以下に、本発明の実施の形態にかかる列車運行管理装置および列車運行管理方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無線列車制御システムの構成を示す図である。図1に示す無線列車制御システム1は、複数の車上装置10と、複数の無線装置20と、地上制御装置21と、連動制御装置22と、列車運行管理装置23とを備える。かかる無線列車制御システム1は、CBTC(Communications Based Train Control)とも呼ばれ、列車と地上設備の間での通信を使って列車の運行と制御を行う信号保安技術を含む。
複数の無線装置20と地上制御装置21は、ネットワーク24を介して互いに通信可能に接続される。地上制御装置21、連動制御装置22、および列車運行管理装置23は、ネットワーク25を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク24,25はイントラネットであるが、インターネット、またはイントラネットおよびインターネット以外のネットワークであってもよい。
各列車30には、車上装置10が搭載されており、車上装置10によって列車30の走行などが制御される。車上装置10は、無線装置20と無線通信を行う無線通信部11と、列車30を制御する列車制御部12と、列車30の運転を制御する運転制御部13とを備える。
列車制御部12は、列車状態情報を無線通信部11へ出力する。列車状態情報は、列車ID(Identifier)と、列車30の現在位置を示す位置情報と、列車30の速度を示す速度情報と、列車30の進行方向を示す運転方向情報とを含む。なお、列車制御部12は、列車30に設けられた不図示の回転検出器で検出された車輪回転数に基づき、列車30の現在位置を検出するが、列車30に設けられた不図示のGPS(Global Positioning System)受信機から出力される位置情報に基づき、列車30の現在位置を検出することもできる。
無線通信部11は、無線装置20から送信される無線信号を受信し、無線信号に含まれる列車制御情報を列車制御部12へ出力する。列車制御部12は、無線通信部11から列車制御情報を取得し、取得した列車制御情報に基づき、列車30を制御する。
列車制御情報は、保安用途の情報であり、例えば、列車30の経路情報および停止位置情報を含む。経路情報は、列車30が進行する経路を判定する情報を含む。停止位置情報は、列車30が停止すべき停止限界位置を示す情報を含み、列車30は経路内を停止限界位置まで進行することができる。停止限界位置は、経路内に先行列車および他の支障物が存在しない場合には、経路終端に設定される。また、出発進路または場内進路が進行現示でない場合には、停止限界位置は、進路の手前の位置に設定される。
また、無線通信部11は、無線装置20から送信される無線信号に含まれる時隔制御情報を運転制御部13へ出力する。運転制御部13は、無線通信部11から時隔制御情報を取得し、取得した時隔制御情報に基づき、列車30を制御する。
時隔制御情報は、複数の列車30の運転の時間間隔を制御するための情報であり、例えば、走行制御の対象になる列車30である対象列車の前を走行する列車30である先行列車に関する情報と対象列車の後を走行する列車30である後続列車に関する情報を含む。運転制御部13は、時隔制御情報に基づいて、例えば、先行列車との運転の時間間隔および後続列車との時間的な運転間隔である運転時隔が予め設定された時間間隔になるように、列車30を制御することができる。
無線装置20は、列車30に搭載された車上装置10と地上制御装置21との間で情報の送受信を中継する。例えば、無線装置20は、列車30の車上装置10から送信される無線信号を受信し、無線信号に含まれる列車状態情報を地上制御装置21へ送信する。また、無線装置20は、無線装置20の無線通信範囲内に存在する列車30の車上装置10への列車制御情報および時隔制御情報を地上制御装置21から取得した場合、取得した列車制御情報および時隔制御情報を含む無線信号を車上装置10へ送信する。
地上制御装置21は、無線装置20から列車状態情報を取得し、取得した列車状態情報に基づいて、各列車30の現在位置を取得する。また、地上制御装置21は、後述するように列車制御情報を列車30毎に生成する。地上制御装置21は、各列車30の列車状態情報および列車制御情報を含む列車情報を列車運行管理装置23へ出力する。
連動制御装置22は、列車運行管理装置23から出力される進路制御情報を受信し、受信した進路制御情報に基づいて、不図示の転てつ器を制御して各列車30の進路を形成する。具体的には、連動制御装置22は、列車運行管理装置23から出力される進路制御情報を受信し、受信した進路制御情報に基づいて、不図示の転てつ器の制御を行って各列車30の進路を形成する。
また、連動制御装置22は、列車運行管理装置23から受信した各列車30の進路制御情報に基づいて、各列車30の信号情報を生成し、地上制御装置21へ出力する。かかる信号情報は、進路への進行許可を与える信号を現示する進行現示を示す情報を含む。また、連動制御装置22は、列車運行管理装置23から進路制御情報が受信されない進路については、進路への進行許可を与えない信号を現示する停止現示を示す情報を含む信号情報を生成し、地上制御装置21へ出力する。
地上制御装置21は、連動制御装置22から送信される信号情報に基づいて、上述した列車制御情報を列車30毎に生成する。地上制御装置21は、列車30の列車状態情報と信号情報とに基づいて、列車30が走行可能な経路を示す経路情報を生成する。また、地上制御装置21は、経路内に存在する先行列車および他の支障物に基づいて停止位置情報を生成し、生成した停止位置情報を経路情報および信号情報に加えることで、列車制御情報を生成することができる。
列車運行管理装置23は、地上制御装置21から各列車30の列車情報を取得する。列車運行管理装置23は、取得した各列車30の列車情報と、記憶しているダイヤ情報とに基づいて、列車30がダイヤ情報に従った時間でダイヤ情報に従った進路を走行するように、各列車30の進路制御情報を生成する。進路制御情報には、例えば、列車30を判定する情報および進路を判定する情報が含まれる。列車運行管理装置23は、生成した各列車30の進路制御情報を連動制御装置22へ出力する。
列車運行管理装置23は、取得した各列車30の位置情報と、記憶しているダイヤ情報とに基づいて、各列車30の先行列車と後続列車を判定する。そして、列車運行管理装置23は、先行列車に関する情報と後続列車に関する情報を含む時隔制御情報を列車30毎に生成し、生成した時隔制御情報を地上制御装置21へ送信する。先行列車に関する情報は、例えば、先行列車の位置および速度の情報である。また、後続列車に関する情報は、例えば、後続列車の位置および速度の情報である。車上装置10の運転制御部13は、列車運行管理装置23から送信される時隔制御情報に基づいて、先行列車および後続列車との運転間隔が予め設定された時間間隔になるように、列車30を制御することができる。
図2は、実施の形態1にかかる先行列車と後続列車の判定処理を説明するための図である。図2に示す例では、進行方向が同じ3つの列車30を便宜的に列車A、列車B、および列車Cと表しており、列車Aと列車Bは駅91に停車中であり、列車Cは、駅91と駅92との間を走行中である。
ここで、対象列車が列車Bであるとする。この場合、列車運行管理装置23は、駅91からの出発順序を示す出発順序情報80をダイヤ情報から取得する。図2に示す出発順序情報80では、列車Bの駅91からの出発順序が1位であり、列車Aの駅91からの出発順序が2位である。また、図2に示す例では、列車Bの進行方向において列車Bの前方に位置し且つ列車Bに最も近い列車30は列車Cである。列車運行管理装置23は、位置情報および出発順序情報80に基づいて、列車Bの先行列車が列車Cであると判定する。また、列車運行管理装置23は、列車Bの後続列車が列車Aであると判定する。
また、対象列車が列車Aであるとする。この場合、列車運行管理装置23は、出発順序情報80に基づいて、列車Aの先行列車が列車Bであると判定することができる。なお、図2に示す例では、列車Aよりも後方に列車30が存在しないため、列車運行管理装置23は、列車Aの後続列車はないと判定していることを示している。
このように、列車運行管理装置23は、駅91内に2以上の列車30が停車中である場合、各列車30の位置を示す位置情報と、駅91からの出発順序を示す出発順序情報とに基づいて、対象列車の先行列車と後続列車を判定することができる。したがって、駅91内に2以上の列車30が停車中である場合において、各列車30の位置情報のみから列車30の先行列車と後続列車を判定する場合に比べ、対象列車の先行列車と後続列車とを精度よく判定することができる。以下、列車運行管理装置23の構成および処理についてさらに詳細に説明する。
図3は、実施の形態1にかかる列車運行管理装置の構成例を示す図である。図3に示すように、実施の形態1にかかる列車運行管理装置23は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。通信部31は、ネットワーク25に接続され、ネットワーク25を介して地上制御装置21および連動制御装置22との間で情報の送受信を行う。
記憶部32は、制御部33における制御処理に必要な各種の情報を記憶する。記憶部32は、経路情報記憶部41と、ダイヤ情報記憶部42と、列車情報記憶部43とを備える。
経路情報記憶部41は、経路情報テーブル61を経路情報として記憶する。経路情報テーブル61には、複数の単位経路に関する単位経路情報が含まれる。図4は、実施の形態1にかかる経路情報テーブルの一例を示す図である。図4に示す経路情報テーブル61は、「経路ID」と、「進行方向」と、「ブロックID」と、「進路ID」とを関連付けた情報である。
「経路ID」は、単位経路毎に固有に割り当てられた識別情報である。単位経路は、1以上のブロックを含む経路の最小単位であり、複数の単位経路が組み合わされて列車30の走行経路が形成される。ここで、ブロックは、軌道を区分けしたものであり、区間とも呼ばれる。
「進行方向」は、単位経路における列車30の進行方向であり、「進行方向」には「上り」または「下り」のいずれかが設定される。図4に示す経路情報テーブル61では、進行方向が下りの単位経路情報のみが示されているが、経路情報テーブル61には進行方向が上りの単位経路情報も含まれる。
「ブロックID」は、単位経路に含まれるブロックに固有に割り当てられた識別情報である。「進路ID」は、進路毎に固有に割り当てられた識別情報であり、進路の種類には、上述した出発進路と、場内進路とがある。進路IDが1R,2Rである出発進路は、駅のホームから出発する進路である。
図5は、実施の形態1にかかるブロックと経路と出発進路との関係の一例を示す図である。図5には、ブロックIDがB998,B999,B1001からB1006の8個のブロックと、進路IDが1R,2Rである2つの出発進路とが示されている。2つの出発進路は、不図示の転てつ器の鎖錠または解錠によって選択的に形成される。転てつ器は、連動制御装置22によって制御される。
図5に示すように、経路IDがR1001である経路は、ブロックIDがB999,B1002からB1004のブロックと、進路IDが1Rである出発進路とを含む。経路IDがR1002である経路は、ブロックIDがB999,B1001およびB1004のブロックと、進路IDが2Rである出発進路とを含む。経路IDがR1003である経路は、ブロックIDがB1005およびB1006のブロックを含み、出発進路および場内進路を含まない。
図3に戻って記憶部32の説明を続ける。記憶部32のダイヤ情報記憶部42は、ダイヤ情報を記憶する。ダイヤ情報には、列車30毎の列車運行情報が含まれ、列車運行情報には、列車ID、走行経路情報、停車駅時間情報、および出発順序情報が含まれる。
列車IDは、列車30毎に固有に割り当てられた識別情報であり、列車IDによって各列車30が判定される。走行経路情報には、始発駅から終着駅にかけて各列車30が走行する複数の単位経路の経路IDの情報が含まれる。停車駅時間情報は、各停車駅への到着時間および各停車駅からの出発時間を示す情報である。出発順序情報は、各停車駅からの出発順序を示す情報である。
図6は、実施の形態1にかかるダイヤ情報記憶部に記憶されるダイヤ情報の一部を示す図である。図6に示すダイヤ情報では、列車IDがT1001の列車30の走行経路情報には、経路IDがR1001およびR1003である経路が含まれ、列車IDがT1002の列車30の走行経路情報には、経路IDがR1002およびR1003である経路が含まれる。なお、図6に示すダイヤ情報では、停車駅時間情報および出発順序情報を含む一部の情報は省略されている。
図3に戻って記憶部32の説明を続ける。記憶部32の列車情報記憶部43は、各列車30の列車情報を記憶する。列車情報は、上述したように地上制御装置21から通知される情報であり、列車状態情報および列車制御情報を含む。列車情報記憶部43には、過去から現在までの列車情報が記憶される。
制御部33は、情報取得部51と、進路制御部52と、運転指示部53とを備える。情報取得部51は、地上制御装置21から列車情報を取得し、取得した列車情報を列車情報記憶部43に記憶する。また、情報取得部51は、記憶部32に記憶された経路情報、ダイヤ情報、および列車状態情報などを取得する。
進路制御部52は、情報取得部51によって取得されたダイヤ情報と列車状態情報とに基づき、列車30の進路を制御する進路制御情報を生成し、生成した進路制御情報を連動制御装置22へ送信する。
運転指示部53は、情報取得部51によって取得された経路情報、ダイヤ情報、および列車状態情報に基づき、時隔制御情報を生成する。運転指示部53は、生成した時隔制御情報を通信部31から地上制御装置21へ送信する。
運転指示部53は、判定部54と、生成部55と、送信処理部56とを備える。判定部54は、情報取得部51によって取得された経路情報、ダイヤ情報、および列車状態情報に基づいて、各列車30の先行列車と後続列車を判定する。具体的には、運転指示部53は、経路情報から得られる各列車30の走行経路と、列車状態情報の位置情報から得られる各列車30の位置と、ダイヤ情報に含まれる各駅の出発順序情報から得られる出発順序とに基づいて、各列車30の先行列車と後続列車を判定する。
判定部54は、対象列車が駅に停車している場合、対象列車が停車している駅の出発順序情報から得られる対象列車の出発順序に基づいて、対象列車の先行列車と後続列車を判定する。具体的には、判定部54は、対象列車の出発順序が2位である場合、出発順序が1位の列車30が対象列車の先行列車であると判定する。また、判定部54は、対象列車の先行列車を判定した後、対象列車の先行列車と判定した列車30の後続列車が対象列車であると判定する。
また、判定部54は、対象列車が駅に停車しており且つ対象列車の出発順序が1位である場合、対象列車が停車する駅と次の駅との間である駅間に列車30が在線しているか否かを判定する。判定部54は、駅間に列車30が在線していると判定した場合、駅間に在線している列車30を対象列車の先行列車と判定する。なお、判定部54は、駅間に複数の列車30がある場合、駅間に在線する複数の列車30のうち対象列車に最も近い列車30を対象列車の先行列車と判定する。
判定部54は、駅間に列車30が在線していないと判定した場合、対象列車が停車している駅の次の駅に列車30が在線しているか否かを判定する。判定部54は、対象列車が停車している駅の次の駅に列車30が在線していると判定した場合、次の駅に在線している列車30を対象列車の先行列車と判定する。
判定部54は、駅間および次の駅に列車30が在線していないと判定した場合、上述した処理と同様に、さらに前方に向けて列車30の在線を判定する。具体的には、判定部54は、対象列車の在線している駅の次の駅と次の次の駅との間に列車30が在線しているか否かを判定する。判定部54は、次の駅と次の次の駅との間に列車30が在線していると判定した場合、次の駅と次の次の駅との間に在線する列車30を対象列車の先行列車と判定する。
判定部54は、次の駅と次の次の駅との間に列車30が在線していないと判定した場合、次の次の駅に列車30が在線しているか否かを判定する。判定部54は次の次の駅に列車30が在線していると判定した場合、次の次の駅に在線する列車30を対象列車の先行列車と判定する。
判定部54は、対象列車の走行経路のうち対象列車の位置から対象列車の進行方向に向けて予め設定された条件を満たす距離Daまでの範囲内に1以上の列車30が在線していない場合、対象列車の先行列車がないと判定する。ここで、距離Daは、例えば、線区最高速度に基本運転時間間隔を乗じて得られる距離である。線区最高速度は、路線の線区において列車30の速度の上限値である。基本運転時間間隔は、列車30間の運転時間間隔の基準値であり、例えば、4分である。
また、判定部54は、対象列車が進行方向において先頭であり且つ逆方向に折り返す列車30である場合、対象列車が折り返す駅である折り返し駅における対象列車の出発順序に基づいて、対象列車の先行列車を判定することができる。この場合、判定部54は、情報取得部51によって取得される出発順序情報のうち、対象列車が折り返し駅に進入したときにおける折り返し駅の出発順序を示す出発順序情報に基づいて、対象列車の先行列車を判定することができる。
例えば、対象列車が折り返し駅で停車するときに折り返し駅に停車する列車30が複数になり、かつ折り返し駅における対象列車の出発順序が2位であるとする。この場合、判定部54は、折り返し駅における出発順序が1位の列車30を対象列車の先行列車と判定する。
上述した例では、判定部54は、対象列車の先行列車を判定した後、かかる先行列車の後続列車が対象列車であると判定するが、対象列車の後続列車を判定した後、かかる後続列車の先行列車が対象列車であると判定することもできる。
例えば、対象列車が折り返し駅に停車するときに折り返し駅に停車する列車30が複数になり、かつ折り返し駅における対象列車の出発順序が1位であるとする。この場合、判定部54は、折り返し駅における出発順序が2位の列車30を対象列車の後続列車と判定する。
また、対象列車の進行方向と逆方向を進行する列車30が進行方向において先頭であり且つ折り返し駅で折り返す折り返し列車であるとする。この場合、判定部54は、折り返し駅に列車30が在線していなければ、折り返し列車を対象列車の後続列車と判定することができる。また、判定部54は、折り返し駅に列車30が停車している場合でも、対象列車が折り返し駅に停車するときにかかる対象列車の出発順序が1位である場合、折り返し列車を対象列車の後続列車と判定することができる。
また、判定部54は、同一進行方向において2つの軌道を有する複々線の場合も上述した処理と同様に、対象列車の先行列車と後続列車を判定することができる。例えば、判定部54は、複数の列車30が運行する路線が同一進行方向において2以上の軌道を有する場合、軌道毎の駅からの出発順序に基づいて、対象列車の先行列車と後続列車を判定することができる。同一進行方向において2以上の軌道を有する場合の列車運行情報には軌道毎の出発順序情報が含まれており、判定部54は、軌道毎の出発順序情報に基づいて、対象列車の先行列車と後続列車を判定することができる。
以下、判定部54における先行列車および後続列車の判定処理について、図2、図7〜図13を参照して具体的に説明する。図7〜図13は、実施の形態1にかかる前後列車判定処理を説明するための図である。前後列車判定処理は、先行列車と後続列車を判定する処理である。なお、図7〜図13では、図2と同様に、複数の列車30を便宜的に列車A、列車B、および列車Cなどと表している。
図2に示す例では、列車Aと列車Bは駅91に停車中であり、列車Cは、駅91と駅92との間を走行中であり、駅91の出発順序情報80は、列車Bの出発順序が1位であり、列車Aの出発順序が2位であることを示している。図2に示す例では、判定部54は、列車Bの出発順序が1位であるため、列車Bの走行経路のうち駅91と駅92との間に走行する列車Cが列車Bの先行列車であると判定する。また、判定部54は、出発順序が2位である列車Aの先行列車が、出発順序が1位である列車Bであると判定する。また、判定部54は、先行列車の判定結果に基づいて、列車Cの後続列車が列車Bであると判定し、列車Bの後続列車が列車Aであると判定する。
図7に示す例では、列車Cが駅92の場内進路の内方に在線している点で、列車Cが駅91と駅92との間を走行中である図2に示す例と異なる。図7に示す例では、判定部54は、列車Bの走行経路のうち駅91と駅92との間に走行する列車30は在線していないが、列車Cが駅92の場内進路の内方に在線しているため、判定部54は、列車Bの先行列車が列車Cであることを判定する。
図8に示す例では、駅91と駅92との間および駅92の場内進路の内方に列車30が在線していない点で、図2および図7に示す例と異なる。図8に示す例では、判定部54は、列車Bの進路のうち駅92の場内進路の内方よりも前方における列車30の在線状態を判定し、列車Bの先行列車を判定する処理を行う。判定部54は、列車Bの走行経路のうち列車Bの位置から予め設定された条件を満たす距離Daまでの範囲内に1以上の列車30が在線していない場合、列車Bの先行列車がないと判定する。
図9に示す例では、列車Aは駅91に停車中であり、列車Bと列車Cは、駅91と駅92との間を走行中であり、駅91の出発順序情報80は、列車Aの出発順序が1位であることを示している。図9に示す例では、判定部54は、駅91と駅92との間における列車Bの前方に他の列車30が在線しているか否かを判定する。図9に示す例では、駅91と駅92との間における列車Bの前方に列車Cが在線しているため、判定部54は、列車Bの先行列車が列車Cであると判定する。また、判定部54は、列車Aの出発順序が1位であるため、列車Aの走行経路における前方であって列車Aに最も近い列車Bが列車Aの先行列車であると判定する。また、判定部54は、先行列車の判定結果に基づいて、列車Cの後続列車が列車Bであると判定し、列車Bの後続列車が列車Aであると判定する。
図10に示す例では、列車Cが駅92の場内進路の内方に在線している点で、列車Cが駅91と駅92との間を走行中である図9に示す例と異なる。図10に示す例では、判定部54は、各列車30の位置情報および経路情報に基づいて、列車Bの走行経路のうち駅91と駅92との間に走行する1以上の列車30が在線していないと判定する。この場合、判定部54は、列車Bの走行経路のうち駅92の場内進路の内方に1以上の列車30が在線しているか否かを判定する。図10に示す例では、列車Cが駅92の場内進路の内方に在線しているため、判定部54は、列車Bの先行列車が列車Cであることを判定する。
図11に示す例では、駅91と駅92との間および駅92に列車Cが在線していない点で、図9および図10に示す例と異なる。図10に示す例では、判定部54は、各列車30の位置情報および経路情報に基づいて、列車Bの走行進路のうち駅92よりも前方における列車30の在線状態を判定し、列車Bの先行列車を判定する処理を行う。判定部54は、列車Bの走行経路のうち列車Bの位置から予め設定された条件を満たす距離Daまでの範囲内に1以上の列車30が在線していない場合、列車Bの先行列車がないと判定する。
図12に示す例では、列車Cは、駅91と駅92との間を走行中であるが、列車Cの進行方向と列車Bの進行方向とが逆方向である。ここでは、列車Bの進行方向を上りとし、列車Cの進行方向を下りとする。列車Bは、上りの進行方向において先頭の列車30であり、折り返し駅である駅91に停車した後に折り返すことで、下りの進行方向へ進行するが、列車Bが駅91に停車するときに駅91に停車している列車30は列車Bのみである。そのため、図12に示す例では、判定部54は、各列車30の位置情報、出発順序情報および経路情報に基づいて、下りの進行方向において出発進路2Rの前方で最も近い列車Cを列車Bの先行列車と判定する。
図13に示す例では、列車Aが駅91に停車している点で、図12に示す例と異なる。図13に示す例では、判定部54は、列車Bが駅91に到着した場合に駅91の出発順序情報80から得られる列車Bの出発順序が2位であり且つ列車Aの出発順序が1位であるため、列車Bの先行列車が列車Aであると判定する。また、判定部54は、先行列車の判定結果に基づいて、列車Aの後続列車が列車Bであると判定する。
図14は、実施の形態1にかかる複々線における前後列車判定処理を説明するための図である。図14に示す例では、駅91から2つの下り線94,95が連続している。また、列車A、列車B、および列車Cは、駅91に停車中であり、列車Dは下り線94を走行中であり、列車Eは、下り線95を走行中である。また、駅91の出発順序情報80は、駅91から下り線94への出発順序情報80Aと駅91から下り線95への出発順序情報80Bとを含む。
判定部54は、出発順序情報80Aに基づいて、列車Aの先行列車を判定し、出発順序情報80Bに基づいて、列車Bおよび列車Cの先行列車を判定する。判定部54は、出発順序情報80Aには列車Aの出発順序が1位であることを示す情報が含まれているため、列車Aの先行列車が列車Dであると判定する。また、判定部54は、出発順序情報80Bには列車Cの出発順序が1位であり列車Bの出発順序が2位であることを示す情報が含まれているため、列車Cの先行列車が列車Eであると判定し、列車Bの先行列車が列車Cであると判定する。このように、路線が複々線である場合、ダイヤ情報記憶部42に記憶されるダイヤ情報が軌道毎の出発順序情報80A,80Bを含むことで、判定部54は、各列車30の先行列車を精度よく判定することができる。
図3に戻って、運転指示部53の説明を続ける。運転指示部53の生成部55は、複数の列車30の運転間隔を制御するための情報である時隔制御情報を列車30毎に生成する。各列車30の時隔制御情報には、例えば、先行列車に関する情報と後続列車に関する情報が含まれる。先行列車に関する情報には、例えば、先行列車の位置情報および先行列車の速度情報が含まれる。後続列車に関する情報には、例えば、後続列車の位置情報および後続列車の速度情報が含まれる。生成部55は、情報取得部51によって取得される先行列車の列車状態情報と後続列車の列車状態情報とに基づいて、時隔制御情報を生成することができる。
送信処理部56は、生成部55によって生成された列車30の時隔制御情報を通信部31から地上制御装置21へ送信する。地上制御装置21は、時隔制御情報を含む列車制御情報を無線装置20経由で列車30の車上装置10へ送信する。車上装置10の運転制御部13は、地上制御装置21から時隔制御情報を取得すると、取得した時隔制御情報に基づいて、例えば、先行列車との運転の時間間隔および後続列車との運転の時間間隔が予め設定された間隔になるように、列車30を制御する。
なお、生成部55によって生成される時隔制御情報は、上述した例に限定されない。例えば、生成部55は、列車30間の運転時間間隔が基本運転時間間隔になるような各列車30の目標速度を演算し、演算した各列車30の目標速度を含む時隔制御情報を生成することもできる。この場合、車上装置10の運転制御部13は、時隔制御情報に含まれる目標速度に合致するように列車30の速度を制御することができる。
以下、列車運行管理装置による前後列車判定処理の一例を、フローチャートを用いて説明する。図15は、実施の形態1にかかる前後列車判定処理の一例を示すフローチャートであり、かかる判定処理は制御部33によって繰り返し実行される。
図15に示すように、制御部33は、記憶部32から複数の列車30の列車情報を取得し(ステップS10)、複数の列車30の中から未だ選択していない一つの列車30を対象列車として選択する(ステップS11)。制御部33は、対象列車について先行列車判定処理を行い(ステップS12)、または対象列車について後続列車判定処理を行う(ステップS13)。制御部33は、後続列車判定処理において、先行列車判定処理で対象列車の先行列車と判定された列車30の後続列車が対象列車であると判定する。
次に、制御部33は、ステップS11で全ての列車30を選択したか否かを判定する(ステップS14)。制御部33は、全ての列車30を選択していないと判定した場合(ステップS14:No)、処理をステップS11へ戻す。また、制御部33は、全ての列車30を選択したと判定した場合(ステップS14:Yes)、各列車30の時隔制御情報を生成し、生成した時隔制御情報を対応する列車30の車上装置10へ送信し(ステップS15)、図15に示す処理を終了する。
図16は、図15に示す先行列車判定処理の一例を示すフローチャートである。図16に示すように、制御部33は、対象列車が駅構内に在線しているか否かを判定する(ステップS21)。制御部33は、対象列車が駅構内に在線していると判定した場合(ステップS21:Yes)、第1先行列車判定処理を実行する(ステップS22)。
また、制御部33は、対象列車が駅構内に在線していないと判定した場合(ステップS21:No)、第2先行列車判定処理を実行する(ステップS23)。制御部33は、ステップS22の処理またはステップS23の処理が終了した場合、図16に示す処理を終了する。
図17は、図16に示す第1先行列車判定処理の一例を示すフローチャートである。図17に示すように、制御部33は、対象列車が駅に停車中であるか否かを判定する(ステップS31)。制御部33は、対象列車が駅に停車中であると判定した場合(ステップS31:Yes)、対象列車の駅からの出発順序が1位であるか否かを判定する(ステップS32)。
制御部33は、対象列車の駅からの出発順序が1位であると判定した場合(ステップS32:Yes)、ステップS35の処理に移行する。また、制御部33は、対象列車が駅に停車中ではないと判定した場合(ステップS31:No)、対象列車が場内進路を走行中であるか否かを判定する(ステップS33)。制御部33は、対象列車が場内進路を走行中であると判定した場合(ステップS33:Yes)、次の経路を選択し(ステップS34)、処理をステップS35へ移行する。また、制御部33は、対象列車が場内進路を走行中ではないと判定した場合(ステップS33:No)も、処理をステップS35へ移行する。
制御部33は、ステップS35の処理において、次の駅までの経路内検索を行う(ステップS35)。ステップS35の処理において、制御部33は、対象列車が在線する駅の次の駅までの経路内に在線する列車30を検出する。制御部33は、次の駅までの経路内に列車30が在線している場合、対象列車に最も近い列車30を検出する。
次に、制御部33は、ステップS35の処理によって、列車30が検出されたか否かを判定する(ステップS36)。制御部33は、列車30を検出したと判定した場合(ステップS36:Yes)、検出した列車30を対象列車の先行列車と判定する(ステップS37)。制御部33は、列車30を検出していないと判定した場合(ステップS36:No)、ステップS35における経路内検索で検索された経路範囲の前端位置が対象列車の位置から上述した距離Daを超えたか否かを判定する(ステップS38)。
制御部33は、前端位置が距離Daを超えたと判定した場合(ステップS38:Yes)、対象列車の先行列車がないと判定する(ステップS39)。また、制御部33は、前端位置が距離Daを超えていないと判定した場合(ステップS38:No)、対象列車が在線している駅に出発順序が対象列車よりも上位の列車30があるか否かを判定する(ステップS40)。
制御部33は、出発順序が対象列車よりも上位の列車30があると判定した場合(ステップS40:Yes)、出発順序が対象列車よりも上位の列車30を対象列車の先行列車と判定する(ステップS41)。制御部33は、出発順序が対象列車よりも上位の列車30がないと判定した場合(ステップS40:No)、処理をステップS35へ移行する。
制御部33は、ステップS32の処理において、対象列車の駅からの出発順序が1位ではないと判定した場合(ステップS32:No)、対象列車よりも出発順序が上位の列車30を対象列車の先行列車と判定する(ステップS42)。制御部33は、ステップS37の処理、ステップS39の処理、ステップS41の処理、およびステップS42の処理のいずれかが終了した場合、図17に示す処理を終了する。
図18は、図16に示す第2先行列車判定処理の一例を示すフローチャートである。図18に示すステップS51〜S57の処理は、図17に示すステップS35〜S41と同じである。
図19は、実施の形態1にかかる列車運行管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図19に示すように、列車運行管理装置23は、プロセッサ101と、メモリ102と、インタフェース回路103とを備えるコンピュータを含む。
プロセッサ101、メモリ102およびインタフェース回路103は、バス104によって互いにデータの送受信が可能である。通信部31は、インタフェース回路103によって実現される。記憶部32は、メモリ102によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶された列車運行管理プログラムを読み出して実行することによって、情報取得部51、進路制御部52、および運転指示部53の機能を実行する。プロセッサ101は、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、およびEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能な上述の列車運行管理プログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVDのうち一つ以上を含む。なお、列車運行管理装置23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかる列車運行管理装置23は、情報取得部51と、判定部54と、生成部55と、送信処理部56とを備える。情報取得部51は、複数の列車30の各々の位置を示す位置情報と、複数の列車30のうち1以上の列車30の駅91からの出発順序を示す出発順序情報80とを取得する。判定部54は、情報取得部51によって取得された位置情報および出発順序情報80に基づいて、複数の列車30のうち走行制御の対象である対象列車の前を走行する先行列車と対象列車の後を走行する後続列車とを判定する。生成部55は、判定部54による判定結果に基づいて、先行列車および後続列車の各々と対象列車との運転間隔を制御するための情報である時隔制御情報を生成する。送信処理部56は、生成部55によって生成された時隔制御情報を対象列車の車上装置10へ送信する。これにより、例えば、駅91内に2以上の列車30が停車中である場合において、各列車30の位置情報のみから列車30の先行列車と後続列車を判定する場合に比べ、先行列車と後続列車とを精度よく判定することができ、列車30の運転間隔を適切に調整することができる。
また、情報取得部51は、対象列車を含む2以上の列車30が同一の駅91に同時に停車する場合における2以上の列車30の駅からの出発順序を示す情報を出発順序情報80として取得する。判定部54は、対象列車の出発順序が2位である場合、2以上の列車30のうち出発順序が1位である列車30が先行列車であると判定する。これにより、対象列車が駅に停車している場合において先行列車を精度よく判定することができる。
また、判定部54は、対象列車が駅91に停車している場合に、対象列車の経路における対象列車の前方に在線し且つ対象列車に最も距離が近い列車30を先行列車と判定する。これにより、対象列車が駅に停車している場合において先行列車を精度よく判定することができる。
また、判定部54は、対象列車の経路における対象列車の前方であって対象列車の位置から予め設定された条件を満たす距離Daまでの範囲内に1以上の列車30が在線していない場合、先行列車がないと判定する。これにより、判定部54において先行列車を判定する処理の負荷を軽減することができる。
また、情報取得部51は、複数の列車30のうち対象列車が進行方向において先頭の列車であり且つ折り返し駅に停車することになる場合における対象列車の折り返し駅からの出発順序を示す出発順序情報80を取得する。判定部54は、対象列車の折り返し駅における出発順序に基づいて、先行列車を判定する。これにより、対象列車が折り返す場合において先行列車を精度よく判定することができる。
また、情報取得部51は、複数の列車30のうち対象列車が進行方向において先頭の列車30であり且つ対象列車の折り返し駅に停車すると、折り返し駅に2以上の列車30が同時に停車することになる場合に、2以上の列車30の折り返し駅からの出発順序を示す情報を出発順序情報80として取得する。判定部54は、折り返し駅で同時に停車することになる2以上の列車30の折り返し駅における出発順序に基づいて、先行列車を判定する。これにより、対象列車が折り返す場合において先行列車を精度よく判定することができる。
例えば、判定部54は、折り返し駅において2以上の列車30のうち対象列車以外の列車30の出発順序が1位になり、且つ対象列車の出発順序が2位になる場合、2以上の列車30のうち出発順序が1位の列車30が先行列車であると判定することができる。また、判定部54は、折り返し駅において2以上の列車30のうち対象列車の出発順序が1位になり、且つ2以上の列車30のうち対象列車以外の列車30の出発順序が2位になる場合、後続列車が2以上の列車30のうち出発順序が2位の列車30であると判定することができる。
また、判定部54は、複数の列車30が走行する路線が同一進行方向において2以上の軌道を有する場合、2以上の軌道の各々の駅からの出発順序に基づいて、先行列車と後続列車を判定する。これにより、例えば、複々線においても先行列車と後続列車とを精度よく判定することができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる無線列車制御システムの列車運行管理装置は、列車種別に基づいて対象列車の先行列車と後続列車とを判定する点で、実施の形態1にかかる列車運行管理装置23と異なる。以下においては、実施の形態1にかかる列車運行管理装置23と同様の構成については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1にかかる列車運行管理装置23と異なる構成について主に説明するものとする。
図20は、本発明の実施の形態2にかかる列車運行管理装置の構成例を示す図である。図20に示す列車運行管理装置23Aは、通信部31と、記憶部32Aと、制御部33Aとを備える。
記憶部32Aは、経路情報記憶部41と、ダイヤ情報記憶部42Aと、列車情報記憶部43とを備える。ダイヤ情報記憶部42Aには、各列車30の列車種別を示す種別情報を含むダイヤ情報が記憶されている。図21は、実施の形態2にかかるダイヤ情報記憶部に記憶されるダイヤ情報の一部を示す図である。図21に示すダイヤ情報には、列車種別が含まれる点で図6に示すダイヤ情報と異なる。
各列車30の種別情報には、例えば、普通、急行、特急、および回送のうち一つの列車種別を示す情報が設定される。列車種別が普通である列車30は各駅停車である。列車種別が急行である列車30は、列車種別が普通である列車30よりも停車駅が少ない。列車種別が特急である列車30は、列車種別が急行である列車30よりも停車駅が少ない。列車種別が回送である列車30は、乗客を乗せずに運転される。
図21に示すダイヤ情報では、列車IDがT1001の列車30の種別情報には、列車30が普通であることを示す情報が含まれ、列車IDがT1002の列車30の種別情報には、列車30が回送であることを示す情報が含まれる。
図20示す制御部33Aは、情報取得部51Aと、進路制御部52と、運転指示部53Aとを備える。情報取得部51Aは、記憶部32Aに記憶された経路情報、ダイヤ情報、および列車状態情報などを取得する。ダイヤ情報には、上述したように、各列車30の列車種別を示す種別情報が含まれる。運転指示部53Aは、情報取得部51Aによって取得された経路情報、ダイヤ情報、および列車状態情報に基づき、時隔制御情報を生成する。
運転指示部53Aは、判定部54Aと、生成部55と、送信処理部56とを備える。判定部54Aは、種別情報に基づき、複数の列車30のうち対象列車の先行列車の候補および後続列車の候補を決定する。
例えば、列車種別が回送と普通の2種類のみである場合、列車種別が回送である列車30を、対象列車の候補、先行列車の候補、および後続列車の候補から除外することができる。これにより、判定部54Aは、列車種別が普通である複数の列車30のみを対象列車の候補、先行列車の候補、および後続列車の候補として、対象列車の先行列車および後続列車を判定することができる。この場合、判定部54Aは、例えば、列車種別が回送である列車30を除外して図15に示す処理を実行することができる。
また、判定部54Aは、列車種別毎に列車30の間隔を制御する時隔制御情報を生成することができる。具体的には、判定部54Aは、対象列車の候補、先行列車の候補、および後続列車の候補を列車種別が同じ列車30とすることで、列車種別が同じ複数の列車30の運転間隔を制御するための時隔制御情報を生成することができる。この場合、判定部54Aは、例えば、列車種別毎に図15に示す処理を実行することができる。
例えば、判定部54Aは、対象列車の候補、先行列車の候補、および後続列車の候補を列車種別が普通である列車30とすることで、列車種別が普通である複数の列車30の運転間隔を制御する時隔制御情報を生成することができる。同様に、判定部54Aは、対象列車の候補、先行列車の候補、および後続列車の候補を列車種別が特急である列車30とすることで、列車種別が特急である複数の列車30の運転間隔を制御する時隔制御情報を生成することができる。
なお、実施の形態2にかかる列車運行管理装置23Aのハードウェア構成例は、図19に示す列車運行管理装置23と同じである。プロセッサ101は、記憶部32Aとして機能するメモリ102に記憶された列車運行管理プログラムを読み出して実行することによって、運転指示部53Aの機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態2にかかる列車運行管理装置23Aの情報取得部51Aは、複数の列車30の各々の列車種別を示す種別情報を取得する。また、列車運行管理装置23Aの判定部54Aは、複数の列車30の各々の種別情報に基づき、複数の列車30のうち先行列車の候補および後続列車の候補を決定する。これにより、例えば、回送列車を先行列車の候補および後続列車の候補から除外することができ、時隔制御を精度よく行うことができる。
また、判定部54Aは、列車種別が異なる列車30を先行列車の候補および後続列車の候補から除外する。これにより、例えば、同一列車種別毎に時隔制御を精度よく行うことができる。
実施の形態3.
実施の形態3の無線列車制御システムは、列車制御情報を車上装置10へ無線送信する無線装置とは異なる無線装置によって時隔制御情報が車上装置10へ無線送信される点で、実施の形態2の無線列車制御システムと異なる。以下においては、実施の形態2にかかる無線列車制御システムと同様の構成については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態2にかかる無線列車制御システムと異なる構成について主に説明するものとする。
図22は、本発明の実施の形態3にかかる無線列車制御システムの構成を示す図である。図22に示す無線列車制御システム1Bは、複数の車上装置10Bと、複数の無線装置20と、地上制御装置21と、連動制御装置22と、列車運行管理装置23Bと、無線装置26とを備える。
無線装置26は、ネットワーク25を介して列車運行管理装置23Bと通信可能に接続されており、列車運行管理装置23Bから送信される時隔制御情報を車上装置10へ無線によって送信することができる。
車上装置10Bは、無線通信部11Bと、列車制御部12と、運転制御部13を備える。図22に示す無線通信部11Bは、無線装置20に加え、無線装置26との間で情報を送受信する点で、無線通信部11と異なる。無線通信部11Bは、無線装置26から送信される時隔制御情報を受信することができる。運転制御部13は、無線通信部11Bで受信された時隔制御情報に基づいて、列車30を制御することができる。例えば、無線装置26は、第4世代携帯電話システムの基地局である。なお、無線装置20の無線通信方式と無線装置26の無線通信方式は異なるが、これらの無線通信方式は同一であってもよい。
列車運行管理装置23Bは、時隔制御情報を無線装置26から送信することができる点で、列車運行管理装置23Aと異なる。図23は、実施の形態3にかかる列車運行管理装置の構成例を示す図である。
図23に示すように、実施の形態3にかかる列車運行管理装置23Bは、通信部31と、記憶部32Aと、制御部33Bとを備える。通信部31は、ネットワーク25に接続され、ネットワーク25を介して地上制御装置21、連動制御装置22、および無線装置26との間で情報の送受信を行う。制御部33Bは、時隔制御情報を通信部31から無線装置26へ送信させることで、時隔制御情報を無線装置26から車上装置10Bへ送信させることができる。
制御部33Bは、情報取得部51Aと、進路制御部52と、運転指示部53Bとを備える。運転指示部53Bは、判定部54Aと、生成部55と、送信処理部56Bとを備える。送信処理部56Bは、生成部55によって生成された時隔制御情報を通信部31から無線装置26へ送信させることができる。
また、送信処理部56Bは、無線装置20の故障などによって無線装置20と通信できない車上装置10Bがあるか否かを地上制御装置21から通知される情報に基づいて判定することができる。送信処理部56Bは、無線装置20と通信できる車上装置10Bに対しては、地上制御装置21および無線装置20を介して時隔制御情報を送信させることができる。また、送信処理部56Bは、無線装置20と通信できない車上装置10Bに対しては、無線装置26を介して時隔制御情報を送信させることができる。
また、送信処理部56Bは、先行列車および後続列車のうち1以上の列車30が故障状態である場合、先行列車および後続列車のうち1以上の列車30が故障状態であることを示す故障情報を通信部31から無線装置26または無線装置20を介して対象列車へ送信させることもできる。この場合、判定部54Aは、情報取得部51Aによって取得される各列車30の列車情報に基づいて、各列車30が故障状態であるか否かを判定することができる。生成部55は、故障状態である列車30を先行列車または後続列車とする列車30へ通知するための故障情報を生成することができる。
なお、実施の形態3にかかる列車運行管理装置23Bのハードウェア構成例は、図19に示す列車運行管理装置23と同じである。プロセッサ101は、記憶部32Aとして機能するメモリ102に記憶された列車運行管理プログラムを読み出して実行することによって、運転指示部53Bの機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態3にかかる無線列車制御システム1Bにおける送信処理部56Bは、複数の列車30が走行する路線の軌道に沿って配列され且つ複数の列車30に各々搭載される複数の車上装置10Bから位置情報を取得する複数の無線装置20とは異なる無線装置26を経由して時隔制御情報を対象列車の車上装置10Bへ送信する。これにより、例えば、無線装置20の故障などによって無線装置20と通信できない車上装置10Bに対しても時隔制御情報を送信することができる。
なお、列車運行管理装置23,23A,23Bの運転指示部53,53A,53Bは、管轄範囲内にある列車30において遅延が発生した場合に、乗客の輸送効率の低減を抑制しつつ、運行ダイヤを回復させるように、遅延した列車30の走行制御を行うための時隔制御情報を生成することができる。また、運転指示部53,53A,53Bは、予め設定された時間間隔で列車30を運行する場合、予め設定された時間間隔で列車30が運行するように時隔制御情報を生成することができる。予め設定された時間間隔は、例えば、5分間隔、または10分間隔などである。なお、予め設定された時間間隔での列車30を運行させる制御は、等時隔制御とも呼ばれる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。