JP6480349B2 - 血液でのegfr変異の検査 - Google Patents

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Description

被験対象の固形腫瘍がん(例えばNSCLC)の状態を評価する改善された方法として、被験対象の血液中で例えばEGFR核酸配列中の腫瘍関連変異を検出することを含む方法を提供する。本発明はさらに、ある非小細胞肺がん(NSCLC)患者が標的化薬剤治療の候補であると同定する方法を提供するものであり、この方法は、その患者からの血液中で1つ以上の変異した上皮増殖因子受容体(EGFR)配列の存在または不在を検出し;そのNSCLC患者の転移状態をM1aまたはM1bと評価し;その患者の血液中でその1つ以上の変異したEGFR配列のうちの少なくとも1つの存在が検出されることと、その患者のNSCLCの転移状態とに基づき、その患者を標的化薬剤治療の候補であると同定することを含んでいる。
さまざまな細胞増殖経路に影響を与える生殖細胞と体細胞の変異は、患者の体内でのがんの発達に影響を与える可能性がある。例えば、体細胞変異として、そのような変異を処理する細胞の増殖を有利にする体細胞変異が生じることは、がん性腫瘍の発生と進展にとって重要な因子であると見なされている。そのような変異が多数同定されたため、変異した遺伝子によってコードされるタンパク質を標的とする療法のほか、それら変異した遺伝子が関与するシグナル伝達経路を標的とする治療法が開発された。これら標的治療が臨床で実践されるにつれて、標的治療に耐性を与える変異が患者のがん性腫瘍の中で発達して蓄積してゆき、時間が経過するとその療法は有効でなくなるため、治療のクールを変更する必要があることが見いだされた。
体細胞腫瘍変異が重要な役割を果たすことが知られている固形腫瘍がんの一例は、肺がんである。肺がんは、アメリカ合衆国を含む多くの国においてがん関連死の主要な一因である。肺がんの約75%が非小細胞肺がん(NSCLC)に属しており、全5年生存率は約12%である。NSCLCの分野では、標準的外科治療のほか、化学療法と放射線療法が利用できる。しかしNSCLCの大半は手術不能な後期段階で初めて診断されており、しかも外科手術、化学療法、放射線療法や、これら以外の治療の後に再発することが一般的である。したがってNSCLCの治療と診断は、医療における挑戦しがいのある課題である。この課題に取り組むための1つの試みが、上皮増殖因子受容体(EGFR)のシグナル伝達を妨げる標的化薬剤治療の開発であった。EGFRは、チロシンキナーゼの増殖因子受容体ファミリーの一員であり、細胞***に関係するシグナル伝達経路に関与しており、NSCLCの発達と進行に関係する。
EGFRのチロシンキナーゼ活性を抑制する小分子薬であるエルロチニブとゲフィチニブは、後期段階のNSCLCの治療に関して評価されて認可された。しかしこれらの薬は大半のNSCLC患者では有効でなく、EGFRのチロシンキナーゼ活性の増加につながる体細胞EGFR変異が含まれた腫瘍を持つ一部の患者において非常に有効であることが見いだされた。このタイプの変異は、しばしば“活性化型”(activating)と呼ばれる。NSCLC患者でチロシンキナーゼ阻害剤療法への耐性につながる体細胞EGFR変異も発見された。このタイプの変異は、しばしば“耐性型”(resistance)と呼ばれる。EGFRにおける耐性変異は、NSCLC患者においてチロシンキナーゼ阻害剤療法のクールの間に生じる傾向がある。チロシンキナーゼ阻害剤療法(例えばエルロチニブとゲフィチニブ)によって効果的に治療することのできないNSCLCの場合には、化学療法や、おそらくは他の標的治療を利用して生存期間を延ばすことができる可能性がある。NSCLC患者にとって有効な治療法を選択する機会を増やすためには、患者のNSCLC腫瘍が、チロシンキナーゼ阻害剤療法に感受性または耐性を与える体細胞EGFR変異を含んでいるかどうかを明らかにすることが重要である。
発明の概要
本明細書に記載するのは、固形腫瘍がんを有する被験対象の状態を評価する改善された方法であり、この方法は、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中で1つ以上の腫瘍核酸変異の存在または不在を検出し;その1つ以上の腫瘍核酸変異の存在または不在の検出結果に基づき、固形腫瘍がんを有するその被験対象の状態を評価することを含んでいる。改善されたこの方法は、固形腫瘍がんを有する被験対象から得られた血液サンプルに対して、または血液サンプルから単離された全ゲノムDNAに対して定量リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することによってその1つ以上の腫瘍核酸変異を検出することを含むことができる。本明細書には、固形腫瘍がんを有する被験対象から得られた血液サンプル中で腫瘍変異の存在または不在を検出する改善された方法も記載してあり、この方法は、変異した核酸配列に特異的なプライマーを用いて血液サンプルに対して定量リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施してPCRサイクル閾値を生成させることを含んでいる。本明細書に記載した改善された方法のいくつかの実施態様では、固形腫瘍がんを有する被験対象の転移状態を考慮して、その被験対象から取得した血液サンプルに含まれる変異した腫瘍核酸配列の検出感度を向上させる。別のいくつかの実施態様では、固形腫瘍がんを有する被験対象から取得した血液サンプル中での1つ以上の腫瘍核酸変異の存在または不在の検出は、血液中を循環している変異した配列の量を測定し、検出されたその量に基づき、被験対象のがんの状態をモニターすることを含んでいる。
本明細書に記載するのは、遠隔転移NSCLCを有する被験対象を評価する方法であり、この方法は、遠隔転移段階のNSCLCを有する被験対象からの血液中で1つ以上のEGFR変異核酸配列の存在または不在を検出し;その1つ以上のEGFR変異核酸配列の存在または不在の検出結果に基づき、遠隔転移段階のNSCLCを有する被験対象の状態を評価することを含んでいる。本明細書には、NSCLCを有する被験対象の状態を評価する方法も記載してあり、この方法は、被験対象の血液中で1つ以上のEGFR変異核酸配列の存在または不在を検出し;その1つ以上のEGFR変異核酸配列の存在または不在の検出結果に基づき、被験対象の状態を評価することを含んでいる。本明細書には、あるNSCLC患者が標的化薬剤治療の候補であると同定する方法も記載してあり、この方法は、患者からの血液中で1つ以上の変異したEGFR配列の存在または不在を検出し;そのNSCLC患者の状態をM1aまたはM1bと評価し;その患者の血液中でその1つ以上の変異したEGFR配列のうちの少なくとも1つの存在が検出されることと、その患者のNSCLCの転移状態とに基づき、その患者を標的化薬剤治療の候補と同定することを含んでいる。本明細書には、固形腫瘍がんを有する被験対象の状態を評価する方法も開示してあり、この方法は、固形腫瘍がんを有する被験対象からの血液中で1つ以上の変異した腫瘍関連核酸配列の存在または不在を検出し;その1つ以上の変異した腫瘍関連核酸配列の存在または不在の検出結果に基づき、遠隔転移固形腫瘍がんを有する被験対象の状態を評価することを含んでいる。さらに、本明細書には、血液サンプル中で腫瘍関連核酸配列の存在または不在を検出する方法も開示してあり、この方法は、変異した核酸配列に特異的なプライマーを用いて血液サンプルに対して定量リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施してPCRサイクル閾値を生成させ;そのサイクル閾値を、サンプル中のゲノムDNAの濃度を考慮した対照値と比較することを含んでいて、そのサイクル閾値が対照値よりも小さい場合には、サンプル中に腫瘍関連核酸配列が存在し、そのサイクル閾値が対照値よりも大きい場合には、サンプル中に腫瘍関連核酸配列が不在である。固形腫瘍がん(例えばNSCLC)を有する患者または被験対象を治療する方法も想定されており、本明細書に記載した方法の範囲に含まれる。
本発明の実施態様のいくつかの例は、固形腫瘍がんを有するヒト被験対象の状態を評価する方法であり、この方法は、固形腫瘍がんを持っていて1サイクルのがん療法を終えた被験対象から取得したサンプル中の核酸配列中の1つ以上のがん関連体細胞変異の量を定量することを含んでいる。上記の方法のいくつかの実施態様では、がん療法は、化学療法とチロシンキナーゼ阻害剤投与のうちの1つ以上を含んでいる。いくつかの例では、チロシンキナーゼ阻害剤は、エルロチニブまたはゲフィチニブである。本発明の実施態様の別のいくつかの例は、固形腫瘍がんを有するヒト被験対象の状態を評価する方法であり、この方法は、固形腫瘍がんを有する被験対象ががん療法を受ける前に、その被験対象から取得したサンプル中の核酸配列中の1つ以上のがん関連体細胞変異の量を定量することを含んでいる。本発明の方法の実施態様では、これらの例と他の例を組み合わせることができる。上記の方法のいくつかの実施態様はさらに、サンプルの中にある核酸中のその1つ以上のがん関連体細胞変異の量に基づき、被験対象における固形腫瘍がんの転帰を評価することを含んでいる。この結果として、全生存または無増悪生存が可能である。上記の方法のさらに別のいくつかの実施態様では、がん関連体細胞変異の量が閾値レベルよりも上であり、この方法はさらに、被験対象の追加治療を含んでいる。追加治療には、外科手術、化学療法、標的化薬剤治療や、これらの任意の組み合わせを含めることができる。例えば追加治療には、被験対象への化学療法薬の投与を含めることができる。本明細書に記載した方法のどれかの実施態様、またはすべての実施態様において、サンプルとして血漿サンプルが可能である。本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様によれば、核酸配列中の上記1つ以上のがん関連体細胞変異は、活性化変異を含んでいる。本明細書で議論した方法の別のいくつかの実施態様によれば、核酸配列中の上記1つ以上のがん関連体細胞変異は、耐性変異を含んでいる。本明細書に記載した本発明のいくつかの実施態様は、被験対象における固形腫瘍がんをモニターすることが評価に含まれる方法である。本明細書で議論した本発明のいくつかの実施態様は、サンプルに含まれる核酸中の上記1つ以上のがん関連体細胞変異の量が閾値を超えている場合に、被験対象に標的化薬剤治療を実施することが評価に含まれる方法である。そのような実施態様のいくつかの例では、核酸中の上記1つ以上のがん関連体細胞変異は活性化変異であり、標的化薬剤治療はチロシンキナーゼ阻害剤である。上記の実施態様の別のいくつかの例では、核酸中の上記1つ以上のがん関連体細胞変異の量の増加が検出された場合に、被験対象に実施する標的化薬剤治療の薬剤用量を増やすことがさらに評価に含まれる。本明細書に記載した方法のどれかの実施態様、またはすべての実施態様において、検出に、定量リアルタイム・ポリメラーゼ連鎖反応の実施を含めることができる。本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様は、被験対象に診断手続きを実施することをさらに含んでいる。診断手続きの一例は、放射線医学的評価である。本明細書に記載した方法の実施態様では、核酸中の1つ以上のがん関連体細胞変異の量の定量は、EGFR配列、KRAS配列、ALK配列、ALK融合配列、ROS1配列、ROS1融合配列、c-MET配列、PIK3CA配列、NRF2配列、FGFR1-3配列、AKT1配列、AKT1融合配列、BRAF配列、V600E置換を含む配列、NRAS配列、TMPRSS2:ERG融合配列、SPOP配列、RET配列、RET融合配列、PPAR-γ配列、PPAR-γ融合配列、IDH-1配列、IDH-2配列、FGFR3配列からなるグループから選択した核酸配列で実施することができる。本明細書に記載した方法の一実施態様では、上記1つ以上のがん関連体細胞変異は、EGFR核酸配列中の1つ以上の体細胞変異である。本明細書に記載した方法の別の一実施態様では、固形腫瘍がんは肺がんである。本明細書に記載した方法のさらに別の一実施態様では、固形腫瘍がんはNSCLCであり、核酸配列はEGFR配列である。いくつかの例では、EGFR核酸配列中の上記1つ以上の体細胞変異は、イン-フレーム・エキソン19欠失、L858R、L861Q、G719X、T790M、S678I、イン-フレーム・エキソン20挿入からなるグループから選択される。
定義
本明細書で用いる“被験対象 (subject)”という用語は、一般に、固形腫瘍がん(例えばNSCLC)を有する被験対象(例えばヒトだが、それに限定されない)を意味する。固形腫瘍がんを有する被験対象として、既知のがんを有する患者が可能であることを理解されたい。既知のがんとは、本発明の方法の実施態様を実施する前に検出されたがんを意味する。がん患者として、再発がん患者が可能である。例えば、NSCLCを有する患者として、本発明の方法の実施態様を実施する前にNSCLCが検出された患者が可能である。NSCLC患者として、再発患者が可能である。
“再発した (recurrent)”、“再発 (recurrence)”、“再発した (relapsed)”、“再発 (relapse)”、という用語ならびにその関連用語は、治療後に再び出現したがんと、がんの再現を経験している患者を表わすのに用いる。
“固形腫瘍がん (solid tumor cancer)”という用語は、本明細書では、組織や臓器にがん性腫瘍や異常に増殖している凝集性の塊が形成されることを特徴とするがんを表わすのに用いる。固形腫瘍がんによって形成されるいくつかの腫瘍としてシストが可能であり、これは、組織で体液が充満した袋を意味することを理解されたい。“固形腫瘍がん”という用語は、本明細書では、腫瘍形成がんを、いわゆる血液がん、すなわち造血(血液形成)細胞から形成されて、血液、骨髄、リンパ節に影響を与える血液悪性腫瘍と区別するために用いる。固形腫瘍がんの例は、癌腫、すなわち上皮細胞に由来するがん、肉腫、すなわち結合組織から生じるがん、生殖細胞腫瘍(例えばセミノーマ、未分化胚細胞腫)、芽細胞腫、すなわち前駆細胞または胚性組織に由来するがんである。固形腫瘍がんの非限定的ないくつかの例は、肺がん、乳がん、結直腸がん、前立腺がん、甲状腺がん、脳腫瘍(例えば多形グリア芽細胞腫)、膀胱がんである。血液悪性腫瘍の例は、リンパ腫、白血病、骨髄腫、脊髄異形成症候群、骨髄増殖病である。
“療法 (therapy)”という用語は、本明細書では、“治療 (treatment)”という用語の同義語として用いる。本明細書で用いる“がん療法 (cancer therapy)”という用語は、さまざまなタイプのがん療法またはがん治療を包含しており、その中には、外科手術、放射線療法、化学療法、標的化薬剤治療が含まれる。療法には、1種類以上の療法が含まれていてもよい。療法には、例えば化学療法と標的化薬剤治療の組み合わせが含まれていてもよい。“療法 (therapy)”と“治療 (treatment)”という用語は、“サイクル (cycle)”または“期間 (period)”という用語と組み合わせて用いることができる。ある療法または治療は、所定の期間に1回以上実施した後、治療または療法を実施しない期間を持つことができる。1つの治療サイクルは、数日または数週間(一例では4週間)続けることができる。1サイクル以上の療法または治療を実施することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10サイクルいずれかの療法または治療を実施することができる。療法は、異なるサイクルにおいて同じにしても変えてもよい。例えば、療法のタイプおよび/または用量をサイクルごとに変えることができる。1つの療法サイクル中は、さまざまな療法の実施を、一日だけで、または連続した数日間で、または外来患者または入院患者として継続的に行なうことができる。1つの療法は、具体的なプロトコルに応じ、数分間、または数時間、または数日続けることができる。療法サイクルは、毎週、または二週間ごとに、または毎月、繰り返すことができる。1つの療法サイクルは、1つ以上の療法セッションを含むことができる。例えば1つの療法サイクルは、一ヶ月の期間内に1サイクルとして分類される二週間ごとの2回の化学療法セッションと定義することができる。1つ以上の療法サイクルをまとめて1“クール”の療法と呼ぶことができる。
“標的治療”または“標的化薬剤治療 (targeted drug therapy)”は、化学療法でやるように急速に***しているあらゆる細胞に単純に干渉するのではなく、癌発生と腫瘍増殖に必要な特定の分子に干渉することによってがん細胞の増殖に干渉する薬剤治療を意味する。標的化薬剤治療の一例はチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法であり、この療法では、ある種のがんで細胞の増殖を促進するチロシンキナーゼの活性を抑制するために可逆的なチロシンキナーゼ阻害剤を用いる。例えば、エルロチニブ(タルセバ(登録商標)としても知られる)またはゲフィチニブ(イレッサ(登録商標)としても知られる)は、EGFRのチロシンキナーゼ活性を標的としており、NSCLCのための標的治療として用いられている。標的治療の別の一例は、悪性リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤療法である。
本明細書で用いる“標的化薬剤治療”という用語は、上記の療法に限定されず、特定の標的に干渉するあらゆる薬剤治療(例えばEGFRシグナル伝達に干渉する療法)を包含する。標的化薬剤治療には、可逆的チロシンキナーゼ阻害剤療法、不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤療法、抗体療法や、任意の形態の小分子、大分子、核酸いずれかに基づく療法(例えば遺伝子療法や小さな干渉性RNA療法)が含まれるが、これらに限定されない。
“腫瘍関連変異 (tumor-associated mutation)”という用語は、本明細書では、核酸配列中にあって被験対象で固形腫瘍がんの発達に影響を与える変異を表わすのに用いる。例えば、ある腫瘍関連変異は、細胞増殖を活性化することができるため、悪性腫瘍の出現、または腫瘍増殖の推進につながる。ある腫瘍関連変異は、転移として知られているように、腫瘍に、被験対象の身体全体に広がりやすくする性質を与える可能性がある。ある腫瘍関連変異は、がん療法に対するがんの感受性または耐性と関連づけることもできる。“腫瘍関連”という用語は、“腫瘍関連変異がある核酸配列”という表現におけるように、1つ以上の腫瘍関連変異を含む核酸または核酸配列に関して用いることができる。“がん関連変異 (cancer-associated mutation)”という用語は、“核酸配列中のがん関連体細胞変異”という表現におけるように、例えばそのような変異を含む核酸または核酸配列に関して“腫瘍関連変異”という用語と同じ意味で用いることができる。腫瘍関連変異またはがん関連変異は、無細胞核酸のほか、さまざまなタイプの細胞(腫瘍細胞、転移細胞、浸潤細胞が含まれるが、これらに限定されない)内の核酸で見いだしうることを理解されたい。腫瘍関連変異またはがん関連変異として、体細胞変異が可能である。
“評価する (assess)”、“評価 (assessment)” 、“評価すること (assessing)”という用語ならびに関連用語は、本明細書では、がん、またはがんの状態、またはがんを有する被験対象の状態に関連して用いるか、他のいくつかの文脈で用いる。これらの用語は、被験対象の血液中での変異した核酸配列の存在または不在の検出に基づいたがん性腫瘍中のがん関連変異の存在または不在の推定を意味することができるが、それに限定されない。“評価する”、“評価”、“評価すること”という用語ならびに関連用語は、文脈に応じ、被験対象の腫瘍中のがん関連変異の存在または不在を評価することに関連した任意の追加診断手続きを推奨または実行することや、被験対象の腫瘍のための治療の潜在的な有効性を評価することのほか、そのような治療を推奨または実行すること、被験対象の腫瘍や、がんの治療または診断に関係する他の任意のステップまたはプロセスをモニターすることも包含できる。例えば、被験対象における癌の予後を評価すること、またはがん被験対象の予後を評価することは、“評価する”、“評価”、“評価すること”という用語ならびに関連用語の範囲に入る。これらの用語は、被験対象の腫瘍でのがん関連変異の検出結果に基づき治療または診断手続きを推奨すること、または推奨しないこと、実施すること、または実施しないことのほか、緩和ケアまたはホスピス・ケアを推奨すること、または推奨しないこと、実施すること、または実施しないことも包含する。
“予後 (prognosis)”、“予後判定 (prognostication)”、“予後の (prognostic)”、“予測 (prediction)”、“予測する (predict)”、“予測の (predictive)”という用語ならびに関連用語は、本明細書では、がんとがん患者に関し、被験対象におけるがんの発達とがん治療の転帰を評価する方法と結果を表わすのに用い、その中には、転移、寛解、再発の確率のほか、がん被験対象が生き延びる確率が含まれる。“予後”、“予後判定”、“予後の”、“予測”、“予測する”、“予測の”という用語ならびに関連用語は、“評価する”、“評価”という用語ならびに関連用語の範囲に含まれる。がんの予後と転帰予測のさまざまな指標(例えば生存確率)を使用できることと、予後および/または予測は推定値または確率として表わされることがしばしばあるが、常に正確であるとは限らないことを理解されたい。
“予後因子 (prognostic factor)”または“予測因子 (predictive factor)”という用語は、がんの研究と医学の分野では同じ意味で使用できるが、少なくとも部分的に異なる意味を割り当てることもできる。がんの診断と治療の分野で用いられる予後因子または予測因子は、一般に、がんの発達、がん治療、がん患者の生存に影響を与える因子である。“予後因子”の1つの定義は、患者の状況または状態、または患者の特徴であり、それを用いてがんからの回復の可能性、または疾患が再発する可能性を評価することができる。予後因子は、治療なしの転帰、または標準的療法を適用した転帰に伴う因子と定義することもできる。言い換えるならば、因子として、ある療法を適用するかどうかに関係なく、がんの転帰の予後が可能である(が、そうでなければならないわけではない)。がん予後因子の非限定的ないくつかの例は、この疾患のステージ、グレード、広がりのほか、被験対象の年齢と健康である。“予測因子”の1つの定義は、特定の治療の臨床上の利点を予測するのに使用できる状態または知見、または被験対象のがんが特定の治療に反応するかどうかである。予測因子は、がんが発達または再発する個人的リスクを大きくする何かを記述することもできる。予測因子は、特定の療法に対する応答または応答欠如に付随する因子と定義でき、バイオマーカーの状態に応じ、その特定の療法に対する異なる応答を意味する。臨床試験の設定では、予後因子は、対照群における転帰と比較することによって評価できるのに対し、予測因子は、治療群における転帰を予測することによって評価できる。転帰は異なる基準を用いて評価でき、評価される因子の予後および/または予測の性質は、評価で用いる転帰基準に依存して異なる可能性があることを理解されたい。予後因子と予測因子に関する議論は、例えば、Clark、「予後因子対予測因子:エルロチニブの臨床試験からの実例」、Molecular Oncology、第1巻:406〜412ページ(2008年)に与えられている。
“転帰 (outcome)”、“転帰 (outcomes)”という用語ならびに関連用語と関連表現は、本明細書では、がんの診断と治療の文脈で、測定可能でがんに関係するあらゆる具体的な結果または効果を表わすのに一般に使用される。転帰の例には、痛みの減少、腫瘍サイズの縮小、疾患の改善が含まれるが、これらに限定されない。転帰の別の一例は、“生存 (survival)”である。生存は、たいていは、がんの診断または治療の後に患者が生きる時間の長さ、またはある状態(例えば寛解)にある生活である。患者群(例えば臨床試験の間に観察される患者群)の文脈では、がん患者の“生存率”を生存の1つの指標として使用できる。生存率は、研究群または治療群の中で、疾患(例えばがん)を診断されるか疾患の治療を開始した後に所定の期間にわたってまだ生きている人の割合として表わすことができる。上記の“生存率”は、“全生存率”(OSR)と呼ぶこともできる。生存率は、5年生存率と呼ばれることもしばしばあり、これは、研究群または治療群の中で、診断後または治療開始後に5年間生きている人の割合である。生存は、患者の50%が生き延びる平均期間として計算することもできる。生存に関してOS以外にさまざまなタイプの指標を使用でき、その例は、無増悪生存(PFS)または無疾患生存(DFS)である。DFSは、がんの治療が終了した後に、そのがんのいかなる兆候や症状もなしに患者が生き延びる時間の長さと定義することができる。DFSは、無再発生存やRFSとも呼ぶことができる。PFSは、がんの治療中と治療後に、患者がその疾患を抱えているが悪化したり進行したりせずに生きている時間の長さと定義することができる。DFS、PFS、OSのほか、他の生存指標は、群に適用するときには、上記のように“割合”として表わすことができ、確率として表現することもできる。患者における固形腫瘍がんの“進行”を一般に判断する基準は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)であり、これは、がん患者がいつ改善(“応答”)するか、同じ状態に留まる(“安定である”)か、悪化(“進行”)するかを規定している公開された規則のセットである。RECIST基準は、例えば、Therasse H.P.他、「固形腫瘍における治療に対する応答を評価する新たな指針」、Journal of the National Cancer Institute、第92巻:206〜216ページ(2000年)に議論されている。しかし本明細書に記載したいくつかの実施態様では、改正されたRECIST基準や他の基準を使用できることを理解されたい。
本明細書で用いる“血液中で検出する”、“血液中での検出”という表現ならびに関連表現は、血液の液体部分(例えば血漿や血清)のサンプル中で核酸配列を見いだす行為、または見いだした結果を意味する。
“局所的転移 (local metastasis)”という用語は、がん性腫瘍に由来するがん細胞が局所領域(典型的には同じか隣接した臓器)で周囲の正常な組織に侵入、浸潤して新たな腫瘍を形成するプロセスまたはプロセスの結果を意味する。例えば、NSCLCの“局所的転移”という転移ステージは、転移が存在するが、胸部外の臓器では転移が検出されないことを意味する。NSCLCに関しては、“局所的転移”という用語は、転移ステージ“M1a”を包含する。
“遠隔転移 (distant metastasis)”という用語は、がんが、原発腫瘍部位から離れた組織と臓器に広がるプロセス、またはプロセスの結果を意味する。例えば、NSCLCの文脈で用いる“遠隔転移”という用語は、転移が存在していて胸部外の臓器で検出されることを意味する。NSCLCに関しては、“遠隔転移”という用語は、転移ステージ“M1b”を包含する。
“検出する (detect)”、“検出すること (detecting)”、“検出 (detection)”という用語ならびに関連用語は、本明細書では、存在または不在を発見または測定するプロセスのほか、何かが起こる程度、量、レベル、確率を広く表わすのに用いる。これらの用語は、物質の物理的変換(核酸増幅など)を必然的に含む。例えば、“検出する”という用語は、EGFR変異に関して用いるときには、EGFR変異の存在、不在、レベル、量の発見または測定のほか、EGFR変異の存在または不在の確率または確からしさを意味することができる。“存在または不在を検出する”、“存在または不在の検出”という表現ならびに関連表現は、腫瘍関連変異に関して用いるときには、定性的検出と定量的検出を含んでいる。定量的検出には、検出プロセスを実行するサンプル中の変異した核酸配列のレベル、量の測定が含まれる。
“変異 (mutation)”または“変異した配列 (mutated sequence)”という用語は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に関して用いるときには、“バリアント (variant)”、“アレル・バリアント (allelic variant)”、“バリアンス (variance)”、“多型 (polymorphism)”という用語と同じ意味で用いることができる。例えば“変異を検出する”、“変異した配列を検出する”、“多型を検出する”、“配列バリアンスを検出する”という表現は、本発明の方法について論ずるときには同じ意味で用いることができる。
EGFRのチロシンキナーゼ・ドメインで見いだされた既知のいくつかのEGFR変異の模式図である。Sharma他、Nat. Rev. Cancer、第7巻:169ページ(2007年)を改変。 異なるレベルのゲノムDNAの存在下で反応混合物MMX1、MMX2、MMX3を用いてCOBASのEGFR変異試験キットで得られたリアルタイムPCR交点(Cp)値に関する実験データを示すグラフである。X軸はゲノムDNAのレベル(反応ごとに1ng)を表わし、Y軸は、反応で実現されたCpに対応するサイクル数を表わす。 標的核酸を定量するための較正曲線の一例を示すグラフである。 NSCLC治療計画とサンプル回収の模式図である。 2人のNSCLC患者の血漿サンプルにおけるEGFR変異の検出を示すグラフである。X軸上の0週は、図3でエルロチニブ治療を開始する前の時点CP0に対応する。 EGFR活性化変異を探す血液検査に基づいてNSCLC患者を含む患者を治療・診断するための意思決定プロセスの模式図である。 EGFR活性化変異を探す血液検査に基づいて再発NSCLC患者を治療・診断するための意思決定プロセスの模式図である。 NSCLC患者を治療・診断するための意思決定プロセスの模式図である。 NSCLC患者の治療結果の調査に関する臨床研究の設計の模式図である。 図9に示した臨床研究中に得られたサンプルのまとめに関する模式図である。 PCRサンプル中の標的核酸の定量に用いる較正曲線を示すグラフである:図Aは内部対照標的;図BはEx19Del標的;図CはL858R標的;図DはT790M標的である。 PCRサンプル中の標的核酸の定量に用いる較正曲線を示すグラフである:図Aは内部対照標的;図BはEx19Del標的;図CはL858R標的;図DはT790M標的である。 基準時点、C3時点、PD時点で得られた全データ点のドット・プロットであり、TKI感受性変異を探して調べた血漿サンプル中の無細胞(Cf)DNAの分布に基づくデータを示している;サンプル中で検出されたDNAの量(血漿1ml当たりのコピー数)をY軸にプロットしてある;X軸には、まとめた全サンプル(“ALL”)、変異陰性サンプル(“pMut-”)、変異陽性サンプル(“pMut+”)を別々にプロットしてある。 基準時点、C3時点、PD時点で得られた全データ点のドット・プロットであり、TKI感受性変異を探して調べたサンプル中のcf DNA配列と変異したEGFR DNA配列の分布に関するデータを示している;サンプル中で検出されたDNAの量(血漿1ml当たりのコピー数)をY軸にプロットしてある;X軸には、cf DNA(cf-DNA)、Ex19Del、L858R置換、T790M置換のデータを別々にプロットしてある。 基準時点、C3時点、PD時点で得られた全データ点のドット・プロットであり、TKI感受性変異を探して調べたサンプル中の変異したEGFR DNA配列の分布に関するデータを示している;サンプル中で検出されたDNAの量(血漿1ml当たりのコピー数)をY軸にプロットしてある;X軸には、Ex19Del、L858R、T790Mの検出結果に関するデータを別々にプロットするとともに、変異陽性サンプル(Pで示す)と変異陰性(Nで示す)サンプルを別々に分類してプロットしてある。 基準時点、C3時点、PD時点で得られた全データ点のドット・プロットであり、TKI感受性変異を探して調べたサンプル中の変異したEGFR DNA配列の分布に関するデータを示している;サンプル中で検出された変異DNAと検出された全ゲノムDNAの比(Mut%)をY軸にプロットしてある;X軸には、Ex19Del、L858R、T790Mの検出結果に関するデータを別々にプロットするとともに、変異陽性サンプル(Pで示す)と変異陰性(Nで示す)サンプルを別々に分類してプロットしてある。 異なる3つの時点(基準(菱形)、C3(“サイクル3”- 正方形)、PD(三角形))でサンプル中のEx19Del変異とL858R変異を探して検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)に関して得られたデータを個々の患者(患者のID番号をX軸に示す)についてプロットしたグラフである;データは、化学療法のみ(“化学療法のみ”- 図A)で治療した患者と、化学療法とTKI療法の組み合わせ(“化学療法+タルセバ”- 図B)で治療した患者に関する2つの図に分類してある;各サンプルで検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットしてある。 異なる3つの時点(基準(菱形)、C3(“サイクル3”- 正方形)、PD(三角形))でサンプル中のEx19Del変異を探して検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)に関して得られたデータを個々の患者(患者のID番号をX軸に示す)についてプロットしたグラフである;データは、化学療法のみ(“化学療法のみ”- 図A)で治療した患者と、化学療法とTKI療法の組み合わせ(“化学療法+タルセバ”- 図B)で治療した患者に関する2つの図に分類してある;各サンプルで検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットしてある。 異なる3つの時点(基準(菱形)、C3(“サイクル3”- 正方形)、PD(三角形))でサンプル中のL858R変異を探して検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)に関して得られたデータを個々の患者(患者のID番号をX軸に示す)についてプロットしたグラフである;データは、化学療法のみ(“化学療法のみ”- 図A)で治療した患者と、化学療法とTKI療法の組み合わせ(“化学療法+タルセバ”- 図B)で治療した患者に関する2つの図に分類してある;各サンプルで検出された変異したDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットしてある。 臨床研究中の異なる3つの時点(“基準”、C3、PD -詳しい説明は本文中に与える)で得られた全無細胞(cf)DNAに関するデータを示すドット・プロットである;検出されたDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットし、X軸では、時点の違いと、臨床研究の2つの群(化学療法のみの治療群 - “化学療法のみ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ - “C+T群”)のどちらに参加した患者であるかに基づく分類がなされている。 臨床研究中の異なる3つの時点(“基準”、C3、PD - 詳しい説明は本文中に与える)で得られた変異したDNAに関するデータを示すドット・プロットである;検出されたDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットし、X軸では、時点の違いと、臨床研究の2つの群(化学療法のみの治療群 - “化学療法のみ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ - “C+T群”)のどちらに参加した患者であるかに基づく分類がなされている。 臨床研究中の異なる3つの時点(“基準”、C3、PD -詳しい説明は本文中に与える)でEx19Del変異(図A)とL858R変異(図B)を探して変異したDNAに関して得られたデータを示すドット・プロットである;検出されたDNAの量(コピー数/ml)をY軸にプロットし、X軸では、時点の違いと、臨床研究の2つの群(化学療法のみの治療群 - “化学療法のみ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ - “C+T”)のどちらに参加した患者であるかに基づく分類がなされている。 基準時点の血漿サンプル(図A)と組織サンプル(図B)に基づいて変異陽性に分類された患者の無増悪生存(PFS)の比較確率を示す線グラフである。これらのグラフは、臨床研究の2つの群(化学療法のみの群 - “GC-プラセボ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ群 - “GC-エルロチニブ”)に参加した患者について示してある。 基準時点の血漿サンプル(図A)と組織サンプル(図B)に基づいて変異陰性に分類された患者の無増悪生存(PFS)の比較確率を示す線グラフである。これらのグラフは、臨床研究の2つの群(化学療法のみの群 - “GC-プラセボ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ群 - “GC-エルロチニブ”)に参加した患者について示してある。 基準時点の血漿サンプル(図A)と組織サンプル(図B)に基づいて変異陽性に分類された患者の全生存(OS)の比較確率を示す線グラフである。これらのグラフは、臨床研究の2つの群(化学療法のみの群 - “GC-プラセボ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ群 - “GC-エルロチニブ”)に参加した患者について示してある。 基準時点の血漿サンプル(図A)と組織サンプル(図B)に基づいて変異陰性に分類された患者の全生存(OS)の比較確率を示す線グラフである。これらのグラフは、臨床研究の2つの群(化学療法のみの群 - “GC-プラセボ”;化学療法とTKI療法の組み合わせ群 - “GC-エルロチニブ”)に参加した患者について示してある。 C3時点で採取した血漿サンプルに基づいて変異陽性(C3 mut+)と変異陰性(C3 mut-)に分類された患者の無増悪生存(図A)と全生存(図B)の比較確率を示す線グラフである。 化学療法とTKI療法の組み合わせ群においてC3時点で採取した血漿サンプルに基づいて変異陽性(C3 mut+)と変異陰性(C3 mut-)に分類された患者の無増悪生存(図A)と全生存(図B)の比較確率を示す線グラフである。
発明の詳細な説明
本発明の実施態様の主題を特に法定の条件に合致するようにここに記述するが、この記述は、必ずしも請求項の範囲を制限することを意図していない。請求項の主題は別のやり方で実現することができ、異なる要素やステップが含まれていてもよく、他の既存の技術や将来の技術と組み合わせて用いることができる。この記述は、さまざまなステップまたは要素が何らかの特定の順番や配置になっていることを意味すると解釈してはならない。ただし、個々のステップの順番、または要素の配置が明示的に記載されているときは別である。
腫瘍細胞の体細胞変異は、がんの発達と転帰に影響を与える可能性がある。そのような体細胞変異を検出する1つの方法は、バイオプシーまたは外科手術を通じて得られた腫瘍サンプルを調べ、がんの発達に関連する変異配列の存在を探すというものである。しかし腫瘍組織サンプルをただちに入手して調べられるとは限らない。がん関連変異の検出と適切な治療の選択の遅れを回避するため、そして侵襲を減らすため、がん患者の腫瘍で変異を検出するためのより適切でより侵襲性の少ない方法を開発することは有益である。腫瘍細胞は、固形腫瘍がんを有する患者の血液中を循環している。がん患者の血液サンプルで体細胞腫瘍変異を検出することが可能であり、その中には、NSCLC患者でEGFR変異を検出することが含まれる。しかし、循環している変異した配列は少量であること、変異していない配列のバックグラウンドがあること、壊れた白血球細胞(WBC)に由来するゲノムDNA(gDNA)が高レベルで血液中を循環していることが理由で、そのような検出を信頼性よく実施して臨床と診断での使用にとって意味があるようにすることは困難である。血液サンプル中で腫瘍細胞に由来する変異した核酸配列を検出すること(例えばNSCLC患者でEGFR変異を検出すること)は、比較的大きな割合の偽陰性検出率といった不正確さの問題があり、厄介な分析技術を必要とする可能性がある。その厄介な分析技術には、例えば、検出の前に血液を循環している腫瘍細胞を単離することや、検出前にサンプル中の変異したDNA配列の含量を豊富にすることが含まれる可能性がある。定量的検出は、特にバックグラウンドのDNAレベルが高いためにはるかに困難である可能性がある。本明細書に記載するのは、がん患者の血液中で変異した腫瘍核酸配列を検出する(例えば、NSCLC患者の血液中でEGFR変異核酸配列を検出する)改善された方法であり、そのような検出方法を臨床と診断の現場でがんの評価に役立つようにすることを目的とする。
発明者らは、固形腫瘍がんを有する被験対象から取得した血液サンプルに対して、またはその血液サンプルから単離したゲノムDNAに対してリアルタイム定量PCRを実施することにより、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連核酸配列の検出を迅速かつ正確に実行できることを発見した。発明者らは、定量PCRのデータを処理して分析する方法を改善することにより、意外なことに、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連核酸配列の測定の有効性の改善を達成した。発明者らは、被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連核酸配列のタイプと量を測定することにより、被験対象における固形腫瘍がんの状態をうまく評価できることを発見した。発明者らは、固形腫瘍がんを有する被験対象におけるがんの転移状態を考慮する場合には、被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連核酸配列の検出に基づき、そのような被験対象での腫瘍関連変異の検出を有意に改善できることも発見した。
さらに、発明者らは、固形腫瘍がんを有する被験対象における腫瘍関連変異の検出の結果(例えば被験対象の血液中での変異した腫瘍関連核酸配列の検出の結果)を予後因子および/または予測因子として利用して被験対象における固形腫瘍がんを評価できること(その中には、治療応答とがんの転帰の評価が含まれる)を発見した。一例では、発明者らは、がん患者において標的化薬剤治療に対する耐性につながる体細胞変異の存在または出現の検出が、抗がん療法の有効性をモニターするのと、疾患の進行を評価するのに役立つことを発見した。別の一例では、発明者らは、抗がん療法の最中および/または後(例えば被験対象が1サイクルの化学療法を完了した後)に被験対象の血液中で変異した腫瘍関連核酸配列を1回以上検出することを利用して、被験対象における固形腫瘍がんの状態を評価し、検出結果に基づいて適切ながん療法を選択できることを発見した。
発明者らは、NSCLC患者の血液中を循環している変異したEGFR配列の検出と、関連する実験データの臨床応用の文脈での自分たちの発見を、NSCLCの診断と治療に適用した。発明者らは、血液で検出した変異したEGFR配列に関する情報をNSCLC患者の診断と治療に応用するため、患者の血液中でEGFR変異核酸配列が生じることに関する実験データのさまざまな側面(例えば患者の血液サンプル中で、EGFR変異核酸配列の存在、不在、タイプ、量に関して検出された結果)と、NSCLCの治療と診断の分野で用いられている予後基準および臨床転帰の指標の間に相関を見いだした。次に、EGFR変異核酸配列に関する実験データを、疾患の発達と治療結果のためと、NSCLC患者の治療、診断、行動の選択をガイドするための予後因子または予測因子として使用した。発明者らの発見は、一般に、被験対象においてさまざまな固形腫瘍がんの発達に影響を与える固形腫瘍関連変異にも適用される。固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連配列が正確で感度よく検出され、そのようにして生成された実験データが医療と診断の現場に適用されると、がんの評価が改善され、場合によっては診断手続きの侵襲性が減り、各患者にとって最も有効な治療を選択する際の助けとなり、不必要な治療と診断手続きの量が減ることにより、固形腫瘍がん患者の医療ケアが改善される。
被験対象の転移状態を考慮した、血液中での腫瘍関連変異の検出
一例において、発明者らは、NSCLC被験対象の転移状態を考慮する場合には、被験対象の血液中を循環している変異したEGFR配列の検出に基づいたNSCLC被験対象におけるEGFR変異の検出を有意に改善できることを発見した。特に、発明者らは、NSCLC被験対象の部分集合である遠隔転移NSCLCを有する被験対象において、血液中に存在する核酸の増幅によって検出されたEGFR変異の存在または不在が、被験対象のNSCLC腫瘍にEGFR変異が存在するか不在であるかを正確に予測していることを発見した。遠隔転移を有する被験対象にとっては血液アッセイが信頼できるものであるという発見を考慮すると、陰性結果、すなわち血液サンプルにEGFR変異が見いだされないという知見があれば、被験対象がEGFR変異を持っておらず、したがって陰性結果を確認するための侵襲性バイオプシーを必要としないと判断するのに十分である。逆に、遠隔転移NSCLCのないNSCLC被験対象では、血液中に検出可能なEGFR変異が存在することが、被験対象のNSCLC腫瘍にEGFR変異が存在することの正確な予測因子として機能する一方で、血液中に検出可能なEGFR変異が不在であることは、被験対象のNSCLC腫瘍にEGFR変異が不在であることの正確な予測因子としては機能しえない。
上記の発見は、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液における腫瘍関連変異の検出に一般に適用できる。遠隔転移固形腫瘍がんを有する被験対象から得られた血液サンプルに腫瘍関連変異が不在であることの検出は、その被験対象がその変異を持っておらず、したがって陰性結果を確認するための追加のいかなる手続き(侵襲的バイオプシーなど)も必要でないと判断するのに十分である。逆に、被験対象が、遠隔転移のない固形腫瘍がんを有する場合には、血液中に腫瘍関連変異が存在することの検出は、被験対象の腫瘍の中に変異が存在することの正確な予測因子として機能するのに対し、血液中に検出可能な変異が不在であることの検出は、被験対象の腫瘍の中に変異が不在であることの正確な予測因子としては機能しえない。したがって、本明細書には、被験対象の状態を評価するため、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中で腫瘍関連変異の存在または不在を検出する方法を記載する。上記の方法のいくつかの実施態様は、被験対象の状態を評価するため、非小細胞肺がん(NSCLC)を有する被験対象の血液中で上皮増殖因子受容体(EGFR)の中の変異の存在または不在を検出する方法である。
腫瘍関連変異は、がん治療の有効性に影響を与える可能性がある。例えば腫瘍のEGFR変異は、ある種のNSCLC治療(EGFRを標的とする療法、例えばチロシンキナーゼ阻害剤療法(その中にはエルロチニブやゲフィチニブが含まれるが、それに限定されない))の有効性に影響する。本明細書に記載した方法を利用することにより、被験対象のがん性腫瘍の変異状態を正確に評価し、適切な療法(存在する場合)や追加の診断手続きの選択と実施に関する意思決定プロセスに適用することができる。
本明細書に記載した発見の前には、大きな偽陰性率が、臨床と診断の文脈において血液に基づく腫瘍関連変異の検出の応用を制限していた。なぜなら、血液サンプルに基づいて変異陰性であることが見いだされた患者の腫瘍組織の追加検査が必要とされたからである。本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様は、転移状態に基づいて固形腫瘍がん被験対象を識別することによって上記の問題に対処する。特に、本明細書に記載した方法は、前に記載した血液に基づく診断手続きで観察される大きな偽陰性率が、転移性NSCLC遠隔転移(例えばM1b転移状態)を有する被験対象では観察されないという発見を組み込むとともに応用している。したがって、M1b転移状態のNSCLC被験対象の血液でのEGFR変異の検出を信頼性ある診断手続きとして利用して、NSCLCをモニターし、NSCLCの診断と治療の今後の方向を決めることができる。
本明細書に記載した方法の実施態様は、NSCLC被験対象の診断と治療に限定されることはなく、さまざまな固形腫瘍がんを有する被験対象の診断と治療に一般に応用できる。さらに、本明細書に記載した方法の実施態様は、遠隔転移固形腫瘍がんを有する被験対象に限定されない。本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様によれば、遠隔転移がない被験対象の固形腫瘍がんの状態も評価することができる。評価には、被験対象の腫瘍が血液中で検出された変異を含んでいるかどうかを以下の基準を用いて推定することが含まれる。固形腫瘍がんを有するが遠隔転移はない被験対象の血液中に変異した配列が存在するというのは、その被験対象の腫瘍組織が血液中で検出された変異を含んでいる可能性が大きいことを示す。したがって(転移がないか局所的転移だけがある被験対象のように)遠隔転移のない被験対象の血液で変異配列が検出される場合には、被験対象の腫瘍に変異が存在する確率が大きいことに基づき、さらなる診断と治療を行なう判断を下すことができる。しかし固形腫瘍がんを有するが遠隔転移はない被験対象の血液中にその配列が不在であることは、被験対象の腫瘍組織が血液中で検出された変異を含んでいないこと信頼性よく示しているわけではない。変異配列がそのような被験対象の血液で検出されない場合には、被験対象の腫瘍中の変異の存在を確認するための追加の診断手続きが正当化される。
例えば固形腫瘍がんを有する被験対象の状態を評価する方法の上記の実施態様をNSCLC被験対象に適用するとき、以下の意思決定プロセスを実行することができる。NSCLCを有するが遠隔転移はない被験対象の血液中に変異したEGFR配列が存在するというのは、その被験対象のNSCLC腫瘍組織が、血液中で検出されたEGFR変異を含んでいる可能性が大きいことを示している。したがって、ステージM1bの転移NSCLCがない被験対象の血液でEGFR変異配列が検出されるのであれば、その被験対象の腫瘍中にEGFR変異が存在する可能性が大きいことに基づき、さらなる診断と治療を行なう判断を下すことができる。しかし遠隔転移がないNSCLC被験対象の血液中にその配列がないことは、被験対象のNSCLC腫瘍組織が血液中で検出されたEGFR変異を含んでいないことを信頼性よく示しているわけではない。そのような被験対象の血液でEGFR変異配列が検出されない場合には、被験対象のNSCLC腫瘍中の変異の存在を確認するための追加の診断手続きが正当化される。
被験対象の血液中で変異した腫瘍関連配列を検出することによりその被験対象で固形腫瘍がんをモニターする方法
本明細書に記載した、固形腫瘍がんを有する被験対象の状態を評価する方法は、被験対象の血液中で腫瘍関連変異を検出することを利用してその被験対象における固形腫瘍がんの状態と進行をモニターする診断方法を含んでいる。上記の方法の実施態様には、NSCLC被験対象の血液中でEGFR変異を検出することを利用してその被験対象におけるNSCLCの状態と進行をモニターする方法が含まれる。
上記の方法に基づく測定として、被験対象から採取した血液サンプルまたは血漿サンプルに対して実施するインビトロ測定が可能である。この測定は、がん療法の効果をモニターし、がん療法の選択について判断する上で有用である可能性がある。例えば、本明細書に記載した方法を被験対象での腫瘍除去外科手術の前および/または最中および/または後に利用して、その外科手術の有効性をモニターすることができる。この方法は、任意のがん療法の前、または最中、または後に利用することもできる。例えば、この方法をがん療法の前に利用して、特定の被験対象でその療法の有効性が大きいと判断することや、ある被験対象があるがん療法の適切な候補であると同定することができる。この方法をがん療法の最中または後に利用して、その療法の有効性を判断するとともに、がん療法に対する耐性の出現をモニターすることができる。この方法をがんの寛解中に利用して、がんの再発と進行をモニターすることもできる。
いくつかの実施態様では、この方法は、腫瘍関連変異の定性的検出を利用して、被験対象の血液中の腫瘍関連変異の存在または不在、または腫瘍関連変異の性質を判断する。いくつかの実施態様では、この方法は、腫瘍関連変異の定量的測定を利用して、被験対象の血液中に存在する変異した配列の量を求める。定性的測定または定量的測定、またはこれらの組み合わせは、“変異荷重 (mutation load)”の測定または検出と呼ぶことができ、被験対象の固形腫瘍がんの状態(がんの重篤度を含む)を評価するのに利用できる。被験対象の血液中の腫瘍関連変異の変異荷重は、その被験対象の血液中の腫瘍関連変異の数(すなわち、どれだけ多くの異なる変異が検出されるか)、またはその被験対象の血液中で検出される腫瘍関連変異の量(被験対象の血液中を循環している変異した腫瘍関連核酸の量)、またはこれらの組み合わせによって特徴づけることができる。いくつかの場合には、腫瘍関連がんを有する被験対象の血液中で検出された腫瘍関連変異の変異荷重は、被験対象におけるがんの重篤度および/または進行と相関していることを理解されたい。変異荷重は、被験対象に実施されるがん療法の有効性または有効性欠如とも相関している可能性がある。
本明細書に記載した、固形腫瘍がんをモニターする方法の一実施態様では、検出される変異荷重は、固形がん患者から得られた血液サンプル中の少なくとも1つの活性化腫瘍関連変異と少なくとも1つの耐性腫瘍関連変異の量である。変異荷重は、例えばがん療法のクール中に時間をかけて検出される。したがってがん被験対象の変異荷重の時間変化を求めることができる。その少なくとも1つの活性化腫瘍関連変異について検出された量または量変化は、がんの進行、および/または重篤度、および/または患者に実施された療法の成功または失敗の指標として機能することができる。患者の固形腫瘍がんの治療に関する意思決定プロセスは、検出される変異荷重に基づいて実施することができる。
意外なことに、本明細書に記載した方法を適用することにより、患者における固形腫瘍がんの進行、重篤度、ステージのほか、ある種の治療法に対するがんの感受性を、その患者に臨床兆候または症状が出現する前に、すなわち兆候または症状が他の検出技術や手続きによって検出可能になる前に、信頼性よく認識または判断することができる。いくつかの場合には、被験対象における固形腫瘍がんの状態は、その被験対象で固形腫瘍がんの臨床兆候または症状が出現する1週間以上または1ヶ月以上(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、またはこれら整数に挟まれた任意の値の週数または月数)前に評価することができる。したがって、被験対象の血液中で見いだされた腫瘍関連変異荷重に基づいて臨床的判断を下すことができる。例えば、被験対象で検出された変異荷重に基づき、あるがん療法を開始すること、または停止すること、または変更することができる。別の一例では、被験対象の変異荷重に基づき、あるがん療法の用量を調節すること(例えば増やす、または減らす)ができる。
一例では、NSCLCを有する被験対象の血液中のEGFR変異の変異荷重は、臨床意思決定プロセスにおいて測定されて利用される。いくつかの例では、変異荷重の定量測定を利用して、NSCLC患者におけるEGFR変異のダイナミックな定量的変化をモニターし、その定量的変化を利用して臨床決定のガイドにする。被験対象の血液中で検出された1つ以上の活性化EGFR変異の定量的変化に基づき、標的EGFR療法などの療法を被験対象に示して実施することができる。例えば、1つ以上のEGFR変異の検出量が閾値レベルよりも上である場合には、被験対象にある療法を示して実施することができる。別の一例では、1つ以上のEGFR活性化変異の検出量が閾値レベルよりも上である場合には、その活性化EGFR変異荷重に基づき、標的EGFR療法の用量を決める。例えば、検出されたEGFR変異の変異荷重がより多いことに基づき、可逆的チロシンキナーゼ阻害剤を用いた標的EGFR療法(“可逆的TKI療法”)の用量をより多くすることを推奨できる。可逆的TKI療法のクールの間、NSCLC被験対象の状態をモニターする。活性化EGFR変異荷重の減少、またはいくつかの場合には維持は、可逆的TKI療法の成功を意味する。これは、その療法を継続できること、またはいくつかの場合には停止できることを示している。EGFR変異荷重の増加は、可逆的TKI療法の有効性の低下を意味する。耐性EGFR変異の出現、または耐性EGFR変異荷重の増加も、可逆的TKI療法の有効性の低下または潜在的な低下を意味する。可逆的TKI療法の有効性の低下または潜在的な低下が検出されたときには、可逆的TKI療法の用量を増やす、異なる療法(化学療法および/または放射線療法)を実施する、異なる標的治療(例えば非可逆的TKI療法)を実施する、これらの任意の組み合わせを実施するなど、さまざまな臨床判断を下すことができる。臨床判断には、治療または診断手続きを開始すること、停止すること、実施しないことを選択するという判断、緩和ケアまたはホスピス・ケアに入ることの判断、あらゆる治療と手続きを停止する判断が含まれる。
固形腫瘍がんの状態を評価する方法のいくつかの実施態様では、NSCLCを有する被験対象の血液中のEGFR変異の変異荷重は、検出され、定量され、その検出と定量の結果を用いて、NSCLC患者が調べられたり、評価されたり、モニターされたりする。この文脈では、検出と定量の結果を用いてNSCLC患者に対する臨床判断が下される。臨床判断には、治療の判断と診断の判断が含まれる。いくつかの場合には、患者のNSCLCを評価したり、調べたり、モニターしたりするのに、EGFR変異荷重の検出と定量を、他の診断手続き(例えばCTスキャンや放射線医学的評価)の代わりに利用することができる。別のいくつかの場合には、EGFR変異荷重の評価を他の診断手続きと組み合わせて利用して患者のNSCLCを評価したり、調べたり、モニターしたりすることができる。NSCLCのモニターで用いられる他の診断技術および診断手続き(例えばバイオプシー、放射線医学的評価、他のイメージング技術(CTスキャンなど))と比べると、NSCLC被験対象の血液中でEGFR変異核酸配列を検出することにより、患者にとってのリスク、または侵襲性、またはコストをより小さくすること、またはこれら利点の組み合わせを実現できる。したがって、NSCLC被験対象の血液中でのEGFR変異核酸の検出は、少なくとも他のいくつかの診断技術や診断手続きよりも頻繁に実施することができる。ただし、それらの他の診断技術や診断手続きでは、NSCLC被験対象の血液中でのEGFR変異核酸の検出を実施しない状況と比べ、がんの進行をより早期に発見したり、被験対象に療法をより早く実施したりすることができる可能性がある。NSCLC被験対象の血液中でのEGFR変異核酸の検出は、さまざまな時点(“検出時点”)で実施することができ、その例は、本明細書の「固形腫瘍がん評価の予後因子または予測因子としての腫瘍関連変異」の項で議論されている。以下に議論する状況の例は、本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様を示している。
NSCLC患者の血液におけるEGFR変異核酸の検出を、他の診断技術の代わりに、または他の診断技術(例えば放射線(X線)技術やイメージング技術(CTスキャンなど))と組み合わせて利用して、患者のNSCLCをモニターすることができる。NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出結果は、診断法を決定するガイドとして利用することができる。例えば、治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、以前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の増加が患者で検出された場合には、追加の診断手続きを実施する判断、または診断手続きを変える判断、またはその両方の判断を下すことができる。例えば、治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、以前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の増加が患者で検出された場合には、患者をより詳細にモニターするという判断がなされる。放射線医学的評価やイメージング評価を実施しない場合や実施する場合でさえ、上記の判断を下すことができるが、その判断によって疾患の進行は確認されない。上記の例が発生する可能性のある1つの状況は、いわゆる“フレア効果 (flare effect)”を検出するため、TKI阻害剤治療が終了した後に患者における疾患の進行をモニターするときである。なお“フレア効果”は、TKI阻害剤治療を停止した後に腫瘍が非常に早く増殖し始めていることを意味する。
この例と別の例では、患者をより詳細にモニターすること、またはより詳細なモニターは、患者に追加の診断手続き(例えば放射線医学的評価(X線)または他のイメージング評価(例えばCTスキャン))を実施できることを意味する。その追加の診断手続きは、EGFR変異核酸の増加が検出されない場合には実施されないことになろう。患者をより詳細にモニターするというのは、患者に診断手続き(EGFR変異核酸の検出、放射線医学的評価(X線)、他のイメージング評価(例えばCTスキャン))を、EGFR変異核酸の増加が検出されなかった場合にこれら診断手続きの1つ以上が実施されると考えられる頻度よりも多くの回数実施することも意味することができる。より詳細なモニターにより、医師が疾患の進行を最も早い時点で捕捉することが可能になる。
NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出を利用して患者のNSCLCをモニターするとき、NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出結果は、治療法を決定するガイドとして利用することもできる。例えば、治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、以前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の増加が患者で検出された場合には、その治療を継続する判断(例えば同じ療法を別のサイクルで実施する)、または前の治療サイクルと比べて次のサイクルで実施する療法を変える判断を下すことができる。別の診断手続きによってNSCLCの進行が検出されない場合でさえ、上記の判断を下すことができる。治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、以前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の減少が患者で検出された場合には、同じ療法を別のサイクルで実施しない判断、または前の治療サイクルと比べて次のサイクルで実施する療法を変える判断を下すことができる。例えば、EGFR変異核酸の増加が検出され、EGFR変異核酸のその増加が検出された治療サイクルの最中または後に化学療法だけが実施されている場合には、次のサイクルで化学療法の代わりに、または化学療法に加えて、TKI阻害剤療法(例えばエルロチニブ療法)を実施する判断を下すことができる。別の一例では、EGFR変異核酸の増加が検出され、EGFR変異核酸のその増加が検出された治療サイクルの最中または後にTKI阻害剤療法だけが実施されている場合には、次のサイクルでTKI阻害剤療法に加えて化学療法を実施する判断を下すことができる。さらに別の一例では、EGFR変異核酸の増加が検出され、EGFR変異核酸のその増加が検出された治療サイクルの最中または後に化学療法とTKI阻害剤療法の組み合わせが実施されている場合には、次のサイクルで化学療法の用量、またはTKI阻害剤療法の用量、または両方の療法の用量を増やす判断を下すことができる。EGFR変異核酸の減少が検出され、EGFR変異核酸のその減少が検出された治療サイクルの最中または後に化学療法とTKI阻害剤療法の組み合わせが実施されている場合には、次のサイクルで化学療法の用量、またはTKI阻害剤療法の用量、または両方の療法の用量を減らす判断を下すことができる。治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の減少が検出された場合には、次の治療サイクルを実施しない判断、またはEGFR変異核酸の減少が検出されない状況におけるよりも後で次の治療サイクルを実施する判断を下すことができる。さらに別の一例では、治療サイクル中に、または治療サイクルの終了時に、前の検出時点と比べてEGFR変異核酸の増加が患者で検出された場合には、EGFR変異核酸の増加が検出されない状況におけるよりも早く次の治療サイクルを開始する判断を下すことができる。上記の例が生じる可能性のある1つの状況は、“フレア効果”を検出するため、TKI阻害剤療法が終了した後に患者における疾患の進行をモニターするときである。TKI療法治療サイクルが終了した後にEGFR変異核酸の増加が検出される場合には、TKI療法をただちに再開する判断を下すことができる。
NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出を、他の診断技術(放射線評技術(X線)、他のイメージング技術(例えばCTスキャン))の代わりに、または他の診断技術と組み合わせて利用して、患者におけるNSCLCを評価すること、または調べることができる。NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出結果は、診断法を決定するガイドとして利用することができる。例えば、特定の検出時点において患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかった場合には、追加の診断手続きを実施する判断、または診断手続きを変更する判断、またはその両方の判断を下すことができる。例えば、1つの治療サイクルが終了した後に患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかった場合には、患者をより詳細にモニターする判断が下される。上記の例が生じる可能性のある1つの状況は、“フレア効果”を検出するため、TKI阻害剤療法が終了した後に患者における疾患の進行をモニターするときである。
NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出を利用して患者におけるNSCLCを調べるとき、または評価するとき、NSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸の検出結果は、治療法を決定するガイドとして利用することもできる。例えば、特定の検出時点(例えば1つの治療サイクル中、または1つの治療サイクルの終了時)においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかった場合には、その療法を継続する判断(例えば同じ療法を別のサイクルで実施する)、または前の治療サイクルと比べて次のサイクルで実施する療法を変える判断を下すことができる。他の診断手続きによってNSCLCの進行が検出されない場合でさえ、上記の判断を下すことができる。特定の検出時点(例えば1つの治療サイクル中、または1つの治療サイクルの終了時)においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルよりも低いことがわかった場合には、別の治療サイクルを実施しない判断、または前の治療サイクルと比べて次のサイクルで実施する療法を変える判断を下すことができる。例えば、1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかり、その治療サイクルでは化学療法だけが実施されていた場合には、次のサイクルにおいて、化学療法の代わりに、または化学療法に加えて、TKI阻害剤療法(例えばエルロチニブ療法)を実施する判断を下すことができる。別の一例では、1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかり、その治療サイクルではTKI療法だけが実施されていた場合には、次のサイクルにおいて、TKI療法の代わりに、またはTKI療法に加えて、化学療法を実施する判断を下すことができる。さらに別の一例では、1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかり、その治療サイクルではTKI療法と化学療法の組み合わせが実施されている場合には、次のサイクルで化学療法の用量、またはTKI阻害剤療法の用量、または両方の療法の用量を増やす判断を下すことができる。1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルよりも低いことがわかり、その治療サイクルではTKI療法と化学療法の組み合わせが実施されている場合には、次のサイクルで化学療法の用量、またはTKI阻害剤療法の用量、または両方の療法の用量を減らす判断を下すことができる。さらに別の一例では、1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかった場合には、次の治療サイクルを、上記のレベルのEGFR変異核酸が検出されなかった状況よりも早く開始する判断を下すことができる。上記の例が生じる可能性のある1つの状況は、“フレア効果”を検出するため、TKI阻害剤療法が終了した後に患者における疾患の進行をモニターするときである。1つのTKI治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルを超えていることがわかった場合には、TKI療法をただちに再開する判断を下すことができる。1つの治療サイクル中または1つの治療サイクル後のある検出時点においてNSCLC患者の血液中でのEGFR変異核酸のレベルが閾値レベルよりも低いことがわかった場合には、次の治療サイクルを実施しない決断、またはEGFR変異核酸の減少が検出されなかった状況におけるよりも後で次の治療サイクルを実施する決断を下すことができる。
固形腫瘍がん評価の予後因子または予測因子としての腫瘍関連変異
本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様によれば、固形腫瘍がんを有する被験対象で腫瘍関連変異を検出した結果を、被験対象における固形腫瘍がんの転帰の予後因子および/または予測因子として利用する。発明者らは、変異した腫瘍関連核酸の検出結果が被験対象の固形腫瘍がんの転帰(その中には、がん療法の応答が含まれる)と相関していることを発見した。発明者らは、がん被験対象から得られた血漿サンプル中での変異した腫瘍関連核酸配列の検出を、固形腫瘍がんの診断と治療に関する方法に組み込むことにより、自分たちの発見を、固形腫瘍がんの治療と診断に応用した。本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様には、患者の血漿サンプルを調べて変異した腫瘍関連核酸配列を探すことにより、患者の血液中で腫瘍関連変異を検出および/または定量することが組み込まれている。上記の方法による検出として、被験対象から採取した血液サンプルまたは血漿サンプルに対して実施されるインビトロ検出が可能である。固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中で検出される変異荷重は、がんの発達と転帰に関する予後因子および/または予測因子として用いることができる。発明者らの発見の有用な応用を実現した治療法と診断法によれば、検出結果を検出後のステップで利用し、固形がんの発達、患者の転帰、がん療法の効果を予測することのほか、治療と診断手続きの選択や、固形腫瘍がん患者の行動選択をガイドすることができる。
特別な一例では、NSCLC患者の血液中での変異したEGFR配列の検出および/または定量をNSCLCの診断と治療に関する方法に組み込み、したがってEGFR変異をNSCLCがん評価の予後因子または予測因子として用いることにより、発明者らの発見を、NSCLCの治療と診断に適用することができる。EGFR配列の検出は、適切な分析技術によってサンプルで変異したEGFR配列を調べることによって実施できる。そのような技術の一例は、定量PCR(例えばリアルタイム定量PCR)である。定量PCRは、本明細書に記載したさまざまな治療法と診断法でうまく使用することができ、本明細書の「腫瘍関連変異」の項に記載されている改善された技術の1つ以上を組み込むことができる。
発明者らの発見を固形腫瘍がんの治療と診断(例えばNSCLCの治療と診断)に関する方法にうまく適用している本発明の方法の実施態様によれば、血漿サンプル中で検出される変異した配列の存在、不在、量、タイプは、別々に、または組み合わせて、固形腫瘍がんの転帰と治療(その中には、化学療法と標的化薬剤治療(例えばTKI療法)が含まれる)に対する応答に関する予後因子および/または予測因子として機能することができる。本発明の実施態様による方法は、腫瘍関連変異の定量的および/または定性的検出を利用して被験対象の血液中の腫瘍関連変異の存在または不在、または性質を明らかにすることができる。定性測定または定量測定、またはその組み合わせは、“変異荷重”の測定または検出と呼ぶことができる。“変異荷重”とは、本明細書の別の箇所に例示して記載した用語と考え方である。本明細書の別の箇所に記載した“変異荷重”測定の原理と例は、本項に記載した方法に適用することもできる。例えば、NSCLC被験対象から得られた血漿サンプル中で検出されるNSCLC被験対象のEGFR配列の変異荷重は、NSCLCがんの転帰と療法(その中には、化学療法と標的化薬剤治療が含まれる)に対する応答に関する予後因子および/または予測因子として機能することができる。
変異荷重は、1つ以上の時点(例えば1クールのがん療法の前、最中、後のいずれかの1つ以上の時点)で検出することができる。例えば、変異荷重は、がんの診断を開始するときまたはその近くに検出することができるが、何らかの治療または療法を開始する前でなければならない。変異荷重は、その治療サイクル中、またはその治療サイクルの終了後、または2つの治療サイクルの間に検出することができる。変異荷重は、寛解中の1つ以上の時点、または再発中の1つ以上の時点に検出することができる。いくつかの場合には、1つの時点だけ(1つの治療サイクル中など)で検出される変異荷重が、固形腫瘍がんの転帰の予後因子および/または予測因子として役立つ可能性があることを理解されたい。別の場合には、2つ以上の時点で検出されて組み合わせて評価される変異荷重は、固形腫瘍がんの転帰に関する予後因子および/または予測因子として役立つ可能性がある。本明細書の「被験対象の血液中で変異した腫瘍関連配列を検出することによりその被験対象で固形腫瘍がんをモニターする方法」の項で議論してあるように、2つ以上の時点での検出を利用してがんの進行または特定の治療の成功をモニターし、適切な臨床判断を下すことができる。
検出を実施する時点は、その時点で得られる結果の予測値および/または予後値に基づいて選択することができる。あるいはいくつかの場合には、その時点は、便宜上、例えば別の診断手続きまたは治療手続きと同時になるように選択することができる。例えば組織サンプル中の変異の検出は、必然的にバイオプシーの時点に実施することができる。なぜならこの時点が、本発明の手続きを利用して腫瘍組織サンプルを採取するときだからである。血液中または血漿中での変異荷重の検出は、異なるいくつかの時点で実施してもよく、患者にとってリスクがほとんどないため頻繁に実施してもよい。本明細書に記載した方法の実施態様に従う検出ステップを実施するために検出のためのサンプルを取得する時点(“検出時点”)の一例は、被験対象に対して最初に診断手続きを実施する時点である。この時点は、最初のバイオプシー、放射線医学的評価、他の診断手続き(CTスキャンなど)を実施する時点と一致していてもよい。この時点で検出されたEGFR変異核酸のレベルは、がんの進行(または進行の欠如)を評価する“基準”レベルとして役立てることができる。検出時点のさらに別の一例は、がん治療を開始する前の時点である。検出時点の他の例は、1つの治療サイクル中の時点、1つの治療サイクルが終了した後の時点、1クールの治療が終了した後の時点である。
例えば固形腫瘍がん患者にいくつかの治療サイクルが実施されるとき、検出時点は、第1の治療サイクル中の時点、第1の治療サイクルが終了した後だが第2の治療サイクルが始まる前の時点(第2の治療サイクルを実施する場合)、第2の治療サイクル中の時点、第2の治療サイクルが終了した後だが第3の治療サイクルが始まる前の時点(第3のサイクルを実施する場合)、第3の治療サイクル中の時点、第3の治療サイクルが終了した後だが第4の治療サイクルが始まる前の時点(第4の治療サイクルを実施する場合)が可能であり、それ以上の治療サイクル(第4、第5、第6のサイクル、またはそれ以後のサイクルなど)に関しても同様である。本発明の実施態様による方法では他の時点も利用できることも理解されたい。
本明細書に記載した、固形腫瘍がんをモニターする方法のいくつかの実施態様では、検出される変異荷重は、固形がん患者から得られた血液サンプル中での少なくとも1つの活性化腫瘍関連変異の存在、不在、量のいずれかである。検出される変異荷重(例えば、その少なくとも1つの活性化腫瘍関連変異の存在、不在、量)は、1つ以上の固形腫瘍がんの転帰に関する予後因子および/または予測因子として役立つ。転帰の非限定的な例は、腫瘍のサイズ、腫瘍の転移、治療の成功(それは、患者が寛解に入った結果である可能性がある)、患者の生存(その中には、全生存、無疾患生存、無増悪生存が含まれるが、これらに限定されることはない)(特定の期間にわたる生存確率として測定できる)、がんの再発、腫瘍の“フレア”、患者の死である。固形腫瘍がん患者に対するさらなる行動についての1つ以上の判断は、変異荷重に基づいてなされる。そのようなさらなる行動に関する判断の例は、別の標的治療を選択する判断、治療または診断手続きを開始すること、停止すること、実施しないことを選択する判断、緩和ケアまたはホスピス・ケアに入る判断、あらゆる治療と手続きを停止する判断である。
例えば本明細書に記載した方法では、被験対象に対する腫瘍除去外科手術の有効性の予後因子および/または予測因子として、その外科手術の前、および/または最中、および/または後の変異荷重の検出結果を利用する。この方法を任意のがん療法の前、最中、後のいずれかに利用して、そのがん療法の有効性の予後因子および/または予測因子とすることもできる。例えばこの方法を利用すると、特定の被験対象に対してある療法(化学療法、TKI療法、これらの組み合わせなど)を実施した後の生存確率(OSSとPSが含まれる)を求めることができる。この方法は、例えば変異荷重の検出結果に基づいて、がんの転帰がある治療または療法の好ましい影響を受ける可能性があるかどうかを判断することにより、被験対象があるがん療法の適切な候補であるかどうかを同定するのに用いることもできる。この方法は、将来の治療クール(例えば、追加の治療サイクルの実施や治療計画の変更が含まれる可能性がある)を決めるのに利用できる。検出された変異荷重に基づく転帰の確率は、特定の患者において2回以上求めることができ、それを利用して固形腫瘍がんの進行と治療の有効性をモニターすることができる。この方法をがん療法の間または後に利用して、適切な選択と治療後ケアの予定を決めることもできる。例えば生存の可能性が大きい期間が求まる場合には、それに基づいて緩和ケアまたはホスピス・ケアの手配をするよう患者に勧めることができる。
意外なことに、本明細書に記載した方法による腫瘍関連変異の定量的検出を利用することで、ある患者における固形腫瘍がんの転帰の確率を求めることができる。したがって、1つ以上の変異した腫瘍関連核酸配列の量を定量することに基づいて臨床判断を下すことができる。いくつかの場合には、本明細書に記載した方法により、固形腫瘍がん患者に対して実施する複雑な、または高価な、または侵襲的な診断・治療手続きの数をうまく減らしたり最少にしたりすると同時に、通知された臨床意思決定プロセスに関する診断データを提供することができる。本明細書に記載した方法により、がんの治療と診断のコストを下げること、患者の不快感と負担を減らすこと、より多くの情報を与えられた臨床意思決定プロセスにすることができる。他のいくつかの場合には、本明細書に記載した方法によってがんの進行を他の方法よりも早期に検出できるため、医師は、特定のがん患者で用いるべき治療・診断手続きについてより早期に判断することが可能になり、がんの転帰が改善される可能性がある。
一例では、NSCLCを有する被験対象におけるEGFR活性化変異の変異荷重は、治療サイクル(その中には、化学療法、TKI療法や、これら療法の組み合わせが含まれる可能性がある)の前または間に求められる。治療サイクル中(例えば6回のサイクル中の第3サイクルの間)に検出されるEGFR活性化変異の変異荷重は、TKI療法の成功に関する予測因子として利用され、いくつかの場合には、TKI療法を利用するかしないかでの患者の生存に関する予後因子として利用される。別の一例では、NSCLCを有する被験対象におけるEGFR活性化変異の変異荷重は、基準時点に、または何らかの治療(その中には、化学療法、TKI療法や、これら療法の組み合わせが含まれる)を開始する前に検出される。基準時点に検出されるEGFR活性化変異の変異荷重は、PFSとOSの一方または両方によって測定されるTKI療法の成功に関するEGFR変異陽性患者の予測因子として利用される。検出された変異荷重に関する実験データを、利用できる証拠(例えば臨床試験の結果)に基づいて解釈し、患者におけるNSCLCの転帰に関する予後因子および/または予測因子として利用する。例えば、特定の時点に検出された変異荷重に関する実験データは、特定の患者で起こる可能性が大きい転帰のための予後因子として利用することや、ある治療法に対する応答を予測するのに利用することができる。一例では、1つの治療サイクル中に検出されたEGFR活性化変異の変異荷重は、特定の患者のOSの予後因子として役立ち、予後は、患者を治療するため化学療法を単独で、またはTKI療法と組み合わせて利用するかどうかに関係なく、EGFR活性化変異の変異荷重が検出された患者ではより長いと評価されている。別の一例では、化学療法とTKI療法を組み合わせた治療サイクルの間に患者で検出されるEGFR活性化変異の変異荷重は、NSCLC 患者におけるTKI療法の成功の予測因子として役立ち、PFSとOSの上昇として表現される。特定の患者で可能性の大きい転帰を評価した後、本明細書の「被験対象の血液中で変異した腫瘍関連配列を検出することによりその被験対象で固形腫瘍がんをモニターする方法」の項で議論したガイドラインの例に従って臨床判断を下すことができる。
腫瘍関連変異の改善された検出
本明細書に記載した方法の実施態様では、核酸配列を適切な方法(例えば定量的増幅や核酸シークエンシング)で検出する。定量的増幅の方法は、例えば、アメリカ合衆国特許第5,210,015号、第5,804,375号、第6,127,155号、第6,180,349号、第6,033,854号、第5,972,602号のほか、例えばHolland他、Proc. Natl. Acad. Sci.、第88巻:7276〜7280ページ(1991年);Gibson他、Genome Research、第6巻:995〜1001ページ(1996年);DeGraves他、Biotechniques、第34巻(1):106〜110ページ、112〜115ページ(2003年);Deiman B.他、Mol. Biotechnol.、第20巻(2):163〜179ページ(2002年)に開示されている。増幅は、“リアルタイム”でモニターすることができる。標準的なサンガー・ジデオキシ法や他のより古いヌクレオチド・シークエンシング法を利用できるが、シークエンシングは、ハイスループット・シークエンシング(例えば、HiSeq(登録商標)、MiSeq(登録商標)、ゲノム分析装置(それぞれIllumina社から入手可能)、SOLiD(登録商標)、Ion Torrent(登録商標)(それぞれLife Technologies社から入手可能)、454(登録商標)シークエンシング(Roche Diagnostics社)などの“次世代シークエンシング”法)を利用するとき特に効果的に実施できる。例えばハイスループット・シークエンシングでは、多数の鋳型と多数のプライマーを用いた並列シークエンシング反応により、ゲノムの、またはゲノムの大きな部分の迅速なシークエンシングが可能になる。例えばWO 03/004690、WO 03/054142、WO 2004/069849、WO 2004/070005、WO 2004/070007、WO 2005/003375、WO 00/06770、WO 00/27521、WO 00/58507、WO 01/23610、WO 01/57248、WO 01/57249、WO 02/061127、WO 03/016565、WO 03/048387、WO 2004/018497、WO 2004/018493、WO 2004/050915、WO 2004/076692、WO 2005/021786、WO 2005/047301、WO 2005/065814、WO 2005/068656、WO 2005/068089、WO 2005/078130と、Seo他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(2004年)第101巻:5488〜5493ページを参照のこと。いくつかの実施態様では、アンプリコンは、塩基組み込み法(例えばパイロシークエンシング法(アメリカ合衆国特許第6,274,320号、第6,258,568号、第6,210,891号))、水素イオン検出法(ISFET)(アメリカ合衆国特許第8,262,900号)、染料ターミネータ検出法(アメリカ合衆国特許第7,835,871号、第8,244,479号、第8,315,817号、第8,412,467号)から選択した方法の1つによってシークエンシングされる。ディープ・シークエンシングの技術と装置(すなわちディジタルな配列読み出しが可能な技術と装置)も使用できる。装置の例として、GSファミリーの装置(454 Life Sciences社、ブランフォード、コネティカット州);ION PROTON(登録商標)とPGM(登録商標)(Life Technologies社、グランド・アイランド、ニューヨーク州);HISEQ(登録商標)とMISEQ(登録商標)(Illumina社、サン・ディエゴ、カリフォルニア州)や、これらのあらゆる改良装置と変更装置が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様では、定量PCRを利用する。定量PCRは、一般に、PCR反応の開始時に使用する標的核酸配列の量を定量できる方法を意味する。定量PCR技術では、定量のためにさまざまな方法が利用される。定量PCR法の一例は“リアルタイムPCR”であり、これは、“リアルタイム定量PCR”と呼ぶこともできる。いくつかの文献では“リアルタイムPCR”と“定量PCR”という用語を同義語として使用しているが、本明細書には当てはまらない。ここでは、“定量PCR”という用語は、PCRに基づいていて、最初に存在する標的核酸配列の定量を可能にするあらゆる技術を包含する。“リアルタイムPCR”という用語は、定量PCR技術のうちで、PCR反応全体を通じて、すなわちリアルタイムでPCR産物の検出を可能にする技術を表わすのに用いる。リアルタイムPCRの原理は、一般に、Holland他(1991年)と、Held他、「リアルタイム定量PCR」、Genome Research、第6巻:986〜994ページ(1996年)に記載されている。一般に、リアルタイムPCRでは、各増幅サイクルで信号を測定する。従来のリアルタイムPCR技術は、すべての増幅サイクルが終了したときに信号を出す蛍光団に依存している。そのような蛍光体の例は、二本鎖DNAに結合したときに規定された波長で蛍光を出す蛍光染料(例えばSYBRグリーン)である。したがって、各増幅サイクルの間の二本鎖DNAの増加は、PCR産物の蓄積が理由で、蛍光強度の増加につながる。リアルタイムPCRで用いられる蛍光団の別の一例は、配列特異的蛍光レポータ・プローブである。そのようなプローブの例は、TaqMan(登録商標)プローブとFRETプローブである。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光団と蛍光消光団を含んでいて、後者は蛍光団から出る蛍光を減らす。PCRの伸長段階の間にプローブはDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって開裂する。蛍光団が放出される結果として蛍光信号が増加する。蛍光信号は、PCR産物の量に比例する。FRETプローブは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用している。標識された2つの配列特異的プローブがPCRのアニーリング段階の間にPCR産物に結合するように設計されており、その結合の結果としてドナー蛍光団からアクセプタ蛍光団にエネルギーが移動する。その結果としてアニーリング段階で蛍光が増加する。蛍光は、PCR産物の量に比例する。
配列特異的レポータ・プローブを利用すると、標的配列が大きな特異性で検出され、非特異的DNA増幅の存在下でさえ定量が可能になる。同一の反応でいくつかの遺伝子を検出するため、色の異なる複数の標識を有する特異的プローブに基づく多重アッセイでは、蛍光プローブも使用できる。例えば、多重アッセイでは、同じPCR反応混合物の中で、さまざまな蛍光団(FAM、JA270、CY5.5、HEXなどが含まれるが、これらに限定されない)で標識したいくつかの配列特異的プローブを用いることができる。
変異したEGFR配列の本発明の方法による検出に用いるのに適している可能性のある多重アッセイの一例は、アレル特異的PCRである。このようなアッセイは、配列の野生型バリアントの存在下で核酸配列中の変異を検出するのにアレル特異的EGFRプライマーを利用するCOBAS(登録商標)EGFR変異試験キット(Roche Molecular Diagnostics社、インディアナポリス、インディアナ州)を用いて実施できる。アレル特異的PCRは、PCR反応混合物の中に存在する核酸配列のバリアントを選択的に増幅して検出する技術である。アレル特異的PCRでは、少なくとも1つの“アレル特異的プライマー”を使用する。“アレル特異的”プライマーという用語は、一般に、核酸配列の特定のバリアントが反応混合物の中に存在するときにだけPCR反応で伸長が起こるプライマーを意味する。言い換えるならば、アレル特異的プライマーは、核酸のバリアントを識別して、検出すべきバリアントが含まれる核酸鋳型を選択的に増幅するように設計される。
本明細書に記載した方法のいくつかの実施態様では、固形腫瘍がんを有する被験対象から得た血液サンプル中で腫瘍関連変異を検出する改善された方法を利用する。一例では、NSCLCを有する被験対象の血液中で1つ以上のEGFR変異を検出するステップは、その被験対象から得たサンプル中で1つ以上の変異したNSCLC核酸配列を検出することを含んでいる。この検出は、サンプル、またはそのサンプルから単離した核酸(例えば全ゲノムDNA)を1つ以上のアレル特異的プライマーおよびPCRの他の諸成分(例えば酵素やヌクレオチド)と接触させ、得られた反応混合物を、変異した核酸配列の選択的増幅が可能な条件下でインキュベートし、増幅された産物の存在を検出する操作を含むことができる。本明細書に記載した方法の実施態様では、変異した腫瘍関連核酸配列の検出を改善するため、アレル特異的PCRをリアルタイム定量PCRと組み合わせることができる。
血液サンプル中で腫瘍関連変異を検出する従来法は、典型的には、変異配列のPCR増幅を実施する前に、サンプル中の変異した配列の含量を増やすための追加ステップを利用している。例えば1つの従来法では、PCR増幅の前に被験対象の血液サンプルから腫瘍細胞を単離して、腫瘍関連変異の検出感度を向上させる。別の従来法では、変異した腫瘍関連配列に対応する変異していないDNA配列をヌクレアーゼで消化させた後、PCR増幅して変異していない配列のバックグラウンドを最少にする。本明細書に開示するのは改善された検出法であり、この方法は、定量PCRを利用していて、固形腫瘍がんを有する被験対象から得た血液サンプル中で腫瘍関連変異を検出することができ、有利なことに、リアルタイム定量PCRを実施する前に、腫瘍細胞や腫瘍DNAを単離したり、サンプル中の変異した配列の含量を増やしたりする追加ステップを必要としない。
上述のように、リアルタイムPCRは、PCR反応の間に測定可能なパラメータ(例えば蛍光)を検出することに依存している。測定可能なパラメータの量はPCR産物の量に比例するため、PCR産物の増加を“リアルタイムで”観察することが可能である。いくつかのリアルタイムPCR法では、PCR反応の進行を観察できることに基づき、入力したDNA鋳型を定量することが可能である。関係するデータの分析と処理についてはあとで議論する。核酸増幅アッセイの文脈における“増加曲線”または“増幅曲線”は、独立変数が増幅サイクルの数であり、従属変数が、各増幅サイクルで測定される測定可能な増幅依存性パラメータ(例えば蛍光団から出る蛍光)である関数のグラフである。典型的には、測定可能な増幅依存性パラメータは、ハイブリダイゼーションしたとき、またはプローブが核酸ポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって加水分解したとき、プローブから出る蛍光の量である。Holland他(1991年)Proc. Natl. Avcad. Sci.、第88巻:7276〜7280ページと、アメリカ合衆国特許第5,210,015号を参照のこと。典型的なポリメラーゼ連鎖反応では、増加曲線は、指数関数的増加した後に平坦になる区画を含んでいる結果として、線形スケールを用いるとシグモイド型増幅プロットになる。増加曲線は、“交点”値、すなわち“Cp”値によって特徴づけられる。“Cp”値は、測定可能なパラメータが所定の大きさに達したときのサイクルの数である“閾値”(またはCt値)と呼ぶこともできる。より小さなCp値は、増幅がより早く完了したことを表わすのに対し、より大きなCp値は、増幅がより遅いことを表わす。増幅の効率が同様である場合には、より小さなCp値は、開始時の標的核酸の量がより多いことを反映しているのに対し、より大きなCp値は、開始時の標的核酸の量がより少ないことを反映している。濃度が既知の対照核酸を用い、対照核酸が既知のさまざまな濃度であるときの“標準曲線”または一群の“対照”Cp値を生成させる場合には、標的核酸と対照核酸のCp値を比較することでサンプル中の標的核酸の絶対量を求めることが可能になる。
したがってリアルタイム定量PCRによる検出の精度は、多数のパラメータを正しく選択することにかかっている。正確に求める必要のある1つのパラメータは、Cp値が、コピー数の対数で表現した開始時の核酸の量と線形相関する範囲である。この範囲は、リアルタイムPCR アッセイの“有効範囲”または“アッセイ線形範囲”と呼ぶことができる。
発明者らは、腫瘍関連変異を含むことが一般には知られていないゲノムDNAを含有する血液サンプルが、それでもいくつかのゲノムDNA濃度で増幅信号を発生させる可能性があることを見いだした。いくつかの実施態様では、そのため信号のこのバックグラウンド・レベルはカットオフであり、その値よりも小さいと、信号が有効であるとせねばならない、すなわちバックグラウンドとは異なると見なす必要がある。上に指摘したように、バックグラウンド増幅のレベルは、ゲノムDNAの濃度とともに変化する。したがっていくつかの実施態様では、腫瘍関連変異の存在または不在の判断は、閾値を対照値と比較する操作を含んでいる。なお対照値は、サンプル中のゲノムDNAの濃度に依存して変化する。したがってサンプルのサイクル閾値が対照値よりも小さい場合には、サンプルが腫瘍関連変異を含んでいると見なし、サンプルのサイクル閾値が対照値以上である場合には、結果は、腫瘍関連変異の存在を示しておらず、“陰性結果”と呼ぶことができる。いくつかの実施態様、例えばpM1b転移ステージのNSCLC患者でEGFR変異を調べる実施態様では、そのような陰性結果は、患者の腫瘍にEGFR変異が不在であることを大きな確率で示している。別のいくつかの実施態様、例えばpM1b以外の転移ステージ(M0やpM1aなど)のNSCLC患者でEGFR変異を調べる実施態様では、そのような陰性結果は、患者の腫瘍にEGFR変異が不在であることを示していない可能性があるため、患者の腫瘍組織を再検査することを考えなければならない。
いくつかの実施態様では、対照値は、最大のCp値であるか、標的DNAの不在下で非特異的増幅が起こる範囲であり、“ブレイクスルー”値と呼ぶことができる。いくつかの実施態様では、対照値は、実際にはある範囲の値であり、考慮するためにはサンプルからの陽性値がその範囲内に入らねばならない。言い換えるならば、その範囲は、バックグラウンド信号の典型的な範囲の外側で可能な信号レベルを表わす。いくつかの実施態様では、対照範囲は、上記のブレイクスルー値と陽性対照のサイクル閾値の間である。いくつかの実施態様では、対照値は、内部対照(例えば、変異した遺伝子座で頻繁に変異することはない別の領域)の増幅に基づいている。
本明細書に記載した改善されたリアルタイム定量PCR法を用いると、リアルタイムPCR反応混合物中のさまざまなレベルのゲノムDNAで対照DNAの標準曲線を生成させ、アッセイの線形性が観察される範囲に基づいて有効なサイクル-閾値範囲を選択することにより、有効なサイクル閾値(Ct)範囲が確立される。本明細書に記載した改善された方法の他のいくつかの実施態様に従い、定量リアルタイムPCR反応のための対照値またはカットオフ値を決める。そのカットオフ値よりも下では、標的DNAの不在下での非特異的増幅が、反応混合物に存在する標的DNAの定量的検出を妨げる可能性が小さい。別のいくつかの実施態様では、本明細書に記載した改善された方法は、反応混合物に存在する標的DNAを定量するための較正曲線を利用しており、この較正曲線では、サンプルに存在するさまざまな量のゲノムDNAが考慮されている。上で議論したリアルタイムPCRアッセイの改善のさまざまな組み合わせを、血液サンプル中の腫瘍関連変異、またはゲノムDNA中の別の標的遺伝子座を検出する改善された方法に組み込むことにより、そのような検出の精度を予想外に大きくすることができる。
計算と比較
本明細書に記載した方法に関する(例えばサンプル信号と対照値または対照範囲の)計算と比較では、コンピュータに基づく計算とツールを利用することができる。ツールは、従来型設計の汎用コンピュータ・システム(本明細書では“ホスト・コンピュータ”と呼ぶ)によって実行可能なコンピュータ・プログラムの形で提供すると有利である。ホスト・コンピュータは、多数の異なるハードウエア素子を用いて構成することができ、多くのサイズと形態で製造することができる(例えばデスクトップPC、ラップトップ、タブレットPC、携帯式コンピュータ、サーバ、ワークステーション、メインフレーム)。標準部品(例えばモニター、キーボード、ディスク・ドライブ、CDドライブおよび/またはDVDドライブなど)も含めることができる。ホスト・コンピュータをネットワークに接続する場合、接続は、適切な任意の通信媒体(例えば有線媒体、光媒体、無線媒体)と適切な任意の通信プロトコル(例えばTCP/IP)を通じて提供することができる。ホスト・コンピュータは、適切なネットワーク用ハードウエア(例えばモデム、イーサネット(登録商標)・カード、WiFiカード)を含むことができる。ホスト・コンピュータは、さまざまなオペレーティング・システムの任意のもの(UNIX(登録商標)、Linax、マイクロソフト・ウインドウズ、MacOSや、他の任意のオペレーティング・システム)を実装することができる。
本発明の特徴を実現するためのコンピュータ・コードは、さまざまな言語(PERL、C、C++、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、VBScript、AWKや、ホスト・コンピュータ上で実行可能であるか、ホスト・コンピュータ上で実行させるためにコンパイルできる他の任意のスクリプティング言語またはプログラミング言語)で書くことができる。コードは、下位レベルの言語(例えばアセンブラ言語や機械言語)で書くことまたは配布することもできる。
ホスト・コンピュータ・システムがインターフェイスを提供し、そのインターフェイスを通じてユーザーがツールを操作することが好ましい。本明細書に記載した例では、ソフトウエア・ツールは(例えばPERLを用いた)スクリプトとして実現され、その実行は、ユーザーが、オペレーティング・システム(例えばLinaxやUNIX(登録商標))の標準コマンド・ライン・インターフェイスから開始させることができる。当業者は、コマンドを適宜オペレーティング・システムに適合させることができることがわかるであろう。別の実施態様では、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスを用意し、ユーザーがポインティング装置を用いて操作を制御できるようにすることができる。したがって、本発明が、ある特定のユーザー・インターフェイスに限定されることはない。
本発明のさまざまな特徴を組み込んだスクリプトまたはプログラムは、保管および/または伝送のため、さまざまなコンピュータ可読媒体上にコード化することができる。適切な媒体の例として、磁気ディスク、光記憶媒体(例えばコンパクト・ディスク(CD)やDVD(ディジタル万能ディスク))、フラッシュ・メモリや、さまざまなプロトコルに合致した有線、光、無線のネットワーク(インターネットを含む)を通じた伝送に適した搬送信号が挙げられる。
本発明の実施態様に適用できる一般的な考慮事項
固形腫瘍がん(例えばNSCLC)を有する被験対象は、本発明の実施態様による方法を実施する前には診断されていなかった固形腫瘍がんを持っている可能性がある。例えば被験対象は、固形腫瘍がんを診断するための他の診断手続きが完了する前に、またはその診断手続きの間に、血液中で腫瘍関連変異(例えばEGFR変異配列)の存在を調べることができる。そのような診断手続きの例は、さまざまなイメージング技術や、バイオプシーの間に得られたサンプルの組織学的分析である。同様の考察が、固形腫瘍がんを有する被験対象の転移状態とがんのステージ分類に当てはまる。転移状態(例えばNSCLC のM1a状態またはM1b状態)とがんのステージ分類は、本発明の実施態様による方法の前に、またはその方法と同時に、またはその方法の後に明らかにすることができるが、被験対象に対して実施するさまざまな診断ステップと手続きの順序による制限を受けることはない。
本明細書に記載した方法では、被験対象の固形腫瘍癌の状態を正確に評価するため、被験対象の血液中での変異した腫瘍関連配列の検出に加え、適切な診断手続きを利用することができる。追加の診断手続きをうまく選択して、被験対象の固形腫瘍癌の評価精度を向上させる。追加の診断手続きとして、さまざまなイメージング技術、バイオプシー、組織学的分析、配列分析や、他の手続きが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載した方法は、純粋に診断手続きに限定されることはなく、さまざまな治療ステップも含むことができるため、診断に関して本明細書に記載した発見を応用、利用して固形腫瘍がん(その一例がNSCLC)を治療する改善された方法が実現される。一実施態様では、がんの適切な治療と診断手続きを、固形腫瘍がんを有する被験対象の血液中の腫瘍関連変異の存在または不在(例えば、NSCLC被験対象の血液中で検出される腫瘍関連EGFR変異の存在または不在)に基づいて適切に選択し、実施する。本明細書に記載したがん治療には、外科手術または非侵襲性治療(例えば薬剤治療や放射線療法)を含めることができる。
腫瘍関連変異
本明細書に記載した方法に従って検出される腫瘍関連変異は、固形腫瘍がんを有する被験対象で見いだされる変異であり、被験対象における固形腫瘍がんの発達に影響を与える。例えば腫瘍関連変異は、がんの発生、進行、再発のほか、がん療法に対するがんの応答性または感受性に影響を与える可能性がある。本明細書に記載した方法に従って検出できる腫瘍関連変異の一例は、前がん遺伝子中の変異であり、その変異が前がん遺伝子をがん遺伝子に変換する。別の一例は、腫瘍抑制遺伝子中の変異であり、その変異の結果としてその遺伝子の機能の喪失または低下が起こる。本発明の方法に従って検出できる変異は、タンパク質をコードしている遺伝子中の変異に限定されず、非コード核酸配列(例えば調節要素、非コードRNAをコードしている配列、他の非コード配列)中の変異も含まれる。タンパク質をコードしている核酸配列の腫瘍関連変異として、イン-フレーム欠失またはイン-フレーム挿入のほか、置換が可能である。例えば検出される変異したEGFR配列は、典型的には、1つ以上のイン-フレーム・ヌクレオチドの欠失または挿入を含む核酸配列と、EGFRの変異したアミノ酸配列になるヌクレオチド置換を含む核酸配列である。腫瘍関連変異によってタンパク質が融合する可能性がある。患者の血液中で検出できて、がんの発生、進行、再発とがん療法のモニターに使用できる腫瘍関連変異のいくつかの例として、以下の変異、すなわちEGFR変異、KRAS変異(KRASコドン12、13、61、146における変異が含まれる)、ALK変異(ALK融合が含まれる)、ROS1変異(ROS1融合が含まれる)、c-MET変異、PIK3CA(PI3K-CA)変異、NRF2変異、FGFR1-3変異、AKT1変異(AKT1融合が含まれる)、BRAF変異(V600E置換が含まれる)、NRAS変異、TMPRSS2:ERG融合、SPOP変異、RET融合、PPAR-γ融合、IDH-1変異、IDH-2変異が挙げられるが、これらに限定されない。上記の変異のいくつかはいくつかの固形腫瘍がんに関係しているが、すべての固形腫瘍がんに関係しているわけではないことを理解されたい。したがって上記の腫瘍関連変異のいくつかの検出は、ある種のがんを評価するのにより適切である可能性がある。例えば以下の変異の検出は、肺がんの評価に適している可能性がある:EGFR変異、KRAS変異、ALK融合、ROS1融合、c-MET変異、PIK3CA(PI3K-CA)変異、NRF2変異、FGFR1-3変異。別の一例では、AKT1変異(融合を含む)の検出が、乳癌の評価に適している可能性がある。別の一例では、KRAS変異(例えばコドン12、13、61、146の変異)、BRAF置換V600E、NRAS変異、PIK3CA(PI3K-CA)変異、EGFR細胞外ドメインのホット・スポット変異の検出を利用して結直腸がんを評価することができる。TMPRSS2:ERG融合とSPOP変異の検出を利用して前立腺がんを評価することができる。BRAF変異、NRAS変異、RET融合、PPAR-γ融合の検出を利用して甲状腺がんを評価することができる。IDH-1と IDH-2における変異の検出を利用してグリオブラストーマを評価することができる一方で、FGFR3における変異の検出を利用して膀胱がんを検出することができる。腫瘍関連変異とがんの種類の関連性に関する上記のリストは完全または限定的ではないことを理解されたい。
非小細胞肺がん
肺がんは、肺組織に形成される固形腫瘍がんである。たいていの肺がんは、空気の通路に沿って並んだ上皮細胞で始まる。このタイプのがんは、“非小細胞肺がん (Non-Small Cell Jung Cancer)”(NSCLC)と呼ばれている。より頻度が小さい他のタイプの肺がんは、“小細胞肺がん” と呼ばれており、非上皮肺細胞(例えば神経細胞やホルモン産生細胞)で始まる。肺がんのNSCLCと小細胞肺がんへの分類は、適切な治療法を決める上で重要である。肺がんについては、患者の体内におけるがんの程度を記述するステージ分類に関する説明もある。現在の臨床の実務では、肺がんは、一般に、国際がん連合(UICC)によって開発されて管理されている悪性腫瘍(TNM)の分類に従ってステージ分類される。TNM分類は、腫瘍のサイズ、腫瘍が近傍の組織に侵入しているかどうか、局所的リンパ節の関与、遠隔転移、身体の1つの部分から別の部分へのがんの広がりを考慮している。現在のTNM分類によれば、肺がんは5つのステージに分割される。ステージ0はインサイチュ肺がんとも呼ばれ、がんが肺の外部の組織に侵入していないことを意味する。ステージIの肺がんは、どのリンパ節にも広がっていない小さな腫瘍であり、外科的に完全に除去することができる。ステージIは、腫瘍のサイズに基づいて2つの下位ステージAとBに分けられる。3cm未満の小さな腫瘍はステージIAに分類される。3〜5cmのステージIの腫瘍は、一般にステージIBの肺がんに分類される。ステージIIは、一般に、より大きな腫瘍を意味し、下位ステージIIAは、リンパ節まで広がったより大きな腫瘍(幅が5cm超だが7cm未満)か、肺内の近傍の構造に侵入していてもいなくてもよいが、リンパ節には広がっていないより大きな腫瘍(幅が7cm超)を表わす。
肺がんは、転移するとき、肺腫瘍から壊れた後に血管またはリンパ管を通って広がる。ステージIIIは、肺の外部の組織に広がっているため除去が困難ながん腫瘍を表わす。ステージIIIのがんは、ステージIIIAまたはIIIBのどちらかに分類される。多くのステージIIIAのがんと、ほぼすべてのステージIIIBのがんにとって、腫瘍は除去することが難しく、ときには除去することが不可能である。例えばステージIIIBの肺がんは、胸部の中心に位置するリンパ節まで広がっているか、肺内の近傍の構造に侵入している可能性がある。ステージIVは、一般に、転移プロセスにより、他方の肺内の2つ以上の領域、または肺や心臓を取り囲む体液、または身体の遠い部分に広がった肺がんを表わす。“ステージIVA”という用語は、胸部内に広がっている肺がんを記述するのに使用できるのに対し、“ステージIVB”という用語は、肺がんが胸部の外部に広がったときに用いる。一般に、ステージIIIまたはステージIVの大半の肺がんでは、外科手術は成功しない。肺がんは、鎖骨上方のリンパ節まで広がった場合や、がんが胸部内の中枢構造(例えば心臓、大きな血管、肺に通じる主要な呼吸管)へと増殖した場合にも除去が不可能である。ステージIIIとIVの肺がんは、“後期肺がん”または“進行した肺がん”と記述することができる。
後期肺がんまたは進行した肺がんは、その転移状態または転移ステージで特徴づけることができる。例えばいわゆる転移ステージM0とM1は、がんの転移状態を表わすのに使用できる。M0転移状態は、一般に、患者で肺がんの転移が検出されないことを示す。M1状態は、一般に、転移が検出されることを示す。M1転移状態は、さらにステージM1aとM1bに分割することができる。転移ステージM1aは、一般に、独立した腫瘍ノジュールが反対側の肺葉に出現する転移性肺がんを記述するのに用いられ、これは、胸膜ノジュールまたは悪性胸膜または心臓周辺浸出のある肺がん腫瘍である。被験対象におけるNSCLCがんの転移状態は、さまざまな診断手続き(その中には、イメージング技術(例えばPETスキャン)、バイオプシーによって得られた組織サンプルの組織学的検査が含まれる)によって明らかにすることができる。転移ステージM1bは、一般に、胸部外臓器に遠隔転移がある肺がんを記述するのに用いられる。
上皮増殖因子受容体
上皮増殖因子受容体(EGFR)はHER-1またはErb-B1としても知られており、一部の患者におけるNSCLCの発達と進行に関与するがん遺伝子である。EGFRは、Erbファミリーの膜結合受容体タンパク質である。EGFRは、細胞外リガンド結合ドメインと、膜貫通ドメインと、チロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインを含んでいる。EGFRは、モノマーの状態では不活性である。EGFRは、リガンドが結合することによって他のHERファミリーのメンバーとのホモダイマーまたはヘテロダイマーになった後、分子間チロシンリン酸化が起こる。アダプタ分子またはシグナル伝達分子がリン酸化したEGFRに結合し、そのことが下流の細胞内シグナル伝達カスケードの引き金を引く。EGFRが引き金となるシグナル伝達カスケードの例は、Aktカスケード、STATカスケード、MAPKカスケードである。EGFRは、いくつかの機構によってさまざまながんの増殖を促進する。それらの機構には、EGFR増幅と、EGFRの変異による活性化が含まれるが、これらに限定されない。
EGFRのチロシンキナーゼ活性を抑制する抗がん治療薬が開発された。そのような2種類の薬は小分子のゲフィチニブとエルロチニブであり、これらはキナゾリン誘導体のクラスに属している。ゲフィチニブとエルロチニブは両方ともEGFRチロシンリン酸化を抑制することがわかっている。ゲフィチニブとエルロチニブの承認につながった臨床研究では、これらの薬は、化学療法の後に非小細胞肺がん(NSCLC)患者の比較的小さな一部で生存を延ばすことが示された。その後の研究により、NSCLC患者の一部には、EGFRチロシンキナーゼ・ドメインに変異が存在していて、これら変異が、臨床でのゲフィチニブとエルロチニブに対する応答性と関連していることが明らかにされた。ゲフィチニブとエルロチニブに対する耐性と関連していたEGFR変異も同定された。NSCLC患者におけるEGFR変異の領域と、それとゲフィチニブとエルロチニブを用いた療法との関連性は、例えば、PaoとMiller、Journal of Clinical Oncology、第23巻:2556〜2568ページ(2005年)と、Rosell他、Clin. Cancer. Res.、第12巻:7222〜7231ページに見いだされる。したがってNSCLC患者におけるEGFR変異の存在または不在は、患者におけるNSCLCの状態を評価する(例えば、特定の患者のNSCLCがEGFRを標的とする療法に応答する可能性があるかどうかを判断する)ための適切なマーカーとして機能することができる。
既知の標的化薬剤治療に対する薬剤感受性または薬剤耐性に関係する既知のEGFR変異は、一般に、EGFRのチロシンキナーゼ・ドメインに位置する。既知の変異のいくつかを図1と表1に示す。これら変異のいくつかは、EGFRシグナル伝達を促進する“活性化変異”に分類される。活性化EGFR変異のいくつかは、標的化薬剤治療(例えばチロシンキナーゼ阻害剤療法)に対する感受性と関係しており、“鋭敏化”変異と呼ばれることがある。そのような変異の例は、イン-フレーム欠失EGFRエキソン19と、いくつかのアミノ酸置換である。アミノ酸置換は、例えば、L858R、L861Qや、G719における置換(G719Xと呼ばれることがあり、その中にはG719A、G719C、G719Sが含まれるが、これらに限定されない)である。
他のEGFR変異は、チロシンキナーゼ阻害剤治療に対する耐性と関係しており、その治療をしている間に生じることがしばしばある。このような変異は、“耐性”変異と呼ぶことができ、その例は、イン-フレームEGFRエキソン20挿入と、T790MとS678Iというアミノ酸置換である。本明細書に記載した方法では、NSCLCを有する被験対象の血液中でEGFR変異(その中には、活性化変異と耐性変異が含まれる)を検出することを利用する。
実施例1
核酸の単離とPCR増幅
全サンプルを肺がん(NSCLC)患者から取得した。核酸の単離は、COBAS(登録商標)DNAサンプル調製キット(Roche Molecular Diagnostics社、インディアナポリス、インディアナ州)を製造者の指示に従って用いて実施した。COBAS(登録商標)EGFR変異試験キット(Roche Molecular Diagnostics社)を製造者の指示に従って用い、リアルタイム・アレル特異的PCR増幅をCOBAS(登録商標)装置で実施した。簡単に述べると、COBAS(登録商標)キットは、ヒトEGFR遺伝子でさまざまな変異を検出するアレル特異的リアルタイムPCRのための3種類の反応混合物MMX1、MMX2、MMX3を含んでいる。MMX1は、ヒトEGFR遺伝子のエキソン19にある複数の欠失(Ex19Delと呼ぶ)と置換変異S768I(JA270信号)を探すためのプライマーと6-カルボキシフルオレセイン(FAM)で標識したプローブを含んでいる。MMX2は、置換変異L858R(FAM信号)と置換変異T790M(JA270信号)を探すためのプライマーとプローブを含んでいる。MMX3は、置換変異L861Q(FAM信号)と、一連の置換変異G719X(HEX信号)と、ヒトEGFR遺伝子のエキソン20にある複数の挿入(Ex20Ins)(JA270信号)を探すためのプライマーとプローブを含んでいる。各反応混合物は、ヒトEGFR遺伝子のエキソン28を標的とする内部対照(IC)プライマーとプローブ(Cy5.5信号)をさらに含んでいる。
実施例2
DNA 標的を定量するための較正曲線の確立
アッセイを較正するため、COBAS(登録商標)EGFR変異試験キットを用いてさまざまな量のゲノムDNAでリアルタイムPCR増幅を実施した。12通りのレベルのゲノムDNAを調べた:0.25、0.5、1、2、4、8、16、32、64、125、250、500 ng/反応。それぞれのゲノムDNAレベルにおいて、キットに含まれる異なる3通りの多重PCR反応混合物(MMX1、MMX2、MMX3、実施例1参照)の中の内部対照(IC)プライマーとプローブを用いて同じPCRアッセイを120回実施した。得られた標準曲線を図2に示す。図2では、X軸はゲノムDNAのレベルを表わし、Y軸は、反応で得られた交点(Cp)に対応するサイクル数を表わす。図2に示した実験データに基づき、内部対照値の有効範囲(IC Cp範囲)を20〜32に設定した。選択した有効Cp範囲では、試験したすべての反応混合物でアッセイの線形性が観察された。
実施例3
定量PCRアッセイのためのカットオフ限界の確立
各反応混合物について、PCRの後期サイクルで起こる真の標的の不在下での非特異的増幅(それを“ブレイクスルー増幅”と名づけた)からのデータを用い、有効IC Cp範囲の中で測定可能な範囲を確立した。各反応混合物について、少なくとも1セットのプライマーとプローブでブレイクスルー増幅が観察された。各反応混合物内の各標的について、CpRの値を求めた。CpRは、内部対照信号とブレイクスルー信号の差であり、同じ反応で観察されたブレイクスルーCpと内部対照Cpの差として計算される。例えば(表2に示した)Ex19Del標的では、試験した高いほうのレベルのゲノムDNAでブレイクスルーが起こったが、CpRはそれらのレベルで常に大きかった。観察された最小CpRをカットオフ値として選択した。実施例2で議論したようにIC値Cpが有効範囲内にあり、CpR値(標的信号と対照信号の差)が17.7というカットオフ値よりも小さかった場合にだけ、標的Ex19Del信号が陽性である(変異が検出された)と見なした。
あるいはカットオフは、単純に、較正の実施例で観察されたブレイクスルーCpの最小値として設定することができる。表2に示してあるように、S768I標的については、IC値が有効範囲内にあり、標的Cp値が34サイクルというブレイクスルー閾値よりも下である場合にだけ、標的信号を陽性であると見なした。
実施例4
野生型ゲノムDNA標的の存在下で変異標的を定量するための較正曲線の確立
がん細胞と正常細胞の他にゲノムDNAも含んでいる患者のサンプルに似せるため、アッセイによって検出できるさまざまな量の各変異標的(実施例1参照)を、さまざまな量の野生型ゲノムDNAと組み合わせた。T790M変異を含むさまざまな量の標的核酸(2、4、8、50、100、200 ng/反応)を、バックグラウンドとなるさまざまな量の野生型ゲノムDNA(0.25、0.5、1.0、2.0、3.9、7.8、15.6、31.3、62.5、125、250、500 ng/反応)と組み合わせた。次に、実験で得られた標的特異的Cpを、入力標的DNAの量に対してプロットした。異なるレベルの標的DNAで得られたT790M特異的プローブの信号(JA270 Cp)を平均し、サンプル中に存在するT790M変異標的のコピー数の対数値に対してプロットした。得られた較正曲線を図3に示す。
実施例5
肺がん(NSCLC)患者の血液中の変異EGFR DNAの検出
化学療法を実施した後かつエルロチニブ標的治療の前と最中に、血漿サンプルをNSCLC患者から回収した。サンプル回収の予定表の概略を図4に示す。サンプルは、図4にCP0-4として示した時点で4週間ごとに回収した。サンプルの回収は必ずしも時点CP4で停止しなかった。回収した血漿サンプルからDNAを単離し、COBAS(登録商標)キットを製造者の指示に従って用いてリアルタイムPCR増幅を実施した(実施例1参照)。例示を目的として、2人の患者(“ケースA”と“ケースB”)の血漿中で測定したEGFRの活性化エキソン19欠失(Ex19Del)とT790M活性化置換のレベルを図5にグラフで示す。両方の患者において、初期診断で得られた腫瘍組織サンプルは、活性化EGFR変異(Ex19Del)を含んでいるが耐性変異(T790M)は含んでいないことが以前に明らかにされていた。実施例4に記載した較正曲線を用い、変異DNA配列の量(それはコピー数で表わされ、図5に示したグラフのY軸にプロットされている)を測定した。ケースAとケースBの両方で、血液中の変異DNAの量の増加がNSCLCの進行と相関していた。そのことは、適切なイメージング技術によって検出されるとともに、エルロチニブ治療に対する耐性の上昇からも示される。
実施例6
転移状態が異なるNSCLC患者の血液中でのEGFR変異の検出
NSCLC 患者の血漿中でのEGFR変異の検出と患者の転移状態を相関させる2つの研究を実施した。第1の研究(研究I)では、血漿サンプルとマッチング組織サンプルを28人のステージIVのNSCLC 患者から回収した。組織サンプルと血漿サンプルの変異状態を調べた。サンプル中で検出された変異に関するデータを患者の転移状態と比較した。研究Iの実験データを表3と表4にまとめてある。
第2の研究(研究II)では、血漿サンプルとマッチング組織サンプルを17人のステージIVのNSCLC 患者から回収した。組織サンプルと血液サンプルの変異状態を調べた。サンプル中で検出された変異に関するデータを患者の転移状態と比較した。研究IIの実験データを表5-I、表5-II、表6にまとめてある。
研究Iと研究IIの両方において、組織サンプルと血漿サンプルにおけるEGFR変異の検出の間の陽性一致率は、遠隔転移がない患者(転移状態pM1a)よりも遠隔転移を有する患者(転移状態pM1b)で有意に大きいことが観察された。転移状態が異なるNSCLC患者の血液中での活性化EGFR変異の検出に関する研究Iと研究IIの実験データのまとめを表7に示す。
実施例7
最初にNSCLCと診断された患者の血液中でEGFR変異を検出することの利点
EGFR活性化変異は、最初にステージIIIB〜ステージIVのNSCLC であると診断された200人の患者で検出される。検出は、一般に、前の実施例に記載した手続きに従って実施される。活性化EGFR変異は、20%の患者の血液で検出される。耐性EGFR変異は、活性化EGFR変異を有する患者の一部で検出される。これら患者の転移状態は、PETスキャンによって明らかにされる。50%の患者はpM1a転移状態であると判定され、50%の患者はpM1b転移状態であると判定される。血液中で活性化EGFR変異が検出されることと、pM1a患者ではなくてpM1b患者の腫瘍組織にその変異が存在することの間の陽性一致率が大きいという知見に基づくと、血液中で検出可能なEGFR活性化変異を有するpM1b患者とpM1a患者には、追加の診断手続きを実施することなく、標的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法が推奨され、実施される。標的TKI療法は、血液中で検出可能なEGFR活性化変異がないpM1b患者や、血液中で検出可能な耐性変異があるpM1b患者には勧められない(追加の診断手続きが必要であるとは考えられない)。血液中で検出可能なEGFR活性化変異がないpM1a患者は、腫瘍組織のバイオプシーへと進み、バイオプシー・サンプル中でのその後の変異検出により、これらの患者がEGFR療法の候補であるかどうかを判断する。200人の患者に関する上記の意思決定プロセスを図6に図示する。この意思決定プロセスのもとでは、200人のうちで94人の患者だけがバイオプシーを必要とし、その後に組織変異試験を実施して、彼らがTKI標的治療の候補であるかどうかを判断する。
実施例8
再発したNSCLC患者の血液中でEGFR変異を検出することの利点
EGFR活性化変異は、ステージIIIB〜ステージIVのNSCLC を有する200人の再発患者で検出される。検出は、一般に、前の実施例に記載した手続きに従って実施される。活性化EGFR変異は、20%の患者の血液で検出される。これら患者の転移状態は、PETスキャンによって明らかにされる。40%の患者はpM1a転移状態であると判定され、60%の患者はpM1b転移状態であると判定される。血液中で活性化EGFR変異が検出されることと、pM1a患者ではなくてpM1b患者の腫瘍組織にその変異が存在することの間の陽性一致率が大きいという知見に基づくと、血液中で検出可能なEGFR活性化変異を有するpM1b患者とpM1a患者には、追加の診断手続きを実施することなく、標的チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)療法が推奨され、実施される。標的TKI療法は、血液中で検出可能なEGFR活性化変異がないpM1b患者には勧められない(追加の診断手続きが必要であるとは考えられない)。血液中で検出可能なEGFR活性化変異がないpM1a患者は、腫瘍組織のバイオプシーへと進み、バイオプシー・サンプル中でのその後の変異検出により、これらの患者がEGFR療法の候補であるかどうかを判断する。200人の患者に関する上記の意思決定プロセスを図7に図示する。この意思決定プロセスのもとでは、200人のうちで75人の患者だけがバイオプシーを必要とし、その後に組織変異試験を実施して、彼らがTKI標的治療の候補であるかどうかを判断する。
実施例9
NSCLC患者の血液中でEGFR変異を検出することの利点
EGFR活性化変異は、ステージIIIB〜ステージIVのNSCLCを有する200人の再発患者の血液で検出される。検出は、一般に、前の実施例で記載した手続きに従って実施される。意思決定プロセスの概略を図8に示す。
実施例10
臨床研究
NSCLC患者における治療結果を評価するため、臨床研究を実施した。この研究の設計を図9に図示する。以前に未治療のステージIIIB/IV NSCLCであった451人の患者が研究に参加した。患者をがんのステージ、組織学、喫煙状態によって層化して2つのほぼ等しい群に分け、治療計画を割り当てた。以下により詳しく議論するように、3通りの治療計画、すなわちゲムシタビン+カルボプラチン、シスプラチン+エルロチニブ、シスプラチン+プラセボを用いた。2つの患者群を、この研究の2つの異なる群、すなわち化学療法とTKI療法の組み合わせを意味する組み合わせ療法の群と、化学療法の群に割り当てた。4週間治療した段階で、組み合わせ療法群(“CE群”)に参加した患者には、1,250mg/m2のゲムシタビンを各治療サイクルの1日目と8日目に投与し、それに加えて75 mg/m2のカルボプラチン AUC=5またはシスプラチンを1日目に投与し、それに加えて150mg/日のエルロチニブ(タルセバ(登録商標))を15〜28日目に投与した。化学療法群(“C群”)の患者には、1,250mg/m2のゲムシタビンを各治療サイクルの1日目と8日目に投与し、それに加えて75 mg/m2のカルボプラチン AUC=5またはシスプラチンを1日目に投与し、それに加えてプラセボを15〜28日目に投与した。それぞれの群で6治療サイクルにわたって上記の療法を繰り返した(“治療相”)。維持相では、組み合わせ療法群に参加した患者に、進行する疾患が出現するまで150mg/日のエルロチニブを投与した。化学療法群の患者には、進行性疾患が出現するまでプラセボを投与し、出現した時点で150mg/日のエルロチニブの投与を開始した。進行性疾患(PD)は、RECISTに従って定義した。
多数の研究参加者から、療法を実施する前の研究開始時(“基準 (baseline)”)に基準組織サンプルと基準血漿サンプルを回収した。治療サイクル3(“C3”)の終わりと進行性疾患段階(“PD”)にも多数の患者から血漿サンプルを回収した。この研究中に利用可能になったサンプルの量とタイプを図10にまとめてある。血漿サンプルの回収と分析に同意した451人の患者のうちの305人で、基準時点とC3時点とPD時点で分析可能なサンプルを利用できた(67.6%)。
一般に実施例1〜4に記載した手続きに従い、血漿サンプル中の変異標的DNAをqPCRによって検出した。組織サンプルは、従来からある手続きに従って調製して保管したホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)サンプルであった。血液サンプルは、従来からある手続きに従って調製して保管した血漿サンプルであった。それぞれの組織試験では1つのFFPET切片を使用し、それぞれの血液試験では2mlの1つの血漿サンプルを用いた。組織サンプルと血液サンプルからの核酸の単離と試験は、本質的に実施例1〜4に記載したようにして実施した。試験は、それぞれFFPET と血液の試験に適合させたCOBAS(登録商標)EGFR変異試験キットを用いて実施した。
実施例11
EGFR変異発生率
血漿EGFR変異陽性の組織サンプルと血漿サンプルの発生率を求めた。血漿サンプルについては、変異陽性サンプルの全発生率は、基準サンプル回収点(“時点”とも呼ぶ)で35%(106/305)、C3サンプル回収点で15%(37/305)、PDサンプル回収点で27%(81/305)であった。患者で検出されたEGFR変異配列の詳細な分布を表8に示す。TKI鋭敏化変異については、発生率は、組織サンプルで40.2%、基準血漿サンプルで32.2%、C3血漿サンプルで13.0%、PD血漿サンプルで23.9%であった。TKI耐性変異については、発生率は、組織サンプルで5.4%、基準血漿サンプルで2.0%、C3血漿サンプルで1.4%、PD血漿サンプルで3.7%であった。
実施例12
腫瘍サンプルと血漿サンプルの間の一致
臨床研究に参加した238人の患者について、腫瘍サンプルと基準血漿サンプルの両方でEGFR分析の結果を利用できた(“一致したペア”)。腫瘍サンプルと基準血漿サンプルの間でEGFR TKI鋭敏化変異を検出するための一致指標は以下の通りであった:感度 - 75%(72/96患者);特異度 - 96%(137/142患者);陽性予測値 - 94%(72/77患者);陰性予測値 - 85%(137/161患者);全一致 - 88%(209/238患者)。TKI鋭敏化変異に関する一致データを表9にまとめてある。
実施例13
転移状態が異なる患者における腫瘍サンプルと血漿サンプルの一致
TKI鋭敏化変異に関する腫瘍サンプルと血漿サンプルの間の一致が、遠隔転移を有する患者では遠隔転移がない患者と比べて大きいことが明らかになった。転移状態は、組織サンプルと基準血漿サンプルを利用できる233人の患者で利用できた。転移状態は基準時点で判定した。表10(A〜C)に、転移状態に基づく組織サンプルと基準血漿サンプルの一致データのまとめを示す。M1b患者下位群における血漿EGFR変異測定の感度は91%(41/45患者)、特異度は98%(47/48患者)、全一致は95%(88/93患者)であった。M1a患者下位群では、血漿EGFR変異測定の感度は60%(29/48患者)、特異度は95%(83/87患者)、全一致は83%(112/135患者)であった。
実施例14
血漿サンプル中での標的DNAの検出
DNA標的の定量に用いた標準曲線を図11に示す。EGFR血漿変異陽性患者と血漿変異陰性患者における無細胞(cf)DNAの分布を図12と表11に示す。この実施例で議論する実験結果は、検出範囲で検出が線形であることを示している。DNA 標的の定量のための標準曲線では、DNAのコピー数の代わりにCpを使用できることを理解されたい。
pMUT+患者の血漿サンプルでCOBAS(登録商標)によって検出されたDNAのレベルに関するデータを図13と表12に示す。このデータは、FASTACT-2臨床試験集団における各変異に関する検出範囲を示している。
変異陽性患者と変異陰性患者の血漿でCOBAS(登録商標)試験によって検出された変異DNAのレベルを示す比較データを、図14、図15、表13、表14に示す。図14と表13には、データをDNAレベル(コピー数/ml)として示してあるのに対し、図15と表14には、データを、野生型DNAに対するサンプル中で検出された標的DNAの相対量(Mut%)、すなわち検出された全ゲノムDNA(gDNA)に対する検出された変異DNAのMut%率として示してある。このデータは、FASTACT-2臨床試験集団における各変異に関する検出範囲をMut%で示している。
実施例15
異なる時点での血漿サンプルの分析
451人の患者のうちの305人で、基準、C3、PDの各時点における分析可能な血漿サンプルを利用できた(67.6%)。基準、C3、PDにおける血漿EGFR変異陽性サンプルの発生率は、それぞれ、35%(106/305)、15%(47/305)、27%(81/305)であった。98人の変異陽性患者が、基準時点でエキソン19欠失(Ex19Del)またはL858R置換を有することがわかった(C群で51人;CE群で47人)。C3時点では、C群の患者の21人(41%)がEGFR変異陽性を失い、CE群の患者の39人(83%)が変異陽性を失った。PD時点では、C群の21人の患者のうちの8人と、CE群の39人の患者のうちの18人が、変異陽性を再び獲得した。これらのデータは、患者の変異荷重が治療中に変化していたことを示していた。
199人の患者が基準時点において変異陰性であった(C群の103人の患者、CE群の96人の患者)。血漿サンプルの結果に基づくと、これらの患者のうちの12人の患者がPD時点で変異陽性になった。これら12人の患者のうちの6人で組織サンプルの結果が利用可能であり、その結果は、6人の患者全員が、組織サンプル中に、PD時点で回収した血漿サンプルで検出されたのと同じ変異を持つことを示していた。これらのデータは、治療中と疾患進行中に患者の変異荷重がダイナミックに変化していたことを示していた。データ分析の結果を図16〜図18と表15〜表20に示す。
実施例16
臨床研究中に血漿サンプルで検出されたDNAのレベルのダイナミックな定量的変化
臨床研究中に血漿サンプルで検出されたDNAレベルのダイナミックな定量的変化を評価した。図19と表21は、研究期間中の全血漿cf DNAのダイナミックな定量的変化を示している。図20と表22は、研究期間中の変異した標的DNAの合計レベルのダイナミックな定量的変化を示している。図21と表23は、研究期間中のEGFRエキソン19と21における変異した標的DNAのダイナミックな定量的変化を示している。研究期間中、血漿EGFR標的配列の合計レベルのかなりの低下が、臨床研究のC群とCE群の両方で観察された。しかし血漿中のEGFRが変異したDNAの検出レベルは、C群だけでPDにおいて高レベルに復帰し、CE群では低いままであった。この実施例で議論するデータは、患者の変異荷重が治療中にダイナミックに変化したことを示していた。このデータは、EGFR陽性腫瘍を有する患者の治療にはTKIがより有効であることも示していた。
実施例17
変異状態と治療結果の間の相関
NSCLC患者の血漿サンプルと組織サンプルにおけるEGFR変異の検出と治療結果の間の相関を検出するため、データ分析を実施した。138人の血漿変異陽性患者(基準サンプルに基づく)と289人の血漿変異陰性患者のほか、組織陽性患者と組織陰性患者の全応答率(ORR)、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)に関して下位群の分析を実施した。血漿変異陽性患者のPFS中央値は、研究のCE群では13.8ヶ月、C群では5.9ヶ月であった(ハザード比(HR)>0.21)のに対し、組織変異陽性患者では、CE群で16.8ヶ月、C群で6.9ヶ月であった(HR 0.25)。血清変異陰性患者のPFS中央値は、CE群では6.7ヶ月、C群では6.0ヶ月であった(HR 0.80)のに対し、組織変異陽性患者では、CE群で6.7ヶ月、C群で5.9ヶ月であった(HR 0.97)。血漿変異陽性患者のOS中央値は、CE群では32.4ヶ月、C群では18.6ヶ月であった(HR 0.50)のに対し、組織変異陽性患者では、CE群で31.4ヶ月、C群で20.6ヶ月であった(HR 0.48)。血漿変異陰性患者のOS中央値は、CE群では16.1ヶ月、C群では13.3ヶ月であった(HR 0.90)のに対し、組織変異陰性患者では、CE群で14.9ヶ月、C群で12.2ヶ月であった(HR 0.77)。
基準時点の血漿EGFR変異状態に基づく治療結果を表24と図22〜図25にまとめてある。C3時点の血漿サンプルと組織サンプルに基づく治療結果に関する比較データを図26、図27と表25、表26に示す。変異状態が異なる患者での治療結果に関する上記の分析から、血漿EGFR変異が、治療結果(例えば、特定の患者の無増悪生存および/または全生存の長さ)を予測しうることが明らかになった。図22A(PFS)と図24A(OS)は、2つの治療群の(基準における)血漿変異陽性患者の比較結果を示している(合計で138人の患者)。この比較結果は、基準時点で血漿変異陽性と判定された患者では、化学療法とエルロチニブ療法の組み合わせが治療の選択肢としてより優れていることを示していた。図22B(PFS)と図24B(OS)は、2つの治療群の(基準時点で調べた)組織EGFR変異陽性患者の比較結果を示している(合計で97人の患者)。この比較結果は、組織EGFR変異陽性患者では、化学療法とエルロチニブの組み合わせが治療の選択肢としてより優れていることを示していた。図22と図24から、基準時点における血漿中または組織中での変異荷重の検出が、変異陽性患者にとって似たような転帰になることを予測したことがわかる。図23と図25は、基準時点における2つの治療群の変異陰性患者の比較結果を示している(血漿変異陰性は図23Aと図25A;組織変異陰性は図23Bと図25B)。基準時点における血漿または組織での変異荷重の検出は、変異陰性患者にとって似たような転帰になることを予測した。図26は、血漿EGFR変異陽性であるかどうかを基準時点で調べ、C3時点でも再び調べた患者の分析結果を示している(合計で122人の患者)。これら122人の患者を、C3 EGFR変異状態(陽性または陰性)と治療群に基づいてグループ分けした。患者がC3時点で血漿変異陰性であった場合(それはおそらく、患者が治療に応答したことを示している)には、両方の治療群でPFSとOSがより優れていた。基準時点で陽性変異状態であった後、C3時点で陰性変異状態になることは、改善された転帰と関連していた。基準時点で陽性であり、C3時点でも相変わらず陽性である患者は、転帰が悪化した。図27は、基準時点で調べると血漿EGFR変異陽性であり、C3時点で調べてもやはりそうであった、化学療法+エルロチニブ療法群の患者の分析結果を示している(合計で122人の患者)。これら122人の患者を、C3 EGFR変異状態(陽性または陰性)に基づいてグループ分けした。PFSに関する最良の転帰は、C3時点で変異陰性であって化学療法+エルロチニブ療法を実施された患者で観察された。基準時点で陽性変異状態であった後にC3時点で陰性変異になることは、改善された転帰と関連していた。基準時点で陽性であり、C3時点でも相変わらず陽性である患者は、転帰が悪化した。
本明細書に記載した実施例と実施態様は、説明だけが目的であることと、これら実施例と実施態様に照らすとさまざまな改変や変更が当業者に示唆され、そうした改変や変更は、本明細書の精神および範囲と添付の請求項の範囲に含まれることを理解されたい。

Claims (4)

  1. 非小細胞肺がん(NSCLC)を有するヒト被験対象から得られた血漿サンプル中のEGFR変異を検出する方法であって、
    ここで前記被験対象は、1サイクル以上の療法を完了しており、
    前記療法がチロシンキナーゼ阻害剤の投与を含み、
    前記サンプルは、EGFR遺伝子を含み、かつ1つ以上のEGFR変異を含むDNAと、EGFR遺伝子を含むが、EGFR変異を含まないDNAと、EGFR遺伝子を含まないDNAとを含み、
    以下のステップ:
    (a)EGFR変異に特異的なアレル特異的プライマー対と、内部対照を増幅するためのプライマー対とを用いて、前記サンプル中のDNAに対して第1の多重リアルタイムPCRを実施し、ここで内部対照は、EGFR遺伝子座中の頻繁に変異することはない核酸領域であって、前記アレル特異的プライマー対によって増幅される領域とは異なる核酸領域であり、
    (b)前記EGFR変異に関するサンプルPCR閾値を生成させ、ここで、前記サンプルPCR閾値は、前記第1の多重リアルタイムPCRにおいて、前記アレル特異的プライマー対によって増幅される核酸の信号が所定の大きさに達するために必要とされるサイクル数であり、そして、第1の内部対照閾値を生成させ、ここで、前記第1の内部対照閾値は、前記第1の多重リアルタイムPCRにおいて、内部対照の信号が所定の大きさに達するために必要とされるサイクル数であり、
    (c)工程(a)で使用されるものと同一の、EGFR変異に特異的なアレル特異的プライマー対と内部対照を増幅するためのプライマー対を用いて、ゲノムDNAに対して第2の多重リアルタイムPCRを実施し、ここでゲノムDNAは、前記サンプルから単離されたDNAであって、EGFR遺伝子を含むがEGFR変異を含まないDNAと、EGFR遺伝子を含まないDNAとから成り、
    (d)カットオフ閾値を生成させ、ここで前記カットオフ閾値は、前記第2の多重リアルタイムPCRにおいて、前記アレル特異的プライマー対によって増幅される核酸の信号が所定の大きさに達するために必要とされるサイクル数であり、そして、第2の内部対照閾値を生成させ、ここで、前記第2の内部対照閾値は、内部対照の信号が所定の大きさに達するために必要とされるサイクル数であり、
    (e)前記カットオフ閾値と前記第2の内部対照閾値との差よりも小さい、前記サンプルPCR閾値と前記第1の内部対照閾値との差を検出し、それにより前記サンプル中のEGFR変異を検出すること
    を含む、方法。
  2. 前記チロシンキナーゼ阻害剤がエルロチニブまたはゲフィチニブである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上のEGFR変異が活性化変異を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記1つ以上のEGFR変異が、イン-フレーム・エキソン19欠失、L858R、L861Q、G719X、T790M、S678I、イン-フレーム・エキソン20挿入からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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