外形形状を扁平な略U字形状として、ガス案内流路25の前端近傍であって、連通部33の後方となる位置に、配置されている。この厚さ規制部48は、主膨張部24の膨張時に、連通部33側(前側副膨張部30側)に多量の膨張用ガスが流れるのを抑制し、かつ、ガス案内流路25と一体的に構成されている前席用保護部27の前上側の部位が厚く膨張することを抑制するために、配置されている。厚さ規制部49は、前席用保護部27の下縁側において、外形形状を略逆J字形状として、周縁部43の下縁側の部位から、前上がりに傾斜しつつ前方に突出するように、形成されている。厚さ規制部50は、中央側副膨張部31の下縁側において、周縁部43の下縁側の部位から上方に突出するように、形成されている。厚さ規制部51は、後側副膨張部32と後席用保護部28との境界部位付近において、周縁部43の下縁側の部位から上方に突出するように、形成されている。厚さ規制部52は、後席用保護部28の領域内において一般区画部46の後方となる位置に、外形形状を、扁平な略逆V字形状として、上端を一般区画部46よりも上方に突出させるようにして、配置されている。そして、実施形態のエアバッグ20では、端側区画部44と周縁部43の上縁側との間の隙間が、連通部33を構成し、端側区画部44と周縁部43の下縁側との間の隙間が、連通部34を構成している。また、一般区画部46における湾曲区画部46aと厚さ規制部50との間の隙間が、連通部35を構成し、一般区画部46の後端側の部位と厚さ規制部51との間の隙間が、連通部36を構成している。
取付片部54は、バッグ本体21の上縁21a側を車両Vのボディ1側のインナパネル2に取り付けるための部位であり、バッグ本体21の上縁21aから上方に突出するようにして、前後方向に沿った複数個所に配置されている。実施形態の場合、取付片部54は、図2に示すように、端側膨張部38(前側副膨張部30)側となる前端側の上縁側に配置される端側取付片部56と、一般膨張部39の上縁側に配置される一般取付片部55と、を備える構成とされている。一般取付片部55は、実施形態の場合、前後方向に沿って4個配置されている。この一般取付片部55は、一般膨張部39の上縁側を窓W1,W2の上縁側に固定させるための部位であり、一般取付片部55のバッグ本体21からの上方への突出量は、エアバッグ20の膨張完了時に、一般取付片部55をルーフヘッドライニング5から下方に露出させず、全体をルーフヘッドライニング5に覆われるような突出量に、設定されている。各一般取付片部55及び端側取付片部56には、取付ボルト12を挿通させるための取付孔55a,56aが、形成されている。一般取付片部55は、実施形態の場合、バッグ本体21と別体として、バッグ本体21と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて、バッグ本体21に縫合糸を用いて縫着されている。
端側取付片部56は、実施形態の場合、後述するごとく、テンションクロス58から延びるように形成されるもので(図3,4,6参照)、端側区画部44における一般膨張部39側の縁部(後縁44b)よりも前方となる位置に、配置されている。具体的には、端側取付片部56は、端側区画部44よりも前端側であって、端側膨張部38の前後の略中央となる位置の上方に、配置されている(図2,3参照)。端側取付片部56は、上端側に、取付孔56aを配置させて、実施形態の場合、上端側をフロントピラー部FPの部位のインナパネル2に固定させる構成とされている。そして、端側取付片部56は、平らに展開した状態でのバッグ本体21からの上方への突出量(バッグ本体21の上縁21aから取付孔56aまでの離隔距離)を、一般取付片部55のバッグ本体21からの上方への突出量(バッグ本体21の上縁21aから取付孔55aまでの離隔距離)よりも、大きく設定されている。実施形態の場合、端側取付片部56は、フロントピラー部FPの上端(後端)近傍の部位に固定されている(図1,7参照)。端側膨張部38は、エアバッグ20の膨張完了時に、図7に示すように、上端38a側をフロントピラーガーニッシュ4から突出させて、フロントピラーガーニッシュ4の車内側Iを覆うように配置される構成であり、端側取付片部56は、エアバッグ20の膨張完了時に、図9に示すように、開いたフロントピラーガーニッシュ4の下縁側の部位(エアバッグカバー9)を迂回するようにして、配置されることとなる。そして、この端側取付片部56は、バッグ本体21からの上方への突出量(長さ寸法)を、端側膨張部38を過度に牽引することなく、端側膨張部38の上端38a側をフロントピラーガーニッシュ4の上端側の部位に支持されるような位置に、配置可能な寸法に、設定されている。実施形態の場合、端側取付片部56の長さ寸法(バッグ本体21の上縁21aから取付孔56aまでの離隔距離)は、一般取付片部55の長さ寸法(バッグ本体21の上縁21aから取付孔55aまでの離隔距離)の4倍程度に、設定されている。
テンションクロス58は、可撓性を有したシート材から構成されるもので、実施形態の場合、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されている。テンションクロス58は、図3〜5に示すように、バッグ本体21の膨張完了時に、端側膨張部38(前側副膨張部30)の車外側に配置されるもので、元部58a側を、端側区画部44に結合されている。実施形態の場合、テンションクロス58は、外形形状を、図3,6に示すように、斜辺を前縁側に位置させるような略台形状として、構成されるもので、上縁をバッグ本体21の上縁と略一致させ、下縁を、端側膨張部38の上下の中央より僅かに上方となる位置に配置させるように、構成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ20では、テンションクロス58は、端側膨張部38の上半分程度の領域の車外側Oを、外形形状を略台形状とした支持部59により、略全面にわたって覆うように、構成されている。また、テンションクロス58の上縁側には、端側取付片部56を構成する略帯状の突出片部61が、上方に突出するように形成されている。この端側取付片部56を構成する突出片部61は、上述した如く、端側膨張部38の前後の略中央となる位置において、上方に突出するように、配置されることとなり、この突出片部61の元部61a側は、縫合糸を用いて、周縁部43における端側膨張部38の上縁側の部位に、縫着(結合)されている(図2〜4参照)。また、テンションクロス58において、下縁から連なるように前方に延びる先端58b側(前端側)には、フロントピラー部FPの部位においてボディ1側のインナパネル2に固定される取付部60が、形成されている。この取付部60は、取付片部54と同様に、取付ブラケット11と取付ボルト12とを用いて、インナパネル2に固定される構成であり(図8参照)、取付ボルト12を挿通可能な取付孔(図符号省略)を備えている。また、テンションクロス58は、元部58a側となる後縁の下端側の部位(実施形態の場合、下半分程度の領域)を、端側区画部44の部位に、縫合糸を用いて縫着されている。
そして、実施形態のエアバッグ20では、車両搭載時における膨張完了時に、前席用保護部27,後席用保護部28,中央側副膨張部31,後側副膨張部32が、それぞれ、非膨張の状態から前後方向の幅寸法を縮めるように膨張することとなり、テンションクロス58の先端58b側に配置される取付部60と、バッグ本体21の後端側に配置される一般取付片部55Rと、の間に、図7に示すごとく、前後方向に略沿うようなテンションTが、発生することとなる。
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明する。予めテンションクロス58を縫着させて、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを重ねて平らに展開した状態のバッグ本体21を、下縁21b側を上縁21a側に接近させるように、テンションクロス58ごと折り畳んで、エアバッグ20を折り畳む。エアバッグ20の折り畳み完了後には、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、エアバッグ20の所定箇所をくるんでおく。
その後、取付ブラケット16を取付済みのインフレーター14を、クランプ15を利用して、エアバッグ20の接続口部26と接続させ、テンションクロス58の取付部60と、端側取付片部56と、各一般取付片部55と、に、取付ブラケット11を固着させて、エアバッグ組付体を形成する。
次いで、取付ブラケット11,16を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させて、ボルト12,17止めし、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を、インフレーター14に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、ピラーガーニッシュ6,7をボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後において、車両Vの側面衝突時、斜突時、もしくは、ロールオーバー時に、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスが、バッグ本体21内に流入して、膨張するバッグ本体21が、図示しないラッピング材を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁から構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線及び図7に示す如く、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。また、このエアバッグ20の膨張完了時に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、テンションクロス58の先端58b側に配置される取付部60と、バッグ本体21の後端側に配置される一般取付片部55Rと、の間、換言すれば、テンションクロス58から一般膨張部39にかけて、前後方向に沿うようなテンションTが発生することから(図7参照)、端側膨張部38は、テンションクロス58によって、車内側Iに押し出されるような態様となり、図8に示すように、前縁38cを車内側Iに向けるように、傾斜しつつ、車内側Iに突出して配置されることとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ20において、端側膨張部38近傍の上縁側に配置される端側取付片部56が、上端側をボディ1側に固定されるとともに、平らに展開した状態のバッグ本体21からの上方への突出量を、一般膨張部39の上縁側を窓W1,W2の上縁側に固定させる一般取付片部55よりも大きく設定されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側膨張部38の近傍部位の上端側をボディ1側に固定させる端側取付片部56が、長さ寸法を大きく設定されていることから、エアバッグ20の展開膨張時に、テンションクロス58によって、前後方向の端縁側となる前縁38cを車内側Iに向けるように押し出される端側膨張部38の展開挙動が、端側取付片部56によって阻害されることなく、端側膨張部38を、上下方向の略全域にわたって、円滑に、車内側に突出させることができる。また、端側膨張部38の上端38a側が、窓W1よりも車内側Iに突出しているフロントピラー部FPのフロントピラーガーニッシュ4の車内側を広く覆う構成であっても、端側取付片部56が、取付孔56a側からエアバッグカバー9の下縁をくぐって連結される端側膨張部38の上端38a側の上方に延びる状態となることから、端側膨張部38の上端38a側を、フロントピラー部FP(フロントピラーガーニッシュ4)の車内側Iを覆うように円滑に配置させることができる。
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ20の膨張完了時に、テンションクロス58によって車外側Oを支持される端側膨張部38の上端38aを、フロントピラー部FPの車内側に円滑に配置されることができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側取付片部56は、長さ寸法を大きく設定されていることから、端側取付片部56をフロントピラー部FPの部位のボディ1側に取り付ける構成であっても、この端側取付片部56によって、フロントピラー部FPの部位において車内側Iに突出するように配置されるフロントピラーガーニッシュ4を迂回させることができて、エアバッグ20の膨張完了時に、テンションクロス58によって車外側Oを支持される端側膨張部38の上端38a側を、フロントピラー部FP(フロントピラーガーニッシュ4)の車内側Iを覆うように支障なく配置させることができる(図9参照)。そのため、斜突時に、車外側斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、膨張を完了させてフロントピラー部FP(フロントピラーガーニッシュ4)に支持させた端側膨張部38によって、的確に保護することができる。また、端側膨張部38は、膨張完了時に、上端38a側を、フロントピラーガーニッシュ4の車内側Iを覆うように配置されるとともに、下端38b側を、ベルトラインBLより下方に位置させるように配置される構成である(図7,9参照)。そのため、端側膨張部38は、車外側斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を受け止めた際に、上端38a側を、フロントピラーガーニッシュ4によって支持させることができ、下端38b側を、ベルトラインBLの下側において窓W1よりも車内側に突出して配置されるドアトリム等の部材によって支持させることができることから、乗員の頭部を的確に拘束することができる。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側膨張部38が、窓W1の前縁側に配置されるフロントピラー部FPの領域に配置される構成とされて、端側膨張部38と一般膨張部39とによって、窓W1の車内側を広く覆うことができる。そのため、車両Vのロールオーバー時にも、車外側Oへ移動する乗員の頭部を、車外側Oへの移動を抑制して、的確に保護することができる。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側膨張部38は、上端38a側を、端側取付片部56によって、ボディ1側に固定されていることから、エアバッグ20の膨張時に、テンションクロス58によって、上下の全域にわたって必要以上に大きく車内側に押し出されることを抑制できる。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側膨張部38を窓W1より車内側に突出しており、かつ、インストルメントパネルに近接して配置されるフロントピラー部FPの車内側で膨張させる構成であっても、膨張する端側膨張部38が、車内側Iにおいて近接した位置で膨張している助手席用のエアバッグや、ステアリングホイール用のエアバッグ等と接触することを、的確に抑制できて、端側膨張部38を、迅速に膨張させることができる。また、端側膨張部38は、上端38a側を、端側取付片部56を利用して、ボディ1側に固定されていることから、膨張完了時に、一般膨張部39よりも下に下がるように移動することを抑制でき、すなわち、フロントピラー部FP直下の窓W1の上縁側を的確に覆うことができる。また、端側膨張部38は、上述したごとく、上端38a側と下端38b側とを、窓W1よりも車内側に突出しているフロントピラーガーニッシュ4とドアトリムとによって支持されることから、車両Vのロールオーバー時にも、車外側Oへ移動する乗員の頭部を、車外側Oへの移動を抑制して、一層的確に保護することができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側取付片部56が、テンションクロス58から延びる突出片部61から構成されて、この突出片部61の元部61a側を、バッグ本体21における端側膨張部38の上縁側に結合させる構成としている。そのため、テンションクロス58が、端側膨張部38の車外側Oを、端側取付片部56を利用して上端38a側にかけて覆うこととなり、テンションクロス58が、エアバッグ20の展開膨張時に、上下に広い範囲で端側膨張部38を車内側Iに押し出すこととなって、端側膨張部38を、一層円滑に車内側Iに突出させることができる。特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、テンションクロス58が外形形状を略台形状として、端側膨張部38の上半分程度の領域の車外側Oを略全面にわたって覆う支持部59を備える構成であることから、エアバッグ20の展開膨張時に、端側膨張部38の上半分程度の領域を略全面にわたって車内側Iに押し出すことができ、端側膨張部38を安定して車内側Iに突出させることができる。なお、端側取付片部を備える構成のテンションクロスの外形形状は、実施形態に限られるものではなく、例えば、ベルト状の部材から、端側取付片部を構成する帯状の部位を上方に延ばすようにして、略L字形状若しくは略T字形状とするように、構成してもよい。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側取付片部56は、端側区画部44よりも前端側となる位置に、配置され、詳細には、端側膨張部38の前後の略中央となる位置に配置される構成である。そのため、端側膨張部38の上端38a側が、必要以上に車内側Iに突出することを的確に抑制できて、端側膨張部38の上端38a側を、安定して、車両Vのボディ1側に固定させることができる。
なお、このような点を考慮しなければ、図10に示すエアバッグ20Aのごとく、端側取付片部56Aを、テンションクロス58Aを端側区画部44Aに結合させる結合部位63の略直上となる位置に配置させる構成としてもよい。図10に示すエアバッグ20Aは、端側膨張部38Aを、後側に配置される端側区画部44Aとともに、前述のバッグ本体21の端側膨張部38及び端側区画部44と比較して、前側に位置させるようにして、前後方向側の幅寸法を若干大きく構成されるバッグ本体21Aと、端側膨張部38Aの前側への移動分前後方向側の幅寸法を小さく設定されるテンションクロス58Aと、バッグ本体21Aの上縁21a側をインナパネル2に固定させる取付片部54Aと、を備える構成であり、形状が若干異なる以外は、バッグ本体21Aとテンションクロス58Aとは、上述のエアバッグ20におけるバッグ本体21及びテンションクロス58と同様の構成である。そのため、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。また、取付片部54Aは、前述のエアバッグ20における取付片部54と同一の構成であり、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。このエアバッグ20Aでは、端側区画部44Aは、端側取付片部56Aの略直下となる位置に、配置されている。また、テンションクロス58Aを端側区画部44Aに結合させる結合部位63は、前述のエアバッグ20と相違して、略二重線状として、端側区画部44Aの後縁44bよりも前側に離隔した位置(詳細には、端側区画部44Aの前後の略中央となる位置)に、形成されている。詳細には、端側取付片部56Aは、後縁を、この結合部位63の略直上に配置させる構成として、端側区画部44Aの一般膨張部39A側の縁部となる後縁44bよりも、前端側に配置させている。このエアバッグ20Aでは、車両搭載時における膨張完了時に、端側区画部44Aは、図11に示すように、フロントピラー部FPに近接して配置されることとなる。このような構成のエアバッグ20Aにおいても、端側取付片部56Aは、エアバッグ20Aの膨張完了時に、端側膨張部38Aを一般膨張部39Aに対して屈曲させる際の起点となる端側区画部44Aの後縁44bよりも、前端側に配置されることから、端側膨張部38Aの上端38a側の車内側への過度の突出を抑制することができる。
なお、端側膨張部38の上端38a側の車内側への突出を適度に抑制可能な構成であれば、図21に示すエアバッグ20Gのごとく、テンションクロス58Gに形成される端側取付片部56G(突出片部61G)を、端側膨張部38近傍であれば、端側区画部44よりも僅かに後側となる位置に、配設させる構成としてもよい。このエアバッグ20Gでは、端側取付片部56G(突出片部61G)は、詳細な図示を省略するが、後述するエアバッグ20Hと同様に、窓の上縁側におけるフロントピラー部に連なるルーフサイドレール部の領域のインナパネルに固定される構成である。このような構成のエアバッグ20Gでは、エアバッグ20Gを折り畳んで収納させる際に、例えば、バッグ本体21を平らに展開した状態から、端側膨張部38を、端側区画部44付近の部位で、一般膨張部39側に折り返した状態で、下縁側を上縁側に接近させるように折り畳めば、端側膨張部38を含んで略棒状に折り畳まれたバッグ本体21をフロントピラー部から離れて前後方向に沿って配置されるルーフサイドレール部の領域のみに収納させることができる。このようにエアバッグ20Gを折り畳む場合、換言すれば、前後方向に対して傾斜して配置されるフロントピラー部の領域には、折り畳まれたバッグ本体21は収納されず、テンションクロス58Gのみが収納されることから、フロントピラー部の内部領域が狭い場合にも、円滑に収納させることができる。また、略棒状に折り畳まれたバッグ本体21も、略直線状のルーフサイドレール部の領域に収納させやすいことから、ボディ側への組付作業も効率的に行うことができる。
また、図12,13に示すように、端側取付片部56Bをテンションクロス65と別体とした構成のエアバッグ20Bを、使用してもよい。エアバッグ20Bでは端側取付片部56Bは、他の一般取付片部55Bと同様に、テンションクロス65ともバッグ本体21Bとも別体として、構成されている。この端側取付片部56Bは、テンションクロス65と別体とされる以外は、前述のエアバッグ20における端側取付片部56と略同一の構成とされ、バッグ本体21Bの上縁21aからの上方への突出量や、端側区画部44Bに対する配置位置も、前述のエアバッグ20における端側取付片部56と略同一に設定されている。バッグ本体21B及び取付片部54B(一般取付片部55B)は、前述のエアバッグ20におけるバッグ本体21及び取付片部54(一般取付片部55)と同一の構成であり、同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。
テンションクロス65は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて、端側膨張部38Bの車外側に配置されるもので、元部65a側において上下方向に略沿った帯状として形成される取付基部66と、取付基部66の上下の中央よりやや上側となる位置から前方に突出するように前後方向に略沿って延びるベルト部67と、を備える構成とされて、外形形状を略T字形状とされている(図13参照)。テンションクロス65の先端65b側となるベルト部67の前端側には、ボディ1側のインナパネル2に固定される取付部68が、形成されている。元部65a側の取付基部66は、端側区画部44Bに結合される部位であり、実施形態の場合、長さ寸法を、端側区画部44Bの長さ寸法よりも若干小さく設定されて、上下の全域にわたって、縫合糸を用いて、端側区画部44Bに縫着されている。取付基部66を端側区画部44Bに結合させる結合部位70は、外形形状を、取付基部66と略相似形とした長円状とされている。すなわち、取付基部66は、略全面にわたって、端側区画部44Bに結合されている。
このような構成のエアバッグ20Bでは、端側取付片部56Bが、テンションクロス65と別体とされていることから、前述のエアバッグ20のごとく、端側取付片部56をテンションクロス58と一体に形成する場合と比較して、基材の使用量を低減させることができて、軽量化や装置自体のコンパクト化を図ることが可能となる。また、このエアバッグ20Bにおいても、端側取付片部56Bは、端側区画部44Bよりも前端側となる位置である端側膨張部38Bの前後の略中央となる位置に配置される構成である。そのため、膨張完了時に、端側膨張部38Bの上端38a側を、必要以上に車内側に突出することを抑制できて、端側膨張部38Bの上端38a側を、安定して、車両Vのボディ1側に固定させることができる。さらに、エアバッグ20Bでは、テンションクロス65は、元部65a側の取付基部66を上下に広い範囲(端側区画部44Bの上下の略全域)にわたって、端側区画部44Bに結合されていることから、エアバッグ20Bの展開膨張時に、端側区画部44Bを上下に広い範囲で、ベルト部67によって牽引するような態様となり、膨張完了時に、テンションクロス65の先端65b側の取付部68と、バッグ本体21Bの後端側に配置される図示しない一般取付片部と、の間に大きなテンションを発生させることが可能となり、側面衝突時における乗員頭部の拘束性能を一層向上させることができる。
また、端側取付片部をテンションクロスと別体とする構成の変形例として、図14,15に示すエアバッグ20Cのようなテンションクロス73を、用いてもよい。このエアバッグ20Cでは、テンションクロス73以外は、上述のエアバッグ20Bと同一の構成であることから、同一の部材には同一の図符号を付して、詳細な説明を省略する。テンションクロス73は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて、端側膨張部38(前側副膨張部30)の車外側に配置されるもので、前後方向に略沿って配置されるベルト部75と、ベルト部75の元部側から上下に分岐して先端側を拡開させるように延びる取付基部74と、を備えて、外形形状を略Y字形状とされている(図15参照)。そして、テンションクロス73は、元部73a側となる取付基部74の端部74a,74bを、それぞれ、端側区画部44Bの上端側と下端側とに、縫合糸を用いて縫着(結合)させる構成とされている。また、テンションクロス73の先端73b側となるベルト部75の前端側には、ボディ1側のインナパネル2に固定される取付部76が、形成されている。このようなテンションクロス73を使用した場合にも、テンションクロス73は、元部73a側の取付基部74を上下に離れた位置(端側区画部44Bの上端側と下端側との部位)において、端側区画部44Bに結合されていることから、エアバッグ20Cの展開膨張時に、端側区画部44Bを上下に広い範囲で、ベルト部75によって牽引するような態様となり、膨張完了時に、テンションクロス73の先端73b側の取付部76と、バッグ本体21Bの後端側に配置される図示しない一般取付片部と、の間に大きなテンションを発生させることが可能となり、側面衝突時における乗員頭部の拘束性能を一層向上させることができる。
さらに、図16に示すエアバッグ20Dのごとく、テンションクロス65Dと別体とされる端側取付片部56Bを、テンションクロス65Dを端側区画部44Aに結合させる結合部位78の略直上となる位置に配置させる構成としてもよい。図16に示すエアバッグ20Dは、バッグ本体21Aと、テンションクロス65Dと、バッグ本体21Aの上縁21a側をインナパネル2に固定させる取付片部54Bと、を備える構成である。バッグ本体21Aは、上述のエアバッグ20Aにおけるバッグ本体21Aと同一の構成であり、同一の部材には同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。テンションクロス65Dは、バッグ本体21Aにおける端側膨張部38Aの前側への移動分、前後方向側の幅寸法を小さく設定される以外は、上述のエアバッグ20Bにおけるテンションクロス65と同様の構成であり、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「D」を付して、詳細な説明を省略する。また、取付片部54Bは、前述のエアバッグ20Bにおける取付片部54Bと同一の構成であり、同一の図符号を付して、詳細な説明を省略する。このエアバッグ20Dでは、端側区画部44Aは、端側取付片部56Bの略直下となる位置に、配置されている。また、テンションクロス65Dを端側区画部44Aに結合させる結合部位78は、前述のエアバッグ20Bの結合部位70と相違して、略二重線状として、端側区画部44Aの後縁44bよりも前側に離隔した位置(詳細には、端側区画部44Aの前後の略中央となる位置)に、形成されている。詳細には、端側取付片部56Bは、後縁を、この結合部位78の略直上に配置される構成として、端側区画部44Aの一般膨張部39A側の縁部となる後縁44bよりも、前端側に配置されている。このような構成のエアバッグ20Dにおいても、端側取付片部56Bが、テンションクロス65Dと別体とされていることから、基材の使用量を低減させることができて、軽量化や装置自体のコンパクト化を図ることが可能となる。また、エアバッグ20Dにおいても、端側取付片部56Bは、エアバッグ20Dの膨張完了時に、端側膨張部38Aを一般膨張部39Aに対して屈曲させる際の起点となる端側区画部44Aの後縁44bよりも、前端側に配置されることから、端側膨張部38Aの上端38a側の車内側への過度の突出を抑制することができる。
なお、端側膨張部38の上端38a側の車内側への突出を適度に抑制可能な構成であれば、端側取付片部をテンションクロスと別体とする場合にも、図22に示すエアバッグ20Hのごとく、端側取付片部56Hを、端側膨張部38近傍であれば、端側区画部44よりも僅かに後側となる位置に、配設させる構成としてもよい。このエアバッグ20Hでは図23のBに示すように、端側取付片部56Hは、窓W1の上縁側におけるフロントピラー部FPに連なるルーフサイドレール部RRの領域のインナパネル2に固定される構成である。このような構成のエアバッグ20Hでは、折り畳み収納時に、バッグ本体21を平らに展開した状態から、端側膨張部38を、端側区画部44付近の部位で、一般膨張部39側に折り返した状態で、下縁側を上縁側に接近させるように折り畳むことが可能となり、端側膨張部38を含んで略棒状に折り畳まれたバッグ本体21を、図23のAに示すように、フロントピラー部FPから離れて前後方向に沿って配置されるルーフサイドレール部RRの領域のみに収納させることができる。換言すれば、前後方向に対して傾斜して配置されるフロントピラー部FPの領域には、折り畳まれたバッグ本体21は収納されず、テンションクロス65のみが収納されることから(図23のA参照)、フロントピラー部FPの内部領域が狭い場合にも、円滑に収納させることができる。また、略棒状に折り畳まれたバッグ本体21も、略直線状のルーフサイドレール部RRの領域に収納させやすいことから、ボディ1側への組付作業も効率的に行うことができる。
さらにまた、エアバッグ20Eとして、図17,18に示すごとく、バッグ本体21Eにおける周縁部43Aの前縁側の部位(端側膨張部38Eの前縁側の部位)に、テンションクロス58を挿通させるためのスリット80を形成し、このスリット80に、テンションクロス58を挿通させる構成としてもよい。エアバッグ20Eをこのような構成とすれば、バッグ本体21Eとテンションクロス58とを一体的に折り畳むエアバッグ20Eの折り畳み作業時に、テンションクロス58のバッグ本体21Eに対する位置を、スリット80の縁を利用して固定することができる。そのため、バッグ本体21Eを、テンションクロス58ごと、下縁側からロール折りして折り畳む際等の、エアバッグ20Eの折り畳み作業性が良好となる。
さらにまた、エアバッグ20Fとして、図19,20に示す構成のものを、使用してもよい。図19,20に示すエアバッグ20Fは、バッグ本体21とテンションクロス82とを備える構成であり、バッグ本体21は、上述のエアバッグ20におけるバッグ本体21と同一の構成である。そのため、同一の部材には、同一の図符号を付して、詳細な説明を省略する。
テンションクロス82は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されるもので、前述のエアバッグ20におけるテンションクロス58と、支持部59の外形形状を異ならせる以外は、同様の構成とされており、支持部83と、先端82b側に形成される取付部84と、端側取付片部56を構成する突出片部85と、を備える構成とされている。突出片部85の元部85a側は、前述のエアバッグ20におけるテンションクロス58と同様に、バッグ本体21における端側膨張部38の上縁側の部位に、縫着されている。テンションクロス82は、端側膨張部38の車外側Oを覆う支持部83を、外形形状を略三角形状として、後方側に突出しつつ下方に延びるように配置される下端83a側を、端側区画部44に結合される元部82aとして、端側区画部44の下端44c近傍となる位置に、結合させている構成である。すなわち、このテンションクロス82の支持部83は、取付部84よりも下方に大きく突出するように形成されており、膨張完了時に、端側膨張部38において最も厚く膨張している上下の中央付近の部位38dの車外側Oを支持することができる。そのため、このような構成のテンションクロス82を使用したエアバッグ20Fでは、エアバッグ20Fの展開膨張時に、端側膨張部38における上下に広い領域を、車内側Iに円滑に押し出すことができる。また、テンションクロス82の支持部83は、膨張完了時の端側膨張部38において最も厚く膨張している部位である上下の中央付近の部位38dの車外側Oを広く覆っていることから、膨張を完了させた端側膨張部38の車外側Oを、安定して支持することができて、斜突時やロールオーバー時に、乗員の頭部を、端側膨張部38によって、一層的確に保護することができる。
なお、実施形態では、端側膨張部を、バッグ本体の前端側に配置させる構成のエアバッグを例に採り説明しているが、端側膨張部の配置位置は実施形態に限られるものではなく、端側膨張部を、バッグ本体の後端側に配置させる構成としてもよい。また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、端側取付片部56は、上端側をフロントピラー部FPの部位におけるボディ1側のインナパネル2に固定される構成であるが、端側取付片部の固定位置は、実施形態に限られるものではなく、端側膨張部が膨張完了時に上端側をピラー部の車内側を覆うように配置される構成であれば、端側取付片部を、フロントピラー部とルーフサイドレール部との境界部位、あるいは、ルーフサイドレール部におけるフロントピラー部近傍の部位のボディ側に固定させる構成としてもよい。
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、端側取付部のバッグ本体からの上方への突出量(上下方向側の長さ寸法)と、テンションベルトの前後方向側の長さ寸法と、を変更することにより、膨張完了時のエアバッグにおける端側膨張部の車内側への突出量(上下方向側から見た端側膨張部の前後方向に対する傾斜角度)を、調整することができる。具体的には、エアバッグの膨張完了時の端側膨張部の前後方向に対する傾斜角度(前端側の車内側への突出量)は、端側取付部の上方への突出量(上下方向側の長さ寸法)に起因するものであり、端側取付部の上方への突出量を小さくすれば、端側膨張部の前後方向に対する傾斜角度も小さくなり、端側膨張部の車内側への突出量も、小さくなる。そして、さらに、テンションベルトの前後方向側の長さ寸法を大きくすれば、テンションクロスによる端側膨張部への車内側への押出量を小さくすることができる。すなわち、実施形態では、端側取付部の上方への突出量とテンションベルトの前後方向の長さ寸法とを変更することにより、バッグ本体の外形形状を変更しなくとも、膨張完了時のエアバッグにおける端側膨張部の車内側への突出量を調整することができる。
そのため、例えば、助手席側に配置される頭部保護エアバッグ装置と、運転席側に配置される頭部保護エアバッグ装置と、を、同じバッグ本体を使用して、端側取付部とテンションクロスとの形状(長さ寸法)を変更する構成としてもよい。通常、助手席前方に配置される助手席用エアバッグ装置のエアバッグは、膨張完了時に、運転席前方に配置されるステアリングホイール用エアバッグ装置のエアバッグよりも、車外側の窓側に大きく突出するように膨張する構成であることから、助手席側に配置されるエアバッグの端側膨張部の車内側への突出量を、運転席側に配置されるエアバッグの端側膨張部の車内側への突出量よりも小さくするように設定することもできる。勿論、このような端側膨張部の車内側への突出量の調整は、車内側において近接した位置で膨張する助手席用のエアバッグやステアリングホイール用のエアバッグの膨張完了時の外形形状に応じて、適宜設定することも可能である。