JP6478547B2 - 可逆性感熱記録シート付き媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、可逆性感熱記録シート付き媒体、特に可逆性感熱記録シート付きカード又はタグに関する。
ある種の乗車定期券、ポイントカード、身分証明(ID)カード、プリペイドカード、会員カード等の各種カード、並びに商品、荷物、貨物等の識別に用いられる識別用のタグにおいては、電磁気的な記録を可逆的に行うことに加えて、又はこれに代えて、乗車期限、ポイント数、商品名等を、その表面に可視的かつ可逆的に記録及び表示することが要求されている。
このように可視的かつ可逆的に記録及び表示を行うためには、表示を繰り返し書き換えることができる可逆性感熱記録部を、媒体の表示面に設けることが行われている。
この可逆性感熱記録部としては、記録時の加熱によって生じる透明状態と白濁状態との差によって可視画像を形成する白濁型可逆性感熱記録部、記録時の加熱によって生じる発色状態と消色状態との差によって可視画像を形成するロイコ型可逆性感熱記録部等が知られている。また、可逆性感熱記録部への記録のためには、サーマルヘッド、レーザー光等の熱を用いることが知られている。
このような可逆性感熱記録部は一般に、媒体本体とは別個に、可逆性感熱記録シートとして形成され、媒体の製造の間に、媒体本体上に積層及び一体化されている。また、このような可逆性感熱記録シートは、媒体の一方の面の全面に積層されるだけでなく、その一部分のみに積層されることもある。
このように、可逆性感熱記録シートを媒体表面の一部分のみに積層する場合、媒体表面の熱応力が不均一になり、それによって反りが生じること、可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との間に凹凸が生じ、それによって平滑性が悪化すること等の問題があった。
このような問題に関して、特許文献1では、カード本体を構成する中間層の可逆性感熱記録シートを積層する箇所に、複数の孔を形成することを提案している。この特許文献1では、可逆性感熱記録シートをカード本体に熱圧着によって積層したときに、溶融した樹脂がこれらの孔に流入し、それによって可逆性感熱記録シートを積層する箇所が凹んで、可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との凹凸が緩和されるとしている。なお、この特許文献1では、可逆性感熱記録シートをカード本体に熱圧着させるために、カード本体の表面を自己融着性の樹脂、例えば塩化ビニル、PET、PET−G等で被覆するとしている。
また、上記の問題に関して、特許文献2では、カード等の媒体の本体の表面及び裏面の全面に、延伸方向を揃えた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる外装シートを設けることを提案している。この特許文献2では、可逆性感熱記録シートを媒体本体に積層するために、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を外装シートの表面にコーティングし、その表面の一部分に、可逆性感熱記録シートを熱圧着するとしている。なお、特許文献2では、この熱可塑性樹脂のコーティングが15μmを超えると、その材料及び厚みのバラツキ等が増えるので好ましくないとしている。
特開2006−309603号公報 特開2009−107261号公報
上記の特許文献1及び2では、可逆性感熱記録シートを媒体表面の一部分のみに積層する場合の問題を解決することを意図しているが、特許文献1及び2の媒体は、繰り返し曲げた際に耐久性がなく、また、特許文献2の媒体では、可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との間の凹凸が発生し、この凹凸を抑制するためにコーティングを厚くすると、厚みのバラつき等が生じるという課題が発見された。
これに対して、本発明では、可逆性感熱記録シートが媒体表面の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート付き媒体であって、繰り返し曲げに対する耐割れ性が良好であり、可逆性感熱記録シートを媒体本体に熱圧着によって埋め込む際に媒体本体に印刷された印刷層が歪みにくく、かつ/又は可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との間の凹凸を抑制する可逆性感熱記録シート付き媒体を提供する。
なお、媒体表面の一部分のみにシート状物を積層することは、磁気テープ層、筆記層等の形成のためにも従来から行われていたが、これらの場合には、割れ性、印刷層の歪み、及び凹凸が大きな問題ではなかった。これは、磁気テープ層、筆記層等は、構成が単純であり、それによって基材層、可逆性感熱記録層、保護層等を有する複雑な構成の可逆性感熱記録シートと比較して、厚さが薄かったことによると考えられる。例えば、磁気テープ層は、3μm〜20μm又は5〜15μm程度の厚さであるのに対し、可逆性感熱記録シートは、25〜60μm又は35〜50μm程度の厚さがある。
本発明者らは、特定の積層構造を用いることによって、上記の課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記の通りである。
〈1〉コア基材、
上記コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層、
上記結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層、及び
上記非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート
を有し、
上記コア基材が、アンテナ回路基板、上記アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、及びこれらを挟んでいるコアシートを有し、
上記可逆性感熱記録シートが、熱圧着によって上記非晶性ポリマーフィルム層に埋め込まれており、
上記結晶性ポリマーフィルム層の厚さが30μm以上であり、
上記非晶性ポリマーフィルム層の厚さが、上記可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、かつ
上記アンテナ回路基板用スペーサーの平均厚さの、上記アンテナ回路基板の平均厚さに対する比が、0.50以上1.00未満である、
可逆性感熱記録シート付き媒体。
〈2〉前記結晶性ポリマーフィルム層が、荷重たわみ温度が65℃超であるポリマーのフィルムから形成されている、〈1〉項に記載の媒体。
〈3〉上記結晶性ポリマーフィルム層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム層であり、かつ上記非晶性ポリマーフィルム層が、エチレングリコールと他のジオールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂のフィルム又はポリ塩化ビニルである、上記〈1〉又は〈2〉項に記載の媒体。
〈4〉上記可逆性感熱記録シートが、シート基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム層を有する、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の媒体。
〈5〉上記コア基材の上記結晶性ポリマーフィルム層が積層されている側とは反対側に積層されている第2の結晶性ポリマーフィルム層、
上記第2の結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている第2の非晶性ポリマーフィルム層
を有する、上記〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の媒体。
〈6〉前記第2の非晶性ポリマーフィルム層が、荷重たわみ温度が110℃未満であるポリマーのフィルムから形成されている、〈5〉項に記載の媒体。
〈7〉前記第2の非晶性ポリマーフィルム層上の少なくとも一部に磁気テープが積層されており、その上に印刷層が形成されている、〈4〉又は〈5〉項に記載の媒体。
〈8〉可逆性感熱記録シート付きカード、又は可逆性感熱記録シート付きタグである、上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の媒体。
〈9〉コア基材、
上記コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層、
上記結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層、及び
上記非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート
を有する積層体を熱圧着し、それによって上記可逆性感熱記録シートを上記非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことを含み、
上記コア基材がアンテナ回路基板、上記アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、及びこれらを挟んでいるコアシートを有し、
上記結晶性ポリマーフィルム層の厚さが30μm以上であり、
上記非晶性ポリマーフィルム層の厚さが、上記可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、かつ、
上記アンテナ回路基板用スペーサーの厚さの上記アンテナ回路基板の厚さに対する比が0.50以上1.00未満である、
可逆性感熱記録シート付き媒体の製造方法。
本発明によれば、結晶性ポリマーフィルム層及び非晶性ポリマーフィルム層が比較的厚い特定の厚さを有することによって、繰り返し曲げに対する耐割れ性が良好であり、可逆性感熱記録シートを媒体本体に熱圧着によって埋め込む際に印刷が歪みにくく、かつ/又は可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との間の凹凸を抑制する可逆性感熱記録シート付き媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、上記のようにして比較的厚い結晶性ポリマーフィルム層及び非晶性ポリマーフィルム層を用いることによる問題、具体的には、各層の熱圧着後において、可逆性感熱記録シートを埋め込んだ箇所の付近において凹みが生じることがあるという問題を、特定の厚さのアンテナ回路基板用スペーサーを用いることによって解決することができる。
図1は、本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体の積層前の模式的な側面断面図である。 図2は、図1の線II−IIにおける本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体の模式的な正面断面図である。 図3は、アンテナ回路基板用スペーサーの厚さが本発明で規定する範囲内である場合における可逆性感熱記録シート付き媒体の積層時の状態を示す模式断面図である。 図4は、アンテナ回路基板用スペーサーの厚さが本発明で規定する範囲外である場合における可逆性感熱記録シート付き媒体の積層時の状態を示す模式断面図である。 図5は、実施例の可逆性感熱記録シート付き媒体の積層後の模式的な側面断面図である。 図6は、参考例の可逆性感熱記録シート付き媒体の積層後の模式的な側面断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
《可逆性感熱記録シート付き媒体》
図1で示すように、本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体(10、)は、コア基材(20)、コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層(14a)、結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層(16a)、及び非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート(18)を有する。
本発明の媒体(10)は特に、可逆性感熱記録シート付きカード、例えばポイントカード、身分証明(ID)カード、プリペイドカード、会員カードであってよい。また、本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体(10)は特に、タグ、例えば商品、荷物、貨物等の識別に用いられる識別用のタグであってよい。
ここで、この本発明の媒体では、可逆性感熱記録シート(18)が、熱圧着によって非晶性ポリマーフィルム層(16a)に埋め込まれている。また、この本発明の媒体では、結晶性ポリマーフィルム層(14a)の厚さが30μm以上であり、かつ非晶性ポリマーフィルム層(16a)の厚さが、可逆性感熱記録シート(18)の厚さよりも大きい。
このような本発明の媒体は、予想外に、曲げに対して非常に優れた耐割れ性を有することができる。
理論に限定されるものではないが、本発明の媒体では、結晶性ポリマーフィルムが剛性の層として機能して、媒体の局所的な不均一な湾曲を抑制すると共に、この結晶性ポリマーフィルムが非結晶ポリマーフィルムと比較して、繰り返し曲げの「疲れ」に対する強い耐性を有することによって、媒体の割れ、特に可逆性感熱記録シートの周辺での割れを抑制していると考えられる。
また、本発明の媒体では、非晶性ポリマーフィルム層の厚さが、可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きいことによって、結晶性ポリマーフィルムが剛性の層として機能するにも関わらず、可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことを可能にすることによって、可逆性感熱記録シートを積層した箇所とそうでない箇所との間の凹凸の発生を抑制できる。
また、本発明の媒体では、結晶性ポリマーフィルム上にホットメルト接着剤をコーティングするのではなく、非晶性ポリマーフィルム層を積層していることによって、均一な厚さを有するポリマー層を容易に形成できる。したがって、この非晶性ポリマーフィルム層は、可逆性感熱記録シートが積層されていない部分では、本発明の媒体の最外層であってよい。
また、本発明の媒体において、結晶性ポリマーフィルム層(14a)上の少なくとも一部に印刷層が形成されており、その上に、非晶性ポリマーフィルム層(16a)が積層されている場合、結晶性ポリマーフィルムが剛性のベース層として機能する一方で、非晶性ポリマーフィルム層が熱圧着の間に主に変形することによって、熱圧着の間の結晶性ポリマーフィルムの変形を抑制し、それによって結晶性ポリマーフィルム層上の印刷層の歪みを抑制できる。
なお、本発明の媒体では、図1に示すように、コア基材(12)の結晶性ポリマーフィルム層(14a)が積層されている側とは反対側に、第2の結晶性ポリマーフィルム層(14b)が積層されており、かつこの第2の結晶性ポリマーフィルム層(14b)上に、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)が積層されていてもよい。すなわち、本発明の媒体では、可逆性感熱記録シート(18)が積層されている側と、その反対側とで、可逆性感熱記録シート(18)を除いて同様の積層構造を有し、それによって媒体の熱応力の差による反りを抑制することができる。
また、本発明の媒体では、コア基材(12)と結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)との間にも、追加の非晶性ポリマーフィルム層が存在し、それによってコア基材(12)と結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)との間の接着を促進することもできる。
この場合には、この追加の非晶性ポリマーフィルム層上の少なくとも一部に印刷層が形成されており、その上に、結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)が積層されてもよい。また、追加の非晶性ポリマーフィルム層上のこの印刷層は、結晶性ポリマーフィルム層(14a)上の印刷層に代えて、又はこれに加えて用いることができる。
本発明の本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体は、任意の方法によって製造することができ、特に本発明の方法によって製造することができる。
以下では、本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体を構成する各部について詳細に説明する。
〈結晶性ポリマーフィルム層〉
本発明の媒体においては、結晶性ポリマーフィルム層は、非晶性ポリマーフィルム層を構成するポリマーよりも耐熱性が高い任意の結晶性ポリマーのフィルム層であってよい。この結晶性ポリマーフィルム層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム層、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム層であってよい。また、この結晶性ポリマーフィルム層は、透明、又は白色等の有色の結晶性ポリマーフィルム層であってよい。
この結晶性ポリマーフィルム層の厚さは、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、又は50μm以上であってよい。また、この層の厚さは、250μm以下、200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であってよい。このような厚みのポリマーフィルム層を使用することにより、媒体全体の強度が上がり、繰り返し曲げに耐えられる媒体を製造することが出来る。
なお、この結晶性ポリマーフィルム層、及び下記の非晶性ポリマーフィルム層は、任意のフィルム製造法で製造することができ、例えばインフレーション法、Tダイ法、溶液流延法、カレンダー法等によって製造することができ、また必要に応じて延伸することもできる。
〈非晶性ポリマーフィルム層〉
本発明の媒体においては、非晶性ポリマーフィルム層は、非晶性ポリマーフィルム層と可逆性感熱記録シートとを熱圧着したときに軟化又は溶融して、可逆性感熱記録シートを埋め込み、可逆性感熱記録シートとの間で凹凸が出来ないようにする任意のポリマーフィルム層であってよい。
この非晶性ポリマーフィルム層の厚さは、可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、例えば可逆性感熱記録シートの厚さよりも、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上厚くすることができる。この非晶性ポリマーフィルム層の厚さは、200μm以下、150μm以下、100μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、又は50μm以下であってよい。
この非晶性ポリマーフィルム層は、透明、又は白色等の有色の非晶性ポリマーフィルム層であってよい。
このような非晶性ポリマーフィルム層としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、非晶性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル樹脂のフィルム層、特に非晶性ポリエステルのフィルム層、例えば非晶性のポリエチレンテレフタレート系コポリマーのフィルム層であってよい。ここで、このような非晶性のポリエチレンテレフタレート系コポリマーとしては、エチレングリコールと他のジオールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂、特にエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂、すなわちいわゆるPET−Gを挙げることができる。
これらの中でも特に、本発明者らは、可逆性感熱記録シートが積層される非晶性ポリマーフィルム層においては、特定の熱物性を有するポリマーのフィルム層を用いることが好ましいことを見出した。
具体的には、非晶性ポリマーフィルム層に可逆性感熱記録シートを積層した場合、可逆性感熱記録シートの端部において、にじみのようなスジが発生することがあった。
それに対して、本発明者らが鋭意検討したところ、可逆性感熱記録シートが積層される非晶性ポリマーフィルム層に、上記のポリマーのなかでも比較的高い荷重たわみ温度のポリマー、すなわち軟化温度が高いポリマーを用いることで上記課題を解決することができた。
可逆性感熱記録シートが積層される非晶性ポリマーフィルム層において用いるのが好ましいポリマーとしては、JIS K 7191−1に準拠して測定した場合に、荷重たわみ温度が65℃超、71℃超、73℃以上、75℃以上又は78℃以上であるポリマーが挙げられる。ただし、熱成形性等を考慮した場合には、荷重たわみ温度は200℃以下、180℃以下、150℃以下、又は120℃以下であることが好ましい。
理論に拘束されないが、このようなポリマーでは、可逆性感熱記録シートを熱圧着する際に、可逆性感熱記録シートとの境界で相溶が起こりにくく、端部を綺麗に成形できるためと考えられる。
〈第2の非晶性ポリマーフィルム層〉
また、本発明者らは、コア基材(12)の結晶性ポリマーフィルム層(14a)が積層されている側とは反対側に、第2の結晶性ポリマーフィルム層(14b)及び第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)が積層されている媒体の実施態様において、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)については、上記のポリマーのうち比較的低い荷重たわみ温度を有するポリマーから成形されていることが好ましいことをさらに見出した。
すなわち、非晶性ポリマーフィルム層(16a)上に可逆性感熱記録シート18を積層した場合、その裏側に当たる第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)に、可逆性感熱記録シートの輪郭が透けて現れてくる場合があった。このような輪郭は、媒体表面に印刷されているデザインの外観を損なうため、不適切となる。
それに対して、本発明者らが鋭意検討したところ、可逆性感熱記録シート18を積層させる非晶性ポリマーフィルム層(16a)ではなく、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)として、比較的低い荷重たわみ温度のポリマーのフィルム層を用いることで、上記課題を解決することができた。
第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)において用いるのが好ましいポリマーとしては、JIS K 7191−1に準拠して測定した荷重たわみ温度が、110℃未満、100℃以下、90℃以下、80℃以下、75℃以下、又は71℃以下であるポリマーが挙げられる。ただし、荷重たわみ温度の下限は30℃以上、40℃以上、50℃以上、又は60℃以上であることが好ましい。
このようなポリマーを用いることは、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)上に磁気テープ層を形成する場合には、磁気テープによる印刷層の絵柄ワレを防ぐ点でさらに好ましいことも分かった。すなわち、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)上に磁気テープ層を形成し、それを隠蔽する場合には、磁気テープ上に印刷層を設ける必要がある。この場合、磁気テープのわずかな厚みが印刷層の外観に悪影響を与える場合があった。
それに対して、本発明者らは、第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)に、比較的低い荷重たわみ温度のポリマーのフィルム層を用いる場合には、このような課題をも解決できることを見出した。
〈可逆性感熱記録シート〉
本発明の媒体で用いられる可逆性感熱記録シートは、サーマルヘッド、レーザー光等による加熱によって可逆的に視覚的な記録ができる任意のシートであってよい。この可逆性感熱記録シートは、非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されており、例えば非晶性ポリマーフィルム層の面積の10%以上、20%以上、又は30%以上であって、90%以下、80%以下、又は70%以下を占めるものであってよい。なお、この可逆性感熱記録シートが配置されている面は、媒体の表面であっても、裏面であってもよい。
この感熱記録シートは通常、可逆性感熱記録層の他に、可逆性感熱記録層が積層されているシート基材、及び可逆性感熱記録層を保護している保護層を有する。
可逆性感熱記録層は、色調が可逆的に変化する感熱記録層であり、温度変化によって色の状態が可逆的に変化する可逆性感熱記録材料を含有する。可逆性感熱記録材料は透過率、反射率、吸収波長、散乱度等の変化の組み合わせにより、色の状態が変化する。この可逆性感熱記録材料としては、熱により透明度や色調が可逆的に変化する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温より高い第一の温度で第一の色の状態となり、第一の温度よりも高い第二の温度で加熱し、その後冷却することにより第二の色の状態となる材料が挙げられる。これらの中でも、第一の温度と第二の温度で色の状態が変化する材料が特に好ましい。
具体的には、第一の温度で透明状態となり、第二の温度で白濁状態となる材料、第二の温度で発色し、第一の温度で消色する材料、第一の温度で白濁状態となり、第二の温度で透明状態となる材料、第一の温度で黒色、赤色、青色等に発色し、第二の温度で消色する材料等が挙げられる。これらの中でも、樹脂母材中に高級脂肪酸等の有機低分子物質を分散した系や、ロイコ染料と顕色剤を用いた系が特に好ましい。
また、可逆性感熱記録シートの保護層は、熱、紫外線、電子線等を用いて硬化させた樹脂を含有することができる。これらの中でも、紫外線又は電子線を用いて硬化させた樹脂が特に好ましい。
また、可逆性感熱記録シートのシート基材は、ポリエチレンテレフタレート層、ポリカーボネート層、ポリスチレン層、ポリメチルメタクリレート層等であってよく、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
〈コア基材〉
本発明において、コア基材は、アンテナ回路基板、アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、随意のICチップ、ICチップを包囲している随意のICチップ用スペーサー、及びこれらを挟んでいるコアシートを有する。
コア基材は、アンテナ回路基板を有することができ、このアンテナ回路基板にはICチップが接続されている。ここで、アンテナ回路基板は、結晶性ポリマーフィルム層及び非晶性ポリマーフィルム層、特に結晶性ポリマーフィルム層に関して上記で説明したポリマー材料で形成されているシートにアンテナをエッチング等によって形成したものを含む。
ICチップは例えば、媒体の表面に設けられて接続部を経由してアンテナ回路基板と接続されていてもよく、また、図1に示すようにアンテナ回路基板上に設けられていてもよい。ICチップがアンテナ回路基板上に設けられている場合、コア基材は図1に示すようにICチップ(31)を包囲している随意のICチップ用スペーサー(21)を有していてもよい。
コア基材は、アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサーを有することができる。これにより、アンテナ回路基板のある部分とない部分との間の段差を埋めることができる。
ここで、アンテナ回路基板用スペーサーの厚さがアンテナ回路基板の厚さと一致するようにアンテナ回路基板用スペーサーを選択した場合、スペーサー及びアンテナ回路基板の厚さの誤差により、実際には、局所的にアンテナ回路基板と比較してアンテナ回路基板用スペーサーの厚さが厚くなる場合がある。この場合、図1に示すようにコア基材(20)上に、比較的厚く、それによって剛性が大きい結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)が積層されている状態で、可逆性感熱記録シート(18)を非晶性ポリマーフィルム層(16a)に埋め込むために熱圧着を試みると、熱圧着後の媒体本体の可逆性感熱記録シートを埋め込んだ箇所の付近において凹みが発生することがあった。
理論に縛られるものではないが、比較的厚く、それによって剛性が大きい結晶性ポリマーフィルムと組み合わせて厚すぎるアンテナ回路基板用スペーサーを使用した場合、まず、熱圧着装置に圧力を加えると、熱圧着装置は、可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込む。その後、熱圧着装置は、可逆性感熱記録シートが積層されていない部分の非晶性ポリマーフィルム層と可逆性感熱記録層を平滑にするように圧力を均一に加えようとする。このとき、アンテナ回路基板用スペーサーの影響で厚くなっている非晶性ポリマーフィルム部分と可逆性感熱記録層部分(図4のb)に熱圧着装置の圧力が集中してしまうため、押しむらが発生する。すると、図4に示すように非晶性ポリマーフィルム層(16a)と可逆性感熱記録シート(18)と熱圧着装置(40)との間に空気溜まりの空気(50)が生じ、熱圧着の間にこの空気溜まりの空気が非晶性ポリマーフィルム層(16a)に押し付けられ、媒体表面の変形(凹み)をもたらすと考えられる。
一般的に、媒体本体の熱圧着については、真空空間で製造される。そのため、熱圧着装置による押しむらが発生すると、熱圧着装置と非晶性ポリマーフィルムの間に生じた空気だまりの空気は、自由空間で生じた空気だまりの空気よりも逃げづらく、媒体表面に残りやすいため、変形が生じやすい。
本発明者らは、アンテナ回路基板用スペーサーの厚さをアンテナ回路基板よりも薄くすることで、図3に示すように、この位置の空気(50)の逃げ道が形成され、熱圧着装置による押しむらを低減し、それによって空気溜まりの空気に起因する媒体表面の変形が生じなくなることを見出した。
なお、薄すぎるアンテナ回路基板用スペーサーを使用した場合、まず、熱圧着装置に圧力を加えると、熱圧着装置は、可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込む。その後、熱圧着装置は、可逆性感熱記録シートが積層されていない部分の非晶性ポリマーフィルム層と可逆性感熱記録層を平滑にするように圧力を均一に加えようとする。このとき、アンテナ回路基板用スペーサーの影響で薄くなっている非晶性ポリマーフィルム部分に比べると、可逆性感熱記録層部分(図3のa)に熱圧着装置の圧力が過度に集中してしまうため、押しむらが発生する。すると、非晶性ポリマーフィルム層(16a)と可逆性感熱記録シート(18)と熱圧着装置(40)との間に空気溜まりの空気(50)が生じ、熱圧着の間にこの空気溜まりの空気が非晶性ポリマーフィルム層(16a)に押し付けられ、媒体表面の変形(凹み)をもたらすと考えられる。
したがって、アンテナ回路基板用スペーサーの平均厚さのアンテナ回路基板の平均厚さに対する比は1.00未満、0.95以下、0.90以下、又は0.80以下であるようにすることができる。
また、この比は、アンテナ回路基板のある部分とない部分との間の段差を埋めるために、0.50以上、0.60以上、又は0.70以上であるようにすることができる。
アンテナ回路基板用スペーサーは例えば、非晶性ポリマーフィルム層に関して上記で説明したポリマー材料で形成することができる。また、このスペーサーは特に、非晶性のポリエチレンテレフタレート系コポリマー、特にエチレングリコールと他のジオールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂、より特にエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂、すなわちいわゆるPET−Gで形成することができる。
アンテナ回路基板用スペーサーは、複数の層から構成されていてもよく、また、随意にICチップ用スペーサーと一体となっていてもよい。
コア基材は更に、アンテナ回路基板及びアンテナ回路基板用スペーサーを挟んでいるコアシートを有することができる。コアシートは表裏1枚以上であれば何枚でも積層してよい。また、コアシートは例えば、アンテナ回路基板用スペーサーに関して挙げた材料で形成することができる。
本発明の媒体のコア基材は、本発明の媒体が、規格等によって定められた厚さ、弾性等を満たすように設計された任意のコア基材であってよい。すなわち、特に本発明の媒体がカードである場合、このコア基材の厚さは、最終的な媒体の厚さが、500μm〜1,000μm、特に680μm〜840μmになるようにすることができる。
コア基材は、接着剤を用いて、結晶性ポリマーフィルム等の他の層と一体化することができる。またコア基材が熱融着性を有することによって、又はコア基材と結晶性ポリマーフィルム等の他の層との間に非晶性ポリマーフィルム層が存在することによって、コア基材と他の層とを熱圧着によって一体化することができる。
〈印刷層〉
印刷層は、シルク印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、コーティング等により形成される層であって、目視確認可能な情報を伝達するための任意のパターンを有する層である。このようなパターンとしては、絵柄、文字、記号、図形、キャラクター、背景色、濃淡等を挙げることができる。
印刷層は、既知の材料を用いて、既知の印刷方法により形成できる。また、印刷層は任意の層の表面に形成することができる。この印刷層は、結晶性ポリマーフィルム層上の少なくとも一部に形成されており、その上に、非晶性ポリマーフィルム層が積層されていることが、可逆性感熱記録シートを媒体本体に熱圧着する際の印刷層の歪みを抑制するために好ましい。あるいは、この印刷層は、同様な理由で、コア基材と結晶性ポリマーフィルム層との間の追加の非晶性ポリマーフィルム層上の少なくとも一部に形成されており、その上に、結晶性ポリマーフィルム層が積層されていることが好ましい。
媒体が磁気テープを有し、これを隠蔽する場合には、印刷層を磁気テープの上に形成してもよい。これは、例えば磁気テープを媒体の両面に設ける場合に、印刷部を含む転写フィルム等を転写させて、その一面に対して行われる。
印刷層の厚さは、特に限定はしないが、磁気テープの上に印刷層を設ける場合、磁気テープへの記録の書き込みや読み取りに影響が出ない程度の厚みにする。具体的には10μm以下であることが好ましい。
〈接着剤層〉
本発明の媒体において、結晶性ポリマーフィルム層、非晶性ポリマーフィルム層、可逆性感熱記録シート、コア基材、印刷層等の各層は、互いに直接に積層しても、これらの層の間に接着剤層を介在させて、これらの層の間の接着を促進してもよい。使用する場合の接着剤としては、常温において粘着性を有する粘着剤、ホットメルト接着剤等の任意の接着剤を挙げることができる。
《可逆性感熱記録シート付き媒体の製造方法》
可逆性感熱記録シート付き媒体を製造する本発明の方法は、コア基材、コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層、結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層、非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シートを有する積層体を熱圧着し、それによって可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことを含む。ここで、コア基材は、アンテナ回路基板、アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、及びこれらを挟んでいるコアシートを有し、結晶性ポリマーフィルム層の厚さは30μm以上であり、非晶性ポリマーフィルム層の厚さは、可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、かつアンテナ回路基板用スペーサーの厚さのアンテナ回路基板の厚さに対する比は0.50以上1.00未満である。
この本発明の方法に関して使用可能な、コア基材、結晶性ポリマーフィルム層、非晶性ポリマーフィルム層等の詳細については、本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体に関する上記の記載を参照することができる。また、本発明の方法において積層体を熱圧着する条件は、可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことが可能な範囲、特に可逆性感熱記録シートを非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことが可能であり、更に非晶性ポリマーフィルム層による層間の熱圧着が可能な範囲で、任意に選択することができる。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〜3及び比較例1〜6〉
下記の層をこの順で図5で示すようにして積層し、そしてプレス温度125℃、プレス時間40分、及びプレス圧力12.5kg/cmの条件で熱圧着して、実施例1〜3及び比較例1〜6の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。
PETシート基材を有する可逆性感熱記録シート(18)(厚さ40μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16a)(厚さ50μm)
可逆性感熱記録シート(18)側に印刷層を有するPET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16c)(厚さ100μm)
PETである結晶性ポリマーフィルム層(14a)であって、結晶性ポリマーフィルム層(14a)(厚さ50μm)
アンテナ回路基板を保持しているPET−G製のコア基材(12)(厚さ375μm)
PETである結晶性ポリマーフィルム層(14b)(厚さ50μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16d)(厚さ100μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16b)(厚さ50μm)
コア基材は、
PETシートであり、アンテナ回路とアンテナ回路に接続されたICチップを有するアンテナ回路基板(厚さ38μm)、
PET−Gフィルムであり、アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、
PET−Gフィルムであり、ICチップ用スペーサー(厚さ175μm)
PET−Gフィルムであり、アンテナ回路基板とアンテナ回路基板用スペーサーを挟んでいるコアシート(ICチップ上部のコアシートの厚み50μm、アンテナ回路下部のコアシートの厚み100μm)を有していた。
アンテナ回路基板用スペーサーの厚さを表1に示すようにした。
なお、非晶性ポリマーフィルム層(16c)上の印刷層は、シルク印刷で下地を印刷した後、オフセット印刷で絵柄を印刷することによって形成した。
〈評価〉
実施例1〜3及び比較例1〜6の可逆性感熱記録シート付き媒体の、可逆性感熱記録シートを埋め込んだ箇所の付近における凹み不良の有無を目視で評価した。評価結果を下記の表1に示している。
Figure 0006478547
表1から理解されるように、アンテナ回路基板の厚さのアンテナ回路基板用スペーサーの厚さの比が0.50以上〜1.05であった実施例1〜3の媒体では、凹み不良が生じなかった。これに対して、スペーサーを用いなかった比較例1及びアンテナ回路基板の厚さのアンテナ回路基板用スペーサーの厚さの比が1.32以上であった比較例2〜6の媒体では、特にアンテナ回路基板とアンテナ回路基板用スペーサーとの間の境界に相当する部分において凹み不良が生じた。
基板とスペーサーとの厚さの比は、それぞれの厚さの誤差によって10%程度は変化するので、上記の結果からは大量生産において凹みの問題をなくすためには、上記の比が1.00未満程度であることが好ましいことが理解される。
《参考例1及び参考比較例1−繰り返し曲げ試験》
〈参考比較例1〉
下記の層をこの順で、結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)を用いなかったことを除いて図6(b)で示すようにして積層し、そしてプレス温度125℃、プレス時間40分、及びプレス圧力12.5kg/cmの条件で熱圧着して、参考比較例1の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。この媒体の積層構成を下記の表1に示している。
PETシート基材を有する可逆性感熱記録シート(18)(厚さ40μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16a)(厚さ50μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16c)(厚さ150μm)
インレットを保持しているPET−G製のコア基材(12)(厚さ375μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16d)(厚さ150μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16b)(厚さ50μm)
なお、コア基材に保持されているインレットは、ICチップ及びアンテナ回路基板からなり、このアンテナ回路基板は、金属箔により形成されたアンテナ回路を有するPET基板(厚さ38μm)からなる。
〈参考比較例2、及び参考例1〜3〉
20μm〜100μmの厚さのPETである結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)を、図6(b)で示すようにして追加して積層し、積層体の合計厚さを維持するために非晶性ポリマーフィルム層(16c、16d)の厚さを対応させたことを除いて参考比較例1と同様にして、参考比較例2、及び参考例1〜3の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。これらの媒体の積層構成を下記の表1に示している。なお、参考例2と上記実施例2は、印刷層を除き同一の構成である。
〈参考例4〉
150μmの厚さのPETである結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)を、図6(b)で示すようにして追加して積層し、積層体の合計厚さを維持するために非晶性ポリマーフィルム層(16c、16d)を用いなかったことを除いて参考比較例1と同様にして、参考例4の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。したがって、この可逆性感熱記録シート付き媒体は、図6(a)で示す構成を有していた。この媒体の積層構成を下記の表2に示している。
〈参考比較例3〉
非晶性ポリマーフィルム層(16c、16d)の厚さを100μmに減少させ、代わりにコア基材(12)の厚さを475μmに増加させたことを除いて参考比較例1と同様にして、図6(b)で示す構成を有する参考比較例3の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。この媒体の積層構成を下記の表1に示している。
〈評価〉
上記の実施例及び比較例の可逆性感熱記録シート付き媒体について、JISX6305−1に従って、長辺方向及び短辺方向に交互に繰り返し曲げ試験を行い、表面の割れが発生するまでの曲げ回数を評価した。評価結果を下記の表2に示している。
Figure 0006478547
表2から理解されるように、参考比較例1〜3の媒体では、3万回又は3万5000回までの曲げで、熱圧着した可逆性感熱記録シートの縁部分に割れが生じた。これに対して、参考例1の媒体では7万回までの曲げで、熱圧着した可逆性感熱記録シートの縁部分に割れが生じ、また参考例2〜4の媒体では10万回までの曲げで割れが生じなかった。
《参考例5及び参考比較例4−印刷歪み性》
〈参考例5〉
下記の層をこの順で図6(a)で示すようにして積層し、そしてプレス温度125℃、プレス時間40分、及びプレス圧力12.5kg/cmの条件で熱圧着して、参考例5の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。この媒体の積層構成を下記の表3に示している。
PETシート基材を有する可逆性感熱記録シート(18)(厚さ40μm)
PET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(16a)(厚さ50μm)
PETである結晶性ポリマーフィルム層(14a)であって、可逆性感熱記録シート(18)側に印刷層を有する結晶性ポリマーフィルム層(14a)(厚さ100μm)
インレットを保持しているPET−G製のコア基材(12)(厚さ475μm)
PETである第2の結晶性ポリマーフィルム層(14b)(厚さ100μm)
PET−Gフィルムである第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)(厚さ50μm)
なお、結晶性ポリマーフィルム層(14a)上の印刷層(19)は、シルク印刷で下地を印刷した後、オフセット印刷で絵柄を印刷することによって形成した。
〈参考比較例4〉
結晶性ポリマーフィルム層(14a、14b)(厚さ100μm)の代わりに、同じ厚さのPET−Gフィルムである非晶性ポリマーフィルム層(厚さ100μm)を用いたことを除いて参考例5と同様にして、参考比較例4の可逆性感熱記録シート付き媒体を形成した。この媒体の積層構成を下記の表2に示している。
〈評価〉
参考例5及び参考比較例4の可逆性感熱記録シート付き媒体の印刷層の歪みの有無を目視で評価した。評価結果を下記の表3に示している。
Figure 0006478547
表3から理解されるように、参考例5の媒体では、印刷歪みが生じなかった。これに対して、参考比較例4の媒体では、特に可逆性感熱記録シートの周縁部において印刷歪みが生じた。
《参考例6〜11−可逆性感熱記録シート端部のスジの評価》
参考例5の媒体から印刷層を除いた層構成において、非晶性ポリマーフィルム層(16a)のポリマーの種類を様々に変更して参考例6〜11の媒体を作製し、可逆性感熱記録シート端部に、にじみのようなスジが発生するかどうかを評価した。
〈評価〉
参考例6〜11の可逆性感熱記録シート付き媒体の可逆性感熱記録シート端部のスジの有無を目視で評価した。スジが発生していることが容易に分かる場合には×とし、スジが発生していることがよく観察することで分かる場合には△、スジが発生していない場合には○とした。評価結果を下記の表4に示している。
Figure 0006478547
表4から理解されるように、荷重たわみ温度が比較的高いポリマーを用いた参考例8〜11では、スジの発生を防ぐことができた。
《参考例12〜17−可逆性感熱記録シートの輪郭透け及び磁気テープ層による印刷絵柄ワレの評価》
参考例5の媒体から印刷層を除いた層構成において、可逆性感熱記録シートがない側に、すなわち第2の非晶性ポリマーフィルム層(16b)の上に、厚さ10μmの磁気テープを形成し、さらにその上に転写フィルムを使用して印刷層を形成した。ここでは、第2の非晶性ポリマーフィルム層のポリマーの種類を様々に変更して、参考例12〜17の媒体を作製し、印刷層側に、可逆性感熱記録シートの輪郭が透けるかどうか、及び磁気テープによる印刷層の絵柄ワレが発生するかどうかを評価した。
〈評価〉
参考例12〜17の可逆性感熱記録シート付き媒体の可逆性感熱記録シート端部の輪郭が透けるかどうかを目視で評価した。輪郭が透けて見える場合には×とし、輪郭が透けて見えない場合には○とした。また、磁気テープによる印刷層の絵柄ワレが発生しているかどうかも目視で評価した。絵柄ワレが容易に分かる場合には×とし、絵柄ワレが発生していることがよく観察することで分かる場合には△、絵柄ワレが発生していない場合には○とした。これらの評価結果を下記の表5に示している。
Figure 0006478547
表5から理解されるように、荷重たわみ温度が比較的低いポリマーを用いた参考例においては、可逆性感熱記録シートの輪郭透け及び印刷層のワレを防ぐことができた。
10 本発明の可逆性感熱記録シート付き媒体
100 実施例の可逆性感熱記録シート付き媒体
200、300 参考例の可逆性感熱記録シート付き媒体
14a、14b 結晶性ポリマーフィルム層
16a、16b、16c、16d 非晶性ポリマーフィルム層
18 可逆性感熱記録シート
19 印刷層
20 コア基材
21、21a、21b ICチップ用スペーサー
22、22a、22b アンテナ回路基板用スペーサー
23a、23b コアシート
31 ICチップ
32 アンテナ回路基板
40 熱圧着装置
50 空気
a、b 熱圧着時に圧力が集中する箇所

Claims (9)

  1. コア基材、
    前記コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層、
    前記結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層、及び
    前記非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート
    を有し、
    前記コア基材がアンテナ回路基板、前記アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、並びに前記アンテナ回路基板及び前記アンテナ回路基板用スペーサーを挟んでいるコアシートを有し、
    前記可逆性感熱記録シートが、熱圧着によって前記非晶性ポリマーフィルム層に埋め込まれており、
    前記可逆性感熱記録シートが、可逆性感熱記録層、及び前記可逆性感熱記録層が積層されているシート基材を少なくとも有しており、
    前記可逆性感熱記録シートの厚さが、25〜60μmであり、
    前記結晶性ポリマーフィルム層の厚さが30μm以上であり、
    前記非晶性ポリマーフィルム層の厚さが、前記可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、かつ
    前記アンテナ回路基板用スペーサーの平均厚さの前記アンテナ回路基板の平均厚さに対する比が0.50以上1.00未満である、
    可逆性感熱記録シート付き媒体。
  2. 前記非晶性ポリマーフィルム層が、荷重たわみ温度が65℃超であるポリマーのフィルムから形成されている、請求項1に記載の媒体。
  3. 前記結晶性ポリマーフィルム層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム層であり、かつ前記非晶性ポリマーフィルム層が、エチレングリコールと他のジオールとテレフタル酸との脱水縮合樹脂のフィルム又はポリ塩化ビニルである、請求項1又は2に記載の媒体。
  4. 前記可逆性感熱記録シートが、シート基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム層を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の媒体。
  5. 前記コア基材の前記結晶性ポリマーフィルム層が積層されている側とは反対側に積層されている第2の結晶性ポリマーフィルム層、
    前記第2の結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている第2の非晶性ポリマーフィルム層
    を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の媒体。
  6. 前記第2の非晶性ポリマーフィルム層が、荷重たわみ温度が110℃未満であるポリマーのフィルムから形成されている、請求項に記載の媒体。
  7. 前記第2の非晶性ポリマーフィルム層上の少なくとも一部に磁気テープが積層されており、その上に印刷層が形成されている、請求項又はに記載の媒体。
  8. 可逆性感熱記録シート付きカード、又は可逆性感熱記録シート付きタグである、請求項1〜のいずれか一項に記載の媒体。
  9. コア基材、
    前記コア基材上に積層されている結晶性ポリマーフィルム層、
    前記結晶性ポリマーフィルム層上に積層されている非晶性ポリマーフィルム層、及び
    前記非晶性ポリマーフィルム層上の一部分のみに積層されている可逆性感熱記録シート
    を有する積層体を熱圧着し、それによって前記可逆性感熱記録シートを前記非晶性ポリマーフィルム層に埋め込むことを含み、
    前記可逆性感熱記録シートが、可逆性感熱記録層、及び前記可逆性感熱記録層が積層されているシート基材を少なくとも有しており、
    前記可逆性感熱記録シートの厚さが、25〜60μmであり、
    前記コア基材がアンテナ回路基板、前記アンテナ回路基板の外周を包囲しているアンテナ回路基板用スペーサー、並びに前記アンテナ回路基板及び前記アンテナ回路基板用スペーサーを挟んでいるコアシートを有し、
    前記結晶性ポリマーフィルム層の厚さが30μm以上であり、
    前記非晶性ポリマーフィルム層の厚さが、前記可逆性感熱記録シートの厚さよりも大きく、かつ
    前記アンテナ回路基板用スペーサーの平均厚さの前記アンテナ回路基板の平均厚さに対する比が0.50以上1.00未満である、
    可逆性感熱記録シート付き媒体の製造方法。
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